(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)運転支援システムの構成:
(1−1)ナビゲーション端末の構成:
(1−2)運転支援システムの構成:
(2)統計情報の状態:
(3)運転支援処理:
(3−1)統計処理:
(3−2)取得条件送信処理:
(3−3)案内情報送信処理:
(4)案内処理:
(5)他の実施形態:
【0011】
(1)運転支援システムの構成:
図1は、本実施形態にかかる運転支援システムの構成を示すブロック図であり、本実施形態における運転支援システム10は車両Cに備えられたナビゲーション端末100と協働する。
【0012】
(1−1)ナビゲーション端末の構成:
ナビゲーション端末100は道路を走行する複数の車両Cに搭載されており、当該ナビゲーション端末100はCPU,RAM,ROM等を備える制御部200と記録媒体300とを備え、当該記録媒体300やROMに記憶されたプログラムを制御部200で実行することができる。本実施形態において制御部200は、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム210を実行可能である。
【0013】
さらに、車両Cは、通信部220とGPS受信部410と車速センサ420とジャイロセンサ430とブレーキセンサ440とユーザI/F部450とを備えている。通信部220は、無線通信を行うための回路にて構成され、制御部200は通信部220を制御して運転支援システム10と通信を行うことができる。GPS受信部410は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両Cの現在地を算出するための信
号を出力する。制御部200は、この信号を取得して車両Cの現在地を取得する。車速センサ420は、車両Cが備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部200は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ430は、車両Cの水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両Cの向きに対応した信号を出力する。制御部200は、この信号を取得して車両Cの進行方向を取得する。車速センサ420およびジャイロセンサ430等は、車両Cの走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両Cの出発地と走行軌跡とに基づいて現在地が特定され、当該出発地と走行軌跡とに基づいて特定された車両Cの現在地がGPS受信部410の出力信号に基づいて補正される。
【0014】
記録媒体300には、地図情報300aが記録されている。当該地図情報300aには車両Cが走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、走行予定経路の目的地となり得る施設を示す施設データ等が含まれている。なお、本実施形態において、リンクデータには、リンクに相当する道路区間上での車両Cの進行方向を示す情報が対応づけられている。制御部200は、地図情報300aが示すノードデータやリンクデータに基づいてリンクに相当する道路区間を特定し、各道路区間上での車両Cの現在地を特定することができる。また、制御部200は、地図情報300aが示すリンクデータに基づいて道路での進行方向を特定することが可能である。
【0015】
ブレーキセンサ440は、車両Cにおいてブレーキペダルが操作された量を検出するセンサであり、制御部200は検出された量を示す情報を取得し、単位時間あたりのブレーキペダルの操作量を特定し、ブレーキ操作が急ブレーキに該当するか否かを判定することができる。
【0016】
ユーザI/F部450は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる入力部を兼ねた表示部やスピーカー等の出力音の出力部を備えている。制御部200は、ナビゲーションプログラム210の機能により、ユーザI/F部450に対して車両Cの現在地および現在地周辺の地図を表示させることができる。すなわち、制御部200は、車両Cの現在地を取得し、地図情報300aに基づいて現在地周辺の地図を示す画像を生成してユーザI/F部450に対して出力する。この結果、ユーザI/F部450の表示部は、現在地を含む地図を表示する。
【0017】
さらに、本実施形態におけるナビゲーションプログラム210は、車両Cの走行過程において当該車両Cの走行履歴を取得する機能と、走行履歴に基づいて特定された案内事象を案内地点において案内する機能とを制御部200に実現させることができる。すなわち、制御部200は、ナビゲーションプログラム210の処理により、走行過程において車両Cで行われた操作や現在地の変化等に基づいて予め決められた案内事象が発生したことおよび案内事象が発生しなかったことを検出し、検出結果を示す走行履歴を走行履歴情報300bとして記録媒体300に記録することができる。
【0018】
なお、案内事象は、車両Cの走行時に当該案内事象が再発しないように車両Cの運転者を促す対象であり、ここでは、予め決められた案内事象が急ブレーキと道路の逆走である例を想定する。すなわち、制御部200は、車両Cの走行過程において、ブレーキセンサ440が検出したブレーキペダルの操作量に基づいて急ブレーキが発生したことを特定し、当該急ブレーキが発生した場合における車両Cの現在地から急ブレーキが発生した地点を特定可能である。制御部200は、これらの急ブレーキの発生状況を発生した地点とともに示す検出情報を走行履歴情報300bに含めた状態で記録媒体300に記録する。また、制御部200は、急ブレーキを案内事象とした案内地点や案内地点の候補(以下、案内地点候補と呼ぶ)、案内事象の案内を停止する候補(以下、停止候補と呼ぶ)が特定された後(車両Cに案内情報が送信された後)、案内地点や案内地点候補、停止候補において急ブレーキが発生しなかったことを特定可能であり、急ブレーキが発生しなかった場合、案内地点や案内地点候補、停止候補において急ブレーキが発生しなかったことを示す非検出情報を走行履歴情報300bに含めた状態で記録媒体300に記録する。なお、本実施形態における検出情報および非検出情報は、案内事象が検出されたか否かを示す事象情報である。
【0019】
さらに、制御部200は、地図情報300aが示す道路区間上の進行方向と車両Cの現在地の推移から、車両Cが道路区間上を逆走したか否かを検出することができる。そして、制御部200は、逆走が発生した場合、逆走が発生したことと逆走が発生した地点とを示す検出情報を走行履歴情報300bに含めた状態で記録媒体300に記録する。また、制御部200は、逆走を案内事象とした案内地点や案内地点候補、停止候補が特定された後において、案内地点や案内地点候補、停止候補で逆走が発生しなかったことを特定可能であり、逆走が発生しなかった場合、案内地点や案内地点候補、停止候補において逆走が発生しなかったことを示す非検出情報を走行履歴情報300bに含めた状態で記録媒体300に記録する。
【0020】
本実施形態において、制御部200は、通信部220を介して走行履歴情報300bを運転支援システム10に対して送信することができる。ただし、本実施形態においては、案内事象を案内するか否の設定に応じて送信する走行履歴情報300bを選択する構成が採用されている。すなわち、制御部200は、車両Cにおいて案内事象を案内しない設定がなされている場合に、検出情報または非検出情報を含む走行履歴情報300bを送信する。一方、制御部200は、車両Cにおいて案内事象を案内する設定がなされている場合に、検出情報または非検出情報を含む走行履歴情報300bを送信しない。この構成によれば、事象情報を運転支援システム10に送信するためのリソース(車両Cと通信を行う際の通信帯域や車両Cでの検出処理を行うための制御部)を簡易化することができる。運転支援システム10においては、複数の車両Cから送信された走行履歴情報300bに基づいて案内事象と案内地点とを特定し、案内事象と案内地点とを示す情報を車両Cに送信する。制御部200は、当該案内事象と案内地点とを示す情報を取得し、案内情報300cとして記録媒体300に記録する。
