(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールMの外観斜視図である。
図2は、シールドカバー2に内包されるレンズ駆動装置1の外観斜視図である。
図3は、カメラモジュールMを示す分解斜視図である。
図4は、レンズ駆動装置1の可動部10を示す分解斜視図である。
【0016】
ここでは、
図1〜
図3に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。
図1〜
図3では、前後方向(奥行方向)をX方向、左右方向(幅方向)をY方向、上下方向(高さ方向)をZ方向として示している。
図1〜
図3においては、Z方向がレンズの光軸方向である。また、X方向、Y方向の中間方向、すなわちカメラモジュールMをZ方向から見た平面視形状における対角方向をu方向、v方向とする。Z方向、u方向、v方向がそれぞれ、本発明における第1の方向、第2の方向、第3の方向に相当する。
【0017】
図1〜
図3に示すカメラモジュールMは、例えばスマートフォンに実装されるカメラモジュールである。このカメラモジュールMは、オートフォーカス機能及び手ぶれ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる手ぶれ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0018】
カメラモジュールMは、レンズを収容する円筒形状のレンズバレル(図示略)、レンズバレルを移動させてオートフォーカス及び手ぶれ補正を行うレンズ駆動装置1、被写体を撮像する撮像部(図示略)、全体を覆うシールドカバー2等を備える。
【0019】
シールドカバー2は、レンズ駆動装置1の外周面を覆う箱体である。シールドカバー2の上面2aは正方形状を有し、上面2aに形成された円形の開口2bからレンズバレル(図示略)が外部に臨む。すなわち、カメラモジュールMは平面視で正方形状を有し、また、シールドカバー2に内包されるレンズ駆動装置1も平面視で正方形状を有する。
【0020】
図2、
図3に示すように、レンズ駆動装置1は、携帯端末等にカメラモジュールMを実装したときに移動不能に固定される固定部20、及び固定部20に対してXY平面内で揺動する可動部10を備える。可動部10は、固定部20に対して上方(Z1方向)に離間して配置され、サスペンションワイヤー30等の支持部材によって揺動可能に支持される。
【0021】
可動部10は、
図3、
図4に示すように、レンズホルダ11、マグネットホルダ12、永久磁石13、上ばね14、下ばね15、スペーサー16、位置検出用磁石17等を備える。マグネットホルダ12、上ばね14、下ばね15、及びスペーサー16により、レンズホルダ11をZ方向に移動可能に支持するレンズホルダ移動部が構成される。
【0022】
レンズホルダ11は、第1のコイル111、上コイルホルダ112、及び下コイルホルダ113を備える。
第1のコイル111は、オートフォーカス時に電流が流れる空心コイルであり、略八角筒状に巻線されている。
上コイルホルダ112は、第1のコイル111の外形に合わせて平面視八角形状に形成された環状の枠体である。上コイルホルダ112は、径方向外側に突出する突出部112aを有する。この突出部112aの上面には、上ばね14を取り付けるためのボス112bが形成される。
下コイルホルダ113は、第1のコイル111の外形に合わせて平面視八角形状に形成された環状の枠体である。下コイルホルダ113は、径方向外側に突出する突出部113aを有する。この突出部113aの下面には、下ばね15を取り付けるためのボス113bが形成される。
【0023】
上コイルホルダ112及び下コイルホルダ113により、第1のコイル111が狭持される。すなわち、レンズホルダ11は、上下セパレートタイプのレンズホルダであり、第1のコイル111、上コイルホルダ112、及び下コイルホルダ113の内周面により、筒状のバレル収容部11aが形成される。レンズホルダ11において、第1のコイル111の内周面は露出することになる。このバレル収容部11aにレンズバレル(図示略)が固定される。
【0024】
このように、レンズ駆動装置1において、レンズホルダ11は、空心コイルからなる第1のコイル(111)と、第1のコイル(111)を狭持するコイル保持部材(上コイルホルダ112、下コイルホルダ113)と、で構成され、第1のコイル(111)の内周面が露出している。
コイルホルダの外周面に巻線してなるコイルと比較すると、コイルホルダの肉厚分だけコイル内径が小さくなる。したがって、レンズ駆動装置1の小型化を図る上で有効である。
【0025】
