特許第6057358号(P6057358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057358
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】多層表面被覆材
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20161226BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20161226BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   B32B27/00 E
   B05D1/36 Z
   E04F13/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-502108(P2015-502108)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公表番号】特表2015-516318(P2015-516318A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】EP2012055514
(87)【国際公開番号】WO2013143587
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】514240677
【氏名又は名称】ターケット ジェデエル
【氏名又は名称原語表記】TARKETT GDL
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】バスティン,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ディ クローチェ,パスカル
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−198309(JP,A)
【文献】 特開2000−085072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00
B05D 1/36
E04F 13/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁または床の被覆材(1)においてスチレン系熱可塑性エラストマーまたはポリオレフィン樹脂を有する熱可塑性組成物を含んでおり、厚みが500μmから3700μmの間であるPVC非含有支持層(2)と、ポリウレタン相溶性インキまたはポリオレフィン相溶性インキからなる装飾層(5)と、透明な摩耗層(4)と、前記支持層(2)と前記装飾層(5)との間にあるポリウレタンベースまたはポリオレフィンベースのコーティング層(3)と、を含み、前記コーティング層(3)が少なくとも5μmの厚みと、前記装飾層(5)の表面張力以上の表面張力とを有することを特徴とする被覆材(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の壁または床の被覆材(1)において、前記コーティング層(3)が、前記装飾層(5)の表面張力より少なくとも2ダイン/cm(2mN/m)高い表面張力を有することを特徴とする被覆材(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の壁または床の被覆材(1)において、前記コーティング層(3)が、34ダイン/cm(34mN/m)〜38ダイン/cm(38mN/m)の表面張力を有することを特徴とする被覆材(1)。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の壁または床の被覆材(1)において、前記コーティング層(3)が、合体したポリウレタン(PU)粒子を含むポリマーベースのフィルムまたはエチレン−アクリル酸コポリマーもしくはエチレン−メタクリル酸コポリマーを含むポリオレフィンベースのフィルムであることを特徴とする被覆材(1)。
【請求項5】
請求項1乃至の何れか1項に記載の壁または床の被覆材(1)が、前記装飾層(5)と前記摩耗層(4)との間に補助的なコーティング層(6)をさらに含み、前記補助的なコーティング層(6)が少なくとも1μmの厚みと、前記装飾層(5)の表面張力以上の表面張力とを有することを特徴とする被覆材(1)。
【請求項6】
請求項に記載の壁または床の被覆材(1)において、5μmの厚みを有するコーティング層(3)と、1μmの厚みを有する補助的なコーティング層(6)とを含むことを特徴とする被覆材(1)。
【請求項7】
請求項に記載の壁または床の被覆材(1)において、10μmの厚みを有するコーティング層(3)と、3μmの厚みを有する補助的なコーティング層(6)とを含むことを特徴とする被覆材(1)。
【請求項8】
請求項1乃至の何れか1項に記載の壁または床の被覆材(1)において、ニス層(7)をさらに含むことを特徴とする被覆材(1)。
【請求項9】
請求項1乃至の何れか1項に記載の壁または床の被覆材の製造方法において、
スチレン系熱可塑性エラストマーまたはポリオレフィン樹脂を有する熱可塑性組成物をベースとして、厚みが500μmから3700μmの間であるPVC非含有支持層(2)を提供する工程と、
