特許第6057133号(P6057133)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6057133-超音波モータの駆動回路 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057133
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】超音波モータの駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/06 20060101AFI20161226BHJP
   H02N 2/14 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   H02N2/06
   H02N2/14
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-134306(P2013-134306)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-12637(P2015-12637A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 弘行
(72)【発明者】
【氏名】増田 健太郎
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−215176(JP,A)
【文献】 特開平3−22872(JP,A)
【文献】 特開平9−182467(JP,A)
【文献】 特開昭64−60273(JP,A)
【文献】 特開平4−145876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/00−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波モータ用圧電素子と、
前記超音波モータ用圧電素子とともに共振回路を構成するインダクタと、
前記超音波モータ用圧電素子の駆動信号を生成するインバータ回路と、
前記インバータ回路に制御信号を供給し前記制御信号の周波数で前記インバータ回路をスイッチング動作させる制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記制御信号の周波数を前記共振回路の共振周波数からずらした状態で前記共振周波数に追随させ、さらに、前記超音波モータ用圧電素子に導通する前記駆動信号の電流振幅が一定になるように前記制御信号の周波数を制御すること、
を特徴とする超音波モータの駆動回路。
【請求項2】
前記インダクタと電磁結合する1または複数のピックアップ巻線と、
前記1または複数のピックアップ巻線のうちのいずれか1つのピックアップ巻線の両端電圧の比較結果を矩形波として出力する比較器とをさらに備え、
前記制御回路は、PLL回路と、周波数制御回路とを有し、
前記PLL回路は、位相比較器、前記位相比較器に接続されたループフィルタ、および前記ループフィルタに接続された電圧制御発振器を有し、
前記電圧制御発振器は、前記制御信号を出力し、
前記位相比較器は、前記制御信号と前記比較器から出力される矩形波との位相誤差を検出し、前記位相誤差に対応する信号を前記ループフィルタに出力し、
前記周波数制御回路は、前記1または複数のピックアップ巻線のうちのいずれか1つのピックアップ巻線の出力を整流し平滑する整流平滑回路と、基準電圧生成回路と、前記整流平滑回路の出力電圧と前記基準電圧生成回路による基準電圧との差に対応して、前記ループフィルタから前記電圧制御発振器への入力電圧を制御する電圧制御回路とを有すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波モータの駆動回路。
【請求項3】
前記超音波モータ用圧電素子を含む複数の超音波モータ用圧電素子と、
前記インダクタと前記複数の超音波モータ用圧電素子との間に設けられ、前記駆動信号の出力先として前記複数の超音波モータ用圧電素子のうちの1つを選択する選択回路と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の超音波モータの駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波モータの駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波モータは、超音波モータ用圧電素子(以下、USM素子という)を使用しており、通常、USM素子を含む共振回路の共振周波数の駆動信号を生成し、その駆動信号でUSM素子を動作させる。
【0003】
一般的にこの共振回路のQ値は大きいため、良好な動作が可能な周波数範囲は狭い。その一方で、環境温度の変化およびUSM素子への負荷増加によるインピーダンス変動に起因して、共振周波数が、その周波数範囲に比べ大きく変化する。
【0004】
このため、USM素子の駆動信号の周波数をその共振周波数に追随させて、環境温度の変化、USM素子への負荷増加によるインピーダンス変動などによって共振周波数が変化しても、USM素子の駆動信号の周波数をその共振周波数に一致させている。このように、USM素子の駆動信号の周波数をその共振周波数に追随させるために、通常、位相同期ループ(PLL:Phase Locked Loop)回路が使用される(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−227671号公報
