特許第6057394号(P6057394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチコン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6057394-充電システムおよび充電開始制御方法 図000002
  • 特許6057394-充電システムおよび充電開始制御方法 図000003
  • 特許6057394-充電システムおよび充電開始制御方法 図000004
  • 特許6057394-充電システムおよび充電開始制御方法 図000005
  • 特許6057394-充電システムおよび充電開始制御方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6057394
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】充電システムおよび充電開始制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20161226BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   H02J7/00 301A
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-127865(P2015-127865)
(22)【出願日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年9月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼口 良輔
(72)【発明者】
【氏名】炭村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】西 勝也
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−183739(JP,A)
【文献】 特開2012−23825(JP,A)
【文献】 特開2012−55115(JP,A)
【文献】 特開平11−266509(JP,A)
【文献】 特開2015−49851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
B60L11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電規格の異なる複数の電気自動車に対して充電を行う充電装置と、前記充電装置のユーザを識別するための識別情報と当該ユーザの電気自動車に関する車両情報とを関連付けて格納するデータベースと、を含む充電システムであって、
前記充電装置は、
電力供給部および制御部を含み、前記電力供給部が前記制御部の制御下で充電動作を行う充電装置本体と、
前記制御部の制御下で前記充電装置本体にロックされた状態とロック解除された状態とが切り替わる、充電規格の異なる複数の充電コネクタと、を備え、
前記制御部は、
ユーザから前記識別情報の入力を受け付ける受付処理と、
前記データベースと通信を行い、前記受付処理において入力された前記識別情報の認証を行う認証処理と、
前記認証が成功した場合に、前記識別情報に関連付けられた前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第1の決定処理と、
前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定処理で決定した充電規格に対応する充電コネクタのロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行う解除/通知処理と、を実行する
ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記認証処理において、前記認証が失敗した場合に、ユーザから前記車両情報の入力を受け付け、かつ入力された前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第2の決定処理を実行し、
前記解除/通知処理では、前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定処理または前記第2の決定処理で決定した充電規格に対応する充電コネクタのロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2の決定処理において、ユーザの電気自動車と通信を行うことにより前記車両情報を取得するか、または、複数の電気自動車の各車両情報をユーザに通知し、前記各車両情報の中からユーザに選択させることにより前記車両情報を取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1の決定処理または前記第2の決定処理において取得した前記車両情報の変更の要否をユーザに選択させる選択処理を実行し、
ユーザが変更不要を選択した場合に、前記データベースに対して前記車両情報の更新通知を行う一方、ユーザが変更必要を選択した場合に、前記第2の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の充電システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記電力供給部に前記充電動作を開始させる際に、前記データベースに対して充電開始の通知を行い、
前記データベースは、前記制御部から前記更新通知と前記充電開始の通知とがあった場合に、前記識別情報に関連付けられた前記車両情報を更新するか、または通知された前記車両情報を前記識別情報に関連付けて格納する
ことを特徴とする請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、
