特許第6057382号(P6057382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィアサット,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000002
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000003
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000004
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000005
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000006
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000007
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000008
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000009
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000010
  • 特許6057382-デジタル復調器アーキテクチャ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057382
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】デジタル復調器アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2507 20130101AFI20161226BHJP
   H04B 10/61 20130101ALI20161226BHJP
【FI】
   H04B9/00 251
   H04B9/00 610
【請求項の数】26
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-550657(P2013-550657)
(86)(22)【出願日】2012年1月23日
(65)【公表番号】特表2014-509121(P2014-509121A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】US2012022231
(87)【国際公開番号】WO2012100253
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2015年1月22日
(31)【優先権主張番号】61/435,278
(32)【優先日】2011年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/205,431
(32)【優先日】2011年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】モ,ファン
(72)【発明者】
【氏名】セスリン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ニモン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ,サミープ
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−278920(JP,A)
【文献】 特表2009−512366(JP,A)
【文献】 特開2010−193204(JP,A)
【文献】 特開2009−253971(JP,A)
【文献】 特開2008−205654(JP,A)
【文献】 特開2009−089194(JP,A)
【文献】 米国特許第06917031(US,B1)
【文献】 特表2009−505571(JP,A)
【文献】 特開2008−278249(JP,A)
【文献】 特開2011−135176(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/065163(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号のデジタル版を受信し、
直交誤差を除去し、補正された一連のデータサンプルを生成する
ように構成される直交誤差フィルタモジュールと、
前記補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行い、周波数が補正された一連のデータサンプルを生成するように構成される周波数オフセット除去モジュールと、
前記周波数オフセット除去モジュールに接続され、前記周波数が補正された一連のデータサンプルの水平および垂直偏波チャネルから波長分散を除去するように構成される波長分散補償モジュールと、
前記波長分散補償モジュールに接続され、偏波モード分散(PMD)と偏波依存損失(PDL)に起因する前記周波数が補正された一連のデータサンプルの干渉を補償するように構成されるPMD/PDL補償モジュールと、
前記PMD/PDL補償モジュールに接続され、前記周波数が補正された一連のデータサンプルに関する位相を追跡し補正するように構成される位相回復モジュールと、
前記PMD/PDL補償モジュールがPMDとPDLに起因する干渉を補償した後であって前記光信号の搬送波位相回復の前に前記光信号のシンボルタイミング取得と追跡を行うように構成されるシンボルタイミング取得および追跡モジュールと、
を含むことを特徴とする受信光信号のデジタル復調器装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記直交誤差フィルタは、水平方向同相ストリーム、垂直方向同相ストリーム、水平方向直交ストリーム、および垂直方向同相ストリームを含む4つの平行ストリームを受信することにより前記光信号のデジタル版を受信するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記直交誤差フィルタは同相と直交成分間のスキューを検出し除去することにより直交誤差を除去するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記直交誤差フィルタは直流バイアスを検出し除去することにより直交誤差を除去するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記直交誤差フィルタは同相および直交振幅不平衡を検出し除去することにより直交誤差を除去するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記直交誤差フィルタは同相および直交位相不平衡を検出し除去することにより直交誤差を除去するように構成される、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記直交誤差フィルタは、前記光信号が前記周波数オフセット除去モジュールにより受信される前に前記光信号の直交誤差を除去するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記周波数オフセット除去モジュールへのフィードバックのための周波数誤差メトリックを計算するように構成される搬送波周波数取得および追跡モジュールをