(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の透明電極間がブリッジ配線(特許文献1では、交差部分、中継電極と記載されている)により接続された構成の入力装置について開示されている。
図8には、特許文献1に記載されている第1の従来例の入力装置の部分拡大断面図を示す。
【0003】
図8に示すように、第1の従来例の入力装置110は、透明基材120と、透明基材120に形成された1対の第1の透明電極131と、1対の透明電極131の間に形成された第2の透明電極132とを有して構成される。1対の第1の透明電極131どうしはブリッジ配線150により接続されており、ブリッジ配線150と第2の透明電極132とは絶縁層136を介して絶縁されている。また、ブリッジ配線150は、外部から視認されないように幅細形状に形成されている。
【0004】
第1の従来例の入力装置110は、第1の透明電極131と第2の透明電極132との間で静電容量を有するように構成されており、操作者の入力操作による静電容量の変化に基づいて、入力位置情報を検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1の従来例の入力装置110の製造工程において、透明基材120の帯電や人体等の外部の物体の帯電などにより、静電気放電(ESD:Electro−Static−Discharge)が発生し、入力装置110が損傷するという課題が発生する。
【0007】
入力装置110においてブリッジ配線150が細幅形状に形成されており抵抗値が高いため、ESDによりサージ電流が発生すると、ブリッジ配線150の溶断が生じ易い。
図8に示すように、ブリッジ配線150は絶縁層136に跨がって形成されており、絶縁層136の端部136aにおいてブリッジ配線150が薄く形成されてしまうことから、端部136aに形成された箇所のブリッジ配線150の抵抗値が大きくなる。よって、ESDが発生した場合、特に、絶縁層136の端部136aにおいてブリッジ配線150の溶断が発生するという課題がある。
【0008】
図9には、特許文献2に示されている第2の従来例の入力装置210の部分拡大平面図を示し、第1の透明電極231と第2の透明電極232との交差する部分について示す。第2の従来例の入力装置210においても、1対の第1の透明電極231がブリッジ配線250により接続されており、ブリッジ配線250と第2の透明電極232とが交差するように形成されている。そして、ブリッジ配線250と第2の透明電極232とは絶縁層236によって絶縁されている。
【0009】
図9に示すように、第2の従来例の入力装置210において、ブリッジ配線250の幅が第1の透明電極231と同程度に広く形成されて、ブリッジ配線250の第2の透明電極232と重なる部分には窓部250aが形成されている。ブリッジ配線250を幅広に形成することにより、絶縁層236の端部236aに形成されたブリッジ配線250の抵抗値が低減されて、ESDが発生したときのブリッジ配線250の溶断を防止することができ、ESD耐性を向上させることが可能である。
【0010】
しかし、ブリッジ配線250の幅を広くすると外部から視認されやすくなり良好な不可視特性を得ることができないという課題が生じる。また、ブリッジ配線250の幅を大きくするとともに絶縁層236の面積も大きくしなければならないため、絶縁層236が外部から視認されやすくなる。
図9に示すように、ブリッジ配線250に窓部250aが形成されているが、このような態様であっても、外部から見たときにはブリッジ配線250全体として幅広に視認されてしまい、良好な不可視特性を得ることが困難である。
【0011】
本発明は、上記課題を解決して、良好な不可視特性を確保するとともに、ブリッジ配線のESD耐性を向上させることが可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の入力装置は、透明基材と、前記透明基材において間隔を設けて隣り合って形成
された1対の第1の透明電極と、前記1対の第1の透明電極の間に形成された第2の透明
電極と、前記1対の第1の透明電極の間において前記第2の透明電極を覆う絶縁層と、前
記絶縁層に跨がって形成されて前記1対の第1の透明電極を接続するブリッジ配線とを有
