【実施例1】
【0044】
図1〜6に示す本発明の実施例において、ピアス用キャッチ1は次に述べるような構成となっている。
シリコンゴム製部材、天然ゴム製部材、合成ゴム製部材、弾性合成樹脂製部材などの、指で摘んだその摘み力を強めると弾性変形する弾性材料からなる、指で摘んでピアスピンであるピン3への挿入と抜き操作を行う弾性構造体2と、
この弾性構造体2の底部から上方に向けて設けられた、ピン3を挿入するピン挿入孔44と、
弾性構造体2の上部側を形成している、弾性構造体2を摘んだ指に食い込み掛かる、側部に全周に渡り出っ張った形態で下部角が略直角(鈍角であればよい)の弾性構造体上側凸部10と、
弾性構造体2の弾性構造体上側凸部10より下方を形成している、該弾性構造体上側凸部10より小幅形態の弾性構造体胴部8と、
この弾性構造体胴部8の下部に形成された側部に全周に渡り出っ張った形態の、弾性構造体上側凸部10より横突出幅が大とされた弾性構造体下側凸部9と、
この弾性構造体下側凸部9の上部面、該上部面と弾性構造体胴部8の連絡面、または該上部面と該連絡面とからなる、弾性構造体2を摘んだ指の指先を止める指あたり部位11と、
弾性構造体下側凸部9内に半部以上を位置させて一体成型により内設された、ピン挿入孔4に挿入状態にあるピン3を対抗挟持形態で挟持する、プレート強靭化のためのビード15が形成されている第1の挟持部6aと第2の挟持部6bを有してなる硬質製部材からなるピン挟持硬質体6と、
第1の挟持部6aと第2の挟持部6bのピン3を挟持する箇所であるピン挟持箇所6cと、を備えた構成となっている。
【0045】
第1の挟持部6aと第2の挟持部6bはその内側と周囲も含めて弾性構造体2が充填密着した一体構造体となっている。
これにより、挿入されたピン3は第1の挟持部6aと第2の挟持部6bを横外向きに押しのけて挿入される。
このピン3の挿入では、硬質性部材ある第1の挟持部6aと第2の挟持部6bは変形することなく、弾性構造体2を押しのけ変形させながら横外方向に開き移動される。
弾性構造体2には第1の挟持部6aと第2の挟持部6bをその弾性反発力で押し戻そうとする弾性押し戻し力が常に作用した状態となり、この弾性押し戻し力によって第1の挟持部6aと第2の挟持部6bのピン3を挟持する挟持力が強められている。
【0046】
弾性構造体2は円柱形態であるのでその各部位の横幅は直径である。
弾性構造体2の寸法は、上下幅5.0mm、横幅5.5mm。
弾性構造体下側凸部9の上下幅1.8mm(1.55+0.25)、横幅5.5mm、上部縁角16の湾曲カットはR0.25mmの鈍角。
上部連絡部7の上下幅0.55mm。
下部連絡部16の上下幅0.5mm。
弾性構造体上側凸部10の上下幅0.975mm、横幅5.0mm。
弾性構造体胴部8は上下幅2.55mm、胴径4.5mm。(弾性構造体胴部と弾性構造体上側凸部の間に傾斜連絡部(湾曲を含む)がある形態は、該傾斜連絡部の中心位置から下方を弾性構造体胴部である。弾性構造体胴部と弾性構造体下側凸部との間に傾斜連絡部がある形態も同様である。)
弾性構造体胴部8の胴深さは、弾性構造体上側凸部10からは0.25mm、弾性構造体下側凸部9からは0.75mm。
ピン挟持硬質体6は、高さ1.8mm、幅4.0mm。
【0047】
本発明は前記寸法に限定されるものではない。
弾性構造体の高さは、3.5mm〜10.0mm、好ましくは4.0mm〜8.0mm、より好ましくは4.5mm〜6.5mmがよい。
弾性構造体の横幅は、3.5mm〜10.0mm、好ましくは4.0mm〜8.0mm、より好ましくは4.0mm〜6.5mmがよい。
弾性構造体上側凸部の横幅は、3.0mm〜8.0mm、好ましくは3.5mm〜7.0mm、より好ましくは4.0mm〜6.5mmがよい。
弾性構造体胴部の高さは、1.3mm以上、好ましくは1.6mm以上、より好ましくは1.8mm以上がよい。
弾性構造体胴部の太さは、直径2.0mm〜6.5mm、好ましくは2.5mm〜5.5mm、より好ましくは3.0mm〜5.0mmがよい。
【0048】
弾性構造体上側凸部10は上下幅0.975mmとしている。
それは、2.0mm以上だと幅広(厚肉)のため上方への反り逃げが悪くなり、0.6mm以下だと凸部の潰れ変形が大きすぎて指への掛かり(食い込み)が悪くなるからである。
