特許第6057405号(P6057405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エクセルシアの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057405
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】塊状処理剤
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20161226BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20161226BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20161226BHJP
   A47K 11/04 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   C02F11/00 F
   B01J20/26 DZAB
   A61L9/01 E
   A61L9/01 H
   A47K11/04
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-289181(P2011-289181)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136037(P2013-136037A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】505388355
【氏名又は名称】株式会社エクセルシア
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】足立 寛一
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−530014(JP,A)
【文献】 再公表特許第2010/070945(JP,A1)
【文献】 実開平02−118547(JP,U)
【文献】 特開2004−188235(JP,A)
【文献】 特開2005−087125(JP,A)
【文献】 特開2006−055785(JP,A)
【文献】 特開平11−076988(JP,A)
【文献】 特開2001−346466(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0007800(US,A1)
【文献】 特開2007−129975(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070945(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00
A47K 11/04
A61L 9/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消石灰と、
吸水性ポリマーと、
バインダと、
界面活性剤と、
重曹と、
酸性固形物質と、
を含み、
前記酸性固形物質が、クエン酸およびリン酸二水素ナトリウムである、塊状の糞尿処理剤。
【請求項2】
前記酸性固形物質の含有量が、塊状の糞尿処理剤の総質量に対して、10〜50質量%である、請求項1に記載の塊状の糞尿処理剤
【請求項3】
前記重曹の含有量が、塊状の糞尿処理剤の総質量に対して、2〜15質量%である、請求項1または2に記載の塊状の糞尿処理剤。
【請求項4】
前記消石灰の含有量が、塊状の糞尿処理剤の総質量に対して、5〜15質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塊状の糞尿処理剤。
【請求項5】
平均直径が3〜100mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塊状の糞尿処理剤。
【請求項6】
人糞尿の処理に用いられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の塊状の糞尿処理剤。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の塊状の糞尿処理剤を配置する前後に、前記塊状の糞尿処理剤100gに対して0.1〜200g量の水を添加した後、糞尿を投入し、前記塊状の糞尿処理剤を崩壊、起泡させることによって、前記糞尿の被覆を行う、塊状の糞尿処理剤の使用方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の塊状の糞尿処理剤を配置した後、糞尿を投入し、乾式状態で、前記塊状の糞尿処理剤を崩壊、起泡させることによって、前記糞尿の被覆を行う、塊状の糞尿処理剤の使用方法。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の塊状の糞尿処理剤が予め配置されてなる、便器。
【請求項10】
乾式状態である、請求項9に記載の便器。
【請求項11】
ポータブルトイレ(水洗を除く)、災害用トイレ(水洗を除く)、車内で使用するトイレ(水洗を除く)または仮設トイレ(水洗を除く)である、請求項9または10に記載の便器。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか1項に記載の塊状の糞尿処理剤を含んで成形されてなる、糞尿の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理剤に関する。より詳しくは、糞尿などの処理に用いられる塊状処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、トイレは、糞尿を水とともに下水道に流す水洗式のものと、タンクに溜めておく汲み取り式のものに大別することができる。水洗式トイレの場合、糞尿は水とともに下水道に流され、下水処理場で処理される。一方、汲み取り式トイレの場合、バキュームカー等によりタンクから糞尿を汲み取り、下水処理場に運ばれて処理される。
【0003】
下水処理場においては、糞尿を含む汚水は浄化槽に貯溜され、ここで糞尿中の有機物は活性汚泥等の微生物の作用により分解除去され、ついで、水分は何段階かの処理工程を経て浄化され、河川に放流される。
【0004】
しかしながら、地震等の災害による長期の停電および断水時等においては、トイレが使用できなくなり、各家庭では糞尿が大量に溜まってしまう。大量に溜まった糞尿からは悪臭が発散し続け、そのままにしておくと、その臭気により生活環境が著しく悪化してしまう。そこで、一般には糞尿をプラスチック製の袋に入れ、密封状態でとりあえず保管しておく方法等が採られているが、前記プラスチック製の袋は破損し易いため、保管中に破損して糞尿が漏れ出し、周囲に悪臭を発散させてしまう等の問題がある。また、前記プラスチック製の袋に入れられた糞尿は、時間とともに腐敗して臭気ガスが溜まり、その圧力で、前記プラスチック製の袋から臭気ガスが漏れ出てしまう等の問題もある。
【0005】
また、工事現場、イベント会場、キャンプ場等においては、簡易トイレが使用されているが、従来の簡易トイレにおいては、設置しているうちに大量の糞尿が溜まり、周囲に悪臭を発散する等の問題がある。
【0006】
また、近年では、ペットを飼う家庭が増加しているが、ペットと外出した際、ペットが公共の場(たとえば、公園など)で排泄した排泄物(特に、糞)の後始末が問題となっている。このような排泄物は、飼い主が持ち帰ることが公共のマナーであり責務であるが、外出先で、ペットの排泄物を持ち歩くことは、臭いの点で問題があった。
【0007】
このような状況下、特許文献1には、中和率が50モル%以上であるアクリル酸単量体水溶液を重合反応させ、親水性の多価エポキシ化合物と重合開始剤を加えたのち光を照射して再重合反応をさせてゲル状固形体となさしめ、さらにこのゲル状固形体を熱風で乾燥、粉砕、選別し、表面架橋剤を添加し表面処理した、し尿処理用の高吸水性ポリマーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−095016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の高吸水性ポリマーを用いて糞尿を処理した場合、処理後数日で被処理物が腐敗し、悪臭やガスが発生するという問題を有している。また、従来においては認識されていない、使用上などの課題が存在していることについて、本発明者は、認識した。
【0010】
よって、本発明においては、被処理物の悪臭やガスの発生を抑え、さらに、使用上の課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、以下の発明を提供することによって解決される。
【0012】
(1)消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、を含む塊状処理剤。
【0013】
(2)酸性固形物質が、クエン酸およびリン酸二水素ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上である、(1)に記載の塊状処理剤。
【0014】
(3)平均直径が3〜100mmである、(1)または(2)に記載の塊状処理剤。
【0015】
(4)糞尿の処理に用いられる、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
【0016】
(5)消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、を含む塊状処理剤を配置して、水を添加した後、排泄物を投入することを有する塊状処理剤の使用方法。
【0017】
(6)消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、を含む塊状処理剤が予め配置されてなる、便器。
