(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057217
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】利得範囲選択を備えた電磁放射線検出器
(51)【国際特許分類】
H04N 5/32 20060101AFI20161226BHJP
G01T 1/17 20060101ALI20161226BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20161226BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20161226BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20161226BHJP
H04N 5/374 20110101ALI20161226BHJP
【FI】
H04N5/32
G01T1/17 G
G01T1/20 E
G01T1/20 G
H01L27/14 A
H01L27/14 K
H04N5/335 740
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-506635(P2013-506635)
(86)(22)【出願日】2011年4月26日
(65)【公表番号】特表2013-530582(P2013-530582A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011056590
(87)【国際公開番号】WO2011134965
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月21日
(31)【優先権主張番号】1053181
(32)【優先日】2010年4月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】598162056
【氏名又は名称】トリクセル エス.アー.エス.
【氏名又は名称原語表記】TRIXELL S.A.S.
(73)【特許権者】
【識別番号】510163846
【氏名又は名称】コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ロー、ピエール
(72)【発明者】
【氏名】モロ、ジャン−リュック
【審査官】
鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−105480(JP,A)
【文献】
特開2008−193163(JP,A)
【文献】
特表2008−546313(JP,A)
【文献】
特開2008−099073(JP,A)
【文献】
特開2006−086425(JP,A)
【文献】
特開2011−114680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 − 5/378
H01L 21/339
H01L 27/14 −27/148
H01L 29/762
G01T 1/00 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行および列のアレイに組織された複数の画素(10、30、40)を含む、電磁放射線を検出するための検出器であって、画素の各列または各行が前記アレイの同じ読み取りバス(26)に接続され、画素が前記検出器の基本感受性要素を示し、各画素が、それが受ける電磁放射線(13)を電気信号に変換する検出器であって、各画素(10、30、40)が:
・ 複数の感光性要素(11、12;41〜49)であって、各感光性要素が前記感光性要素(11、12;41〜49)によって受けた放射線を基本電気信号に変換する感光性要素(11、12;41〜49)と;
・ 前記検出器に対して選択された利得範囲に応じて、画素(10、30、40)の電気出力信号を形成するように、前記画素(10、30、40)の前記感光性要素(11、12;41〜49)によって生成された前記基本電気信号から選択する選択手段(36、38)とを含み、
各画素(30)が、各感光性要素(11、12)に関連して、該感光性要素(11、12)と前記選択手段(36、38)との間に、前記画素(30)を読み取るための読み取りアクチュエータ(31、32)を含み、
前記選択手段(36、38)は、前記アクチュエータ(31、32)と前記検出器の読み取り回路(20)の間に位置し、前記基本電気信号が形成される画像取得段階中に電流源と接続して前記アクチュエータ(31、32)に電流を供給し、前記電気出力信号が前記読み取り回路(20)に転送される前記画素(30)の読み取るための段階中に、少なくとも1つが前記読み取り回路(20)と接続して前記画素(30)の前記電気出力信号を形成する前記感光性要素(11、12)を選択する