ポリウレタンベースまたはポリオレフィンベースのコーティング層組成物を提供する工程と、
− 前記コーティング層組成物を前記PVC非含有支持層(2)上に塗布し、前記コーティング層組成物を20〜130℃の温度で乾燥させることにより、またはコーティング層組成物を押出成形してフィルムを形成し、前記フィルムを前記PVC非含有支持層(2)上に貼付することにより、少なくとも5μmの厚みと、前記装飾層(5)の表面張力以上の表面張力とを有するコーティング層(3)を形成する工程と、
− 前記コーティング層(3)上に、ポリウレタン相溶性インキまたはポリオレフィン相溶性インキを用いた装飾層(5)を塗布する工程と、
− 前記装飾層(5)上に透明な摩耗層(4)を塗布する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、前記コーティング層(3)が、34ダイン/cm(34mN/m)〜38ダイン/cm(38mN/m)の表面張力を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法において、前記コーティング層(3)が、ポリウレタンベースの分散体の合体により形成されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9乃至11の何れか1項に記載の方法において、コーティング層組成物を前記装飾層(5)上に塗布し、前記コーティング層組成物を20〜130℃の温度で乾燥させることにより、またはコーティング層組成物を押出成形してフィルムを形成し、前記フィルムを前記装飾層(5)上に貼付することにより、少なくとも1μmの厚みと、前記装飾層(5)の表面張力以上の表面張力とを有する補助的なコーティング層(6)を形成する工程をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか1項に記載の方法において、ニス層(7)を前記摩耗層(4)上に塗布する工程をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9乃至13の何れか1項に記載の方法において、前記コーティング層(3)を形成する前に前記支持層(2)におよび/または前記ニス層(7)を塗布する前に前記摩耗層(4)にコロナ処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持層と、コーティング層と、装飾層と、摩耗層とを含む多層表面被覆材、およびこのような表面被覆材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床材または壁装材などの合成表面被覆材は周知である。それらの中で、多層被覆材は、通常、「支持層」として知られる下層と、「摩耗層」として知られる上層とを含む。他のポリマーシート材と異なり、床材または壁装材、および多層被覆材の様々な層は、可撓性、機械的耐性および耐歪み性に関して特殊な性質を有する。
【0003】
最もよく知られている表面被覆材は、PVCベースの被覆材である。しかし、環境問題のため、PVC非含有表面被覆材を得るためにPVCの代替物が開発された。
【0004】
通常、PVC非含有表面被覆材は、装飾層を容易に塗布することができるPVC非含有支持層を含む。
【0005】
しかし、PVC非含有表面被覆材には幾つかの欠点があり、その中には、PVC非含有支持層と、装飾層または摩耗層との接着力が低いことや、このような支持層は平坦でないため印刷性が低いことがある。
【0006】
本発明は、従来技術の欠点のない、表面被覆材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、従来のPVCベースの表面被覆材の代替物となる表面被覆材を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、異なる層間の接着力が改善されており、印刷性が良好な表面被覆材を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、PVC非含有支持層と、装飾層と、透明な摩耗層と、支持層と装飾層との間にあるコーティング層とを含み、コーティング層が少なくとも5μmの厚みと、装飾層の表面張力以上の表面張力とを有する表面被覆材を開示する。
【0010】
特定の実施形態によれば、表面被覆材は、次の特性:
− コーティング層の表面張力が、装飾層の表面張力より少なくとも2ダイン/cm(2mN/m)高い、
− コーティング層の表面張力が、34ダイン/cm(34mN/m)〜38ダイン/cm(38mN/m)である、
− コーティング層が、合体したポリウレタン(PU)粒子を含むポリマーベースのフィルム、またはエチレン−アクリル酸コポリマーもしくはエチレン−メタクリル酸コポリマーを含むポリオレフィンベースのフィルムである、
− 支持層が、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性組成物を含む、
− 表面被覆材が、装飾層と摩耗層との間にある補助的なコーティング層を含み、補助的なコーティング層が、少なくとも1μmの厚みと、装飾層の表面張力以上の表面張力とを有する、
− 表面被覆材が、5μmの厚みを有するコーティング層と、1μmの厚みを有する補助的なコーティング層とを含む、
− 表面被覆材が、10μmの厚みを有するコーティング層と、3μmの厚みを有する補助的なコーティング層とを含む、