ユーザからの前記識別情報および前記車両情報の入力を受け付け、かつ入力された前記識別情報および前記車両情報を前記制御部に出力する入力受付手段と、
ロック解除された前記充電コネクタをユーザに視覚的に特定させるために、前記制御部の制御下で点灯する点灯手段と、を備える
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項7】
ユーザが携帯する携帯情報端末を含み、
前記制御部は、前記携帯情報端末からの前記識別情報および/または前記車両情報の入力を受け付け、かつ前記携帯情報端末に対して前記ロック解除の通知を行う
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項8】
ユーザの電気自動車に搭載された車載情報端末を含み、
前記制御部は、前記車載情報端末からの前記識別情報および/または前記車両情報の入力を受け付け、かつ前記車載情報端末に対して前記ロック解除の通知を行う
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項9】
前記複数の充電コネクタは、一の充電規格に対して複数の充電コネクタを含み、
前記制御部は、
前記解除/通知処理において、前記第1の決定処理または前記第2の決定処理で決定した充電規格に対応する複数の充電コネクタのロック解除を行う
ことを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の充電システム。
【請求項10】
充電規格の異なる複数の充電コネクタを備え充電規格の異なる複数の電気自動車に対して充電を行う充電装置と、前記充電装置のユーザを識別するための識別情報と当該ユーザの電気自動車に関する車両情報とを関連付けて格納するデータベースと、を含む充電システムの充電開始制御方法であって、
前記充電装置が、ユーザから前記識別情報の入力を受け付ける受付ステップと、
前記充電装置が、前記データベースと通信を行い、前記受付ステップにおいて入力された前記識別情報の認証を行う認証ステップと、
前記認証が成功した場合に、前記充電装置が、前記識別情報に関連付けられた前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第1の決定ステップと、
前記充電装置が、前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定ステップで決定した充電規格に対応する充電コネクタを、ロックされた状態からロック解除された状態に切り替えるとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行う解除/通知ステップと、を含む
ことを特徴とする充電開始制御方法。
【請求項11】
前記認証ステップにおいて、前記認証が失敗した場合に、前記充電装置が、ユーザから前記車両情報の入力を受け付け、かつ入力された前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第2の決定ステップをさらに含み、
前記解除/通知ステップでは、前記充電装置が、前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定ステップまたは前記第2の決定ステップで決定した充電規格に対応する充電コネクタを、ロックされた状態からロック解除された状態に切り替えるとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行う
ことを特徴とする請求項10に記載の充電開始制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電規格の異なる複数の電気自動車に対して充電を行うことが可能な充電システムおよび当該充電システムの充電開始制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、充電規格(充電プロトコル)の異なる複数の電気自動車に対して充電を行うことが可能な充電装置として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の充電装置は、SAE規格に対応した充電コネクタと、CHAdeMO規格に対応した充電コネクタと、ユーザがSAE規格またはCHAdeMO規格のいずれか一方を選択し、選択した充電規格に対応する充電コネクタのロック解除をするための選択スイッチとを備えている。したがって、この充電装置によれば、1台でCHAdeMO規格の電気自動車の充電とSAE規格の電気自動車の充電とを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−183739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の充電装置では、ユーザは、充電規格の選択を毎回行う必要があるので煩雑となるばかりか、充電規格の選択を誤ってしまう場合があり、この場合、充電を行うことができず不便を感じることがあった。
【0005】
また、上記従来の充電装置では、ユーザは、どちらの充電コネクタがロック解除されているのか分からなくなる場合があり、この場合にも不便を感じることがあった。なお、この場合、ユーザがロック解除されていない充電コネクタを無理に引き抜こうとして、充電コネクタが損傷してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、利便性を向上させた充電システムおよび当該充電システムの充電開始制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る充電システムは、
充電規格の異なる複数の電気自動車に対して充電を行う充電装置と、前記充電装置のユーザを識別するための識別情報と当該ユーザの電気自動車に関する車両情報とを関連付けて格納するデータベースと、を含む充電システムであって、
前記充電装置は、
