【実施例1】
【0009】
図1は、本発明による衣服収納庫の一実施形態を示す図である。衣服収納庫の天板にはハンガー保持部材が、間口と平行ではなく、また直角(奥行方向)でもないような、斜めに傾けた形態で据え付けられている。棒状のハンガー保持部材には、ハンガーが1本装着されており、これを破線にて表示した。
【0010】
図2は、本発明による衣服収納庫の他の一実施形態を示す図である。衣服収納庫の棚板にはハンガー保持部材が、間口と平行ではなく、また直角(奥行方向)でもないような、斜めに傾けた形態で据え付けられている。棒状のハンガー保持部材には、ハンガーが1本装着されており、これを破線にて表示した。
【0011】
図1および
図2に於いては、ハンガー保持部材は、棒状の部材の両側に板状の補助部材が固着され、この補助部材でハンガー保持部材を天板や棚板に固定するような形態となっている。しかし、本発明に於いては、ハンガー保持部材の形状はこれに限定されるものではない。例えば、
図13に示すような、直線棒状部分を有する「U字ボルト(コの字ボルト)」を、その脚部分を天板や棚板の天井面に挿入固着することでハンガー保持部材を構成することができる。
要するに水平、即ち地面に対して平行(通常は収納庫はその天板や棚板が地面に対して水平となるよう置かれるので、天板や棚板の天井面に対して平行)な直線棒状の部分を有するような形状であればどのようなものでもよい。
【0012】
図3は、本発明による衣服収納庫の一実施形態を説明する図であり、
図1もしくは
図2に於いて下方より天板もしくは棚板の下面(天井面)を垂直に見上げた状態を描写したものである。
図1もしくは
図2と同じく、ハンガー保持部材に装着したハンガーを破線(目の細かい破線)にて表示した。
【0013】
例えば、ハンガー保持部材据え付けの傾斜の度合いを、間口方向を基準として時計回りに45度(奥行方向に対してはマイナス45度)の回転とした場合は、ハンガーはハンガー保持部材と直角に交わるような方向に位置するするため、結果として衣服は奥行方向に対して45度の傾きとなる。従って、衣服の「奥行方向の成分の寸法」は、実際の衣服幅(衣服の肩幅)にCOS45°(コサイン45度)を掛けた値となり、即ち奥行方向に影響する大きさは、段落「0002」a)に示した場合の約70パーセントになる。
【0014】
なお、傾斜の度合いを60度とした場合は、
図4に示すように、衣服は奥行方向に対して60度の傾きとなる。従って、奥行方向に影響する大きさは、a)に示した場合の50パーセントになる。
【0015】
以上の説明に於いて、傾斜を持たせることについて、時計回りに回転させる場合を示したが、反時計回りに回転させても同様の結果となることは言うまでもない。
【0016】
図3もしくは
図4に於ける長破線で囲まれた斜め長方形の区域は(ハンガー保持部材中のどの位置にハンガーがセットされるかによって種々変化することに起因する)ハンガーの存在する可能性のある領域であり、即ち、ハンガーで占められる可能性のある最大領域(以後、「ハンガー占有領域」と言う)である。
【0017】
そして、複数のハンガーが収納される場合も、全てのハンガーは、この「ハンガー占有領域」に存在することになるので、結果として、ハンガーの収納数は「ハンガー占有領域」の大きさに比例する。
(ただし、衣服を装着した状態では、複数のハンガーの間には隙間が生ずるので、実際の収納数はさらに少なくなる。)
【0018】
衣服の収納数に影響する「ハンガー占有領域」の大きさは、
図3もしくは
図4から明らかなように、ハンガーの長手方向寸法とハンガー保持部材の長さ寸法の積となる。
ハンガーの最大収納数は、ハンガー保持部材(棒状部材)の長さ寸法をハンガーの厚み寸法で割った値(小数点以下切捨て)を計算して求められるものであり、このことは、a)の間口と平行の方法でも、b)の間口と直角でも、そして斜め傾斜でも、全て同じである。
【0019】
収納する衣服の実質的な寸法は、ハンガーの外側を衣服で包み込んだ形状を考えると、肩幅の大きさはハンガーの幅(長手方向寸法)に衣服素材の厚みを加味した程度と見なすことができ、ハンガー単体との違いは少ない。しかし、厚みの大きさ(胸の外側から背中の外側までの距離)は衣服の種類・スタイルやポケット収納物の有無等により種々異なり、場合によってはハンガーの厚みの数倍にもなり得る。
【0020】
従って、1個のハンガー保持部材に対する、ハンガー収納数(収納が可能な数)と衣服の収納数(収納が可能な数)は必ずしも一致するものではない。なお、ハンガーに「厚みが大きくなる衣服」を装着した場合は、衣服の一部が「ハンガー占有領域」の外に食み出る場合もあり得る。
