(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バージョン管理部による前記転送要求に応じて、前記最新の他装置バージョンに対応する制御装置から供給されるファームウェアを取り込み、前記ファームウェアにより更新処理を実行し、前記ファームウェアのバージョンを示すバージョン情報により前記記憶部に記憶された前記自装置バージョン情報を更新する更新部、
をさらに備える請求項1に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御装置の基本構成を示すブロック図である。
図1に示すように、制御装置500aは、記憶部501と、バージョン情報取得部502と、バージョン管理部503とを備える。なお、制御装置500b,500c,・・・も、制御装置500aと同様の構成を有する。ただし、制御装置500a,500b,500c,・・・それぞれが有するファームウェアのバージョンは統一されていないものとする。また、制御装置500aを自装置、制御装置500b,500c,・・・を他装置とし、自装置を例として構成を説明する。また、以下の説明において、制御装置500a,500b,500c,・・・それぞれを、制御装置500と呼ぶこともある。
【0015】
記憶部501は、制御装置500aが有するファームウェアのバージョンを示す自装置バージョン情報を記憶する。
【0016】
バージョン情報取得部502は、他装置である複数の制御装置500b,500c,・・・から、複数の制御装置それぞれが有するファームウェアのバージョンを示す他装置バージョン情報を取り込む。
【0017】
バージョン管理部503は、記憶部501に記憶された自装置バージョン情報が示す自装置バージョンとバージョン情報取得部502により取り込まれた他装置バージョン情報が示す複数の他装置バージョンそれぞれとを比較する。そして、バージョン管理部503は、その比較の結果に応じて、自装置バージョンが複数の他装置バージョンにおける最新の他装置バージョンよりも古い場合、最新の他装置バージョンに対応する制御装置500b,500c,・・・のいずれかに対して、最新の他装置バージョンに対応するファームウェアの転送要求を行う。
【0018】
また、バージョン管理部503は、前記の比較の結果に応じて、自装置バージョンが複数の他装置バージョンにおける最新の他装置バージョンよりも新しいか最新の他装置バージョンに等しい場合、複数の他装置バージョンに自装置バージョンよりも古い他装置バージョンが含まれている場合の他装置バージョンに対応する制御装置500b,500c,・・・のいずれかに対して、自装置バージョンに対応するファームウェアを転送する。
【0019】
次に、本発明の第1の実施形態に係る表示装置について説明する。上述した制御装置500は、本表示装置に適用される。
図2は、本発明の第1の実施形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、表示装置1は、MCU(Micro Control Unit)11と、アップデート制御部12と、記憶部13と、操作部14と、インターフェース部15と、入力部16と、映像処理部17と、駆動部18と、表示部19とを備える。
【0020】
MCU11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力部を含んで構成される。また、MCU11は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリからなるファームウェア格納部20を含む。ファームウェア格納部20は、ファームウェアを記憶している。ファームウェアは、表示装置1の基本動作の制御を行うプログラムである。つまり、MCU11は、CPUにファームウェアを実行させることにより、表示装置1全体を制御する。なお、本実施形態は、ファームウェア格納部20がMCU11に内蔵された例であるが、ファームウェア格納部20をMCU11とは別体として設けてもよい。
【0021】
アップデート制御部12は、MCU11のファームウェアの更新処理を実行する。アップデート制御部12は、例えば、CPU、メモリを含んで構成される。アップデート制御部12におけるファームウェアの更新処理については、後に詳述する。
【0022】
記憶部13は、MCU11内のファームウェア格納部20に格納されているファームウェアのバージョン情報と、ファームウェアのバックアップを記憶する。すなわち、本実施形態では、記憶部13は、ファームウェアバージョン情報記憶領域51と、ファームウェアバックアップ領域52とを有する。ファームウェアバージョン情報記憶領域51には、MCU11内のファームウェア格納部20に格納されているファームウェアのバージョン情報が記憶される。このバージョン情報は、自装置バージョン情報である。ファームウェアバックアップ領域52には、MCU11内のファームウェア格納部20に格納されているファームウェアのバックアップが記憶される。