レンズバレル(図示略)は、レンズホルダ11のバレル収容部11aに接着により固定される。レンズバレル(図示略)とレンズホルダ11とを螺合により固定する場合、レンズ駆動装置1内に塵埃等の異物が封入される虞があったが、上述した固定方式によれば、このような不具合が生じるのを防止することができる。
【0026】
マグネットホルダ12は、平面視正方形の四角筒形状を有する。マグネットホルダ12は、四隅に、永久磁石13を配置するマグネット収容部12aを有する。マグネット収容部12aは、永久磁石13の外形に合わせて、平面視で等脚台形状に形成される。
【0027】
マグネットホルダ12の上面において、4辺の略中央には凹部12bが形成される。この凹部12bには、上コイルホルダ112の突出部112aが配置される。
また、マグネットホルダ12の上面の四隅には、上ばね14を取り付けるためのボス12eが2個ずつ形成される。また、マグネットホルダ12の上面の四隅には、サスペンションワイヤー30を囲むように延出部12gが形成される。
【0028】
マグネットホルダ12の下面において、4辺の略中央には凹部12cが形成される。この凹部12cには、下コイルホルダ113の突出部113aが配置される。凹部12cの深さは、下コイルホルダ113の突出部113aの高さよりも十分に大きく設定される。凹部12cの深さによって、オートフォーカス時のレンズホルダ11の移動距離が制限される。
【0029】
また、マグネットホルダ12の下面において、X方向に対向する2辺には、凹部12cに隣接して凹部12dが形成される。この凹部12dには、位置検出用磁石17が配置される。また、マグネットホルダ12の下面の四隅には、下ばね15及びスペーサー16を取り付けるためのボス12fが1個ずつ形成される。
【0030】
永久磁石13は、等脚の台形柱状の磁石である。永久磁石13は、等脚台形の長辺を径方向内側向けた状態で、マグネットホルダ12の四隅に位置するマグネット収容部12aに配置される。すなわち、4片の永久磁石13は、u方向又はv方向において、第1のコイル111と対向して配置される。マグネットホルダ12及び永久磁石13により、レンズホルダ11がZ方向に移動可能な平面視八角形状の空間が形成される。
永久磁石13は、第1のコイル111に径方向に直交する磁界が形成されるように着磁される。ここでは、永久磁石13の内周側がN極、外周側がS極に着磁されているものとする。
【0031】
上ばね14は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板ばねであり、同形状の4つの部材で構成される。上ばね14は、マグネットホルダ12の上面に固定されるマグネットホルダ取付部14aと、レンズホルダ11(上コイルホルダ112)の上面に固定されるレンズホルダ取付部14fを有する。上ばね14は、マグネットホルダ12に対してレンズホルダ11を弾性支持する。
【0032】
マグネットホルダ取付部14aは、マグネットホルダ12の上面の隅部に対応した形状に形成される。マグネットホルダ取付部14aには、マグネットホルダ12の上面に形成されたボス12eと係合する係合穴14dが形成される。また、マグネットホルダ取付部14aには、サスペンションワイヤー30の一端が挿入されるワイヤー固定穴14eが形成される。
レンズホルダ取付部14fとマグネットホルダ取付部14aとの間には、レンズホルダ11の外形に沿って延びるアーム部14bが形成される。レンズホルダ取付部14fには、上コイルホルダ112のボス112bと係合する係合穴14cが形成される。
【0033】
下ばね15は、上ばね14と同様に、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板ばねであり、同形状の4つの部材で構成される。下ばね15は、マグネットホルダ12の下面に固定されるマグネットホルダ取付部15aと、レンズホルダ11(下コイルホルダ113)の下面に固定されるレンズホルダ取付部15eを有する。下ばね15は、マグネットホルダ12に対してレンズホルダ11を弾性支持する。
【0034】
マグネットホルダ取付部15aは、マグネットホルダ12の下面の隅部に対応した形状に形成される。マグネットホルダ取付部15aには、マグネットホルダ12の下面に形成されたボス12fと係合する係合穴が15dが形成される。
レンズホルダ取付部15eとマグネットホルダ取付部15aとの間には、レンズホルダ11の外形に沿って延びるアーム部15bが形成される。レンズホルダ取付部15eには、下コイルホルダ113のボス113bと係合する係合穴15cが形成される。
【0035】
