(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施の形態について
図1および
図2を参照して説明する。
【0013】
図1および
図2において、1は車両消毒装置で、この車両消毒装置1は、少なくとも前後左右の4つのタイヤ2を有する車両3を消毒液を用いて消毒するものである。
【0014】
すなわち例えば車両消毒装置1は、牧場等の施設である畜産施設(或いは食品工場や化学工場等)の入出場口に設置され、車両3が走行方向に向かって走行して畜産施設に入る際に、その畜産施設内の家畜が伝染病に感染するのを防止するために、消毒液を用いて車両3を消毒する消毒システムである。
【0015】
車両消毒装置1は、車両3が真っ直ぐな走行方向に走行して移動する車両移動領域5の左右両側方に配設され、車両3に向けて消毒液を噴射する側方噴射手段6を備えている。
【0016】
側方噴射手段6は、互いに離間対向する上下方向長手状の左右1対の縦配管7を有している。各縦配管7には、車両3の側面に向けて消毒液を噴射する水平向きの複数のノズル8が設けられている。
【0017】
なお、各縦配管7は、例えば1本の管体7aにて構成され、この管体7aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル8が設けられている。
【0018】
また、車両消毒装置1は、車両移動領域5の下方に配設され車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する第1下方噴射手段11と、車両移動領域5の下方に配設され車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する第2下方噴射手段12とを備えている。
【0019】
第1下方噴射手段11は、平面視で第1距離aを介して互いに離間対向し、車両3の走行方向に長手方向を有する直線状である前後方向長手状の左右1対の第1配管16を有している。各第1配管16には、タイヤ2がその全周にわたって消毒されるように、主として車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する上向きの複数の第1ノズル17が設けられている。
【0020】
なお、各第1配管16は、例えば1本の管体16aにて構成され、この管体16aの互いに間隔をおいた複数箇所に第1ノズル17が設けられている。
【0021】
第2下方噴射手段12は、平面視で第1距離aよりも短い第2距離bを介して互いに離間対向し、車両3の走行方向に長手方向を有する直線状である前後方向長手状の左右1対の第2配管18を有している。各第2配管18には、タイヤ2がその全周にわたって消毒されるように、主として車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する上向きの複数の第2ノズル19が設けられている。
【0022】
なお、各第2配管18は、例えば1本の管体18aにて構成され、この管体18aの互いに間隔をおいた複数箇所に第2ノズル19が設けられている。
【0023】
さらに、車両消毒装置1は、車両移動領域5の下方に配設され、車両3の下面に向けて消毒液を噴射する噴射手段21を備えている。
【0024】
この噴射手段21は、側方噴射手段6の縦配管7と第1下方噴射手段11の第1配管16と第2下方噴射手段12の第2配管18とを連結する連結配管22を有している。連結配管22は、車両3の走行方向に対して直交する水平な方向に長手方向を有する左右方向長手状のものである。連結配管22には、車両3の下面に向けて消毒液を噴射する上向きの複数のノズル23が設けられている。
【0025】
なお、連結配管22は、例えば1本の管体22aにて構成され、この管体22aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル23が設けられている。
【0026】
また、車両消毒装置1は、例えば地面に凹設された凹溝部26を備えている。凹溝部26の上面部には、複数の開口を有する溝蓋(例えばグレーチング等)27が配設され、車両3のタイヤ2が凹溝部26内に落ちないようになっている。なお
図1では、溝蓋27の図示が省略されている。
【0027】
そして、第1下方噴射手段11の第1配管16、第2下方噴射手段12の第2配管18および噴射手段21の連結配管22は、凹溝部26内に配設されている。また、側方噴射手段6の縦配管7の下端部が凹溝部26内に挿入され、この縦配管7の下端部に連結配管22が接続されている。
【0028】
さらに、車両消毒装置1は、消毒液を噴射手段6,11,12,21に供給する消毒液供給手段30を備えている。消毒液供給手段は、例えば消毒液用のタンクおよびこのタンク内の消毒液を噴射手段6,11,12,21に向けて圧送するためのポンプ等を有している。
【0029】
次に、車両消毒装置1の作用等を説明する。
【0030】
例えばトラック等の大型の車両3が、車両移動領域5に進入してこの車両移動領域5の所定位置を走行移動する際に、側方噴射手段6のノズル8からの消毒液が車両3の左右側面に当たり、第1下方噴射手段11の第1ノズル17および第2下方噴射手段12の第2ノズル19からの消毒液が車両3の前後左右のすべてのタイヤ2の外周面の全体に当たり、噴射手段21のノズル23からの消毒液が車両3の下面に当たる。