【0023】
記憶部13にファームウェアのバックアップを記憶させておくことにより、当該表示装置1は、他の表示装置1に対してファームウェアを転送する場合に、記憶部13からバックアップを読み出し、このバックアップを他の表示装置1に転送する。これにより、表示装置1は、マルチディスプレイシステムとしてのマルチ表示動作を停止させることなく、ファームウェアを他の表示装置1に転送することができる。また、表示装置1のファームウェア格納部20に記憶されたファームウェアのデータが破壊等によってアクセス不能となった場合に、記憶部13からバックアップをファームウェア格納部20に転送して、ファームウェアを復元することができる。
【0024】
操作部14は、ユーザ入力を受け付け、その操作信号をMCU11に送信する。MCU11は、この操作部14からの操作信号を受信すると、この操作信号にしたがって動作する。なお、操作部14は、赤外線リモートコントローラにより構成してもよい。また、操作部14は、画面上に操作ボタンを重畳して表示するようなOSD(On Screen Display)でもよい。
【0025】
インターフェース部15は、他の機器とデータ通信を行う。本実施形態では、インターフェース部15として、USB(Universal Serial Bus)インターフェース31と、シリアルインターフェース32と、LAN(Local Area Network)インターフェース33とを備える。
【0026】
入力部16は、映像信号の入力経路の選択回路や映像信号の入力に必要な回路を含んで構成されている。さらに、入力部16は、入力映像信号が例えばアナログ信号の場合には、A/D(Analog to Digital)コンバータを含んでいる。
【0027】
映像処理部17は、入力映像信号を表示するための必要な処理を行う回路を含む。例えば、映像処理部17は、明るさの調整、色補正処理等を行う回路を含む。駆動部18は、表示部19を駆動するドライバ等を含む。表示部19は、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)等であり、画像の表示を行う。
【0028】
本実施形態に係る表示装置1は、複数の当該表示装置1を水平方向および垂直方向それぞれに並べて配置して一つの大画面を形成するマルチディスプレイシステムに使用される。そして、本実施形態では、マルチディスプレイシステムを構成する各表示装置1は、LAN(Local Area Network)インターフェース33を介して互いに接続され、ネットワークが構成される(
図4および
図6参照)。各表示装置1は、ユニークな識別情報を有している。この識別情報は、例えば、IP(Internet Protocol)アドレス、MAC(Media Access Control)アドレス等である。そして、表示装置1は、識別情報を用いて、他の表示装置1との間でネットワークを介したデータ通信を行う。LANインターフェース33は、例えば、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)により、ネットワークを構成する各機器間でデータ通信を行う。
【0029】
4台の表示装置1(表示装置1a〜1d)についてファームウェアのアップデート処理を行う場合、表示装置1a〜1dの中で任意の一台の表示装置が選択され、その表示装置のファームウェアのアップデート機能が起動される。ファームウェアのアップデート機能を起動させる表示装置は、表示装置1a〜1dのいずれであってもよい。
【0030】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置におけるファームウェアの更新処理時の動作を示すフローチャートである。なお、表示装置1aをファームウェアのアップデート機能を起動させる表示装置(自装置ともいう。)とし、表示装置1b,1c,1dを他装置とする。
【0031】
図3において、自装置である表示装置1aの操作部14により、バージョンアップの指示が入力されると(ステップS1)、アップデート制御部12は、ネットワーク上の他の表示装置1b,1c,1dに、ファームウェアのバージョン情報の転送要求を送信する(ステップS2)。このバージョン情報の転送要求に呼応して、表示装置1b,1c,1dそれぞから、ファームウェアのバージョン情報が供給される。
【0032】
