特許第6057380号(P6057380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6057380交差偏波補償を備えた反射器アレイアンテナおよびそのようなアンテナを製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057380
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】交差偏波補償を備えた反射器アレイアンテナおよびそのようなアンテナを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/22 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   H01Q15/22
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-500407(P2013-500407)
(86)(22)【出願日】2011年2月11日
(65)【公表番号】特表2013-543283(P2013-543283A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】EP2011052048
(87)【国際公開番号】WO2011113650
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年1月22日
(31)【優先権主張番号】1001100
(32)【優先日】2010年3月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ブレッシアーニ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ルゲイ、エルベ
(72)【発明者】
【氏名】カーユ、ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ラビオル、エリック
【審査官】 緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−035461(JP,A)
【文献】 特開2007−312082(JP,A)
【文献】 特開2005−191715(JP,A)
【文献】 特開平10−126146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則的に分布し、反射表面を形成する複数の基本放射素子(20)からなる反射器アレイ(11)と、前記反射器アレイ(11)を照射する目的の一次波源(13)とを含む、交差偏波補償を備えた反射器アレイアンテナであって、前記反射器アレイ(11)は選択した位相法則で選択した伝播方向(45)の2つの直交主偏波による放射図を有し、各基本放射素子(20)はプレーナ技術で製造され、かつ、少なくとも1つの金属パッチ(15)および/または少なくとも1つの放射スロット(18)からなるエッチングされたパターンを含み、前記金属パッチは対称構造の中に、前記エッチングされたパターンの中心(50)に関して対で対向し、前記放射素子(20)の平面XYの2方向X、Yに平行に配置された少なくとも4つの辺を含み、前記放射スロットは前記放射素子の対称構造の中に、前記エッチングされたパターンの前記中心(50)に関して正反対であり、前記放射素子(20)の前記方向Xおよび/またはYのうち少なくとも1つに平行に配置された少なくとも2つの分岐を含む反射器アレイアンテナであり、前記反射器アレイ(11)の少なくとも1つの放射素子(20)が、前記放射素子(20)の前記平面XYの前記方向Xおよび/またはYのうち少なくとも1つに関して非対称の幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含み、前記放射素子(20)の前記エッチングされたパターンの前記非対称性が、前記放射素子の前記面の前記方向Xおよび/またはYに関して前記エッチングされたパターンの前記幾何学的形状のそれぞれの分岐ごとに、互いに無関係な、それぞれの角度傾斜の辺からなることを特徴とする、反射器アレイアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナにおいて、金属パッチと、前記金属パッチの中にエッチングされた少なくとも2つのスロットとを含むエッチングされたパターンの場合であって、前記スロットが、前記放射素子の対称構造の中に前記方向XおよびYに平行に対でそれぞれ方向付けられている少なくとも4つの主分岐(62、63、64、65)を形成する場合、前記角度非対称性が、互いに無関係な、前記平面XY内の前記エッチングされたパターンの前記中心(50)のまわりの前記スロットの前記4つの主分岐の角回転からなることを特徴とする、アンテナ。
【請求項3】
請求項1に記載のアンテナにおいて、対称構造の中に正方形の幾何学的形状を有する金属パッチを含むエッチングされたパターンの場合、前記正方形をそれぞれ不等辺四辺形に変形させるように、前記角度非対称性が、前記放射素子の前記金属パッチの少なくとも2つの対向する辺(81、82)、(83、84)の同一の向きまたは反対の向きへの角度傾斜からなることを特徴とする、アンテナ。
