【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被照射物に対して光を照射する光源装置であって、
第1発光部及び第2発光部を含む光源と
前記第1発光部及び前記第2発光部に対して各別に光量調整可能な制御部と、
ロッドインテグレータを複数備えてなるロッドインテグレータ群と、
前記ロッドインテグレータ群からの出射光が入射されるレンズアレイインテグレータを有し、
前記ロッドインテグレータ群は、第1ロッドインテグレータと、前記第1ロッドインテグレータの外周を取り囲むように形成された第2ロッドインテグレータを含み、
前記第1ロッドインテグレータは、前記第1発光部から出射された光を取り込んで前記レンズアレイインテグレータの第1領域に対して光を照射し、
前記第2ロッドインテグレータは、前記第2発光部から出射された光を取り込んで前記レンズアレイインテグレータの前記第1領域とは異なる第2領域に対して光を照射する構成であることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、第1ロッドインテグレータの出射面からの出射光量と、第2ロッドインテグレータの出射面からの出射光量は、それぞれ制御部によって各別に制御が可能な構成である。そして、第1ロッドインテグレータから出射される光は、照度が均一な状態でレンズアレイインテグレータの第1領域に照射され、同様に、第2ロッドインテグレータから出射される光は、照度が均一な状態でレンズアレイインテグレータの第2領域に照射される。
【0012】
つまり、レンズアレイインテグレータの入射面上の異なる領域毎に、同一領域内の照度を均一に保ったまま、照射光量の調整を行うことができる。
【0013】
ここで、第2ロッドインテグレータは、第1ロッドインテグレータの外周を取り囲むように形成されている。これにより、第2ロッドインテグレータからの出射光が照射されるレンズアレイインテグレータ上の第2領域は、第1ロッドインテグレータからの出射光が照射されるレンズアレイインテグレータ上の第1領域の外側に位置される。つまり、レンズアレイインテグレータの光入射面の内側と外側において、各領域内の照度を一定にしつつ、その照射光量を調整することができる。
【0014】
従って、例えば制御部において、第2光源部からの光量をほぼゼロとし、第1光源部からのみ光を出力する構成としたとき、実質的には、レンズアレイインテグレータ上の第1領域にのみ光が入射され、その外側である第2領域に光が入射されない構成とすることができる。すなわち、内側の光を通過させ、その外側の光を遮蔽するアパーチャと同様の機能が実現できる。
【0015】
これにより、本光源装置を露光装置として使用した場合において、アパーチャの径を調整したり、アパーチャを交換したりすることなく、制御部によって各光源部の光量を調整することによって、被照射物にして照射される光の視角の調整が可能となる。
【0016】
また、アパーチャを利用して視角の調整を行う構成の場合には、光源から放射される光をアパーチャによって一部遮ることとなるため、光の利用効率が低いという課題もあった。これに対し、本発明の構成であれば、視角を小さくするために例えば第2発光部からの発光光量をゼロにすることができるので、光の利用効率を向上させることができるという効果もある。
【0017】
また、上記構成では、レンズアレイインテグレータに入射する前段で、光源からの出射光をいったんロッドインテグレータに入射させる構成としている。これにより、入射した光の重ね合わせが行われる。
【0018】
光源から放射される光はある広がり角を持っており、その角度成分ごとにロッドインテグレータの内面で多重反射され、ロッドインテグレータの光の出射面上では複数の点に光が到達する。複数の固体光源素子が配置された光源を用いる場合、各素子から放射される光の到達位置は、各素子の配置されている位置によって異なり、これらを重ね合わせることで均一化がなされる。この結果、ロッドインテグレータから出射する光は、光源における明暗のパターンが均一化されたものとなり、各固体光源素子の配置パターンが反映されなくなる。
【0019】
そして、ロッドインテグレータから出射した光は、各固体光源素子の配置パターンが反映されずに、レンズアレイインテグレータの光入射面に入射される。レンズアレイインテグレータの各レンズの入射面の照度が均一になっているので、レンズアレイインテグレータからの出射光が照射される被照射物の照射面上においても照度は均一になる。
【0020】
よって、光源を構成する複数の固体光源素子の配置パターンが反映されることなく、照度分布を均一化した光をレンズアレイインテグレータから対象物に照射することができる。
【0021】
特に、第1発光部及び第2発光部が複数のLEDで構成されている場合には、上記の効果が顕著に現れる。
【0022】
すなわち、LEDを複数配置する場合、各LEDに電流を供給するための信号線やスイッチング素子などの周辺回路が必要となるため、LEDを隙間なく並べることができない。このため、離間を有して並べられた複数のLEDからの出射光は、照射面においてLEDの配置パターンを反映した照度分布を示す。
【0023】
このように、LEDの配置パターンが反映された状態の光を、そのままレンズアレイインテグレータの光の入射面に入射させると、レンズアレイインテグレータの個々のレンズ内にこのパターンが反映されてしまう。この結果、照射対象物たるワーク面(光の照射面)で十分な均一性(ユニフォミティ)を確保することができなくなる。
