特許第6056307号(P6056307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6056307
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネスシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20161226BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   B60R16/02 650S
   H01B7/00 301
   B60R16/02 635
   B60R16/02 620J
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-204080(P2012-204080)
(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-58218(P2014-58218A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 幸功
(72)【発明者】
【氏名】浅田 一宏
(72)【発明者】
【氏名】井本 政善
(72)【発明者】
【氏名】橋倉 学
(72)【発明者】
【氏名】肥田 善弘
(72)【発明者】
【氏名】土田 敏之
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−284980(JP,A)
【文献】 特開平11−203952(JP,A)
【文献】 特開平08−329821(JP,A)
【文献】 特開2010−105517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されると共に複数の電線が束ねられた電線束を備えたワイヤーハーネスと、
前記ワイヤーハーネスに電気的に接続された電装品と、
前記ワイヤーハーネスに電気的に接続されると共に前記電線束に直接的に又は間接的に取り付けられるものであって、前記電装品に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子を備えたスイッチングユニットと、を備え、
前記スイッチングユニットは、更に、前記電装品又は前記電線に過電流が流れることを抑制する過電流保護部を備え、
前記過電流保護部は、比較的に大きな電流が流され、過電流が流された時に溶断する第1ヒューズ素子と、比較的に小さな電流が流され、過電流が流された時に溶断する第2ヒューズ素子とのうちの少なくとも一方であり、前記第1ヒューズ素子と前記第2ヒューズ素子とのうちの一方、又は、双方の選択により、一の前記電装品について溶断する過電流の値を変更可能とされており、
前記スイッチングユニットは、前記第2ヒューズ素子が装着されず、前記第1ヒューズ素子が装着される第1ヒューズ装着部と、前記第1ヒューズ素子が装着されず、前記第2ヒューズ素子が装着される第2ヒューズ装着部と、を備えるワイヤーハーネスシステム。
【請求項2】
前記スイッチングユニットは結束部材によって前記電線束に直接的に取り付けられている請求項1に記載のワイヤーハーネスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のワイヤーハーネスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のワイヤーハーネスシステムは、電源と車載電装品との間に配設された電気接続箱を備える。電気接続箱は、複数の電線からなるワイヤーハーネスを介して電源及び車載電装品に電気的に接続されている。この電気接続箱は、ケース内に複数のスイッチング素子を配設してなる。これらのスイッチング素子がオンされることにより、車載電装品に対して電源からの電力が供給される。ケースには、更に、複数のヒューズ素子が装着されるヒューズ装着部が形成されている。ヒューズ素子により、車載電装品又は電線に過電流が流れることが抑制されるようになっている。このような電気接続箱の例として特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−218563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術によると、電気接続箱には複数のスイッチング素子が配設されると共に、複数のヒューズ素子が装着されるので、電気接続箱が大型化するという問題がある。近年、車両に対して、安全性の向上、及び居住性の向上が求められており、これに伴って車載電装品の個数も増大する傾向にある。