【請求項4】
請求項1に記載のアンテナにおいて、前記放射素子(20)の非対称な幾何学的形状が、前記放射素子(20)の前記平面XY内のX方向とY方向の少なくとも一方について傾斜が逆方向となる2つの対向する辺を有する金属パッチを含むことを特徴とする、アンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載のアンテナにおいて、前記放射素子(20)の非対称な幾何学的形状が、
少なくとも1つの放射スロットを有し、該放射スロットの分岐が前記エッチングされたパターンの前記中心(50)に関して正反対の方向に沿って配置され、互いに無関係に、逆向きに傾斜していることを特徴とする、アンテナ。
【請求項6】
請求項1に記載のアンテナにおいて、前記放射素子(20)の非対称な幾何学的形状が、十字の形状を含み、該十字の形状の4つの分岐は、互いに無関係に傾斜し、該分岐が前記エッチングされたパターンの前記中心(50)に関して正反対の方向に沿って配置され、逆向きに傾斜していることを特徴とする、アンテナ。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、前記反射器アレイ(11)のいくつかの隣接した放射素子が、前記放射素子それぞれの前記平面XYの少なくとも一方向Xおよび/またはYに関して非対称の幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含み、前記放射素子のそれぞれの前記エッチングされたパターンの前記幾何学的形状の前記辺または前記分岐の前記角度傾斜が、1つの放射素子から別の隣接した放射素子まで連続的に進む値の角度を反射表面上に形成することを特徴とする、アンテナ。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、前記反射器アレイ(11)が、異なる面によって方向付けられているいくつかの面ファセット(41、42、43)を含み、各々の前記面ファセットが複数の基本放射素子を含むことと、前記反射器アレイの各々の前記面ファセットの少なくとも1つの放射素子が、前記対応する放射素子が属する前記ファセットの前記平面XYの前記少なくとも一方向Xおよび/またはYに関して非対称の幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含むこととを特徴とする、アンテナ。
【請求項9】
規則的に分布し、反射表面を形成する複数の基本放射素子(20)からなる反射器アレイ(11)を製造することと、一次波源(13)によって前記反射器アレイ(11)を照射することとからなる、交差偏波補償を備えた反射器アレイアンテナを製造する方法において、前記方法が、各基本放射素子がプレーナ技術で製造され、かつ前記放射素子(20)の平面XYの2方向X、Yに関して対称な幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含み、前記エッチングされたパターンが、少なくとも1つの金属パッチ(15)および/または少なくとも1つの放射スロット(18)からなり、前記放射素子(20)の前記エッチングされたパターンの前記非対称性が、前記放射素子の前記面の前記方向Xおよび/またはYに関して前記エッチングされたパターンの前記幾何学的形状のそれぞれの分岐ごとに、互いに無関係な、それぞれの角度傾斜の辺からなる、前記反射器アレイ(11)を製造することからなり、次いで前記方法が、前記方向Xおよび/またはYのうち少なくとも1つに関する非対称性を、前記反射器アレイ(11)の少なくとも1つの前記放射素子(20)の前記エッチングされたパターンの前記幾何学的形状へ導入し、前記非対称性が、前記交差偏波がゼロである所望の遠距離電磁界の放射図に基づいて、かつ、前記反射器アレイ(11)の前記面内の対応する放射電界に基づいて計算されることからなることとを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、前記放射素子へ導入されるべき前記非対称性の前記計算が、
− 第1のステップにおいて、前記交差偏波がゼロである前記所望の遠距離電磁界の前記放射図に基づいて、前記反射器アレイ(11)によって反射された波の伝播方向(45)に垂直な面(44)内の放射電界Erの主成分および交差偏波成分を導き出すことと、
− 第2のステップにおいて、前記反射器アレイ(11)の各前記放射素子(20)について、前記反射器アレイ(11)の前記面内の前記対応する放射電界の成分ErxおよびEryを計算することと、
− 第3のステップにおいて、前記反射器アレイ(11)の各前記放射素子(20)上に、前記一次波源によって引き起こされた入射電界Eiの成分EixおよびEiyを計算することと、
− 第4のステップにおいて、前記第2および前記第3のステップにおいて決定された前記成分Erx、Ery、EixおよびEiyに基づいて、それらから、対応する非対称の前記放射素子(20)によって引き起こされなければならない所望の主反射係数Rxx、Ryyおよび交差反射係数Rxy、Ryxの値を導き出すこと
とからなることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差偏波補償を備えた反射器アレイアンテナおよびそのようなアンテナを製造するための方法に関する。本発明は、顕著には通信衛星のような宇宙船に取り付けられるアンテナ、または衛星通信もしくは放送システム向けの地上端末のアンテナに適用される。
【背景技術】
【0002】
幾何学的形状の表面を備えた反射器を含むオフセットアンテナ構造(英語で:offset shaped reflector antenna)と、反射器に垂直な軸に関して移動する一次波源とは、反射器の幾何学的な湾曲と、反射器の直径に対する焦点距離の比率によって定義されている反射器の焦点比に直接依存する交差偏波のレベルとによって引き起こされた交差偏波の放射を発生させる。焦点比が大きいほど、交差偏波のレベルは低くなる。しかしながら、地球の方に方向付けられた衛星の面にアンテナが取り付けられる場合、アンテナの構造は小型でなくてはならず、また焦点比が低いことにより、高いレベルの交差偏波が引き起こされる。
【0003】
中心にある一次波源によって照射された反射器を含むアンテナの場合、交差偏波のレベルがアンテナに垂直な方向にゼロであるが、反射器の端部の界磁線の湾曲により線対称の交差偏波ローブが存在し得る。
【0004】
さらに、使用される一次波源は、その性能が低い場合、交差偏波を含む電界成分をそれ自体発生させることがある。
【0005】
低い交差偏波レベルの仕様を満たすために、衛星に取り付けられた地球方向に指向するアンテナは、Gregorian構造の中に取り付けられた二重反射器構造を有することが多い。2つの反射器を使用することにより、副反射器の湾曲によって引き起こされた交差偏波が、主反射器の湾曲によって引き起こされた交差偏波を打ち消すように、主反射器の幾何学的形状に対して副反射器の幾何学的形状を画定することが可能になる。しかしながら、副反射器およびその支持構造の存在により、単一の反射器を備えたアンテナに対して、アンテナの質量、体積およびコストの増加が生じる。
【0006】
交差偏波レベルを減少させるための別の解決策は、オフセット構造の中で反射器アレイアンテナ(英語で:reflectarray antenna)を使用することである。この種のアンテナでは、一次波源は斜め入射で反射器アレイを照射する。反射器は、1次元または2次元配列に組み立てられ、平面であってもよい反射表面を形成する1組の基本放射素子を含む。アンテナの放射素子がすべて同一で、個々にいかなる交差偏波も引き起こさない場合を考慮することにより、反射器アレイの対称軸上に配置された交差偏波のない一次波源によって反射器アレイが照射される場合、反射器アレイは次いでミラーとして働き、反射器アレイによって反射された放射はいかなる交差偏波成分も含まない。しかしながら、反射器アレイの放射素子は一般に、各放射素子が入射波上に作る移相を正確に制御するために幾何学的な差を含む。さらに、反射器の表面上の互いに関する基本放射素子の配置は一般に、選択した位相法則で選択した指向方向に所定の放射図を得るように合成され最適化される。その結果、反射器は平面であり、そのためにオフセット構造において波源により反射器が照射されるため、反射器の湾曲によって引き起こされた交差偏波はないが、反射器アレイは、成形された表面を備えた等価の反射器と同程度の大きさのレベルの交差偏波放射を引き起こしもする幾何学的形状の表面を備えた反射器として、操作中、動作することが留意されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、所定の位相図を有する反射器アレイアンテナであって、一次波源によって生じた交差偏波が打ち消される反射器アレイアンテナを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、規則的に分布し、反射表面を形成する複数の基本放射素子からなる反射器アレイと、反射器アレイを照射することを目的とした一次波源とを含む、交差偏波補償を備えた反射器アレイアンテナであって、反射器アレイは、選択した位相法則で選択した伝播方向の2つの直交主偏波に応じた放射図を有し、各基本放射素子は、プレーナ技術で製造され、少なくとも1つの金属パッチおよび/または少なくとも1つの放射スロットからなるエッチングされたパターンを含み、金属パッチは、対称構造の中に、エッチングされたパターンの中心に関して対で対向しており、かつ、放射素子の平面XYの2方向X、Yに平行に配置された少なくとも4つの辺を含み、放射スロットは、放射素子の対称構造の中に、エッチングされたパターンの中心に関して正反対であり、かつ放射素子の方向Xおよび/またはYのうち少なくとも1つに平行に配置された少なくとも2つの分岐を含むアンテナに関する。本発明によれば、反射器アレイの少なくとも1つの放射素子は、放射素子の平面XYの方向Xおよび/またはYのうち少なくとも1つに関して非対称の幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含み、放射素子のエッチングされたパターンの非対称性は、放射素子の平面の方向Xおよび/またはYに関するエッチングされたパターンの幾何学的形状の、少なくとも1つの辺、それぞれ少なくとも1つの分岐の角度傾斜からなる。