マグネットホルダ12にレンズホルダ11を装着する際、上ばね14のマグネットホルダ取付部14aの係合穴14dにマグネットホルダ12のボス12eが挿入され、例えば熱溶着により固定される。また、レンズホルダ取付部14fの係合穴14cに上コイルホルダ112のボス112bが挿入され、熱溶着又は接着により固定される。
【0036】
さらに、下ばね15のマグネットホルダ取付部15aの係合穴15d、および下ばね15の下方に配置されるスペーサー16の係合穴16aにマグネットホルダ12のボス12fが挿入され、例えば熱溶着により固定される。
また、レンズホルダ取付部15eの係合穴15cに下コイルホルダ113のボス113bが挿入され、熱溶着又は接着により固定される。
これにより、レンズホルダ11は、上ばね14及び下ばね15によって、マグネットホルダ12に対して位置決めされた状態で、Z方向に変位可能に弾性支持される。
また、下コイルホルダ113の下面に形成された4つの凸部113cと、スペーサー16の上面が接触することで、レンズホルダ11全体が凸部113cの高さ分光軸方向に持ち上げられ、上ばね14及び下バネ15にバックテンションを発生させる。
【0037】
このとき、上コイルホルダ112の突出部112aは、マグネットホルダ12の上面に形成された凹部12bに遊嵌され、下コイルホルダ113の突出部113aは、マグネットホルダ12の下面に形成された凹部12cに遊嵌される。さらに、上ばね14のレンズホルダ取付部14fは、下コイルホルダ113の下面に形成された凸部113cの高さ分、マグネットホルダ12の上面よりも浮いた状態となる。
【0038】
すなわち、上ばね14のレンズホルダ取付部14fが浮いている分だけ、上ばね14にバックテンションが生じ、レンズホルダ11(突出部112a)はマグネットホルダ12側に押圧される。また、下ばね15のレンズホルダ取付部15eも上ばね14と同じ分だけの浮きが発生し、バックテンションが発生する。したがって、無通電状態において、レンズ駆動装置1の姿勢を天地逆転させても、レンズホルダ11は移動しない。レンズホルダ11は、この状態を基準として、オートフォーカス時(通電時)には上方(Z1方向)に移動することとなる。
【0039】
マグネットホルダ12の下面に形成された凹部12dには、位置検出用磁石17A、17Bが配置される(
図5参照)。位置検出用磁石17A、17Bは、直方体状の棒磁石であるが、位置検出用磁石17Aはv方向に斜めに着磁され、位置検出用磁石17Bはv方向に直交するu方向に斜めに着磁される。位置検出用磁石17Aによって形成される磁界を検出することで可動部10のv方向における位置を特定でき、位置検出用磁石17Bによって形成される磁界を検出することで可動部10のu方向における位置を特定できる。位置検出用磁石17A、17Bによって形成される磁界は、位置検出用磁石17A、17BとZ方向に対向して配置されるホール素子24A、24Bによって検出される。
【0040】
また、位置検出用磁石17Aをu方向に斜めに着磁し、位置検出用磁石17Bをv方向に斜めに着磁した場合でも、同様にホール素子24A、24Bにより可動部10のu方向及びv方向の位置を特定ができる。
【0041】
なお、位置検出用磁石17A、17Bとして、長手方向又は短手方向に着磁された一般的な棒磁石を用いることもできる。この場合は、着磁方向がu方向又はv方向に一致するように、位置検出用磁石17A、17Bは斜めに配置される。
【0042】
固定部20は、コイル基板21、及びベース部材22等を備える。
コイル基板21は、マグネットホルダ12と同様に平面視で正方形状を有し、中央には円形の開口21aが形成される。また、コイル基板21の四隅には、サスペンションワイヤー30の他端(下端)が挿入されるワイヤー固定穴21bが形成される。
【0043】
コイル基板21の上面の四隅には、永久磁石13に対向して、手ぶれ補正用の第2のコイル23が配置される。第2のコイル23は、永久磁石13の平面視の形状に対応して、等脚台形の角部を丸めた形状を有する。永久磁石13と第2のコイル23の形状、配置等は、永久磁石片13の半径方向のエッジがコイル断面幅に入るように、すなわち永久磁石13からZ方向に放射された磁界が第2のコイル23の対向する2辺を横切って永久磁石13に戻るように設定される。これにより、可動部10をXY平面内で移動させるための駆動力(電磁力)を、効率よく発生させることができる。
ベース部材22は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状を有し、中央には円形の開口22aが形成される。
【0044】
