(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一定の数の用途、特に航空分野において、これらの画面は昼夜にわたり使用される。その結果、光源は強い日光の下での正しい昼間のコントラスト、及びパイロットの夜間の視覚を妨げないように、ほのかに光る夜間の画像の両方を確実にするような、大きな輝度のダイナミックレンジを持たなければならない。従って、1,000〜10,000のオーダーの輝度のダイナミックレンジが指定され得る。
【0003】
技術的に、これらの大きなダイナミックレンジを達成するために、"Pulse Width Modulation"(「パルス幅変調」)を表わす"PWM"と呼ばれる、負荷率に関して変調された制御信号が用いられる。これらの周期的信号は、各期間の間に可変のアクティブ化時間を含む。しかしながら、指定された輝度のダイナミックレンジは、提供されるPWM制御信号のダイナミックレンジよりも大きくなり得る。例えば、PWM信号のダイナミックレンジは100に制限され、その一方で必要とされるダイナミックレンジは1,000のオーダーである。
【0004】
一定の光源に関しては、負荷率による制御で十分だということが明らかである。特に"High Cathode Fluorescent Lamp"(「熱陰極蛍光ランプ」)を表わす"HCFL"、又は"Cold Cathode Fluorescent Lamp"(「冷陰極蛍光ランプ」)を表わす"CCFL"タイプの蛍光ランプについて述べられるであろう。実際、アクティブ化時間が非常に短いとき、これらの光源の技術的性質を考慮に入れると、放射される光はアクティブ化時間に比例せず、しかし後者よりもずっと少なく、その一方でアクティブ化時間がより長いとき、放射される光はアクティブ化時間に比例するようになる。例えば、PWMの期間の1%に相当するアクティブ化時間に対して、放射される光の量は可能な最大値の0.1%であろう。その一方で、PWMの期間の50%に相当するアクティブ化時間に対して、放射される光の量は可能な最大値の50%に近いであろう。従って、必然的に、探し求められている増加した輝度のダイナミックレンジが得られる。
【0005】
しかしながら、発光ダイオードもしくはLEDのような一定の光源は、非常に短い応答時間を有する。寸法、発光効率、及び寿命に関するそれらの性能を考慮して、LEDは表示画面用の光源を実現するために、ますます多く使われている。この場合、前の結果はもはや存在しない。発光ダイオードのみがPWM信号により制御される場合、放射される輝度はPWMのアクティブ化時間と直接的に比例し、探し求められている結果、すなわち大きな光のダイナミックレンジを得ることをもはや可能にしない。
【0006】
この欠点を緩和するため、LEDの輝度の調節は、LEDを通る電流の振幅を変調すること、又はPWM信号による所与の期間にわたってアクティブ化時間を変調すること、あるいは非常に深い変調を得るために2つの変調を結合することにより達成される。技術的に、アクティブ化時間分布の振幅/調節の、この変調を行なうために、デジタル信号に作用する算術的及び論理的計算機能が用いられる。
図1は、この原理を用いるデジタル制御装置を表わす。この装置1は輝度指令CLを受けるデジタルコントローラ2を備える。このコントローラ2は2つのデジタル信号を生成する。第1の信号は、輝度指令に応じて、決められたアクティブ化時間を有する負荷率に関して変調される、時間信号S
PWMである。第二の信号S
A−Nは、発光ダイオードの配列を通る電流用の制御信号である。それはデジタル−アナログ変換器3もしくは"DAC"を用いてアナログ信号S
A−Aへと変換され、次にLED配列5用の電子制御回路4に加えられる。その装置は場合により、ダイオードにより放射された輝度を細かく調整できるようにする、自動制御装置で補完され得る。それは
図1内の点線の矢印により表わされている。
【0007】