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記搬送波周波数取得および追跡モジュールは、前記PMD/PDL補償モジュールがPMDとPDLに起因する干渉を補償した後、前記光信号を処理し、前記周波数オフセット除去モジュールは前記周波数誤差メトリックを使用して回転を行うことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、局部発振器を制御するためのフィルタ処理済み周波数誤差メトリックを計算するように構成される搬送波周波数取得および追跡モジュールをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、εを任意の小さな正値とすると、2+ε倍のシンボル率で採取されるサンプルに対し間引きを行う補間機能を実施するように構成される整合フィルタデシメータをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、受信したチャネルを互いに歪め、交換し、回転させるように構成されるフレーム同期モジュールをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、復調された光信号を差分復号し、前記復号化された出力を前記フレーム同期モジュールへ供給するように構成される差分復号器をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、復調された光信号は硬判定または軟判定データを含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、前記装置はプロセッサを含むことを特徴とする装置。
【請求項16】
光信号のデジタル版を受信する手段と、
直交誤差を除去して、補正された一連のデータサンプルを生成する手段と、
前記補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行い、周波数が補正された一連のデータサンプルを生成する手段と、
前記周波数回転を行う手段に接続され、前記周波数が補正された一連のデータサンプルの前記光信号の処理版の水平および垂直偏波チャネルから波長分散を除去する手段と、
前記波長分散を除去する手段に接続され、PMDとPDLに起因する干渉を補償する手段と、
前記干渉を補償する手段に接続され、位相を追跡し補正する手段と、
PMDとPDLに起因する干渉を補償した後であって前記光信号の搬送波位相回復の前に前記光信号のシンボルタイミング取得と追跡を行うための手段と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
光信号のデジタル版を受信する工程と、
直交誤差を除去して、補正された一連のデータサンプルを生成する工程と、
前記補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行い、周波数が補正された一連のデータサンプルを生成する工程と、
前記周波数が補正された一連のデータサンプルの水平および垂直偏波チャネルから波長分散を除去する工程と、
周波数回転を行った後であって波長分散を除去した後に、前記周波数が補正された一連のデータサンプルのPMDとPDLに起因する干渉を補償する工程と、
PMDとPDLに起因する干渉を補償した後に位相を追跡し補正する工程と、
PMDとPDLに起因する干渉を補償した後であって前記光信号の搬送波位相回復の前に前記光信号のシンボルタイミング取得と追跡を行う工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記光信号のデジタル版を受信する前記工程は、水平方向同相ストリーム、垂直方向同相ストリーム、水平方向直交ストリーム、および垂直方向同相ストリームを含む4つの平行ストリームを受信する工程を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、前記直交誤差を除去する前記工程は、同相と直交成分間のスキューを検出し除去する工程を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、前記直交誤差を除去する前記工程は直流バイアスを検出し除去する工程を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、前記直交誤差を除去する前記工程は、同相および直交振幅不平衡を検出し除去する工程と、同相および直交位相不平衡を検出し除去する工程を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法において、前記光信号の前記直交誤差を除去する前記工程は、前記光信号に対し周波数回転を行う工程の前に発生する、ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法において、前記光信号のPMDとPDL補償版の周波数誤差メトリックを計算する工程と、前記周波数回転実行中に使用される前記周波数誤差メトリックをフィードバックする工程とをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法において、前記光信号のPMDとPDL補償版のフィルタ処理済み周波数誤差メトリックを計算する工程と、前記フィルタ処理済み周波数誤差メトリックを局部発振器へ供給する工程とをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法において、εを任意の小さな正値とすると、2+ε倍のシンボル率で採取されるサンプルに対し間引きを行う補間機能を実施する工程をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項17に記載の方法において、復調された光信号を差分復号し、ハード復号化された出力を供給する工程と、前記ハード復号化された出力の受信チャネルを互いに同期させる工程とをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年1月22日出願の米国仮特許出願第61/435,278号明細書、題名「高速光通信(HIGH RATE OPTICAL COMMUNICATION)」と2011年8月8日出願の米国特許出願第13/205,431号明細書、題名「デジタル復調器アーキテクチャ(DIGITAL DEMODULATOR ARCHITECTURE)」からの優先権を主張し、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、光ファイバ通信システムにおける復調のためのシステム、装置、および方法に関する。
【0003】
ネットワーク通信システムにおける光ファイバチャネルは広範囲に配備されており、データ送信に有効であると考えられ、比較的高い帯域幅データ通信を可能にする。光ファイバは通常、可撓性であり、ケーブル内に束ねることができる。光ファイバは、光が電気的ケーブルと比較して少ない減衰でファイバ中を伝播するので、しばしば長距離通信に使用される。典型的な今日の商用光ファイバ方式は10または40Gbpsでデータを送信する。各ファイバは、波長分割多重(WDM:wavelength−division multiplexing)として知られた技術で、それぞれが異なる波長の光を使用する複数の独立したチャネルを搬送することができる。
【0004】