【0018】
(7)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の塊状処理剤を含んで成形されてなる、糞尿の吸収性物品。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記の発明によって、以下の効果を有する。
【0020】
(1)本発明の第1は、消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、を含む塊状処理剤(以下、単に「処理剤」と称する場合もある。)である。本発明の処理剤は界面活性剤を含むことにより、処理剤の使用時に、界面活性剤が起泡して、処理剤が被処理物(たとえば、糞)を効果的に被覆することができる。また、本発明の処理剤は、重曹を含むことによって、処理剤の起泡性がさらに向上する。さらに、本発明の処理剤は、酸性固形物質を含むことによって、処理物(たとえば、尿)中に含まれるアンモニア成分を中和し、悪臭を抑制することができる。さらに、尿中のアンモニアと酸性固形物質とが反応して気泡を生じる。また、酸性固形物質は、重曹と反応することによって、さらに処理剤の発泡性を高める。このように、本発明の処理剤は、投入された被処理物に対して、被処理物全体を覆うようにして気泡を生じることができ、被処理物(たとえば、糞、尿)の被覆効果を向上し、臭気の拡散を防ぎ、悪臭を抑制することができる。また、被処理物の空気や液体との接触を抑制し、腐敗を抑制するため、結果として悪臭を抑制することができる。よって、本発明の処理剤は、かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に大量の糞尿を処理することが可能である。また、処理後も被処理物の腐敗がほとんど起こらず、悪臭やガスの発生を抑制することができる。つまり、消毒剤、消臭剤、殺菌剤または滅菌剤の用途にも用いることができ、感染症の予防にも繋がる。また、本発明の塊状処理剤は、固形化されているため、使用時に粉塵が舞わないため、取り扱い性が向上する。特に、災害時での使用において、微細な粉塵が発生せず、取り扱い性の観点で非常に優れ、健康被害を有意に抑制する。具体的には、取り扱い性が悪い処理剤は、皮膚等に付着し易い。その場合、避難所等で長引く生活で免疫力等が低下している中では、皮膚炎等を引き起こす可能性が高くなる。しかし、本発明において、消石灰または石灰石は塊状物として固形化されているので、粉塵が舞うことを有意に抑制することができるので、そのようなことを抑制し易くなる。また、密閉した車内での使用(たとえば、渋滞時)を考えても、粉塵を抑制する固形化された処理剤は、非常に好適なものであるといえる。
【0021】
(2)酸性固形物質が、クエン酸およびリン酸二水素ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上である場合、上記効果がさらに向上する。
【0022】
(3)また、本発明の第1の塊状処理剤において、平均直径が3〜100mmであることによって、取り扱い性が向上しながら、塊状処理剤と被処理物との接触面積が増大し、被処理物との反応効率を向上させることができる。
【0023】
(4)また、本発明の第1の塊状処理剤は、消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、を含むので、糞尿の処理に特に適している。
【0024】
(5)本発明の第2は、本発明の第1の塊状処理剤の使用方法である。本発明の排泄物処理剤は、使用時に水を添加して使用される。水を添加することで、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に排泄物を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を長時間抑制することができる。
【0025】
(6)本発明の第3は、本発明の第1の塊状処理剤が予め配置されてなる、便器である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に排泄物を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、本発明の便器は、予め処理剤が配置されてなるので、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。本発明の便器によれば、予め処理剤が配置されているので、排泄後は特に確認を要することなく、必要に応じて、そのまま簡易式便器を廃棄すれば足りるという効果も有する。
【0026】
(7)本発明の第4は、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の塊状処理剤を含んで成形されてなる、排泄物(たとえば、糞、尿)の吸収性物品である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に排泄物を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、吸収性物品の中に存在する本発明の第1の塊状処理剤が非常に優れた消臭性を有し、ドライ感が著しいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<本発明の第1>
(1)塊状処理剤
本発明の第1は、消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、を含む、塊状処理剤(以下、単に「処理剤」と称する場合もある。)である。
【0028】
本発明の処理剤において、塊状処理剤は、バインダを含むことによって、消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、が固形化されてなる。すなわち、本発明において、塊状処理剤を構成する成分は、バインダによって相互に結着した状態で存在する。塊状処理剤は、バインダを含むことによって固形化されてなるため、取り扱い性に優れる。本発明の処理剤は、排泄物処理剤の使用時に、塊状処理剤に含まれる消石灰または石灰石や酸性固形物質が徐放され、排泄が繰り返し行われる場合であっても、その度に、消臭効果を発揮する。
【0029】
また、本発明の塊状処理剤は、使用時に水を含むことが好ましい。水を含むことによって、本発明の塊状処理剤は、起泡性がさらに発揮される。塊状処理剤が起泡することによって、被処理物が処理剤中に投入された際に、処理剤が被処理物を効果的に被覆することができる。このような形態であると、被処理物の生じる臭気を、大気中に放出するのを抑制することができる。さらには、被処理物が糞の場合は、糞の外側を覆うことによって、腐敗を防ぎ、臭気を抑制することができる。

本発明の第1の塊状処理剤(本明細書中、単に「処理剤」とも称する場合がある)の形状にも、消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、を含むことによって、固形化されていれば、特に制限されない。たとえば、球状、円柱状、中高状の円柱状、直方体状など、どのような形状であってもよい。ただし、処理剤の保存性の観点から、球状、円柱状、中高状の円柱状などが好ましく、作製上の観点から、円柱状、中高状の円柱状が好ましい。 本発明の塊状処理剤の形状は、消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、を含むことによって、固形化されていれば、特に制限されない。たとえば、球状、円柱状、中高状の円柱状、直方体状など、どのような形状であってもよい。ただし、処理剤の保存性の観点から、球状、円柱状、中高状の円柱状などが好ましく、作製上の観点から、円柱状、中高状の円柱状が好ましい。
【0030】
塊状処理剤の平均直径は、150μm超〜100mmであることが好ましく、3〜100mmであることがより好ましい。このような範囲であることによって、上記した粉塵に起因する問題を有意に解決することができ、取り扱い性を向上させながら、被処理物との接触面積を増大させ、被処理物との反応効率を向上させ、上記して効果を奏することが容易となる。塊状処理剤の平均直径は、さらに好ましくは6〜50mmであり、特に好ましくは7〜20mmである。ここで、塊状処理剤の平均直径とは、50粒の塊状物を任意に選択して、1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。また、塊状処理剤の平均厚さは、50μm超〜30mmであることが好ましく、1〜30mmであることがより好ましい。また、塊状処理剤の平均厚さは、さらに好ましくは2〜15mmであり、特に好ましくは4〜10mmである。かかる範囲であることによって、上記した効果を奏することが容易となる。平均直径が、7〜20mmであり、平均厚さが、4〜10mmであると、被処理物と接触した際に、崩壊する速度が高くなり、また、かような塊状処理剤を製造する観点でも容易であり、特に好ましい。なお、塊状処理剤が、円柱状、中高状の円柱状、直方体状の形態であれば、長軸が平均直径となる。他方、短軸が、平均厚さとなる。また、塊状処理剤の質量にも特に制限はないが、運搬性や取り扱い性を鑑みると、1粒当たりの質量は、好ましくは0.05〜30g程度であり、より好ましくは、0.2〜10g程度、さらに好ましくは0.3〜2g程度である。無論、この範囲外であってもよい。
【0031】
以下、構成要件について、詳説する。
【0032】
[消石灰]
塊状処理剤に含まれうる消石灰(Ca(OH))は、強アルカリであるため、糞尿処理の際(特に大便)の殺菌効果が大きい。また、口蹄疫や鳥インフルエンザなどに感染した動物や家畜あるいはその死骸、その動物や家畜が食べていた餌(植物など)、その動物や家畜が存在していた、または、存在している家畜舎、あるいは、その家畜舎付近の土壌や道路などを、殺菌、滅菌、消毒、消臭することなどに効果がある。これにより、有機物の発酵・分解が止まる。すると、殺菌、滅菌、消毒される。そして、臭気を低減させる効果を得ることができる。また、消石灰は、主に硫化物を吸着するため、この点からも消石灰を使用することによる臭気の低減効果が大きいと言える。
