(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6056995
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ボルト・ナット用マーキング用具
(51)【国際特許分類】
B25H 7/04 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
B25H7/04 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-21567(P2016-21567)
(22)【出願日】2016年2月8日
(62)【分割の表示】特願2012-76673(P2012-76673)の分割
【原出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2016-74087(P2016-74087A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(72)【発明者】
【氏名】大竹 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】神山 武之
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3135305(JP,U)
【文献】
実開昭58−014612(JP,U)
【文献】
特開2002−355777(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3126481(JP,U)
【文献】
特開2011−131373(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3159541(JP,U)
【文献】
特開2011−136450(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0250663(US,A1)
【文献】
特開昭51−121897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H7/04
B25B23/00−23/18
B05C1/00−3/20
B05C7/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マークする締結したボルト・ナット・座金の先端から基端方向に向け移動自在としたマーキングホルダーにマーキング用ローラを回動自在に取り付けたボルト・ナット用マーキング用具であって、1個のマーキング用ローラを、上端をマーキングホルダーに回動自在に軸支したローラアームの下端に回動自在に軸支したことを特徴とするボルト・ナット用マーキング用具。
【請求項2】
前記ローラアームをく字状に屈曲させた請求項1に記載のボルト・ナット用マーキング用具。
【請求項3】
前記マーキングホルダーの下方にボルト・ナット・座金を囲装するガイド用スライダーを設けて、前記マーキングホルダーを該ガイド用スライダーに上下にスライド自在とした請求項1又は2に記載のボルト・ナット用マーキング用具。
【請求項4】
前記マーキングホルダーとガイド用スライダーとの間に復帰用バネを設けた請求項3に記載のボルト・ナット用マーキング用具。
【請求項5】
前記マーキング用ローラにインキを供給するインキ吸蔵体を前記ガイド用スライダーに設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載のボルト・ナット用マーキング用具。
【請求項6】
前記インキ吸蔵体が前記ガイド用スライダーに着脱自在に設けたことを特徴とする請求項5に記載のボルト・ナット用マーキング用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨工事において鋼材をボルト、ナット及び座金で接合する際に、ボルトの一次締めの後にボルト、ナット、座金及び添え板等にマークを施すために使用するボルト・ナット用マーキング用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄骨工事において鋼材をボルト、ナット及び座金で接合した場合に締め付けが適正に行なわれたかの確認は、先ず一次締めの際にボルト、ナット、座金及び添え板等に一連の線状のマークを施して一次締め工程を終了したことを確認する。続いての工程である本締め後に一次締めの際にボルト、ナット、座金及び添え板等に施した線状のマークの位置ずれ角度によりボルト、ナットの供回りや軸回りの有無を判定して行なっていた。
【0003】
このように一次締めの際のマーキングはボルト締め工程において重要なものである。このマーキングを作業者がマーキングペンにより手作業で行なうこともできるが、鉄骨工事の現場は高所等の危険箇所や無理な姿勢で行なう箇所においては的確なマーキングができないばかりでなく、作業者の安全も確保できないという問題もある。
【0004】