電力供給部および制御部を含み、前記電力供給部が前記制御部の制御下で充電動作を行う充電装置本体と、
前記制御部の制御下で前記充電装置本体にロックされた状態とロック解除された状態とが切り替わる、充電規格の異なる複数の充電コネクタと、を備え、
前記制御部は、
ユーザから前記識別情報の入力を受け付ける受付処理と、
前記データベースと通信を行い、前記受付処理において入力された前記識別情報の認証を行う認証処理と、
前記認証が成功した場合に、前記識別情報に関連付けられた前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第1の決定処理と、
前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定処理で決定した充電規格に対応する充電コネクタのロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行う解除/通知処理と、を実行することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、充電装置の制御部が、車両情報に基づいて充電規格の決定を行うので、ユーザが充電規格の選択を誤って充電ができなくなるといった不便を解消することができる。また、この構成によれば、制御部は、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行うので、ユーザがどの充電コネクタがロック解除されているのか分からなくなるといった不便を解消することができる。
【0009】
上記充電システムでは、
前記制御部は、
前記認証処理において、前記認証が失敗した場合に、ユーザから前記車両情報の入力を受け付け、かつ入力された前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第2の決定処理を実行し、
前記解除/通知処理では、前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定処理または前記第2の決定処理で決定した充電規格に対応する充電コネクタのロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行うことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、制御部が第2の決定処理を実行することにより、ユーザは、認証が失敗した場合であっても充電規格の選択を行う必要がないので、ユーザが充電規格の選択を誤って充電ができなくなるといった不便を解消することができる。
【0011】
上記充電システムでは、
前記制御部は、
前記第2の決定処理において、ユーザの電気自動車と通信を行うことにより前記車両情報を取得するか、または、複数の電気自動車の各車両情報をユーザに通知し、前記各車両情報の中からユーザに選択させることにより前記車両情報を取得するよう構成できる。
【0012】
この構成によれば、電気自動車との通信により車両情報を取得する場合は、ユーザの車両情報の入力の手間を完全に省くことができ、ユーザの選択により車両情報を取得する場合であっても、複数の電気自動車の各車両情報をユーザに通知することで、ユーザの手間を極力省くことができる。
【0013】
上記充電システムでは、
前記制御部は、
前記第1の決定処理または前記第2の決定処理において取得した前記車両情報の変更の要否をユーザに選択させる選択処理を実行し、
ユーザが変更不要を選択した場合に、前記データベースに対して前記車両情報の更新通知を行う一方、ユーザが変更必要を選択した場合に、前記第2の決定処理を実行するよう構成できる。
【0014】
この構成によれば、車を乗り換えた場合等、データベースに格納されている車両情報と、ユーザの現在の電気自動車に関する車両情報とが異なる場合であっても、充電規格の決定を正しく行うことができる。
【0015】
上記充電システムでは、
前記制御部は、
前記電力供給部に前記充電動作を開始させる際に、前記データベースに対して充電開始の通知を行い、
前記データベースは、前記制御部から前記更新通知と前記充電開始の通知とがあった場合に、前記識別情報に関連付けられた前記車両情報を更新するか、または通知された前記車両情報を前記識別情報に関連付けて格納するよう構成できる。
【0016】
この構成によれば、充電を開始することができない電気自動車に関する車両情報等の不要な情報の更新または格納を防ぐことができる。
【0017】
上記充電システムでは、
前記充電装置は、
ユーザからの前記識別情報および前記車両情報の入力を受け付け、かつ入力された前記識別情報および前記車両情報を前記制御部に出力する入力受付手段と、
ロック解除された前記充電コネクタをユーザに視覚的に特定させるために、前記制御部の制御下で点灯する点灯手段と、を備えるよう構成できる。
【0018】
上記充電システムでは、
ユーザが携帯する携帯情報端末を含み、
前記制御部は、前記携帯情報端末からの前記識別情報および/または前記車両情報の入力を受け付け、かつ前記携帯情報端末に対して前記ロック解除の通知を行うよう構成できる。
【0019】
この構成によれば、ユーザは、電気自動車に乗ったまま識別情報および/または車両情報の入力を行うこと、ならびにロック解除の通知を受け取ることが可能になる。
【0020】
上記充電システムでは、
ユーザの電気自動車に搭載された車載情報端末を含み、
前記制御部は、前記車載情報端末からの前記識別情報および/または前記車両情報の入力を受け付け、かつ前記車載情報端末に対して前記ロック解除の通知を行うよう構成できる。
【0021】
この構成によれば、ユーザは、電気自動車に乗ったまま識別情報および/または車両情報の入力を行うこと、ならびにロック解除の通知を受け取ることが可能になる。
【0022】
上記充電システムでは、
前記複数の充電コネクタは、一の充電規格に対して複数の充電コネクタを含み、
前記制御部は、