このため、電気接続箱の大型化は特に問題となりうる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電気接続箱の大型化を抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ワイヤーハーネスシステムであって、車両に搭載されると共に複数の電線が束ねられた電線束を備えたワイヤーハーネスと、 前記ワイヤーハーネスに電気的に接続された電装品と、前記ワイヤーハーネスに電気的に接続されると共に前記電線束に直接的に又は間接的に取り付けられるものであって、前記電装品に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子を備えたスイッチングユニットと、を備え、前記スイッチングユニットは、更に、前記電装品又は前記電線に過電流が流れることを抑制する過電流保護部を備え、前記過電流保護部は、比較的に大きな電流が流され、過電流が流された時に溶断する第1ヒューズ素子と、比較的に小さな電流が流され、過電流が流された時に溶断する第2ヒューズ素子とのうちの少なくとも一方であり、前記第1ヒューズ素子と前記第2ヒューズ素子とのうちの一方、又は、双方の選択により、一の前記電装品について溶断する過電流の値を変更可能とされており、前記スイッチングユニットは、前記第2ヒューズ素子が装着されず、前記第1ヒューズ素子が装着される第1ヒューズ装着部と、前記第1ヒューズ素子が装着されず、前記第2ヒューズ素子が装着される第2ヒューズ装着部と、を備える。

【0007】
本発明によれば、スイッチングユニットはスイッチング素子を備える。これにより、従来、電気接続箱に配設されていたスイッチング素子を省略できるので、電気接続箱の大型化を抑制することができる。
【0008】
更に、スイッチングユニットは過電流保護部を備える。これにより、従来、電気接続箱に配設されていたヒューズ素子を省略できるので、電気接続箱の大型化を抑制することができる。
また、電装品、又は電線に過電流が流れた場合には、ヒューズ素子が溶断するので、電装品、又は電線に過電流が流れることを確実に抑制することができる。
また、ヒューズ素子が溶断した場合に、ヒューズ素子を容易に交換することができる。
【0009】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい
【0013】
前記スイッチングユニットは結束部材によって前記電線束に直接的に取り付けられていることが好ましい。
【0014】
上記の態様によれば、スイッチングユニットは電線束に直接的に取り付けられているので、ワイヤーハーネスの外側に突出しないようになっている。この結果、ワイヤーハーネスを全体として小型化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気接続箱の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の実施形態1に係るワイヤーハーネスシステムを示す模式図である。
図2図2はスイッチングユニットの取り付け構造を示す一部拡大側面図である。
図3図3はスイッチングユニットを示す分解斜視図である。
図4図4は回路基板とコネクタハウジングとを示す平面図である。
図5図5はスイッチングユニットを示す平面図である。
図6図6図5におけるVI−VI線断面図である。
図7図7はワイヤーハーネスシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明を、車両10に搭載されたワイヤーハーネスシステム11に適用した実施形態1について、図1ないし図7を参照しつつ説明する。
【0018】
図1に示すように、車両10には、電源12と、この電源12にワイヤーハーネス13を介して電気的に接続された電装品14と、が搭載されている。電源12と電装品14との間には電気接続箱16が配設されている。
【0019】
(ワイヤーハーネス13)
図2に示すように、ワイヤーハーネス13は、複数の電線17が束ねられた電線束18を備える。電線束18は、複数の電線17が束ねられた状態で、一方の面に粘着剤が塗布されたテープ19(結束部材の一例)が捲回されることによって形成される。電線17は、芯線(図示せず)の外周を、合成樹脂製の絶縁層で被覆してなる。芯線は、金属、カーボンナノチューブ等の導電性の材料からなる。本実施形態においては、金属細線を撚り合わせてなる撚り線が用いられている。撚り線に用いられる金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。本実施形態では銅又は銅合金が用いられる。
【0020】
(電気接続箱16)
図1に示すように、ワイヤーハーネス13には電気接続箱16が電気的に接続されている。本実施形態に係る電気接続箱16は、電気接続箱16内で、電源12から電気接続箱16の内部に導入された電線17が複数の電線17に分岐される、いわゆるジャンクションボックスとされる。なお、電線17は、ワイヤーハーネス13において、公知のスプライス端子によって複数の電線17に分岐される構成としてもよい。
【0021】
(ワイヤーハーネスシステム11)
図1に、本実施形態に係るワイヤーハーネスシステム11の一例を模式的に示す。車両10のエンジンルーム30内には電源12が搭載されている。また、エンジンルーム30内には、電源12に電線17を介して接続された電気接続箱16が搭載されている。電気接続箱16にはワイヤーハーネス13が接続されている。ワイヤーハーネス13は、車両10の床下、ピラー内等、必要に応じて任意の位置に配索されている。本実施形態においては、図1において、車両10の床下に配索されたワイヤーハーネス13を例に説明する。ワイヤーハーネス13からは電線17が分岐されている。ワイヤーハーネス13から分岐された電線17の端末には、電装品14が電気的に接続されている。