帯域の要求が増しているので、データ送信速度の増加が望ましいであろう。しかし、ファイバ光システムでは、データ速度が増すにつれて様々な光学現象が現れ始め、データ送信速度を制限するように作用する。例えば、波長分散(CD:chromatic dispersion)、偏波モード分散(PMD:polarization mode dispersion)、および偏波依存損失(PDL:polarization dependent loss)からの光学的影響は、データ送信速度に大きな影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0005】
受信された光信号を処理するデジタル復調器装置のための方法、システム、装置、およびコンピュータプログラム製品について説明する。本装置は、光信号のデジタル版を受信し、直交誤差を除去し、補正された一連のデータサンプルを生成する直交誤差フィルタを含み得る。本装置は、補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行う周波数オフセット除去モジュールを含み得る。本装置はまた、水平および垂直偏波チャネルから波長分散を除去する波長分散補償モジュールと、偏波モード分散(PMD)と偏波依存損失(PDL)に起因する干渉を補償するPMD/PDL補償モジュールと、を含み得る。位相回復モジュールは位相を追跡し補正するように構成され得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、シンボルタイミング取得および追跡モジュールは早期/後期シンボル半径整合方式(early/late symbol radius matching scheme)とPI制御装置を使用して、シンボルタイミングを推定し、誤り信号を生成してシンボルタイミングを補正し得る。フレーム同期およびインターフェースモジュールは、データを処理してフレーム同期を実現し得る。以下にさらに詳細に説明されるように、他の機能性が実装され得る。
【0007】
受信された光信号のデジタル復調器装置は、光信号のデジタル版を受信し、直交誤差を除去し、補正された一連のデータサンプルを生成するように構成される直交誤差フィルタモジュールと、補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行うように構成される周波数オフセット除去モジュールと、水平および垂直偏波チャネルから波長分散を除去するように構成される波長分散補償モジュールと、偏波モード分散(PMD)と偏波依存損失(PDL)に起因する干渉を補償するように構成されるPMD/PDL補償モジュールと、位相を追跡し補正するように構成される位相回復モジュールと、を含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、直交誤差フィルタは、水平方向同相ストリーム、垂直方向同相ストリーム、水平方向直交ストリーム、および垂直方向同相ストリームを含む4つの平行ストリームを受信することにより光信号のデジタル版を受信するように構成される。直交誤差フィルタは、同相と直交成分間のスキューを検出し除去し、直流バイアスを検出し除去し、同相と直交振幅不平衡を検出し除去し、および/または同相および直交位相不平衡を検出し除去することにより直交誤差を除去するように構成され得る。いくつかの実施形態では、直交誤差フィルタは、周波数オフセット除去モジュールにより受信される前に光信号の直交誤差を除去するように構成される。いくつかの実施形態では、復調信号は硬判定または軟判定(hard decision or soft decision)データを含み得る。
【0009】
本装置はまた、他の実施形態では、周波数オフセット除去モジュールへフィードバックするための周波数誤差メトリックを計算するように構成される搬送波周波数取得および追跡モジュールを含む。いくつかこのような実施形態では、搬送波周波数取得および追跡モジュールは、PMD/PDL補償モジュールがPMDとPDLに起因する干渉を補償した後に光信号を処理し得、周波数オフセット除去モジュールは周波数誤差メトリックを使用して回転を行う。
【0010】
別の実施形態では、本装置は、局部発振器を制御するためのフィルタ処理済み周波数誤差メトリックを計算するように構成される搬送波周波数取得および追跡モジュールと、ほぼ2+ε倍のシンボル率で採取されるサンプルに対し間引きを行う補間機能を実施するように構成される整合フィルタデシメータ(matched filter decimator)と、PMD/PDL補償モジュールがPMDとPDLに起因する干渉を補償した後であって光信号に対する搬送波位相回復の前に光信号のシンボルタイミング取得と追跡を行うように構成されるシンボルタイミング取得および追跡モジュールと、受信したチャネルを互いに歪め、交換し、回転させるように構成されるフレーム同期モジュールと、および/または復調された光信号を差分復号し、復号化された出力をフレーム同期モジュールへ供給するように構成される差分復号器と、を含み得る。本装置はまた、様々な実施形態では、プロセッサを含み得る。
【0011】
システムは、光信号のデジタル版を受信し、直交誤差を除去して、補正された一連のデータサンプルを生成する手段と、補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行う手段と、光信号の処理版の水平および垂直偏波チャネルから波長分散(chromatic dispersion)を除去する手段と、PMDとPDLに起因する干渉を補償する手段と、位相を追跡し補正する手段と、を含み得る。
【0012】
方法は、光信号のデジタル版を受信する工程と、直交誤差を除去して、補正された一連のデータサンプルを生成する工程と、補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行う工程と、水平および垂直偏波チャネルから波長分散を除去する工程と、PMDとPDLに起因する干渉を補償する工程と、位相を追跡し補正する工程と、を含み得る。
【0013】
いくつか実施形態によると、光信号のデジタル版を受信する工程は水平方向同相ストリーム、垂直方向同相ストリーム、水平方向直交ストリーム、垂直方向同相ストリームを含む4つの平行ストリームを受信する工程を含む。他の実施形態では、直交誤差を除去する工程は、同相と直交成分間のスキューを検出し除去する工程と、直流バイアスを検出し除去する工程と、同相および直交振幅と位相不平衡を検出し除去する工程と、を含む。光信号の直交誤差を除去する工程は光信号に対し周波数回転を行う工程の前に発生し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、光信号のPMDとPDL補償版の周波数誤差メトリックを計算し、周波数回転実行中に使用される周波数誤差メトリックをフィードバックする工程と、光信号のPMDとPDL補償版のフィルタ処理済み周波数誤差メトリックを計算し、フィルタ処理済み周波数誤差メトリックを局部発振器へ供給する工程と、ほぼ2+ε倍のシンボル率で採取されたサンプルに対し間引きを行う補間機能を実施する工程と、PMD/PDL補償モジュールがPMDとPDLに起因する干渉を補償した後であって搬送波位相回復の前に光信号のシンボルタイミング取得と追跡を行う工程と、および/または復調された光信号を差分復号し、ハード復号された出力を供給し、ハード復号された出力の受信チャネルを互いに同期させる工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の様々な実施形態の性質と利点のさらなる理解は、以下の添付図面を参照することによりなされ得る。添付図面では、同様な部品または特徴は同じ参照ラベルを有し得る。さらに、同じタイプの様々な部品は、ダッシュ線と同様な部品を区別する第2のラベルとによる参照ラベルに従うことにより識別され得る。第1の参照ラベルだけが本明細書において使用される場合、その記述は、第2の参照ラベルにかかわりなく同じ第1の参照ラベルを有する同様の部品の任意の1つに適用可能である。