してなり、前記ブリッジ配線は、前記絶縁層上に形成されたメインブリッジ部と、前記メ
インブリッジ部と前記第1の透明電極とを接続するサブブリッジ部とを有し、前記サブブ
リッジ部は、前記メインブリッジ部から分岐された複数の配線からなるとともに、前記絶
縁層の端部に形成されて
おり、
前記絶縁層は、前記第2の透明電極を覆うとともに前記第1の透明電極の一部に亘って形
成されており、
前記第1の透明電極と重なる位置において、前記絶縁層には孔部が形成されており、
前記孔部において、前記メインブリッジ部が前記第1の透明電極に接続されていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、ブリッジ配線の溶断が生じ易い絶縁層の端部においてサブブリッジ部が形成されているため、ESD(ESD:Electro−Static−Discharge)によりサージ電流がブリッジ配線に流入した場合であっても、サブブリッジ部を溶断させてメインブリッジ部において損傷が発生することを防止できる。そして、サブブリッジ部が複数の配線から構成されるため、ESDにより一部の配線が溶断しても、残りの配線によりブリッジ配線の電気的接続を確保することができる。よって、ブリッジ配線のESD耐性を向上させることができる。
【0014】
また、サブブリッジ部を形成することによりESD耐性を向上させているため、メインブリッジ部においては、ESD耐性を向上させるために幅広に形成する必要がなく、1対の第1の透明電極どうしを電気的に接続することが可能な幅で形成できる。つまり、従来の入力装置におけるブリッジ配線と同程度以下の幅で形成することができる。よって、良好な不可視特性を確保することが可能である。
【0015】
以上のように、本発明の入力装置によれば、良好な不可視特性を確保するとともに、ブリッジ配線のESD耐性を向上させることが可能である。
【0016】
また、過大なサージ電流が流入してサブブリッジ部の複数の配線が全て溶断した場合で
あっても、メインブリッジ部が孔部を介して第1の透明電極に接続されているため、1対
の透明電極間の電気的接続を確保することが可能である。よって、ESD耐性を向上させ
ることができる。
【0018】
本発明の入力装置
は、透明基材と、前記透明基材において間隔を設けて隣り合って形成
された1対の第1の透明電極と、前記1対の第1の透明電極の間に形成された第2の透明
電極と、前記1対の第1の透明電極の間において前記第2の透明電極を覆う絶縁層と、前
記絶縁層に跨がって形成されて前記1対の第1の透明電極を接続するブリッジ配線とを有
してなり、前記ブリッジ配線は、前記絶縁層上に形成されたメインブリッジ部と、前記メ
インブリッジ部と前記第1の透明電極とを接続するサブブリッジ部とを有し、前記サブブ
リッジ部は、前記メインブリッジ部から分岐された複数の配線からなるとともに、前記絶
縁層の端部に形成されており、前記複数の配線は、互いに異なる幅を有して形成されてい
ること
を特徴とするものである。これによれば、想定されるサージ電流の大きさに応じて
複数の配線の幅を異ならせて形成することができるため、サージ電流が小さい場合には幅
の小さい配線が溶断して、幅の広い配線の溶断を防止できる。よって、効果的にESD耐
性を向上させることが可能である。
【0020】
本発明の入力装置
は、透明基材と、前記透明基材において間隔を設けて隣り合って形成さ
れた1対の第1の透明電極と、前記1対の第1の透明電極の間に形成された第2の透明電
極と、前記1対の第1の透明電極の間において前記第2の透明電極を覆う絶縁層と、前記
絶縁層に跨がって形成されて前記1対の第1の透明電極を接続するブリッジ配線とを有し
てなり、前記ブリッジ配線は、前記絶縁層上に形成されたメインブリッジ部と、前記メイ
ンブリッジ部と前記第1の透明電極とを接続するサブブリッジ部とを有し、前記サブブリ
ッジ部は、前記メインブリッジ部から分岐された複数の配線からなるとともに、前記絶縁
層の端部に形成されており、前記サブブリッジ部の端部には、前記複数の配線が連結され
た幅広の接続部が形成されており、前記接続部が前記第1の透明電極に接続されているこ
と
を特徴とするものである。これによれば、ブリッジ配線と第1の透明電極との接触抵抗