前記解除/通知処理において、前記第1の決定処理または前記第2の決定処理で決定した充電規格に対応する複数の充電コネクタのロック解除を行うよう構成できる。
【0023】
この構成によれば、一の充電規格に対して複数の充電コネクタを含むので、充電装置の稼働率を向上させることができる。また、この構成によれば、複数の充電コネクタのロック解除が行われるので、ユーザは充電コネクタを選ぶ際に、例えば、駐車位置から最も近い充電コネクタを選択できる等、選択の幅を広げることができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明に係る充電開始制御方法は、
充電規格の異なる複数の充電コネクタを備え充電規格の異なる複数の電気自動車に対して充電を行う充電装置と、前記充電装置のユーザを識別するための識別情報と当該ユーザの電気自動車に関する車両情報とを関連付けて格納するデータベースと、を含む充電システムの充電開始制御方法であって、
前記充電装置が、ユーザから前記識別情報の入力を受け付ける受付ステップと、
前記充電装置が、前記データベースと通信を行い、前記受付ステップにおいて入力された前記識別情報の認証を行う認証ステップと、
前記認証が成功した場合に、前記充電装置が、前記識別情報に関連付けられた前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第1の決定ステップと、
前記充電装置が、前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定ステップで決定した充電規格に対応する充電コネクタを、ロックされた状態からロック解除された状態に切り替えるとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行う解除/通知ステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、充電装置が、車両情報に基づいて充電規格の決定を行うので、ユーザが充電規格の選択を誤って充電ができなくなるといった不便を解消することができる。また、この構成によれば、充電装置は、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行うので、ユーザがどの充電コネクタがロック解除されているのか分からなくなるといった不便を解消することができる。
【0026】
上記充電開始制御方法では、
前記認証ステップにおいて、前記認証が失敗した場合に、前記充電装置が、ユーザから前記車両情報の入力を受け付け、かつ入力された前記車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第2の決定ステップをさらに含み、
前記解除/通知ステップでは、前記充電装置が、前記複数の充電コネクタのうち前記第1の決定ステップまたは前記第2の決定ステップで決定した充電規格に対応する充電コネクタを、ロックされた状態からロック解除された状態に切り替えるとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタを特定できるようにロック解除の通知を行うことが好ましい。
【0027】
この構成によれば、第2の決定ステップをさらに含むことにより、ユーザは、認証が失敗した場合であっても充電規格の選択を行う必要がないので、ユーザが充電規格の選択を誤って充電ができなくなるといった不便を解消することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、利便性を向上させた充電システムおよび当該充電システムの充電開始制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る充電システムの構成を示すブロック図である。
図2】一の充電規格に対して複数の充電コネクタを含む有用性を説明するための図である。
図3】本発明に係る充電開始制御方法のフローチャートである。
図4図3から続く本発明に係る充電開始制御方法のフローチャートである。
図5図4から続く本発明に係る充電開始制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る充電システムおよび当該充電システムの充電開始制御方法の実施形態について説明する。
【0031】
[充電システム]
図1に、本発明の一実施形態に係る充電システム1を示す。充電システム1は、充電規格の異なる複数の電気自動車に対して充電(急速充電)を行う充電装置10と、データベース20と、を含んでいる。
【0032】
データベース20は、充電装置10のユーザに関する識別情報と当該ユーザの電気自動車に関する車両情報とを関連付けて格納する。識別情報には、充電装置10のユーザを識別することができる情報、例えば、ユーザが所有する認証カードのユーザID、またはユーザに予め通知されたワンタイムパスワード等が含まれる。車両情報には、電気自動車の充電規格および/または当該充電規格を特定することができる情報、例えば、メーカー、車種、充電容量、充電パターン等の情報が含まれる。
【0033】
ユーザは、充電装置10の利用開始前に、例えば電気自動車の購入時に、インターネット経由で識別情報および車両情報を予めデータベース20に格納しておくことができる。また、詳細は後述するが、識別情報および車両情報がデータベース20に格納されている場合、充電装置10は、充電開始後に少なくとも車両情報を更新することができる。一方、識別情報および車両情報がデータベース20に格納されていない場合、充電装置10は、充電開始後に識別情報と車両情報とを関連付けてデータベース20に格納することができる。なお、本実施形態では、データベース20が充電装置10とは別に設けられているが、充電装置10内にデータベース20が設けられていてもよい。
【0034】