【0016】
図1図1は本発明の様々な実施形態に従って構成された部品を含む光通信装置のブロック図である。
図2図2は本発明の様々な実施形態によるデジタル符号化および変調装置のブロック図である。
図3図3は本発明の様々な実施形態によるデジタル復調および復号化装置のブロック図である。
図4図4は本発明の様々な実施形態による復調装置のブロック図である。
図5図5は本発明の様々な実施形態によるデジタル復調装置のブロック図である。
図6図6は本発明の様々な実施形態による直交誤差フィルタのブロック図である。
図7図7は本発明の様々な実施形態によるPMD/PDL補償装置のブロック図である。
図8図8は本発明の様々な実施形態による周波数取得および追跡モジュールのブロック図である。
図9図9は本発明の様々な実施形態による光信号のデジタル復調の方法のフローチャートである。
図10図10は本発明の様々な実施形態による光信号のデジタル復調の代替方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
受信された光信号を処理するデジタル復調器装置のための方法、システム、および装置について説明する。4つの平行ストリーム、すなわち水平方向同相ストリーム、垂直方向同相ストリーム、水平方向直交ストリーム、および垂直方向同相ストリームで構成された光信号のデジタル版が受信され得る。本装置は、光信号のデジタル版を受信し、直交誤差を除去し、補正された一連のデータサンプルを生成する直交誤差フィルタを含み得る。本装置はまた、補正された一連のデータサンプルに対し周波数回転を行う周波数オフセット除去モジュールを含み得る。本設計はまた、波長分散、偏波モード分散(PMD)、及び偏波依存損失(PDL)を補償し得る。位相回復モジュールは位相を追跡し補正するように構成され得る。以下にさらに詳細に説明されるように、追加の機能性が実装され得る。
【0018】
本明細書は一例を提供するものであって、本発明の実施形態の範囲、適用性、または構成を制限するように意図されていない。むしろ、以下の記載は、本発明の実施形態の実施を可能にする説明を当業者に提供する。様々な変更が、要素の機能と配置においてなされ得る。
【0019】
したがって、様々な実施形態は、必要に応じて様々な手順または部品を省略、置換、追加し得る。例えば、本方法は記載されたものと異なる順序で行われ得るということと様々な工程が追加、省略、または組み合わせられ得るということとを理解すべきである。また、いくつかの実施形態に関して記載された態様と要素は、様々な他の実施形態において組み合わせられ得る。以下のシステム、方法、装置、ソフトウェアは、個々にまたは集合的に、他の手順がそれらの適用に優先するまたはそうでなければそれらの適用を変更し得るより大きなシステムの部品であり得るということも理解すべきである。
【0020】
データ送信媒体として光ファイバケーブルを利用する光通信装置のためのシステム、装置、方法、ソフトウェアについて説明する。光データ伝送システム100の一例が図1に示される。この実施形態では、光データ伝送システム100は、データをデジタル符号化および変調装置105へ供給するデータ源を含む。データ源は、少しの例だけを挙げると、ユーザ通信装置、ケーブルオペレータヘッドエンド装置、通信接続業者中央局、コンピュータサーバ、またはネットワーク付属記憶システムなどの多くの共通データ源のうちの任意のものを含み得る。多くの実施形態では、データ源は、光データ伝送システム100全体にわたって伝送される大量のデータを生成する。デジタル符号化および変調装置105はこのデータを受信し、データに対しフレーム化、順方向誤り訂正符号化、および変調機能を実行する。電気−光学(E−O)装置110はデータを光信号に変換し、データを含む光信号をファイバ接続115を介し送信する。ファイバ接続115は、光ファイバケーブルを含むこのような接続部の周知の部品を含み得る。光学−電気(O−E)装置120はファイバ接続115から光信号を受信し、データを電気領域に変換する。デジタル復調および復号化装置120は、光信号のデジタル版を受信し、光信号からのデータに対し復調、順方向誤り訂正復号化、およびデフレーム化機能を行う。次に、デジタル復調および復号化装置120はデータを出力し得る(例えば、ユーザ通信装置、ケーブルオペレータヘッドエンド装置、通信接続業者中央局、コンピュータサーバ、またはネットワーク付属記憶システムへ)。
【0021】
図2はデジタル符号化および変調装置105−aを示す。図示された実施形態では、デジタル符号化および変調装置105−aはデータ伝送層フレーム化モジュール(data transport layer framer module)205、FEC符号器モジュール210、変調器モジュール215、および送信機光インターフェースモジュール220を含む。データ伝送層フレーム化モジュール205は、データ源から受信されたデータを送信のためにパケットフレーム内に置き得る。パケットフレームは、ヘッダとペイロードおよび可能性としてCRCなどの終端部を通常は含む光通信システムに使用されるパケットフレームの多くの共通プロトコルのうちの1つに準拠し得る。よく理解されているように、ヘッダは、光伝送に使用されている特定のプロトコルに依存して、送信中にペイロードとインタリーブされ得る。FEC符号器モジュール210は、データ伝送層フレーム化モジュール205から受信されるデータの順方向誤り訂正(FEC:forward error correction)情報を計算し、それをフレームへ追加する。様々な実施形態のFEC情報の特定タイプは、フレームと共に送信される系統的に生成された冗長誤り訂正符号(ECC)データを通常は含む。いくつかの実施形態に使用される差分符号化が存在し得る。変調器モジュール215はフレームおよびFEC情報を変調し、データを送信機光インターフェースモジュール220へ転送する。送信機光インターフェースモジュール220は変調データをE−0モジュールへ転送し得る。このE−0モジュールにおいて、変調データは双極性(双極)直交位相シフトキーイング(dual−polarity(dual−pole)quadrature phase−shift−keying(QPSK))変調を介し光学領域で送信され、4つの平行光学ストリームを生じ得る。他の変調方式が他の例において同様に使用され得る。
【0022】
図3に示すように、デジタル復調および復号化装置125−aは多くのモジュールも含み得る。この実施形態では、デジタル復調および復号化装置125−aは、受信機光インターフェースモジュール305、復調器モジュール310、FEC復号器モジュール315、およびデータ伝送層非フレーム化モジュール(data transport layer de−framer module)320を含む。受信機光インターフェース305はO−E装置120からのインターフェースである。受信機光インターフェースモジュール305は電気信号を復調器モジュール310へ供給する。復調器モジュール310の様々な実施形態について以下にさらに詳細に検討する。復調器モジュール310からの情報はFEC復号器モジュール315へ供給され、FEC復号器モジュール315は同情報を復号し、誤り訂正符号から特定される送受信エラーを補正し得る。FEC復号器モジュール315は復号データをデータ伝送層非フレーム化モジュール320へ供給し、データ伝送層非フレーム化モジュール320は光伝送に使用される特定のプロトコルに従って信号からデータをデフレームし、出力データを供給する。データ出力先は例えばユーザまたは任意の受信システムであり得る。