【0021】
制御部200は、ナビゲーションプログラム210の処理により、案内情報300cに基づいて案内地点において案内事象を案内する。本実施形態においては、当該案内事象を案内する設定と案内しない設定とを選択可能である。すなわち、利用者は、予めユーザI/F部450の入力部を操作して、案内事象を案内する設定と案内しない設定とのいずれかを選択する。当該設定がなされると制御部200は、記録媒体300に設定内容を記録する。そして、案内事象を案内する設定がなされている場合、制御部200は、ナビゲーションプログラム210の処理により、案内情報300cが示す案内地点に車両Cが接近したか否かを判定し、接近した場合に案内事象を画像および音声によって示すための制御信号をユーザI/F部450に対して出力する。この結果、ユーザI/F部450から案内事象が案内される。案内事象を案内しない設定がなされている場合、制御部200は、案内事象を案内しない。なお、当該設定は、案内地点毎に行われても良いし、全ての案内地点を対象に行われてもよい。
【0022】
(1−2)運転支援システムの構成:
運転支援システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、制御部20は当該記録媒体30やROMに記録されたプログラムを実行することができる。さらに、運転支援システム10は通信部22を備えている。通信部22は、無線通信を行うための回路にて構成され、制御部20は通信部22を制御して車両Cと通信を行うことができる。
【0023】
本実施形態において制御部20は、記録媒体30に記録された運転支援プログラム21を実行可能であり、制御部20は、当該運転支援プログラム21の処理により、走行履歴情報に基づいて案内事象および案内地点を特定し、当該案内事象および案内地点を示す案内情報を車両Cに送信する。このために、運転支援プログラム21は、事象情報取得部21aと案内地点取得部21bと記録情報管理部21cと案内情報送信部21dとを備えている。
【0024】
事象情報取得部21aは、車両Cから走行履歴情報300bを取得し、走行履歴情報30bとして記録媒体30に記録する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、車両Cから走行履歴情報300bを取得することで、案内地点において前記案内事象の検出処理を行った車両Cから検出情報または非検出情報を取得する。なお、案内事象を案内
する設定がされている車両Cからは走行履歴情報300bが送信されず、案内事象を案内
しない設定がされている車両Cからは走行履歴情報300bが送信される。従って、制御部20は、案内地点において案内事象の検出処理を行った車両Cであって案内しない設定がなされている車両Cから事象情報である検出情報または非検出情報を取得し、案内地点において案内事象の検出処理を行った車両Cであって案内をする設定がなされている車両Cからは事象情報である検出情報または非検出情報を取得しない構成となっている。なお、本実施形態において、制御部20は、後述する統計情報の状態に応じて車両Cから送信される走行履歴に含まれる情報の取得条件を規定するが、詳細は後述する。
【0025】
案内地点取得部21bは、記録媒体30を参照して案内対象となる案内事象を案内する案内地点を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、後述の記録情報管理部21cの処理により、走行履歴情報30bに含まれる検出情報や非検出情報に基づいて統計情報30aを生成し、案内地点が特定された場合においては当該統計情報30aに基づいて案内地点および案内事象を特定可能に構成される。そこで、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、統計情報30aを参照し、案内地点を取得する。
【0026】
記録情報管理部21cは、案内地点候補を特定する機能、案内地点を特定する機能および案内地点における案内事象の案内を停止する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。なお、案内地点候補を特定する機能および案内地点を特定する機能については、後述のフローチャートともに詳述する。
【0027】
案内地点における案内事象の案内を停止する機能は、事象情報に基づく判定によって実現される。すなわち、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、走行履歴情報30bとして取得された検出情報および
非検出情報に基づいて、案内地点における案内事象の案内を停止するか否かを判定する。具体的には、本実施形態において制御部20は、非検出情報の取得率、すなわち、非検出情報の取得数/(非検出情報の取得数+検出情報の取得数)が予め決められた停止比率
以上であるか否かを判定し、非検出情報の取得率が停止比率
以上である場合に、案内事象の案内を停止すると判定する。
【0028】
そして、制御部20は、案内事象の案内を停止すると判定された案内地点を統計情報30aから削除することにより、当該削除された地点が案内地点として車両Cに送信されないように構成する。すなわち、制御部20は、案内地点において案内事象の案内を停止するように記録媒体30に記録された情報を修正する。
【0029】
案内情報送信部21dは、記録媒体30から案内事象の案内が停止されていない案内地点および案内事象を示す情報を取得して車両Cに対して送信する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、車両Cが案内地点を走行する際に、当該案内地点における案内事象が案内されるように、案内地点および案内事象を示す案内情報を取得し、通信部22を介して車両Cに対して送信する。そして、本実施形態において、案内事象の案内が停止された案内地点は、統計情報30aから削除されるため、制御部20は、案内事象の案内が停止されていない案内地点および案内事象を示す情報を取得して車両Cに送信することとなる。
【0030】
以上のように、制御部20は、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cから検出情報や非検出情報を取得し、これらの情報に基づいて案内地点における案内事象の案内を停止するか否かを判定する。すなわち、案内事象の案内を停止するか否かを判定する基になる検出情報や非検出情報は、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cから取得される。従って、案内事象が検出されなかった場合(非検出情報が取得されなかった場合)、車両Cの運転者が案内事象の案内に応じて注意したことに起因して案内事象が検出されなかったのではなく、案内事象が解消していないことに起因して案内事象が検出されなかった可能性が高い。このため、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cから取得された情報に基づいて、案内地点における案内事象の案内を停止するか否かを判定し、案内事象の案内が停止されていない案内地点および案内事象を示す情報を取得して車両Cに対して送信すれば、車両Cにおいて、案内事象の原因が解消されていない状態において案内事象が案内されない状況が発生する可能性を抑制することができる。