を低減させることができるため、サブブリッジ部を設けた場合においてもブリッジ配線全
体の抵抗値の上昇を抑制できる。
以上
【発明の効果】
【0021】
本発明の入力装置によれば、良好な不可視特性を確保するとともに、ブリッジ配線のESD耐性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態の入力装置を構成する透明基材を示す平面図である。
【
図2】(a)
図1に示す入力装置の部分拡大平面図、及び(b)
図2(a)のII−II線で切断したときの入力装置の部分拡大断面図である
【
図3】(a)本実施形態の入力装置におけるブリッジ配線の部分拡大平面図、及び(b)
図3(a)のIII−III線で切断したときの部分拡大断面図である
【
図4】本実施形態の第1の変形例を示す、(a)ブリッジ配線の部分拡大平面図、及び(b)
図4(a)のIV−IV線で切断したときの部分拡大断面図である。
【
図5】本実施形態の第2の変形例を示す、ブリッジ配線の部分拡大平面図である。
【
図6】本実施形態の第3の変形例を示す、ブリッジ配線の部分拡大平面図である。
【
図7】本実施形態の第4の変形例を示す、ブリッジ配線の部分拡大平面図である。
【
図8】第1の従来例における入力装置を示す部分拡大断面図である。
【
図9】第2の従来例における入力装置を示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態の入力装置について説明をする。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
【0024】
図1は、本発明の実施形態の入力装置を構成する透明基材を示す平面図である。また、
図2(a)は、
図1に示す入力装置の部分拡大平面図を示し、
図2(b)は
図2(a)のII−II線で切断して矢印方向から見たときの部分拡大断面図を示す。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の入力装置10を構成する透明基材20には、第1の透明電極31及び第2の透明電極が32が形成されている。複数の第1の透明電極31は、ブリッジ配線50を介してX1−X2方向に連結されており、この連結された第1の透明電極31がY1−Y2方向において間隔を設けて配列されている。また、第2の透明電極32は複数のパッド部32b及び幅細部32aから構成されており、複数のパッド部32bが幅細部32aを介してY1−Y2方向に連結されている。そして、第2の透明電極32は、X1−X2方向において、間隔を設けて配列されている。
【0026】
図2(b)に示すように、本実施形態の入力装置10は、透明基材20が光学粘着層22を介してパネル21に貼り合わされて構成される。本実施形態の入力装置10は、操作者が指などをパネル21(
図1では図示しない)に接触又は接近させて入力操作を行う際に、第1の透明電極31と第2の透明電極32との間の静電容量の変化に基づいて入力位置を検出する静電容量式の入力装置である。
【0027】
図1に示すように、第1の透明電極31及び第2の透明電極32は、入力操作を行う入力領域15に形成されている。また、入力領域15の外周の非入力領域16において、第1の透明電極31及び第2の透明電極32から引き出された引出配線41が形成されており、外部のフレキシブル基板と接続するための端子部40に接続されている。なお、入力領域15は透光領域であり、操作者から視認されないように第1の透明電極31及び第2の透明電極32には透明な材料が用いられる。また、非入力領域16は、加飾層(図示しない)などが設けられた非透光領域であるため、操作者から引出配線41及び端子部40が視認されることはない。
【0028】
本実施形態において、透明基材20は、フィルム状の樹脂材料を用いて形成されており、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の透光性樹脂材料が用いられる。そして、第1の透明電極31、及び第2の透明電極32は、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO
2、ZnO等の透明導電材料を用いて形成されており、スパッタや蒸着等の薄膜法により形成される。また、引出配線41及び端子部40には、CuやAg等の金属材料が用いられる。