【0033】
消石灰の形状は、特に制限されず、たとえば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して消石灰を効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、たとえば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、たとえば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。
【0034】
かかる範囲であると、製造が容易となり生産コストが低くなり、得られる塊状処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上し、処理時に被処理物の塊状物(凝集物)が生じず、未反応物が残存しなくなる。必要に応じて、消石灰は、平均粒径が異なる2種以上の消石灰が組み合わせて使用されてもよい。なお、本発明において、かかる平均粒径は、100粒を任意に選択して、1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。以下、本明細書中に記載の「平均粒径」は、同様の定義である。なお、所望の平均粒径とするためには、適宜、篩いなどにかければよい。
【0035】
本発明で用いられる消石灰は、疎水性の被覆剤で表面処理したものであってもよい。また、本発明で用いられる消石灰は、合成してもよいし市販品を用いてもよい。
【0036】
本発明の塊状処理剤に、消石灰が含まれる場合、かかる消石灰の含有量は、塊状処理剤の総質量(100質量%;以下同じ)に対して、5〜90質量%程度、10〜80質量%程度、あるいは、15〜70質量である。かかる範囲であれば、被処理物(たとえば、糞尿)の処理の際し、臭気低減やガス発生の抑制の効果がより良好に得られる。
【0037】
[石灰石]
塊状処理剤に含まれうる、石灰石(炭酸カルシウム)は、組成式CaCOで表されるカルシウムの炭酸塩である。石灰石は、アルカリ性であるため、消石灰と同様の効果がある。
【0038】
石灰石の形状は、特に制限されず、たとえば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、たとえば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、たとえば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。かかる範囲であると、製造が容易となり生産コストを低くすることができ、得られる処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上する場合がある他、処理時に塊状物(凝集物)が生じず、未反応物が残存しない。必要に応じて、石灰石は、平均粒径が異なる2種以上の石灰石が組み合わせて使用されてもよい。
【0039】
塊状処理剤に、石灰石が含まれる場合、かかる石灰石の含有量は、塊状処理剤の総質量に対して、5〜90質量%程度、10〜80質量%程度、あるいは、15〜70質量%程度である。かかる範囲であれば、被処理物(たとえば、糞尿)の処理の際の臭気低減やガス発生の抑制の効果がより良好に得られる。
【0040】
石灰石を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、たとえば、宇部マテリアルズ社のタンカル、吉澤石灰工業株式会社の工業用タンカルなどが好ましい。
【0041】
[吸水性ポリマー(吸水剤、高分子吸水剤とも称することがある)]
塊状処理剤に含まれる吸水性ポリマー(吸水剤)は、消石灰または石灰石を補助する役割をする。つまり、たとえば、処理剤として、消石灰または石灰石だけを用いた場合、被処理物(たとえば糞尿中)の水分を吸収しきれず泥状となる場合がある。消石灰が湿ると、消石灰自身が独特の悪臭を放つ場合がある。また、糞尿が泥状のままであれば、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。
【0042】
塊状処理剤には、吸水性ポリマー(高分子吸水剤)が含まれるため、被処理物中の水分を吸収し固化することができる。被処理物に対して、消石灰または石灰石および吸水性ポリマーを加えると、被処理物が固化し、固化した被処理物の周囲を消石灰または石灰石が覆う形となり、微生物の発酵、分解活動を止めることができ、ひいては、上述した効果を有することができる。また、消石灰または石灰石の添加量を低減させることができ、消石灰または石灰石自身が発する悪臭をより低減させることができる。さらには、吸水性ポリマーが、水分に接触した際に膨潤するため、固化されている処理剤の崩壊の基点となる役目をする。
【0043】
本発明で用いられる吸水性ポリマーは、本発明の効果を奏するために悪影響を及ぼさない限り、特に制限はなく、公知の物質を使用することができる。その具体的な例としては、たとえば、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体などのデンプン系吸水性ポリマー、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト共重合体などのセルロース系吸水性ポリマー、多糖類系吸水性ポリマー、コラーゲン等のたんぱく質系吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール架橋重合体などのポリビニルアルコール系吸水性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体などのアクリル系吸水性ポリマー、無水マレイン酸系吸水性ポリマー、ビニルピロリドン系吸水性ポリマー、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体などのポリエーテル系吸水性ポリマー等などが挙げられる。これら吸水性ポリマーは、単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これら吸水性ポリマーは、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、たとえば、アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)、アクアリック(登録商標)CA(株式会社日本触媒製)、サンフレッシュ、アクアパール(サンダイヤポリマー株式会社製)、ハイモサブHS−960(ハイモ株式会社製)などが挙げられる。これら吸水性ポリマーの中でも、ハイモサブHS−960(ハイモ株式会社製)がより好ましい。
【0044】
塊状処理剤に含まれる吸水性ポリマーの平均粒径にも特に制限はないが、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは80〜850μmであり、さらに好ましくは100〜600μmである。
【0045】
アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)の中でも、好ましくは、SA−50IIまたはSA60−Sであり、吸水力の観点では、SA60−Sが好ましい。また、コストの観点では、SA−50IIが好ましい。前記吸水性ポリマーの形状も特に制限されず、たとえば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状等が例示できる。
【0046】
吸水性ポリマーの含有量は、吸水性ポリマーの種類や形状、および被処理物に含まれる水分量などにより適宜調整可能であるが、塊状処理剤の総質量に対して、1〜90質量%程度、5〜50質量%程度、あるいは、10〜48質量%程度であることが好ましい。かかる範囲であれば、吸水性ポリマーの効果を有意に得られ、未反応の吸水性ポリマーが残留せず、コスト的に有利である。
【0047】
[結合剤(バインダ)]
塊状処理剤に含まれるバインダは、下記で説明する有機系バインダであっても、重曹などの無機系バインダであってもよい。しかし、結着性を鑑みると、好ましくは、塊状処理剤に含まれるバインダは、セルロース系バインダ、高分子系バインダおよびでんぷん系バインダからなる群から選択される少なくとも1種の有機系バインダであることが好ましく、特には、前記バインダが、セルロース系バインダであると好ましい。
【0048】
塊状処理剤は、消石灰または石灰石などの成分が固形化されている点に特徴を有する。塊状処理剤は、消石灰または石灰石のほかに吸水性ポリマー(吸水剤)などが含まれるが、かかる吸水性ポリマー(吸水剤)は、固形化時(圧縮時)にクッション的な役割になり打錠や圧縮が困難となる場合がある。
【0049】
しかしながら、塊状処理剤は、結合剤(バインダ)を含むため、固形化、タブレット化、造粒化が容易となる。そして、結合剤(バインダ)が含まれるという形態によって、塊状処理剤は、十分な強度を有する。その点、運搬性や取り扱い性の観点で好ましい。
【0050】