ことを特徴とする検出器。
【請求項2】
前記基本電気信号が、電圧の形態で、前記感光性要素(11、12;41〜49)によって蓄積された電荷から形成されることと、前記電気出力信号が、前記感光性要素(11、12;41〜49)のうちの1つまたは複数の選択された感光性要素から電圧の平均によって形成されることとを特徴とする、請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
1つの感光性要素が、受けた前記放射線を単一の基本電気信号に変換する複数の光検出器(42〜49)から形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の検出器。
【請求項4】
各画素(40)が、第2の利得範囲に使用可能な第2の感光性要素を形成する複数の光検出器(42〜49)に囲まれた、第1の利得範囲に使用可能な第1の感光性要素(41)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の検出器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出器が、入射放射線(X)を前記感光性要素が敏感な波長範囲の放射線に変換するシンチレータ(63)を含むことを特徴とする検出器。
【請求項6】
前記画素が単色であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の検出器が、前記画素(10、30、40)が配置されている基板(61)から形成されていることを特徴とする検出器。
【請求項8】
前記アクチュエータは、フォロワモードで動作するトランジスタであることを特徴とする、請求項1に記載の検出器。
【請求項9】
前記トランジスタは、前記感光性要素によって作られた電荷が蓄積される基本ノードと接続されることを特徴とする、請求項8に記載の検出器。
【請求項10】
前記トランジスタは、該トランジスタに接続された電流源と該トランジスタとは別のトランジスタとにより制御されることを特徴とする、請求項8に記載の検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像に使用される電磁放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の検出器は、一般にアレイ状またはストリップ状に組織された、多くの画素と呼ばれる感光性ドットを含む。画素は、検出器の基本感受性要素を示す。各画素は、それが受ける電磁放射線を電気信号に変換する。様々な画素によって伝達された電気信号は、アレイを読み取るための段階中に収集され、次いで処理ができるようにデジタル化され、そして画像を形成するために格納される。画素は、受けた光子束に応じて電荷の流れを運ぶ感光性領域と、この流れを処理するための電子回路とからなる。感光性領域は、例えば、フォトダイオード、フォトレジスタまたはフォトトランジスタであってもよい、感光性要素または光検出器を一般に含む。大きな感光性アレイが知られており、それは数百万の画素を有してもよい。
【0003】
一般に各画素は、感光性要素と、例えばスイッチ、コンデンサおよび抵抗器を含む電子回路とからなり、その電子回路の下流にアクチュエータが配置されている。感光性要素および電子回路によって形成されたアセンブリにより、電荷を生成し、収集することができる。電子回路では一般に、電荷転送後、各画素に収集された電荷をリセット可能である。アクチュエータの役割は、回路で収集された電荷を読み取りバスに転送することである。この転送は、アクチュエータがそうするよう指示を受けた場合に行われる。アクチュエータの出力は画素の出力に対応する。
【0004】
このように、検出器は同様の画素のアレイを含み、隣接した画素の各列(または各行)は、一般に同じ読み取りバスに接続されている。
【0005】
この種の検出器では、画素は、感光性要素によって生成された電荷を画素の電子回路が蓄積する画像取得段階と、収集された電荷がアクチュエータによって読み取りバスに転送される読み取り段階との二段階で作動する。
【0006】
画像取得段階中、アクチュエータは受動的であり、収集された電荷により感光性要素とアクチュエータとの間の接続ポイントでポテンシャルが変わる。この接続ポイントは、画素の電荷収集ノードと呼ばれる。読み取り段階中、感光性ドットに蓄積された電荷を自由にするために、それを転送もしくはコピーするために、または電荷収集ノードのポテンシャルを検出器の読み取り回路にコピーするために、アクチュエータは能動的である。
【0007】
表現「受動アクチュエータ」は、アクチュエータが読み取り回路と電気的に接触しないことを意味すると理解される。このように、アクチュエータが受動的である場合、画素に収集された電荷は読み取り回路に転送もコピーもされない。
