(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
色の異なる複数の基本光と前記複数の基本光のいずれかの色と同じ色の追加光とを出射する光源部と、各基本光を変調するための第1の変調信号に従って各基本光を変調して出射し、前記追加光を変調するための第2の変調信号に従って前記追加光を変調して出射する変調部と、を備えるプロジェクタに用いられる色補正装置であって、
入力された入力映像信号に基づいて、前記入力映像信号に示される画像の各画素の色に応じた前記第1の変調信号と、各画素における当該画素の色と前記複数の基本光の色のうち前記追加光の色とは異なる所定の色との近似性を示す特色度に応じた前記第2の変調信号と、を出力する制御部を有する色補正装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態のプロジェクタの構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態のプロジェクタ10は、光源部11と、制御部12と、変調部13とを含む。
光源部11は、色の異なる複数の基本光と、複数の基本光のいずれかの色と同じ色の追加光とを出射する。
【0018】
制御部12は、入力された入力映像信号に基づいて、光源部11から出射された各基本光および追加光を変調するための変調信号であるPWM(pulse width modulation:パルス幅変調)信号を出力する。以下では、基本光を変調するためのPWM信号である第1の変調信号を第1のPWM信号と称し、追加光を変調するためのPWM信号である第2の変調信号を第2のPWM信号と称することもある。
【0019】
制御部12は、具体的には、入力映像信号に基づいて、その入力映像信号が示す画像の各画素の色に応じた第1のPWM信号と、各画素における画素の色と基本光の色のうちの追加光の色とは異なる所定の色との近似性を示す特色度に応じた第2のPWM信号と、を変調部13に出力する。
【0020】
変調部13は、制御部12からの第1のPWM信号に従って、光源部11からの各基本光を変調して出射し、制御部12からの第2のPWM信号に従って、光源部11からの追加光を変調して出射する。
【0021】
以下、光源部11および変調部13を有する光学系についてより詳細に説明する。
【0022】
図3は、プロジェクタ10の光学系の構成を示す図である。
図3に示す光学系は、赤色光源101と、緑色光源102と、白色光源103と、カラーホイール104と、プリズム105〜107と、DMD(Digital Mirror Device)108〜110と、ダイクロイックプリズム111と、投写レンズ112とを有する。
【0023】
赤色光源101、緑色光源102、白色光源103およびカラーホイール104は、
図2に示した光源部11を構成する。なお、
図3の例では、光源部11は、基本光として赤色光、緑色光および青色光を出射し、追加光として緑色光を出射する。
【0024】
具体的には、赤色光源101は、基本光の一つである赤色光を出射する。緑色光源102は、基本光の一つである緑色光を出射する。白色光源103は、白色光を出射する。
【0025】
カラーホイール104は、白色光源103から出射された白色光の光路上に配置され、入射された白色光を基本光の一つである青色光と、追加光である緑色光とに時分割して出射する。なお、本実施形態では、カラーホイール104は、所定の回転軸を中心に回転可能な基板を有し、その基板には、青色光を透過する青色フィルタと、緑色光を透過する緑色フィルタとが設けられているものとする。
【0026】
プリズム105は、赤色光源101から出射される赤色光の光路上に設けられ、その赤色光を反射してDMD108に入射させる。プリズム106は、緑色光源102から出射される緑色光の光路上に設けられ、その緑色光を反射してDMD109に入射させる。プリズム107は、カラーホイール104から出射される青色光および緑色光の光路上に設けられ、その青色光および緑色光を反射してDMD110に入射させる。
【0027】
DMD108〜110は、
図2に示した変調部13を構成する。なお、一般的にDMDは、複数の画素のそれぞれに対応して設けられた複数のマイクロミラーがマトリックス状に配列された構成を有し、各マイクロミラーのステートを切り替えることで、入射光を変調するものである。
【0028】
本実施形態のDMD108〜110は、各マイクロミラーのステートとして、入射光をダイクロイックプリズム111に向かう方向である第1の方向に出射するオンステートと、入射光を第1の方向とは異なる第2の方向に出射するオフステートとを有する。また、DMD108〜110は、入力されたPWM信号に従ってオンステートとオフステートとをマイクロミラーごとに(画素ごとに)切り替えることで、入射光を変調する。
【0029】
具体的には、DMD108は、第1のPWM信号に従ってプリズム105からの赤色光を変調し、DMD109は、第1のPWM信号に従ってプリズム106からの緑色光を変調し、DMD110は、第1のPWM信号に従ってプリズム107からの青光を変調し、第2のPWM信号に従ってプリズム107からの緑色光を変調する。
【0030】
ダイクロイックプリズム111は、DMD108〜110からの各基本光および追加光を、投写レンズ112を介して同じ方向(