塊状処理剤に含まれるバインダは、従来公知の方法で合成しても、市販品を購入することによって準備してもよい。市販品としては、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2、PH−102、TG−101、ST−02、TG−101や、樋口商会社製PVPK−15、PVPK−30、PVPK−90(ポリビニルピロリドン)、日本製紙ケミカル社製のKCフロック(W−50S、W−50、W−100/100G、W−200/200G、W−250、W−300G、W−400G)などが好適に使用されるが、中でも、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2、セルロース系の日本製紙ケミカル社製のKCフロックは、形状が繊維状であるため、結合力・崩壊性の観点で、好ましい。また、日本製紙ケミカル社製のKCフロックと旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2が、結着性の観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。特に、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2は、形状が粒状であり粒子が細かいので、結合力も高く、打錠機のホッパーからのフィードがスムーズである観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。
【0051】
塊状処理剤に含まれるバインダの平均粒径にも特に制限はないが、好ましくは1μm〜100μmであり、より好ましくは5μm〜70μmであり、さらに好ましくは20μm〜60μmである。
【0052】
バインダの含有量は、塊状処理剤の総質量に対して、1〜80質量%程度、5〜70質量%程度、8〜65質量%程度、あるいは、20〜60質量%程度であるである。かかる範囲であると、粉状である消石灰または石灰石、吸水性ポリマー、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質とを塊状にし、使用時の粉塵飛散を防ぐ効果の観点で好ましい。バインダとしてたとえばセルロース系のバインダを使用した際に、バインダの量が増えると以下の効果がある。つまり、バインダ自体にも吸水性があり、崩壊の基点の役目をする吸水剤を補助する機能を発揮して、被処理物と接触した際に、崩壊の速度が上がる。また、バインダの量が減ると、コストを低く抑えることができ、容量が減る分、被処理物と接触する面積が上がり、反応性が向上する。
【0053】
[酸性固形物質]
本発明の塊状処理剤は、酸性固形物質を含む。塊状処理剤が、酸性固形物質を含むことによって、被処理物(たとえば、大便、小便)から発生しうるアンモニアを中和させることができる。よって、悪臭をさらに抑制することができる。上記でも述べたが、酸性固形物質を入れる際も相互に結着した状態で存在することになる。
【0054】
本発明で用いることができる酸性固形物質としては、特に制限されないが、温度−10〜60℃、好ましくは0〜50℃であり、圧力0.5〜1.2atm、好ましくは1atmの状態で、固体の形態で存在できる酸性物質であることが好ましい。酸性固形物質としては、無機酸またはその塩、有機酸またはその塩など、従来公知の如何なるものも使用することができる。酸性物質として液状の酸を採用する場合は、これをタルク、セルロース等に含浸させて用いることもできるが、固形酸(固形物質)を用いることが好ましい。
【0055】
かかる酸性固形物質のpHにも、酸性を示すものであれば特に制限はないが、人が肌にふれたときの腐食性を防止する観点から、1.5〜7未満が好ましく、2〜6がより好ましく、3.5〜5.5がさらに好ましい。
【0056】
なお、本明細書中に記載のpHは、(株)佐藤商事社製のPHレコーダーSDカード記録系型番PH−SDを用いて測定する値を意味するとする。かような範囲内のpHを有していれば、被処理物(たとえば、糞尿)に含まれる塩基性成分(たとえば、アンモニア)などと中和し、悪臭を効率的に抑制することができる。
【0057】
本発明で用いることができる酸性固形物質は、より具体的には、酢酸、クエン酸(食品添加物pH:2.36)、イソクエン酸、リンゴ酸(食品添加物pH:2.45)、酒石酸(食品添加物pH:2.28)、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ニトリロ三酢酸、炭酸、サリチル酸、フマル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、エリソルビン酸、ソルビン酸、ポリグルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フィチン酸、リン酸、ホスホン酸およびホウ酸からなる群から選択される、未中和の酸性成分(第1成分)(塩の形態ではない酸性成分)などであってもよい。
【0058】
また、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸ソーダ、エリソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム(食品添加物(pH:4.3〜4.9)、工業用(pH:4.1〜4.9)(1%溶液)、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム(食品添加物(pH:4.4〜4.9)、工業用(pH:4.4〜4.9)(1%溶液)、ピロリン酸二水素二ナトリウム(食品添加物(pH:3.8〜4.5)、工業用(pH:3.8〜4.5)(1%溶液))、酸性トリポリリン酸アルミニウム工業用(pH:2.4〜2.8)(1%溶液))、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム(酸性ピロリン酸ナトリウム(食品添加物(pH:3.8〜4.5)(1%溶液))、ウルトラリン酸ナトリウム(食品添加物(pH:1.7〜1.9)、工業用(pH:1.7〜1.9)(1%溶液)、フマル酸一ナトリウム(食品添加物(pH:3.0〜4.0)(1%溶液))、硫酸バンド工業用(pH:3.0以上)(1%溶液))、スルファミン酸、ミョウバン工業用(pH:約3.5)(12水塩)および腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)(pH:3.0〜6.8)からなる群から選択される、中和の酸性成分(水に溶かすと酸性を示す塩)(第2成分)などであってもよい。
【0059】
中でも、リン酸二水素ナトリウム(pH:4.3〜4.9)、リン酸二水素カリウム(pH:4.4〜4.9)、ピロリン酸二水素二ナトリウム(pH:3.8〜4.5)、酸性トリポリリン酸アルミニウム(pH:2.4〜2.8)、フマル酸一ナトリウム(pH:3.0〜4.0)、ウルトラリン酸ナトリウム(pH:1.7〜1.9)、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム(pH:3.8〜4.5)または腐植酸(フミン酸)を含む草炭(泥炭)(pH:3.0〜6.8)などが、吸水ポリマーの吸水力を減少させないとの観点から特に好ましい。
【0060】
特にリン酸二水素ナトリウムのような酸性固形成分を含ませると以下のような効果がある。すなわち、処理剤中で、消石灰の割合が増えると、アルカリ濃度が高くなり、アンモニアが発生しやすい環境となる場合もある。そのような場合、アンモニア由来の悪臭が発生する場合がある。よってアンモニアを中和し、かつ、消石灰の殺菌能力を保つための、リン酸二水素ナトリウムのような酸性固形成分を含ませることが特に好ましい。また、リン酸二水素ナトリウムのような第2成分は、吸水ポリマーの吸水力をあまり劣化させないという観点からしても好ましい。
【0061】
また、酸性固形物質は、処理剤が崩壊した際に、処理剤に含まれる重曹と反応して、気泡を生じる。さらに、アンモニアを多く含む尿(pHがアルカリとなる尿)(以下、「高臭気尿」とも称する。)が処理剤に投入されると、尿中のアンモニアが、酸性固形物質と反応して気泡を生じる。このような気泡の発生という観点では、酸性固形物質としてはクエン酸およびリン酸二水素ナトリウムからなる群より選択される1種以上であるのが好ましい。より好ましくは、クエン酸である。
【0062】
したがって、臭気と気泡の観点から、クエン酸およびリン酸二水素ナトリウムを併用することが特に好ましい。当該物質を併用する場合、クエン酸とリン酸二水素ナトリウムとの質量比は、1:10〜10:1が好ましく、1:5〜5:1がより好ましい。
【0063】
なお、酸性固形物質が第1成分のみからなる場合、たとえば、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸塩を使用した場合、ポリアクリル酸塩の「塩部分」を消費してしまい、吸水特性の観点から好ましくない場合がある。しかしながら、被処理物(たとえば、尿)のアンモニアを中和する効果は高いという点では好ましい。一方で、酸性固形物質が第2成分のみからなる場合、吸水特性の観点から好ましい。無論、被処理物(たとえば、尿)のアンモニアを中和する効果も有意に高い。
【0064】
上記で列挙した具体的な酸性固形物質は、従来公知の方法を適宜参照し、あるいは、組み合わせて、合成してもよいし、市販品を購入して準備してもよい。市販品としては、大明化学工業(株)の硫酸バンド、ミョウバン、磐田化学工業(株)のクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、イタコン酸、スピクリスポール酸、築野食品工業(株)のフィチン酸、(株)日本触媒のコハク酸、フマル酸、無水マレイン酸、日本合成化学工業(株)の無水酢酸、扶桑化学工業(株)のグルコン酸、スルファミン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、フィチン酸、イタコン酸、フマル酸一ナトリウム、(株)伏見製薬所の安息香酸、安息香酸ナトリウム、高杉製薬株式会社のシュウ酸、硝酸、丸石製薬のサリチル酸、キリン協和フーズ(株)のイノシン酸、グルタミン酸、グルタミン酸、ダイセル化学工業(株)のソルビン酸、日本化学工業(株)のホスホン酸、旭化成ケミカルズ(株)のアジピン酸、三菱化学(株)のテレフタル酸、ナガセケムテックス(株)のニトリロ三酢酸、上野製薬株式会社のヒドロキシ安息香酸、ミテジマ化学工業のリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性トリポリリン酸アルミニウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、明京商事株式会社のフミンエース、株式会社アートレイ社製のモフミン(登録商標)、那須緑地株式会社製天然腐植酸フミン酸、電気化学工業株式会社(デンカアヅミン株式会社)製のカオラン(登録商標)(pH=3.0)、アヅミン(登録商標)(pH=6.8)、アヅミン1号などがある。無論、これら以外の市販品を購入してもよい。