また、固定部20は、XY平面における可動部10の位置、具体的にはu方向及びv方向の位置を検出する位置検出部を備える。ここでは、位置検出部として、ベース部材22にホール素子24A、24Bが取り付けられる。ホール素子24A、24Bは、位置検出用磁石17A、17Bと対向する位置に配置される。ホール素子24A、24Bは、ホール効果を利用して磁界を検出する磁気センサーである。位置検出用磁石17A、17Bによって形成される磁界を、ホール素子24A、24Bで検出することにより、XY平面における可動部10の位置を特定することができる。
【0045】
このように、レンズ駆動装置1は、第2の方向(u方向)及び第3の方向(v方向)におけるレンズホルダ移動部(マグネットホルダ12、上ばね14、下ばね15、スペーサー16)の位置を検出する位置検出部を備える。
具体的には、レンズ駆動装置1は、レンズホルダ移動部(12、14、15、16)の1辺に沿って配置され、第2の方向(u方向)に着磁された第1の位置検出用磁石(位置検出用磁石17B)と、レンズホルダ移動部(12、14、15、16)の前記1辺とは異なる1辺に対応して配置され、第3の方向(v方向)に着磁された第2の位置検出用磁石(位置検出用磁石17A)と、を備える。そして、位置検出部は、第1の方向(Z方向)において第1の位置検出用磁石(17B)と対向して配置される第1のホール素子(24B)と、第1の方向(Z方向)において第2の位置検出用磁石(17A)と対向して配置される第2のホール素子(24A)と、で構成される。
【0046】
位置検出用磁石17A、17Bとホール素子24A、24Bの間には、位置検出用磁石17A、17Bによって形成される磁界に影響を与えるもの(例えばコイル等)は配置されていないので、ホール素子24A、24Bによる磁界の検出精度が向上する。
【0047】
可動部10と固定部20は、サスペンションワイヤー30等の支持部材によって連結される。具体的には、4本のサスペンションワイヤー30は、Z方向に沿って延在し、可動部10全体を、XY平面内で揺動可能に支持する。4本のサスペンションワイヤー30の一端(上端)は、マグネットホルダ12の延出部12gに挿通され、上ばね14のワイヤー固定穴14eにはんだ付けにより固定される。サスペンションワイヤー30の他端(下端)は、コイル基板21のワイヤー固定穴21bに挿通され、はんだ付けにより固定される。
【0048】
なお、4本のサスペンションワイヤー30のうちの2本は、第1のコイル111に給電するためにも使用される。また、サスペンションワイヤー30の本数は、4本に限定されず、複数本あればよい。
【0049】
サスペンションワイヤー30を囲むように、マグネットホルダ12と上ばね14との間には、ダンパー材(図示略)が配置される。詳述すると、マグネットホルダ12は、ワイヤー固定穴14eに近接した位置で、サスペンションワイヤー30を離間して囲むように、マグネットホルダ12の四隅で半径方向外側へ延出する延出部12gを有する。ダンパー部材(図示略)は、サスペンションワイヤー30を囲むように、延出部12gと上ばね14との間に配置される。ダンパー材(図示略)は、例えばディスペンサーを使用することにより、容易に塗布することができる。ダンパー材(図示略)としては、例えばスリーボンド社製の紫外線硬化性シリコーンゲル(商品名:TB3168E、粘性:90Pa・s)を適用することができる。なお、ダンパー材(図示略)は、紫外線硬化性樹脂に限定されず、ダンパー効果のある材料であればどのようなものでも適用することができる。
【0050】
サスペンションワイヤー30を囲むように、マグネットホルダ12と上ばね14との間にダンパー材(図示略)を配置することにより、不要な共振が抑制されるので、レンズ駆動装置1の動作が格段に安定する。また、ダンパー材(図示略)によって落下時の衝撃が低減されるので、レンズ駆動装置1の耐衝撃性が向上する。
【0051】
また、コイル基板21とベース部材22との間には、ホール素子24A、24B及び制御部を実装したセンサー基板(図示略、FPC:Flexible printed circuits)が、撮像部として配置される。さらに、ベース部材22の下方に撮像素子(図示略)が配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(chargecoupled device)型イメージセンサ、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズバレル(図示略)により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換し、制御部(図示略)に出力する。
【0052】