【0008】
アクチュエータは、クロック信号によって制御されたスイッチであってもよい(それは一般にトランジスタである)。アクチュエータはまた、フォロワ回路または、画素に収集された電荷を読み取り回路とやりとりさせたり、または転送させたりできる任意の他の装置であってもよい。例えば、それは容量性トランスインピーダンス増幅器(CTIA)であってもよい。
【0009】
この種の放射線検出器は、医療分野または産業分野の非破壊検査において、離散放射線、および顕著にはX線もしくはγ線を撮像するため、または放射線像を検出するために使用してもよい。感光性要素により、可視範囲または近可視範囲の電磁放射線を検出することができる。これらの要素は、検出器に入射した放射線に敏感ではない、またはそれほど敏感ではない。このように、入射放射線、例えばX線を画素中にある感光性要素が敏感である波長範囲の放射線に変換するために、シンチレータと呼ばれる放射線変換器が使用される。
【0010】
画像取得段階中、各感光性要素が受けた光子の形態の電磁放射線が電荷(電子/ホールのペア)に変換され、各画素は一般に、画素の収集ノードの電圧を変更するために、この電荷を蓄積できるコンデンサを含む。このコンデンサは、感光性要素に固有であってもよく、次いで寄生コンデンサについて述べられたり、または感光性要素と並列接続されたコンデンサの形態で加えられたりする。
【0011】
このように従来技術によれば、各画素は単一の感光性要素を含み、1つの感光性領域を含む。
【0012】
現在の感光性要素は、放射線束の変化と一致するように直接調節することができない。人間の目では、この調節は虹彩によって実行され、虹彩は強い照度下では入射光束を低減する傾向がある。同様にカメラでは、この機能はシャッタによって達成される。上記のような放射線検出器では、この調節は達成するのがはるかにより難しい。
【0013】
それは各画素にコンデンサを加えることにより、フラックスの変化と一致させることが求められている。コンデンサは、必要であれば、感光性要素と並列接続されてもよい。さらに正確には、低光度の場合では、追加コンデンサが検出器のすべての画素の中で分離される。検出器が強く照射される場合、画素の電圧を下げるために、すべての画素のコンデンサが接続される。言いかえれば、このコンデンサにより、画素の利得を、受けた光子数と画素の電圧との間のその伝達関数によって修正することができる。追加コンデンサは例えば、金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタのような電子スイッチによって接続される。
【0014】
異なる利得範囲で画素を使用可能にするこの解決策は、多くの欠点を有する。第1に、追加コンデンサの接続を可能にするスイッチは漏れ電流を生成するため、画素のノードの電圧を妨害する。この電流は、顕著にはコンデンサを分離しなければならない場合、画素の性能を低下させる。第2に、画素の領域のうちのいくらかは、感光性要素の領域を失って、追加コンデンサによって占められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、各画素の中で利得範囲を選択してもよく、この選択を行うために追加コンデンサを使用しない放射線検出器を提供することにより、上記問題のすべてまたはいくつかを改善するのが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のために、本発明の主題は、電磁放射線を検出するための検出器であって、行および列のアレイ状に組織された複数の画素を含み、画素の各列または各行はアレイの同じ読み取りバスに接続され、画素は検出器の基本感受性要素を示し、各画素はそれが受ける電磁放射線を電気信号に変換する検出器であって、各画素が以下を含むことにより区別される検出器である:
・ 複数の感光性要素であって、各感光性要素はそれが受けた電磁放射線を基本電気信号に変換する感光性要素と;
・ 検出器に対して選択された利得範囲に応じて画素の電気出力信号を形成するように、画素の感光性要素によって生成された基本電気信号から選択するための手段。
【0017】
各画素は、複数の感光性要素が配置されている感光性領域を含む。
【0018】
利得範囲は、画素の外部で選択される。利得範囲は、オペレーターが手動で選択してもよい。利得範囲の選択はまた、例えば検出器の近くに、光電池のような光検出器を例えば配置することにより自動化してもよく、光検出器は検出器が受けた平均照度についての情報を伝達する。次いで、範囲の選択はこの平均照度を事前設定したしきい値と比較することにより行う。
【0019】
低照度の場合では、画素の利得はできるだけ高くなければならない。次いで、画素のすべて、または少なくとも最も敏感な感光性要素が、画素の電気出力信号を形成するために使用される。感光性要素はより大きな設置面積を有するため、画素の最大利得が増加する可能性がある。言いかえれば、所定の画素領域に対して、検出器の感度が低照度下で増加する。