【0031】
(2)統計情報の状態:
次に、統計情報30aの状態について
図2A〜
図2Dを参照しながら詳細に説明する。本実施形態において、統計情報30aは、検出情報および非検出情報を蓄積したデータベースであり、地点と案内事象の組み合わせ毎に4個の状態(第1状態〜第4状態)が定義され、状態毎に検出情報と非検出情報との少なくとも一方が蓄積される。例えば、ある地点Pについてある案内事象Eが検出された場合、地点Pと案内事象Eという組み合わせにおいて第1状態、第2状態、第3状態、第4状態で情報が蓄積され得る状態となる。そして、第1状態において非検出情報が取得された場合、当該非検出情報に第1状態であることが対応づけられ、統計情報30aとして記録媒体に記録される。なお、地点は、案内地点、案内地点候補、停止候補のいずれかと定義され、統計情報30aには、地点が、案内地点、案内地点候補、停止候補のいずれであるのかを示す情報が対応づけられる。例えば、ある地点が案内地点であることが特定された場合、統計情報30aには地点が案内地点であることを示す情報が対応づけられる。
【0032】
現在の状態が第1状態〜第4状態のいずれに該当するかは、案内地点、案内地点候補、停止候補が特定されているか否かによって決定され、各状態において車両Cにおける案内事象を案内するか否かの設定に応じて非検出情報および検出情報を取得すべきか否か決定される。
図2A〜
図2Dは、太い道路R
1と細い道路R
2が交差する交差点Iに関して統計情報30aを生成するために走行履歴として検出情報および非検出情報が取得されるか否かを示している。また、
図2Aは第1状態、
図2Bは第2状態、
図2Cは第3状態、
図2Dは第4状態を示している。なお、本実施形態においては、後述するように統計情報30aの状態および案内事象に応じて取得割合が調整され得るが、ここでは簡単のため、取得割合については省略して説明する。
【0033】
図2Aに示す第1状態は、交差点Iが案内地点として特定された状態であり、交差点Iが案内地点Piであることが
図2Aに示されている。当該第1状態においては交差点Iが案内地点として特定済であり、この状態は、何らかの原因により案内事象が発生することが統計的に特定されて案内地点が特定された状態である。そして、この状態において当該原因が解消すれば案内事象が発生しなくなり、案内事象が発生しない状態においては当該案内地点において案内事象の案内を停止すべきである。そこで、第1状態においては、当該案内地点が案内事象の案内を停止する停止候補であるか否かを判定するために、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cから非検出情報が取得され、取得数が所定の停止閾値以上である場合に、案内地点が案内事象の案内を停止する停止候補に設定される。
【0034】
なお、第1状態においては、非検出情報の取得数に基づいて、案内地点が案内事象の案内を停止する停止候補であるか否かを判定するため、当該判定のために検出情報を参照する必要はない。従って、第1状態においては、当該判定のために車両Cから検出情報を取得しないように構成されている。なお、
図2Aにおいては、車両Cの設定が案内事象を「案内しない」設定であり、取得対象となる情報が非検出情報であることが表に示されている。
【0035】
図2Bに示す第2状態は、交差点Iが案内事象の案内の停止候補として特定された状態であり、交差点Iが停止候補であることがPsという符号によって
図2Bに示されている。第2状態においては、停止候補において案内事象の案内を停止するか否かを判定するために、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cから非検出情報および検出情報が取得され、非検出情報の取得率が所定の停止比率以上である場合に、停止候補となった案内地点が削除される。なお、
図2Bにおいては、車両Cの設定が案内事象を「案内しない」設定であり、取得対象となる情報が非検出情報および検出情報であることが表に示されている。
【0036】
図2Cに示す第3状態は、案内地点の候補が特定されていない状態である。当該第3状態においては、案内地点の候補を特定するために、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cおよび案内事象を案内する設定がなされている車両Cから検出情報が取得される。そして、検出情報の取得数が所定の登録閾値以上となった地点が案内地点の候補として特定される。なお、
図2Cにおいては、以上のように車両Cの設定が案内事象を「案内する」設定および「案内しない」設定であり、取得対象となる情報が検出情報であることが表に示されている。
【0037】
図2Dに示す第4状態は、案内地点の候補が特定された状態であり、交差点Iが案内地点の候補であることがPcという符号によって
図2Dに示されている。当該第4状態においては、案内地点の候補が案内地点であるか否かを特定するために、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cおよび案内事象を案内する設定がなされている車両Cから検出情報および
非検出情報が取得される。そして、検出情報の取得率が所定の登録比率以上となった地点が案内地点として特定される。なお、
図2Dにおいては、以上のように車両Cの設定が案内事象を「案内する」設定および「案内しない」設定であり、取得対象となる情報が検出情報および非検出情報であることが表に示されている。
【0038】
なお、案内地点や停止候補、案内地点候補は特定の地点であるため、第1状態、第2状態および第4状態においては、特定の地点についての検出情報や非検出情報を取得する際の取得条件を規定することになる。一方、第3状態は、地点が特定される前の状態であるため、地点を特定することなく(任意の地点を取得対象として)検出情報を取得する際の取得条件を規定することになる。
図2A、
図2B、
図2Dにおいては地点に依存して検出情報および非検出情報が取得されることが、取得地点が交差点Iであるとして示されており、
図2Cにおいては地点に依存することなく検出情報が取得されることが、取得地点が全地点であるとして示されている。
【0039】
(3)運転支援処理:
次に、運転支援プログラム21が実行する運転支援処理を詳細に説明する。
図3は車両Cに送信する案内地点を特定するための統計処理を示し、
図4Aは走行履歴の取得条件を車両Cに対して送信する取得条件送信処理を示し、
図4Bは特定された案内地点を車両Cに送信する案内情報送信処理を示している。これらの処理は、運転支援プログラム21によって制御部20が実行する運転支援処理である。
【0040】
(3−1)統計処理:
図3に示す統計処理は、車両Cから走行履歴情報が送信された場合に実行される。当該統計処理において、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、走行履歴情報を取得し(ステップS100)、記録媒体30に走行履歴情報30bとして記録する。また、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、統計情報を検索する(ステップS105)。そして、制御部20は、案内地点取得部21bの処理により、制御部20は、ステップS100にて取得した走行履歴情報30bに含まれる地点が既存の案内地点または停止候補と一致するか否かを判定する(ステップS110)。
【0041】
すなわち、走行履歴情報30bには検出情報または非検出情報が含まれており、検出情報や非検出情報には案内事象が検出された地点または検出されなかった地点が対応づけられている(詳細は後述)。また、統計情報30aは、地点(案内地点、案内地点候補、停止候補)と案内事象の組み合わせ毎に定義されている。そこで、制御部20は、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点または停止候補と一致するか否かを判定する。
