特許第6057285号(P6057285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6057285-半導体素子搭載用基板 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057285
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】半導体素子搭載用基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20161226BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20161226BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   H01L23/50 D
   H01L23/48 K
   H01L23/12 501T
   H01L23/12 W
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-237087(P2012-237087)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-86686(P2014-86686A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年3月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513237652
【氏名又は名称】SHマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】特許業務法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】菱木 薫
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−209396(JP,A)
【文献】 特開2001−152385(JP,A)
【文献】 特開2000−077593(JP,A)
【文献】 特開昭63−078560(JP,A)
【文献】 特開2001−024135(JP,A)
【文献】 特開2007−258205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48−23/50
H01L 23/12−23/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cuを主成分とするボンディングワイヤによりワイヤボンディングを行う端子部を備え、前記端子部の端部に、前記端子部側から順に、Niめっき層の両面側をNiP合金めっき層で挟んだ層構造を有するめっき層と、Pdめっき層と、Auめっき層が形成されており、前記Pdめっき層と前記Auめっき層の厚さ合計が0.013〜0.021μmの範囲であることを特徴とする半導体素子搭載用基板。
【請求項2】
前記端子部のワイヤボンディングを行う側の前記端部とは反対側の端部に、前記めっき層と同じ構成のめっき層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子搭載用基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Cuを主成分とするボンディングワイヤによりワイヤボンディングをするための端子を備えた半導体素子搭載用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造方法としては、図2に示すような方法が知られている。具体的には、まず、Cu合金材料などからなる金属板1の両面に、耐エッチング性を持つめっき層3を所望のパターンで形成し、一方の面に耐エッチング性を持つレジストマスク2を形成し、ハーフエッチング加工を施すことによって端子部1aの一部(上側半分)を形成し、その金属板1を半導体素子搭載用基板とする(図2(A)、(B)参照)。次に、そのハーフエッチング加工が施された側の面の所定の位置に半導体素子4を搭載し、半導体素子4の電極と端子部1aとをボンディングワイヤ5を用いてワイヤボンディングする(図2(C)参照)。次に、そのハーフエッチング加工が施された側の面を封止樹脂6を用いて樹脂封止する(図2(D)参照)。最後に、ハーフエッチング加工が施された側とは反対側の面から、レジストマスク2を剥離させた後、その面にエッチング加工を施すことによって端子部1aの残りの部分(下側半分)を形成して独立させる(図2(E)参照)、という方法が知られている(特許文献1、2参照。)。
【0003】
また、半導体素子搭載用基板においては、端子部の端部に、端子部側から順に、Cu合金材料中のCuがワイヤボンディングをする部分へ拡散することを防止するためのNiめっき層と、そのNiめっき層の酸化を防止するための貴金属層であるPdめっき層及びAuめっき層と、からなる3層構造のめっき層を形成することが知られている(特許文献3参照。)。これは、このように構成されためっき層は、Auワイヤとのワイヤボンディング性やPb−Snハンダ又はPbフリーハンダとのハンダ付け性が良好であるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−24135号公報
【特許文献2】特開2007−48978号公報
【特許文献3】特開2000−77593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、半導体装置の高密度・高機能化によりAuワイヤの消費量が増加しており、また、市場におけるAuの価格も上昇しているため、半導体装置のコストに占めるAuワイヤのコストの割合が増えてしまっている。そのため、高価なAuワイヤを安価なCuワイヤに代替することが検討されるようになってきている。
【0006】
しかし、特許文献1、2に記載されているような半導体素子搭載用基板の端子部に形成されためっき層の貴金属層は、Ni層の酸化防止を主目的としているため、その厚さは0.003〜0.4μm程度の薄さとなるように形成されている。また、特許文献3に記載されているようなめっき層は、Auワイヤとのボンディングを想定して形成されたものであり、Cuワイヤとのボンディングを想定して形成されたものではない。そのため、従来のAuワイヤとは特性、例えば、硬さが異なるCuワイヤを、従来のめっき層にワイヤボンディングしようとすると、良好なボンディングを行うことが難しく、量産性を向上させることができないという問題があった。
【0007】
具体的には、Cuワイヤを用いた場合、Cuワイヤとワイヤボンディングをする部分との接続強度が低下しやすく、Auワイヤを用いた場合に比べて生産性が低下し、AuワイヤとCuワイヤとの価格差によるメリットがなくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、良好なボンディング特性を持つ端子部を備え、低コストで量産性の高い半導体素子搭載用基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の半導体素子搭載用基板は、Cuを主成分とするボンディングワイヤによりワイヤボンディングを行う端子部を備え、前記端子部の端部に、前記端子部側から順に、Niめっき層の両面側をNiP合金めっき層で挟んだ層構造を有するめっき層と、Pdめっき層と、Auめっき層が形成されており、前記Pdめっき層と前記Auめっき層の厚さ合計が0.013〜0.021μmの範囲であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の半導体素子搭載用基板は、前記端子部のワイヤボンディングを行う側の前記端部とは反対側の端部に、前記めっき層と同じ構成のめっき層が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、良好なボンディング特性を持つ端子部を備え、低コストで量産の高い半導体素子搭載用基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例に係る半導体素子搭載基板を用いた半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