【0020】
本発明は、すべての画素が単色で同一である単色検出器において使用してもよい。すべての画素は同じ放射線を検出する。本発明はまた、単色画素群が配置されているカラー検出器において使用してもよい。所定の画素群では、各画素は、所定の波長範囲の放射線を検出するように意図されている。画素群は例えば、3つの基本画素を含んでもよい。3つの基本画素のうちの1つは赤色光を検出し、別のものは緑色光を検出し、そして3番目のものは青色光を検出する。本発明は、基本画素の各々において使用してもよい。
【0021】
本発明は一層よく理解され、他の利点は例示的実施形態の詳細な説明を読んで明確になる。説明は添付図により図示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による検出器において使用することができる、第1の実施形態による画素を図式的に示す。
【
図2】本発明による検出器において使用することができる、第2の実施形態による画素を図式的に示す。
【
図3】画素内部の複数の感光性要素の空間的配置の例を示す。
【
図4】X線放射線学で使用できる可能性のある放射線検出器の例を示す。
【0023】
理解を容易にするために、様々な図において、同じ要素は同じ参考番号を付けている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
2つの実施形態は、2つの感光性要素を含む画素について記述している。当然、本発明は2つの感光性要素を含む画素に限定されない。検出器により提供される利得範囲の数を増加させるために、より多くの感光性要素を使用してもよい。
【0025】
本発明による検出器は一般に、アレイ状またはストリップ状に組織された多くの画素によって形成される。これらの画素は一般に同一である。
【0026】
図1は、放射線13を検出することができる、2つのフォトダイオード11および12を含む画素10を示す。2つのフォトダイオード11および12は、完全なダイオードおよびコンデンサとして示され、コンデンサ、ここでは寄生コンデンサはダイオードと並列接続されている。この図示により、フォトダイオードの動作を理解することができる。フォトダイオードは、放射線13による照射の間に充電される寄生コンデンサを含む。寄生コンデンサを充電することで、フォトダイオード11および12の各々により、それぞれのカソードへ伝達される基本電気信号が形成されている。フォトダイオード11および12の各々のアノードは、検出器の接地面に接続されている。
【0027】
フォトレジスタおよびフォトトランジスタのような他の感光性要素類とともに、本発明を用いることは当然可能である。当然、図はこれら他の感光性要素類については変更する必要がある。
【0028】
さらに、感光性要素は、受けた放射線を単一の基本電気信号に変換することができる複数の光検出器(フォトダイオード、フォトレジスタ、フォトトランジスタなど)から形成されてもよい。
【0029】
画素10は、1つまたは両方のフォトダイオード11および12の基本電気信号を選択し、検出器に対して選択された利得範囲に応じて、画素10の出力電気信号を形成するための手段を含む。さらに正確には、電圧の形態の基本電気信号は、考慮される感光性要素11または12によって蓄積された電荷によって形成され、電気出力信号は、1つまたは複数の選択された感光性要素11および12からの電圧の平均によって形成される。示した例では、画素10は、各々、2つのフォトダイオード11および12のうちの1つを画素10のノード16に接続可能にする2つの選択スイッチ14および15を含み、このノードは画素10の出力信号が形成されるポテンシャルポイントを形成する。より一般的には、画素10は、感光性要素うち少なくとも1つをノード16に接続可能にする少なくとも1つの選択スイッチを含み、このノードは、画素10を読み取り可能にするアクチュエータ19の上流に位置する。本実施形態では、アクチュエータ19はフォロワモードで作動するNMOSトランジスタである。
【0030】
フォロワモードで作動するトランジスタは、単純なスイッチと異なり、読み取り回路にコレクションノード16を直接接続させるのではなく、クロック信号23が電流を流すと、画素10のコレクションノード16上の電圧の値を出力22にコピーする。その電圧はトランジスタ19のしきい電圧Vthによって変わる。出力22は、本発明ではスイッチによって形成される。このコピーにより、出力22が確実に低インピーダンスを有しながら、ノード16に蓄積された電荷を変化させないでおくことができる。
【0031】