【0065】
酸性固形物質の量(複数種であれば、複数種の合計質量)は、塊状処理剤全体(100質量%)に対して、好ましくは、10〜95質量%、より好ましくは13〜50質量%、さらに好ましくは14〜30質量%である。かような範囲であれば、被処理物から発生しうるアンモニアなどの成分に作用する効率が上がり、処理剤としての脱臭機能が有意に向上する。
【0066】
酸性固形物質の大きさにも特に制限はないが、平均粒径が、100nm〜3mm程度、より好ましくは0.01〜1mm程度のものであることが、粉体の形態であると塊状にし易く、吸水性ポリマーの補助的役割をする観点で好ましい。無論、種類によって、あるいは、製造の便宜を考慮して、これらの範囲を逸脱するものであっても構わない。
【0067】
なお、消臭効果を顕著に発揮させるとの観点から、塊状処理剤によって処理された被処理物のpHを好ましくは5〜8、より好ましくは6〜7程度に制御させることが好ましい。このように制御することによって、特に塩基性成分(特に、アンモニア)に由来する悪臭を制御し易くなる。制御の方法としては、塊状処理剤に、酸性を示す酸性固形物質を添加する方法が挙げられる。
【0068】
[重曹(炭酸水素ナトリウム)]
塊状処理剤に含まれうる重曹(炭酸水素ナトリウム)は、組成式NaHCOで表されるナトリウムの炭酸水素塩である。本発明の塊状処理剤に重曹が含まれることで、被処理物が投入された際に、重曹が発泡し、処理剤が効果的に被処理物を被覆することができ、その結果、被処理物の臭気の拡散を抑制することができる。また、重曹(炭酸水素ナトリウム)は、消石灰や石灰石のアルカリ成分の補助としても用いられる成分である。
【0069】
重曹の形状は、特に制限されず、たとえば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して重曹を効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。重曹(炭酸水素ナトリウム)の平均粒径も特に制限はない。たとえば、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜150μmがさらに好ましい。かかる範囲であると、取扱いが容易となり生産コストを低くすることができ、得られる処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上する場合がある他、処理時に塊状処理剤が生じず、未反応物が残存しない。また、効率的に気泡を生じることができる。必要に応じて、重曹は、平均粒径が異なる2種以上の重曹が組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
重曹を使用する場合の使用量は、悪臭を抑制する効果を奏するように、重曹の種類や形状、および被処理物(たとえば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%である。
【0071】
[界面活性剤]
本発明の塊状処理剤は、界面活性剤を含む。界面活性剤を用いることで、処理剤に水や排泄物(たとえば、糞、尿)が投入された際に気泡が生じやすい。本発明の処理剤は、処理をする際に、水が添加されて、次いで被処理物(排泄物)が投入される場合、水の添加により界面活性剤が起泡し、さらに被処理物の投入により界面活性剤が生じた気泡を成長させることができる。そして、生じた気泡により、被処理物を効果的に被覆することができる。
【0072】
本発明において、界面活性剤としては、常温(25℃)で固体形状のものが好ましく用いられる。本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、アニオン性界面活性剤としては、混合脂肪酸ナトリウム、硬化牛脂脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ヒマシ油カリウム等の脂肪酸塩(石鹸);ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸トリエタノールアミン、ペンタデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸カリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩;ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類;アルカンスルホン酸塩類;直鎖または分岐のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩;アルキルリン酸カリウム等のアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩;アルキル硫酸エステル塩;脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)硫酸エステル塩;脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩;N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウムなどの脂肪酸タウリン塩;ミリストイルグルタミン酸ナトリウムやラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのアミノ酸系界面活性剤;N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩;石油スルホン酸塩;硫酸化牛脂油;スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類;オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類;特殊反応型アニオン界面活性剤;特殊カルボン酸型界面活性剤;β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤;等がある。
【0073】
本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル);ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル;グリセリン脂肪酸部分エステル;ペンタエリスリトール脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー付加物;脂肪酸ジエタノールアミド類;N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類;ポリオキシエチレンアルキルアミン;アルキルアルカノールアミド;トリエタノールアミン脂肪酸エステル;トリアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0074】
本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、カチオン性界面活性剤としては、長鎖第1級アミン塩;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等のアリールトリメチルアンモニウム塩;アルキルピリジニウム塩;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド等が挙げられる。
【0075】
本発明で用いられる界面活性剤は、たとえば、両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性系界面活性剤等が挙げられる。
【0076】
また、本発明では、2種以上の界面活性剤を併用してもよく、また、アニオン性、非イオン性、カチオン性を組合せてもよい。
【0077】
本発明の処理剤において、界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アミノ酸系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましく、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アミノ酸系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルがより好ましく、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩が特に好ましい。
【0078】
本発明で用いられる界面活性剤は、市販品の中から自由に選択することが可能である。たとえば、本発明で用いられる界面活性剤の市販品としては、たとえば、アルスコープLN−90PW(東邦化学工業(株)社製)、パーソフトSF−T(日油(株)社製)などのアルキル硫酸塩;ネオペレックスNo.6Fパウダー(花王(株)社製)、ニューコールシリーズ(日光ケミカル(株)社製)などの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;ノンサールLK−2、LK−5、MK−1、PK−1、LN−1、SN−1、PN−1N、TN−1(日油(株)社製)などの脂肪酸塩;アミソフトCS−11、LS−11、MK−11、GS−11P、LA−D、HA−P(味の素(株)社製)などの脂肪酸グルタミン酸塩のアミノ酸系界面活性剤;エマルゲン120、123P、130K、147、150(花王(株)社製)などのポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンアルキルエーテル);などが挙げられる。