図3の光出力の方向)に向けて出射する。なお、ダイクロイックプリズム111および投写レンズ112は、投写光学部の構成の一例であり、DMD108〜110からの各基本光および追加光をスクリーンのような投写面(図示せず)に投写する。
【0031】
つまり、DMD108〜110は、オンステートのときには、マイクロミラーに入射された光を投写光学部を介して投写面に投写し(つまり、外部に出射し)、オフステートのときには、マイクロミラーに入射された光を投写が行われない方向に出射する。
【0032】
次に
図2に示した制御部12についてより詳細に説明する。
【0033】
図4は、本実施形態の制御部12の構成を示す図である。
図4に示す制御部12は、特色度算出部201と、データ生成部202と、シーケンス生成部203と、DMD駆動部204〜206とを有する。また、制御部12には、映像信号として、赤色、緑色および青色のそれぞれの輝度値を画素ごとに示す赤色信号、緑色信号および青色信号が入力される。
【0034】
特色度算出部201は、入力映像信号である赤色信号、緑色信号および青色信号に基づいて、その入力映像信号に示される画像の画素ごとに、その画素の色と所定の色との近似性を示す特色度を算出し、各画素の特色度を示す特色度信号と入力映像信号とをデータ生成部202に出力する。ここでは、所定の色は、青色であるとし、特色度算出部201は、入力映像信号のうちの所定の色である青色に対応する青色信号をデータ生成部202に出力するものとする。
【0035】
データ生成部202は、特色度算出部201からの特色度信号と、特色度算出部201からの所定の色である青色信号とに基づいて、各画素における追加光の輝度値である混合量を決定する。例えば、データ生成部202は、特色度に応じて、所定の色である青色の輝度値に対する追加光の輝度値の比率である混合率を決定し、その混合率と所定の色である青色の輝度値とに基づいて混合量を決定する。
【0036】
各画素の混合量を決定すると、データ生成部202は、各画素の混合量を示す混合量信号をシーケンス生成部203に出力する。
【0037】
シーケンス生成部203は、データ生成部202からの混合量信号と、入力された青色信号と、入力映像信号の同期信号に基づいて、カラーホイール104が青色光を出射する青色期間には、青色信号にて示される青色の輝度値を示し、カラーホイール104が緑色光を出射する追加光期間には、混合量信号にて示される混合量を示すシーケンス信号を生成して出力する。
【0038】
なお、本実施形態では、カラーホイール104は、入力映像信号の1フレーム期間内で白色光を青色光と緑色光とに時分割するように制御されているものとする。
図5は、カラーホイール104が1フレーム期間内で白色光を青色光と緑色光とに時分割する場合における青色期間および追加光期間の一例を示す図である。
図5の例では、1フレーム期間が青色期間301と追加光期間302とに分割されている。
【0039】
また、同期信号は入力映像信号に含まれていてもよいし、入力映像信号とは別に入力されてもよい。本実施形態では、同期信号は入力映像信号(具体的には、赤色信号、緑色信号および青色信号のそれぞれ)に含まれているものとする。
【0040】
DMD駆動部204は、入力映像信号の1フレーム期間ごとに、赤色信号にて示される輝度値に応じてDMD108の各マイクロミラーのオン比率である赤色オン比率を求め、各マイクロミラーの赤色オン比率を示す第1のPWM信号をDMD108に出力する。なお、オン比率とは、1フレーム期間内の各光源の点灯期間内における、マイクロミラーをオンステートにするオン時間の、マイクロミラーをオフステートにするオフ時間に対する比率である。また、オン比率は、1フレーム期間内の各光源の点灯期間内における、マイクロミラーをオンテートにするオン時間の、各光源の点灯期間に対する比率で定義してもよい。
【0041】
DMD駆動部205は、入力映像信号の1フレーム期間ごとに、緑色信号にて示される輝度値に応じてDMD109の各マイクロミラーのオン比率である緑色オン比率を求め、各マイクロミラーの緑色オン比率を示す第1のPWM信号をDMD109に出力する。
【0042】
DMD駆動部206は、1フレーム期間ごとに、シーケンス信号が示す青色の輝度値に応じて、その1フレーム期間内の青色期間における、DMD110の各マイクロミラーのオン比率である青色オン比率を求める。また、DMD駆動部206は、1フレーム期間ごとに、シーケンス信号が示す混合量に応じて、その1フレーム期間内の追加光期間における、DMD110の各マイクロミラーのオン比率である追加光オン比率を求める。そして、DMD駆動部206は、青色期間ごとに、青色オン比率を示す第1のPWM信号をDMD110に出力し、追加光期間ごとに追加光オン比率を示す第2のPWM信号をDMD110に出力する。
【0043】
なお、DMD108〜110では、オン比率が高いほど、つまり、1フレーム期間におけるオン時間が長いほど、ダイクロイックプリズム111および投写レンズ112を介して投写面に投写される光の光量が高くなり、投写画像が明るくなる。このため、DMD駆動部204〜206は、各色の輝度値または混合量が大きいほど、オン比率(オン時間)を大きくすることで、投写レンズ112を介して投写面に投写される光の光量を大きくする。例えば、DMD駆動部204〜206は、オン比率(オン時間)を、各色の輝度値または混合量に比例させて大きくする。
【0044】
本実施形態のプロジェクタの動作について説明する。
【0045】