アップデート制御部12は、ネットワーク上の表示装置1b,1c,1dからファームウェアのバージョン情報を受信すると(ステップS3)、自装置である表示装置1aのファームウェアのバージョンと表示装置1b,1c,1dそれぞれのファームウェアのバージョンとを比較する(ステップS4)。そして、アップデート制御部12は、表示装置1aのファームウェアのバージョンが最新か否かを判定する(ステップS5)。
【0033】
表示装置1aのバージョンが最新ではないと判定された場合(ステップS5:No)、アップデート制御部12は、ファームウェアのバージョンが最新である表示装置に、ネットワーク上の他の表示装置へのファームウェアの転送要求を送信する(ステップS6)。なお、ここで、ファームウェアのバージョンが最新である表示装置がネットワーク上に複数あった場合には、アップデート制御部12は、ファームウェアのバージョンが最新である表示装置の中から一台の表示装置を選んで、ファームウェアの転送要求を送信する。この場合、アップデート制御部12は、どの表示装置を選んでファームウェアの転送要求を送信してもよいが、例えば、識別情報に応じて一台の表示装置を選択し、この表示装置に対してファームウェアの転送要求を送信する。
【0034】
アップデート制御部12は、転送されてきたファームウェアを受信すると(ステップS7)、この受信したファームウェアにより、MCU11のファームウェア格納部20のファームウェアの更新を行う(ステップS8)。そして、アップデート制御部12は、更新したバージョンに基づいて、ファームウェアバージョン情報記憶領域51のバージョン情報を書き換え、また、更新したファームウェアのバックアップをファームウェアバックアップ領域52に記憶させる(ステップS9)。
【0035】
一方、ステップS5の処理において表示装置1aのバージョンが表示装置1b,1c,1dのバージョンにおける最新のバージョンよりも新しいかその最新のバージョンに等しいと判定された場合(ステップS5:Yes)、アップデート制御部12は、ファームウェアバックアップ領域52からファームウェアを読み出す(ステップS10)。そして、アップデート制御部12は、表示装置1b,1c,1dのバージョンに表示装置1aのバージョンよりも古いバージョンが含まれている場合のそのバージョンに対応する表示装置に対して、読み出したファームウェアを送信する(ステップS11)。
【0036】
次に、本発明の第1の実施形態に係る表示装置におけるファームウェアの更新処理について説明する。まず、ネットワークに接続された表示装置1a〜1dの中で、ファームウェアのアップデート機能が起動された表示装置1aのバージョンが最新バージョンでない場合の処理について、
図4および
図5を用いて説明する。
【0037】
図4は、ファームウェアのアップデート機能が起動される表示装置1aのバージョンが最新バージョンでない場合の動作説明図である。なお、
図4において、入力部16、映像処理部17、駆動部18、表示部19等は、説明を簡単にするために、図示していない。
図4において、ネットワークに接続された各表示装置1a,1b,1c,1dのファームウェアのバージョンは以下の通りであるとする。
【0038】
表示装置1a:バージョンVer.5.0
表示装置1b:バージョンVer.6.0
表示装置1c:バージョンVer.5.0
表示装置1d:バージョンVer.4.0
【0039】
このように、表示装置1aのファームウェアはバージョンVer.5.0、表示装置1bのファームウェアはバージョンVer.6.0であるため、表示装置1aのファームウェアのバージョンは、表示装置1bのファームウェアのバージョンよりも古い。
【0040】
図5は、ファームウェアのアップデート機能が起動される表示装置1aのバージョンが最新バージョンでない場合の処理を示すシーケンス図である。
図5において、表示装置1aのファームウェアのアップデート機能が起動されると(ステップS101)、表示装置1aのアップデート制御部12aは、ネットワーク上の表示装置1b,1c,1dに、ファームウェアのバージョン転送要求をマルチキャスト送信する(ステップS102)。表示装置1b,1c,1dのアップデート制御部12b,12c,12dは、そのバージョン転送要求に呼応して、記憶部13b,13c,13dのファームウェアバージョン情報記憶領域51b,51c,51dからバージョン情報を読み出す。そして、アップデート制御部12b,12c,12dは、読み出したバージョン情報を表示装置1aに送信する(ステップS103a,S103b,S103c)。
【0041】
