(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
光ディスクフォーマットに対しては、スタジオサーバーからローカルプレイヤにコンテンツをダウンロードできることが望まれている。基本的にはダウンロードコンテンツに対して2つのアプリケーションが存在する。
第1に、ディスク上のコンテンツをダウンロードコンテンツに置き換えることである。この典型的な例としては、例えばディスク上に記憶されている古い日付けの予告編あるいは期限切れの予告編を新作映画の予告編に置き換えることなどが挙げられる。第2に、ディスク上のコンテンツの完成やアップグレードなどである。典型的な例は、新しいサブタイトルトラックのダウンロード、例えばディスク上では得られない他言語でのサブタイトルのダウンロードなどである。
【0006】
ダウンロードコンテンツをローカルに記憶する際、2つの解決手段が存在する。このことは、書換え可能な別個のローカル記憶媒体、例えばハードディスクドライブをプレイヤに備えさせることによっても実現できるし、ディスク自体に何らかの書換え可能なメモリを設けることによっても実現できる。前者の方が好ましいが、その理由は、後者のメディアでは価格が高価になりやすく、またプレイヤは書換え可能なローカル記憶媒体を備えていることが多いからである。
【0007】
別個のローカル記憶媒体が適用される場合、即ち、別個のローカル記憶媒体が統合されたHDDの場合、ディスク上のコンテンツとローカル記憶媒体上のコンテンツを結合させたり関連付けるための機構が必要である。例えばダウンロードされたサブタイトルトラックのケースでは、プレイヤはこのトラックをディスクに所属させるための情報が必要であり、より具体的には当該ディスク上のどのコンテンツにこのトラックを関連付けるのかについての情報が必要である。
【0008】
本発明は、例えばインターネットからダウンロードされ、HDD上に記憶されているオフディスクコンテンツをディスク上のコンテンツ、いわゆるオンディスクコンテンツに関連付けるための機構を提供するものである。
【0009】
本発明の基本となる考え方は、ローカル記憶デバイス上の各ディスク毎のディレクトリツリー(すなわちオフディスクディレクトリツリー)を作成することである。ディスクがプレイヤに挿入されると同時に、オンディスクディレクトリツリーと関連付けられたオフディスクディレクトリツリーが論理的に統合される。この関連付けは、固有ディスク識別子か若しくは固有コンテンツ識別子によって提供される。挿入されたディスク上でのコンテンツのプレイバックは、統合されたディレクトリツリーを必要とする。このようにしてローカル記憶デバイス上のコンテンツがシームレスに統合化される。
【0010】
適切な統合ルールによりオフディスクコンテンツを用いてオンディスクコンテンツを更新可能となる。技術的にはこのことはオフディスクファイルを用いたオンディスファイルの論理的な置き換えによって達成される。本発明は、オフディスクコンテンツを用いてオンディスクコンテンツを補完できるようにする。このことはオンディスクディレクトリにオフディスクファイルを論理的に付加することによって達成される。オンディスクファイルをオフディスクファイルによって置き換えるべきかを決定するための2つのモードが可能である。すなわちファイル名が厳密に一致した場合にのみ置換えが実行されるか、若しくはオンディスクファイル名に対するオフディスクファイル名のマッピングのために詳細なマッピング手法が定められた場合に置換えが実行される。例えば対応するディレクトリの中でファイル名拡張子“clpi”を有するファイルが1つのみ存在する場合に、オフディスクファイル名“b.clpi”とオンディスクファイル名“a.clpi”の間で置換えがなされる。
【0011】
本発明によれば、複数のデータが第1及び第2の記憶媒体から検索され、結合若しくは統合され、それによって両メディアのデータを含んだ論理ディレクトリツリーが作成される。この論理ディレクトリツリーは、第1若しくは第2のディレクトリツリー内でのみ使用可能なファイルを含んでおり、両方のディレクトリツリー内で使用可能なファイルについては、第2のディレクトリツリーで使用可能なファイルを含む。
【0012】
特に、開示する、第1及び第2の記憶媒体からのデータの検索方法によれば、第1の記憶媒体上のデータは第1のディレクトリツリーの構造のファイルとして記憶され、第2の記憶媒体上に記憶されているデータは第2のディレクトリツリーの構造のファイルとして記憶され、第1の記憶媒体は、識別ラベルが付けられ、第2の記憶媒体上に記憶されている第2のディレクトリツリー分岐は、識別ラベルを参照し、第2のディレクトリツリーの分岐は、第1のディレクトリツリーのサブセットか若しくは第1のディレクトリツリーと同一であり、さらに論理ディレクトリツリーが、検索されたデータから構成されており、当該論理ディレクトリツリーの構造は、第1のディレクトリツリーの構造と同一であり、第1又は第2のディレクトリツリー内でのみ使用可能なファイルは、論理ディレクトリツリー内で使用可能であり、第1及び第2のディレクトリツリー内で使用可能なファイルに対しては、第2のディレクトリツリーで使用可能なファイルが論理ディレクトリツリー内で使用可能である。