− 表面被覆材が、ニス層を含む、
の1つ、または1つもしくは幾つかの好適な組み合わせを含み得る。
【0011】
本発明は、本発明によるPVC非含有表面被覆材の製造方法に関し、前記方法は、PVC非含有支持層を提供する工程、コーティング層組成物を提供する工程、PVC非含有支持層上にコーティング層組成物を塗布し、前記コーティング層組成物を20〜130℃の温度で乾燥させることにより、またはコーティング層組成物を押出成形してフィルムを形成し、前記フィルムを前記PVC非含有支持層上に貼付することにより、少なくとも5μmの厚みと、装飾層の表面張力以上の表面張力とを有するコーティング層を形成する工程、前記コーティング層上に装飾層を塗布する工程、前記装飾層上に透明な摩耗層を貼付する工程を含む。
【0012】
特定の実施形態によれば、本方法は、次の特性:
− コーティング層は、34ダイン/cm(34mN/m)〜38ダイン/cm(38mN/m)の表面張力を有する、
− コーティング層は、PUベースの分散体の合体により形成される、
− 本方法は、コーティング層組成物を装飾層上に塗布し、コーティング層組成物を20〜130℃の温度で乾燥させることにより、またはコーティング層組成物を押出成形してフィルムを形成し、そのフィルムを装飾層上に貼付することにより、少なくとも1μmの厚みと、装飾層の表面張力以上の表面張力とを有する補助的なコーティング層を形成する工程をさらに含む、
− 本方法は、ニス層を摩耗層上に塗布する工程をさらに含む、
− 本方法は、コーティング層を形成する前に支持層におよび/またはニス層を塗布する前に摩耗層にコロナ処理を行う工程をさらに含む、
の何れか1つ、または何れかの組み合わせを含み得る。
【0013】
「塗布/貼付する(applying)」および「塗布/貼付された(applied)」という用語は、ある層を別の層の上に形成する、またはある層を別の層に接触して配置する任意の工程段階を包含するものと理解されたい。例えば、それは、カレンダー加工工程、加熱コーティング(hot coating)工程、ラミネート工程、またはこれらの組み合わせを指すことがある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の表面被覆材の第1の実施形態の概略図である。
図2図2は、本発明の表面被覆材の第2の実施形態の概略図である。
図3図3は、本発明の表面被覆材の第3の実施形態の概略図である。
図4図4は、本発明の表面被覆材の第4の実施形態の概略図である。
図5図5は、本発明の表面被覆材の横断面の電子顕微鏡画像である。
図6図6は、従来技術の表面被覆材の上面図である。
図7図7は、本発明の表面被覆材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、支持層2と、摩耗層4と、それらの間のコーティング層3とを含む多層表面被覆材1に関する(図1)。
【0016】
表面被覆材1は、支持層2と摩耗層4との間に装飾層5をさらに含んでもよい(図2)。この実施形態では、コーティング層3が、支持層2と装飾層5との間に介在しており、摩耗層4は実質的に透明である。
【0017】
別の実施形態では、コーティング層3が支持層2と装飾層5との間に介在しており、補助的なコーティング層6が装飾層5と摩耗層4との間に介在している(図3)。
【0018】
本発明の全ての実施形態において、表面被覆材1は摩耗層4上にニス層7をさらに含んでもよい(図4)。
【0019】
支持層2は、熱可塑性組成物を含むPVC非含有層である。
【0020】
好ましい実施形態では、熱可塑性組成物は、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)または水素化ポリマーSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)、またはSEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)コポリマーなどのスチレン系熱可塑性エラストマーを含む。
【0021】
別の好ましい実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリオレフィン樹脂、またはポリオレフィン樹脂の組み合わせを含む。
【0022】
好ましくは、ポリオレフィン樹脂は、VLDPE、LLDPE、EVA、ポリオレフィンプラストマー(POP)、ポリオレフィンエラストマー(POE)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、ポリオレフィンポリマーのMFI(190℃、荷重2.16kg)は、0.6g/10分〜3g/10分である。
【0023】
POEおよびPOPの定義に関して、「Handbook of Plastics Elastomers and Composites,Charles A.Harper,4th edition,Mc Graw−Hill Handbooks,p195を参照する。エラストマーおよびプラストマー樹脂は、オクテンモノマーの含有率が20%未満の場合はエラストマーであると定義され、オクテンモノマーの含有率が20%超の場合はプラストマーであると定義されている。しかし、本発明のPOEおよびPOPは、オクテンモノマーをブテンコモノマーまたはヘキセンコモノマーで置換することにより得られるものであってもよい。