【0009】
このように、反射器アレイの各放射素子について、エッチングされたパターンの非対称性は、同一パターンの対称放射素子に基づいて放射素子ごとに個々に計算され、パターンの少なくとも一方向の角度傾斜からなる。傾斜角の角度の値は、一次波源によって照射された反射器アレイが伝播方向に垂直な面に発生させる減偏波を妨害する制御された減偏波を有する反射波を、放射素子が発生させるように決定される。放射素子の制御された減偏波は、同一パターンおよび2方向XおよびYに沿った対称幾何学的形状の放射素子の主反射係数に類似した振幅の主反射係数と、同一対称パターンの前記放射素子の交差反射係数より大きい、ゼロでない振幅の交差反射係数とを有する個々の反射行列に対応する。
【0010】
有利には、金属パッチと、金属パッチの中にエッチングされた少なくとも2つのスロットとを含むエッチングされたパターンにおいて、スロットが放射素子の対称構造の中に方向XおよびYに平行で、対でそれぞれ方向付けされている少なくとも4つの主分岐を形成する場合、角度非対称性は、平面XYにおけるエッチングされたパターンの中心のまわりの、スロットの4つの主分岐の角回転からなる。
【0011】
有利には、対称構造の中に正方形の幾何学的形状を有する金属パッチを含むエッチングされたパターンの場合、正方形をそれぞれ不等辺四辺形または平行四辺形に変形させるように、角度非対称性は、同一の向きまたは反対の向きに放射素子の金属パッチの少なくとも2つの対向する辺の角度傾斜からなる。
【0012】
有利には、反射器アレイのいくつかの隣接した放射素子は、前記放射素子それぞれの平面XYの少なくとも一方向Xおよび/またはYに関して非対称の幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含み、前記放射素子それぞれのエッチングされたパターンの幾何学的形状の辺または分岐の角度傾斜は、1つの放射素子から別の隣接した放射素子へ連続的に進む値の角度を反射表面上に形成する。
【0013】
本発明の特定の実施形態によれば、反射器アレイは、異なる面によって方向付けられているいくつかの面ファセットを含み、各面ファセットは複数の基本放射素子を含み、反射器アレイの各面ファセットの少なくとも1つの放射素子は、対応する放射素子が属するファセットの平面XYの少なくとも一方向Xおよび/またはYに関して非対称の幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含む。
【0014】
本発明はまた、規則的に分布し、反射表面を形成する、複数の基本放射素子からなる反射器アレイを製造すること、および一次波源によって反射器アレイを照射することからなる、オフセット構造および交差偏波補償を備えたそのような反射器アレイアンテナを製造するための方法に関する。その方法は、各基本放射素子がプレーナ技術で製造され、かつ、放射素子の平面XYの2方向XおよびYに関して対称である幾何学的形状を有するエッチングされたパターンを含む反射器アレイを製造し、エッチングされたパターンは、少なくとも1つの金属パッチおよび/または少なくとも1つの放射スロットからなることと、次いで方向Xおよび/またはYのうち少なくとも1つに関する非対称性を、反射器アレイの少なくとも1つの放射素子のエッチングされたパターンの幾何学的形状に導入し、その非対称性は、交差偏波がゼロである所望の遠距離電磁界の放射図に基づいて、かつ反射器アレイの面内の対応する放射電界に基づいて計算されることとにある。
【0015】
本発明の他の特定の特徴および利点は、添付した概略図を参照して、単なる例示的で非限定的な例として挙げた以下の記述で明らかに明白になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による反射器アレイアンテナの一例の図である。
図2】本発明による例示的な基本放射素子の図である。
図3】本発明による、反射器アレイアンテナの放射素子の例示的配置の図である。
図4a】本発明による、反射器アレイ上の斜め入射波の経路を示す図である。
図4b】本発明による、入射波および反射波の経路上の様々な面における電界成分の方向を示す図である。
図5a-5b】本発明による、それぞれ、放射が交差偏波成分を含む場合、および、放射が交差成分なしで完全に偏波されている場合における、放射開口の面内の電界の分布を示す2つの図である。
図6a】本発明による、金属パッチと、金属パッチの中にエッチングされたスロットとを含む例示的対称放射素子、対応する反射行列および所望の反射行列である。
図6b-6e】本発明による、様々な種類の回転が導入されている図6aの放射素子、ならびに、対応する交差係数の振幅および位相の変化に関する図である。
図7】本発明による、2つの連続する放射素子間で連続的に変更可能な位相を含む1組の対称な連続放射素子の例であって、各放射素子は、正方形の金属パッチおよび金属パッチの中で開いた放射開口からなるパターンを含む。
図8a-8b】本発明による、様々な種類の回転が導入されている図7の放射素子ならびに、対応する交差係数の振幅および位相の変化に関する図である。