示した例では、フォトダイオード11の領域はフォトダイオード12の領域より大きい。この領域差は、図中、フォトダイオード11および12の寸法によって示す。実際には、低照度下で2つのフォトダイオード11および12を連結することができるだろう。また、フォトダイオード12のみ放射線13による高照度下で使用される。
【0032】
低照度の場合には、恐らくフォトダイオード11のみが使用され、読み取り段階中にスイッチ15はオフにされる。この変形例は画素10の有用な感光性領域を減少させるが、ノード16に接続される構成要素の数を削減でき、そのため、ノード16からの漏れ電流を減少させることができる。このことにより、画素10の出力信号上のノイズが低減される。
【0033】
変形例として、スイッチ15を除去し、フォトダイオード12をノード16に永久に接続しておき、低照度下で利得範囲を変更したい場合、スイッチ14のみ閉じることができる。この変形例はまた、画素10のノード16に接続される構成要素の数を減少させることができる。この変形例を一般化して、各画素10はN個の感光性要素およびN−1個の選択スイッチを含んでもよい。Nは2以上であり、感光性要素のうちの1つは、読み取りアクチュエータ19に永久に接続される。
【0034】
有利には、読み取りアクチュエータ19に永久に接続される感光性要素12は、所定の入射電磁放射線13に対して、1つまたは複数の他の感光性要素、例えば感光性要素11によって生成された1つまたは複数の基本信号より小さい基本信号を生成する。
【0035】
調整コンデンサ17および18は、それぞれフォトダイオード11および12と並列接続して、その結果、フォトダイオード11および12の各々に関連する電気容量を増加させてもよい。実際には、コンデンサ18は、フォトダイオード12によって伝達された基本信号の電圧を減少させるために、多くの場合必要である。対照的に、コンデンサ17は、フォトダイオード11の面積がより大きく、そのためその寄生容量もより大きいため、多くの場合必要ではない。一般に追加コンデンサおよび少なくともコンデンサ17を用いずに行い、その結果、フォトダイオード11および12と並列の構成要素の数を制限することは有利である。これは、これらの構成要素が基本信号の質に悪影響を及ぼす漏れ電流を生成するためである。その上、これらの構成要素は嵩高く、各画素の有用な領域、すなわち感光性要素の検出領域を減少させる。さらに、小面積フォトダイオード12を用いることは一般に、調整コンデンサ18が必要ないことを意味し、このことは本発明の付加的利点である。フォトダイオード12の検波利得が考慮される場合、小さい検出領域は調整コンデンサの追加を補償する。
【0036】
追加コンデンサ17および18を使用するかしないかは、選択されるフォトダイオードおよび各基本信号の所望の電圧レベルに依存する。一般に、それらの電気容量は、それらが関連するフォトダイオードの寄生容量の20%〜500%である。
【0037】
コンデンサ17および18が必要でも、画素の利得範囲および顕著には小面積フォトダイオード12についての画素の利得範囲を修正するために、コンデンサ17および18はより小さい電気容量を有し、そのために、従来技術で使用されるコンデンサより例えば10〜20倍小さいことに留意されたい。これは、1つの画素当たり単一の感光性要素で、画素ができるだけ高い利得を可能にする寸法を有さなければならないからである。したがって、それは大きな光電流を生成してもよく、その利得範囲を変更するために画素の利得を減少させることが望まれる場合、コンデンサは高い電気容量を有さねばならないことを意味する。対照的に、本発明では、コンデンサ18は単にフォトダイオード12に適さねばならず、フォトダイオード12は画素の領域の一部のみを覆い、したがって、部分的な電流または光電流のみを生成する。したがって、コンデンサ18は従来技術のコンデンサより小さい。
【0038】
画素10の読み取りアクチュエータ19により、ノード16を検出器の読み取り回路20に接続することができる。アクチュエータ19は、各フォトダイオード11および12の基本電気信号が形成される画像取得段階中オフにされる。アクチュエータ19は、電気出力信号がノード16から読み取り回路20に転送される画素10の読み取り段階中オンにされる。
【0039】
読み取りアクチュエータ19は、例えば、そのソースSに接続された2つのスイッチ21および22によって制御された電界効果トランジスタである。トランジスタ19のドレインDに関しては、それは電圧源25に接続されている。次いで、トランジスタ19はフォロワモードで作動する。スイッチ21により、定電流源23をソースSに接続することができ、スイッチ22により、ソースSを読み取り回路20に接続することができる。
【0040】