しかしながら、この技術的解決策は或る欠点を示し得る。航空関連において、例えこれらの計算手段が他の必要性によって正当化されるとしても、PWM/振幅分布計算機能は、"Design Assurance Guidance For Airborne Electronic Hardware"(「航空機に搭載される電子ハードウェア用の設計保証ガイダンス」)と題されるRTCA/DO−254タイプ、又は"Software Considerations in Airborne Systems and Equipment Certification"(「航空機搭載システムにおけるソフトウェアの検討及び装置の保証」)と題されるRTCA/DO−178タイプの、最も制約の多い開発及び保証の手順に支配される。
【0008】
さらに、蛍光ランプの段階的な消滅に関連する旧式化の問題のために、装置メーカーは蛍光ランプに基づく背面照明をLEDに基づく照明ユニットで置き換える傾向にある。ところで、既に見られたように、蛍光ランプは単純なPWM信号により制御される。これらの場合、装置メーカー又は航空機メーカーは、表示装置のあらゆる再保証を避けるため既存の数値計算機能の変更を導入することを望まないし、PWM/振幅分布計算を行なう必然的に複雑な、あらゆるデジタル回路を追加することも望まない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例として、
図2は本発明による照明装置の輝度を制御するための、制御装置11の概略図を表わす。照明5は発光ダイオードに基づく明かりである。ダイオードは、可視スペクトルの全域にわたり放射する、いわゆる「白色」ダイオードであることが望ましい。しかし、本発明による装置を伴う、赤色、緑色、及び青色ダイオードの三つ組を駆動することもまた可能である。ダイオードは従来から直列に配置される。ダイオードに電流を供給する手段4は従来式であり、当業者には良く知られている。
【0017】
制御装置11は、前にS
PWMと名付けられた周期的入力信号により駆動される。この信号のダイナミックレンジは、ダイオードにとって必要とされる輝度のダイナミックレンジ全体をカバーするには不十分である。例えば、輝度のダイナミックレンジは1〜1,000であるのに対して、PWM信号のダイナミックレンジは1〜100である。
【0018】
信号S
PWMはダイオードの配列のスイッチオンを直接制御する。この制御は
図2においてスイッチIの記号で表わされる。信号S
PWMはまたアナログ電子手段11用の入力信号としても用いられる。これらの手段の機能は、LED配列5の電子制御回路4に加えられる、アナログ信号S
A−Aを生成することである。信号S
PWMは周期的信号であることが知られており、持続時間Tの各期間は、その間この信号が一定の指令値を有するアクティブ化時間TAを含み、その信号はこのアクティブ化時間TAの外側では0である。電子手段11の機能は、ゲートパルスの形の信号S
PWMに、アクティブ化時間の持続期間と共に増加する出力信号S
A−Aを生成する電子機能を適用することである。この信号S
A−Aは、LEDにおける電流の制御用の振幅指令として加えられる。この信号は従って信号S
PWMのダイナミックレンジを補う、追加的なダイナミックレンジを作り出す。例えば、最初の信号S
PWMのダイナミックレンジが1〜100であり、それゆえアクティブ化時間が100の比率で変化し得ることを表わす場合、及びアクティブ化時間に応じて信号S
A−Aの振幅が1〜10まで変化し、すなわちこの信号が非常に少ないアクティブ化時間に対して一定の値に等しく、最大のアクティブ化時間に対してはこの値の10倍である場合、全体の輝度のダイナミックレンジは、そのとき1〜1000まで変化し、これは探し求められた結果となる。
【0019】
電子手段11を具体化することを可能にする、各種の単純な手段が存在する。第一の例示的実施形態として、
図3、4、5、6及び7はそれぞれ電子手段の概略図を表わし、輝度のダイナミックレンジは、その手段と、3つの異なるアクティブ化時間に関してダイオードに流される電流の振幅変化と、によって得られる。
【0020】
この機能を行なうことを可能にする最も単純な電子回路は、基本的に抵抗R及びコンデンサCを含む積分回路又はRC回路である。この回路は