図6は、制御部12の動作を説明するためのフローチャートである。なお、以下の処理は、入力映像信号の1フレームごとに実行される。
【0046】
先ず、外部装置から入力された入力映像信号のうち赤色信号は特色度算出部201とDMD駆動部204に入力され、緑色信号は特色度算出部201とDMD駆動部205に入力され、青色信号は特色度算出部201とDMD駆動部206に入力される(ステップS401)。
【0047】
DMD駆動部204は、入力された赤色信号にて示される赤色の輝度値に基づいて赤色オン比率を求め、その赤色オン比率を示す第1のPWM信号を生成してDMD108に入力する。また、DMD駆動部205は、入力された緑色信号にて示される緑色の輝度値に基づいて緑色オン比率を求め、その緑色オン比率を示す第1のPWM信号を生成してDMD109に入力する。これにより、DMD108および109は、基本光である赤色光および緑色光を、第1のPWM信号に基づいて変調することになる(ステップS402)。
【0048】
特色度算出部201は、入力された赤色信号、緑色信号および青色信号に基づいて、特色度を画素ごとに算出し、各画素の特色度を示す特色度信号を生成する。そして、特色度算出部201は、特色度信号と青色信号とをデータ生成部202に出力する(ステップS403)。
【0049】
データ生成部202は、青色信号および特色度信号を受け付け、その特色度信号および青色信号に基づいて、各画素の混合量を決定し、その各画素の混合量を示す混合量信号を生成する。そして、データ生成部202は、混合量信号をシーケンス生成部406に出力する(ステップS404)。
シーケンス生成部203は、混合量信号および青色信号を受け付け、その混合量信号および青色信号に基づいて、カラーホイール104の青色期間には、青色信号にて示される青色の輝度値を示し、カラーホイール104の追加光期間には、混合量信号にて示される混合量を示すシーケンス信号を生成してDMD駆動部206に出力する(ステップS405)。
【0050】
DMD駆動部206は、シーケンス信号を受け付け、そのシーケンス信号に基づいて、青色オン比率および追加光オン比率を求め、青色オン比率を示す第1のPWM信号および追加光オン比率を示す第2のPWM信号を生成してDMD110に入力する。これにより、DMD110は、青色光を第1のPWM信号に従って変調し、追加光である緑色光を第2のPWM信号に従って変調することになる(ステップS406)。
【0051】
以下ステップS403における特色度を算出する処理と、ステップS404における混合量を決定する処理についてより詳細に説明する。
【0052】
特色度は、一般的に言えば、対象色の基準色に対する近似性を示す度合いであり、対象色が基準色と一致するときに、1.0となり、対象色が基準色から離れるにつれて小さくなる値である。また、特色度は、対象色の色相H、彩度Sおよび明度Vを変数とする関数で表される。
【0053】
本実施形態では、入力映像信号(赤色信号、緑色信号および青色信号)はRGB形式であるため、特色度算出部201は、先ず、入力映像信号から、画素ごとに、その画素の色である対象色の色相H、彩度Sおよび明度Vを算出する。
【0054】
具体的には、特色度算出部201は、以下のように、赤色信号、緑色信号および青色信号の値(輝度値)に基づいて、各画素の色相H、彩度Sおよび明度Vを算出する。このとき、入力映像信号が各色の輝度値を0〜255の整数値で示す場合、入力映像信号をHSV形式に変換する前に、各色の輝度値を0〜1.0の実数値で示す信号に変換する。以下、実数値で示された赤色信号、緑色信号および青色信号の値をそれぞれR、GおよびBと表記する。
【0055】
特色度算出部201は、色相Hについては、式1を用いて算出する。
【0057】
ここで、Max(X,Y,Z)は、X,Y,Zのうちの最大値を示す関数であり、Min(X,Y,Z)は、X,Y,Zの最小値を示す関数である。また、係数AおよびB’は、輝度値R、GおよびBから決定される値である。係数AおよびB’と輝度値R、GおよびBとの対応関係は、具体的には、表1で表される。
【0059】
また、特色度算出部201は、彩度Sについては、式2を用いて算出する。
【0061】
さらに、特色度算出部201は、明度Vについては、式3を用いて算出する。
【0063】
以上のように各画素の色相H、彩度Sおよび明度Vを算出すると、特色度算出部201は、その色相H、彩度Sおよび明度Vに基づいて、各画素の特色度を算出する。
【0064】
一般的には、特色度Δ1は、色相H、彩度Sおよび明度Vから基本算出式である式4を用いて算出される。
【0066】
ここで、関数pos(x)は、xが正のときにxとなり、xが正でないときは0となる関数である。また、Hc1は、基準色の色相である中心色相、m1は、対象色における特色度を算出する色相の範囲を示す値である検出色相範囲である。なお、検出色相範囲は、予め設定される値であり、基準色の色相を含む。
【0067】
図7は、中心色相Hc1と検出色相範囲m1との関係を示す図である。
図7では、中心点Oから円の外縁部に向かう軸が彩度Sを表し、中心点Oを中心として左回りに回転する角度が色相Hを表し、中心点Oを通り紙面に垂直な軸が明度Vを表す。また、検出色相範囲m1は、
図7に示すように、円の中心角で表される。
【0068】
数4および