充電装置10は、電力供給部11および制御部12を含む充電装置本体と、充電規格の異なる3つの充電コネクタ(充電ガン)13‐1〜13‐3と、各充電コネクタ13‐1〜13‐3を充電装置本体のガンホルダにロックするロック機構14‐1〜14‐3と、各ロック機構14‐1〜14‐3に隣接して設けられた点灯手段15‐1〜15‐3と、ユーザからの入力情報を受け付ける入力受付手段16と、を備えている。
【0035】
電力供給部11は、交流電源2から供給された交流電力に基づいて直流電力を生成し、生成した直流電力を、電力ラインを経由して充電コネクタ13‐1〜13‐3に供給する。言い換えれば、充電規格の異なる3つの充電コネクタ13‐1〜13‐3は、単一の電力供給部11から直流電力の供給を受ける。電力供給部11は、少なくとも1つの充電ユニットを含む。充電ユニットは、例えば、AC/DCコンバータと、制御部12の制御下でAC/DCコンバータを制御する制御回路とを含む。
【0036】
電力供給部11と充電コネクタ13‐1とを接続する電力ラインには、リレー17‐1が介装されている。また、電力供給部11と充電コネクタ13‐2とを接続する電力ラインには、リレー17‐2が介装されており、電力供給部11と充電コネクタ13‐3とを接続する電力ラインには、リレー17‐3が介装されている。これらのリレー17‐1〜17‐3は、制御部12の制御下で、それぞれ独立してオン状態とオフ状態とが切り替わる。例えば、リレー17‐1は、非充電時にオフ状態となる一方、充電時(具体的には、ロック機構14‐1によるロックが解除され、電気自動車に接続された時)に、オン状態となる。リレー17‐2、17‐3についても、同様である。
【0037】
充電コネクタ13‐1〜13‐3は、複数の充電規格に対応している。具体的には、充電コネクタ13‐1、13‐2が第1の充電規格A(例えば、CHAdeMO規格)に対応し、充電コネクタ13‐3が第2の充電規格B(例えば、SAE規格)に対応している。充電コネクタ13‐1〜13‐3は、非充電時は、ロック機構14‐1〜14‐3により充電装置本体にロックされた状態となっているため、電気自動車に接続することはできない。一方、ロック解除された状態になると、充電コネクタ13‐1〜13‐3は、電気自動車への接続が可能になる。例えば、第1の充電規格Aに対応する充電コネクタ13‐1、13‐2がロック解除された状態になると、ユーザは、充電コネクタ13‐1、13‐2のいずれか一方を選択して、電気自動車へ接続することができる。
【0038】
ここで、図2(A)および(B)を参照して、一の充電規格に対して複数の充電コネクタを含むことの有用性を説明する。図2(A)に、第1の充電規格Aに対応した1つ充電コネクタと、第2の充電規格Bに対応した1つ充電コネクタとを含む充電装置10’を示す。図2(B)に、第1の充電規格Aに対応した2つ充電コネクタと、第2の充電規格Bに対応した1つ充電コネクタとを含む充電装置10を示す。図2(A)に示す充電装置10’は、第1の充電規格Aに対応した充電コネクタを1つしか備えていないので、第1の充電規格Aに対応した電気自動車が2台の場合、充電スペースが空いているにもかかわらず、1台の電気自動車は充電を行うことができない。これに対して、図2(B)に示す充電装置10は、第1の充電規格Aに対応した2つの充電コネクタ13‐1、13‐2を備えているので、充電スペースが空いていれば、第1の充電規格Aに対応した2台の電気自動車は、ともに充電を行うことができる。すなわち、図2(B)に示す充電装置10は、図2(A)に示す充電装置10’と比べて、稼働率を向上させることができる。さらに、充電装置10では、ユーザは充電コネクタ13‐1、13‐2を選ぶ際に、例えば、駐車位置から近い方を選択できる等、選択の幅を広げることができる。
【0039】
再び図1を参照して、点灯手段15‐1〜15‐3は、充電コネクタ13‐1〜13‐3のうちロック解除されたものをユーザに視覚的に特定させるために、制御部12の制御下で連続的または断続的に点灯する。図1では、第1の充電規格Aに対応した2つの充電コネクタ13‐1、13‐2がロック解除された状態であり、かつ第2の充電規格Bに対応した充電コネクタ13‐3がロックされた状態であるため、点灯手段15‐1、15‐2が点灯している一方、点灯手段15‐3は点灯していない。点灯手段15‐1〜15‐3は、例えば、可視光を発するLEDを含む。点灯手段15‐1〜15‐3は、対応する充電コネクタ13‐1〜13‐3の近傍に設けられているのが好ましいが、ユーザがロック解除されたものを特定できるのであれば、設置位置は適宜変更することができる。
【0040】
入力受付手段16は、表示画面を有し、当該表示画面上でユーザからの識別情報および車両情報の入力を受け付け、かつ入力された識別情報および車両情報を制御部12に出力する。具体的には、ユーザが認証カードを入力受付手段16にかざすと、入力受付手段16は、認証カードから当該認証カードのユーザIDを読み取り、読み取ったユーザIDを制御部12に出力する。入力受付手段16は、例えば、液晶タッチパネルを含む。
【0041】
制御部12は、インターネット(例えば、イーサネット(登録商標))経由で、データベース20との通信を行う。また、制御部12は、例えばCAN通信ラインを経由して、充電装置10の各部との通信を行う。
【0042】
また、制御部12は、充電開始制御時に、
(1)入力受付手段16を介してユーザから識別情報の入力を受け付ける受付処理と、
(2)データベース20と通信を行い、受付処理において入力された識別情報の認証を行う認証処理と、
(3)認証が成功した場合に、識別情報に関連付けられた車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第1の決定処理と、
(4)充電コネクタ13‐1〜13‐3のうち第1の決定処理で決定した充電規格に対応する充電コネクタ13‐1〜13‐3であって、使用可能な充電コネクタ13‐1〜13‐3のロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3を特定できるように、点灯手段15‐1〜15‐3によりロック解除の通知を行う解除/通知処理と、