【0079】
本発明において、界面活性剤の含有量は、配合する界面活性剤の種類により適宜調整されうるが、処理剤全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%である。
【0080】
[その他の成分]
塊状処理剤には、上記消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、界面活性剤と、重曹と、酸性固形物質と、以外にも、その他の成分を含有することができる。
【0081】
塊状処理剤の他の好ましい形態は、ゼオライト、活性炭、および潤滑剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0082】
以下に、塊状処理剤に含有されうるその他の成分について述べる。
【0083】
[ゼオライト]
塊状処理剤は、ゼオライトである添加剤をさらに含むとよい。「ゼオライト」とは沸石類と呼ばれる鉱物の総称で、天然のゼオライトは約40種類発見されている。ゼオライトが含まれると、被処理物(たとえば、糞尿)に含まれるアンモニア成分を吸着し、消臭、脱臭に効果がある。ゼオライトを含むことによって、ゼオライトの細孔が、悪臭を取り込んで、悪臭を抑制することができる。
【0084】
本発明のゼオライトは、天然のものであっても、人工的なものであってもよいが、入手性の観点からは、人工的なものであることが好ましい。また、本発明のゼオライトは、水や窒素分子よりも少し大きい5.5〜8Å程度の極微小な空洞がトンネル状に構成されているモルデナイトと呼ばれるゼオライトであることが好ましい。
【0085】
市販品を購入する場合、新東北化学工業(株)社製の、ゼオライト2460、ゼオライト60、ゼオライトCPなどが好ましい。中でも、打錠機へのフィードの容易性の観点からすると、ゼオライト60が好ましい。
【0086】
本発明のゼオライトの平均粒径にも特に制限はないが、0.05〜1.5mm程度が好ましく、より好ましくは、0.1〜1.2mm程度である。
【0087】
ゼオライトとして、たとえば、SiO(酸化ケイ素)、Al(酸化アルミニウム)、CaO(酸化カルシウム)、NaO(酸化ナトリウム)、KO(酸化カリウム)、Fe(酸化鉄)、MgO(酸化マグネシウム)、付着水(HO)、結合水(HO)、その他が、それぞれ、70.5質量%、11.3質量%、2.6質量%、1.6質量%、1.3質量%、0.7質量%、0.1質量%、8.0質量%、3.9質量%程度含まれるものが挙げられるが、無論、かかる組成に限定されることはなく、それぞれの成分が0.1〜2割程度前後して、合計が100%になるように調製されたものを用いてもよい。なお、本発明において、たとえば、K[AlSi]などのゼオライトを用いてもよい。
【0088】
ゼオライトを使用する場合の使用量は、ゼオライトの種類や形状、および被処理物(たとえば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、処理剤の総質量に対して、0.1〜50質量%程度、1〜30質量%、あるいは、2〜20質量%程度の範囲であることがさらに好ましい。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
【0089】
[活性炭]
活性炭は、上記の消石灰が放つことがある悪臭を抑制する観点から添加されると好ましい。また、活性炭は、糞尿処理中に発生する悪臭を抑制する働きをも有する。
【0090】
本発明で用いられる活性炭は、特に制限されない。活性炭の具体的な例としては、たとえば、木炭、コークス、ヤシガラ、天然繊維、ポリアクリロニトリル、レーヨン、フェノール樹脂などの合成樹脂、ピッチなどを原料として用い、公知の方法で得られた活性炭が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、前記活性炭は、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、たとえば、活性炭GYアルカリ用、活性炭GX酸性用(以上、東洋紡株式会社製)、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0091】
さらに、消石灰と活性炭とが予め混合されている市販品、たとえば、ゾルバリット(宇部マテリアルズ株式会社製)を用いて、本発明の処理剤の消石灰成分および活性炭成分としてもよい。これら活性炭の中でも、悪臭物質の吸着の観点で、ゾルバリットがより好ましい。
【0092】
前記活性炭の形状も特に制限されず、たとえば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状、マカロニ状、繊維状、ハニカム状等が例示できる。
【0093】
活性炭を使用する場合の使用量は、活性炭の種類や形状、および被処理物(たとえば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、処理剤の総質量に対して、0.1〜20質量%程度、0.4〜15質量%程度、あるいは、0.3〜10質量%程度である。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
【0094】
[潤滑剤]
塊状処理剤に含まれうる潤滑剤は、塊状物を作製する際に、特に、打錠機の臼へのフィードをスムーズになるために用いられるものである。潤滑剤の種類としては、従来公知のものを適宜選択して、あるいは、組み合わせて使用することができる。たとえば、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル系、二酸化ケイ素などのケイ素系、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウムなどが使われ、エステル系、ケイ素系、ステアリン酸カルシウム、カルシウム亜鉛が好ましい。潤滑剤の含有量は、塊状処理剤の総量に対して、0.5〜20質量%程度、あるいは、0.8〜17質量%程度であることが好ましい。かかる範囲であると、原料のフィード、崩壊性を高める。
【0095】
[その他の添加剤]
本発明の塊状処理剤は、本発明において悪影響を及ぼさない限り、その他の添加剤をさらに含有していてもよい。かかる添加剤の例としては、臭気対策の観点から、香料、消臭剤、または脱臭剤;アルコール等の親水性有機化合物、または界面活性剤;糞尿中の水分含有量を制御するという観点から、シリカゲル、無水硫酸ナトリウム等の乾燥剤;殺菌・脱臭の観点から、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素含有化合物;糞尿処理時のアルカリ性条件を補完する観点から、水酸化ナトリウム等の第1族元素の水酸化物等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0096】
前記香料の例としては、たとえば、レモンオイル、レモングラス、シナモン油、ラベンダー油、ベチパー等が挙げられる。
【0097】
前記界面活性剤としては、各種の界面活性剤を使用することができ、その具体的な例としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アリールスルホネートなどのアニオン系界面活性剤;長鎖第1級アミン塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウム塩、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリドなどのカチオン系界面活性剤;または塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性系界面活性剤等が挙げられる。また、処理剤を糞尿に添加する際に用いられうる、後述の水溶性樹脂からなる包袋、水溶紙からなる包袋、または水解性不織布からなる包袋も、本発明の処理剤の添加剤として含有されうる。
【0098】
かようなその他の添加剤は、含まれたとしても、塊状処理剤の総量に対して、0.1〜10質量%程度、あるいは1〜3質量%程度である。
【0099】
[塊状処理剤の作製方法]
塊状処理剤は、上記の組成を、混合し、所望の大きさあるいは質量になるように、圧縮することによって、作製することができる。この際、混合する方法は、各成分を一度に混合してもよいし、各成分を順次混合してもよい。
【0100】
以下、塊状処理剤の作製方法を好ましいいくつかの実施形態に分けて説明する。無論、下記の方法には制限されない。
【0101】
(卓上式手動の打錠機で固化)
卓上式手動の打錠機(杵と臼はそれぞれ一つ)で固化するために、まず、杵には、固化をする各成分を手でスプーンにて入れる。この際、フィードの難しさは考える必要はない。その後、手動(油圧)にてレバーを下して圧力をかけて、各成分を固化させることによって、塊状物を作製する。なお、卓上式手動の打錠機の利点は、かなりの時間、滞留させて圧力をかけるので固まりにくい組み合わせであっても固化できるというところである。なお、たとえば口径の小さい杵(直径7mm:上下円版型)を用いた場合、口径が小さい方が面積当たりにより高い圧力がかかるので固化しにくいものでも固まる傾向がある。一方で、たとえば口径の大きい杵(直径15mm:上下平版型)を用いる場合、口径が大きい方が面積当たりに小さい圧力になるので固化しにくいものには不利になるが、口径の大きい分、杵へのフィードは有利になり、生産性は向上する。