【0023】
これらの部品は、適用可能な機能のいくつかまたはすべてをハードウェアで行うように適合化された1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)により個々にまたは集合的に実装され得る。代案として、機能は1つまたは複数の集積回路上の1つまたは複数の他の処理装置(またはコア)により行われ得る。他の実施形態では、当該技術領域で知られた任意のやり方でプログラムされ得る他のタイプの集積回路(例えば構造化/プラットホームASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および他のセミカスタムIC)が使用され得る。各装置の機能はまた、1つまたは複数の汎用または特定用途プロセッサにより実行されるようにフォーマット化されるメモリ内に具現された命令により、その全体または一部が実施され得る。
【0024】
ここで図4を参照すると、デジタル復調器400の一例が示される。これは、図3に示す復調器モジュール310の例であり得る。デジタル復調器400は、直交誤差フィルタモジュール405、周波数オフセット除去モジュール410、波長分散補償モジュール415、PMD/PDL補償モジュール420、および位相追跡および回復モジュール425を含む。
【0025】
光信号のデジタル版が受信され得る。光信号のデジタル版は4つの平行ストリームすなわち、水平方向同相ストリーム、垂直方向同相ストリーム、水平方向直交ストリーム、および垂直方向直交ストリーム(例えば受信機光インターフェースモジュールからの)で構成され得る。直交誤差フィルタモジュール405は、光信号のデジタル版を受信し、直交誤差を除去して、補正された一連のデータサンプルを生成する。補正された一連のデータサンプルに対して周波数回転を行うための周波数オフセット除去モジュール410が存在し得る。波長分散補償モジュール415は水平および垂直偏波チャネルから波長分散を除去する。PMD/PDL補償モジュール420は、PMDとPDLに起因する干渉を補償し得る。本装置はまた、位相を追跡し補正するように構成される位相追跡および回復モジュール425を含み得る。
【0026】
いくつかの例では、直交誤差フィルタモジュール405は、同相および直交スキュー、直流バイアス、同相および直交振幅不平衡、または同相および直交位相不平衡を検出および除去することにより直交誤差を除去するように構成される。直交誤差フィルタモジュール405は、光信号の一部が周波数オフセット除去モジュール410により受信される前に、光信号の一部からこのような直交誤差を除去し得る。受信チェーンにおけるPMD/PDL補償モジュール420後であって位相追跡および回復モジュール425前に搬送波周波数取得および追跡モジュール(図示せず)がまた存在し得る。搬送波周波数取得および追跡モジュールは周波数オフセット除去モジュール410への送信のための周波数誤差メトリックを計算するように構成され得る。搬送波周波数取得および追跡モジュールは、装置から局部発振器への送信のためのフィルタ処理済み周波数誤差メトリックを計算し得る。
【0027】
図5を参照して、復調器装置500について説明する。これは、図4のデジタル復調器装置400または図3の復調器装置310であり得る。この例では、1つの水平成分(H)と1つの垂直成分(V)の2つの偏波成分が受信される。HとV成分のそれぞれは同相(I)成分と直交(Q)成分の両方を含む。参照のための、水平偏波内の2つの成分はHI(水平方向同相分)とHQ(水平方向直交成分)と呼ばれる。同様に、垂直偏波内の2つの成分はVI(垂直方向同相分)とVQ(垂直方向直交成分)と呼ばれる。復調器装置500は、送信データを回復するために2つの偏波成分のIとQ成分のデジタル化サンプルを処理する。入力において、復調器装置500は、HI、HQ、VI、VQサンプルを搬送する4つの平行ストリームを受け取る。一実施形態では、各ストリームはクロック当たり複数のサンプルを含む。その出力において、復調器は、復調された硬判定データ(他の例では、軟判定データが供給され得るが)をFEC復号器モジュール(例えば、図3のFEC復号器モジュール315)へ供給し得る。復調器装置500はFECフレームの開始を特定し得る。加えて、いくつかの実施形態では、復調器装置500は、誤り訂正のために、収束状態に関してFEC復号器モジュール315からフィードバック信号を受信する。
【0028】
いくつかの実施形態では、復調器装置500は多くの機能モジュールを含む特定用途向け集積回路(ASIC)として実装される。このような実施形態では、復調器装置500は、復調器パラメータ(フィルタ係数、ループ利得等)の構成と復調器状態の抽出を可能にするホスト処理装置510に接続される制御および監視インターフェースバス505を有し得る。引き続き図5を参照して、様々な実施形態の復調器装置500内のサブモジュールのいくつかについて説明する。この実施形態では、直交誤差フィルタ(QEF:quadrature error filter)モジュール405−aはデータフォーマット化、誤り検知、および訂正機能の集合を提供する。一実施形態では、入力データサンプルは2進オフセット/オフセット2進形式であると予想され、デジタルシグナルプロセッサ内の処理のために2の補数(2C)形式に変換される。入力するHI、HQ、VI、およびVQストリームはまた、いくつかの実施形態では、偶発的反転またはIQ交換になり得るいかなる設計課題も考慮に入れ、必要に応じ独立に交換および反転され得る。これらの様々な実施形態の各データストリームは、偏波内I−Qスキューだけでなく(HとV偏波間)偏波スキューも除去するように処理され得る。QEFモジュール405−aは、4つのタイプの直交位相信号誤差、すなわちI/Qスキュー、DCバイアス、I/Q振幅不平衡、およびI/Q位相不平衡の検出および除去を実現し得る。すべての4つの誤差検出器は、いくつかの実施形態では、プロセッサインターフェースを介し独立に使用可能または使用不能にされ得、検出された誤差値は、この同じインターフェースを介し状態値として出力され得る。QEFモジュール405−aはまた、システムの他の部品により使用され得る利得制御信号を出力し得る。
【0029】
QEFモジュール405−aは周波数オフセット除去モジュール410−aに接続される。周波数オフセット除去モジュール410−aは、一例では、QEFモジュール405−aから出て来るデータサンプルに対して周波数回転を行う。周波数回転の量は、搬送波周波数取得および追跡(CFAT:carrier frequency acquisition and tracking)モジュール520から供給される周波数誤差入力により制御される。このような周波数オフセット除去機能は、光学領域におけるLOレーザ調節から残された残留周波数を除去し得る。波長分散補償モジュール415−aは水平および垂直偏波チャネルからバルク波長分散を除去する。補正は周波数領域においてフィルタを介し適用され得る。補正の量は、この実施形態では、復調器モジュール500の外で導出されホスト処理装置510および制御および監視インターフェースバス505を介し供給される波長分散フィルタ入力により制御され得る。
【0030】