【0013】
この方法に用いた装置は請求項8に記載されている。
【0014】
本発明の有益な実施例は、従属請求項並びに以下の詳細な説明及び図面に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施例は図面に基づいて以下で詳細に説明される。
【
図1】ブルーレイディスクのためのディレクトリツリーの例示的構造を示す図である。
【
図2】ローカル記憶ディレクトリの例示的構造を示す図である。
【
図4】ファイル名が有する結合情報の例を示した図である。
【
図5】フォルダ名が有する結合情報の例を示した図である。
【0016】
実施例の説明
光学的ディスク上のデータは、通常は複数のファイルに編成されており、これらのファイルは標準化されたディレクトリツリー、すなわちオンディスクディレクトリツリーに編成されている。ファイルシステムは、基礎となる記憶媒体からの抽象化を提供している。この標準化されたオンディスクディレクトリツリーの例を
図1に示す。その中には、所定のムービーオブジェクトMOのためのプレイリストフォルダPF、クリップ情報フォルダCF、データストリームフォルダSFが含まれている。これらのフォルダの各々は、ファイルのタイプを識別するファイル拡張子、例えばプレイリストファイルに対する“mpls”を備えた複数のファイルが含まれている。
【0017】
本発明の基本的な考え方は、書換え可能なローカル記憶デバイス上のディスクのディレクトリツリーを作成することによってオフディスクディレクトリツリーが作成されるようにするものである。ディスクがプレイヤに挿入されると同時にオンディスクディレクトリツリーがこれに関連付けられたオフディスクディレクトリツリーと統合される。ローカル記憶デバイス上に何もオフディスクディレクトリツリーが存在しない場合、例えばディスクが最初にプレイヤに挿入された場合には、使用される標準フォーマットに従って空のオフディスクディレクトリツリーが作成される。
【0018】
いずれのディスクも固有の識別子を提供する。これは固有のディスクIDか固有のコンテンツIDのいずれかである。種々のディスクのためにローカル記憶デバイス上に複数のディレクトリツリーが存在する、例えばこれまでにプレイヤに挿入された各ディスク毎に1つの分岐が設けられていることがある。ローカル記憶デバイスは付加的な情報を保持しており、この情報により、ディレクトリツリーの1つ、または、ローカル記憶デバイスのディレクトリツリーの1つの分岐にディスクが関連付けられる。オフディスクディレクトリツリーのトップレベルの名称は、ディスクIDに由来していると好ましい。最も単純な場合では、この名称が直接的にIDに対応している。
【0019】
基本的にはオフディスクツリー構造は任意である。さらに追加的なルールにより、どのようにオフディスクフォルダがオンディスクディレクトリツリー内へ統合されるかが特定される。現実に即した実用性と簡素化を図る上で好ましくはオフディスクディレクトリツリーは、オンディスクディレクトリツリーと同様の構造を有する。
【0020】
オフディスクコンテンツの検索をさらにスピードアップさせるためのオプションとして固有のプロバイダ識別子の使用も可能である。固有のディスク/コンテンツ識別子に加えてさらにこれらの固有の識別子がディスクと共に提供される。各プロバイダ毎に、若しくはプレイヤが読み出したことのあるディスクのプロバイダ毎にローカル記憶デバイス上で作成されたディレクトリが存在する。対応するフォルダ名は、プロバイダIDに由来する。最も単純な場合では、フォルダ名が直接IDに対応している。いずれのオフディスクツリーも関連付けられたプロバイダディレクトリにサブディレクトリとして作成される。このようなグループ化には、オフディスクコンテンツのためにプロバイダのディレクトリだけを検索すればよいので、オフディスクコンテンツ検出にかかわる検索処理のスピードアップにつながるという利点がある。例示的なディレクトリ構造を
図2に示す。所定のプロバイダからのディスクを参照するデータは、ディスクフォルダDFに記憶されており、さらにこのディスクフォルダはプロバイダフォルダPRFに記憶されている。
【0021】
アプリケーションがローカル記憶デバイスに対する直接且つ明示的なアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を必要とするシナリオでは、この構造が付加的な利点となる。具体的には、提案された階層構造は、アクセス権管理のための基盤として容易に役立つ。この場合はローカル記憶デバイスに対するアプリケーションのアクセスを制限する簡単なルールが作成されてもよい。
【0022】
例えばあるルールによって、Zのプロバイダ名を有するプロバイダによって発行されたXYのラベルが付けられたディスク上のアプリケーションが、関連付けられたXYのディレクトリ名を有するオフディスクディレクトリに対し読み書きを許可するが、発行者Zのディレクトリツリー内で他のディレクトリからの読み取りのみを許可して書込みは許可しないようにして、その一方でローカル記憶媒体上の何らかの他のディレクトリに対するアクセスを禁じることができる。
【0023】