【0024】
ポリオレフィンエラストマーまたはプラストマーは、米国特許第5272236号明細書および米国特許第5278272号明細書に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0025】
好ましい実施形態では、支持層2の組成物は、PCT/EP2009/065993号明細書に開示されているものであり、この文献は参照により本明細書に援用される。
【0026】
支持層2の組成物は、少なくとも1種の第2のポリマーを含んでもよい。前記第2のポリマーは酸無水物基を含み、ポリマーの全量100部当たり少なくとも5重量部、即ち少なくとも5重量%、好ましくは10〜40重量部を占める。
【0027】
酸無水物基を含むポリマーは、例えば、無水マレイン酸モノマーを組み込み、約0.94g/cmの密度と約25g/10分のMFI(190℃、荷重2.16kg)とを有するポリエチレン、または、約0.94g/cmの密度と約5g/10分のMFI(190℃、荷重2.16kg)とを有するエチレン、アクリル酸ブチルおよび無水マレイン酸のターポリマー、またはメタロセン触媒反応によって得られ、無水マレイン酸を組み込むように化学修飾され、約0.88g/cmの密度と約3.7g/10分のMFI(190℃、荷重2.16kg)とを有するポリオレフィンプラストマーもしくはエラストマー、または無水マレイン酸を組み込むように化学修飾され、約0.96g/cmの密度と約1.4g/10分のMFI(190℃、荷重2.16kg)とを有するEVAポリマーであってもよい。
【0028】
好ましくは、支持層2の組成物はさらに、1種または複数種のポリマーの全量100部当たり、少なくとも1種の充填剤を少なくとも100部含む。
【0029】
充填剤は、好ましくは、無機充填剤、例えば、CaCO、MgCO、CaMgCO、SiO、ケイ酸塩、硫酸バリウム、アルミナ水和物、マグネシウム水和物またはホウ酸亜鉛である。
【0030】
支持層2はまた、熱または光安定剤、帯電防止剤、加工助剤などの添加剤を含んでもよく、これらの添加剤の種類と量は、本方法に、特に、層組成物の成分の種類と量に適合するようにする。
【0031】
組成物は、従って、ステアリン酸0.5〜4phrおよび/または鉱油2〜25phrを含んでもよい。
【0032】
表面被覆材1は、ガラスベール(glass veil)をさらに含んでもよい。ガラスベールは、支持層2に埋め込まれても、または支持層2と接触する補助的な層であってもよい。
【0033】
支持層2の厚みは、500〜3700μm、より好ましくは約1700μmである。
【0034】
支持層2の表面張力は、好ましくは32mN/mより低く、より好ましくは28〜32mN/mである。
【0035】
室温で測定した本発明のコーティング層3の表面張力は、乾燥した装飾層5の表面張力以上である。
【0036】
コーティング層3は、支持層2と装飾層5との間におよび/または装飾層5と摩耗層4との間に接着を提供する。支持層2の表面に欠陥が存在し得るにもかかわらず、それにより、良好な印刷性を得ることがさらに可能となる。
【0037】
表面張力は、一般的に、ダイン/cmで測定され、これはmN/mに相当する。従って、室温におけるコーティング層3の表面張力は、好ましくは、室温における装飾層5の表面張力より2ダイン/cm(2mN/m)、より好ましくは4ダイン/cm(4mN/m)高い。
【0038】
コーティング層3は、ポリマーベースのフィルム、室温でコーティングされるポリマーのエマルションもしくは分散体から得られた液膜、もしくは室温でコーティングされる溶媒に溶解したポリマー溶液から得られた液膜の何れか、高温液体ポリマーから得られた液膜の何れか、またはカレンダー加工されたフィルムもしくは押出成形されたフィルムの何れかである。
【0039】
好ましくは、コーティング層3は、装飾層5と、装飾層5の成分と、即ち、1種もしくは複数種のインキ、および/または1種もしくは複数種のバインダー、および/または1種もしくは複数種の添加剤と相溶性がある。好ましくは、コーティング層3の成分は複数の層内に散在してもよく、それは、これらの層間に接着を、好ましくは、1μm以上の厚みにわたり提供しなければならない。
【0040】
好ましい実施形態では、コーティング層3は、合体したPU(ポリウレタン)粒子を含む。コーティング層3は、合体したPUベースの分散体のフィルムである。このフィルムは、慎重なPU粒子を含むPUベースの分散体の合体により得られる。
【0041】
「合体した」または「合体」は、溶媒または水が蒸発することにより、慎重な粒子が1つの物体にまたは1つの塊に一体化または結合すること、即ち、熱の作用により慎重なPU粒子が一体化してフィルムを形成することを指す。
【0042】
好ましくは、PUベースの分散体は、水または有機溶媒に分散可能なPU(ポリウレタン)を含む。好ましくは、ポリウレタンは脂肪族鎖を含む。
【0043】
好ましくは、PUベースの分散体は、有機溶媒中または水中の何れかに脂肪族PUを20〜40重量%、より好ましくは30〜35重量%含む。
【0044】
好ましくは、PUベースの分散体は、有機溶媒が使用されていない水性分散体である。この実施形態では、主鎖に安定基、即ち、アニオン性、カチオン性、およびノニオン性安定基を含むものなどの化学修飾されたポリウレタンポリマーを使用することができる。この実施形態では、含水率は、60〜80重量%である。