スイッチ21および22によって制御された読み取りアクチュエータ19により、画素10を読み取るために、それをアドレス指定することができる。行はスイッチ21によって選択され、それによって、読み取り段階中に電流をフォロワトランジスタ19内に流すことができる。画素10のノード16上の電圧は、Vth内へ、画素10の出力スイッチ22へコピーされる。ポテンシャルVthはトランジスタ19のしきい電圧に対応する。列はスイッチ22によって選択され、一方は出力スイッチ22の出力に、他方は読み取り回路20に接続された列読み取りバス26に、コレクションノード16上の電圧をコピーするために、スイッチ22はオンにされる。これにより、適切な行/列アドレス指定ができる。
【0041】
画素10はまた、例えば、画素10の読み取り段階後にフォトダイオード11および12のそれぞれのカソードに適用してもよい、消去電圧24からなるゼロ設定手段を含む。
【0042】
このように、この第1の実施形態を用いて、1つの画素が異なる領域の2つの感光性要素または光検出器をどのように含んでもよいかを示している。一般に、このような構造では、小さい方の感光性要素の領域は大きい方の感光性要素の領域よりも2〜10倍小さくなる。
【0043】
当然この第1の実施形態では、本発明は所定の画素における異なる領域の2つの感光性要素を使用することに限定されず、その代わりに、いくつかの感光性要素、恐らく異なる寸法の感光性要素を所定の画素において使用してもよい。これらの要素は、全く同一のアクチュエータ19に接続されている。
【0044】
図2は、放射線13を検出することができる2つのフォトダイオード11および12と、ゼロ設定手段24とを含む画素30を示す。画素30では、画素10とは対照的に、2つのフォトダイオード11および12に共通のノード16はない。画素30は、各フォトダイオード11および12に関連して、それぞれフォロワモード31および32で作動するトランジスタを含む。これらの構成要素31および32は、アクチュエータとして代替的に使用される。画素30のアクチュエータがどのようにフォロワトランジスタ31またはフォロワトランジスタ32になりえるかをここで示す。2つのフォトダイオード11および12の各々によって作られた基本電気信号を形成する画像取得段階中、読み取りトランジスタ31および32はオフにされる。読み取り段階中に、アクチュエータは、フォロワトランジスタ31またはフォロワトランジスタ32のいずれかであり、それによって、画素30の電気出力信号を形成するフォトダイオードをフォトダイオード11および12から選択することができる。
【0045】
各フォトダイオード11および12によってそれぞれ作られた電荷が蓄積する基本ノード33および34が画定される。ノード33および34は、検出器の読み取り回路20に対して、トランジスタ31および32の上流に位置する。ノード33および34のインピーダンスは、スイッチ31および32の下流のインピーダンスよりはるかに高い。前の実施形態に述べたスイッチ14および15を除去することにより、基本ノード33または34に接続された構成要素の数を制限することができる。これにより、各ノード33および34の漏れ電流を減少させ、ノード33および34の各々から得られる基本信号の質を改善することができる。
【0046】
画素10に関しては、トランジスタ31および32はそれぞれ、トランジスタ31にはスイッチ35、36、およびトランジスタ32にはスイッチ37、38の2個のスイッチによって制御する。スイッチ35および37は、定電流源23を接続することができ、スイッチ36および38は、ノード33および34の各々上の電圧を読み取り回路20にコピーすることができる。
【0047】
第1の実施形態のように、漏れ電流、またはそれらが生成する寄生容量は、スイッチがアクチュエータ19の上流に配置される場合より、画素の電気出力信号に対する影響が少ない。これは、
図1に示した第1の実施形態において、スイッチがアクチュエータ19の上流、すなわち高インピーダンス領域に配置される場合、スイッチは寄生電流または寄生容量を生成することができ、寄生容量はスイッチの端子と制御回路との間を形成するからである。このことは画素のノードでの電荷を変化させ、それによって、画素の出力信号に望ましくない変動を引き起こす。
【0048】
図2に示した第2の実施形態では、スイッチ35〜38は範囲を選択できる、すなわち低インピーダンス領域のスイッチ31および32の下流に配置される。したがって、スイッチ35〜38は、画素の電気出力信号に影響をあまり与えない。
【0049】
2つのフォトダイオード11および12は異なった寸法であることが好ましい。最小のフォトダイオード12の基本信号は、恐らく高い照度に対して選択され、この場合、画素30のアクチュエータはトランジスタ32である。低照度下では、大きい方のフォトダイオード13の基本信号が選択される。この場合、画素30のアクチュエータはトランジスタ31である。また、フォトダイオード11および12は同程度の寸法であるが、異なる利得を有することができる。これにより、2つのフォトダイオード11および12のうち一方または他方を、画素30に望ましい利得に応じて選択することができる。このように、この実施形態では、画素は各々がアクチュエータの上流に配置された複数のフォトダイオードからなる。各画素について、使用されるアクチュエータおよびフォトダイオードは、検出器上に入射する放射線の輝度に応じて選択される。