【特許文献2】特開平5−329442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように、環境温度の変化およびUSM素子への負荷増加によるインピーダンス変動に起因する共振回路の共振周波数の変動に合わせてUSM素子の駆動信号の周波数を変化させると、USM素子に導通する駆動信号の電流の振幅が大きくなり、過電流となってしまうことがある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、環境温度の変化およびUSM素子への負荷増加によるインピーダンス変動に起因して共振回路の共振周波数が変動しても、USM素子の過電流が発生しない超音波モータの駆動回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る超音波モータの駆動回路は、超音波モータ用圧電素子と、超音波モータ用圧電素子とともに共振回路を構成するインダクタと、超音波モータ用圧電素子の駆動信号を生成するインバータ回路と、インバータ回路に制御信号を供給し制御信号の周波数でインバータ回路をスイッチング動作させる制御回路とを備える。そして、制御回路は、制御信号の周波数を上述の共振回路の共振周波数からずらした状態でその共振周波数に追随させ、さらに、超音波モータ用圧電素子に導通する駆動信号の電流振幅が一定になるように制御信号の周波数を制御する。
【0010】
これにより、環境温度の変化、USM素子への負荷増加によるインピーダンス変動などに起因して共振回路の共振周波数が変動しても、超音波モータ用圧電素子の過電流が発生しない。
【0011】
また、本発明に係る超音波モータの駆動回路は、上記の超音波モータの駆動回路に加え、次のようにしてもよい。この場合、超音波モータの駆動回路は、インダクタと電磁結合する1または複数のピックアップ巻線と、1または複数のピックアップ巻線のうちのいずれか1つのピックアップ巻線の両端電圧の比較結果を矩形波として出力する比較器とをさらに備える。また、制御回路は、PLL回路と、周波数制御回路とを有する。さらに、PLL回路は、位相比較器、位相比較器に接続されたループフィルタ、およびループフィルタに接続された電圧制御発振器を有し、電圧制御発振器は、上述の制御信号を出力し、位相比較器は、その制御信号と比較器から出力される矩形波との位相誤差を検出し、位相誤差に対応する信号をループフィルタに出力する。そして、周波数制御回路は、1または複数のピックアップ巻線のうちのいずれか1つのピックアップ巻線の出力を整流し平滑する整流平滑回路と、基準電圧生成回路と、整流平滑回路の出力電圧と基準電圧生成回路による基準電圧との差に対応して、ループフィルタから電圧制御発振器への入力電圧を制御する電圧制御回路とを有する。
【0012】
これにより、PLL回路で正確に共振周波数を(ずれを持って)追随しつつ、電圧制御発振器の入力電圧を制御することで、超音波モータ用圧電素子の駆動信号の電流振幅が一定になるように制御される。
【0013】
また、本発明に係る超音波モータの駆動回路は、上記の超音波モータの駆動回路に加え、次のようにしてもよい。この場合、超音波モータの駆動回路は、上述の超音波モータ用圧電素子を含む複数の超音波モータ用圧電素子と、インダクタと複数の超音波モータ用圧電素子との間に設けられ、駆動信号の出力先として複数の超音波モータ用圧電素子のうちの1つを選択する選択回路とを備える。
【0014】
これにより、複数の超音波モータ用圧電素子を切り替えて使用する場合において、複数の超音波モータ用圧電素子のインピーダンス特性(環境温度変動などに起因するインピーダンス変動など)にばらつきがあっても、選択されている超音波モータ用圧電素子のインピーダンス特性に合わせて自動的に駆動信号の周波数が制御され、複数の超音波モータ用圧電素子のいずれにおいても過電流が発生しない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、超音波モータの駆動回路において、環境温度の変化およびUSM素子への負荷増加によるインピーダンス変動に起因して共振回路の共振周波数が変動しても、USM素子の過電流が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る超音波モータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1における周波数制御回路の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る超音波モータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
図1に示す超音波モータの駆動回路は、インバータ回路1、インダクタ21、選択回路3、複数のUSM素子4−1,4−2、比較器5、および制御回路6を備える。
【0019】
インバータ回路1は、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子のフルブリッジ回路11、およびそのスイッチング素子の駆動回路12を有し、USM素子4−i(i=1,2)の駆動信号を生成する。
【0020】
インダクタ21は、USM素子4−i(i=1,2)とともに共振回路を構成する。USM素子4−iは、浮遊容量および浮遊インダクタンスを有するが、容量性の素子であり、ここでは、USM素子4−iとインダクタ21とで直列共振回路を構成する。