適当な反り逃げが得られる弾性構造体上側凸部10の上下幅は、0.6mm〜2.0mm、好ましくは、0.6mm〜1.7mm、より好ましくは0.6mm〜1.5mm、さらに好ましくは0.7mm〜1.2mmとするのがよい。
また、弾性構造体上側凸部10の下部側の指掛かり部位または指食い込み部位は、鈍角形態ないし鋭角形態とするのがよく、該鈍角形態および鋭角形態は湾曲角形態では半径0.5mm以下の湾曲角とするのが、良好な指への掛かり状態を得るものとできる。
【0049】
弾性構造体上側凸部10の頂部形態は、緩やかな湾曲面としている。これによって、中のピン挟持硬質体6が大きく見える凸レンズの機能を果たしている。また、緩やかな湾曲面とすることで、弾性構造体上側凸部10の上下肉厚幅を、摘み時の掛かりと反り逃げが好適となる厚さにしている。
【0050】
(1)ピン挟持硬質体6の最上部位置が、弾性構造体胴部8の最上部位置より1.725mm下方(0.6mm以上)に位置してなる広い上下距離となっている。
よって、弾性構造体上側凸部10と弾性構造体胴部8の1.725mm部位(0.6mm以上)が、ピン挟持硬質体6の無い弾性構造体2のみの上側軟らかめ構造部位となっている。それより下側はピン挟持硬質体6を有する下側硬め構造部位となっている。
よって、親指と人差さ指で弾性構造体上側凸部10と弾性構造体胴部8を摘みその摘み力を強めると、上側軟らかめ構造部位は潰れ変形する。その変形および指のハの字摘み形態によって、弾性構造体上側凸部10には押し上げ作用が働き、下側硬め構造部位には押し下げ作用が働く。そして、上側軟らかめ構造部位を形成している弾性構造体胴部8(以下「軟らか構造形成胴部位」という。)は指による押し潰し作用と前記押し上げ作用と前記押し下げ作用によって、上下方向に伸びる伸び形態(以下「胴部伸び形態」ともいう。)となる。また、弾性構造体上側凸部10の下部も上方に押し反り上がった反り逃げ形態となり、指の弾性構造体胴部8への入りと潰しを行い易くする。
【0051】
この胴部伸び形態は、ピン挟持硬質体6が位置している下側硬め構造部位は下方へ押し逃がす形態であるので、摘んだ指の摘み力がピン挟持体に直接的には作用することが無いないし小さい摘まみ力非作用形態となる。
よって、親指と人差し指で弾性構造体を摘んでその摘み力を強めてピンから抜き操作を行う際に、ピン挟持硬質体6のピン挟持力を直接的には強めることのないピアス用キャッチを実現している。
また、胴部伸び形態および弾性構造体上側凸部の反り逃げ形態によって指の摘み感が、確りとした安定感、安心感のあるもの、フィット感のある摘み持ちやすさの良いピアス用キャッチを実現している。
【0052】
(2)摘み指の摘み部位は下方に広がるハの字摘み形態である
それに加えて、前記(1)の構造から(参考として
図5参照)、弾性構造体2を親指と人差し指(中指の場合もあり)とで強めに摘んだ形態である摘み力強め形態(指横腹部位摘み形態(
図5の(b)図参照)を含む。)は、上側軟らかめ構造部位が潰れ下側硬め構造部位が潰れない状態であるので、摘み指は下方に向かって広がったハの字摘み形態となる。
【0053】
前記ハの字摘み形態は、上方に行くほど指間距離が狭くなる形態である。それは、上方に行くほど摘み力が強くなる摘み形態である。
よって、ハの字摘み形態で摘み力を増すと、弾性構造体2の部位で強く抑える部位は、上側軟らかめ構造部位の弾性構造体上側凸部10と弾性構造体胴部8である。上側軟らかめ構造部位は、強く摘むと弾性構造体2の上方が潰れ反り伸び状態となりかつ胴部伸び状態となる上側潰れ伸び状態となる。この上側潰れ伸び状態は、摘み力を上方に逃がす摘み力上方逃がし状態である。このハの字摘み形態による摘み力上方逃がし状態によっても、弾性構造体下側凸部9が真横からは強く摘まれない状態となる。
【0054】
前記(1)、(2)によって、第1の挟持部と第2の挟持部の挟持力が増強される横方向から、弾性構造体を指で摘んでその摘み力を強くしても、第1の挟持部と第2の挟持部が内側に寄ることが少なく、またはほとんど無い。
よって、摘み抜き操作時にピン挟持箇所の挟持力が著しく強くなることがなく、弾性構造体上側凸部10が指に食い込み掛かっていることもあって、どの方向から摘んでもピアスピンから容易に抜くことができるピアス用キャッチを実現している。