【0031】
こうして、大型の車両3が消毒液によって消毒され、この消毒後の車両3が畜産施設内に入っていく。
【0032】
また、例えば普通自動車等の小型の車両3である車両3´が、車両移動領域5に進入してこの車両移動領域5の所定位置を走行移動する際に、側方噴射手段6のノズル8からの消毒液が車両3´の左右側面に当たり、第2下方噴射手段12の第2ノズル19からの消毒液が車両3´の前後左右のすべてのタイヤ2の外周面の全体に当たり、噴射手段21のノズル23からの消毒液が車両3´の下面に当たる。
【0033】
こうして、小型の車両3´が消毒液によって消毒され、この消毒後の車両3´が畜産施設内に入っていく。
【0034】
そして、このような車両消毒装置1によれば、消毒液が車両3の前後左右のすべてのタイヤ2の外周面の全体に当たるため、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒できる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施の形態について
図3および
図4を参照して説明する。
【0036】
この第2の実施の形態に係る車両消毒装置1は、例えば北海道等の寒冷地でも使用できるように、前記第1の実施の形態において、消毒液の流れを循環式にしたものである。つまり、消毒液が凍らないように消毒液をループ状の配管内で常時循環させておき、車両消毒時のみノズルを開口させて消毒液を車両3に向けて噴射させるものである。
【0037】
この車両消毒装置1では、各縦配管7は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体7aを有し、この各管体7aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル8が設けられている。
【0038】
また、各第1配管16は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体16aを前側位置および後側位置にそれぞれ有し、この各管体16aの互いに間隔をおいた複数箇所に第1ノズル17が設けられている。
【0039】
さらに、各第2配管18は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体18aを前側位置および後側位置にそれぞれ有し、この各管体18aの互いに間隔をおいた複数箇所に第2ノズル19が設けられている。
【0040】
また、連結配管22は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体22aを有し、この各管体22aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル23が設けられている。
【0041】
そして、この第2の実施の形態に係る車両消毒装置1でも、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒できる。
【0042】
次に、本発明の第3の実施の形態について
図5および
図6を参照して説明する。
【0043】
この第3の実施の形態に係る車両消毒装置1では、前記第1の実施の形態とは異なり、側方噴射手段6が互いに離間対向する左右2対の縦配管7を有し、この各縦配管7の下端部に連結配管22がそれぞれ接続されている。その他の構成は、前記第1の実施の形態と基本的に同じである。
【0044】
そして、この第3の実施の形態に係る車両消毒装置1でも、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒できる。
【0045】
次に、本発明の第4の実施の形態について
図7および
図8を参照して説明する。
【0046】
この第4の実施の形態に係る車両消毒装置1は、前記第2の実施の形態と同様、例えば北海道等の寒冷地でも使用できるように、前記第3の実施の形態において、消毒液の流れを循環式にしたものである。つまり、消毒液が凍らないように消毒液をループ状の配管内で常時循環させておき、車両消毒時のみノズルを開口させて消毒液を車両3に向けて噴射させるものである。
【0047】
この車両消毒装置1では、各縦配管7は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体7aを有し、この各管体7aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル8が設けられている。
【0048】
また、各第1配管16は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体16aを前側位置および後側位置にそれぞれ有し、この各管体16aの互いに間隔をおいた複数箇所に第1ノズル17が設けられている。
【0049】
さらに、各第2配管18は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体18aを前側位置および後側位置にそれぞれ有し、この各管体18aの互いに間隔をおいた複数箇所に第2ノズル19が設けられている。
【0050】