を実行する。
【0043】
ここで、認証が失敗した場合に、充電装置10は充電コネクタ13‐1〜13‐3のロックを解除する必要はないが、ユーザの利便性を考慮して、ユーザから車両情報の入力を許可してもよい。すなわち、制御部12は、ユーザから車両情報の入力を受け付け、かつ入力された車両情報に基づいて充電規格の決定を行う第2の決定処理を実行し、解除/通知処理では、充電コネクタ13‐1〜13‐3のうち第1の決定処理または第2の決定処理で決定した充電規格に対応する充電コネクタ13‐1〜13‐3であって、使用可能な充電コネクタ13‐1〜13‐3のロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3を特定できるように、点灯手段15‐1〜15‐3によりロック解除の通知を行ってもよい。
【0044】
さらに、制御部12は、
(5)第1の決定処理または第2の決定処理において取得した車両情報の変更の要否を、入力受付手段16においてユーザに選択させる選択処理と、
(6)選択処理においてユーザが変更不要を選択した場合に、データベース20に対して車両情報の更新通知を行い、かつ電力供給部11に充電動作を開始させる際に、データベース20に対して充電開始の通知を行うことで、データベース20に車両情報を更新または新規格納させる更新処理と、
を実行する。これら処理のより詳しい説明は、後述する。
【0045】
本実施形態に係る充電システム1によれば、制御部12が、車両情報に基づいて充電規格の決定を行うので、ユーザが充電規格の選択を誤って充電ができなくなるといった不便を解消することができる。また、本実施形態に係る充電システム1によれば、制御部12は、ユーザがロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3を特定できるように、点灯手段15‐1〜15‐3によりロック解除の通知を行うので、ユーザがどの充電コネクタ13‐1〜13‐3がロック解除されているのか分からなくなるといった不便を解消することができ、さらに故障の原因となる充電コネクタ13‐1〜13‐3の過剰な抜き差しを防止することができる。
【0046】
[充電開始制御方法]
図3図5に、本発明の一実施形態に係る充電開始制御方法のフローチャートを示す。本実施形態に係る充電開始制御方法は、充電システム1により実行される。
【0047】
図3に示すように、充電装置10に設けられた利用開始ボタンがユーザにより押下されると(S2‐1)、制御部12は、入力受付手段16に識別情報の入力画面を表示させることで、ユーザに対して識別情報の入力案内通知を行う(S3‐1)。具体的には、制御部12は、入力受付手段16に、認証カード(例えば、RFICを利用した認証カード)の読み取り画面およびワンタイムパスワードの入力画面を表示させる。
【0048】
入力受付手段16においてユーザにより識別情報が入力されると(S2‐2)、入力受付手段16は、入力された識別情報を制御部12に出力する。ユーザの電気自動車が第1の充電規格Aに対応し、かつユーザが認証カードを持っている場合、ユーザが認証カードを入力受付手段16にかざすと、入力受付手段16は、認証カードのユーザIDを読み取り、読み取ったユーザIDを制御部12に出力する。一方、ユーザの電気自動車が第2の充電規格Bに対応し、かつユーザに予めワンタイムパスワードが通知されている場合、ユーザがワンタイムパスワードを入力すると、入力受付手段16は、入力されたワンタイムパスワードを制御部12に出力する。上記S3‐1の処理から制御部12に識別情報が入力されるまでの処理が、受付処理に相当し、充電開始制御方法の受付ステップに相当する。なお、制御部12は、識別情報の入力案内通知とともに充電料金の支払い通知を行ってもよく、この場合、ユーザは、識別情報を入力するとともに、充電料金を支払うことになる。
【0049】
識別情報が入力された制御部12は、入力された識別情報をデータベース20に出力するとともに、データベース20に対して当該識別情報の照合をリクエストする(S3‐2)。言い換えれば、制御部12は、入力された識別情報の認証を開始する。
【0050】
照合のリクエストを受けたデータベース20は、識別情報の照合を開始し(S4‐1)、制御部12に対して照合結果のレスポンスを行う(S4‐2)。具体的には、データベース20は、入力された識別情報(ユーザIDまたはワンタイムパスワード)に一致する識別情報が格納されている場合、当該識別情報に関連付けられた車両情報を制御部12に出力する。一方、入力された識別情報に一致する識別情報が格納されていない場合、データベース20は、入力された識別情報に一致するものがないこと示す信号を制御部12に出力する。制御部12は、データベース20からの照合結果を受け入れる(S3‐3)。
【0051】
図4に示すように、照合結果を受け入れた制御部12は、照合結果に基づいて、入力された識別情報が「新規」か「既存」かを判定する(S3‐4)。制御部12は、データベース20から車両情報が入力されなかった場合に「新規」と判定し(S3‐4で新規)、データベース20から車両情報が入力された場合に「既存」と判定する(S3‐4で既存)。なお、制御部12が「新規」と判定した場合は、認証が失敗した場合であり、制御部12が「既存」と判定した場合は、認証が成功した場合である。また、上記S3‐2〜S3‐4までの処理が、認証処理に相当し、充電開始制御方法の認証ステップに相当する。
【0052】
「新規」と判定した制御部12は、車両情報を得るために、ユーザの電気自動車に対して無線通信を試みる。電気自動車が制御部12との無線通信機能を備えていない場合(S1‐1で通信不可)、制御部12は、電気自動車から車両情報を得ることができないので、入力受付手段16に車両情報の選択画面(例えば、電気自動車のカタログ)を表示させることにより、ユーザに対して複数の電気自動車の各車両情報を通知する(S3‐5)。
【0053】
