【実施例】
【0013】
以下に本発明の一実施例を
図1から
図3に示す。
図1は本発明の一実施例による燃焼装置の断面構成図、
図2は
図1のI−I線断面図、
図3は
図1のII−II線断面図である。
【0014】
本実施例による燃焼装置は、有機物を燃焼する燃焼部20を基台10に形成し、基台10の上面に軸心を鉛直方向とした円筒状の外壁筒31を載置し、外壁筒31の内部には、燃焼部20で燃焼させた燃焼ガスから吸熱する熱交換部40を備えている。
熱交換部40は、外壁と内壁との間に吸熱媒体を流通させる空間が形成され、天面を有して軸心を鉛直方向とした円筒状に構成されている。熱交換部40の下部には吸水口41が、熱交換部40の上部には排出口42が設けられている。
熱交換部40の内部には、軸心を鉛直方向とした円筒状の隔壁筒32を配置している。
【0015】
燃焼部20は、隔壁筒32の下方に配置され、隔壁筒32の内部には燃焼ガス流路部51が形成され、燃焼ガス流路部51では燃焼部20からの燃焼ガスが上昇する。
隔壁筒32と熱交換部40との間には降下流路部52が形成され、降下流路部52では燃焼ガスが熱交換部40の内周面に沿って降下する。
熱交換部40と外壁筒31との間には上昇流路部53が形成され、上昇流路部53では燃焼ガスが熱交換部40の外周面に沿って上昇する。
上昇流路部53の流路断面積は、降下流路部52の流路断面積よりも大きくし、上昇流路部53の下部には煤溜部17を形成している。
【0016】
外壁筒31の上部には、熱交換部40の天面に沿って絞られ、外壁筒31よりも小さな径の燃焼筒33が設けられ、この燃焼筒33にはエジェクタ11が配置されて三次燃焼部23が構成される。
三次燃焼部23で燃焼した燃焼ガスは、その後排気される。
【0017】
燃焼部20は、隔壁筒32の直径より大きな幅寸法で、隔壁筒32の直径より大きな奥行き寸法の底面20aと、底面20aと対向し、隔壁筒32の直径より小さな高さ寸法の天面20bとを有し、底面20a及び天面20bには、多数のセラミックボール20cを埋め込んでいる。
【0018】
セラミックボール20cは、珪藻土に少なくとも導電性カーボンとフェライトとを混合し、複数回の焼成工程の中で600℃から900℃での焼成工程を含んで焼成される。セラミックボール20cは、単層の球又は核、1層以上の中間層及び多孔質外層からなる球体である。セラミックボール20cの核は、珪藻土からなり、中間層が導電性カーボン及びフェライトを含み、多孔質外層が珪藻土及びゼオライトからなる。
セラミックボール20cは、カーボン、珪藻土、フェライト及びゼオライトからなる成形物又は珪藻土からなる成形物である。
【0019】
珪藻土の主要成分は、大凡重量基準で無水珪酸50.0〜60.0%、酸化アルミニウム11.0〜15.0%、酸化鉄3.0〜5.5%、酸化カルシウム2.5〜4.5%、酸化マグネシウム1.0〜2.0%、硫黄0.6〜1.5%、酸化カリウム0.3〜3.8%、酸化ナトリウム0.03〜2.8%、酸化チタン0.1〜0.5%である。比表面積は35.0〜40.0m
2/g、細孔容積0.26〜0.40、平均細孔半径450〜550Å、pH7.1〜7.6である。
中間層に混合されているフェライトは、天然の堆積作用によるマグネタイト(Fe
3O
4)とマグヘマイト(γ−Fe
2O
3)である。これは溶出しない利点がある。
【0020】
セラミックボール20cは超波長(104Hz)〜X線(1019Hz)、特に60〜200MHzの電磁波を吸収し(それよりも短い波長の電磁波は個数を増やすことよって吸収し)、位相の揃った干渉性の良いいわゆるコヒーレントな電磁波を放射し、4〜10μmの波長の遠赤外線を放射する。
セラミックボール20cを多数1カ所に集めると、発信、共鳴、増幅が起きる。セラミックボール20cは直径約10、20、30、40、50及び60mmの球体が好適である。
燃焼部20は、有機物を燃焼によりガス化する一次燃焼部21と、一次燃焼部21の下流側に形成される二次燃焼部22と、燃焼筒33で形成される三次燃焼部23からなる。
一次燃焼部21は、燃焼部20の上流側であって、底面20aよりも低い位置に形成している。
【0021】
一次燃焼部21と二次燃焼部22との間には、空気を供給する複数の空気供給口12を配置している。空気供給口12は、基台10によって形成される一次燃焼部21又は二次燃焼部22の壁面からの導入ではなく、空気導入管によって底面20aと天面20bとの中間位置に配置することで燃焼を促進している。特に一次燃焼部21の下方からの空気供給を行わず、一次燃焼部21の上方から空気供給を行うことで、一次燃焼部21での燃焼温度の上昇を防止し、有機物のガス化を促進している。