また、マーキングをワンタッチ式で施すものとして、線状に形成した捺印面よりなるフェルト製のマーカ部にマーキング用のインキを含浸させて、マーカ部を保持したホルダーをボルト等に被せてホルダーを下降させて線状に形成した捺印面をボルト、ナット及び座金並びに添え板等の表面に押圧してマーキングを行なうものが従来より知れている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0005】
ところが、前記した従来のものは、線状に形成した捺印面をボルト、ナット及び座金並びに添え板等の表面に押圧してマーキングを行うものであるため、マーキングに斑が生じることがあり、的確なマーキングを行うことができない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−355777号公報
【特許文献2】特開昭51−121897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は従来の問題点を解決して、一次締め後ボルト・ナット等へのマーキングがワンタッチでできるうえマーキング斑の無い的確なマーキングを行なうことができるボルト・ナット用マーキング用具を提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するためになされた本発明のボルト・ナット用マーキング用具は、マークする締結したボルト・ナット・座金の先端から基端方向に向け移動自在としたマーキングホルダーにマーキング用ローラを回動自在に取り付けたボルト・ナット用マーキング用具であって、1個のマーキング用ローラを、上端をマーキングホルダーに回動自在に軸支したローラアームの下端に回動自在に軸支したことを特徴とするものである。また、前記ローラアームをく字状に屈曲させることが好ましいものである。
【0009】
そして、前記マーキングホルダーの下方にボルト・ナット・座金を囲装するガイド用スライダーを設けて、前記マーキングホルダーを該ガイド用スライダーに上下にスライド自在としたものとすることが好ましいものである。
【0010】
また、前記マーキング用ローラにインキを供給するインキ吸蔵体を前記ガイド用スライダーに設けることが好ましいものである。
【0011】
また、前記マーキングホルダーとガイド用スライダーとの間に復帰用バネを設けることが好ましいものである。
【0012】
また、前記インキ吸蔵体が前記ガイド用スライダーに着脱自在に設けることもできる。
【発明の効果】
【0013】
前記のような本発明に係るボルト・ナット用マーキング用具は、先ずマーキングホルダーを締結したボルト・ナット・座金の先端側が臨む位置とする。次に、マーキングホルダーをボルト・ナット・座金の先端から基端方向に移動させる。そうすると、マークする締結したボルト・ナット・座金の先端から基端方向に向け移動自在としたマーキングホルダーに1個のマーキング用ローラが、上端をマーキングホルダーに回動自在に軸支したローラアームの下端に回動自在に軸支したものであるから、マーキング用ローラは上方にある時はボルトの軸部の側面に接触して下方に移動してナットの上端縁部に接触すると、ローラアームの下端がナットの外側方向に振れて該マーキング用ローラが鉄骨構造物を締結したボルト・ナット・座金及び添え板に一連の線状マークを付けるものであるこの場合に前記マーキング用ローラはボルト・ナット・座金及び添え板に対して点で接触して回転するのでマークに斑が生じることがなく的確なマークができるものである。
【0014】
また、前記マーキングホルダーの下方にボルト・ナット・座金を囲装するガイド用スライダーを設けて、前記マーキングホルダーを該ガイド用スライダーに上下にスライド自在としたものとすると、ガイド用スライダーでボルト・ナット・座金を囲装することにより、自動的に的確なマーク位置によりマークすることができるものである。
【0015】
また、前記マーキングホルダーとガイド用スライダーとの間に復帰用バネを設けたものとすると、マーキング用ローラがボルト・ナット・座金の表面に回転しながら点状に連続して接触して該マーキング用ローラのインキによりボルト・ナット・座金及び添え板に一連の線状マークを付けた後にマーキングホルダーが復帰用バネにより自動的に復帰すると同時にマーキング用ローラが旧位置に復帰しながらボルト・ナット・座金及び添え板を再びマークすることとなり、より的確なマークを付けることができるものである。
【0016】
また、前記マーキング用ローラにインキを供給するインキ吸蔵体を前記ガイド用スライダーに設けることにより、マーキング用ローラのインキの供給が自動的に行なわれて多数のマークを行なうことができる。
【0017】
また、前記インキ吸蔵体が前記ガイド用スライダーに着脱自在に設けることにより、インキ吸蔵体へのインキの補給を容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】参考形態をマークキング工程の初期位置で示す断面図。
【