【0022】
電装品14としては、例えば、ワイパモータ、ヘッドライト、ルームライト、テールライト36、セルモータ、ウォッシャポンプ、リアウィンドウ用デフロスタ、シートヒータ31、ディアイサ、DRLシステム、フォグランプ、ホーン、PTCヒータ、後部座席用ルームライト32等が含まれる。電装品14はこれらに限定されず、必要に応じて適宜に選択しうる。
【0023】
図1には、電装品14の例としてシートヒータ31、後部座席用ルームライト32、及びテールライト36が示されている。シートヒータ31は、搭乗者が搭乗する車室33の内部に取り付けられたシート34に配設されている。シートヒータ31に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子22を備えたスイッチングユニット21は、ワイヤーハーネス13からシートヒータ31へ電線17が分岐される分岐部35の近傍に配設されている。
【0024】
後部座席用ルームライト32は、車室33内の後部座席の天井部寄りの位置に配設されている。後部座席用ルームライト32に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子22を備えたスイッチングユニット21は、ワイヤーハーネス13からシートヒータ31へ電線17が分岐される分岐部35の近傍に配設されている。
【0025】
テールライト36は車両10の後端部に配設されている。テールライト36に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子22については、図示を省略している。
【0026】
車室33には、インスツルメントパネル37が配設されている。このインスツルメントパネル37には、電装品14の少なくとも一つに対して通電又は断電を指示する手動スイッチ38が配設されている。手動スイッチ38は、信号線50を介してスイッチング素子22と電気的に接続されている。図1には、シートヒータ31に通電又は断電を指示する手動スイッチ38が、インスツルメントパネル37に配設されている構成が例示されている。本実施形態においては、信号線50はインスツルメントパネル37から床下へと配索されて、複数の電線17と共に電線束18に束ねられている。この信号線50は、電装品14に接続された電線17が束ねられた電線束18とは異なる経路で車両10に配索される構成としてもよい。
【0027】
(スイッチングユニット21)
また、図1に示すように、ワイヤーハーネス13にはスイッチングユニット21が電気的に接続されている。スイッチングユニット21には電装品14に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子22が備えられている。
【0028】
図3に示すように、スイッチングユニット21は、ケース23と、ケース23内に収容された回路基板24と、回路基板24に電気的に接続されたコネクタハウジング25と、を備える。
【0029】
ケース23は合成樹脂製であって、有底の筒状をなしている。本実施形態では略角筒状をなしている。
【0030】
図4に示すように、回路基板24は、略長方形状をなす絶縁基板に、プリント配線技術により図示しない導電路が形成されてなる。回路基板24の表面には、スイッチング素子22が、はんだ付け等の公知の手法により回路基板24に形成された導電路に電気的に接続されている。本実施形態においては、スイッチング素子22は機械式リレーとされている。本実施形態には、回路基板24の表面に、2つのスイッチング素子22が横並びに配設されている。なお、スイッチングユニット21に備えられるスイッチング素子22は、1つでもよく、また、3つ以上であってもよい。
【0031】
コネクタハウジング25は合成樹脂製であって、ケース23の外方に開口するフード部28を備える。フード部28の外壁にはロック部26が外方に突出して形成されている。このロック部26が、ケース23の開口縁部寄りの位置に形成されたロック受け部27と弾性的に係合することにより、ケース23とコネクタハウジング25とが一体に組み付けられるようになっている(図5参照)。
【0032】
フード部28には回路基板24に向かって突出する係止突部44が形成されている。係止突部44は回路基板24に形成された貫通孔45に抜け止め状態で貫通されている。これにより、コネクタハウジング25と回路基板24とが組み付けられている。
【0033】
図6に示すように、フード部28の奥壁には複数の金属製の端子29が貫通されている。フード部28の内部には電線17の端部に取り付けられた図示しない相手側端子が挿入される。これにより電線17がスイッチングユニット21に接続されるようになっている。端子29の一方の端部はフード部28の内部に配されており、端子29の他方の端部は奥壁を貫通してコネクタハウジング25の外部に突出した後、回路基板24に向けて略直角に曲げ加工されている。端子29の他方の端部は回路基板24に貫通された状態で、はんだ付け等の公知の手法により、回路基板24に形成された導電路に電気的に接続されている(図6参照)。