図7で示されたように、特色度Δ1は、対象色の色相Hが中心色相Hc1であり、かつ、対象色の彩度Sおよび明度Vが最大の場合に、1.0となる。また、特色度Δ1は、対象色の色度Hが中心色相Hc1から離れるにつれ、また、対象色の彩度Sおよび明度Hが低くなるにつれ、小さくなる。なお、対象色の色相が検出色相範囲m1外にある場合、特色度Δ1は0となる。
【0069】
図8は、対象色の彩度Sおよび明度Vを固定としたときの、対象色の色相Hと特色度Δ1との関係を示す図である。
図8に示されたように、対象色の色相Hが中心色相Hc1のときに、対象色の特色度Δ1は、彩度S×明度Vの値となり、対象色の色相Hが中心色相Hc1から離れるにつれて直線的に減少する。
【0070】
本実施形態で算出される特色度は、各画素の色の青色に対する特色度である。つまり、基準色が青色となり、対象色が各画素の色となる。以下、青色に対する対象色の特色度を青色特色度と呼ぶ。
【0071】
図9は、青色特色度を示す図である。
図9で示されたように、青色特色度ΔBは、対象色が青色の場合、1.0となり、対象色が青色から離れるにつれて、小さくなる。
【0072】
また、青色特色度ΔBcは、式4において、中心色相Hc1を青色の色相(Hc1=300)とした場合に対応し、具体的には、式5で表される。
【0074】
したがって、特色度算出部201は、式5を用いて、算出した各画素の色相H、彩度Sおよび明度Vから各画素の青色特色度を算出する。
【0075】
続いて、データ生成部202は、各画素の青色特色度ΔBcと青色信号の各画素の値Bとに基づいて、各画素の混合量MGを決定する。具体的には、データ生成部202は、青色特色度ΔBcが大きい画素ほど、混合量を小さくする。
【0076】
例えば、データ生成部202は、画素ごとに式6を適用して混合量MGを決定する。
【0078】
この例では、DMD駆動部206は、例えば、混合量MGがBの場合、追加光オン比率が青色オン比率と等しい第2のPWM信号を出力し、混合量MGが0.5×Bの場合、追加光オン比率が青色オン比率の50%となる第2のPWM信号を出力し、混合量が0の場合、オン比率が0%の第2のPWM信号を出力する。なお、式(6)における(1−ΔBc)は、青色の輝度値に対する追加光の輝度値の比率である混合率となる。
【0079】
図10は、本実施形態のプロジェクタの投写画像の色域の一例を示すxy色度図である。
図10では、色域3と、特性曲線4と、参考座標5とが示されている。
【0080】
色域3は、投写画像の色域である。特性曲線4は、入力映像信号に示される画像の画素の色の彩度を変化させることで、画素の色を白色から青色まで変えたときの投写画像の色を示す曲線である。また、参考座標5は、特許文献1に記載の投射型表示装置のように青色光源から青色光および緑色光が出射された場合における、入力映像信号に示される画像の画素の色が青色のときの、投写画像の色の座標である。
【0081】
図10に示されたように、投写画像の色域3は、
図1Aに示した青色光源から青色光だけが出射される場合における投写画像の色域1と同じように、青色を表す領域が含まれる。したがって、青色の色再現性が高くなっていることになる。また、白色付近では、混合量が高くなっているため、高輝度化を実現することができる。
【0082】
以上説明した本実施形態のプロジェクタの変調部13には、入射光を変調する変調素子としてDMD108〜110が使用されていたが、DMDとは異なる変調素子が用いられてもよい。例えば、変調部13は、LCD(Liquid Crystal Display)やLCOS(Liquid crystal on silicon)のような、入射光を透過または反射する光量を調整することで、入射光を変調するものを変調素子として使用してもよい。
【0083】
また、光源部11は、赤色光源101、緑色光源102、白色光源103およびカラーホイール104などで構成されたが、白色光源103およびカラーホイール104の代わりに、緑色光源102とは別の緑色光源と青色光源とで構成されてもよい。
【0084】
また、制御部12は、変調部13による基本光および追加光の変調に加えて、光源部11が発光する発光時間や発光量を調節することで、基本光および追加光を変調してもよい。例えば、制御部12は、入力映像信号が示す画像の各画素の輝度値のうち最大の輝度値が予め定められた閾値以上の場合、発光時間および発光量を所定値とし、最大の輝度値が閾値未満の場合、最大の輝度値が小さいほど、発光時間および発光量の少なくとも一方を小さくすることで、基本光および追加光を変調する。
【0085】
また、特色度、混合量および混合率は、計算式を用いて決定されていたが、特色度、混合量および混合率の決定方法はこの例に限らない。例えば、特色度算出部201は、画素の色と、その画素の色と所定の色(青色)との対応関係を示すルックアップテーブルを保持し、そのルックアップテーブルを用いて各画素の特色度を決定してもよい。また、データ生成部202は、特色度と混合量または混合率との対応関係を示すルックアップテーブルを保持し、そのルックアップテーブルを用いて混合量または混合率を決定してもよい。このとき、特色度算出部201は、ルックアップテーブルを用いて混合率を決定し、その後、式(6)を用いて混合量を算出してもよい。
【0086】
また、投写光学部の構成として投写レンズ112が使用されていたが、投写レンズ112の代わりに、または、投写レンズ112に加えて、投写ミラーなどが使用されてもよい。
【0087】