図4】参考形態をマークキング工程の中間位置で示す断面図。
【
図5】参考形態をマークキング工程の終了位置で示す断面図。
【
図7】参考形態をマークキング工程の終了位置で示す側面図。
【
図8】参考形態で使用するローラユニットを示す図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は側面図。
【
図9】参考形態においてカバーを装着した状態を示す斜視図。
【
図10】参考形態においてカバーを装着した状態を示す側面図。
【
図11】参考形態においてカバーを装着した状態を示す横断面図。
【
図12】参考形態においてカバーを装着した状態を示す従断面図。
【
図15】マークをするボルト、ナット、座金及び添え板を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係るボルト・ナット用マーキング用具の実施形態を図に基づき説明する。
【0020】
1はマーキングホルダーであり、該マーキングホルダー1はマークする締結したボルト(イ)・ナット(ロ)・座金(ハ)の先端から基端方向に向けて移動操作するものである。2はマーキング用ローラであり、該マーキング用ローラ2は前記マーキングホルダー1の内側に位置してマーキングホルダー1の胴部11に軸支されて回動自在に取り付けられている。
【0021】
具体的には上端をマーキングホルダー1に回動自在に軸支したローラアーム21の下端にマーキング用ローラ2を軸支したものである。
【0022】
なお、前記したローラアーム21はく字状に屈曲させたものであることが好ましいものである。
【0023】
このように構成されたものは、マーキング用ローラ2は上方にある時はボルト(イ)の軸部の側面に接触して下方に移動してナット(ロ)の上端縁部に接触すると、ローラアーム21の下端がナット(ロ)の外側方向に振れて該マーキング用ローラ2が
図22に示す鉄骨構造物を締結したボルト(イ)・ナット(ロ)・座金(ハ)及び添え板(ニ)に一連の線状マーク(ホ)を付けるものである。
【0024】
なお、図示の実施形態はガイド用スライダー及びインキ吸蔵体が明示されておりませんが、ガイド用スライダー及びインキ吸蔵体を設けることができるものである。
【0025】
前記、ガイド用スライダー及びインキ吸蔵体を設けたボルト・ナット用マーキング用具としてマーキング用ローラ2を2個とした参考形態を
図2−
図14により説明する。
【0026】
図2−
図7において、1はマーキングホルダーであり、該マーキングホルダー1はマークする締結したボルト(イ)・ナット(ロ)・座金(ハ)の先端から基端方向に向けて移動操作するものである。2はマーキング用ローラであり、該マーキング用ローラ2は前記マーキングホルダー1の内側に位置してマーキングホルダー1の胴部11に軸支されて回動自在に取り付けられている。
【0027】
3は該マーキングホルダー1の下方に設けたボルト・ナット・座金を囲装するガイド用スライダーであり、該ガイド用スライダー3と前記マーキングホルダー1は上下にスライド自在としている。
【0028】
なお、前記ガイド用スライダー3はマーキングホルダー1の胴部11の内面に沿うように嵌合して互いに上下にスライド自在としたものであり、これによりマーキング用ローラ2は当然にガイド用スライダー3の内側に位置することとなる。そのためマーキング用ローラ2がマーキングホルダー1のスライドによりガイド用スライダー3内を移動できるようにマーキング用ローラ2の軸部2aが通過できるスリット31をガイド用スライダー3に設けてある。
【0029】
また、前記ガイド用スライダー3には前記マーキング用ローラ2にインキを供給するインキ吸蔵体4が設けられている。そして、前記マーキング用ローラ2はガイド用スライダー3内を上下に往復する際に回動しながら該インキ吸蔵体4に接触してローラ一面にインキを供給されるものである。
【0030】
また、前記マーキングホルダー1とガイド用スライダー3との間に復帰用バネ5が設けられている。すなわち、マーキングホルダー1の天板12の下面とガイド用スライダー3の天板32の上面との間に押しバネよりなる復帰用バネ5を設けたものとしている。
【0031】
また、この実施形態にあっては前記マーキング用ローラ2は2個よりなるものとしている。すなわち、
図8に示すように一対のローラアーム21、21の両端間に架設した一対のローラ軸棒部22、22と各ローラアーム21、21の外面中央部に突設した軸部2a、2aよりなるローラユニット枠23の前記一対のローラ軸棒部22、22に2個のマーキング用ローラ2、2を夫々回動自在に取り付けたローラユニット20としたものである。そして、
図5、
図6及び
図10に示すように該ローラユニット20は前記軸部2a、2aをもって前記マーキングホルダー1の胴部11の対向した壁面に軸支して回動自在に取り付けたものである。そして、前記軸部2a、2aの内側部はガイド用スライダー3に設けたスリット31を上下に通過できるものとしている。
【0032】