【0029】
次に、
図2及び
図3を参照して、1対の第1の透明電極31を連結するブリッジ配線50と第2の透明電極32とが交差する部分の構成について説明する。
図3(a)は、ブリッジ配線の構成を示す部分拡大平面図であり、例えば
図2(a)の点線Aで囲む領域を拡大して示している。また、
図3(b)は、
図3(a)のIII−III線で切断して矢印方向から見たときの部分拡大断面図である。
【0030】
図2(a)に示すように、第2の透明電極32は、複数のパッド部32bが幅細部32aを介して連結されて、Y1−Y2方向に延在している。そして、Y1−Y2方向に延在する第2の透明電極32は、X1−X2方向に隣り合う1対の第1の透明電極31の間に位置して形成されている。すなわち、第2の透明電極32の幅細部32aをX1−X2方向に挟むように1対の第1の透明電極31が形成されている。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、第2の透明電極32の幅細部32aを覆うように絶縁層36が形成されており、1対の第1の透明電極31は、絶縁層36に跨がって形成されたブリッジ配線50によって接続されている。
【0031】
なお、絶縁層36は、少なくともブリッジ配線50と第2の透明電極32との間に介在するように形成されていれば、ブリッジ配線50と第2の透明電極32との絶縁が可能である。本実施形態においては、ブリッジ配線50と第2の透明電極32との絶縁を確実にするために、絶縁層36は、第1の透明電極31と第2の透明電極32との間を充填して、第1の透明電極31の一部に亘って形成されている。
【0032】
絶縁層36及びブリッジ配線50についても、透光領域である入力領域15に形成されているため、操作者から視認されない不可視特性を満たすような材料及び形状で形成される。絶縁層36には、レジスト材料などの透光性の樹脂材料を用いることができ、ブリッジ配線50には、ITO等の透明導電材料が用いられる。また、ブリッジ配線50にはCu、Ag等の金属材料を用いることもできる。
【0033】
ここで、絶縁層36の最大膜厚は、0.5μm〜4μm程度で形成される。また、ブリッジ配線50の膜厚は、5nm〜80nm程度であり、長さ寸法(X1−X2方向への長さ寸法)は、150μm〜500μm程度である。
【0034】
本実施形態の入力装置10において、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、ブリッジ配線50は、絶縁層36上に形成されたメインブリッジ部51と、メインブリッジ部51と第1の透明電極31とを接続するサブブリッジ部52とを有して構成されている。また、サブブリッジ部52の端部には、複数の配線52aが連結された幅広の接続部53が形成されており、接続部53が第1の透明電極31に接続されている。
【0035】
そして、サブブリッジ部52は、メインブリッジ部51から分岐された複数の配線52aからなるとともに、絶縁層36の表面から絶縁層36の端部36a及び第1透明電極31の表面にかけてX1−X2方向に延在して形成されている。メインブリッジ部51及びサブブリッジ部52は、同一の材料を用いてフォトリソグラフィ技術等により同一工程で形成される。
【0036】
また、
図3(a)に示すように、サブブリッジ部52において、複数の配線52aの幅がメインブリッジ部51の幅よりも小さく形成されており、複数の配線52aどうしはY1−Y2方向に間隔を設けて形成されている。そして、サブブリッジ部52の全体の幅(Y1−Y2方向の長さ)は、メインブリッジ部51の幅に対してほぼ同一の大きさで形成されている。又、隣り合う複数の配線52aは開口部60aを介して形成される。
【0037】