図9a-9b】本発明による、様々な種類の回転が導入されている図7の放射素子ならびに、対応する交差係数の振幅および位相の変化に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例えば図1に示したような反射器アレイアンテナ10は、1次元または二次元の反射器アレイ11へ組み立てられ、アンテナ10の指向性および利得の増加を可能にする反射表面14を形成する1組の基本放射素子20を含む。反射器アレイ11は一次波源13によって照射される。反射器アレイ11の、基本セルとも呼ばれる基本放射素子20は、金属パッチおよび/またはスロットタイプのエッチングされたパターンを含む。エッチングされたパターンは、例えばエッチングされたパターンの幾何学的寸法(「パッチ」またはスロットの長さおよび幅)のような変動パラメータを有し、変動パラメータは選択した放射図を得るように調節される。例えば図2に示すように、基本放射素子20は、放射スロットを積み、金属接地面からλg/10とλg/4との間の典型的な距離だけ離れた金属パッチからなり得る。ここで、λgはスペーサ媒体中の管内波長である。このスペーサ媒体は誘電体であってもよいが、またハニカム型のセパレータと、細長くて厚みのある誘電性表層との対称配置によって製造された複合サンドイッチもあってもよい。
【0018】
図2では、基本放射素子20は、長さmの辺を有する正方形であり、誘電体基板16の上面上に印刷された金属パッチ15を含み、誘電体基板16の下面には金属接地面17が備えられている。金属パッチ15は、寸法pの辺を有する正方形を有し、その中心に作られた長さbおよび幅kの2つのスロット18を含み、スロットは十字の形状に配置されている。三次元の基準座標系XYZでは、放射素子の反射表面の面は平面XYである。基本放射素子20の形状は正方形に限定されず、長方形、三角形、円形、六角形、十字のような形状、または他のいかなる幾何学的形状であってもよい。スロットはまた、2と異なる数で製造することができ、それらの配置は十字とは異なり得る。中央のスロットの代わりに、放射素子はまた、十字形の中央パッチ、および1つまたは複数の周辺スロットからなるパターンを含むことができるだろう。あるいは、放射素子は、いくつかの同心環状の金属パッチおよび、いくつかの環状または非環状スロットからなるパターンを含むことができるだろう。
【0019】
アンテナ10を効果的にするため、基本セルは、通過帯域の様々な周波数に対して、入射波上に作る移相を正確に制御できる必要がある。
【0020】
反射器アレイを構成するための、互いに関する基本放射素子の配置は、選択した指向方向に、および所定の位相法則で、所定の放射図を得るように合成される。図3は、アンテナに関して横方向に指向する指向性ビームを得ることを可能にする、反射器アレイアンテナの放射素子の例示的配置を示す。反射器アレイの平面性および、アレイの各放射素子7、8までの一次波源13によって放射された波の経路長の差のために、一次波源13から発生した入射波による反射器アレイの照射は、反射表面14の上の電磁界の位相分布を引き起こす。したがって、各放射素子7、8のエッチングされたパターンは、入射波の相対的な位相を補償する移相を備えたアレイ11によって入射波が反射されるように画定された幾何学的寸法を有する。
【0021】
各放射素子のエッチングされたパターンの幾何学的形状は、各放射素子の面の2つの直交軸XおよびYに関して対称になるように慣習的に選択される。分離された対称放射素子はその面に垂直な入射波をほとんど減偏波化しないため、関連する反射行列は一般に、30dB未満の非常に低い交差反射係数を含む。これらのレベルは、斜め入射について、特に法線に関して40°よりも大きく増加させることができる。放射素子は、一次波源によって放射された偏波に対応する主偏波において、総表面に対して特定の位相法則を作るように反射器の表面に配置されている。減偏波の現象はアンテナの性能を低下させるグリッチと考えられる現象であるが、反射器アレイの配置を作る際、それらの現象は一般に考慮されない。
【0022】
反射器アレイ11が直線偏波中の斜め入射波によって照射される場合、反射器アレイ11は2つの直交方向XおよびYに沿った2つの電界成分を含む反射波を発生する。図4aでは、反射器アレイ11の表面を破線によって部分的に図式化し、4つの放射素子20を示す。各放射素子20は正方形の金属パッチを含む。オフセット構造に配置された一次波源13は、反射器アレイ11に垂直な方向nに関して角度θを作る斜め方向に沿って反射器アレイ11を照射する。一次波源によって放射された入射電磁界Eincは、例えば波源に関連付けられた正規直交基準座標系における垂直方向に沿って直線的に偏波されてもよい。その斜め入射のために、波源に関連付けられた面内で直線的に偏波された入射電磁界Eincは、放射素子の面に関連付けられた基準座標系XYにおいて、放射素子の面の2方向XおよびYに沿った2つの電界成分EixおよびEiyを含む入射電磁界Eiを引き起こす。2つの成分EixおよびEiyは、反射器アレイの面内の斜め入射電磁界Eincの射影に対応する。次いで、反射器アレイは、伝播主方向に沿って、2つの電界成分ErxおよびEryを含む反射電磁界Erを放射する。したがって、一次波源13に関連付けられた基準座標系において直線的に偏波された入射電磁界Eincは、反射器アレイ11の面に平行な平面XY内に交差偏波電界成分を発生させる。