【0102】
(連続式の打錠機)
また、連続式の打錠機は、直打式であってもなくてもよいが、前処理の手間(たとえば、造粒工程;本発明では、吸水性ポリマーが使用されるため乾式が好ましい)を省くことができるという点で生産性が向上する直打式を採用することも好ましい。ただ、本発明の主成分として用いられうる消石灰は、その粒子径が小さいため、そのような微粉のものをフィードしやすくするために潤沢剤を入れることが好ましい。一方で、前処理を行う場合は、たとえば、ローラーコンパクターを用いて大きな圧力をかけて圧延して微粉を造粒したものにバインダ(結合剤)を混合したものを打錠することによって、塊状物を作製してもよい。大量生産を鑑みると、たとえば、株式会社畑鐵工所製の打錠機(型式AP18−SSなど)を使用することが好ましい。この際の杵臼の直径は、13mm程度であり、杵立数は、18本程度である。かかる打錠機を使用すれば、原料を所望の割合となるように調製し、混合し、打錠機のホッパーに混合した原料を入れ、打錠機で回転式に打錠をしていくだけで生産が可能であり、好ましい。
【0103】
また、連続式の回転型打錠機で、塊状物を作製してもよい。具体的には、各成分(たとえば、消石灰、活性炭、吸水性ポリマー、バインダ、潤沢剤)を混合し混合物を作製し、連続打錠機のホッパーに混合物を入れて打錠を行う。杵の形状は、たとえば、上下円版型であってもよい。
【0104】
このように、塊状処理剤を作製するための固形化のため方法には、特に制限はない。上記のように、打錠、ローラーコンパクター、湿式の圧縮(圧縮対象の原体を水で湿らせ、圧縮)を適宜組み合わせて、適用すればよい。なお、塊状物は、吸水性ポリマーを含むため、吸水性ポリマーを混合する前の段階、消石灰、活性炭などの添加剤との混合物を湿式で造粒し、その後、吸水性ポリマーと混合する方法もよい。また、連続式の回転型打錠機で、塊状物を作製してもよい。具体的には、各成分を混合し混合物を作製し、連続打錠機のホッパーに混合物を入れて打錠を行う。杵の形状は、たとえば、上下円版型であってもよい。
【0105】
本発明において、塊状処理剤は、粉砕されていてもよい。なお、本明細書中、塊状処理剤が粉砕された場合を、以下、「顆粒物」と称するが、顆粒物は塊状物に包含される概念である。
【0106】
塊状処理剤が粉砕されて、顆粒物となっている場合の顆粒物の平均直径は、1粒当たり、好ましくは150μm超〜3mm未満であり、より好ましくは、0.05〜2mm程度、さらに好ましくは0.1〜1mm程度である。かような範囲であると、取り扱い性が向上しながら、被処理物との接触面積が増大し、被処理物との反応効率を向上させることができる。このような場合、塊状物のように固形状態を長持間保つ必要がないのでバインダの量を少なくできるとの観点で、塊状処理剤の単位質量当たりの有効成分の割合を高めることができる。すなわち、本発明の塊状処理剤において、塊状物を粉砕することで、バインダの量を少なくすることができる。また、一旦塊状物にしてしまえば、それを粉砕して顆粒物にしても、かかる吸水特性を上げるという効果が継続するため、好適である。顆粒物は、一旦固化させた、塊状物を粉砕することによってなる。従来の粉末状態では、そのような「一旦固化させる」という工程を経て作製されるものは知られていない。つまり、顆粒物は、構成的な面からして(バインダの有無)、従来の粉末状態の処理剤とは異なる。
【0107】
塊状処理剤を粉砕して、顆粒物とする場合のバインダの量の目安は、塊状物の場合の、好ましくは10%減、より好ましくは30%減、さらに好ましくは50%減〜70%減とすることができる。その減らすことができた分に、消石灰または石灰石、バインダ、酸性固形物質または添加剤等の量を増やして、全体を100質量%とすればよい。
【0108】
塊状物を粉砕する方法は特に制限されないが、たとえば、従来公知の細粒化装置を用いることなどで、行うことができる。使用できる細粒化装置としては、剪断粗砕機、衝撃破砕機、高速回転式粉砕機に分類されて、切断、剪断、衝撃、摩擦といった粉砕機構のうちの1つ以上の機構を有するものが好ましく使用できる。たとえば、畑鉄工所の整粒機や、岡田精工の卓上用ミルなどを用いることができる。無論、これら以外の装置を使用してもよい。あるいは、金づち等で破砕してもよい。
【0109】
[本発明の第1の塊状処理剤の用途]
本発明の第1の塊状処理剤の用途は特に制限されない。たとえば、糞尿、有機性汚泥、動植物、家畜、家畜舎または土壌の処理に用いられうる。本発明の第1の塊状処理剤が、糞尿処理剤、有機性汚泥処理剤、動植物処理剤、家畜処理剤、家畜舎処理剤または土壌処理剤として使用されることによって、様々な効果を奏する。具体的には、本発明の第1の塊状処理剤が、糞尿処理剤に含まれることによって、本発明の処理剤は、悪臭を防ぐため、取り扱い性が向上する。具体的には、糞尿の処理は、災害用トイレ、渋滞用トイレ(渋滞時に車内で使用するトイレ)、工事現場等の仮設トイレ、ペット用トイレ(猫砂や犬のトイレ)、海外での水洗インフラのない地域での応用などがある。 また、本発明の第1の塊状処理剤は、ポータブルトイレ等に好適に用いられうる。本発明の第1の塊状処理剤を前もって敷いておき、さらに水を添加しておき、予め処理剤が配置されてなるので、その上から排尿または排便をすることで、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。
【0110】
なお、本発明の第1の塊状処理剤が、糞尿処理に用いられる場合、かかる糞尿は、人糞尿のみならず、たとえば、牛糞尿、豚糞尿、鶏糞尿等の畜糞尿等も包含する。また、前記糞尿は、大便単独でもよいし、小便単独でもよいし、大便と小便との混合物であってもよい。大便単独の場合、水分を多く含むことが好ましい。また、有機性汚泥の処理は、汚染された河川の処理、外食店舗から排出される食品残さ、感染症患者の嘔吐物の処理、血液の処理等の用途に好適に用いられうる。
【0111】
動植物、家畜、家畜舎または土壌の処理は、具体的には、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの感染症に感染した動物、家畜、それらの餌、それらの家畜、家畜舎または土壌の処理に適用可能である。また、消毒剤、殺菌剤、滅菌剤、消臭剤の用途としても使用が可能である。 また、本発明の第1の塊状処理剤は、愛玩を目的として飼育される動物(ペット)の排泄物の処理にも好適に用いられる。たとえば、本発明の塊状処理剤は、ペットとの外出の際に、ペットが野外、公共の場等で排泄を行ったときの処理を簡便なものとする。すなわち、ペットの排泄物(特に、便)を持ち帰る必要があるときなど、排泄物を、処理剤を入れた袋に入れ、密封することで、排泄物が被覆され、悪臭を抑制することができる。そのため、外出先で、ペットの排泄物を持ち歩くこととなった場合であっても、臭いが抑制されているため快適である。また、たとえば、車などの閉鎖空間において、ペットが排泄する場合であっても、排泄物を処理剤に入れた袋に入れて密封することで、閉鎖空間に悪臭が拡散するのを抑制することができ、快適な空間を維持することができる。
【0112】
さらに、本発明の第1の塊状処理剤は、尿と糞とが混合した排泄物であっても効果的に脱臭・消臭することができるものである。すなわち、本発明において、界面活性剤と、アルカリ性成分(消石灰または石灰石、重曹、尿中のアンモニアなど)と、酸性成分(酸性固形物質)と、が組み合わさって、処理剤中に気泡を生じさせることで、排泄物を効果的に被覆することができ、臭気の拡散を防ぐことができる。たとえば、糞は、時間経過に伴い、雑菌等が繁殖して臭いの元となりうるが、本発明の処理剤は、糞を効果的に被覆することで、雑菌等の繁殖を抑制し、さらに臭いの拡散を抑制することができる。また、尿は、アンモニアを含んでいるため、放置しておくと、アンモニア臭を発生するが、本発明の処理剤は、処理剤中をpH5〜8、より好ましくはpH6〜7程度なるように設計され、アンモニアが中和されるため、臭いを抑制することができる。また、塊状処理剤が、徐々に消石灰または石灰石を徐放するため、排泄物を繰り返し投入した際であっても、その度に、消臭効果が発揮される。さらには、徐放された酸性固形物質によりアンモニアが中和され、また、酸性固形物質とアンモニアとの反応で気泡が生じ、処理剤の被覆効果を継続することができる。
【0113】
<本発明の第2>
本発明の第2は、本発明の第1の塊状処理剤の使用方法である。本発明の排泄物処理剤は、消石灰または石灰石と、吸水性ポリマーと、バインダと、を含む塊状物と、界面活性剤と、を含む排泄物処理剤を配置して、水を添加した後、排泄物の処理に使用される。
【0114】
本発明の処理剤は、水を添加されることで、処理剤中で以下の現象が生じると推測される。なお、以下の推察により、本発明は限定されない。
【0115】
本発明の処理剤は、水を添加されると、界面活性剤が起泡する。さらに、本発明の処理剤に、重曹が含まれる場合、重曹が発泡するため、さらに起泡性が向上する。また、処理剤に酸性固形物質が含まれる場合、酸性固形物質(酸性成分)と、アルカリ性成分(たとえば、消石灰または石灰石、重曹、尿中のアンモニアなど)とが反応して処理剤中に気泡が生じ、さらに界面活性剤が気泡を増大させる。以上のように、本発明の処理剤は、気泡が生じることで、排泄物を効果的に被覆することができ、臭気の拡散を防ぐことができる。すなわち、本発明の排泄物処理剤は、水を添加することで、界面活性剤と、アルカリ性成分(消石灰または石灰石、重曹、尿中のアンモニアなど)と、酸性成分と、が組み合わさって作用し、排泄物が投入された際に効果的に消臭することができる。また、水の添加がなくても、たとえば、便と同時に排尿する場合であると、尿が水の代わりに塊状処理剤を分解し、処理剤の発泡を促進させることができる。
【0116】