【0042】
ステップS110において、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点または停止候補と一致すると判定された場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、非検出情報または検出情報を状態毎の統計情報に追加する(ステップS115)。すなわち、ステップS110において、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点と一致すると判定された場合、統計情報30aの状態は、
図2Aに示す第1状態である。従って、走行履歴情報30bには、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cにて取得された非検出情報が含まれている。そこで、制御部20は、走行履歴情報30bが示す地点と案内地点とが一致すると判定された統計情報30aに対して走行履歴情報30bに含まれる非検出情報を追加する。
【0043】
一方、ステップS110において、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる停止候補と一致すると判定された場合、統計情報30aの状態は、
図2Bに示す第2状態である。従って、走行履歴情報30bには案内事象を案内しない設定がなされている車両Cにて取得された非検出情報または検出情報が含まれている。そこで、制御部20は、走行履歴情報30bが示す地点と停止候補とが一致すると判定された統計情報30aに対して走行履歴情報30bに含まれる非検出情報または検出情報を追加する。
【0044】
次に、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、走行履歴情報30bに含まれる地点が停止候補であるか否かを判定する(ステップS120)。ステップS120において、走行履歴情報30bに含まれる地点が停止候補であると判定された場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、第2状態での非検出情報の取得率が停止比率以上であるか否かを判定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、第2状態である停止候補の統計情報30aを参照し、(非検出情報の取得数)/(非検出情報の取得数+検出情報の取得数)によって非検出情報の取得率を取得し、停止比率と比較する。
【0045】
そして、ステップS125において、第2状態での非検出情報の取得率が停止比率以上であると判定された場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、案内地点における案内事象の案内を停止する(ステップS130)。ステップS125において、第2状態での非検出情報の取得率が停止比率以上であると判定されない場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、ステップS130をスキップする。すなわち、本実施形態においては、案内事象の案内を停止すべき条件が第2状態での非検出情報の取得率で規定されている。停止比率は、案内事象の案内を停止すべき取得率として予め決められていれば良く、取得率が停止比率以上である場合に案内事象の案内原因が解消しているとみなすことができるように当該停止比率が予め規定される。
【0046】
一方、ステップS120において、走行履歴情報30bに含まれる地点が停止候補であると判定されない場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、第1状態での非検出情報の取得数が停止閾値以上であるか否かを判定する(ステップS135)。すなわち、走行履歴情報30bに含まれる地点が停止候補であると判定されない場合、ステップS100で取得された走行履歴情報30bに含まれる地点は案内地点であり、現在の統計情報30aの状態は第1状態である。そこで、制御部20は、第1状態である案内地点の統計情報30aを参照して非検出情報の取得数を特定し、停止閾値と比較する。
【0047】
そして、ステップS135において、第1状態での非検出情報の取得数が停止閾値以上であると判定された場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、案内地点を停止候補に設定する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、当該案内地点の統計情報30aに対して停止候補であることを示す情報を対応づける。ステップS135において、第1状態での非検出情報の取得数が停止閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、ステップS140をスキップする。すなわち、本実施形態においては、案内地点を停止候補とすべき条件が第1状態での非検出情報の取得数で規定されている。停止閾値は、案内地点を停止候補とすべき取得数として予め決められていれば良く、取得数が停止閾値以上である場合に案内事象の案内原因が解消しているとの推定が所定の精度で成立するように当該停止閾値が予め規定される。なお、本実施形態において、第1状態で検出情報は取得されないため、取得率ではなく取得数によって案内地点を停止候補に設定すべきか否かを判定する。
【0048】
ステップS110において、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点または停止候補と一致すると判定されない場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点候補と一致するか否かを判定する(ステップS145)。
【0049】
ステップS145において、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点候補と一致すると判定された場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、非検出情報または検出情報を第4状態の統計情報に追加する(ステップS150)。すなわち、ステップS145において、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点候補と一致すると判定された場合、統計情報30aの状態は、
図2Dに示す第4状態である。従って、走行履歴情報30bには、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cまたは案内事象を案内する設定がなされている車両Cにて取得された非検出情報または検出情報が含まれている。そこで、制御部20は、走行履歴情報30bが示す地点と案内地点候補とが一致すると判定された統計情報30aに対して走行履歴情報30bに含まれる非検出情報または検出情報を追加する。
【0050】
次に制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、第4状態での検出情報の取得率が登録比率以上であるか否かを判定する(ステップS155)。すなわち、制御部20は、第4状態である案内地点候補の統計情報30aを参照し、(検出情報の取得数)/(非検出情報の取得数+検出情報の取得数)によって検出情報の取得率を取得し、登録比率と比較する。
【0051】