また、各連結配管22は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体22aを有し、この各管体22aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル23が設けられている。
【0051】
そして、この第4の実施の形態に係る車両消毒装置1でも、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒できる。
【0052】
次に、本発明の第5の実施の形態について
図9を参照して説明する。
【0053】
この第5の実施の形態に係る車両消毒装置1は、前記第3の実施の形態において、第2下方噴射手段12を省略し、かつ、第1下方噴射手段11の第1配管16を車両3の走行方向に略沿ったジグザグ状に配置したものである。
【0054】
つまり、この車両消毒装置1は、車両移動領域5の下方に配設され、車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する下方噴射手段(第1配管16をジグザグ状にした第1下方噴射手段11)31を備えている。
【0055】
この下方噴射手段31は、平面視で互いに離間対向し、車両3の走行方向に長手方向を有する左右1対のジグザグ状の配管32を有している。各配管32には、タイヤ2がその全周にわたって消毒されるように、主として車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する上向きの複数のノズル33が設けられている。
【0056】
また、各配管32は、車両3の走行方向に対して傾斜状に位置する第1傾斜部36、第2傾斜部37および第3傾斜部38にて構成されている。第1傾斜部36は、走行方向前端側ほど車両移動領域5の幅方向中央側に位置するように傾斜している。第2傾斜部37は、走行方向後端側ほど車両移動領域5の幅方向中央側に位置するように傾斜している。第3傾斜部38は、走行方向前端側ほど車両移動領域5の幅方向中央側に位置するように傾斜している。換言すると、左右1対の第1傾斜部36は平面視でハ字状に位置し、左右1対の第2傾斜部37は平面視で逆ハ字状に位置し、左右1対の第3傾斜部38は平面視でハ字状に位置している。
【0057】
なお、各配管32は、例えば1本の管体32aにて構成され、この管体32aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル33が設けられている。
【0058】
そして、この第5の実施の形態に係る車両消毒装置1でも、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒でき、しかも下方噴射手段31がジグザグ状の配管32を有する構成であるから、大きさの異なる種々の車両3に対してタイヤ2の全周をより一層適切に消毒できる。
【0059】
なお、ジグザグ状の配管32は、第1傾斜部36、第2傾斜部37および第3傾斜部38にて構成されたものが好ましいが、例えば図示しないが、互いに異なる方向に傾斜した第1傾斜部および第2傾斜部にて構成されたものでもよい。
【0060】
次に、本発明の第6の実施の形態について
図10を参照して説明する。
【0061】
この第6の実施の形態に係る車両消毒装置1は、前記第2の実施の形態と同様、例えば北海道等の寒冷地でも使用できるように、前記第5の実施の形態において、消毒液の流れを循環式にしたものである。つまり、消毒液が凍らないように消毒液をループ状の配管内で常時循環させておき、車両消毒時のみノズルを開口させて消毒液を車両3に向けて噴射させるものである。
【0062】
この車両消毒装置1では、各縦配管7は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体7aを有し、この各管体7aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル8が設けられている。なお、縦配管7は、左右1対でもよい。
【0063】
また、各配管32は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体32aを前側位置および後側位置にそれぞれ有し、この各管体32aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル33が設けられている。さらに、各連結配管22は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体22aを有し、この各管体22aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル23が設けられている。
【0064】
そして、この第6の実施の形態に係る車両消毒装置1でも、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒でき、しかも下方噴射手段31がジグザグ状の配管32を有する構成であるから、大きさの異なる種々の車両3に対してタイヤ2の全周をより一層適切に消毒できる。
【0065】
次に、本発明の第7の実施の形態について
図11を参照して説明する。
【0066】