制御部(図示略)は、第1のコイル111に流す電流を制御してオートフォーカスを行う。また、制御部(図示略)は、2つの方向ジャイロ(図示略)で検出された揺れを相殺するように、2つのホール素子24A、24Bで検出された位置検出信号に基づいて第2のコイル24に流す電流を制御して手ぶれ補正を行う。
【0053】
図6は、レンズ駆動装置1におけるオートフォーカスの動作原理を示す図である。
レンズ駆動装置1においてオートフォーカスが行われる際には、永久磁石13と第1のコイル111とが協働して、Z方向にレンズホルダ11を移動させる。すなわち、AF用レンズ駆動部は、永久磁石13及び第1のコイル111を備えて構成される。具体的には、AF用レンズ駆動部では、第1のコイル111に電流を流したときに第1のコイル111に働く電磁力(ローレンツ力)を利用して、レンズホルダ11をZ方向に移動させオートフォーカスを行う。
【0054】
図6に示すように、第1のコイル111には、永久磁石13によって径方向内側に向かう磁界が形成される。したがって、第1のコイル111に、反時計回りにAF電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、第1のコイル111には、上方向の電磁力F
AF(ローレンツ力)が生じる。その結果、レンズホルダ11(レンズバレル)がZ1方向へと移動する。
AF電流の大きさが変わると第1のコイル111に生じる電磁力の大きさが変わるので、AF電流の大きさを制御することによりレンズホルダ11(レンズバレル)の移動量を調整し、自動的にピントを合わせることができる。
【0055】
なお、オートフォーカス時にレンズホルダ11がZ1方向に移動し続けると、最終的に下コイルホルダ113の突出部113aがマグネットホルダ12の凹部12cに突き当たるので、それ以上の移動が制限される。
【0056】
すなわち、レンズ駆動装置1において、レンズホルダ(11)は、径方向外側に突出する突出部(下コイルホルダ113の突出部113a)を有し、レンズホルダ移動部(マグネットホルダ12)は、突出部(113a)が係合され、レンズホルダ(11)の移動を規制する係合部(凹部12c)を有する。
これにより、マグネットホルダ12の凹部12cが、オートフォーカス時の物理的なストッパーとして機能するので、誤動作により可動部10が過剰に移動して破損等が生じるのを防止することができる。
【0057】
図7は、レンズ駆動装置1における手ぶれ補正の動作原理を示す図である。
レンズ駆動装置1において手ぶれ補正が行われる際には、永久磁石13と第2のコイル111とが協働して、XY平面内でレンズホルダ11を移動させる。すなわち、手ぶれ補正用レンズ駆動部は、永久磁石13及び第2のコイル23を備えて構成される。具体的には、手ぶれ補正用レンズ駆動部では、第2のコイル23に電流を流したときに第2のコイル23に働く電磁力(ローレンツ力)を利用して、レンズホルダ11をXY平面内で移動させオートフォーカスを行う。
【0058】
図7に示すように、u1方向に配置された第2のコイル23Aには、永久磁石13AによってZ方向に横切る磁界が形成される。したがって、第2のコイル23Aに時計回りにIS電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、第2のコイル23Aにはu2方向の電磁力が生じる。第2のコイル23Aは固定されているので、その反作用によって永久磁石13Aにu1方向の力F
ISが働く。
また、u2方向に配置された第2のコイル23Bには、永久磁石13BによってZ方向に横切る磁界が形成される。したがって、第2のコイル23Bに反時計回りにIS電流を流すと、フレミングの左手の法則に従って、第2のコイル23Bにはu2方向の電磁力が生じる。第2のコイル23Bは固定されているので、その反作用によって永久磁石13Bにu1方向の力F
ISが働く。
その結果、レンズホルダ11(レンズバレル)は可動部10としてu1方向へと移動する。
【0059】
逆に、第2のコイル23Aに反時計回りにIS電流を流し、同時に第2のコイル23Bに時計回りにIS電流を流すと、レンズホルダ11(レンズバレル)は可動部10としてu2方向に移動する。
同様に、v1方向、v2方向に配置された第2のコイル23C、23DにIS電流を流すことにより、v1方向又はv2方向にレンズホルダ11を移動させることができる。