整合フィルタデシメータ(MFD:matched filter decimator)モジュール515は、2+ε(2プラス任意の小さな正値)倍のシンボル率で採取されるサンプルに対し間引きを行う補間機能を実施し得る。一実施形態では、4つのデータストリームのそれぞれは、選択された係数を有するFIRフィルタの独立バンクを有する。入力データは、データストリーム毎に2サンプル/シンボルを生成するようにフィルタバンクを介し処理される。データサンプルは集められ、サンプルブロックアセンブラによりクロック当たり固定数サンプル/ストリームのブロックにアセンブルされる。アセンブル機能は各偏波内のIとQストリームにとって同一であり得るので1つのアセンブリブロックが2つのストリームをサービスし得る。PMD/PDL補償モジュール420−aは、光学チャネル内のPMDとPDLにより導入される交差偏波干渉、IQチャネル干渉、隣接シンボル干渉、および上に述べたような残留波長分散などの他の残留障害を補償するために適応等化を利用し得る。一実施形態では、適応等化器は、MFDモジュール515から1または2サンプル/シンボルでデータを採取し、適応フィルタタップ係数を有するFIRフィルタのバンクを介しデータを処理する。
【0031】
いくつかの実施形態では、シンボルタイミング取得および追跡(STAT:symbol timing acquisition and tracking)モジュール525は早期/後期シンボル半径整合方式とPI制御装置を使用してシンボルタイミングを推定し、誤り信号を生成しシンボルタイミングを補正し得る。このSTATモジュール525はまた、一実施形態では、シンボルロック指標を出力するシンボルタイミングロック検出機構を有する。様々な実施形態では、PI制御装置のための2組の利得が存在する(取得のための広帯域と追跡のための狭帯域)。タイミングロック状態でないと、広帯域利得が使用され得、そうでなければ狭帯域利得が使用され得る。STATモジュール525は、PMD/PDL補償モジュールがPMDとPDLに起因する干渉を補償した後であって光信号の一部に対する搬送波位相回復の前に、光信号の一部のシンボルタイミング取得と追跡を行い得る。
【0032】
CFATモジュール520は搬送波周波数を追跡するだけでなく取得する責任があり得る。搬送波周波数取得は、適切な平均化とピーク周波数成分検出と共に高速フーリエ変換(FFT)を介すなど、多くの技術のうちの1つを使用して実現される。CFATモジュール520は周波数誤差入力を周波数オフセット除去モジュール410−aへ供給し得る。CFATモジュール520はまた、いくつかの実施形態では、局部発振器(LO:local oscillator)周波数オフセット出力(フレーム同期およびインターフェースモジュール540からのデータと共に使用され得る)のための制御出力を供給する。搬送波位相追跡および回復モジュール530は、ブロック位相推定器と共にフィードフォワードアルゴリズムと、残留周波数と位相エラーを除去する位相回転機能と、を使用し得る。搬送波位相追跡および回復モジュール530は、PMD補償モジュールにより生成される定時データサンプルに作用し得る。差分復号器535は、様々な実施形態では、搬送波位相追跡および回復モジュール530からのシンボルストリームを受け取る(例えばシンボル当たり1サンプルで)責任があり得る。差分復号器535は、信号を差分復号し、復号された出力(例えば硬判定出力データストリーム)をフレーム同期およびインターフェースモジュール540へ供給するように構成され得る。フレーム同期およびインターフェースモジュール540は、フレーム同期を実現するためにデータを処理し、データの整列、フレーム同期検出、およびクロック転送のための機能ブロックを含み得る。フレーム同期モジュールは受信されたチャネルを互いに歪め、交換し、回転させるように構成され得る。
【0033】
図6に、直交誤差フィルタ(QEF)モジュール405−bの一例を示す。これは図4または5のQEFモジュール405であり得る。QEFモジュール405−bは、DCバイアス除去サブモジュール605、スキュー除去サブモジュール610、I/Q振幅不平衡サブモジュール615、I/Q位相不平衡サブモジュール620、誤り信号測定モジュール625を含み得る。
【0034】
QEFモジュール405−bは4つの平行ストリーム、すなわち水平方向同相ストリーム(HI)、垂直方向同相ストリーム(VI)、水平方向直交ストリーム(HQ)、垂直方向直交ストリーム(VQ)を受信し得る。サンプルはADCから2進オフセット/オフセット2進フォーマットで入り得、DSP内の処理のために2の補数(2C)に変換され得る。
【0035】
DCバイアス除去サブモジュール605は、ストリーム毎にDCバイアスを検出し除去し得る。DCバイアスは非常に狭い帯域の一次IIR低域通過フィルタを介し検出され得る。IIRループ利得は211〜226までプログラム可能であるとよい。フィルタ出力値はいかなるDCバイアスも除去するように生データサンプルから減じられ得る。ストリーム毎のDCバイアス値は状態表示出力として供給され得る。
【0036】
スキュー除去サブモジュール610は、偏波内I−Qスキューだけでなく(HとV偏波間)偏波スキューも除去するように各ストリームを処理し得る。偏波スキュー除去に関しては、プログラム可能数の整数サンプル持続時間だけ互いに偏波を遅延することができる遅延素子が使用され得る。これは較正時に粗い偏波スキュー除去を可能にし得る。較正時のいかなる残留サブサンプリング持続時間偏波スキューまたは偏波スキューのいかなる遅い時間変動も、PMD等化器(例えば図4または5のPMD/PDL補償モジュール420)により後で追跡され得る。整数サンプル遅延は、粗いI/Qスキュー除去を助けるために偏波内IとQストリーム上で独立に利用可能となり得る。
【0037】
校正時の粗いI/Qスキュー調整に関しては、偏波スキュー除去中の上述のシフト制御が使用され得る。I−Qストリーム間のサブサンプリング時間遅延を微調整するために補間遅延フィルタが使用され得る。コールドスタート時だけでなく較正時も、QEFブロック内に生成される最も低い誤り信号を与えるスキュー調節設定を特定するために試行錯誤手法が使用され得る。長期にわたってこのスキューの遅い変動を追跡するために、現在のスキュー設定(現在の設定より低いおよび高いスキュー設定だけでなく)に対応する誤り信号が監視され得、DSPは、他の設定の誤り信号が現在の設定より小さくなれば現在のスキュー設定を切り替え得る。
【0038】
I/Q振幅不平衡サブモジュール615は、各偏波(HとV)のIとQサンプルチャネル間の平均電力差を測定し得る。IとQ間の電力差には非常に小さな利得項(例えば、2−11〜2−26までプログラム可能)が乗じられ得、その増倍された誤差はアキュムレータへ入力され得る。アキュムレータの出力は利得としてQチャネル内のすべてのサンプルへ適用され、これにより利得を除去し得る。この不平衡除去により、当該チャネルを基準チャネルと同じ平均電力(または振幅)レベルに持って来る。
【0039】
I/Q位相不平衡サブモジュール620は、各偏波(HとV)のIとQサンプルチャネル間の平均相互相関を測定し得る。偏波毎の相互相関値に非常に小さな利得項(2−11〜2−26までプログラム可能)を乗じ、アキュムレータへ入力してもよい。アキュムレータの出力は、当該偏波におけるQチャネル内へのIチャネル「ブリーディング(bleeding)」の量を表す。この値は、位相不平衡を除去するために所与の偏波におけるすべてのIサンプルに対する利得として適用され得る。乗算の結果は相互相関を除去するように当該のQサンプルから減じられ得る。I/Q位相不平衡サブモジュール620の出力は、図4または図5の周波数オフセット除去モジュール410へ転送され得る。