そして、ステップS155において、第4状態での検出情報の取得率が登録比率以上であると判定された場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、案内地点候補を案内地点に設定する(ステップS160)。すなわち、当該案内地点候補であることが対応づけられた統計情報30aに対して案内地点であることを示す情報を対応づける。ステップS155において、第4状態での検出情報の取得率が登録比率以上であると判定されない場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、ステップS160をスキップする。すなわち、本実施形態においては、案内地点候補を案内地点とすべき条件が第4状態での検出情報の取得率で規定されている。登録比率は、案内地点候補を案内地点とすべき取得率として予め決められていれば良く、取得率が登録比率以上である場合に案内事象の案内原因が発生しているとみなすことができるように当該登録比率が予め規定される。
【0052】
ステップS145において、走行履歴情報30bに含まれる地点が、統計情報30aに含まれる案内地点候補と一致すると判定されない場合、すなわち、走行履歴情報30bに含まれる地点が、案内地点、停止候補、案内地点候補のいずれでもない場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、検出情報を第3状態の統計情報に追加する(ステップS165)。すなわち、走行履歴情報30bに含まれる地点が案内地点、停止候補、案内地点候補のいずれでもない場合、走行履歴情報30bは任意の地点で検出された検出情報を含み、統計情報30aの状態は、
図2Cに示す第3状態である。従って、走行履歴情報30bには、案内事象を案内しない設定がなされている車両Cまたは案内事象を案内する設定がなされている車両Cにて取得された検出情報が含まれている。そこで、制御部20は、走行履歴情報30bに含まれている検出情報を第3状態の統計情報に追加する。
【0053】
次に制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、第3状態での検出情報の取得数が登録閾値以上であるか否かを判定する(ステップS170)。すなわち、制御部20は、第3状態である案内地点候補の統計情報30aを参照して検出情報の取得数を特定し、登録閾値と比較する。そして、ステップS170において、第3状態での検出情報の取得数が登録閾値以上であると判定された場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、走行履歴情報30bの検出情報に対応づけられた案内事象の検出地点を案内地点候補に設定する(ステップS175)。すなわち、当該検出地点を案内地点候補として示す情報が対応づけられた統計情報30aを生成する。ステップS170において、第3状態での検出情報の取得数が登録閾値以上であると判定されない場合、制御部20は、記録情報管理部21cの処理により、ステップS175をスキップする。すなわち、本実施形態においては、案内事象の検出地点を案内地点候補とすべき条件が第3状態での検出情報の取得数で規定されている。登録閾値は、検出地点を案内地点候補とすべき取得数として予め決められていれば良く、取得数が登録閾値以上である場合に案内事象の案内原因が発生しているとの推定が所定の精度で成立するように当該登録閾値が予め規定される。なお、本実施形態において、第3状態で非検出情報は取得されないため、取得率ではなく取得数によって検出地点を案内地点候補に設定すべきか否かを判定する。
【0054】
(3−2)取得条件送信処理:
次に、取得条件送信処理を詳細に説明する。
図4Aに示す取得条件送信処理は、車両Cが運転支援システム10に対して取得条件の取得要求を行った場合に実行される。当該取得条件送信処理において、制御部20は、通信部22を介して取得条件の取得要求を受信する(ステップS200)。すなわち、車両Cは、取得条件の取得要求を送信する際に、車両Cの現在地を示す情報を付加して当該取得要求を送信する。そこで、制御部20は、当該取得要求を受信して車両Cの現在地を特定する。
【0055】
次に、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、車両Cの現在地の周辺の案内地点または案内地点候補または停止候補を検索する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、ステップS200にて取得要求とともに特定された車両Cの現在地をキーにして統計情報30aを検索し、統計情報30aに対して車両Cの現在地から所定の距離以内に存在する案内地点または案内地点候補または停止候補を特定する処理を行う。
【0056】
次に制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、車両Cの現在地の周辺に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在するか否かを判定する(ステップS210)。ステップS210において、車両Cの現在地の周辺に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在すると判定された場合、その中の1地点を取得条件決定のための処理対象として取得条件を決定する処理をステップS212以降にて実行する。
【0057】
ステップS212において、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、処理対象の地点が案内地点候補または停止候補であるか否かを判定し(ステップS212)、ステップS212において、処理対象の地点が案内地点候補または停止候補であると判定された場合、ステップS215以降を実行する。一方、ステップS212において、処理対象の地点が案内地点候補または停止候補であると判定されない場合、処理対象の地点は案内地点であり、ステップS215〜S225をスキップし、ステップS230以降を実行する。
【0058】
ステップS215において、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、統計情報の状態に応じた検出情報の状態乗数Aを取得する。本実施形態において、状態乗数Aは、統計情報30aの状態に応じて予め決められた定数であり、検出情報や非検出情報の取得割合を統計情報30aの状態に依存するように設定するための値である。すなわち、本実施形態においては、案内事象を検出した検出車両Cの全てから検出情報を取得する場合の取得割合を1、当該検出車両Cから検出情報を取得しない場合の取得割合を0とし、0〜1の範囲で取得割合を調整可能である。また、案内事象を検出しなかった非検出車両Cの全てから非検出情報を取得する場合の取得割合を1、当該非検出車両Cから非検出情報を取得しない場合の取得割合を0とし、0〜1の範囲で取得割合を調整可能である。
【0059】
状態乗数Aは、1/Aの値によって取得割合を決定する値であり、本実施形態においては、当該取得割合が統計情報30aの状態毎に、例えば、第2状態と第4状態とについてA=2などとして決められている。そこで、制御部20は、処理対象の地点が停止候補である場合には第2状態に対応づけられた取得割合を取得し、処理対象の地点が案内地点候補である場合には第4状態に対応づけられた取得割合を取得する。
【0060】
次に、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、案内事象に応じた事象乗数Bを取得する(ステップS220)。事象乗数は、案内事象毎に予め決められた値であり、案内事象毎に予め決められた優先順位が高いほど小さい値となるように設定された1より大きい数値である。本実施形態において、案内事象としての逆走と急ブレーキとのそれぞれに1、5が対応づけられており、逆走の方が急ブレーキよりも優先順位が高くなっている。
【0061】