以上説明したように本実施形態によれば、画素の色と青色との近似性を示す特色度に応じて、追加光である緑色光が変調されるので、画素の色が白色付近の場合には、緑色の光の光量を高くして、画像を明るくすることが可能になり、画素の色が青色付近の場合には、緑色の光の光量を低くして、色再現性を向上させることが可能になる。したがって、白色の画像の高輝度化を実現しつつ、色再現性を向上させることが可能になる。
【0088】
また、本実施形態では、各画素について、当該画素に対応する特色度が高いほど、投写光学部から投写される追加光の当該画素の光量が低くなるので、白色の画像の高輝度化と色再現性の向上とをより適確に実現することが可能になる。
【0089】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
【0090】
図11は、本実施形態のプロジェクタの光学系の構成を示す図である。
図11に示す光学系は、
図3に示した第1の実施形態の光学系と比較すると、基本光である赤色光および緑色光を出射、変調するための構成が異なっているが、基本光である青色および追加光である緑色光を出射、変調するための構成は同じである。
【0091】
具体的には、
図11に示す光学系は、白色光源103および501と、カラーホイール104および502と、プリズム107および503と、DMD110および504と、ダイクロイックプリズム111とを有する。
【0092】
なお、本実施形態では、白色光源103および501とカラーホイール104および502とが
図2に示した光源部11を構成する。また、DMD110および504が
図2で示した変調部13を構成する。
【0093】
白色光源501は、白色光を出射する。カラーホイール502は、白色光源501から出射された白色光の光路上に配置され、入射された白色光を基本光である赤色光および緑色光に時分割して出射する。
【0094】
なお、本実施形態では、カラーホイール502は、所定の回転軸を中心に回転可能な円盤状の基板を有し、その基板には、赤色光を透過する赤色フィルタと、緑色光を透過する緑色フィルタとが設けられているものとする。また、カラーホイール502は、入力映像信号の1フレーム期間内で白色光を赤色光と緑色光とに時分割するように制御されるものとしている。
【0095】
プリズム503は、カラーホイール502で時分割された赤色光および緑色光の光路上に設けられ、その赤色光および緑色光を反射してDMD504に入射させる。
【0096】
DMD504は、入力されたPWM信号に従って、自身の各マイクロミラーのオンステートとオフステートと切り替えることで、プリズム503から入射された赤色光および緑色光を変調して出射する。
【0097】
ダイクロイックプリズム111は、DMD110および504からの各色光を投写レンズ112を介して同じ方向(
図11の光出力の方向)に向けて出射する。
【0098】
次に本実施形態の制御部について説明する。
【0099】
図12は、本実施形態の制御部の構成を示すブロック図である。
図12に示す本実施形態の制御部12は、
図4に示した第1の実施形態の制御部12と比較すると、基本光である赤色光および緑色光を変調するための構成が異なっているが、基本光である青色光および追加光である緑色光を変調するための構成は同じである。
【0100】
具体的には、
図12に示す制御部12は、特色度算出部201と、データ生成部202と、シーケンス生成部203および601と、DMD駆動部204および602とを有する。
【0101】
シーケンス生成部601は、入力映像信号である赤色信号および緑色信号と、その同期信号に基づいて、カラーホイール502が赤色光を出射する赤色期間には、赤色信号が示す輝度値を示し、カラーホイール502が緑色光を出射する緑色期間には、緑色信号が示す輝度値を示すシーケンス信号を生成して出力する。
【0102】
DMD駆動部602は、入力映像信号の1フレーム期間ごとに、シーケンス生成部601から出力されたシーケンス信号が示す赤色の輝度値に応じて、1フレーム期間内のカラーホイール502が赤色光を出射する赤色期間における、DMD504の各マイクロミラーのオン比率である赤色オン比率を求める。また、DMD駆動部602は、1フレーム期間ごとに、シーケンス生成部601から出力されたシーケンス信号が示す緑色の輝度値に応じて、1フレーム期間内のカラーホイール502が緑色光を出射する緑色期間における、DMD504の各マイクロミラーのオン比率である緑色オン比率を求める。そして、DMD駆動部206は、赤色期間ごとに、赤色オン比率を示す第1のPWM信号をDMD110に出力し、緑色期間ごとに緑色オン比率を示す第1のPWM信号をDMD110に出力する。これにより、DMD110は、カラーホイール502から入射された赤色光および緑色光を第1のPWM信号に従って変調して出力することになる。
【0103】
本実施形態でも、基本光である青色光および追加光である緑色光を変調するための構成は第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様に、白色の画像の高輝度化を実現しつつ、色再現性を向上させることが可能になる。
【0104】
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
【0105】
図13は、本発明の第3の実施形態のプロジェクタの光学系の構成を示す図である。