【0040】
I/Q位相不平衡サブモジュール620の出力は、誤差測定のために誤り信号測定モジュール625内に供給され得る。誤差は、それらの処理に使用されるスキュー除去サブモジュール610、I/Q振幅不平衡サブモジュール615、I/Q位相不平衡サブモジュール620内にフィードバックされ得る。
【0041】
次に図7を参照すると、ブロック図はPMD/PDL補償モジュール420−bの例示的構成を示す。これは、図4または図5のPMD/PDL補償モジュール420であり得る。それは、FIRフィルタバンクサブモジュール705、適応EQタップ更新サブモジュール710、重心補正サブモジュール715を含み得る。PMD/PDL補償モジュール420−bは、光学チャネル内のPMDとPDLにより導入される交差偏波干渉、IQチャネル干渉、隣接シンボル干渉を検出し除去するように構成され得る。
【0042】
図示の例では、PMD/PDL補償モジュール420−bは、2サンプル/シンボル(例えば図5の整合フィルタデシメータ(MFD)モジュール515からの)でデータを取り込み、適応フィルタタップ係数を有するFIRフィルタバンクサブモジュール705を介しデータを処理する適応等化器である。PMD/PDL補償モジュール420−bは、4つの平行ストリーム、すなわち水平方向同相ストリーム(HI)、垂直方向同相ストリーム(VI)、水平方向直交ストリーム(HQ)、垂直方向直交ストリーム(VQ)を受信し得る。一例では、FIRフィルタバンクサブモジュール705は、2タップ/シンボルで動作する4つの16タップ複素フィルタで構成されるFIRフィルタバンクである。これらのフィルタタップは、1.0のセンタータップ重みを有し他のすべてのタップが0.0に設定された全通過フィルタとして初期化され得る。タップは、使用可能になると、適応EQタップ更新アルゴリズムにより更新される。
【0043】
一例では、適応等化器タップ更新アルゴリズムは定モジュラスアルゴリズム(CMA:Constant Modulus Algorith)である。このアルゴリズムは、各偏波上のコンステレーション点(constellation point)を、最小半径変動を有する所望の半径を有する円に駆動する(最適シンボルタイミングで)。適応等化器は、2つの偏波を適切に減結合する解に高い確率で収束することになる。しかし、EQが両方の偏波出力上に同じ偏波を出力するように収束するコーナケースが存在する。このエラー事象は下流で検出される。このエラーが検出されると、垂直方向偏波出力のためのフィルタタップがリセットされ得る。
【0044】
FIRフィルタバンクサブモジュール705は部分出力を供給し得、適応EQタップ更新サブモジュール710は同部分出力を受信し、必要に応じ、さらなる補正を加え、最終PMD/PDL補償出力を出力し得る。重心補正サブモジュール715は、必要に応じフィルタタップ内の当該シフトを補償するために、シンボルを出力へ/からを追加または除去するように構成される。フィルタ処理済み出力は、PMD/PDL補償モジュール420−bから図5のCFATモジュール520、STATモジュール525、および/または搬送波位相追跡および回復モジュール530へ送信され得る。
【0045】
次に図8を参照すると、ブロック図は搬送波位相取得および追跡(CFAT)モジュール520−aの例示的構成を示す。これは図5のCFATモジュール520であり得る。CFATモジュール520−aは、モード選択サブモジュール805、FFTサブモジュール810、平均化サブモジュール815、ピーク周波数検出サブモジュール820、PI制御装置サブモジュール825、DFTサブモジュール830、平均化サブモジュール840、および周波数誤差計算サブモジュール845を含み得る。
【0046】
CFATモジュールは搬送波周波数を追跡するだけでなく取得する責任がある。搬送波周波数取得は、適切な平均化およびピーク周波数成分検出による256点FFTにより達成され得る。搬送波周波数追跡は、適切な平均化および可変追跡帯域による2点DFTにより達成され得る。周波数誤差はフィルタ処理済み周波数誤差を生成するためにPI制御装置を介し処理され得る。CFATモジュールはまた、搬送波周波数ロック検出機構を利用し得る。周波数ロックしていない状態では、より広いDFT帯域が利用され得、そうでなければより狭いDFT帯域が利用され得る。周波数ロック信号はまた、図5のフレーム同期およびインターフェースモジュール540が復号器へデータを転送すべきかどうかを判断するために利用され得る。
【0047】
図8に示すCFATモジュール520−aは、両方の偏波からの定時I/Qデータサンプルに作用するように構成され得る。CFATモジュール520−aは、すべてのデータサンプルに作用するのではなく、むしろブロック間の処理時間を可能にするために64クロック毎に一回256個の隣接シンボルのブロックに作用する。入力データは、QPSK変調を音声まで折り畳む4θ変換ブロックを介し処理され得る。4θ変換ブロックのデータ出力は、モード選択サブモジュール805により判断されるように動作のモードに依存して2つの経路のうちの1つを介し処理される。始動時、CFATモジュール520−aは、バルク周波数オフセット測定が周波数追跡ループの追跡帯域に入るまで、取得モードにあることになる。その処理が完了すると、モジュールは追跡モードで動作する。
【0048】
取得モードでは、偏波毎の4θI/QデータはFFTサブモジュール810において実施される256点複素FFTを介し処理され得る。FFT結果は、8組のFFTにわたって複素FFTビン結果をブロック平均化するブロック平均化機能の平均化サブモジュール815へ出力され得る。平均FFT結果は、複素FFT結果を振幅応答に変換して応答内の有効なピーク周波数成分を探索するピーク周波数検出サブモジュール820へ出力され得る。有効なピークが検出されると、周波数誤差がピーク周波数検出サブモジュール820により計算される。周波数誤差は、PI制御装置サブモジュール825を更新するために使用され得る。取得モードでは、PI制御装置サブモジュール825の出力はバルク周波数オフセットであり、LOレーザを調節するために出力される。制御状態マシーン(control state machine)は、PI制御装置サブモジュール825へ入力される周波数誤差を監視し得る。周波数誤差が非零(または近零閾値より上)である限り、モジュールのDFT部(図8の下半分)はアイドル状態で保持され得る。
【0049】
FFTにより検出された周波数誤差が零(FFTのピークは零成分にある)であると、モード選択サブモジュール805は、追跡モードを入力するようにCFATモジュール520−aを制御し得る。DFTデータ処理および関連PI制御装置が使用可能にされ、FFT論理は使用不能にされる。追跡モードでは、偏波毎の4θI/Qデータは、2点複素DFTを使用することによりDFTサブモジュール830を介し処理される。DFTサブモジュール830は±Δf周波数位置における周波数ビンを計算し得る。Δfの値は周波数ロック信号の状態に依存する。DFT結果は、偏波当たり複数のシンボル分のデータにわたって2つの複素DFTビン結果をブロック平均化する平均化サブモジュール840へ出力される。
【0050】