【0055】
ピン挟持硬質体6の最上部位置と弾性構造体胴部8の最上部位置の距離は、0.6mm以上がよい、好ましくは0.9mm以上がよい、より好ましくは、1.3mm以上がよい、さらに好ましくは1.5mm以上がよい。
【0056】
弾性構造体上側凸部10の下部角である角カットの無い鈍角部位または鋭角部位が指への食い込み掛かりを強くするので、弾性構造体上側凸部10の滑り難さを実現し、その反り逃げ形態もより大きくなる。
よって、摘み力の低減化、フィット感と摘み持ちやすさの向上を実現する。
上記鈍角ないし鋭角とは、半径0.3mm以内の湾曲角ないし直線カット3mm以内のカット角である。
【0057】
弾性構造体下側凸部9の機能について述べる。
(1)弾性構造体下側凸部9で指先が外側に逃がされ、該弾性構造体下側凸部9の側部を強く摘むことが回避されるので、ピン挟持硬質体6への影響が弱められる。
また、弾性構造体下側凸部9に当たっている指先の押力によって該弾性構造体下側凸部9が下方に押し下げられ、横押しの作用を下方に逃がすので、ピン挟持硬質体6への影響が弱められる。
弾性構造体下側凸部9の肉厚によって指摘み力が弱められ、ピン挟持硬質体6への影響が弱められる。
(2)弾性構造体下側凸部9にピン挟持硬質体6の半分以上が位置した形態であるので、ピン挟持硬質体6に付勢力を与える弾性体構造部位の側部厚みを弾性構造体下側凸部によって十分に確保することができる。
これによって、弾性体構造体胴部8の胴太さの一部ないし全部を、細い形態(くびれを含む)とすることを可能としている。例えばピン挟持硬質体6の横幅よりも細い胴部とすることも可能とする。
細い胴部とすることによって、弾性体構造体胴部8をより伸びやすい形態にできる。
【0058】
「ピン挿入孔4」は止り孔形態でもよい。
「弾性構造体下側凸部9に内設された、または弾性構造体下側凸部9から弾性構造体胴部8にまたがる形態で内設された、・・・ピン挟持硬質体6」には、全部位を埋設した全部位埋設形態(全部部位内設形態)とするのもよいし、一部を弾性構造体胴部8の底部から露出した一部露出形態(一部部位内設形態)とするなどの形態などがある。
【0059】
指あたり部位11位置が、ピン挟持硬質体6と略同じかそれより上方に位置するようにするのもよい。
また、弾性構造体下側凸部9の上部縁角に上方に突出する小凸部を設け、指当たりをより感じやすいものとするのもよい。
【0060】
上部縁角16は指あたり部位が広くなるよう、かつ、角を感じ易くなるようより鈍角とするのがよい。
弾性構造体を指で軽く摘んだ指横腹部位摘み形態で、該指の指腹で該指あたり部位の当たりを確かに感じ取ることができる指あたり部位の形態は多様な形態がある。
例えば、弾性構造体胴部より0.7mm以上横に突出している形態、
図10に示すような指先が感じる凸凹や突起を設けた形態、弾性構造体下側凸部の上部縁に行くほど高くなるテーパー形態としたもの、弾性構造体胴部の太さと弾性構造体下側凸部の突出形態の関係、弾性構造体胴部の1.3mm以上の上下距離などが例示できる。
【0061】
本実施例1では、弾性構造体2は透明なシリコンゴム製部材からなっている。
弾性構造体2に内設されたピン挟持硬質体6はゴールド、ホワイトゴールドまたはピンクゴールドなどの光沢性の金製部材からなっている。よって、ピン挟持硬質体6は透明な弾性構造体2によって、外からその色彩や形状が見える。
上部部位21は緩やかな凸湾曲である凸レンズとして機能して、中のピン挟持硬質体6を大きく見せる。
ピン挟持硬質体6の露出している底部面には14Kなどの刻印が施され、該露出形態によってルーペで即確実に確認できる。
ピアス用キャッチ1は、金型60内にピン挟持硬質体6がセットされた状態で、加熱熔融したシリコンゴムが金型内に圧縮送り込まれ充填されて形成される。(
図6参照)
非透明の弾性構造体も本発明の技術的範疇に含まれるものである。
【0062】
ピン挟持硬質体は、ゴールドなどの貴金属に限定されず、チタン、ステンレス、メッキした鋼材、硬質性合成樹脂製部材など多種、多様な形態がある。
また、その形態も挟持部が外側から内側に向かう湾曲形態に限られず、例えば