図13に示す光学系は、赤色光源701と、緑色光源702および704と、青色光源703と、ダイクロイックプリズム705および710と、プリズム706および707と、DMD(Digital Mirror Device)708および709と、投写レンズ711とを有する。
【0106】
赤色光源701と、緑色光源702および704と、青色光源703とは
図2に示した光源部11を構成する。本実施形態では、光源部は、第1の実施形態と同様に、基本光として赤色光、緑色光および青色光を出射し、追加光として緑色光を出射するものとする。
【0107】
具体的には、赤色光源701、緑色光源702および青色光源703は、それぞれ赤色光、緑色光および青色光を基本光として出射する。また、緑色光源704は、追加光として緑色光を出射する。なお、本実施形態では、赤色光源701、緑色光源702、704および青色光源703のそれぞれは、LEDやLD(Laser Diode)のような高速に点滅が可能な発光素子で構成されるものとする。
【0108】
ダイクロイックプリズム705は、赤色光源701、緑色光源702および青色光源703のそれぞれから出射された各基本光を同一の方向に出射する。
【0109】
プリズム706は、ダイクロイックプリズム705から出射された各基本光を反射してDMD708に入射させる。プリズム707は、緑色光源704から出射された緑色光を反射してDMD709に入射させる。
【0110】
DMD708および709は
図2で示した変調部13を構成する。具体的には、DMD708は、第1のPWM信号に従って、プリズム706からの各基本光を変調して出射し、DMD709は、第2のPWM信号に従って、プリズム707からの追加光である緑色光を変調して出射する。
【0111】
ダイクロイックプリズム710は、DMD708からの各基本光と、DMD709からの追加光とを、投写レンズ711を介して同じ方向(
図13の光出力の方向)に向けて出射する。なお、ダイクロイックプリズム710および投写レンズ711は投写光学部の構成の一例であり、DMD708および709からの各基本光および追加光を投写面に投写する。
【0112】
次に本実施形態の制御部について説明する。なお、以下の説明および図面では、赤色光源701、緑色光源702および青色光源703をまとめて基本光源701〜703と表記することもある。
【0113】
図14は、本実施形態の制御部の構成を示すブロック図である。
図14に示す制御部12は、第1の制御部810と、第2の制御部820とを有する。また、制御部12には、映像信号として、赤色、緑色および青色のそれぞれの輝度値を画素ごとに示すRGB形式のデジタル映像信号が入力される。
【0114】
第1の制御部810は、入力された入力映像信号の各画素の色に応じた第1のPWM信号をDMD708に出力する。具体的には、第1の制御部810は、シーケンス生成部801と、光源駆動部802と、DMD駆動部803とを有する。
【0115】
シーケンス生成部801は、入力映像信号の同期信号に基づいて、基本光源701〜703のそれぞれを点灯させる点灯期間を示す基本点灯タイミング信号を生成する。本実施形態では、入力映像信号の1フレーム内で複数の光源を順番に点灯させるフィールドシーケンシャル方式で基本光源701〜703を点灯させるものとする。このため、シーケンス生成部801は、入力映像信号の1フレーム内で基本光源701〜703が順番に点灯するように、基本点灯タイミング信号を生成する。
【0116】
以下では、シーケンス生成部801は、
図15に示すように、入力映像信号の1フレーム内で、基本光源701〜703がそれぞれ点灯期間901〜903に点灯するように、基本点灯タイミング信号を生成するものとする。なお、各点灯期間901〜903は重複せず、各点灯期間901〜903の長さがそれぞれ等しいものとしている。
【0117】
シーケンス生成部801は、基本点灯タイミング信号に応じて、入力映像信号を、赤色、緑色および青色のそれぞれの輝度値を画素ごとに示す複数の輝度信号に時分割する。そして、シーケンス生成部401は、基本点灯タイミング信号を光源駆動部802およびDMD駆動部803に出力し、各輝度信号をDMD駆動部803に出力する。このとき、シーケンス生成部801は、基本点灯タイミング信号に応じて、各輝度信号を、その輝度信号にて示される色の基本光を出射する基本光源の点灯期間に合わせて出力する。
【0118】
光源駆動部802は、シーケンス生成部801からの基本点灯タイミング信号に応じて、基本光源701〜703のそれぞれを点灯させる。これにより、
図15に示したように基本光源701〜703は1フレームごとに順次点灯されることになる。
【0119】
DMD駆動部803は、シーケンス生成部801からの基本点灯タイミング信号および各輝度信号に基づいて、基本光である赤色光、緑色光および青色光のそれぞれを変調するための第1のPWM信号を生成してDMD708に出力する。
【0120】
具体的には、DMD駆動部803は、各輝度信号に基づいて、1フレーム期間内の各基本光源701〜703の点灯期間における、DMD708の各マイクロミラーのオン比率である基本オン比率を求め、その基本オン比率に応じた第1のPWM信号を生成する。そして、DMD駆動部803は、基本点灯タイミング信号が示す各基本光源の点灯期間に合わせて、その基本光源が出射する色光に対応する第1のPWM信号をDMD709に入力する。これにより、DMD709は、第1のPWM信号に従って各基本光を変調することになる。