平均DFT結果は、平均複素DFT結果を偏波当たり一対の大きさに変換する一対の周波数誤差計算ブロックへ入力される。誤差値は、偏波当たり正負の強度値の差として計算される。周波数誤差計算サブモジュール845は、2つの偏波から周波数誤差値を受信し、それに重み付け係数(β)を掛け、それらを合計して合成二重偏波信号の平均周波数誤差を生成する。βの公称値は0.50であるが、範囲{0.0,1.0}内でプログラムされることができる。合成周波数誤差値は、データブロック当たり一回PI制御装置サブモジュール825により使用され得る。PI制御装置サブモジュール825の追跡モード出力は、入力データをベースバンドへシフトするために図4または図5の周波数オフセット除去モジュール410へフィードバックされる周波数誤差であり得る。PI制御装置サブモジュール825の追跡モード出力はまた、追跡モードにおいてLOレーザに連続周波数誤差更新を与えるために使用され得る。
【0051】
図9は、本発明の様々な実施形態による光信号のデジタル復調の方法900のフローチャートである。方法900は、図1または図3のデジタル復調および復号化装置125により行われ得る。より具体的には、方法900は、図3図4、または図5の復調器装置310、400、500によりそれぞれ行われ得る。
【0052】
ブロック905では、光信号のデジタル版が受信される。ブロック910では、直交誤差が、フィルタ処理済みの一連のデータサンプルを生成するために除去される。ブロック915では、周波数回転が、フィルタ処理済みの一連のデータサンプルに対し実行される。ブロック920では、波長分散が水平および垂直偏波チャネルから除去される。PMDとPDLに起因する干渉の補正がブロック925で発生する。ブロック930では、位相は追跡され補正される。
【0053】
図10は、本発明の様々な実施形態による光信号のデジタル復調の代替方法のフローチャートである。方法1000は、図1または図3のデジタル復調および復号化装置125により行われ得る。より具体的には、方法1000は、図3図4、または図5の復調器装置310、400、500によりそれぞれ行われ得る。方法1000は図9の方法900の一例であり得る。
【0054】
ブロック1005では、4つの平行ストリーム、すなわち水平方向同相(HI)ストリーム、垂直方向同相ストリーム(VI)、水平方向直交(HQ)ストリーム、垂直方向直交(VQ)ストリームを含む光信号のデジタル版が受信される。ブロック1010では、I/Qスキュー、DCバイアス、I/Q振幅、位相不平衡が、フィルタ処理済みの一連のデータサンプルを生成するために除去される。ブロック1015では、周波数回転が、フィルタ処理済みの一連のデータサンプルに対し実行される。ブロック1020では、波長分散が水平および垂直偏波チャネルから除去される。PMDとPDLに起因する干渉の補正がブロック1025で発生する。
【0055】
ブロック1030では、光信号のPMDとPDL補償版のための周波数誤差メトリックが計算され、上記メトリックは光信号の後の部分に対し周波数回転を行うために使用される。ブロック1035では、局部発振器への送信のために、光信号のPMDとPDL補償版のためのフィルタ処理済み周波数誤差メトリックが計算される。ブロック1040では、位相が追跡され補正される。ブロック1045では、硬判定を生成するために差分復号化が行われる。ブロック1050では、フレーム同期が行われる。
【0056】
これらの部品は、適用可能な機能のいくつかまたはすべてをハードウェアで行うように適合化された1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)により個々にまたは集合的に実装される。代案として、機能は1つまたは複数の集積回路上の1つまたは複数の他の処理装置(またはコア)により行われ得る。他の実施形態では、当該技術領域で知られた任意のやり方でプログラムされ得る他のタイプの集積回路が使用され得る(例えば構造化/プラットホームASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および他の半カスタムIC)。各装置の機能はまた、1つまたは複数の汎用または特定用途プロセッサにより実行されるようにフォーマット化されたメモリ内に具現される命令により、その全体または一部が実施され得る。
【0057】
上に論じられた方法、システム、装置は単に一例であることを目的とするということに注意すべきである。様々な実施形態は、必要に応じて様々な手順または部品を省略、置換、追加し得るということを強調しなければならない。例えば、代替の実施態様では、本方法は記載されたものと異なる順序で行われ得、様々な工程が追加、省略、または組み合わせられ得るということを理解すべきである。また、いくつかの実施形態に関して説明された特徴は、様々な他の実施形態において組み合わせられ得る。実施形態の異なる態様と要素は同様なやり方で組み合わせられ得る。また、技術は進化し、したがって、要素の多くは本来例示的であり、本発明の範囲を制限するようには解釈されるべきでないということを強調しておかなければならない。
【0058】
実施形態の完全な理解を与えるために、特定の詳細が明細書において説明された。しかし、実施形態がこれらの特定の詳細無しに実行され得るということは当業者により理解されることになる。例えば、周知の回路、処理、アルゴリズム、構造、および技術は、実施形態をあいまいにするのを回避するために不必要な詳細無しに示された。
【0059】
また、実施形態は、フローチャートまたはブロック図として描写される処理として説明され得るということに注意すべきである。動作のそれぞれは逐次プロセスとして動作を説明し得るが、動作の多くは並行または同時に行われ得る。加えて、動作の順序は再配置され得る。処理は、図に含まれない追加工程を有し得る。
【0060】
さらに、本明細書に開示されるように、用語「メモリ」は、情報を格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気RAM、コアメモリ、磁気ディスク記憶装置媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、または他のコンピュータ可読媒体を含むデータを格納するための1つまたは複数の装置を表し得る。用語「コンピュータ可読媒体」は、これらに限定しないが、携帯型または固定型記憶装置、光記憶装置、無線チャネル、simカード、他のスマートカード、および命令またはデータを格納する、含む、または搬送することができる様々な他の媒体を含む。
【0061】
さらに、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはその任意の組合せにより実施され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実施されると、必要なタスクを行うプログラムコードまたはコードセグメントは記憶媒体などのコンピュータ可読媒体に格納され得る。プロセッサは必要なタスクを実行し得る。
【0062】
いくつかの実施形態について説明したが、様々な変更形態、代替構造、及び均等物が本発明の精神から逸脱すること無く使用され得るということが当業者により認識されることになる。例えば、上記要素は単に、他の規則が優先されるまたはそうでなければ本発明の適用を変更し得るより大きなシステムの部品であり得る。また、多くの工程は、上記要素が考慮される前に、上記要素が考慮される間に、または上記要素が考慮された後に、実施され得る。したがって、上記説明は本発明の範囲を限定するものとらえるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10