【0045】
「分散体」は、一般的に、一相がある物質の離散粒子を含有し、その粒子が分散相であり、ある物質が連続相または外相を形成する二相系を意味する。本発明では、連続相は有機溶媒または水であり、ポリウレタンの少なくとも一部は離散粒子として存在する。「分散体」とは、ポリウレタンポリマー全体が有機溶媒または水に不溶である必要はないことも意味する。
【0046】
PUベースの分散体は、湿潤剤または界面活性剤などの少なくとも1種の添加剤をさらに含んでもよい。少なくとも1種の添加剤は、組成物の全重量の0.1〜2重量%を占める。
【0047】
例えば、湿潤剤は、Air products製のEnvirogem(登録商標)360であり、0.4重量%を占めるか、またはEvonik製のTegowet 270であり、0.5重量%を占める。
【0048】
この実施形態の好ましい実施において、PUベースの分散体は、脂肪族ウレタン33重量%および水67重量%を含み、25℃で測定したブルックフィールド粘度が100mPa.s、20℃での分散体の密度が1.02kg/lである。一例として、PUベースの分散体は、DSM製のNeorez(登録商標)R600を含む。
【0049】
この実施形態の別の好ましい実施において、PUベースの分散体は、脂肪族ウレタン30〜35重量%および水65〜70重量%を含み、粘度(BS4カップ4、25℃)が23〜28秒、体積密度が0.9〜1.0g/cm3である。一例として、PUベースの分散体は、Henkel製のLiofol PR59−160を含む。
【0050】
別の好ましい実施形態では、コーティング層3は、ポリオレフィンベースのフィルムである。フィルムは、好ましくは、エチレンコポリマーを含む組成物から得られる。コポリマーは、アクリル酸ポリマーまたはメタクリル酸ポリマーの何れかである。コポリマーは、ターポリマーであってもよい。
【0051】
好ましくは、コーティング層3は、エチレン−メタクリル酸コポリマー、好ましくはMFIが2.5、融点が101℃のエチレン−メタクリル酸コポリマー、またはエチレン−アクリル酸ターポリマー、好ましくは、MFIが35、融点が87℃のエチレン−アクリル酸ターポリマーである。一例として、エチレン−酸コポリマーは、DuPont製のNucrel 0903であってもよく、エチレン−酸−アクリレートターポリマーは、DuPont製のBynel 2022であってもよい。
【0052】
乾燥後、コーティング層3の厚みは、少なくとも5μm、好ましくは5〜70μm、より好ましくは10μm〜50μm、さらにより好ましくは約20μmである。
【0053】
乾燥後に測定したコーティング層3の表面張力は、34ダイン/cm(34mN/m)〜38ダイン/cm(38mN/m)である。
【0054】
表面張力は、室温、約23℃で、30〜50ダイン/cm(mN/m)の既知の特定の表面張力を有する較正された液体を含む、較正されたペン、例えば、Arcotestのものなどを使用して測定する。そのペンを使用して、較正された液体の線をコーティング層3に引く。線が、液滴に変わることなく、表面上に少なくとも2秒間変化せずに留まる場合、表面張力は較正された液体の値に相当する。
【0055】
驚くべきことに、5〜100μmの層で高い表面張力が得られ、使用するコーティング層3が5μmの層であっても、装飾層5の支持層2への良好な接着を得ることが可能となる。
【0056】
装飾層5は、単一の組成物からなるか、または幾つかの組成物からなる。装飾層5の1つまたは複数の組成物は、任意の好適な顔料または顔料の組み合わせを含む。好ましくは、組成物はインキ、PU相溶性インキ、もしくはポリオレフィン相溶性インキ、またはこのようなインキを含む組成物である。より好ましくは、それは水性インキである。例えば、インキは、Penn Color incもしくはSun chemicalによって提供される水分散性インキ、または欧州特許第1995057号明細書に開示されているものである。例えば、PU相溶性インキは、Sun chemical製のDU2740 PUインキ、または、36B440インキ(黒色顔料を含有)および/または36R281インキ(赤色顔料を含有)および/または36S443インキ(青色顔料を含有)および/または36Y237インキ(黄色顔料を含有)を含むPenn Color製の39C653クリヤラミネート用インキ、または欧州特許第1995057号明細書に開示されているポリオレフィンベースのインキである。
【0057】
装飾層5は、前述の1つまたは複数の組成物からなる1つまたは幾つかの層、連続層を含んでもよい。
【0058】
表面被覆材1は、装飾層5上に配置されている補助的なコーティング層6をさらに含んでもよく、それは、支持層2と装飾層5との間に介在しているコーティング層3およびコーティング層3の組成と、実質的に同一であり、好ましくは実質的に同一の組成を有する。
【0059】
補助的なコーティング層6の使用は、装飾層5がインキの連続層からなる実施形態に特に好ましい。
【0060】
補助的なコーティング層6の厚みは、好ましくは1〜70μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
【0061】