入力受付手段16においてユーザにより車両情報が選択され(S2‐3)、入力受付手段16から制御部12に車両情報が入力されると、制御部12は、入力された車両情報に基づいて、ロック解除すべき充電コネクタ13‐1〜13‐3の充電規格を決定する(S3‐6)。車両情報に充電規格が含まれている場合、制御部12は、当該充電規格をロック解除すべき充電コネクタ13‐1〜13‐3の充電規格とする。一方、車両情報に充電規格が含まれていない場合であっても、制御部12に充電規格以外の車両情報が充電規格に関連付けられて記憶されているのであれば、制御部12は、ロック解除すべき充電コネクタ13‐1〜13‐3の充電規格を決定することができる。例えば、メーカーおよび車種に関する車両情報が入力された場合であっても、制御部12においてメーカーおよび車種が充電規格に関連付けられて記憶されているのであれば、制御部12は、充電規格を決定することができる。
【0054】
また、電気自動車が制御部12との無線通信機能を備えている場合(S1‐1で通信可)、電気自動車は、制御部12に対して車両情報を出力する(S1‐2)。電気自動車から制御部12に車両情報が入力されると、制御部12は、入力された車両情報に基づいて、ロック解除すべき充電コネクタ13‐1〜13‐3の充電規格を決定する(S3‐6)。S3‐4で「新規」と判定してからS3‐6で充電規格を決定するまでの処理が、第2の決定処理に相当し、充電開始制御方法の第2の決定ステップに相当する。
【0055】
また、S3‐4で「既存」と判定した制御部12は、データベース20から取得した車両情報に基づいて、ロック解除すべき充電コネクタ13‐1〜13‐3の充電規格を決定する(S3‐6)。この処理が、第1の決定処理に相当し、充電開始制御方法の第1の決定ステップに相当する。
【0056】
充電規格を決定した制御部12は、入力受付手段16に車両情報の変更の要否を選択させるための画面を表示させる(選択処理)。入力受付手段16において、ユーザが「変更必要」を選択した場合(S2‐4で変更必要)、制御部12は、第2の決定処理を実行する。これにより、車を乗り換えたにもかかわらず、データベース20に格納されている車両情報が未だ変更されていない場合等、データベース20に格納されている車両情報と、ユーザの現在の電気自動車に関する車両情報とが異なる場合であっても、制御部12は、ユーザの現在の電気自動車に関する車両情報を得ることができ、充電規格の決定を正しく行うことができる。
【0057】
一方、入力受付手段16において、ユーザが「変更不要」を選択した場合(S2‐4で変更不要)、決定した充電規格に対応する充電コネクタ13‐1〜13‐3のロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3を特定できるように、点灯手段15‐1〜15‐3によりロック解除の通知を行う(S3‐7)。例えば、決定した充電規格が第1の充電規格Aである場合、充電コネクタ13‐1、13‐2がロック解除され、点灯手段15‐1、15‐2が点灯する。しかしながら、充電コネクタ13‐2が使用中の場合(別の電気自動車に接続されている場合)は、充電コネクタ13‐2のロック解除は行われないので、点灯手段15‐2は点灯せず、点灯手段15‐1のみが点灯する。一方、決定した充電規格が第2の充電規格Bである場合、充電コネクタ13‐3がロック解除され、点灯手段15‐3が点灯する。このS3‐7の処理が、解除/通知処理に相当し、充電開始制御方法の解除/通知ステップに相当する。また、制御部12は、解除/通知処理とともに、充電パターンを設定し、当該充電パターンに関する情報(例えば、充電時間や電力の使用状況等)を入力受付手段16に表示させてもよい。
【0058】
制御部12によりロック解除およびロック解除の通知が行われると、図5に示すように、ユーザは、ロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3を電気自動車に接続することができる(S2‐5)。すなわち、決定した充電規格が第1の充電規格Aである場合、充電コネクタ13‐1、13‐2を電気自動車に接続することができる一方、決定した充電規格が第2の充電規格Bである場合、充電コネクタ13‐3を電気自動車に接続することができる。以下、ユーザは、第1の充電規格Aに対応した充電コネクタ13‐1を電気自動車に接続したものとする。
【0059】
充電装置10に設けられた充電開始ボタンがユーザにより押下されると(S2‐6)、制御部12は、第1の充電規格Aに対応した点灯手段15‐1、15‐2を消灯させるとともに、データベース20に対して車両情報の更新通知を行う(S3‐8)。車両情報の更新通知には、第2の決定処理を実行した場合に車両情報を更新もしくは新規格納する旨の通知、または第2の決定処理を実行しなかった場合に車両情報を更新しない旨の通知が含まれる。車両情報の更新通知を受けたデータベース20は、更新待機状態となる(S4‐3)。
【0060】
車両情報の更新通知を行った制御部12は、充電準備を開始する(S3‐9、S1‐3)。充電準備には、充電装置10と電気自動車との通信が正常に行われていることの確認、充電コネクタ13‐1が電気自動車にロックされていることの確認、充電コネクタ13‐1の絶縁チェック等が含まれる。
【0061】
充電準備が正常に終了した場合、制御部12は、電力供給部11に充電動作を開始させるとともに、入力受付手段16およびデータベース20に対して充電開始の通知を行う(S3‐10、S1‐4)。充電開始の通知を受けた入力受付手段16は、充電が開始されたことを示す画面を表示させる。これにより、ユーザは、充電が開始されたことを確認することができる(S2‐7)。
【0062】