【0021】
インダクタ21には、第1ピックアップ巻線22および第2ピックアップ巻線23が電磁結合している。この実施の形態では、インダクタ21、第1ピックアップ巻線22、および第2ピックアップ巻線23としてトランス2が使用される。つまり、トランス2の一次側巻線がインダクタ21として使用され、トランス2の二次側巻線が第1ピックアップ巻線22および第2ピックアップ巻線23として使用される。
【0022】
選択回路3は、インダクタ21とUSM素子4−1,4−2との間に設けられ、外部からの切換制御信号に従って、駆動信号の出力先としてUSM素子4−1,4−2のうちの1つを選択する。
【0023】
比較器5は、第1ピックアップ巻線2の両端電圧の比較結果を矩形波として出力する。この実施の形態では、比較器5は、オペアンプである。インダクタ21の駆動信号と同一周波数の矩形波が比較器5から出力される。
【0024】
このとき、USM素子4−iを導通する駆動電流(つまり、インバータ回路1から出力される駆動信号による導通電流)の周波数は、インダクタ21とUSM素子4−iとによる共振周波数となるため、第1ピックアップ巻線2の両端電圧の周波数は、インダクタ21とUSM素子4−iとによる共振周波数と同一となる。したがって、比較器5から出力される矩形波の周波数も共振周波数と同一となる。
【0025】
制御回路6は、インバータ回路1の駆動回路12に制御信号を供給し駆動回路12にフルブリッジ回路11をその制御信号の周波数でスイッチング動作させる。つまり、フルブリッジ回路11のスイッチング素子は、その周波数でスイッチングする。したがって、フルブリッジ回路11の出力電圧は(つまり、駆動信号の電圧)は、制御信号の周波数と同一の周波数の矩形波となる。
【0026】
具体的には、制御回路6は、その制御信号の周波数を、USM素子4−iとインダクタ21による共振回路の共振周波数(つまり、比較器5からの矩形波の周波数)からずらした状態でその共振周波数に追随させ、さらに、USM素子4−iに導通する駆動信号の電流振幅が一定になるように制御信号の周波数を制御する。つまり、駆動信号の電流振幅が一定となるように、共振周波数と制御信号の周波数とのズレ量を調整する。
【0027】
この実施の形態では、制御回路6は、PLL回路6aと、周波数制御回路6bとを有する。
【0028】
PLL回路6aは、位相比較器31、位相比較器31に接続されたループフィルタ32、およびループフィルタ32に接続された電圧制御発振器(VCO)33を有する。ループフィルタ32はローパスフィルタである。
【0029】
VCO33は、入力端子の電圧、つまり入力電圧VCOinに対応する周波数で、インバータ回路1の駆動回路12に供給する制御信号を生成し、その制御信号を出力する。
【0030】
位相比較器31は、その制御信号と比較器5から出力される矩形波との位相誤差を検出し、その位相誤差に対応する信号をループフィルタ32を介してVCO33に出力する。なお、上述したように、比較器5から出力される矩形波の周波数は、現時点での、インダクタ21およびUSM素子4−iの共振周波数となっている。
【0031】
また、周波数制御回路6bは、VCO33の入力端子に接続され、VCO33の入力電圧VCOinを制御し、VCO33の出力電圧の周波数、つまりインバータ回路1に供給する制御信号の周波数を上述のように制御する。
【0032】
図2は、図1における周波数制御回路6bの構成例を示す回路図である。
【0033】
この実施の形態では、図2に示すように、周波数制御回路6bは、第2ピックアップ巻線23の出力を整流し平滑する整流平滑回路41と、基準電圧生成回路42と、電圧制御回路43とを有する。
【0034】
第2ピックアップ巻線23の出力電圧の振幅は、インダクタ21の導通電流、つまり、USM素子4−iの駆動電流の電流振幅に比例するため、整流平滑回路41の出力電圧は、USM素子4−iの駆動電流の電流振幅に比例する。
【0035】
基準電圧生成回路42は、電源電圧Vccを可変抵抗で分圧して基準電圧Vrefを生成する。
【0036】
また、電圧制御回路43は、整流平滑回路41の出力電圧と基準電圧生成回路42による基準電圧Vrefとの差に対応して、ループフィルタ32からVCO33への入力電圧VCOinを制御する。
【0037】
この実施の形態では、電圧制御回路43は、オペアンプOPおよび抵抗R1,R2を使用した差動増幅器を有し、整流平滑回路41の出力電圧と基準電圧生成回路42による基準電圧Vrefがその差動増幅器に入力され、その差動増幅器の出力電圧に対応してVCO33の入力電圧VCOinを低下させている。この電圧低下分に対応して、VCO33の発振周波数が低下する。
【0038】
なお、VCO33の発振周波数は、周波数制御回路6bによる入力電圧VCOinの電圧低下がない状態では通常のPLL動作で上述の共振周波数に一致するように追随するが、周波数制御回路6bによる入力電圧VCOinの電圧低下分があるため、その電圧低下分に対応して上述の共振周波数から低下する。このため、位相比較器31では位相誤差が継続的に検出されるが、その位相誤差に対応するループフィルタ32の出力電圧の増加分が、周波数制御回路6bによる入力電圧VCOinの電圧低下によって相殺されるため、VCO33の発振周波数は、上述の共振周波数からずれた状態で、継続的にその共振周波数を追随していく。
【0039】
さらに、周波数制御回路6bによる入力電圧VCOinの電圧低下量は、温度変動などのない状態での所定の基準量となるように上述の可変抵抗で調整される。