好ましくは、補助的なコーティング層6の厚みはコーティング層3の厚みと実質的に同等であるかまたはそれに等しい。この実施形態は、摩耗層4、中和度の高いアイオノマーベースのフィルム、例えば、(アイオノマー−EMAA)ベースのフィルムを使用する場合、特に好ましい。
【0062】
摩耗層4は、装飾層5組成物と相溶性のある任意の好適な組成物からなり、好ましくは、摩耗層4は、装飾層5との接着力が50N/50mmより高い。
【0063】
摩耗層4は、酸ポリマーをベースにする、好ましくはエチレンメタクリル酸またはエチレンアクリル酸コモノマーまたはターポリマーをベースにする単層膜または多層膜の何れかである。
【0064】
好ましくは、摩耗層4は、中和されていない酸ポリマーの多層膜である。この実施形態は、特に、装飾層5が中和されていない酸ポリマー層と接触している場合、好ましい。
【0065】
しかし、摩耗層4はまた、中和されてまたは部分的に中和されてアイオノマーを生成している酸ポリマーをベースにする単層膜または多層膜であってもよい。
【0066】
摩耗層4は単層膜または多層膜の何れかであり、その厚みは100〜800μm、好ましくは150〜300μmである。
【0067】
摩耗性に応じて、摩耗層4は、多層実施形態で摩耗層4を形成する各層を有するべきであり、100〜800μmの厚みを有することができる。
【0068】
本発明の表面被覆材1は、摩耗層4上にニス層7をさらに含んでもよい。
【0069】
好ましくは、ニス層7の組成物は、UVによりおよび/または熱により硬化して三次元構造を形成する硬化性ポリウレタンを含み、それにより耐摩耗性および耐歪み性を得ることが可能となる。
【0070】
ニス層7の厚みは、好ましくは5〜25μmである。
【0071】
本発明の表面被覆材は、壁装材であっても、または床材であってもよい。
【実施例】
【0072】
全ての実施例(比較例および本発明の実施例)において、表面被覆材1は:
− 表1〜表4に記載の厚み1700μmの支持層2、
− PU相溶性インキ(Sun chemical製のDU2740 PUクリヤラミネート用インキもしくはPenn Color製の39C653クリヤラミネート用インキ)または欧州特許第1995057号明細書に開示されているポリオレフィンベースのインキ)を含む装飾層5、
− 2枚の共押出フィルムからなる厚み200μmの透明な摩耗層4であって、第1のフィルムが、中和されてまたは部分的に中和されてアイオノマーを生成している酸ベースのポリマーからなる厚み160μmのフィルムであり、第2のフィルムが厚み40μmのEMAAベースのフィルムであり、約180℃で約120秒間貼付される摩耗層4、
− 厚み5μmのPUベースのニス層7、
を含む。
【0073】
実施例の様々な支持層2を表1〜表4に記載する。それらの表面張力は、28mN/mである。Phrは、「ポリマーの全量の重量によるパーセンテージ」を意味する。
【0074】
比較例
比較例は、A、B、CまたはDの何れかの種類の支持層2を含むが、コーティング層3も補助的なコーティング層6も含まない。第1群(CI)は、支持層2のコロナ処理を含まないが、第2群(CII)では、支持層2にコロナ処理を行い、38mN/mの表面張力を得ることを可能にする。装飾層5は、30mN/mの表面張力を有するPUベースのインキ−1、34mN/mの表面張力を有するPUベースのインキ−2、または30mN/mの表面張力を有するポリオレフィンベースのインキの何れかを含み、支持層2の実質的に全表面を実質的に1層で被覆する。
【0075】
本発明の実施例
本発明の実施例の第1群は、コロナ処理されたタイプAの支持層2、20μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有し且つ38mN/mの表面張力を有する合体したPUベースの分散体のフィルムであるコーティング層3を含む。装飾層5は、30または34mN/mの表面張力を有するPUベースのインキであり、支持層2の表面の約100%を被覆する。
【0076】
本発明の実施例の第2群は、装飾層5が支持層2の表面の約30%を被覆すること以外、第1群の実施例と同一である。
【0077】
本発明の実施例の第3群は、コロナ処理されたタイプA、B、CまたはDの支持層2と、38mN/mの表面張力を有し且つ20μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する合体したPUベースの分散体のフィルムであるコーティング層3と、38mN/mの表面張を有し且つ20μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する合体したPUベースの分散体のフィルムである補助的なコーティング層6とを含む。装飾層5は、支持層を実質的に全て被覆する。
【0078】
本発明の実施例の第4群は、コロナ処理されたタイプAの支持層と、38mN/mの表面張力を有し且つ5〜70μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する合体したPUベースの分散体のフィルムであるコーティング層3と、30mN/mの表面張力を有するPUベースのインキ−1である装飾層5と、38mN/mの表面張力を有し且つ1〜70μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する合体したPUベースの分散体のフィルムである補助的なコーティング層6とを含む。装飾層5は、支持層を実質的に全て被覆する。