次に、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、処理対象の地点の検出情報の取得割合を1/(AB)と設定する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、処理対象の地点を示す情報に取得割合を示す情報を対応づけて、当該処理対象の地点についての取得条件を示す情報を案内事象毎に生成する。本実施形態においては、逆走についての事象乗数Bが1、急ブレーキについての事象乗数Bが5であるため、状態乗数Aが2であれば、逆走についての取得条件が1/2、急ブレーキについての取得条件が1/10となる。
【0062】
ステップS230〜S240においては、非検出情報を対象としてステップS215〜S225の処理とほぼ同様の処理を実行する。ただし、ステップS230〜S240の処理は、処理対象の地点が案内地点である場合と、案内地点候補または停止候補である場合とのいずれにおいても実行されるため、ステップS230においては、統計情報30aの状態に応じて非検出情報の状態乗数Aを取得する。すなわち、処理対象の地点が案内地点である場合、統計情報30aは第1状態、処理対象の地点が案内地点候補である場合、統計情報30aは第2状態、処理対象の地点が停止候補である場合、統計情報30aは第4状態であり、制御部20は、それぞれの状態に応じた状態乗数Aを取得する。
【0063】
以上のように、本実施形態においては、状態乗数Aの逆数と事象乗数Bの逆数との積によって取得割合が決定される。従って、統計情報30aの状態(第1状態〜第4状態)に取得割合が依存するとともに、案内事象毎に予め決められた優先順位が高いほど高い割合で検出車両Cから検出情報を取得するように設定される。すなわち、案内事象が複数個存在する場合、案内すべき重要度が案内事象間で異なり得る。従って、本実施形態においては、重要度に応じた優先順位が予め決められ、優先順位が高いほど高い割合で検出車両Cから検出情報が取得される。また、案内事象毎に予め決められた優先順位が高いほど高い割合で情報が取得される。
【0064】
ステップS240が実行されると、それまで処理対象の地点であった地点を対象から除外してステップS210以降の処理を実行する。すなわち、ステップS210が再度実行される場合、車両Cの現在地の周辺の案内地点または案内地点候補または停止候補であって、処理対象の地点とされていない地点が存在すれば、ステップS210において、車両Cの現在地の周辺に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在すると判定される。
【0065】
ステップS210において、車両Cの現在地の周辺に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在すると判定されない場合、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、案内事象に応じた事象乗数Bを取得する(ステップS245)。当該ステップS245は、ステップS220,S235と同様である。次に、制御部20は、事象情報取得部21aにより、任意地点を対象とした検出情報の取得割合を1/Bと設定する(ステップS250)。すなわち、制御部20は、案内地点、案内地点候補、停止候補以外の任意地点において、案内事象が検出された場合において検出情報を車両Cから取得する割合を1/Bとし、任意地点を示す情報に取得割合を示す情報を対応づけて、当該任意地点についての取得条件を示す情報を案内事象毎に生成する。本実施形態においては、逆走についての事象乗数Bが1、急ブレーキについての事象乗数Bが5であるため、逆走についての取得条件が1/1、急ブレーキについての取得条件が1/5となる。
【0066】
次に、制御部20は、事象情報取得部21aの処理により、取得条件を車両Cに対して送信する(ステップS255)。すなわち、制御部20は、案内地点または案内地点候補または停止候補の位置を示す情報にステップS225,S240にて設定された取得割合を示す情報を対応付ける。また、制御部20は、任意地点を示す情報にステップS250にて設定された取得割合を示す情報を対応づける。そして、制御部20は、得られた情報を取得条件として車両Cに送信する。車両Cにおいては、当該取得条件に応じて検出情報や非検出情報を含む走行履歴情報300bを運転支援システム10に送信することになる(詳細は後述)。
【0067】
(3−3)案内情報送信処理:
次に、案内情報送信処理を詳細に説明する。
図4Bに示す案内情報送信処理は、車両Cが運転支援システム10に対して案内地点の取得要求を行った場合に実行される。当該案内情報送信処理は、案内情報送信部21dによって制御部20が実行する。当該案内情報送信処理において、制御部20は、通信部22を介して案内地点の取得要求を受信する(ステップS
300)。すなわち、車両Cは、案内地点の取得要求を送信する際に、車両Cの現在地を示す情報を付加して当該取得要求を送信する。そこで、制御部20は、当該取得要求を受信して車両Cの現在地を特定する。
【0068】
次に、制御部20は、車両Cの現在地の周辺の案内地点または案内地点候補または停止候補を検索する(ステップS305)。すなわち、制御部20は、ステップS300にて取得要求とともに特定された車両Cの現在地をキーにして統計情報30aを検索し、統計情報30aに対して車両Cの現在地から所定の距離以内に存在する案内地点または案内地点候補または停止候補を特定する処理を行う。
【0069】
次に制御部20は、車両Cの現在地の周辺に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在するか否かを判定する(ステップS310)。ステップS310において、車両Cの現在地の周辺に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在すると判定されない場合、制御部20は、案内情報送信処理を終了する。一方、ステップS310において、車両Cの現在地の周辺に案内地点または
案内地点候補または停止候補が存在すると判定された場合、制御部20は、地点および事象を示す情報を生成する(ステップS315)。すなわち、制御部20は、車両Cの現在地から所定の距離以内に存在する案内地点または案内地点候補または停止候補が対応づけられている情報を統計情報30aから抽出し、当該地点の位置を示す情報に案内事象を示す情報を対応づけた情報を生成する。なお、地点が案内地点または停止候補である場合、生成される情報は案内地点および案内事象を示す案内情報となる。
【0070】
そして、制御部20は、通信部22を介して、ステップS315にて生成された情報を車両Cに対して送信する(ステップS320)。車両Cが当該情報を受信すると、当該情報に示された案内地点が前方に存在する場合に、車両Cにおいて案内事象が案内される。この結果、車両Cの運転者が案内事象を再発させる可能性を抑制することができる。
【0071】
(4)案内処理:
次に、案内処理を詳細に説明する。
図5は案内処理を示すフローチャートであり、当該案内処理は、車両Cの制御部200がナビゲーションプログラム210の処理により、所定の期間(例えば、100ms)毎に実行する。
【0072】
案内処理において、制御部200は、まず、現在地を取得する(ステップS400)。すなわち、制御部200は、GPS受信部410、車速センサ420、ジャイロセンサ430の出力信号に基づいて車両Cの現在地を取得する。次に、制御部200は、案内地点の取得要求を送信する(ステップS405)。すなわち、制御部200は、通信部220を介して、車両Cの現在地を示す情報とともに案内地点の取得要求を送信する。
【0073】
案内地点の取得要求が送信されると、運転支援システム10の制御部20は、