【0023】
平らな反射器アレイについて、および反射器アレイの面に垂直な方向nにおいて、放射素子のレベルで引き起こされた交差偏波成分は互いに補償する。図4bに示したように、所定の方向または特定の適用範囲にビームを作るために課せられた位相法則については、反射器アレイの面に垂直な方向nは、伝播方向45に垂直な面44とは一般に異なる。次いで、交差偏波成分は位相重みと合計され、もはや互いに補償しない。
【0024】
したがって、本発明は、従来技術に従って、すなわち、2つの直交する主偏波中で要求される放射図についてのみ懸念しながら、したがって主反射係数RxxおよびRyyのみを配慮しながら反射器アレイを合成することにある。反射器アレイの放射図を効果的にするために、主反射係数RxxおよびRyyが1に近い振幅を有することが重要である。したがって本発明は、反射器アレイによって引き起こされた交差偏波成分を補償するように反射器アレイの少なくとも1つの放射素子によって引き起こされた偏波をわずかに妨害することにある。放射素子へ導入されるべき妨害は、反射器アレイの放射素子のそれぞれに対して個々に決定される。各放射素子によって反射された波のわずかな減偏波は、個々の放射素子のレベルでの、反射器アレイの面内の小さい振幅の交差偏波放射の出現に対応する。わずかな減偏波は、反射器アレイ11の開口プランまたは放射開口面と呼ばれる、反射器アレイ11によって反射された波の伝播方向45に垂直な面44内に、交差成分のない電界分布を得ることを可能にするようなものである。導入された減偏波は小さくなくてはならず、放射素子の放射の基本モードもその位相も妨害してはならない。例えば、各基本放射素子によって導入された交差反射係数は、−15dB未満であることが好ましいだろう。
【0025】
各放射素子上に作る必要がある減偏波の量を推定するために、本発明は第1のステップにおいて、所望の遠距離電磁界46の放射図を画定することと、この遠距離電磁界について交差偏波成分がゼロであることを開始条件として課すこととにある。反射器アレイ11によって反射された波の伝播方向45に垂直な面44によって画定された無限の放射開口上の近傍電磁界の固有の分布は、この遠距離電磁界46に関連している。自動的に、交差偏波成分は遠距離電磁界においてゼロであるため、反射器アレイによって反射された波の伝播方向に垂直な面においてもゼロであり、そのため、反射器アレイ11の開口面44においてゼロである。所望の遠距離電磁界46の放射図に基づいて、反射器アレイの開口面44における、対応する放射近傍電磁界の主偏波の成分をフーリエ変換によって、その放射図から導き出すことができる。
【0026】
また、放射近傍電磁界を反射器アレイに対応する制限された表面上に再構築することができる。再構築された近傍電磁界と所望の遠距離電磁界とを等価にし得るために、近傍電磁界を反射器アレイの表面の内部に閉じ込める必要がある。
【0027】
第2のステップでは、開口面44が反射器アレイ11の面とは異なる一般的な場合、本発明はその後、反射器アレイの各放射素子に対して、反射器アレイの面内の対応する放射電界の成分を逆伝播技術によって計算することにある。逆伝播技術は、開口面44から反射器アレイ11の面への基準座標系の変更からなる。反射器アレイの面内に放射された電界の成分は、それぞれの方向XおよびYに沿った対応する放射素子によって反射された成分ErxおよびEryである。反射器アレイの面が開口面とは異なる場合、成分Eryは小さいがゼロではない。
【0028】
第3のステップでは、本発明は、反射器アレイの各放射素子上に一次波源13によって引き起こされた入射電界EixおよびEiyの成分を計算することにある。放射ホーンタイプの一次波源について、ホーンは例えば、引用により援用する、G.Franceschettiによる著書「Campi Elettromagnetici」、Bollati Boringhieri editore s.r.l、Torino 1988(II edizione)に述べられているように近傍または遠距離の放射電界を計算可能にする1組の球面波モード係数によって定義される。
【0029】
第4のステップでは、本発明は、第2のステップで決定された成分ErxおよびEryと、第3のステップで決定された成分EixおよびEiyに基づいて、それらから各放射素子に対して、主反射係数RxxおよびRyy、ならびに対応する交差反射係数RxyおよびRyxを導き出すことにある。
【0030】
実際、それぞれの方向XおよびYに沿った反射器アレイによって発生する反射電界Erの成分ErxおよびEryは、波源によって引き起こされる入射電磁界Eiの成分EixおよびEiyの関数として、次の方程式により表される。

Erx = Rxx Eix + Rxy Eiy

Ery = Ryx Eix + Ryy Eiy
【0031】