【0021】
これまで、ハンガー保持部材据え付けの傾斜の度合いは、45度および60度の場合を示してきたが、本発明に於いては、据え付けの傾斜の度合いはこれらの角度に限定されるものではない。
図3および
図4からも明らかなように、傾斜の度合いを45度より大きくするほど、衣服の向きが間口方向に平行の状態に近づくため、「ハンガー占有領域」の奥行方向の成分は小さくなるので衣服収納庫の奥行の寸法を小さくできる。しかし、「奥側に収納された衣服の収納・取出しのし難さ」や「視認困難さ」が増すことになる。
従って本発明を使用するにあたっては、ハンガー保持部材据え付けの傾斜の度合いは、45度を中心としてプラスマイナス15度、即ち30度乃至60度程度が適当と思われる。
【0022】
傾斜の度合いを45度にして、2本のハンガーを装着した場合を、
図5および
図6に示す。
【0023】
図6に於いても、
図3と同様に、「ハンガー占有領域」は長破線で囲まれた斜め長方形の区域である。この「ハンガー占有領域」に収まる限りハンガーは2本以上何本でも装着が可能である。即ち、複数の衣服収納は2着に限らず、長破線で囲まれた斜め長方形の区域にハンガーが収まる限り(「ハンガー占有領域」から食み出した衣服が収納庫奥壁等に当たらない限りは)、多数収納が可能であることは言うまでもない。
【実施例2】
【0024】
更に多数の衣服を収納するには、複数のハンガー保持部材を据え付ければ良い。これが、請求項
1に示した発明である。
【0025】
一例として、4個のハンガー保持部材を据え付けたものを
図7および
図8に示す。左から2番目のものにのみ2本のハンガーが装着された状態が描かれているが、全てのハンガー保持部材について、「ハンガー占有領域」に収まる限りの本数のハンガーの装着が可能であることは言うまでもない。
【0026】
複数のハンガー保持部材の配置は、
図8に示すように、各々を全て同一の所定角度(例えば45度)に傾斜させた上で、これらに対し1列の配列(即ち、いわゆる「千鳥格子」の配列)を実施する。なお、その列は間口方向に平行となるようにする。
そして(各ハンガー保持部材に於いてハンガーの装着が少数で、衣服全体で見て全てが「ハンガー占有領域」に収まるような場合には)列内のハンガー保持部材それぞれの配置間隔は(
図8に示されるように)それの「間口方向成分の寸法」と同一としても良い。
【0027】
このように配列することで、衣服収納庫内で「ハンガー占有領域」に成り得ない無駄な空間が少なくなり、かつ、各々の「ハンガー占有領域」が互いに重なり合うことがなくなる。
このように配列してもなお生ずる「ハンガー占有領域」と成り得ない空間(ハンガー長手方向の寸法を斜辺とする2つの直角三角形で、
図8では左上と右下の部分)はハンガー以外の小物の収納等に活用すれば良い。
【0028】
なお、「ハンガー占有領域」の群と収納庫奥壁に挟まれた箇所、および、「ハンガー占有領域」の群と収納庫前面扉に挟まれた箇所のそれぞれに生ずる無駄な空間(
図8では、左側下と右側上の複数の小さな三角形の集合)については、ハンガー保持部材を小型化することで(各々の三角形が更に小型化されるので)減少させることができる。そして、設置個数を増やすことで、トータルの衣服収納数の減少を抑えることができる。
【実施例3】
【0029】
ハンガーを保持するための部材に適した形状は、棒状のみとは限らない。即ち、1個の保持部材につき1本のハンガーを保持できれば良いとするならば、例えば、「吊りフック(Qフック)」(
図14参照)や「U字釘」(
図15参照)等のフック部材が使用できる。
【0030】
ハンガー保持用のフック部材として
図14に示すような「吊りフック」10個を、それぞれが間口方向に対して45度の傾斜を持つようにして、一列に並べて据え付けたものを
図9および
図10に示す。図9では、左から5番目のものにのみハンガーが装着された状態が描かれているが、全てのフック部材についてハンガーの装着が可能であることは言うまでもない。
図10は、天板の下面(天井面)を垂直に見上げた状態を描写したものであるが、全てのフック部材についてハンガーが装着され、これらの全てに衣服が装着された状態を、細い微小長方形(フック部材)を取り囲むやや荒い破線にて示している。
【0031】
本発明は以上に説明した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、本発明を構成するハンガー保持部材の形状、配置の傾斜角度、複数配置をする場合のそれぞれの配置間隔等は、本発明の趣旨を逸脱することなく、現実の実施対応に即して適宜変更ができるものであることは言うまでもない。