図2】従来例に係る半導体素子搭載基板を用いた半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
以下に、本発明の半導体素子搭載用基板の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、実施例に係る半導体素子搭載基板を用いた半導体装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0018】
なお、図中、11は金属板、11aは端子部、21はドライフィルムレジスト、22は耐めっき性を持つレジストマスク、23は耐エッチング性を持つレジストマスク、31はめっき層、41は半導体素子、51はボンディングワイヤ、61は封止樹脂である。
【0019】
まず、図1(A)に示すように、板厚0.125mmのCu材からなる金属板11の両面に、ドライフィルムレジスト21をラミネートする。
【0020】
次に、図1(B)に示すように、所望のパターンが形成されたガラスマスクを用いて露光処理及び現像処理を行って、金属板11の両面の端子部11aが形成される領域以外の領域に、耐めっき性を持つレジストマスク22を形成する。
【0021】
次に、図1(C)に示すように、金属板11の両面の端子部11aが形成される領域に、金属板11側から順に、NiP合金めっき層(厚さ:約0.25μm)と、Niめっき層(厚さ:約0.7μm)と、Pdめっき層(厚さ:約0.015μm)と、Auめっき層(厚さ:約0.006μm)とからなるめっき層31(厚さ:約1μm)を形成する。
【0022】
次に、図1(D)に示すように、金属板11の両面から、耐めっき性を持つレジストマスク22を剥離する。
【0023】
次に、図1(E)に示すように、金属板11の二つの面のうち、下面側の全面を覆うように、耐エッチング性を持つレジストマスク23を形成する。なお、下面側にのみ耐エッチング性を持つレジストマスク23を形成するのは、上面側においては耐エッチング性を持つめっき層31がレジストマスクの役割を果たすからである。そのため、上面側に形成するめっき層31が耐エッチング性を持たない場合には、この段階において上面側の所望の位置にも耐エッチング性を持つレジストマスクを形成する。
【0024】
次に、図1(F)に示すように、金属板11の上面側にハーフエッチング加工を施して端子部11aの上面側の半分を形成して、金属板11を半導体素子搭載用基板とする。
【0025】
次に、図1(G)に示すように、半導体素子搭載用基板12の上面側の所定の位置に、複数の電極を有する半導体素子41を載置する。そして、半導体素子41の電極の各々を、対応する端子部11aの上面側の端部に形成されているめっき層31に、Cuを主成分とするボンディングワイヤ51を用いてワイヤボンディングを行う。
【0026】
次に、図1(H)に示すように、端子部11aの上面側半分と、半導体素子41と、ボンディングワイヤ51とを封止樹脂61を用いて樹脂封止する。
【0027】
次に、図1(I)に示すように、金属板11の下面側から、耐エッチング性を持つレジストマスク23を剥離する。
【0028】
最後に、図1(J)に示すように、金属板11の下面側にエッチング加工を施して端子部11aの下面側の半分を形成して、それぞれの端子部12aを独立させる。
【0029】
なお、このようにして製造される半導体装置は、通常、複数の半導体装置を一括して生産するものであるため、この後、切断等を行って個々の半導体装置が完成する。
【0030】
ここで、製造された半導体装置の端子部11aの端部に形成されためっき層31について詳細に説明する。
【0031】
このめっき層31は、最も金属板11側に、NiP合金めっき層が形成されている。このNiP合金めっき層は耐熱性が高く、Ni層に比べて酸化し難いという特性を持っているため、このNiP合金層上に形成されるNiめっき層の酸化を防ぐことができる。また、このNiP合金めっき層は、ハンダのつきまわりが良いため、良好なハンダ付け性を確保することができる。
【0032】
また、このめっき層31は、最も金属板11側に形成されているNiP合金めっき層上に、Niめっき層が形成されている。このNiめっき層は、Cu材からなる金属板11中のCuがワイヤボンディングをする部分、例えば、めっき層の最表層へ拡散することを防ぐために形成されている。
【0033】
また、Niめっき層上には、Pdめっき層が形成されている。このPdめっき層は、ガスバリア性が良く、下地となるNiめっき層の酸化を防ぐことができる。なお、このPdめっき層の厚さは、0.010μm〜0.015μmである。
【0034】
さらに、Pdめっき層上には、Auめっき層が形成されている。このAuめっき層は、下地となるPdめっき層の酸化を防ぐために形成されている。なお、このAuめっき層の厚さは、0.003μm〜0.006μmである。
【0035】
発明の半導体装置のめっき層は、上述の4層構造のめっき層に加えNiめっき層とPdめっき層の間にNiPめっき層が形成されているものであり、すなわち、金属板側から順に、Niめっき層の両面側をNiP合金めっき層で挟んだ層構造を有するめっき層と、Pdめっき層と、Auめっき層が形成されており、前記Pdめっき層と前記Auめっき層の厚さ合計が0.013〜0.021μmの範囲である
【0036】
なお、Pdめっき層に代わりPdを含む合金からなるめっき層を用いても構わない。また、上記貴金属層としては、Auめっき層に代わりAuを含む合金からなるめっき層を用いても構わないし、Agめっき層に代わりAgを含む合金からなるめっき層を用いても構わないし、Agめっき層及びAuめっき層に代わり、Au及びAgを含む合金からなるめっき層を用いても構わない。
【0037】
なお、本発明のようにNiP合金めっき層とNiめっき層とPdめっき層とAgめっき層とからなるめっき層を形成した試料と従来のようにNiめっき層とPdめっき層とAuめっき層とからなるめっき層を形成した試料の各々のめっき層に、Φ30μmのCuワイヤをボンディング後、フックをワイヤの下に入れ上へ垂直に引き上げ破断した時の強度を比較すると、本発明の試料では平均7.6gfであり、従来品では平均6.5gfであった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の半導体素子搭載用基板は、Cuを主成分とするボンディングワイヤを好適にワイヤボンディングすることができるため、実用上極めて有用である。
【符号の説明】
【0039】
1、11 金属板
1a、11a 端子部
1b 搭載部
2 耐エッチング性を持つレジスト
21 ドライフィルムレジスト
22 耐めっき性を持つレジストマスク
3、31 めっき層
4、41 半導体素子
5、51 ボンディングワイヤ
6、61 封止樹脂
図1
図2