斜め入射波Eincが2つの直交する主方向XおよびYに偏波される場合、方向XおよびYに発生する反射界の成分は、方向Xの偏波についての2つの方程式と、方向Yの偏波についてのさらに2つの方程式による入射界に関係する。
【0032】
したがって、反射器アレイの各放射素子の反射行列は、方向Xの反射係数Rxx、方向Yの反射係数Ryy、ならびに交差偏波に対応する2つの交差反射係数RxyおよびRyxを含む。
【0033】
主反射係数RxxおよびRyyが1に近い振幅を有するために、遠距離放射界は、放射開口の事実上の面内に再構築された近傍放射界に非常に強く関連している必要がある。これは、本発明が、第一に、方向XおよびYの2つの直交する主偏波において必要となる放射図についてのみ気にしながら、したがって主反射係数RxxおよびRyyにのみを扱いながら反射器アレイを合成することと、次いで、反射波の伝播方向に反射器アレイによって引き起こされた交差偏波を補償するように少なくとも1つの放射素子の偏波をわずかに妨害することとにある理由である。
【0034】
各放射素子上に作る必要がある減偏波の量を推定することを可能にするこの機構を適用することによって、放射素子ごとに主係数および交差反射係数の値を個々の対応する放射素子に対して導き出される。
【0035】
反射表面上の放射素子20の位置に応じて、この放射素子に対して放射された波の入射角は変わり、交差反射係数も変わる。反射器アレイに垂直な方向nに関する入射波の角度θが増加すればするほど、減偏波はなお一層大きくなる。
【0036】
このように、例えば反射器が3つの異なる面に沿って方向付けられている3つの面ファセット41、42、43を含む図4bに示したような、いくつかの面ファセットからなる反射器アレイ11の場合には、放射界Erの成分ErxおよびEryは、各放射素子に対して、この放射素子が属するファセットの平面XY内に決定されなければならない。したがって、考慮された放射素子および、放射素子が位置しているファセットに応じて、様々な基準座標系XYを考慮しなければならない。したがって、個々の放射素子上に作る必要がある減偏波の量を推定することを可能にする機構に従って、考慮された放射素子に対応する平面XY内に放射された成分ErxおよびEryを再構築するために、ファセットごとに上記機構を適用しなければならない。
【0037】
従来技術に従って、主反射係数RxxおよびRyyにのみを扱いながら合成された反射器アレイは一般に、生産を簡単にするために、反射器アレイの面の直交方向XおよびYのそれらの主軸によって対称なエッチングされたパターンを有する放射素子を含む。2つの直交偏波に対して同一放射が必要な場合、放射素子はさらに方向XおよびYに同一の寸法を有する。
【0038】
したがって、各放射素子のエッチングされたパターンの正確な寸法は、主係数RxxおよびRyyから導き出される。交差偏波の効果を制限するための技術が提案されていても、従来技術において、交差偏波は突然起こるものと考えられている。
【0039】
交差偏波を除去可能にする成分ErxおよびEryが、反射器アレイのすべての放射素子に対して決定された場合、本発明は次いで、反射器アレイ11の個々の放射素子20に、放射素子ごとに異なる制御された減偏波を導入することにあり、目標値に対応する全反射係数を得ることが可能になる。放射素子へ個々に導入されたこの減偏波は次いで、それが最終反射器アレイ上に斜め入射波によって引き起こされた減偏波を補償するようなものである。
【0040】
図5aは、反射器アレイが交差偏波に関する寄生グリッチを考慮せずに合成され、かつ、放射が交差偏波成分を含む場合の放射開口の面内の電界分布を示す。また図5bは、反射器アレイが交差偏波成分を打ち消すように合成され、かつ、放射が交差成分なしで完全に偏波される場合を示す。
【0041】
本発明によれば、反射器アレイの少なくとも1つの個々の放射素子に導入された減偏波は、主偏波におけるその放射を妨害しないように、この放射素子によって引き起こされた主反射係数の同一位相を保持しながら、この放射素子のパターンの対称性を破ることにある。このように、交差反射係数の振幅および位相は変更される。したがって、角度非対称性は交差偏波を発生させる放射素子のパターンに導入され、いかなる交差偏波をも発生させないある種の放射素子、例えば反射器アレイの対称軸上に位置する放射素子は対称であり続けることが可能である。これらの角度非対称性は、平面XYにおけるパターンの少なくとも1つの主方向の角度傾斜または、パターンの中心50のまわりの、パターンの4つの主方向X、X’、Y、Yの角回転からなる。角回転は、すべての方向について異なっていてもまたは同一であってもよい角度で、かつ、同一または異なっていてもよい向きで作られる。反射器アレイのいくつかの隣接した放射素子が、これらの放射素子の平面XYの少なくとも一方向Xおよび/またはYに関して非対称の幾何学的形状を有するパターンを含む場合、前記放射素子それぞれのパターンの非対称性は、反射表面上の1つの放射素子から別の隣接した放射素子へ連続的に進行する。
【0042】