図3に表わされている。強さの変化は積分器の時定数、すなわちRCの積に依存し、振幅のレベルは基準電圧V
REFに依存する。
【0021】
図4は、2つの異なるRC定数に対する対数尺度における、信号S
PWMのアクティブ化時間の百分率TA/Tの関数としての、輝度変化LOG(L)を表わす。一点鎖線で示される第一の曲線C1は、信号S
PWMのみが加えられる場合の輝度変化を表わす。それは直線である。輝度のダイナミックレンジは、この場合は信号S
PWMのダイナミックレンジに等しい。連続している太線として示される第二の曲線C2は小さい時定数を表わす。この場合、輝度のダイナミックレンジは信号S
PWMのダイナミックレンジよりも大きい。約5の係数が得られることが分かる。太い破線として示されている第三の曲線C3は、より大きな時定数を表わす。この場合、輝度のダイナミックレンジは、信号S
PWMのダイナミックレンジよりも著しく大きい。10よりも大きい係数が得られることが分かる。
【0022】
図5、6、及び7は3つの異なるアクティブ化時間に関する、ダイオードに流された電流の振幅変化を表わす。
図5は典型的には1%のオーダーの非常に短いアクティブ化時間に対するものであり、
図6は典型的には10%のオーダーの平均的なアクティブ化時間に対するものであり、
図7は典型的には100%のオーダーの、PWM信号の期間の持続時間に類似のアクティブ化時間に対するものである。
【0023】
各々の図はPWM信号のおおよその期間Tに関する、時間tに依存する3つの曲線を含む。最上部の曲線は信号S
PWMの二元の動作を表わし、中間の曲線はダイオード制御回路に加えられた信号S
A−Aの振幅変化を表わし、最下部の曲線はダイオードを実際に通り、信号S
PWM及び信号S
A−Aの両方により変調された電流I
LEDの強さを表わす。
【0024】
図5のアクティブ化時間TAは非常に短く、フィルターの時定数RCに関して、信号S
A−Aの振幅は、その最大値に達する時間を有さない。
【0025】
図6のアクティブ化時間TAはより長く、フィルターの時定数RCに関して、信号S
A−Aの振幅は、その最大値S
MAXに達する時間を有する。しかしながら、時間TAの間の信号の振幅における平均値は、この最大値S
MAXよりもはるかに小さいままである。
【0026】
図7のアクティブ化時間TAはPWM信号の周期に近い。フィルターの時定数RCに関して、信号S
A−Aの振幅は実際にこの時間TAの間、常にその最大値S
MAXにある。
図6及び7の破線の曲線は、電子手段11の様々な時定数RCの値に関する信号S
A−Aの変化を表わす。
【0027】
第二の例示的実施形態として、
図8、9、10、11、及び12はそれぞれこの第二の例の電子手段の概略図を表わし、輝度のダイナミックレンジは、その手段と3つの異なるアクティブ化時間に関してダイオードに流される電流の振幅変化との理由で得られる。
【0028】
図8の電子回路は、時間的勾配の形で信号S
A−Aの変化を作り出すことを可能にする。この回路は主として、立ち上がり検出器DFM、電流源SC、及びコンデンサCを含む。定電流におけるコンデンサの充電は、時間と共に直線的に増加する出力電圧を発生する。理論的に、この完全な時間関数と呼ばれる電子回路図は、PWMパルスの持続時間TAと共に直線的に変化する信号S
A−Aを与える。持続時間TAの関数としてのS
A−Aの振幅変化はK.TAと表示され得る。信号S
PWMの期間Tの間に得られる輝度Lの平均値は、従って(TA)
2に比例する。
【0029】
一定の数の場合において、PWM信号の全期間にわたって時間的に伸びる勾配を達成することは可能でない。一般に、勾配のダイナミックレンジが1つだけの十進目盛にわたって伸びるのに対して、PWM信号のダイナミックレンジは2つ又は3つの十進目盛であり得る。この場合、信号S
A−Aの振幅は、TAが一定の値TA
0よりも大きくなる場合のみ、アクティブ化時間TAのアフィン関数となる。
次のように書かれ得る:
TA<TA
0 S
A−A=K1.