図3(b)に示すように、絶縁層36のX2方向の端部36aにおいて、絶縁層36と第1の透明電極31とで段差が形成されており、絶縁層36の端部36aに形成されたブリッジ配線50の厚さは、段差のない他の部分に比べて薄く形成される。よって、絶縁層36の端部36aに形成された箇所においてブリッジ配線50の抵抗値が高くなるため、ESDによりサージ電流が流入すると、この箇所で溶断が生じ易い。本実施形態の入力装置10によれば、ESDの発生によりブリッジ配線50の溶断が生じ易い絶縁層36の端部36aにおいてサブブリッジ部52が形成されている。このため、ESDによりサージ電流がブリッジ配線50に流入した場合であっても、サブブリッジ部52でサージ電流のエネルギーが熱エネルギーに変換されて、サブブリッジ部52が溶断する。これにより、メインブリッジ部51において損傷が発生することを防止できる。また、サブブリッジ部52が複数の配線52aから構成されるため、ESDにより一部の配線52aが溶断した場合であっても、残りの配線52aによりブリッジ配線50の電気的接続を確保することができる。
【0038】
また、
図3(a)に示すようにサブブリッジ部52において、複数の配線52aの幅がメインブリッジ部51の幅よりも小さく形成されている。つまり、サブブリッジ部52の複数の配線52aは、絶縁層36の端部36aに形成された箇所において、メインブリッジ部51の厚さよりも薄く、かつ小さい幅で形成される。よって、サブブリッジ部52の複数の配線52aにおいて抵抗値が大きい箇所が形成されることから、ESDが発生した場合に、確実にサブブリッジ部52の複数の配線52aの一部が溶断されて、メインブリッジ部51の損傷を防止できる。以上のように、本実施形態の入力装置10によれば、ブリッジ配線50のESD耐性を向上させることができる。
【0039】
また、サブブリッジ部52を形成することによりESD耐性を向上させているため、メインブリッジ部51についてはESD耐性を向上させるために幅を広く形成する必要がない。メインブリッジ部51の幅寸法は、1対の第1の透明電極31どうしを電気的に接続することが可能な幅、すなわち、従来の入力装置110におけるブリッジ配線150の幅と同程度以下の幅で形成される。よって、本実施形態において、ブリッジ配線50のメインブリッジ部51の幅寸法(Y1−Y2方向における長さ寸法)を、外部から視認されない程度の寸法に形成することが可能であり、良好な不可視特性を確保することが可能である。本実施形態において、メインブリッジ部51の幅は、例えば5μm〜50μm程度に形成される。
【0040】
以上のように、本実施形態のの入力装置10によれば、良好な不可視特性を確保するとともに、ブリッジ配線50のESD耐性を向上させることが可能である。
【0041】
また、
図3(a)に示すように、サブブリッジ部52の端部には、複数の配線52aが連結された幅広の接続部53が形成されており、接続部53が第1の透明電極31に接続されている。
【0042】
ブリッジ配線50全体としての抵抗値は、材料自体の抵抗率と構造(厚さ、幅、長さ)とで決定される抵抗値とブリッジ配線50と第1の透明電極31との接触抵抗に分けられる。接続部53を形成せずに、複数の配線52aのそれぞれを第1の透明電極31と接続する場合には、複数の配線52aのそれぞれを細幅に形成することによる抵抗上昇と、第1の透明電極31との接触面積が小さくなることによる接触抵抗の上昇が生じる。しかし、本実施形態の入力装置10においては接続部53を設けることにより、ブリッジ配線50と第1の透明電極31との接触抵抗を低減することができる。よって、サブブリッジ部52を設けた場合においてもブリッジ配線50全体の抵抗値の上昇を抑制して、第1の透明電極31同士が確実に電気的に接続される。
【0043】
なお、第1の透明電極31、第2の透明電極32、及び絶縁層36のパターン形状は、
図1から
図3に示したものに限定されず、絶縁層に跨がって形成されたブリッジ配線によって1対の透明電極が接続された構成を有する静電容量式入力装置において、同様の効果が得られる。
【0044】
次に、本実施形態の入力装置10の変形例を説明する。
図4は、本実施形態の入力装置の第1の変形例を示し、
図4(a)はブリッジ配線の部分拡大平面図を示している。また、
図4(b)は、
図4(a)のIV−IV線で切断して矢印方向から見たときの部分拡大断面図である。
【0045】
図4(a)及び
図4(b)に示す第1の変形例の入力装置11において、ブリッジ配線50はメインブリッジ部51とサブブリッジ部52とを有して構成されており、
図3に示す入力装置10と共通している。
図4(a)、