【0040】
そして、そのように調整された状態での値から変化せず、第2ピックアップ巻線23の両端電圧の振幅、ひいてはUSM素子4−iの駆動電流の電流振幅が一定となるように、周波数制御回路6bによって、入力電圧VCOinの電圧低下量が制御される。
【0041】
つまり、基準電圧生成回路42の可変抵抗を調整することで、VCO33の発振周波数、つまり制御信号の周波数を調整することができ、ひいては、USM素子4−iの駆動電流の大きさを一定に制御することができる。
【0042】
次に、上記超音波モータの駆動回路の動作について説明する。
【0043】
まず、環境温度の変動およびUSM素子への負荷増加によるインピーダンス変動のない基準状態で、周波数制御回路6bにおける基準電圧生成回路42の基準電圧Vrefを調整することで、駆動信号の電流振幅の基準量を設定する。
【0044】
そして、選択回路3に対して切換制御信号を入力し、USM素子4−1,4−2のいずれかをインダクタ21に電気的に接続する。
【0045】
ここでは、USM素子4−1が駆動される場合について説明する。なお、USM素子4−2が駆動される場合も同様であるので、その説明は省略する。
【0046】
この場合、インバータ回路1の出力電圧が、USM素子4−1およびインダクタ21による直列共振回路に印加される。そのため、USM素子4−1およびインダクタ21に導通する駆動電流の周波数は、直列共振回路の共振周波数となる。
【0047】
そして、第1ピックアップ巻線22および比較器5によって、駆動電流の周波数と同一の矩形波が、PLL回路6aの位相比較器31に入力される。
【0048】
また、PLL回路6aでは、位相比較器31が、比較器5からの矩形波の周波数(つまり、インダクタ21とUSM素子4−1とによる現時点での共振周波数)と、VCO33から出力される制御信号との位相誤差を検出し、位相誤差の検出信号をループフィルタ32を介してVCO33に出力する。
【0049】
他方、第2ピックアップ巻線23および周波数制御回路6bの整流平滑回路41によって、駆動電流の電流振幅に対応する電圧が検出される。さらに、周波数制御回路6bでは、電圧制御回路43が、整流平滑回路41の出力電圧と基準電圧Vrefとの差に応じて、VCO33の入力電圧VCOinを低下させる。
【0050】
したがって、VCO33は、インダクタ21とUSM素子4−1とによる現時点での共振周波数より低い周波数の制御信号を生成し、インバータ回路1に供給する。
【0051】
そして、環境温度の変動およびUSM素子への負荷増加によるインピーダンス変動によってインダクタ21とUSM素子4−1とによる共振周波数が変動した場合、PLL回路6aは、VCO33により生成される制御信号の周波数を、その共振周波数からずれたままでその共振周波数に追随して変化させ、他方、周波数制御回路6bは、駆動信号の電流振幅が上述の基準量で一定となるように、VCO33の入力電圧VCOinの電圧低下分を制御する。
【0052】
つまり、USM素子4−1の駆動電流の周波数は、インダクタ21とUSM素子4−1とによる現時点での共振周波数となり、インバータ回路1の制御信号の周波数についての、その共振周波数からのズレ量を調整することで、インバータ回路1の駆動周波数を変化させて、USM素子4−1の駆動電流の振幅を上述の基準量で一定とする。
【0053】
以上のように、上記実施の形態によれば、インダクタ21が、USM素子4−i(i=1,2)とともに共振回路を構成する。インバータ回路1は、USM素子4−iの駆動信号を生成し、制御回路6は、インバータ回路1に制御信号を供給し制御信号の周波数でインバータ回路1を駆動させる。そして、制御回路6は、インバータ回路1に供給される制御信号の周波数を上述の共振回路の共振周波数からずらした状態でその共振周波数に追随させ、さらに、USM4−iに導通する駆動信号の電流振幅が一定になるようにその制御信号の周波数を制御する。
【0054】
これにより、環境温度の変化およびUSM素子への負荷増加によるインピーダンス変動に起因してUSM素子4−iを含む共振回路の共振周波数が変動しても、USM素子4−iの駆動電流の電流振幅が一定になるように制御されるため、USM素子4−iの過電流が発生しない。
【0055】
つまり、共振周波数からずれた周波数でインバータ回路1がスイッチング動作するため、共振周波数が増減しても、USM素子4−iの駆動電流の電流振幅を一定にするために、制御信号の周波数を増減させることができる。
【0056】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態では、図2に示すように複数のピックアップ巻線22,23を設けているが、その代わりに、1つのピックアップ巻線を設け、そのピックアップ巻線を、複数のピックアップ巻線22,23と同様に、比較器5および周波数制御回路6bに接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、超音波リニアモータに適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 インバータ回路
3 選択回路
4−1,4−2 超音波モータ用圧電素子
5 比較器
6 制御回路
6a PLL回路
6b 周波数制御回路
21 インダクタ
22 第1ピックアップ巻線
23 第2ピックアップ巻線
31 位相比較器、
32 ループフィルタ
33 電圧制御発振器
41 整流平滑回路
42 基準電圧生成回路
43 電圧制御回路
図1
図2