【0060】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズバレル(図示略)の周囲に配置されるオートフォーカス用の第1のコイル(111)を有し、レンズバレルを保持するレンズホルダ(11)と、光軸に沿った第1の方向(Z方向)に直交する平面視で正方形状を有し、第1の方向(Z方向)にレンズホルダ(11)を移動可能に支持するレンズホルダ移動部(マグネットホルダ12、上ばね14、下ばね15、スペーサー16)と、レンズホルダ移動部(12、14、15、16)の四隅に配置され、第1のコイル(111)と協働して、第1の方向(Z方向)にレンズホルダ(11)を移動させる駆動用磁石(永久磁石13)と、駆動用磁石(13)と協働して、レンズホルダ移動部(12、14、15、16)の対角方向をなす第2の方向(u方向)及び第3の方向(v方向)にレンズホルダ(11)を移動させる手ぶれ補正用の第2のコイル(23)と、レンズホルダ移動部(12、14、15、16)を第2の方向(u方向)及び第3の方向(v方向)に移動可能に支持する支持部(固定部10、サスペンションワイヤー30)と、を備える。
【0061】
レンズ駆動装置1によれば、平面視で正方形状の外形の四隅に駆動用磁石(永久磁石13)及び第2のコイル(23)を配置して、従来のレンズ駆動装置におけるデッドスペースを有効利用するので、駆動用磁石(13)及び第2のコイル(23)を配置するためのスペースを縮小することができ、従来以上に小型化を図ることができる。
【0062】
図8に示すように、第2のコイル111の外形、及び永久磁石の厚さをほぼ同じとした場合に、実施の形態に係るカメラモジュールMの外形(
図8A参照)が、従来のカメラモジュールの外形(
図8B参照)よりも小さくなることは明らかである。
本発明者等の試算によれば、従来、平面視で11.5mm×11.5mmであったレンズ駆動装置を、8.5mm×8.5mmまで、面積にして実に45%以上小型化することも可能である。
【0063】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0064】
例えば、位置検出用磁石17A、17Bとして、長手方向又は短手方向に着磁された一般的な棒磁石を用いることもできる。この場合は、着磁方向がu方向又はv方向に一致するように、位置検出用磁石17A、17Bは斜めに配置される。
また、実施の形態では、位置検出用磁石17A、17Bを、マグネットホルダ12の対向する2辺に配置しているが、隣り合う2辺に配置するようにしてもよい。この場合も、一方の位置検出用磁石17の着磁方向がu方向であり、他方の位置検出用磁石17の着磁方向がv方向となっていればよい。
また、位置検出用磁石17A、17Bを固定部10側に配置し、ホール素子24A、24Bを可動部10側に配置するようにしてもよい。
【0065】
また、
図9に示すように、可動部10のu方向の位置を検出するホール素子24Aを、u方向に対向して配置された2片の永久磁石13A、13Bのうちの一方(
図9では永久磁石13A)とZ方向に離間して対向配置し、可動部10のv方向の位置を検出するホール素子24Bを、v方向に対向して配置された2片の永久磁石13C、13Dのうちの一方(
図9では永久磁石13C)とZ方向に離間して対向配置するようにしてもよい。
【0066】
この場合、永久磁石13A、13Cが位置検出用として用いられるので、実施の形態のように、位置検出用磁石17A、17Bを配置する必要はなくなる。しかし、永久磁石13A、13Cとホール素子24A、24Bとの間に第2のコイル23A、23Cが配置されることになるため、第2のコイル23A、23Cに電流を流したときに発生する磁界もホール素子24A、24Bによって検出されてしまう。すなわち、第2のコイル23A、23Cに電流を流したときに発生する磁界の影響を受けて、ホール素子24A、24Bの検出精度が低下する虞がある。
【0067】
そこで、永久磁石13A、13Cを位置検出用として用いる場合は、
図9に示すように、第2のコイル23A、23Cとして、長手方向中央で分離された分割型のコイルを適用するのが好ましい。第2のコイル23A、23Cの分離部分の直下にホール素子24A、24Bを配置することにより、第2のコイル23A、23Cに電流を流したときに生じる磁界によって、ホール素子24A、24Bの検出精度が低下するのを防止することができる。
【0068】
さらには、XY平面における可動部10の位置を検出する位置検出部として、フォトインタラプタと反射板を組み合わせて構成される光学式のセンサーを適用することもできる。
【0069】
実施の形態では、スマートフォンに実装されるカメラモジュールM及びレンズ駆動装置1について説明したが、本発明に係るカメラモジュール及びレンズ駆動装置は、ノート型パソコン、タブレット形パソコン、携帯型ゲーム機等の携帯端末や、Webカメラ、車載用カメラ等のカメラ装置に適用することができる。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。