【0121】
第2の制御部820は、入力映像信号に基づいて、その入力映像信号に示される画像の画素ごとに、その画素の色と所定の色である青色光との近似度である特色度を算出し、各画素の特色度に応じた第2のPWM信号をDMD709に出力する。具体的には、第2の制御部820は、特色度算出部804と、データ生成部805と、シーケンス生成部806と、光源駆動部807と、DMD駆動部808とを有する。
【0122】
特色度算出部804は、入力映像信号に基づいて、入力映像信号に示される画像の画素ごとに、その画素の色の所定の色である青色に対する近似性を示す特色度を算出し、その各画素の特色度を示す特色度信号と入力映像信号とをデータ生成部805に出力する。
【0123】
データ生成部805は、特色度算出部804からの特色度信号が示す特色度と、特色度算出部804からの入力映像信号が示す青色の輝度値とに基づいて、各画素における追加光の輝度値である混合量を決定する。
【0124】
シーケンス生成部806は、データ生成部805からの入力映像信号の同期信号に基づいて、緑色光源704を点灯させる点灯期間を示す追加点灯タイミング信号を生成する。本実施形態では、シーケンス生成部806は、
図15に示すように、緑色光源704の点灯期間904が青色光源703の点灯期間903と同じになるように追加点灯タイミング信号を生成する。
【0125】
そして、シーケンス生成部806は、追加点灯タイミング信号を光源駆動部807およびDMD駆動部808に出力し、混合量信号をDMD駆動部808に出力する。このとき、シーケンス生成部806は、混合量信号を、追加点灯タイミング信号に応じて、緑色光源704の点灯期間に合わせて出力する。
【0126】
光源駆動部807は、シーケンス生成部806からの追加点灯タイミング信号に応じて、緑色光源704を点灯させる。これにより、
図15に示したように緑色光源704は、青色光源703の点灯期間903と同じ点灯期間904で緑色光源704を点灯する。
【0127】
DMD駆動部808は、シーケンス生成部806からの追加点灯タイミング信号および混合量信号に基づいて、追加光である緑色光を変調するための第2の変調信号である第2のPWM信号を生成してDMD709に入力する。
【0128】
具体的には、DMD駆動部808は、先ず、混合量信号に基づいて、1フレーム期間内の緑色光源704の点灯期間における、DMD709の各マイクロミラーのオン比率を求める。このとき、DMD駆動部408は、混合量が高いほどオン比率を大きくする。
【0129】
続いて、DMD駆動部808は、DMD709の各マイクロミラーのオン比率を示す第2のPWM信号を生成し、その第2のPWM信号を、追加点灯タイミング信号が示す緑色光源704の点灯期間に合わせてDMD709に入力する。これにより、DMD709は、各画素の特色度に応じて追加光を変調することになる。
【0130】
なお、本実施形態において、特色度や混合量を求める方法は、第1の実施形態と同様である。
【0131】
次に本実施形態のプロジェクタの動作について説明する。
【0132】
図16は、制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【0133】
先ず、外部装置から入力された入力映像信号は、シーケンス生成部801および特色度算出部804に入力される(ステップS1001)。なお、入力映像信号には、赤色、緑色および青色のそれぞれの輝度を示す赤色信号、緑色信号および青色信号が含まれるものとする。また、以下の処理は、入力映像信号の1フレームごとに実行される。
【0134】
シーケンス生成部801は、入力映像信号の同期信号に基づいて、基本点灯タイミング信号を生成して光源駆動部802およびDMD駆動部803に出力するとともに、基本点灯タイミング信号に応じて入力映像信号を赤色信号、緑色信号および青色信号に時分割してDMD駆動部803に出力する。このとき、シーケンス生成部801は、
図15における赤色光源701の点灯期間901に合わせて赤色信号を出力し、緑色光源702の点灯期間902に合わせて緑色信号を出力し、青色光源703の点灯期間903に合わせて青色信号を出力する(ステップS1002)。
【0135】
光源駆動部802は、基本点灯タイミング信号を受け付け、その基本点灯タイミング信号に応じて基本光源701〜703を点灯させる。一方、DMD駆動部803は、基本点灯タイミング信号、赤色信号、緑色信号および青色信号を受け付け、その基本点灯タイミング信号、赤色信号、緑色信号および青色信号に基づいて第1のPWM信号を生成してDMD709に出力する。これにより、DMD709は、第1のPWM信号に従って各基本光を変調することになる(ステップS1003)。
【0136】
一方、特色度算出部804は、入力映像信号に基づいて、画素ごとに特色度を算出し、各画素の特色度を示す特色度信号を生成する。そして、特色度算出部804は、特色度信号および入力映像信号をデータ生成部805に出力する(ステップS1004)。
【0137】
データ生成部805は、特色度信号および入力映像信号を受け付け、その特色度信号に基づいて、入力映像信号に示される画像の画素ごとに混合量を決定し、各画素の混合量信号を生成する。そして、データ生成部805は、混合量信号および入力映像信号をシーケンス生成部806に出力する(ステップS1005)。
【0138】