図4Bに示す案内情報送信処理によって地点および事象を示す情報を送信する。車両Cの制御部200は、通信部220を介して当該地点および事象を示す情報を受信し、記録媒体300に案内情報300cとして記録する。制御部200は、案内情報300cに基づいて、車両Cの前方の所定距離以内に案内地点または停止候補が存在するか否かを判定する(ステップS410)。すなわち、制御部200は、地図情報300aを参照し、ステップS400にて取得した現在地の前方に存在する道路上において、車両Cの前方の所定距離以内に、案内情報300cに示されている案内地点または停止候補が存在するか否かを判定する。
【0074】
ステップS410において、車両Cの前方の所定距離以内に案内地点または停止候補が存在すると判定された場合、
制御部200は、案内するに設定されているか否かを判定する(ステップS412)。すなわち、制御部200は、利用者が予め行った設定が、案内事象を案内する設定であるか否かを判定する。ステップS412において、案内事象を案内する設定がされていると判定された場合、制御部200は、案内事象を案内する(ステップS415)。すなわち、案内情報300cに示されている案内地点または停止候補の案内事象を案内するための制御信号をユーザI/F部450に対して出力する。この結果、ユーザI/F部450から案内事象が案内される。一方、ステップS410において、車両Cの前方の所定距離以内に案内地点または停止候補が存在すると判定されない場合、
または、ステップS412において、案内するに設定されていると判定されない場合、制御部200は、ステップS415をスキップする。
【0075】
次に、制御部200は、取得条件の取得要求を送信する(ステップS420)。すなわち、制御部200は、通信部220を介して、車両Cの現在地を示す情報とともに取得条件の取得要求を送信する。取得条件の取得要求が送信されると、運転支援システム10の制御部20は、
図4Aに示す取得条件送信処理によって取得条件を送信する。車両Cの制御部200は、通信部220を介して当該取得条件を受信し、当該取得条件に対応づけられた案内地点、案内地点候補、停止候補を特定する。
【0076】
次に、制御部200は、車両Cの前方の所定距離以内にこれらの案内地点または案内地点候補または停止候補が存在するか否かを判定する(ステップS425)。ステップS425において、車両Cの前方の所定距離以内に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在すると判定された場合、制御部200は、車両Cがこれらの案内地点または案内地点候補または停止候補を通過したと判定されるまで待機する(ステップS430)。
【0077】
ステップS4
30において、車両Cがこれらの案内地点または案内地点候補または停止候補を通過したと判定された場合、制御部200は、これらの案内地点または案内地点候補または停止候補において、案内事象を検出したか否かを判定する(ステップS435)。すなわち、制御部200は、車両Cが案内地点または案内地点候補または停止候補から既定距離の範囲内に存在する状態におけるブレーキセンサ440の出力履歴から、急ブレーキが行われたか否かを判定し、急ブレーキが行われていた場合に案内事象としての急ブレーキが検出されたと見なす。また、制御部200は、車両Cが案内地点または案内地点候補または停止候補から既定距離の範囲内に存在する状態における車両Cの現在地の履歴と地図情報300aが示す道路区間上の進行方向とから、車両Cが道路区間上を逆走したか否かを判定する。逆走したと判定された場合、制御部200は、案内事象としての逆走が検出されたと見なす。
【0078】
ステップS435において、案内地点または案内地点候補または停止候補において案内事象を検出したと判定された場合、車両Cは検出車両Cとなる。この場合、制御部200は、案内事象を案内しない設定がされているか否かを判定する(ステップS437)。すなわち、制御部200は、記録媒体300を参照し、利用者が予め行った設定が、案内事象を案内しない設定であるか否かを判定する。ステップS437において、案内事象を案内しない設定がされていると判定されない場合、制御部200は、ステップS440,S445をスキップする。すなわち、走行履歴を送信しない。
【0079】
一方、ステップS437において、案内事象を案内しない設定がされていると判定された場合、制御部200は、検出情報の取得条件を満たすか否かを判定する(ステップS440)。すなわち、制御部200は、ステップS420にて取得した取得条件の中から、ステップS430にて通過したと判定された案内地点または案内地点候補または停止候補の取得条件を特定し、車両Cから検出情報を送信すべき条件が成立しているか否かを判定する。ここでは、取得条件に示された割合で検出情報が送信されるように検出情報を送信すべき条件が成立しているか否か判定することができればよく、例えば、案内事象の検出時刻が条件に合致しているか否かを判定する構成等を想定可能である。より具体的には、検出時刻の秒数が取得条件である取得割合で現れる秒数である場合(例えば、取得割合が1/10である場合、10秒に1回現れる秒数である場合)に取得条件が成立していると判定する構成等を採用可能である。むろん、他の情報、例えば、車両Cのナビゲーション端末100のID等によって取得条件が成立しているか否かを判定する構成としても良い。
【0080】
そして、ステップS440において、検出情報の取得条件を満たすと判定された場合、制御部200は、検出情報を含む走行履歴を送信する(ステップS445)。すなわち、制御部200は、ステップS435において検出したと判定された案内事象を示す情報と、案内事象を検出した地点を示す情報を検出情報として定義し、通信部220を介して当該検出情報を含む走行履歴を運転支援システム10に対して送信する。ステップS440において、検出情報の取得条件を満たすと判定されない場合、制御部200は、ステップS445をスキップする。
【0081】
一方、ステップS435において、案内地点または案内地点候補または停止候補において案内事象を検出したと判定されない場合、車両Cは非検出車両Cとなる。この場合、制御部200は、案内事象を案内しない設定がされているか否かを判定する(ステップS447)。すなわち、制御部200は、記録媒体300を参照し、利用者が予め行った設定が、案内事象を案内しない設定であるか否かを判定する。ステップS447において、案内事象を案内しない設定がされていると判定されない場合、制御部200は、ステップS440,S445をスキップする。すなわち、走行履歴を送信しない。
【0082】
ステップS447において、案内事象を案内しない設定がされていると判定された場合、制御部200は、非検出情報の取得条件を満たすか否かを判定する(ステップS450)。すなわち、制御部200は、ステップS420にて取得した取得条件の中から、ステップS430にて通過したと判定された案内地点または案内地点候補または停止候補の取得条件を特定し、車両Cから非検出情報を送信すべき条件が成立しているか否かを判定する。
【0083】
そして、ステップS450において、非検出情報の取得条件を満たすと判定された場合、制御部200は、非検出情報を含む走行履歴を送信する(ステップS455)。すなわち、制御部200は、ステップS435において検出したか否を判定する対象となった案内事象を示す情報と、案内地点または案内地点候補または停止候補を示す情報を非検出情報として定義し、通信部220を介して当該非検出情報を含む走行履歴を運転支援システム10に対して送信する。ステップS450において、非検出情報の取得条件を満たすと判定されない場合、制御部200は、ステップS455をスキップする。
【0084】