図4(b)に示すように、絶縁層36は、第2の透明電極32の幅細部32aを覆うとともに第1の透明電極31の一部に亘って形成されている。そして、第1の透明電極31と重なる位置において、絶縁層36には孔部56が形成されており、孔部56において、メインブリッジ部51が第1の透明電極31に接続されている。
【0046】
また、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、サブブリッジ部52は、絶縁層36の端部36bのX2側において第1の透明電極31に接続されるとともに、孔部56においても第1の透明電極31に接続されている。なお、孔部56におけるサブブリッジ部52の長さは短い方が好ましく、こうすればメインブリッジ部51と第1の透明電極31との接触抵抗が低減される。なお、このような態様に限られず、孔部56においてサブブリッジ部52が形成されていない構成であってもよい。
【0047】
本変形例の入力装置11によれば、ESDの発生により過大なサージ電流が流入してサブブリッジ部52の複数の配線52aが全て溶断した場合であっても、メインブリッジ部51が孔部56を介して第1の透明電極31に接続されているため、1対の第1の透明電極31間の電気的接続を確保することが可能である。
【0048】
図5には、本実施形態の第2の変形例の入力装置を示し、ブリッジ配線の部分拡大平面図を示す。第2の変形例の入力装置12は、サブブリッジ部52の構成が異なっており、複数の配線52a、52b、52c、52dは、互いに異なる幅を有して形成されている。
図5に示すように、第2の変形例において、Y1側に位置する配線52aが最も幅細に形成されており、Y2側に位置する配線52b、52c、52dは、徐々に幅が大きくなるように形成されている。また、配線52aと配線52bとの間には開口部60aが、配線52bと配線52cとの間には開口部60bが、配線52cと配線52dとの間には開口部60cが形成されている。
【0049】
これにより、入力装置12の製造工程等において想定されるサージ電流の大きさに応じて、複数の配線52a〜52dの幅を互いに異ならせて形成することができる。例えば、サージ電流が小さい場合には、配線幅の小さい配線52aが優先的に溶断して、配線52b〜52dにおける溶断は生じない。よって、効果的にESD耐性を向上させることが可能である。また、複数の配線52a〜52dの全てについて、最大のサージ電流を想定して幅広に形成する場合に比較して、サブブリッジ部52の全体の幅を大きくすることなく形成される。
【0050】
図6には、本実施形態の第3の変形例の入力装置を示し、ブリッジ配線の部分拡大平面図を示す。
図6に示すように、第3の変形例の入力装置13は、サブブリッジ部52において、隣り合う配線52aどうしの間隔が、配線52aの幅よりも大きくなるように形成されている。複数の配線52aどうしの間隔を大きく形成することにより、過大なサージ電流が流入した場合であっても、隣り合う複数の配線52aが連鎖して溶断することが抑制される。
【0051】
図7には、本実施形態の第4の変形例の入力装置を示し、ブリッジ配線の部分拡大平面図を示す。
図3〜
図6に示す入力装置10、11、12、13においては、メインブリッジ部51の幅寸法(Y1−Y2方向の長さ寸法)と、サブブリッジ部52全体の幅寸法とが等しくなるように形成されているが、このような態様に限定されない。
図7に示す第4の変形例の入力装置14のように、メインブリッジ部51の幅寸法がサブブリッジ部52全体の幅寸法よりも小さくなるように形成することができる。このような構成とすることで、複数の配線52aからなるサブブリッジ部52を形成することによりESD耐性を向上させるとともに、メインブリッジ部51の幅寸法を小さくして、ブリッジ配線50の不可視特性を向上させることができる。
【0052】
あるいは、メインブリッジ部51の幅は
図3〜
図6に示す入力装置10、11、12、13と同等に形成して、サブブリッジ部52全体の幅を大きくすることも可能である。こうすれば、ブリッジ配線50の不可視特性を確保するとともにサブブリッジ部52のESD耐性を向上させることができる。
【0053】
なお、
図4から
図7に示す、各変形例のブリッジ配線50の構成、及び絶縁層36に設けた孔部56においてメインブリッジ部51と第1の透明電極31とを接続する構成は、適宜組み合わせることも可能である。