【0024】
しかし、上述したように、本構成によれば、レンズアレイインテグレータに入射する前段で、光源からの出射光をいったんロッドインテグレータに入射させる構成としたので、レンズアレイインテグレータからの出射光が照射される被照射物の照射面上においても、LEDの配置パターンが反映されることなく照度が均一化される。
【0025】
なお、上記構成において、前記第2ロッドインテグレータを、前記第1ロッドインテグレータの同心軸上に形成するものとしても構わない。
【0026】
更には、前記第1ロッドインテグレータを円柱又は楕円柱形状で形成し、
前記第2ロッドインテグレータを円環柱又は楕円環柱形状で形成するものとしても構わない。
【0027】
ロッドインテグレータ群は、第1ロッドインテグレータを取り囲む環状の第2ロッドインテグレータを複数備える構成としても構わない。この場合、各第2ロッドインテグレータに対して光を入射させるための第2発光部を、第2ロッドインテグレータの数に対応させて備える。
【0028】
つまり、前記光源は、複数の前記第2発光部を備え、
前記制御部は、複数の前記第2発光部のそれぞれに対して、各別に光量調整可能な構成であり、
前記ロッドインテグレータ群は、それぞれが前記第1ロッドインテグレータの外周を取り囲むように形成された複数の前記第2ロッドインテグレータを備え、
複数の前記第2ロッドインテグレータのそれぞれは、異なった前記第2発光部から出射された光を取り込んで、異なった前記第2領域に対して光を照射する構成であることを別の特徴とする。
【0029】
なお、この場合には、レンズアレイインテグレータの光入射面上において、複数の第2ロッドインテグレータそれぞれの出射光が照射される各第2領域のそれぞれは、レンズアレイインテグレータの光入射面上において、第1ロッドインテグレータからの光が照射される第1領域の外側に位置される。つまり、第1領域の外側に、一の第2領域が形成され、その外側に別の第2領域が形成され、以下、第2ロッドインテグレータの数に応じた数だけその外側に別の第2領域が形成される構成となる。これによって、レンズアレイインテグレータの光入射面の内側と外側において、各領域内の照度を維持しつつ、その照射光量を細かく調整することができる。
【0030】
この構成とした場合、複数の第2ロッドインテグレータから出射される光は、それぞれ照度が均一な状態で、レンズアレイインテグレータの異なる第2領域に照射される。つまり、照射光量の調整が可能な領域数を増加させることができる。これにより、レンズアレイインテグレータに入射される光量をより細かく調整することができる。すなわち、実質的には、多段階でアパーチャの径を調整するのと同様の機能が実現でき、これによって被照射物に照射される光の視角を細かく調整できる。
【0031】
更に、ロッドインテグレータ群の光の出射面にレンズアレイインテグレータの光の入射面を連接させる構成としても構わない。
【0032】
ロッドインテグレータ群の光の出射面からの出射光は、ロッドインテグレータに対して入射された光の広がり角が維持される。例えば、第1発光部及び第2発光部としてLEDなどのような出射光に一定の広がり角度を有する固体光源素子を用いた場合、ロッドインテグレータからの出射光も、広がり角度を有したものとなる。従って、ロッドインテグレータ群とレンズアレイインテグレータの間隔が広い場合、ロッドインテグレータからの出射光に含まれる一部の光束がレンズアレイインテグレータに取り込めないことが起こり得る。
【0033】
そこで、ロッドインテグレータ群の光の出射面にレンズアレイインテグレータの光の入射面を連接させる構成とすることで、ロッドインテグレータからの出射光をほとんど全てレンズアレイインテグレータに取り込ませることが可能となる。これにより、光の利用効率が高められる。
【0034】
また、光源からの出射光をロッドインテグレータ群の光の入射面に結像させる第1光学部材を備える構成としても構わない。このとき、第1光学部材は、凸レンズなどの光学部材を介して入射する構成を採用することができる。
【0035】
このような構成とすることで、光源からの出射光をロッドインテグレータ群の光の入射面に集光(結像)させることができる。
【0036】
また、光源の出射面にロッドインテグレータ群の光の入射面を連接させる構成としても構わない。
【0037】
このような構成とした場合、光源からの出射光を高効率でロッドインテグレータ群の光の入射面に入射させることができる。
【0038】
また、ロッドインテグレータ群から出射された光をレンズアレイインテグレータの光の入射面に結像させる第2光学部材を備える構成としても構わない。このとき、第2光学部材は、凸レンズなどの光学部材を介して入射する構成を採用することができる。
【0039】
このような構成とした場合においても、ロッドインテグレータ群からの出射光をレンズアレイインテグレータの光の入射面に集光させることができ、ロッドインテグレータ群からの出射光をほとんど全てレンズアレイインテグレータに取り込ませることが可能となる。
【0040】
また、上記の特徴を有した光源装置と、インテグレータの照射面からの光をマスクに照射してマスクのパターン像を感光性基板上に投影する投影光学系を有する露光装置によって、アパーチャを用いることなく視角調整が可能な露光装置が実現される。