複数の空気供給口12には、一次燃焼部21と二次燃焼部22との間で均等に空気を供給するために、
図2に示すように送風機15から空気が供給される。
送風機15から供給される空気は、外壁筒31の外周面に接して配設された空気供給路16に導かれ、この空気供給路16で吸熱された空気が、空気供給口12から導出する。
【0022】
なお、本実施例では、送風機15を用いて空気供給口12に空気を供給する形態を示したが、本実施例の燃焼装置の構成では、送風機15を用いなくても燃焼を行うことができる。
送風機15を用いない場合には、空気供給口12を下端に備えたパイプの上端を開放すればよい。また、パイプの上端の開口は、ダンパーやバルブによって、開閉することで又は開口面積を変更することで空気供給量を変更することもできる。
【0023】
燃焼装置は、一次燃焼部21に有機物を供給する燃焼物収容部60を備えている。
燃焼物収容部60の内部の下部と、一次燃焼部21とでガス化発生室を形成する。
ガス化発生室の下部には、通気孔を形成したキャスタブル18を設けることが好ましい。キャスタブル18によって確実な耐久性を得ることができる。キャスタブル18は、耐火煉瓦や断熱煉瓦と同様に耐火壁として機能し、例えば耐火骨材と粘土を原料として焼結することで形成する。ここで、キャスタブル18の形成にあたっては、セラミックボール20cを混在させることが好ましい。また、キャスタブル18の原料に、珪藻土に少なくとも導電性カーボンとフェライトとを混合してもよい。キャスタブル18に形成する通気孔は、焼却灰が落下可能な大きさである。
【0024】
燃焼物収容部60は、有機物を投入する投入口61と、有機物を自然落下させる供給壁62とを有している。
投入口61には、蓋体63が設けられ、一定量の有機物を投入した後には蓋体63によって閉じられる。
供給壁62は、その傾斜角度を、水平面に対して45度〜65度の範囲とする、供給壁62の傾斜角度が45度未満であると、有機物が自然落下しにくく、継続燃焼ができないだけでなく、一次燃焼室21との間に空間が形成されることで燃焼が不安定となる。一方、供給壁62の傾斜角度が65度を越えると、壁面に沿って落下する現象が生じず、一次燃焼部21に過剰に有機物が蓄積されて燃焼効率が低下する。供給壁62の傾斜角度を62度とすることが最も好ましく、継続使用による壁面への付着発生が少なく、壁面に付着物が発生しても有機物を自然落下させることができる。
【0025】
一次燃焼部21の上方には、有機物の供給量を変更する可変板13を設けている。可変板13は、空気供給口12よりも上流側に配置する。可変板13での有機物の供給量の変更は、可変板13を一次燃焼部21に近接離間させることで行う。従って、可変板13は、高さ方向の位置を変更して固定することができるように構成されている。
可変板13は、耐火煉瓦や断熱煉瓦と同様に耐火壁として機能し、例えば耐火骨材と粘土を原料として焼結することで形成する。従って、既に説明したキャスタブル18で形成することが好ましく、セラミックボール20cを混在させることが好ましい。また、可変板13の原料に、珪藻土に少なくとも導電性カーボンとフェライトとを混合してもよい。なお、可変板13は、キャスタブル18とは異なり、通気孔は備えていない。
一次燃焼部21の下方には、スクリューなどからなる焼却灰排出部14が設けられ、所定量の焼却が行われたタイミングで、焼却灰を排出する。
一次燃焼部21は、二次燃焼部22よりも低い位置に形成することで、一次燃焼部21と二次燃焼部22との間には、傾斜面20dが形成される。
【0026】
以下に本実施例による燃焼装置の動作について説明する。
燃焼物収容部60に所定量の有機物が投入され蓋体63を閉じる。ここでの有機物は主に廃棄物である。燃焼は、燃焼物収容部60に所定量の有機物を堆積させた状態で行わせる。燃焼物収容部60内に、所定量の有機物を堆積させることで、投入口61からの燃焼物収容部60下方への酸素供給を制限でき、有機物を燃焼させることなくガス化させることができる。
投入する有機物によって可変板13の位置を変更する。水分量の多い有機物の場合には可変板13を高くし、水分量が少ない有機物の場合には可変板13を低くする。
燃焼物収容部60は、所定高さを有しているため、詰め込んだ有機物によって空気は遮断され、投入口61からの流入空気が一次燃焼部21に作用することはほとんどない。
【0027】