また、前記ローラユニット20は前記マーキングホルダー1に着脱自在できるものとしている。すなわち、この実施形態においては、
図6及び
図7に示すようにマーキングホルダー1の胴部11の下端に開口111aを設けた案内切込溝111の上端に横向きに続けて形成した軸受部112にローラユニット20の軸部2aを前記開口111aから着脱自在としたものである。
【0033】
さらに、前記ローラユニット20が前記マーキングホルダー1に容易に着脱自在するため、ガイド用スライダー3がマーキングホルダー1内において前記軸受部112に続く案内切込溝111の開口111aが前記ガイド用スライダー3のスリット31の下端より上部となる位置で前記復帰用バネ5に抗して固定できるように、マーキングホルダー1とガイド用スライダー3との接触箇所に相互に係合できるU字切込で形成した固定バネ6a、6bを設けている。この固定バネ6a、6bはマーキングホルダー1とガイド用スライダー3がスライドして一致した場合に復帰用バネ5に抗して自動的に係合して、マーキングホルダー1側の固定バネ6aを内側に押圧することにより係合が外れて復帰用バネ5によりガイド用スライダー3が押し下げられるものである。
【0034】
また、前記インキ吸蔵体4は前記ガイド用スライダー3に着脱自在に設けられている。すなわち、インキ吸蔵体4は吸蔵体42を収納した前面を開口させた縦長の吸蔵体受け41の後面の上下に続けた係合部41aをガイド用スライダー3の内面に設けた上下に続けた係合部3aにスライド自在に係合したものとしている。また、吸蔵体受け41の下端には着脱自在を容易とするために係止鍔部41bが設けられている。
【0035】
また、この実施形態においては
図10−
図14に示すように前記インキ吸蔵体4と前記マーキング用ローラ2を被覆するカバー7が用意されている。これにより不使用時にインキの蒸発を防止できるものであり、また、マーキング用ローラ2の乾燥による変形を防止できるものである。
【0036】
前記カバー7はインキ吸蔵体4すなわち吸蔵体受け41を取り付けた該ガイド用スライダー3の吸蔵体受け41の両側に対向する面に設けた縦方向のレール部33、33に係合する溝レール部71,71をカバー本体70の両側面に形成し、また該カバー本体70の内側面に凹状の吸蔵体覆部72を形成したうえ外側面上方にマーキング用ローラ2を覆うキャップ部73を形成したものである。
【0037】
なお、この実施形態に係るボルト・ナット用マーキング用具は図に示すように、マーキングホルダー1の上端にフック掛け孔8a付の把持部8を設けている。また、マーキングホルダー1の上端縁部に落下防止用の紐類を取り付けする通し孔14が設けてある。
【0038】
このように構成されたものは、
図15に示す鉄骨構造物を締結したボルト(イ)・ナット(ロ)・座金(ハ)及び添え板(ニ)に一連の線状マーク(ホ)を付けるものである。
【0039】
先ず、マーキングホルダー1を締結したボルト・ナット・座金の先端側が臨む位置とする。そして、
図1及び
図5に示すように該マーキングホルダー1の下方に設けたガイド用スライダー3の下端をナット・座金に合致させてボルト・ナット・座金を囲装する。
【0040】
続いて、
図3―
図5に示すように前記マーキングホルダー1をボルト・ナット・座金の先端から基端方向に移動させる。そうすると、
図2に示すようにこの実施形態にあってはローラユニット20により2個よりなるとしたマーキング用ローラ2、2の内下方のマーキング用ローラ2がナット(ロ)の上端縁部に接触するとローラユニット20はローラアーム21、21の外面中央部に突設した軸部2a、2aを中心に下方のマーキング用ローラ2がナット(ロ)の外側方向に上方のマーキング用ローラ2がナット(ロ)の内側方向に振られて、
図3に示すように下方のマーキング用ローラ2がナット(ロ)の側面を上方のマーキング用ローラ2がナット(ロ)より露出しているボルトの軸部(イ)の側面をマークする。
【0041】
さらに、マーキングホルダー1を下方に移動すると、
図5に示すように下方のマーキング用ローラ2が座金(ハ)の側面と添え板(ニ)の上面を上方のマーキング用ローラ2がナット(イ)の上面をマークするので、締結したボルト(イ)・ナット(ロ)・座金(ハ)及び添え板(ニ)に一連の線状マーク(ホ)が施すことができるものである。
【0042】
そして、マーキングホルダー1を旧状に復帰させれば、マーキング用ローラ2、2は添え板(ニ)・座金(ハ)・ナット(ロ)・ボルト(イ)との逆の順番でマークを行なうものでもある。
【0043】
このようなマーク作業は、マーキングホルダー1を下方に移動させるというワンタッチで行なうことができるうえ、前記マーキング用ローラ2、2が回転しながら点で接触してボルト・ナット・座金及び添え板にマークするのでマークに斑が生じることがなく的確なマークができるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 マーキングホルダー
2 マーキング用ローラ
21 ローラアーム
3 ガイド用スライダー
4 インキ吸蔵体
5 復帰用バネ
7 カバー