【0079】
本発明の実施例の第5群は、装飾層5のPUベースのインキの表面張力が34mN/mであること以外、第4群と同じである。
【0080】
本発明の実施例の第6群は、コロナ処理されたタイプAの支持層、37mN/mの表面張力を有し且つ40〜50μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する、エチレン−酸コポリマーベースのフィルムであるコーティング層3、30mN/mの表面張力を有するポリオレフィンインキである装飾層5、37mN/mの表面張力を有し且つ30〜50μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する、エチレン−酸コポリマーフィルムである補助的なコーティング層6を含む。装飾層5は、支持層を実質的に全て被覆する。
【0081】
本発明の実施例の第7群は、コロナ処理されたタイプAの支持層と、34N/mの表面張力を有し、且つ40〜50μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する、エチレン−酸−アクリレートターポリマーベースのフィルムであるコーティング層3と、30mN/mの表面張力を有するポリオレフィンインキである装飾層5と、34N/mの表面張力を有し且つ30〜50μmの厚み(130℃で20秒間乾燥させた後)を有する、エチレン−酸−アクリレートターポリマーフィルムである補助的なコーティング層6とを含む。装飾層5は、支持層を実質的に全て被覆する。
【0082】
結果
摩耗層4と支持層2との層間剥離による180°で行われる剥離試験で、摩耗層4または装飾層5と支持層2との間の接着力を測定する。
【0083】
全ての比較例(CIおよびCII)について、全ての種類の支持層について、摩耗層4または装飾層5と支持層2との間で測定される接着力は、10N/50mmであり、装飾層は多くの目に見える欠陥を示す。装飾層5を塗布する前に支持層のコロナ処理を行うと、前記装飾層5の目に見える欠陥の数は減少するが、接着力は低い。
【0084】
第1群の実施例では、摩耗層4と装飾層5との間で測定された接着力は、30N/50mmであり、第2群の実施例では55N/50mmであり、第3群の実施例では支持層2のタイプにかかわらず85N/50mmである。
【0085】
従って、比較例と比較して、装飾層5が支持層2の表面を部分的にまたは実質的に全て被覆するとき、コーティング層3の存在により、摩耗層4とPVC非含有支持層2との間の接着力が向上するように見受けられる。この接着力はまた、補助的なコーティング層6の使用により向上する。
【0086】
比較例と比較して、第1群〜第3群の実施例は、装飾層5の目に見える欠陥がないか、または少ない。さらに、装飾層5の外観は、補助的なコーティング6が存在しても維持される(悪影響を受けない)。
【0087】
第4群の実施例では、測定された接着力は50〜85N/50mmである(表5)。
【0088】
1〜20μmの厚みを有する補助的なコーティング層6を使用することにより、第1群の実施例と比較して、摩耗層4と支持層2との間の接着力が向上するように見受けられる。より一般的には、厚み5〜70μmのコーティング層3では、厚み1〜70μmの補助的なコーティング層6により、摩耗層4と支持層2との間の接着力が向上する。
【0089】
しかし、厚み5μmのコーティング層3では、補助的なコーティング層6の厚みが増加するにつれ、接着力が向上するように見受けられる。このようなコーティング層3の厚みについて、また、装飾層5を形成する層の数が増加すると、摩耗層4と支持層2との間の接着力が僅かに低下するように見受けられる。
【0090】
さらに、装飾層5の外観は、補助的なコーティング6が存在しても維持される(悪影響を受けない)。
【0091】
一般的に、接着剤コーティングは、それが接着しなければならない層間で、ある一定の「移動性」または相互侵入を示す。従って、このような「移動性の」コーティング上に装飾層を印刷すると、印刷された装飾パターンの品質の低下が起こり得ることが予測できる。しかし、驚くべきことに、本発明では、装飾層5の印刷性が向上した。
【0092】
第5群の実施例では、測定した接着力は、50〜85N/50mmである(表6)。
【0093】
表5および表6では、PUベースのインキ−1は、30ダイン/cm(mN/m)の表面張力を有するSun chemical製のDU2740PUインキであり、34ダイン/cm(mN/m)の表面張力を有するPUベースのインキ−2には、39C653、36R281(赤色顔料を含有する)、36B440インキ(黒色顔料を含有する)、36Y237インキ(黄色顔料を含有する)が含まれる。
【0094】
表5に示す結果について前述したように、表6から、厚み5μmのコーティング層3では、装飾層5を形成する層の数が増加すると、摩耗層4と支持層2との間の接着力が僅かに低下するように見受けられる。コーティング層3の厚みが3μmのとき(実施例a〜d)、接着力の低下が著しい。
【0095】
表5および表6から、34ダイン/cmの表面張力を有するPUベースのインキ、または30ダイン/cmの表面張力を有するPUベースのインキのどちらを使用しても、装飾層5の外観および摩耗層4と支持層2との間の接着力は同等であるように見受けられる。
【0096】