一次燃焼部21での点火は、図示しないバーナーなどを用いて行い、燃焼が開始される。空気供給口12を一次燃焼部21と二次燃焼部22との間に配置していることで、一次燃焼部21では、600℃以下程度の未燃状態として燃焼ガスを発生させる。
一次燃焼部21での燃焼温度を低くすることで、有機物に金属やシリカ系材料が混入していても、溶融することはなく、焼却灰排出部14によって排出できる。
【0028】
一次燃焼部21で発生した未燃ガスは、空気供給口12から導入される空気によって、二次燃焼部22において燃焼する。このとき、底面20a及び天面20bには、多数のセラミックボール20cを埋め込んでいるため、セラミックボール20cによって二次燃焼部22の温度を上昇させることができ、燃焼効率を高めることができる。
二次燃焼部22の燃焼ガスは、燃焼ガス流路部51に導かれるが、二次燃焼部22が矩形空間であるために、二次燃焼部22から燃焼ガス流路部51に導入する際に、燃焼ガスの流れが大きく乱れ、この乱流発生によって燃焼が促進される。
【0029】
燃焼ガスは、燃焼ガス流路部51で最高温度に高められて上昇し、隔壁筒32の上部で熱交換部40の天面と接触する。燃焼ガスは、熱交換部40と接触することで放熱し、降下流路部52を降下する。燃焼ガスは、降下流路部52を降下する間も放熱して燃焼ガス温度は低下する。燃焼ガス温度の低下によって燃焼ガスの降下作用を促進することができる。
降下流路部52を降下した燃焼ガスは、上昇流路部53を上昇する。このとき、上昇流路部53の流路断面積は、降下流路部52の流路断面積よりも大きくしているため、上昇流路部53での燃焼ガスの流速は、降下流路部52での流速より低下する。上昇流路部53での燃焼ガスの流速が低下することで、煤は分離して煤溜部17に堆積する。上昇流路部53での燃焼ガスの流速を低下させているので、堆積した煤を燃焼ガスによって再び巻き上げることも防止できる。
【0030】
上昇流路部53を上昇した燃焼ガスは、燃焼筒33に導かれる。燃焼筒33には、エジェクタ11が設けられ、空気が吸引されることで、未燃ガスは再び燃焼して完全燃焼させることができる。
一方、吸水口41から導入される水は、燃焼ガスから吸熱して高温水となり、高温水は熱交換部40内で上昇して排出口42から導出する。
なお、一次燃焼部21で燃焼されて有機物がガス化されると、未燃の有機物が供給壁62に沿って自然落下して一次燃焼部21に新たな有機物が供給され、燃焼が継続される。
【0031】
以上のように、本実施例による燃焼装置は、熱交換部40を、軸心を鉛直方向とした円筒状に形成し、燃焼ガスが流れる流路部として、燃焼ガスを熱交換部40の内周面に沿って降下させる降下流路部52と、燃焼ガスを熱交換部40の外周面に沿って上昇させる上昇流路部53とを有し、燃焼部20からの燃焼ガスを、降下流路部52に導き、その後に上昇流路部53に導くことで、燃焼ガスを、熱交換部40の内周面に沿って降下させ、その後に熱交換部40の外周面に沿って上昇させるため、効率よく熱交換させることができる。
【0032】
また、本実施例による燃焼装置は、熱交換部40の内部に、軸心を鉛直方向とした円筒状の隔壁筒32を配置し、燃焼部20を、隔壁筒32の下方に配置し、降下流路部52を、隔壁筒32と熱交換部40との間に形成したことで、燃焼ガスを熱交換部40の内周面に沿って確実に流すことができる。
【0033】
また、本実施例による燃焼装置は、燃焼部20が、隔壁筒32の直径より大きな幅寸法で、隔壁筒32の直径より大きな奥行き寸法の底面20aと、底面20aと対向し、隔壁筒32の直径より小さな高さ寸法の天面20bとを有し、底面20a及び天面20bには、多数のセラミックボール20cを埋め込んでいることで、燃焼部20が隔壁筒32の流路断面積よりも大きいために、隔壁筒32内での燃焼ガスの流速を高めることができ、また燃焼部20が隔壁筒32と同じ円形断面では無いために、燃焼部20から隔壁筒32に燃焼ガスが流入する際に、乱流を引き起こして隔壁筒32内にて完全燃焼させることができ、更に燃焼部20には多数のセラミックボール20cが埋め込まれていることで燃焼部20の燃焼温度を高めることができる。
【0034】
また、本実施例による燃焼装置は、燃焼部20が、有機物を燃焼によりガス化する一次燃焼部21と、一次燃焼部21の下流側に形成される二次燃焼部22からなり、一次燃焼部21を、燃焼部20の上流側であって、底面20aよりも低い位置に形成し、一次燃焼部21と二次燃焼部22との間に、空気を供給する空気供給口12を配置したことで、一次燃焼部21では燃焼温度を低くすることで、金属やシリカ系材料が混入していても、これらが溶融することが無いために、クリーンな燃焼を行うことができる。