【0034】
(ヒューズ素子39)
図4に示すように、回路基板24の表面には、合成樹脂製のヒューズ接続部材40が配設されている。ヒューズ接続部材40には、比較的に大きな電流が流される第1ヒューズ素子39A(過電流保護部に相当)が装着される第1ヒューズ装着部41と、比較的に小さな電流が流される第2ヒューズ素子39B(過電流保護部に相当)が装着される第2ヒューズ装着部42とが、回路基板24と反対の方向に開口して形成されている。第1ヒューズ装着部41、及び第2ヒューズ装着部42の内部にはヒューズ接続端子43が収容されている。このヒューズ接続端子43は回路基板24に貫通された状態で、はんだ付け等の公知の手法により、回路基板24に形成された導電路に電気的に接続されている(図6参照)。なお、以下の記載において、第1ヒューズ素子39Aと第2ヒューズ素子39Bとを区別しない場合には、ヒューズ素子39と記載する。
【0035】
本実施形態においては、ヒューズ接続部材40には、1つの第1ヒューズ装着部41と、2つの第2ヒューズ装着部42とが形成されている。これにより、スイッチング素子22に流される電流の大きさにしたがって、1つの第1ヒューズ素子39Aと1つの第2ヒューズ素子39Bを用いるか、又は、2つの第2ヒューズ素子39Bを用いるか、を適宜に選択できるようになっている。
【0036】
図7は、ワイヤーハーネスシステム11の概要を示すブロック図である。本実施形態における電源12は、バッテリ、及びオルタネータである。スイッチングユニット21に配設されたヒューズ素子39は、電源12と、スイッチング素子22との間に、電気的に接続されている。なお、ヒューズ素子39は、スイッチング素子22と電装品14との間に電気的に接続される構成としてもよい。
【0037】
ヒューズ素子39は、過電流が流された時に溶断するようになっている。これにより、電装品14、又は電線17に過電流が流れることを抑制するようになっている。
【0038】
図7には、1つのスイッチングユニット21の内部に2つのスイッチング素子22と、2つのヒューズ素子39が配設される構成と、1つのスイッチングユニット21の内部に1つのスイッチング素子22と1つのヒューズ素子39が配設される構成が示されている。なお、1つのスイッチングユニット21の内部に、3つ以上のスイッチング素子22と、3つ以上のヒューズ素子39が配設される構成としてもよい。
【0039】
(スイッチングユニット21の取り付け構造)
車両10には、複数のスイッチングユニット21が配設されている。以下に、車両10へのスイッチングユニット21の取り付け構造の例を示す。スイッチングユニット21の取り付け構造は、下記の構成に限定されるものではない。
【0040】
図2に示すように、スイッチングユニット21は、電線束18を結束するテープ19によって、電線束18と共に結束される構成となっている。換言すると、スイッチングユニット21は、電線束18に対して、テープ19が巻き付けられることによって電線束18に直接的に固定されている。スイッチングユニット21は、テープ19から露出している構成としてもよく、また、テープ19によって電線束18と一体に結束されて、巻回されたテープ19の内部に埋設される構成としてもよい。
【0041】
図2に係るスイッチングユニット21は、ワイヤーハーネス13から電装品14に接続された第1電線17Aを含む電線束18が分岐する分岐部35の近傍に取り付けられている。
【0042】
また、図1に示すように、車室33の内部にスイッチングユニット21を配設する構成としてもよい。本実施形態においては、シートヒータ31に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子22を有するスイッチングユニット21が、車室33に配されたシート34の下方に取り付けられている。スイッチングユニット21は、車室33内の任意の位置に配設することができる。本実施形態に係るスイッチング素子22は、比較的に小型なので、通電又は断電を実行する際に作動音が比較的に小さい。これにより、搭乗者が搭乗する車室33内に配設することができるようになっている。この結果、車両10内の収容スペースを有効に利用できるので、ワイヤーハーネスシステム11を全体として小型化できる。
【0043】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態に係るワイヤーハーネスシステム11は、車両10に搭載されると共に複数の電線17が束ねられた電線束18を備えたワイヤーハーネス13と、ワイヤーハーネス13に電気的に接続された電装品14と、ワイヤーハーネス13に電気的に接続されると共に電線束18に直接的に又は間接的に取り付けられるものであって、電装品14に対して通電又は断電を実行するスイッチング素子22を備えたスイッチングユニット21と、を備え、スイッチングユニット21は、更に、電装品14又は電線17に過電流が流れることを抑制するヒューズ素子39を備える。
【0044】