シーケンス生成部806は、混合量信号および入力映像信号を受け付ける。シーケンス生成部806は、入力映像信号の同期信号に基づいて、追加点灯タイミング信号を生成して光源駆動部807およびDMD駆動部808に出力するとともに、その追加点灯タイミング信号に従って、混合量信号を
図15における緑色光源704の点灯期間904に合わせてDMD駆動部808に出力する(ステップS1006)。
【0139】
光源駆動部807は、追加点灯タイミング信号を受け付け、その追加点灯タイミング信号に応じて緑色光源704を点灯させる。一方、DMD駆動部808は、追加点灯タイミング信号および混合量信号を受け付け、その追加点灯タイミング信号および混合量信号に基づいて第2のPWM信号を生成してDMD709に入力する。これにより、DMD709は、緑色光源704からの緑色光を第2のPWM信号に従って変調することとなる(ステップS1007)。
【0140】
次に
図14に示した光学系の動作について説明する。
【0141】
基本光源701〜703(赤色光源701、緑色光源702および青色光源703)は、フィールドシーケンシャル方式で制御されるため、順番に点灯する。これにより、基本光源701〜703から、赤色光、緑色光および青色光が順番に出射する。
【0142】
基本光源701〜703からの各色光は、ダイクロイックプリズム705にて同一の方向に出射され、その後、プリズム706で反射されてDMD708に入射する。そして、各色光は、DMD708で第1のPWM信号に従って変調されてダイクロイックプリズム710に向けて出射される。
【0143】
一方、緑色光源704は、青色光源703の点灯期間と同じ期間に点灯して、緑色光を出射する。緑色光源704からの緑色光は、プリズム707で反射されてDMD709に入射する。そして、緑色光は、DMD709で第2のPWM信号に従って変調されてダイクロイックプリズム710に向けて出射される。
【0144】
ダイクロイックプリズム710は、DMD709からの各色光と、DMD709からの緑色光を投写レンズ112を介して同一の方向(具体的には、
図3の光出力の方向)に出射する。このとき、DMD709からの青色光と、DMD709からの緑色光は同じタイミングでダイクロイックプリズム710に到達し、ダイクロイックプリズム710は、その青色光と緑色光とを合成して出射する。
【0145】
以上説明したように本実施形態でも、画素の色と青色との近似性を示す特色度に応じて、追加光である緑色光が変調されるので、画素の色が白色付近の場合には、緑色の光の光量を高くして、画像を明るくすることが可能になり、画素の色が青色付近の場合には、緑色の光の光量を低くして、色再現性を向上させることが可能になる。したがって、白色の画像の高輝度化を実現しつつ、色再現性を向上させることが可能になる。
【0146】
次に本発明の第4の実施形態について説明する。
【0147】
第1〜第3の実施形態では、各画素の色の青色に対する特色度を算出していたが、青色光に緑色光が混合されると、青色の基本光と他の基本光(赤色および緑色)とが混合された混合光の色であるマゼンタやシアンの色再現性も低下する可能性がある。このため、本実施形態では、各画素の色の青色に対する特色度だけでなく、各画素の色のマゼンタやシアンに対する特色度も算出する。
【0148】
以下の説明では、本実施形態におけるプロジェクタの構成は、
図3および
図4で示した第1の実施形態のプロジェクタと同じであるとするが、第2の実施形態および第3の実施形態のプロジェクタでも同様なことが可能である。
【0149】
特色度算出部201は、各画素の色の青色特色度ΔBcに加えて、さらに、各画素の色のマゼンタに対する特色度であるマゼンタ特色度ΔMcと、各画素の色のシアンに対する特色度であるシアン特色度ΔCcとを算出する。
【0150】
例えば、特色度算出部201は、マゼンタ特色度ΔMcについては、式7を用いて算出する。
【0152】
また、特色度算出部201は、シアン特色度ΔCcについては、式8を用いて算出する。
【0154】
この場合、データ生成部202は、青色特色度ΔBc、マゼンタ特色度ΔMcおよびシアン特色度ΔCcに基づいて、混合量MGを決定する。具体的には、データ生成部405は、青色特色度ΔBc、マゼンタ特色度ΔMcおよびシアン特色度ΔCcの総和が高いほど、混合量を低くする。
【0155】
例えば、データ生成部405は、混合量MGを、式9を用いて算出する。
【0157】
なお、本実施形態では、青色、マゼンタおよびシアンの3種類の色に対する特色度を算出したが、例えば、青色とマゼンタの2種類の色または青色とシアンの2種類の色に対する特色度を算出してもよい。青色とマゼンタの2種類の色に対する特色度を使用する場合、混合率は、式9からシアン特色度ΔCcを除いた式10を用いて算出することができる。また、青色とシアンの2種類の色に対する特色度を使用する場合、混合率は、式9からマゼンタ特色度ΔMcを除いた式11を用いて算出することができる。
【0159】
なお、本実施形態におけるマゼンタ特色度ΔMcおよびシアン特色度ΔCcは、他特色度の一例である。
【0160】
本実施形態によれば、青色に対する特色度だけでなく、マゼンタやシアンに対する特色度に応じて追加光である緑色光が変調されるので、白色の画像の高輝度化と色再現性の向上とをより正確に実現することが可能になる。
【0161】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。