表示装置1aのアップデート制御部12aは、表示装置1b,1c,1dのファームウェアのバージョン情報を取得すると、表示装置1aのファームウェアのバージョンと表示装置1b,1c,1dそれぞれのファームウェアのバージョンとを比較する(ステップS104)。そして、表示装置1aのアップデート制御部12aは、表示装置1aのファームウェアのバージョンが最新であるか否かを判定する(ステップS105)。この例では、表示装置1bのファームウェア(バージョンVer.6.0)が最新であり、自表示装置1aのファームウェアのバージョン(バージョンVer.5.0)は最新ではない(ステップS105:No)。
【0042】
この場合、表示装置1aのアップデート制御部12aは、バージョンが最新である表示装置1bに、ネットワーク上の他の表示装置へのファームウェアの転送要求を送信する(ステップS106)。
【0043】
表示装置1bのアップデート制御部12bは、ファームウェアの転送要求を受信すると、記憶部13bのファームウェアバックアップ領域52bからファームウェアを読み出す(ステップS107)。そして、アップデート制御部12bは、ネットワーク上の表示装置1a,1c,1dに、そのファームウェアをマルチキャスト送信する(ステップS108)。なお、このとき、表示装置1a,1c,1dの中に最新のファームウェアを有する表示装置がある場合、表示装置1bのアップデート制御部12bは、その表示装置に対してファームウェアを送信しない。
【0044】
各表示装置1a,1c,1dのアップデート制御部12a,12c,12dは、表示装置1bからのファームウェアを受信すると、受信したファームウェアにより、MCU11a,11c,11dのファームウェアを更新する(ステップS109a,S109b,S109c)。これにより、各表示装置1a〜1dのファームウェアは、全て、最新のバージョンVer.6.0にアップデートされることになる。
【0045】
次に、ネットワークに接続された各表示装置の中で、ファームウェアのアップデート機能が起動された表示装置のバージョンが最新である場合の処理について、
図6および
図7を用いて説明する。
【0046】
図6は、ファームウェアのアップデート機能が起動される表示装置のバージョンが最新である場合の処理を示す説明図である。
図6において、各表示装置1a〜1dのファームウェアのバージョンは以下の通りである。
【0047】
表示装置1a:バージョンVer.6.0
表示装置1b:バージョンVer.5.0
表示装置1c:バージョンVer.5.0
表示装置1d:バージョンVer.4.0
【0048】
このように、表示装置1aのファームウェアのバージョンは、表示装置1b,1c,1dのファームウェアよりも新しい。
【0049】
図7は、このように、ファームウェアのアップデート機能が起動される表示装置のバージョンが最新の場合の処理を示すシーケンス図である。
図7において、表示装置1aのファームウェアのアップデート機能が起動されると(ステップS201)、表示装置1aのアップデート制御部12aは、表示装置1b,1c,1dに、ファームウェアのバージョン転送要求をマルチキャスト送信する(ステップS202)。ネットワーク上の表示装置1b,1c,1dのアップデート制御部12b,12c,12dは、そのバージョン転送要求に呼応して、記憶部13b,13c,13dのファームウェアバージョン情報記憶領域51b,51c,51dからバージョン情報を読み出す。そして、アップデート制御部12b,12c,12dは、読み出したバージョン情報を表示装置1aに送信する(ステップS203a,S203b,S203c)。
【0050】
表示装置1aのアップデート制御部12aは、表示装置1b,1c,1dのファームウェアのバージョン情報を取得すると、表示装置1aのファームウェアのバージョンと表示装置1b,1c,1dそれぞれのファームウェアのバージョンとを比較する(ステップS204)。そして、表示装置1aのアップデート制御部12aは、表示装置1aのファームウェアのバージョンが最新であるか否かを判定する(ステップS205)。この例では、表示装置1aのファームウェア(バージョンVer.6.0)が最新である(ステップS205:Yes)。
【0051】
この場合、表示装置1aのアップデート制御部12aは、記憶部13aのファームウェアバックアップ領域52aからファームウェアを読み出す(ステップS206)。そして、アップデート制御部12aは、ネットワーク上の表示装置1b,1c,1dに、このファームウェアをマルチキャスト送信する(ステップS207)。なお、このとき、表示装置1b,1c,1dの中に最新のファームウェアを有する表示装置がある場合、表示装置1aのアップデート制御部12aは、その表示装置に対してファームウェアを送信しない。
【0052】