【0035】
また、本実施例による燃焼装置は、一次燃焼部21に有機物を供給する燃焼物収容部60を備え、燃焼物収容部60が、有機物を自然落下させる供給壁62を有し、供給壁62の傾斜角度を、水平面に対して45度〜65度の範囲としたことで、自然落下を利用して有機物の供給を行うことができるため、有機物の供給のための動力源を必要としない。
【0036】
特に、本実施例による燃焼装置は、傾斜角度を62度とすることで、供給壁62に付着物が発生しにくく、また多少の付着物が発生しても有機物を自然落下させることができる。
【0037】
また、本実施例による燃焼装置は、一次燃焼部21への有機物の供給量を変更する可変板13を設けたことで、有機物に含まれる水分量に応じて供給量を変更することができるため、一次燃焼部21でのガス化を適切に調整することができる。
【0038】
また、本実施例による燃焼装置は、上昇流路部53の流路断面積を、降下流路部52の流路断面積よりも大きくし、上昇流路部53の下部に煤溜部17を形成したことで、上昇流路部53での燃焼ガスの流速が低下するため、煤溜部17に煤を確実に蓄積し、煤の排出を減少させることができる。
【0039】
また、本実施例による燃焼装置は、上昇流路部53の外部に、軸心を鉛直方向とした円筒状の外壁筒31を配置し、燃焼部20を基台10に形成し、基台10の上面に外壁筒31を載置したことで、外壁筒31の取り外しが容易で、熱交換部40のメンテナンスを行いやすい。
【0040】
また、本実施例による燃焼装置は、送風機15を用いることなく燃焼ガスを流すことができ、電力のない場所でも利用することができる。
【0041】
以下に本発明の他の実施例を
図4に示す。
図4は本発明の他の実施例による燃焼装置の断面構成図であり、
図1に示す実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施例による燃焼装置は、キャスタブル18の下方に、空気を供給するガス化用空気供給管71を設けている。ガス化用空気供給管71から空気を導入することで、有機物を適切にガス化させることができる。例えば、ガス化発生室に十分な空気が存在しない場合には、燃焼物収容部60の下部の有機物は炭化しても灰とならずに堆積してしまう。そして、灰にならない炭化物が燃焼物収容部60の下部に堆積されると新たな有機物が落下することができず、十分な燃焼が行われにくくなる。このような場合には、ガス化用空気供給管71からの空気量を増加させることで、有機物のガス化を促進する。
【0043】
従って、ガス化用空気供給管71には、空気量調整機構を備えていることが好ましい。ガス化用空気供給管71に設ける空気量調整機構には、ダンパーやバルブを用いることができ、ダンパーやバルブによって、空気供給口や空気供給路の開口面積を変更することができる。また、燃焼部20内の温度を計測し、燃焼部20内の温度によって、又は燃焼部20内と燃焼装置外との温度差によって、空気量調整機構を制御してもよい。燃焼部20内の温度が低い場合、又は燃焼部20内と燃焼装置外との温度差が小さい場合には、空気量調整機構によってガス化用空気供給管71を流れる空気量を増加させる。
また、ガス化用空気供給管71から蒸気を導入することも好ましい。ガス化用空気供給管71から蒸気を導入することで燃焼筒33からのカーボン粒子の排出を減少させることができる。なお、蒸気導入は、ガス化用空気供給管71とは別の供給管から、ガス化発生室内に導入してもよい。
【0044】
また本実施例による燃焼装置は、ガス化発生室に不燃ガスを噴出させる不燃ガス供給管72を設けている。不燃ガス供給管72からの不燃ガスの噴出によって燃焼を停止させることができる。不燃ガス供給管72は、特に燃焼物収容部60の下部に設けることが有効である。図示はしないが、不燃ガス供給管72にはボンベが接続され、燃焼停止指令によって、例えばバルブを開放してボンベから不燃ガスを不燃ガス供給管72に供給する。
不燃ガスには、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガスを用いることができる。なお、不燃ガスとともに、又は不燃ガスに代えて、ウオーターミストや消火薬剤を用いてもよい。
燃焼停止命令は、燃焼装置への供給電源の停電検知、燃焼装置の異常検知、又は地震発生検知を検知手段が検知することで制御部からバルブ駆動手段に対して行われる。