第6群の実施例では、測定した接着力は85N/50mmである(表7)。
【0097】
第7群の実施例では、測定した接着力は85N/50mmである(表8)。
【0098】
表7および表8では、ポリオレフィンベースのインキは、30ダイン/cm(mN/m)の表面張力を有する、欧州特許第1995057号明細書に開示されているものである。
【0099】
表7および表8から、37ダイン/cmの表面張力を有するポリオレフィンベースのコーティング層3、または34ダイン/cmの表面張力を有するポリオレフィンベースのコーティング層3のどちらを使用しても、装飾層5の外観および摩耗層4と支持層2との間の接着力は同等であるように見受けられる。さらに、装飾層5の外観および接着力はPUベースのコーティング層のものと同等であるように見受けられる。
【0100】
本発明の表面被覆材の製造方法は、PVC非含有支持層2を提供する工程と、コーティング層組成物を提供する工程と、支持層2上に、少なくとも5μmの厚みと、装飾層5の表面張力以上の表面張力とを有するコーティング層3を形成する工程と、前記コーティング層3上に装飾層5を塗布する工程と、装飾層5上に透明な摩耗層4を塗布する工程とを含む。
【0101】
PVC非含有支持層2、コーティング層3、装飾層5および透明な摩耗層4は、本発明の表面被覆材1について記載したものである。
【0102】
コーティング層3は、ポリマーベースのフィルム、室温でコーティングされるポリマーのエマルションもしくは分散体から得られた液膜、もしくは室温でコーティングされる溶媒に溶解したポリマー溶液から得られた液膜の何れか、もしくは高温液体ポリマーから得られた液膜の何れか、またはカレンダー加工されたフィルムもしくは押出加工されたフィルムの何れかである。
【0103】
液体コーティング層組成物を使用する実施形態では、好ましくは、乾燥工程の前に組成物を塗布して、少なくとも15μm、好ましくは50〜150μm、より好ましくは約60μmの厚みを有する層を形成する。乾燥工程後、コーティング層3の厚みは、少なくとも5μm、好ましくは20〜50μm、より好ましくは約20μmである。
【0104】
コーティング層組成物がPUベースの分散体を含む好ましい実施形態では、コーティング層3は、前記PUベースの分散体の合体により形成される、即ち、慎重なPU粒子が結合して連続フィルムを形成する。合体は、好ましくは、20〜130℃の温度で、より好ましくは100℃で行われる。
【0105】
全ての実施形態について、コーティング層組成物を乾燥させる工程は、任意の好適な手段で、しかし好ましくは、赤外線加熱装置またはオーブンで行われる。
【0106】
コーティング層3がフィルムから形成される実施形態では、フィルムは支持層2上にコールドラミネートされてもまたはホットコートラミネートされてもよい。
【0107】
装飾層5は、単一の組成物または幾つかの組成物を連続層に印刷することにより、塗布される。
【0108】
本発明の方法は、装飾層5上に補助的なコーティング6を塗布する工程をさらに含んでもよい。この補助的なコーティング6は、コーティング層3と実質的に同じ組成および特性を有する。
【0109】
好ましくは、コーティング層組成物を塗布して、1〜70μm、3〜20μm、より好ましくは5〜10μmの厚みを有する補助的なコーティング6を形成する。
【0110】
コーティング組成物を使用する実施形態では、本方法は、補助的なコーティング6を形成するために補助的なコーティング組成物を乾燥する工程をさらに含んでもよい。表面被覆材1を形成する層の厚みが小さい実施形態では、単に乾燥空気と接触させることにより乾燥工程を行うことができる。
【0111】
本発明の本方法は、摩耗層4上にニス層7、好ましくは、PUベースのニス層、より好ましくは、本発明の表面被覆材1について記載した組成を有するニス層を塗布する工程をさらに含んでもよい。PUベースのニス層は、UVおよび/または熱の作用により硬化する。
【0112】
「塗布/貼付する(applying)」および「塗布/貼付された(applied)」という用語は、ある層を別の層の上に形成する、またはある層を別の層に接触して配置する任意の好適な工程段階を包含するものと理解されたい。層は、好適な組成を有する層をコーティングすることにより、または任意の好適な組成物から、別の層の上にカレンダー加工される層を形成することにより形成されてもよい。
【0113】
例えば、表面被覆材1全体を、例えば、150℃で2分間加熱することにより、および/または、その後、プレス加工することにより、例えば、エンボス加工することにより、表面被覆材1を形成する様々な層の凝集が得られる。
【0114】
好ましくは、本発明の方法は、本発明の表面被覆材を形成する層の何れか1つを塗布する前に、少なくとも1つのコロナ処理をさらに含む。
【0115】
コロナ処理は、コーティング層3を塗布する前に支持層2の表面に、および/またはニス層7を塗布する前に摩耗層4に行ってもよい。
【0116】
本発明の本方法は、摩耗層4またはニス層8をエンボス加工する工程さらに含んでもよい。
【0117】
本発明の本方法は、表面被覆材1をタイルに切断する工程をさらに含んでもよい。
【0118】
本発明の本方法は、好ましくは、約15m/分のライン速度を有する連続法である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7