表示装置1b,1c,1dのアップデート制御部12b,12c,12dは、表示装置1aからのファームウェアを受信すると、受信したファームウェアにより、MCU11b,11c,11dのファームウェアを更新する(ステップS208a,S208b,S208c)。これにより、各表示装置1a〜1dのファームウェアは、全て、最新のバージョンVer.6.0にアップデートされることになる。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施形態では、ファームウェアのアップデート処理を行う際に、表示装置1aのアップデート制御部12aは、ネットワークを介して、表示装置1b,1c,1dそれぞれと通信を行い、表示装置1b,1c,1dからバージョン情報を取得する。そして、アップデート制御部12aは、表示装置1aのファームウェアのバージョンと表示装置1b,1c,1dそれぞれのファームウェアのバージョンとを比較する。表示装置1aのバージョンが表示装置1b,1c,1dのバージョンにおける最新のバージョンよりも古い場合、アップデート制御部12aは、その最新のバージョンに対応する表示装置に対して、ファームウェアの転送要求を送信する。表示装置1aのバージョンが表示装置1b,1c,1dのバージョンにおける最新のバージョンよりも新しいかその最新のバージョンに等しい場合、アップデート制御部12aは、表示装置1b,1c,1dのバージョンに表示装置1aのバージョンよりも古いバージョンが含まれている場合のそのバージョンに対応する表示装置に対して、表示装置1aのファームウェアを転送する。これにより、ネットワークに接続された表示装置1a〜1dのファームウェアを、全て、最新のバージョンに更新することができる。また、本発明の実施形態によれば、ファームウェアのバージョンが既に最新である表示装置に対しては、ファームウェアが更新されることがなくなる。
【0054】
なお、上述の例では、マルチディスプレイシステムを構成する全ての表示装置1a〜1dの電源が入った状態で、任意の表示装置(例えば、表示装置1a)の操作部14の操作によりバージョンアップの指示が入力されると、ファームウェアのアップデート機能が起動される例であった。ファームウェアのアップデート機能の起動は、操作部14からの入力の他、外部に接続されたパーソナルコンピュータ等の機器の操作により行うようにしてもよい。
【0055】
また、マルチディスプレイシステムを構成する全ての表示装置1a〜1dに同時または連動して電源が投入されるようにしておき、任意の表示装置(例えば、表示装置1a)の電源が投入されたことを契機として、その表示装置がファームウェアのアップデート機能を起動させるようにしてもよい。
【0056】
例えば、全ての表示装置1a〜1dに電源が投入された場合、
図8のフローチャートに示すように、表示装置1aのアップデート制御部12aは、電源が投入されたか否かを検出し(ステップS51)、電源が投入されたら、ファームウェアのアップデート機能を起動させるようにしてもよい。なお、
図8において、ステップS52〜S61の処理は、
図3におけるステップS2〜ステップS11の処理と同様であり、その説明を省略する。このように、電源の投入を検出して、ファームウェアのアップデート機能を起動させるようにすると、ネットワークに接続された各表示装置のファームウェアのバージョンを、ユーザが操作することなく、全て、最新バージョンにアップデートすることができる。なお、マルチディスプレイシステムを構成する全ての表示装置1a〜1dのうちいずれかの表示装置(例えば、表示装置1d)の電源が投入されなかった場合は、表示装置1a〜1cについて、ファームウェアのアップデート処理が行われることとなる。
【0057】
[第1の実施の形態の変形例]
図9は、本発明の第1実施形態の変形例を示すブロック図である。
図9に示すように、本変形例に係る表示装置1は、第1実施形態における表示装置1の記憶部13からファームウェアバックアップ領域52を削除した構成を有する。
【0058】
図9の構成を有する表示装置1a〜1dを用いて構成されたマルチディスプレイシステムにおいて、表示装置1aを自装置とし、表示装置1b,1c,1dを他装置とした場合の処理について説明する。
【0059】
表示装置1aが表示装置1b,1c,1dいずれかからのファームウェアを受信して、ファームウェアを更新する場合、表示装置1aのアップデート制御部112は、転送されてきたファームウェアを受信しながらフォーマット変換し、ファームウェア格納部120のファームウェアを更新する処理を行う。
【0060】