データベース20は、更新待機状態となってから所定時間経過後に、充電開始の通知を受けたか否かの判定を行う(S4‐4)。データベース20は、上記所定時間内に充電開始の通知を受けた場合、「通知あり」と判定して、車両情報の更新を確定させる(S4‐5)。具体的には、データベース20は、更新通知として車両情報を更新もしくは新規格納する旨の通知を受けた場合、車両情報の更新または新規格納を行い、車両情報を更新しない旨の通知を受けた場合、車両情報を更新しない。一方、上記所定時間内に充電開始の通知を受けなかった場合、データベース20は、「通知なし」と判定して、車両情報の更新を破棄する(S4‐6)。
【0063】
なお、上記所定時間内に充電開始の通知を受けなかった場合としては、例えば、充電機能自体の異常が要因として挙げられる場合と、通信経路の一時的な異常や遮断等が要因として挙げられる場合とがある。前者の場合、充電は開始されず、車両情報の更新は破棄されたままとなる。一方、後者の場合、充電準備後に充電が開始されることから充電機能自体に異常はなく、そのまま充電が続行され、充電完了後に破棄された車両情報の更新が行われる。このように、データベース20が更新通知を受けてから(更新待機状態となってから)所定時間経過後に充電開始の通知を受けたか否かで更新を確定させることで、充電完了を待たずに早期に車両情報を更新させることができる。
【0064】
充電装置10により充電が開始され、かつデータベース20によりS4‐5の処理またはS4‐6の処理が行われると、本実施形態に係る充電開始制御方法は終了する。なお、S4‐5の処理またはS4‐6の処理は、充電開始後に行うことが好ましいが、充電開始前に行ってもよい。
【0065】
結局、本実施形態に係る充電開始制御方法によれば、充電装置10が、車両情報に基づいて充電規格の決定を行うので、ユーザが充電規格の選択を誤って充電ができなくなるといった不便を解消することができる。また、本実施形態に係る充電開始制御方法によれば、充電装置10は、ユーザがロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3を特定できるように、点灯手段15‐1〜15‐3によりロック解除の通知を行うので、ユーザがどの充電コネクタ13‐1〜13‐3がロック解除されているのか分からなくなるといった不便を解消することができ、さらに故障の原因となる充電コネクタ13‐1〜13‐3の過剰な抜き差しを防止することができる。
【0066】
以上、本発明に係る充電システムおよび当該充電システムの充電開始制御方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0067】
例えば、充電装置10は、第1の充電規格Aに対応する2つの充電コネクタ13‐1、13‐2と、第2の充電規格Bに対応する1つの充電コネクタ13‐3とを備えているが、3つ以上の充電規格に対応させることもできる。また、各充電規格に対応する充電コネクタの数は、少なくとも1つあればよいが、複数にすることで充電装置の稼働率を向上させることができる。
【0068】
充電システム1では、車両情報の更新または新規格納を逐次行えるようデータベース20を構成しているが(図5のS4‐5参照)、車両情報の更新または新規格納を禁止して、予め格納された識別情報に対応するユーザのみ(データベース20のホワイトリストに登録されたユーザのみ)が充電を行えるようにしてもよいし、予め格納された特定の識別情報に対応するユーザ(データベース20のブラックリストに登録されたユーザ)の充電を禁止してもよい。
【0069】
充電装置10では、点灯手段15‐1〜15‐3によりロック解除の通知を行う代わりに、入力受付手段16において文字および/または音声により、ロック解除の通知を行ってもよい。この場合、例えば、ロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3の位置や番号を通知すればよい。
【0070】
充電システム1は、ユーザが携帯する携帯情報端末(例えば、スマートフォン)を含んでもよい。この場合、制御部12は、携帯情報端末からの識別情報および/または車両情報の入力を受け付け、かつ携帯情報端末に対してロック解除の通知を行うよう構成できる。ロック解除の通知は、文字および/または音声により行われる。すなわち、この場合、携帯情報端末が、入力受付手段16および点灯手段15‐1〜15‐3の代わりとなる。
【0071】
充電システム1は、ユーザの電気自動車に搭載された無線通信機能を有する車載情報端末(例えば、カーナビゲーションシステム)を含んでもよい。この場合、制御部12は、車載情報端末からの識別情報および/または車両情報の入力を受け付け、かつ車載情報端末に対してロック解除の通知を行うよう構成できる。ロック解除の通知は、文字および/または音声により行われる。すなわち、この場合、車載情報端末が入力受付手段16および点灯手段15‐1〜15‐3の代わりとなる。
【符号の説明】
【0072】
1 充電システム
2 交流電源
10、10’ 充電装置
11 電力供給部
12 制御部
13‐1、13‐2 第1の充電規格に対応する充電コネクタ
13‐3 第2の充電規格に対応する充電コネクタ
14‐1〜14‐3 ロック機構
15‐1〜15‐3 点灯手段
16 入力受付手段
17‐1〜17‐3 リレー
20 データベース
【要約】
【課題】利便性を向上させた充電システムを提供する。
【解決手段】充電装置10とデータベース20とを含む充電システム1であって、充電装置10は、電力供給部11および制御部12を含む充電装置本体と、充電規格の異なる複数の充電コネクタ13‐1〜13‐3とを備える。制御部12は、データベース20と通信して識別情報の認証を行い、認証が成功した場合はデータベース20の車両情報に基づいて充電規格の決定する一方、認証が失敗した場合はユーザが入力した車両情報に基づいて充電規格を決定する。さらに、制御部12は、決定した充電規格に対応する充電コネクタ13‐1〜13‐3のロック解除を行うとともに、ユーザがロック解除された充電コネクタ13‐1〜13‐3を特定できるようにロック解除の通知を行うことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5