ステップS425において、車両Cの前方の所定距離以内に案内地点または案内地点候補または停止候補が存在すると判定されない場合、車両Cにおいて検出すべき情報は任意地点についての検出情報である。そこで、制御部200は、
図5に示す案内処理を繰り返し実行する所定期間内に走行した範囲において、案内事象を検出したか否かを判定する(ステップS460)。すなわち、制御部200は、当該所定期間内に走行した範囲内に車両Cが存在する状態におけるブレーキセンサ440の出力履歴および車両Cの現在地の履歴から急ブレーキまたは逆走が検出されたか否かを判定する。
【0085】
ステップS460において、所定期間内に走行した範囲において、案内事象を検出したと判定された場合、車両Cは検出車両Cとなる。この場合、制御部200は、検出情報の取得条件を満たすか否かを判定する(ステップS465)。すなわち、制御部200は、ステップS420にて取得した取得条件の中から、任意地点における検出情報の取得条件を特定し、車両Cから検出情報を送信すべき条件が成立しているか否かを判定する。
【0086】
そして、ステップS465において、検出情報の取得条件を満たすと判定された場合、制御部200は、検出情報を含む走行履歴を送信する(ステップS470)。すなわち、制御部200は、ステップS460において検出したと判定された案内事象を示す情報と、案内事象を検出した地点を示す情報を検出情報として定義し、通信部220を介して当該検出情報を含む走行履歴を運転支援システム10に対して送信する。ステップS465において、検出情報の取得条件を満たすと判定されない場合、制御部200は、ステップS470をスキップする。
【0087】
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。案内地点取得手段は、記録媒体を参照して案内対象となる案内事象に関連する案内を行う案内地点を取得することができればよい。すなわち、車両における案内対象となる案内事象に関連する案内を行う案内地点が既に特定された状態において記録媒体には当該案内対象を特定するための情報が記録されている。従って、案内地点取得手段は、当該情報に基づいて案内地点を取得することができればよい。なお、案内対象となる案内事象は、車両の走行時に案内事象が再発しないように車両の運転者を促す対象であり、各種の事象を想定可能である。例えば、運転者の運転操作ミスや危険回避のための運転操作、風や路面等の走行環境によって誘発される車両の挙動の不安定化など、種々の事象が想定される。
【0088】
これらの事象は、車両によって事象を検出することによって発生が特定されれば良く、当該事象が検出された地点が案内地点として統計的に特定されれば良い。従って、事象が検出されたことを示す検出情報や案内地点で事象が検出されなかったことを示す非検出情報によって事象情報を構成し、当該事象情報を含む走行履歴を取得して記録媒体に記録することで案内事象や案内地点が特定されれば良い。なお、案内地点において行われる案内は案内事象に関連する案内であれば良く、上述の実施形態のように案内事象自体が案内される構成の他にも種々の構成を採用可能である。例えば、案内事象が注意すべき事象である場合において、案内地点が注意地点であることが案内される構成であっても良い。
【0089】
事象情報取得手段は、案内事象に関連する案内を行う設定と案内を行わない設定とを選択可能であるとともに案内を行わない設定がなされている車両であって案内地点において案内事象の検出処理を行った車両から案内事象が検出されたか否かを示す事象情報を取得することができればよい。すなわち、事象情報取得手段においては、案内事象に関連する案内を停止するか否かを判定する基になる事象情報を車両における設定に応じて取得するように構成されていれば良い。
【0090】
なお、車両における設定に応じて事象情報を取得するための構成としては、種々の構成を採用可能である。例えば、車両から案内事象に関連する案内を行わない設定がなされているか否かを示す情報とともに事象情報を送信し、案内事象に関連する案内を行わない設定がなされていることを示す情報が事象情報に含まれる場合に運転支援システムにおいて当該事象情報を解析する構成としても良い。また、案内地点において案内事象の検出処理を行った車両であって案内を行わない設定がなされている車両から事象情報を取得し、案内地点において案内事象の検出処理を行った車両であって案内を行う設定がなされている車両からは事象情報を取得しない構成としても良い。この構成によれば、事象情報を取得するためのリソース(車両と通信を行う際の通信帯域や車両での検出処理を行うための制御部)を簡易化することができる。
【0091】
記録情報管理手段は、事象情報に基づいて案内地点における案内事象に関連する案内を停止するか否かを判定し、案内事象に関連する案内を停止すると判定された案内地点において案内事象に関連する案内を停止するように記録媒体に記録された情報を修正することができればよい。例えば、案内地点で事象が検出されたことまたは検出されなかったことを示す情報に基づいて、案内地点における案内事象の発生原因が解消した結果として案内事象の発生数や発生確率が減少したことが統計的に結論づけられた場合に、案内地点における案内事象に関連する案内を停止すると判定する構成を採用可能である。
【0092】
案内地点における案内事象に関連する案内を停止するように記録媒体に記録された情報を修正するための構成としては、種々の構成を採用可能であり、記録媒体から案内地点を示す情報を削除しても良い。また、案内地点における案内の実行と停止とを制御するためのフラグ等を各案内地点に対応づけて記録媒体に記録しておき、案内地点における案内を停止するようにフラグを設定することで、案内地点における案内事象に関連する案内を停止するように記録媒体に記録された情報を修正するように構成してもよい。
【0093】
案内情報送信手段は、記録媒体から案内事象に関連する案内が停止されていない案内地点および案内事象を示す情報を取得して車両に対して送信することができればよい。すなわち、車両が案内地点(あるいは案内地点から所定距離の範囲)を走行する際に、当該案内地点における案内事象に関する案内が行われるように、
運転支援システムにおいて案内地点および案内事象を示す情報を取得して車両に対して送信すれば良い。車両においては、当該案内地点および案内事象を示す情報に基づいて、案内地点(あるいは案内地点から所定距離の範囲)を走行する際に、当該案内地点における案内事象に関連する案内を行う処理を実行する。当該処理は、各種のシステム、例えば、ナビゲーションシステムやインストルメンタルパネル等を利用して行えばよい。
【0094】
さらに、案内地点ではない地点において車両が案内事象の検出処理を行った場合、事象情報取得手段が、当該車両において案内を行う設定および案内を行わない設定のいずれがなされていても当該車両から事象情報を取得し、記録情報管理手段が、案内地点ではない地点において取得された事象情報に基づいて当該地点が案内地点であるか否かを判定し、案内地点であると判定された場合に案内地点を記録媒体に記録するように構成しても良い。すなわち、案内地点であることが特定されていない場合には、車両において案内を行う設定および案内を行わない設定のいずれがなされていたとしても、案内事象が案内されることはない。そこで、この場合には、車両の設定にかかわらず事象情報を取得し、当該事象情報に基づいて地点が案内地点であるか否かを判定する構成とする。
【0095】
さらに、本発明のように、案内事象に関連する案内を行わない設定がなされている車両から取得された事象情報に基づいて案内地点における案内事象に関連する案内を停止するか否かを判定する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステム、走行履歴情報の管理システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。