また、表示装置1aのファームウェアが最新である場合には、表示装置1aのアップデート制御部12は、直接、MCU11のファームウェア格納部20からファームウェアを読み出す。そして、アップデート制御部12は、読み出されたファームウェアを転送用のフォーマット、例えばHexフォーマットに変換する。そして、アップデート制御部12は、表示装置1b,1c,1dのバージョンに表示装置1aのバージョンよりも古いバージョンが含まれている場合のそのバージョンに対応する表示装置に対して、フォーマット変換されたファームウェアを送信する。また、他の構成については、前述の第1の実施形態と同様である。
【0061】
このように、記憶部13にファームウェアバックアップ領域52を設けず、ファームウェアをソフトウェア格納部20から読み出すようにすることによって、記憶部13の容量をファームウェアバックアップ領域52分だけ削減することができる。
【0062】
第1実施形態およびその変形例では、マルチディスプレイシステムを構成する複数の表示装置を全て同一の構成とした。そして、最新バージョンのファームウェアを有する表示装置は、その最新バージョンよりも古いバージョンのファームウェアを有する表示装置にファームウェアを転送して、マルチディスプレイシステムを構成する全ての表示装置のファームウェアを最新バージョンに統一する。このとき、最新のファームウェアが既に書き込まれている表示装置がマルチディスプレイシステムの中に含まれている場合に、その表示装置に対してのファームウェアの書き換え処理は行われない。
【0063】
このように構成したことにより、第1実施形態およびその変形例によれば、いずれかの表示装置を選択してファームウェアのアップデート機能を起動することにより、全ての表示装置のファームウェアを最新バージョンに容易に統一することができる。このため、マルチディスプレイシステムを構成する表示装置の管理が容易となる。
【0064】
[第2の実施の形態]
本発明の第2実施形態は、マルチディスプレイシステムを構成する複数の表示装置において、ファームウェアのアップデート機能を起動する一台の表示装置を、ファームウェアのアップデート制御機能を有する特定の装置に限定する例である。ここでは、ファームウェアのアップデート機能を起動する表示装置1aを親機とよび、他の複数の表示装置1b,1c,1dそれぞれを子機とよぶ。
【0065】
親機である表示装置1aの構成は、
図2に示す第1実施形態における表示装置1aと同一である。一方、子機である表示装置1b,1c,1dは、
図10に示すように、第1実施形態の変形例である表示装置1b,1c,1dにおいて、アップデート制御部12をアップデート制御部12aに変更した構成を有する。
【0066】
子機におけるアップデート制御部12aは、親機から供給されるバージョン情報の転送要求に応じて、自装置のファームウェアのバージョン情報を返答する機能を有する。また、アップデート制御部12aは、親機から供給された最新のファームウェアを取り込み、この最新のファームウェアで自装置のファームウェアを更新する機能を有する。また、アップデート制御部12aは、親機から供給されるファームウェア転送要求に応じて自装置のファームウェアを親機に転送する機能を有する。
【0067】
親機は、例えば、マルチディスプレイシステムの一角、またはマトリクス構成の縁部分に配置される。または、親機は、信号源または制御用機器に最も近い位置に配置される。子機は、任意の位置に配置される。
【0068】
親機である表示装置1aの、ファームウェアのアップデート機能を起動させると、表示装置1aのアップデート制御部12は、全ての子機である表示装置1b,1c,1dに対して、バージョン情報の転送要求を送信する。そして、表示装置1aのアップデート制御部12は、表示装置1b,1c,1dそれぞれから、その返答を収集する。そして、表示装置1aのアップデート制御部12は、記憶部13に記憶された自装置のバージョン情報と表示装置1b,1c,1dそれぞれから取得したバージョン情報とを比較して、最新のバージョン情報を特定する。
【0069】
[1]親機のファームウェアのバージョンが最新である場合
親機である表示装置1aの記憶部13に記憶されたバージョン情報が示すバージョンが最新バージョンである場合、表示装置1aのアップデート制御部12は、ファームウェアバックアップ領域52のバックアップを読み出し、このバックアップを転送用フォーマットに変換する。そして、アップデート制御部12は、フォーマット変換後のバックアップを、表示装置1b,1c,1dに送信する。ファームウェアを受信した表示装置1b,1c,1dは、それぞれ自装置のファームウェアおよびバージョン情報記憶領域151のバージョン情報を更新する。なお、このとき、表示装置1b,1c,1dの中に最新のファームウェアを有する表示装置がある場合、表示装置1aのアップデート制御部12は、その表示装置に対してバックアップを送信しない。