どのようなコンテンツをダウンロードした場合にも、ローカル記憶デバイス上の記憶位置が特定され、プレイヤは、付加的にダウンロードされたコンテンツがローカル記憶デバイス上のどこに存在するかがわかる。ストリームのダウンロードの場合には、ストリーム自体とこのストリームファイルに関する対応する情報が記憶される。
【0024】
オフディスクディレクトリツリーとオンディスクディレクトリツリーの統合は、プレイバックにおけるプレイヤ内のオフディスクコンテンツとオンディスクコンテンツの統一的な処理を可能にする。
【0025】
例示的な統合(マージ)動作は
図3に表されている。ハードディスクドライブからのディレクトリツリー(HDD_DT)からのデータと、読出し専用ディスクからのディレクトリツリー(D_DT)からのデータは、論理ディレクトリツリー(L_DT)に統合される。この論理ディレクトリツリーは、プレイヤのプレイバックコントロールエンジンPCEによって使用される。論理ディレクトリツリー(L_DT)は、実行時において一時的に構築される。
【0026】
本発明の方法は、ムービーモジュールとプレイバックコントロールエンジンの間のインターフェースが現下の標準タイプのものから変更することなく維持できるという格別な効果を奏する。この場合の統合動作のルールは以下の通りである。
2つのディレクトリの統合のもとで、オフディスクディレクトリのファイルがオンディスクディレクトリのファイルに追加される。これにより、プレイバック時にコンテンツが付加される。2つのディレクトリを統合する際、同じファイルがオフディスクディレクトリとオンディスクディレクトリ内に存在すると、オフディスクディレクトリのファイルが優先される。これにより、プレイバック時の他のデータ(例えば新たなサブタイトルや拡張されたオーディオのストリーム)によるディスクコンテンツの置換えができるようになる。
【0027】
付加的なAVコンポーネント、例えばオーディオ若しくはサブタイトルトラックをダウンロードするアプリケーションは、付加的な情報を要求する。結合情報は、ダウンロードされたトラックとディスクとの関連付けのみならず、ディスク上の対応するメインマルチプレックス部分との関連付けに必要とされる。
【0028】
ダウンロードされたオフディスクストリームと、関連付けされたオンディスクメインマルチプレックス部分は時間軸上で同じ長さを有していると仮定する。他の場合では、時間軸上のどこで、ダウンロードされたトラックがメインマルチプレックス部分に関連付けられるかを記述した付加的情報の提供が必要となる。
【0029】
オフディスクコンポーネントとメインオンディスクマルチプレックス部分の関連付けに対しては、以下に述べる2つの手法が存在する。
【0030】
手法1
オフディスクコンポーネントのファイル名は以下のルールに従う。
−第1の部分はメインマルチプレックス部分を識別し、それにコンポーネントを関連付ける。従って全ての関連付けられるコンポーネントに対して同じことが当てはまる。
−第2の部分、好ましくは下線によって第1の部分と分離されている部分は、メインマルチプレックス部分の全ての付加的コンポーネントの中で固有のものでなければならない。
−情報ファイルは別個のフォルダに記憶され、それらの名前はオフディスクコンポーネントに由来する。
【0031】
図4に一例を示す。クリップ情報ファイルとストリームファイルの第1の部分0300は、これらのファイルをメインマルチプレックス部分に関連付ける一方で、第2の部分001は、図示の2つの付加的コンポーネントの中で固有の部分である。
【0032】
手法2
この手法においては結合情報が適当なサブディレクトリの使用によって提供される。
−オンディスクマルチプレックス部分に関連付けられたオフディスクコンポーネントは別個のフォルダに記憶され、そのフォルダ名はディスク上のメインマルチプレックス部分に由来する。
−全てのオフディスク情報ファイルも別個のフォルダに記憶され、そのフォルダ名はディスク上のメインマルチプレックス部分に由来する。
−ファイル名はメインマルチプレックス部分の全ての付加的コンポーネントの中で固有のものでなければならない。
【0033】
図5に一例を示す。クリップ情報ファイル001.clpiとストリームデータファイル001.m2tsは、クリップ情報フォルダとストリームフォルダのそれぞれのサブディレクトリであるサブティレクトリ03000に記憶されている。ファイル名001はディスク上のメインマルチプレックス部分に由来する。
【0034】
本発明による方法は、あらゆるタイプの読出し専用メディアに対するデータ追加のための種々の書換え可能なメディアに使用される。書換え可能なメディアに対する例としては、ハードディスクドライブやフロッピー(登録商標)ディスク、RAMモジュールなどの磁気記憶デバイスが挙げられる。読出し専用メディアの例としてはDVD−R/+Rや記録済みのブルーレイディスク(BDR)などが挙げられる。
【0035】
基本的には前述した方法は、読出し専用メディア上に記憶されているデータの他の読み出し専用メディアからのデータによる更新や補完に適したものである。
【0036】
好ましい実施例としてブルーレイディスク上に記憶されたデータをハードディスクドライブ上に記憶されているデータによって更新若しくは補完することができる。