図6aから6dに示した第1の例は、放射素子20の幾何学的パターンが金属パッチと、パッチの中にエッチングされたスロットとを含む場合に関する。図6aでは、スロットは、エルサレム十字と呼ばれる2つの直交方向XX’およびYY’によって対称な中央の十字を形成する。十字は、対で対向し、それぞれ方向X、X’、Y、Y’に方向付けられている4つの主分岐62、63、64、65を含み、各主分岐は垂直延長部を有する端部を含む。この対称放射素子の反射行列60は、主反射係数が、等しい振幅のものであり、0dBに対応する最大値1に近く、交差反射係数が、典型的には約−29dBの非常に小さい振幅を有する。所望の反射行列61は、対称要素の主反射係数に対してほとんど修正されていない主反射係数と、約−21dBの振幅を有するわずかに低下した交差反射係数を含む。しかしながらこの低下した振幅はノイズに対応するレベルのままである。図6b、6c、6dでは、中央の十字の各主分岐は、放射素子の中心50に関して様々な種類の角回転を行った。角回転は、主分岐それぞれの傾斜を互いに独立して正または負の向きに異なる角度で修正することにある。
【0043】
図6bの2つの構造20a、20bでは、正反対の方向XX’、YY’に沿って位置する十字の主分岐は、同一角度で同時に傾いており、その傾斜は2つの対向する分岐については正の向きで、他の2つの分岐については負の向きである。対応する交差反射係数の振幅および位相の図は、十字の主分岐の傾斜角が−10°と+10°との間で変化する場合、この構造は交差反射係数の振幅に大きな影響を及ぼすが、それらの位相、モジュロ180°は変わらないことを示す。
【0044】
図6cの2つの構造20c、20dでは、十字の4つの主分岐は互いに独立して同一角度で傾いており、正反対の方向に沿って位置する分岐は反対の向きに傾いているが、2つの連続する分岐は同一の向きに傾いている。対応する交差反射係数の振幅および位相の図は、十字の主分岐の傾斜角が、−4°と+4°との間で変化する場合、この構造は交差反射係数の振幅にほとんど影響を及ぼさないが、それらの位相は大きく変化することを示す。
【0045】
図6dの2つの構造20f、20g、十字の4つの主分岐は互いに独立して同一角度で傾いており、正反対の方向に沿って位置する分岐は図6cのように反対の向きに傾いているが、2つの対向する分岐の傾く向きは逆である。対応する交差反射係数の振幅および位相の図は、十字の主分岐の傾斜角が、−10°と+10°との間で変化する場合、この構造は交差反射係数の振幅に大きな影響を及ぼすが、それらの位相は変わらないことを示す。
【0046】
図6eは、反射行列が、図6aに示した所望の行列61に非常に近い、例示的な最適化された放射素子20iを示す。この放射素子20iは、方向YおよびXに関してそれぞれ負の回転方向、および正の回転方向に9.35°の角度を形成する2つの分岐と、方向X’およびY’に関してそれぞれ負の回転方向、および正の回転方向に6.65°の角度を形成する2つの分岐とを含む。
【0047】
したがって、図6aから図6eの様々な回転の例は、放射素子の主方向に沿って方向付けられている十字の4つの分岐の傾斜角を調節することにより、交差反射係数の振幅および位相を制御でき、その結果、この放射素子の減偏波を制御できることを示す。
【0048】
図7は、2つの連続する放射素子間で連続的に変更可能な位相を有する1組の連続した対称放射素子に関し、各放射素子20は、正方形の金属パッチおよび金属パッチ中で開いた放射開口からなるパターンを含む。放射開口に関する金属パッチのそれぞれの寸法は、1つの放射素子から別の隣接した放射素子へ連続的に変更可能であり、それによって、所望の放射位相法則の関数として反射器アレイの上に分布すべき、0°と360°との間の多数の異なる位相、モジュロ360°を有することが可能になる。金属パッチの中心に放射開口が現れ、前記金属パッチが消えるまで放射開口の寸法が徐々に増加し、次いで放射開口が消えるまで、寸法が徐々に増加する新しい金属パッチが放射開口の中心に現れるために、様々な連続する位相が放射開口に対してパッチの寸法を急激に破壊することなく得られる。
【0049】
正方形を不等辺四辺形に変形させるために、これらの放射素子それぞれの金属パッチの2つの対向する辺の傾斜角を修正することによって、実質的に主反射係数を修正せずに、これらの放射素子の交差反射係数の位相を制御することができる。図8aおよび図8bは、斜め入射波を受け、不等辺四辺形を形成するように反対方向に2つの傾斜した辺81、82または83、84を含む、放射素子についての交差反射係数の位相および振幅の変化の図を示し、辺の傾斜角は図8aでの方向YY’に関して、または図8bでの方向XX’に関して−10°と+10°との間で変化する。これらの2つの図では、交差反射係数の振幅は非常にわずかしか変化せず、位相は大きく変わる。
【0050】
図10aおよび10bは、平行四辺形を得るように2つの対向する辺が同一方向に同一角度で傾いている場合の交差反射係数の位相および振幅の変化についての他の図を示す。
【0051】
本発明は特定の実施形態と共に記述されているが、それらに限定されることは決してなく、記述した手段のすべての技術的均等物、および、本発明の構成に入る場合それらの組合せも含むことは非常に明白である。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7
図8a
図8b
図9a
図9b