本実施形態によれば、電装品14の通電又は断電を実行するスイッチング素子22を、ワイヤーハーネス13の電線束18に取り付けることができるので、ワイヤーハーネスシステム11を小型化できる。
【0045】
また、本実施形態によれば、スイッチングユニット21はスイッチング素子22を備える。これにより、従来、電気接続箱に配設されていたスイッチング素子22を省略できるので、電気接続箱16の大型化を抑制することが可能となり、更には、電気接続箱16を省略することもできる。
【0046】
更に、スイッチングユニット21はヒューズ素子39を備える。これにより、従来、電気接続箱に配設されていたヒューズ素子を省略できるので、電気接続箱16の大型化を抑制することが可能となり、更には、電気接続箱16を省略することもできる。
【0047】
また、本実施形態によれば、電装品14、又は電線17に過電流が流れた場合には、ヒューズ素子39が溶断するので、電装品14、又は電線17に過電流が流れることを確実に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、スイッチングユニット21はヒューズ素子39が装着されるヒューズ装着部を備える。これにより、ヒューズ素子39が溶断した場合に、ヒューズ素子39を容易に交換することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、スイッチングユニット21は、複数の電線17を束ねるテープ19によって電線束18に結束されている。これにより、スイッチングユニット21は電線束18に結束されているので、ワイヤーハーネス13の外側に突出しないようになっている。この結果、ワイヤーハーネス13を小型化することができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、スイッチング素子22は機械式リレーとしたが、これに限られず、スイッチング素子22はFET、IGBT等の半導体スイッチング素子でもよい。また、1つのスイッチングユニット21内に、機械式リレーと半導体スイッチング素子とが配設される構成としてもよい。
【0051】
(2)本実施形態においては、過電流保護部としてヒューズ素子39を用いたが、これに限られず、参考例として、過電流保護部は、スイッチングユニット21に配設された半導体スイッチング素子に設けられて半導体スイッチング素子のオンオフを制御する過電流保護回路としてもよい。また、参考例として、過電流保護部は、プログラムを実行することにより、スイッチングユニット21に配設された半導体スイッチング素子のオンオフを制御するマイコンとしてもよい。
【0052】
(3)ヒューズ素子39は、回路基板24に形成された導電路に、ろう付け、はんだ付け等により直接に接続される構成としてもよい。
【0053】
(4)本実施形態においては、全てのスイッチング素子22、及び全てのヒューズ素子39がスイッチングユニット21に配設されて、電線束18に取付けられる構成としたが、これに限られず、複数のスイッチング素子22の一部、又は複数のヒューズ素子39の一部が電気接続箱16に配設される構成としてもよい。
【0054】
(5)結束部材は結束バンドでもよい。結束バンドは合成樹脂製でもよく、金属製であってもよい。
【0055】
(6)手動スイッチ38は、インスツルメントパネル37に配設する構成としたが、これに限られず、ドアのアームレストに設けてもよく、必要に応じて任意の位置に配設することができる。また、手動スイッチ38に代えてボデーECUなどの電子制御ユニットからスイッチングユニット21を制御する構成としてもよい。
【0056】
(7)本実施形態においては、スイッチングユニット21は電線束18にテープ19によって直接的に取り付けられる構成としたが、これに限られず、スイッチングユニット21は、スイッチングユニット21のコネクタハウジング25から導出された電線17を介して電線束18に間接的に取り付けられる構成としてもよい。このようにすれば、振動が比較的に少ない部分に取り付ける際に、テープ19による結束作業が不要となるので、作業効率が向上する。
【0057】
(8)本実施形態では、1つのスイッチング素子22は1つの電装品14に接続される構成としたが、これに限られず、1つのスイッチング素子22が複数の電装品14に、並列に又は直列に接続される構成としてもよく、また、複数のスイッチング素子22が1つの電装品14に、並列に又は直列に接続される構成としてもよく、また、複数のスイッチング素子22が複数の電装品14に、並列に又は直列に接続される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10:車両
11:ワイヤーハーネスシステム
13:ワイヤーハーネス
14:電装品
17:電線
19:テープ(結束部材)
21:スイッチングユニット
22:スイッチング素子
39:ヒューズ素子
39A:第1ヒューズ素子(過電流保護部)
39B:第2ヒューズ素子(過電流保護部)
41:第1ヒューズ装着
42:第2ヒューズ装着


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7