TA>TA
0 S
A−A=K1+K2.(TA−TA
0)
そして TA<TA
0 L〜K1.TA
TA>TA
0 L〜K1.TA+K2.(TA−TA
0).TA
【0030】
これは、2つの可能な実例となる場合における、対数目盛上での信号S
PWMのアクティブ化時間の百分率TA/Tの関数としての、輝度変化LOG(L)を表わす
図9に例証されているものである。
図4のように、細い一点鎖線で示される第一の曲線C1は、信号S
PWMのみが加えられる場合に輝度変化を表わす。それは直線である。
【0031】
勾配の持続時間が殆ど全体期間Tをカバーするとき、連続する太線として示されている曲線により表わされる、第二の曲線C2’もまた得られる。この場合、輝度のダイナミックレンジは、信号S
PWMのダイナミックレンジよりもはるかに大きい。
【0032】
勾配の持続時間が全体期間Tの一部分だけをカバーするとき、太い点線として示される第三の曲線C3’が得られる。この場合、輝度のダイナミックレンジLは前のものよりも小さい。
【0033】
図10、11、及び12は、勾配の持続時間がPWM信号の期間の持続時間と類似である場合に、3つの異なるアクティブ化時間に関してダイオードに流される電流の振幅変化を表わす。
図10は典型的には1%のオーダーの、非常に短いアクティブ化時間に対するこれらの変化を、
図11は典型的には10%のオーダーの、平均的なアクティブ化時間に対するこれらの変化を、
図12は典型的には100%のオーダーの、PWM信号の期間の持続時間に類似のアクティブ化時間に対するこれらの変化を表わす。
【0034】
前の例におけるように、各々の図はおおよそPWM信号の期間に対する時間tに依存した3つの曲線を含む。最上部の曲線は信号S
PWMの二元の動作を、中間の曲線はダイオード制御回路に加えられる信号S
A−Aの振幅変化を、そして最下部の曲線は実際にダイオードを通り、信号S
PWM及び信号S
A−Aの両方により変調された電流I
LEDの強さを表わす。
【0035】
勿論、これら2つの例示的実施形態に基づく、数多くの可能な変形を具体化することが可能である。とりわけLEDにおける導電がアクティブ化時間TAの最後に遮断されるとき、LED内における電流の指令レベルの最小水準に戻る持続時間を変えることができる。
【0036】
各種の可能な実施形態の各々に対して、必要とされる輝度を正確に得るために、アクティブ化の持続時間を調整できるようにする、自動制御装置を追加することが常に可能であることに注意されたい。
【0037】
本発明による制御装置の利点は次の通りである:
―これがもたらす費用低減と共に、単純な電子機能の使用による実施の卓越した容易さと、
―それらの単純さに起因する、使用される電子手段の卓越した頑健性及び高い信頼性と、
―抵抗又はコンデンサのような基本的電子部品を単に変えることによる、必要とされる輝度への適合の卓越した容易さと、
―一方で、FPGAのような輝度の計算を行なうために必要とされる、複雑なデジタル構成部品の使用と、他方で、関連するソフトウェアの開発及び保証の費用とを回避する、アナログ技術の使用と、
―マイクロコントローラ又はCPLD("Complex Programmable Logic Device"[複合プログラマブル論理デバイス])タイプの制御手段、及びそれらのソフトウェア又はVHDL("VHSIC Hardware Description Language"[VHSICハードウェア記述言語])構成タイプのプログラミングを変えることなく、蛍光光源をダイオードに基づく照明で置き換えることの卓越した容易さ。
これらの部分を、プログラム、試験シーケンス、表示システムの上流との対話用のプロトコルのように、厳密に不変に保つことには、非常に大きな利点が存在する。