図7に示すような内側から外側に向かう形態など多様な形態がある。
【0063】
下部連絡部14、弾性構造体下側凸部9の上部角および下部角は、5mmという小ささから視覚的には湾曲角とは見えない、鈍角に見える。すなわち、意匠的、実質的には下部連絡部14、弾性構造体下側凸部9の上部角線および下部線は一本の直線として見える。
【0064】
摘み易さを優先させた場合、弾性構造体2の上下幅および横幅を0.5mm程度大きくした、上下幅5.5mm、横幅6.0mmの大きめの弾性構造体とするのがよい。
この場合、弾性構造体上側凸部10、弾性構造体下側凸部9の上下幅、弾性構造体胴部8の胴太さは変えない。よって、弾性構造体胴部8の上下幅が2.475mmとなる。
一見しただけで、弾性構造体2のものより大きめの弾性構造体が一回り大きく見える。
全体が一回り大きくなりかつ弾性構造体胴部8の上下幅が2.475mmと長くなっていることから、掴み易さとフィット感がよりよいものとなる。
横幅を変えない上下幅のみを大きくした形態もよい。
【0065】
図6はピアス用キャッチ1の成型金型例を示している。
金型60は弾性構造体2の最上部である上部部位21を形成する上型61と、弾性構造体上側凸部10の全部、弾性構造体胴部8の全部および弾性構造体下側凸部9の下部湾曲縁部位を除く大部分を形成する中型62と、弾性構造体下側凸部9の下部湾曲縁部位を形成する下型63とからなっている。
中型62は非分割型であり、単に形成孔が設けられた形態である。
また、中型62の弾性構造体下側凸部9および弾性構造体胴部8の上部箇所には、SG#116のホーニングによって梨地部位65が形成されている。
この梨地部位65によって、弾性構造体下側凸部9および弾性構造体胴部8の上部箇所の表面には、図においてはハッチングで表現した微細な凸凹部位である滑り止め部位21が形成されている。
【0066】
梨地部位65に磨き処理(鏡面処理)を行わなければ、滑り止め部位21は、透明部材である弾性構造体2にあっては、薄っすらとした曇り状態に見える。それは弾性構造体2内のピン挿入孔4や挿入されたピン3は明確に見える臼曇り形態である。
滑り止め部位21は摘んだ指が滑り難く滑り止めとして機能し、弾性構造体2の摘み易さの安定性、弱い摘み力でのピンからの抜き取りやすさなど、ピン抜き操作性を大きく向上させる。
【0067】
本実施例1においては、ホーニングによって梨地部位65を形成した後で、梨地部位65を凸凹が無くならない程度で鏡面磨き処理を行っている。
こうすることで、滑り止め部位21の薄曇り状態が解消され、表面は光沢があって内部の透過が良好となり、肉眼では臼曇り状態が明確には認視できない程度となる。
滑り止め部位21は光沢の凸凹部位となっているが、滑り止めとして機能する。中型62からの抜けやすさも機能する。
【0068】
中型62内にあるピアス用キャッチ1の取り出しは、上型61および下型63が固定されているプレス機から中型62を取り外し、取り出し用の治具にセットし、ピアス用キャッチ1の上部を1.2mmの押し出しピンによって押し、押し出すことで行う。
押し出しピンが1.2mm以上の太さだと、弾性構造体2の外側への押し量が大きく、抵抗も増大し、抜いた後の弾性構造体2の変形が戻らない、当初の意匠形態が損なわれる。
押し出しピンが1.2mm以下の太さだと、押し出しピンがピン挿入孔4に潜り込み押し出し抜きができない。
これは、中型62の突出部位65である弾性構造体上側凸部10が掛かる部位が鏡面仕上げであるため、両者の密着が極めて高く摩擦ないし吸盤的作用が著しく大きいためと考えられる。
梨地部位65を設けることで、中型62内にあるピアス用キャッチ1は、1.2mmの押し出しピンの押し出し操作で、変形も少なく、ピン挿入孔4へ押し出しピンの潜り込みも生じない、良好な押し出しが実現される。
【0069】
しかるに、10×10=100の100個取りの金型とした場合、梨地部位65が無い金型では、100本の押し出しピンによる一斉の押し出しは、人が全体重をかけたとしても容易には抜けない。例えば身近にあった50t級のプレスの使用によって可能であった。
これに対して、梨地部位65を設けた金型では、人が軽く体重をかけただけで、100個一斉に容易に抜き出すことができる。よて、高い生産性を実現する。