【0050】
上記の場合のように、
図2の変形例は2つのフォトダイオードに限定されず、フォトダイオードの数は、利得範囲の所望の数によって必要に応じて変えてもよい。さらに、他の感光性要素類は、この変形例の文脈の中で当然使用してもよい。最後に、感光性要素は、全く同一のノード33または34に関連した複数の光検出器から形成されてもよい。
【0051】
図3は、画素40中の複数の感光性要素の空間的配置の例を示す。この配置は
図1および2に示した2つの変形例に適用することができる。
【0052】
画素40は、高照度下で単独で使用可能な第1の感光性要素41を含む。要素41は例えば、失う空間を最小化するように正方形または任意の長方形の形状を有する。要素41は例えば、単一の光検出器から形成される。要素41は、単一の基本信号をともに伝達するように接続された、8つの他の光検出器42〜49に囲まれている。8つの光検出器42〜49は、有利には感光性要素41を形成する光検出器と同じ形状を有する。光検出器42〜49は、より低照度下で同時に使用することができる。言いかえれば、それらは同じトランジスタ、例えば
図2の変形例における31または同じ選択スイッチ、例えば
図1の変形例における14に接続されている。光検出器41〜49はすべて、検出器の製造を単純化するために同一であってもよい。2つの領域50および51は、要素41〜49の間の導電体を経路づけるために使用され、領域52は画素40の様々な電子スイッチおよびアクチュエータを収容するために使用される。
【0053】
より一般的には、各画素40は、第2の利得範囲に使用可能な第2の感光性要素を形成する複数の光検出器42〜49に囲まれた、第1の利得範囲に使用可能な第1の感光性要素41を含む。
図2の変形例では、第1の感光性要素および光検出器42〜49はそれぞれ、第1のポテンシャルアクチュエータおよび第2のポテンシャルアクチュエータに接続され、用語「ポテンシャル」は、これらのアクチュエータは両方とも画素30の代替アクチュエータであることを意味すると理解される。入射放射線の輝度に応じて、第1の感光性要素および第1のポテンシャルアクチュエータが使用されるか、光検出器42〜49および第2のポテンシャルアクチュエータが使用される。
【0054】
実施形態に応じて、n個の光検出器群を所定の画素に配置してもよく、各光検出器群は少なくとも1つの感光性要素を含み、各感光性要素群はポテンシャルアクチュエータに接続され、その結果、入射放射線の輝度に応じて、単一の光検出器群およびそれに接続されるポテンシャルアクチュエータを選択されることが理解されるだろう。
【0055】
図4は、X線またはγ線放射線学に使用することができる放射線検出器60を示す。検出器は、基板61、例えばシリコン基板から形成され、その上には感光性センサ62を形成するように、アレイ状に組織された画素が配置されている。センサ62は、Xまたはγ線の非常に短い波長の放射線に直接敏感ではない。このため、発光物質の層を含む放射線変換器63は、感光性センサ62に関連している。この物質は、そのような放射によって励起されると、より長い波長の放射線、例えばセンサ62が敏感である可視または近可視の範囲の光を放射する特性を有する。放射線変換器63によって放射された光はセンサ62の感光性要素を照射し、感光性要素は光電変換を行い、読み取り回路20によって読み取ることができる電気信号を伝達する。一般にシンチレータ63と呼ばれる放射線変換器63は、シンチレータ63によって放射された放射線を透過することができる接着剤フィルム64でセンサ62に固定してもよい。図示していない入射窓は、外部環境からの攻撃から保護するようにシンチレータ63を覆ってもよい。
【0056】
アルカリ金属ハロゲン化物類または希土類酸硫化物類の特定の発光物質は、それらの良好な性能のために頻繁に使用されている。それぞれ、約400ナノメータまたは550ナノメータの放射のどちらが望ましいかに応じて、アルカリ金属ハロゲン化物の中のナトリウムまたはタリウムでドープしたヨウ化セシウムが、その高いX線の吸収およびその優れたシンチレーション効率で知られている。それは、基板上で成長した薄いニードルの形態をとってもよい。この発光物質類は、シンチレータ層と相互作用する各X線光子に対して約数百個の可視光子を放射してもよい。
【0057】
図4で示したような放射線検出器において本発明を用いることにより、すべてのX線光子を検出することができる。これは、センサ62によって処理される可視光子の数を減らすことによってのみ、利得範囲が選択されるからである。