この第7の実施の形態に係る車両消毒装置1は、前記第3の実施の形態において、第2下方噴射手段12を省略し、かつ、第1下方噴射手段11の第1配管16を車両3の走行方向に対してハ字状(逆ハ字状でもよい)に配置したものである。なお、ここでいうハ字状や逆ハ字状は、略ハ字状や略逆ハ字状も含む意味である。
【0067】
この車両消毒装置1は、車両移動領域5の下方に配設され、車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する下方噴射手段(第1配管16をハ字状にした第1下方噴射手段11)41を備えている。
【0068】
この下方噴射手段41は、平面視で互いに離間対向し、車両3の走行方向に対して傾斜する方向に長手方向を有し、少なくとも一部、例えば前側半部において互いの離間距離が車両3の走行方向に向かって徐々に減少変化する左右1対の配管42を有している。なお図示しないが、両配管42の少なくとも一部、例えば前側半部の互いの離間距離が車両3の走行方向に向かって徐々に増大変化するようにしてもよい。そして、各配管42には、タイヤ2がその全周にわたって消毒されるように、主として車両3のタイヤ2に向けて消毒液を噴射する上向きの複数のノズル43が設けられている。
【0069】
なお、各配管42は、例えば1本の管体42aにて構成され、この管体42aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル43が設けられている。また、各配管42は、車両3の走行方向に対して傾斜する方向に長手方向を有する前側の第1配管部分51と、車両3の走行方向に沿った方向に長手方向を有する後側の第2配管部分52とにて構成されている。
【0070】
そして、この第7の実施の形態に係る車両消毒装置1でも、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒でき、しかも下方噴射手段41がハ字状(或いは逆ハ字状)の配管42を有する構成であるから、大きさの異なる種々の車両3に対してタイヤ2の全周をより一層適切に消毒できる。
【0071】
次に、本発明の第8の実施の形態について
図12を参照して説明する。
【0072】
この第8の実施の形態に係る車両消毒装置1は、前記第2の実施の形態と同様、例えば北海道等の寒冷地でも使用できるように、前記第7の実施の形態において、消毒液の流れを循環式にしたものである。つまり、消毒液が凍らないように消毒液をループ状の配管内で常時循環させておき、車両消毒時のみノズルを開口させて消毒液を車両3に向けて噴射させるものである。
【0073】
この車両消毒装置1では、各縦配管7は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体7aを有し、この各管体7aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル8が設けられている。なお、縦配管7は、左右1対でもよい。
【0074】
また、各配管42は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体42aを前側位置および後側位置にそれぞれ有し、この各管体42aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル43が設けられている。さらに、各連結配管22は、互いに近接状に位置する平行な2本の管体22aを有し、この各管体22aの互いに間隔をおいた複数箇所にノズル23が設けられている。
【0075】
そして、この第8の実施の形態に係る車両消毒装置1でも、車両3が大型であるか小型であるかに拘らず、車両3のタイヤ2を全周にわたって消毒でき、しかも下方噴射手段41がハ字状(或いは逆ハ字状)の配管42を有する構成であるから、大きさの異なる種々の車両3に対してタイヤ2の全周をより一層適切に消毒できる。
【0076】
また例えば、
図13に示す第9の実施の形態や、
図14に示す第10の実施の形態のように、下方噴射手段41の両配管42の全部における互いの離間距離が車両3の走行方向に向かって徐々に減少変化(増大変化でもよい)する構成でもよい。
【0077】
なお、いずれの実施の形態においても、例えば車両3を消毒した後の消毒液を凹溝部26内から浄化手段に向けて流し、この浄化手段でその消毒液(消毒後廃液)を浄化するようにしてもよい。
【0078】
また、例えば車両3が大型であるか小型であるかを判別する判別手段を備え、判別手段にて大型であると判別された場合には第1ノズル17および第2ノズル19の両方が消毒液を噴射し、判別手段にて小型であると判別された場合には第1ノズル17および第2ノズル19のうち第2ノズル19のみが消毒液を噴射するようにしてもよい。
【0079】
さらに、車両に向けて消毒液を噴射するノズルは、例えば配管内の消毒液の圧力が予め設定された設定圧力になった際に、閉状態から開状態に自動的に切り換わるもの等である。
【0080】
また、例えば寒冷地等で使用する場合において、例えば、温水噴射による車両の温め→エアー噴射による車両の乾燥→消毒液噴射による車両の消毒→エアー噴射による車両の乾燥、の順で消毒処理を行うようにしてもよい。
【0081】
なお、上述した各実施の形態の構成を適宜組み合わせるようにしてもよい。