【0070】
[2]親機のファームウェアのバージョンが最新でない場合
親機である表示装置1aの記憶部13に記憶されたバージョン情報が示すバージョンが最新バージョンでない場合、表示装置1aのアップデート制御部12は、最新バージョンを示すバージョン情報を返答した子機のいずれかに対し、最新のファームウェアの転送要求を送信する。そして、アップデート制御部12は、その最新のファームウェアの転送要求を受信した子機から供給されたファームウェアを取り込む。そして、アップデート制御部12は、取り込んだファームウェアで自装置のファームウェアおよびバージョン情報記憶部51に記憶されたバージョン情報を更新する。
【0071】
また、表示装置1aのアップデート制御部12は、収集した表示装置1b,1c,1dのバージョン情報の中に、更新した自装置のバージョン情報が示すバージョンよりも古いバージョンを示すものが含まれているときは、その古いバージョンを示すバージョン情報を有する表示装置に対して最新のファームウェアを転送する。そして、この最新のファームウェアを受信した表示装置は、自装置のファームウェアおよびバージョン情報記憶領域151に記憶されたバージョン情報を更新する。
【0072】
以上説明したとおり、本実施形態では、ファームウェアのアップデート機能を起動可能な一台の親機と、複数の子機とを含むマルチディスプレイシステムにおいて、全ての表示装置のファームウェアを容易に最新の状態とすることができる。
【0073】
親機のアップデート制御部12は、アップデート制御機能を有するのに対し、子機のアップデート制御部12aは、その機能が制限されており、汎用の表示装置を適用することが可能である。このため、大規模なマルチディスプレイシステムを構成する場合に、コストを削減することができる。
【0074】
なお、本実施形態における親機として、
図9に示した表示装置を適用することができる。
【0075】
以上、説明したとおり、本発明の各実施形態によれば、ファームウェアの書き換え処理のために、コンピュータ装置をマルチディスプレイシステムの各表示装置に接続する必要がない。よって、マルチディスプレイシステムが壁面等に埋め込まれて設置されている場合における作業性は良好であり、メンテナンス性が良い。
【0076】
なお、上述の実施形態では、アップデート制御部12を用いてMCU11のファームウェアの更新の制御を行っているが、MCU11により自身のファームウェアの更新の制御を行うようにしてもよい。
【0077】
また、上述の実施形態では、マルチディスプレイシステムを構成する複数の表示装置のファームウェアを更新する場合について説明したが、ネットワークに接続された複数の制御装置の各種のプログラムをアップデートする際に、同様に適用できる。
【0078】
また、上述した実施形態である制御装置および表示装置の一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、その制御装置および表示装置を実現するためのファームウェア更新プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたファームウェア更新プログラムをコンピュータシステムに読み込ませて、このコンピュータシステムが実行することによって実現してもよい。なお、このコンピュータシステムとは、オペレーティング・システム(Operating System;OS)や周辺装置のハードウェアを含むものである。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、メモリカード等の可搬型記録媒体、コンピュータシステムに備えられる磁気ハードディスクやソリッドステートドライブ等の記憶装置のことをいう。さらに、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、インターネット等のコンピュータネットワーク、および電話回線や携帯電話網を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、さらには、その場合のサーバ装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものを含んでもよい。また上記のファームウェア更新プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせにより実現するものであってもよい。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。