また、本発明の第1の塊状処理剤を、水を添加して使用する場合、水の使用量は、塊状処理剤100gに対して、好ましくは0.1〜500g、より好ましくは1〜100g、さらに好ましくは5〜80g、特に好ましくは10〜50gである。水の使用量が、上記範囲内であれば、糞尿と処理剤との接触面積が好適である。
【0117】
<本発明の第3>
本発明の第3は、本発明の第1の塊状処理剤が予め配置されてなる、便器である。本発明の第3の便器は、水を不要とする乾式の形態であるので、便器としての保存性も向上する。また、本発明の第1の塊状処理剤を含んでいるので、本発明の第1の塊状処理剤の効果を有する。ここで、特には、本発明の第3の便器は、本発明の第1の塊状処理剤に予め配置されていることで、取り扱い性の観点から非常に好ましい。
【0118】
本発明の第1の塊状処理剤が糞尿処理に用いられる場合、第1の塊状処理剤の使用量は、被処理物(たとえば、糞尿)100質量部に対し、10〜200質量部の範囲であることが好ましく、20〜100質量部の範囲であることがより好ましく、30〜60質量部であることがさらに好ましい。処理剤の使用量が、10質量部未満である場合には、糞尿と消石灰との接触面積が減少するため、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。一方、100質量部を超える場合には、処理後の残渣が多くなり、処理後の廃棄物が多くなる場合がある。また、コストが高くなる場合がある。よって、本発明の第3の便器に、本発明の第1の塊状処理剤を予め配置する場合は、上記の範囲の量で配置することが好ましい。
【0119】
よって、本発明の第3の便器に、本発明の第1の塊状処理剤を予め配置する場合は、上記の範囲の量で配置することが好ましい。
【0120】
本発明の第3の便器には、取り扱いの容易性等の観点から、たとえば、糞尿を受ける部分に、表面が撥水処理されたシートや内面が撥水処理された袋などに本発明の第1の塊状処理剤と、水と、を配置しておくことが好ましく、そこに、糞尿を添加することによって、廃棄する際にも非常に容易となる。なお、糞尿臭には、大きく分けて、大便臭とアンモニア臭がある。大便臭は、有機的な臭気であり、アンモニア臭は無機的な臭気である。アンモニア臭は、無機臭であり、排泄後、表面が撥水処理されたシートを縛れば拡散しにくい臭気である。しかし、大便臭は、ガスが検体自体から発生するので表面が撥水処理されたシート(たとえば、ビニール袋)内の内圧を高め、ビニール袋を縛っても漏れて拡散する傾向にある。従来知られている糞尿処理剤であると、脱臭効果が低いため、糞尿臭(特に、大便臭)を抑制することが困難であった。本発明によれば、本発明の第1の塊状処理剤、本発明の第2の排泄物処理剤の使用方法、本発明の第3の便器が提供され、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、殺菌等を行うことができるため、悪臭やガスの発生を抑制することができ、たとえば、被災地のトイレ事情を著しく改善することができ、衛生面においての非常に好適である。
【0121】
上記のように、本発明の第1の塊状処理剤は、ポータブルトイレ等に前もって敷いておき、さらに水を添加しておき、その上から排尿または排便をすることができる。そうすると、排尿または排便の勢いで、中に含まれている腐食性を有する強アルカリである消石灰が舞い上がらないため、人体の繊細部分に飛び散ることなく、健康面からみても好ましい。
【0122】
また、本発明の便器は、予め処理剤が配置されてなるので、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。それに対して、従来の処理剤は、排泄をした後、自分で(あるいは介護者などが)糞尿に、処理剤を振り掛ける必要があり、使用者(あるいは介護者など)は不快になることがあった。しかし、本発明の便器によれば、予め処理剤が配置されているので、排泄後は特に確認を要することなく、必要に応じて、そのまま便器を廃棄すれば足りるという効果も有する。
【0123】
また、本発明の第3の便器の他の形態としては、水の存在下に、本発明の第1の塊状処理剤が予め配置されてなる。また、第3の便器の他の形態としては、使用時に、水を添加してもよいし、排尿することにより、水の代用とすることも可能である。
【0124】
本発明の第1の塊状処理剤が水と共に便器に配置される場合、水の使用量は、便器(容器)の容積1Lに対して、好ましくは0.1〜800g、より好ましくは1〜500g、さらに好ましくは10〜400g、特に好ましくは20〜350g、もっとも好ましくは30〜300gである。水の使用量が、0.1g/L未満である場合には、糞尿と消石灰との接触面積が減少するため、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。一方、800g/Lを超える場合には、処理後の残渣が多くなり、処理後の廃棄物が多くなる場合がある。また、コストが高くなる場合がある。また、他の水の使用量の基準としては、処理剤の高さが、便器(容器)の高さに対して、好ましくは0.1〜60%、より好ましくは0.5〜50%、さらに好ましくは1〜30%の高さになるように水を添加するのが好適である。
【0125】
<本発明の第4>
本発明の第4は、本発明の第1の塊状処理剤を含んで成形されてなる、吸収性物品である。本発明の第4にかかる吸収性物品は、上記した本発明の第1の塊状処理剤、液透過性を有する表面シート、液不透過性を有する背面シートを備えると好ましい。
【0126】
本発明にかかる吸収性物品の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、本発明の第1の塊状処理剤を、液透過性を有する基材(表面シート)と液不透過性を有する基材(背面シート)でサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、吸収性物品、たとえば、大人用紙オムツや生理用ナプキンとすればよい。
【0127】
本発明の第1の塊状処理剤は、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と吸収特性を示すものである。
【0128】
このような吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙オムツをはじめ、子供用オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられ、それらに特に限定されるものではない。吸収性物品の中に存在する本発明の第1の塊状処理剤が非常に優れた消臭性を有し、ドライ感が著しいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【0129】
吸収性物品に含まれる、本発明の第1の塊状処理剤の量は、用途に応じて適宜調整すればよいが、衛生材料等の場合、その中に、5〜50g、あるいは、10〜30g程度含ませることが好ましい。
【実施例】
【0130】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。
【0131】
本発明の処理剤の評価は以下のように行った。なお、処理後の臭気は、6段階の官能評価による評価を行った。
【0132】
<糞尿の処理>
・大便:検体1(性別:男、年齢:40歳の大便)
(臭気レベル)
「0」:ほとんど臭気はなく、消臭されている。
「1」:わずかに臭気はするが、消臭されている。
「2」:臭気がするが不快でなく、消臭されている。
「3」:臭気がして不快であるが、消臭されている。
「4」:強い悪臭がして不快であるが、消臭されている。
「5」:強い悪臭であり、消臭効果がない。
【0133】
(実施例1:塊状処理剤1の製造)
下記表1に示される成分を、下記表1に示される混合割合で(合計100質量%)、55.8gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物を(株)畑鉄工所製HT−AP18SS−IIの連続打錠機で、φ13mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって、塊状処理剤1 50粒を作製した(1粒0.8g、平均直径:13mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤1の硬度は、硬度12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。
【0134】
【表1】
【0135】
(実施例2:塊状処理剤2の製造)
上記と同様にして、表2の混合比(合計55.8g)の塊状処理剤2 50粒を作製した(1粒0.8g、平均直径:13mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤2の硬度は、硬度12kgfであった。
【0136】
【表2】
【0137】
(比較例1:塊状処理剤3の製造)
下記表3に示される成分を、下記表3に示される混合割合で(合計100質量%)、49.8gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物を(株)畑鉄工所製HT−AP18SS−IIの連続打錠機で、φ13mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって、塊状処理剤3 50粒を作製した(1粒0.8g、平均直径:13mm、平均厚さ:6mm)。なお、塊状処理剤3の硬度は、硬度12kgfであった。この際の硬度の測定は、錠剤破壊強度測定器(硬度計)TH−203MPにて行った。
【0138】
【表3】
【0139】
<消臭効果の評価>
上記で準備した塊状処理剤1〜3を用いて、下記の手順に従ってそれぞれの消臭効果を評価した。なお、臭気実験は、温度10℃、相対湿度30%の条件下で行った。
【0140】
(実験1:処理剤に大便投入後に、水を添加)
処理剤50gを、ビニール袋に入れた後、大便250gをビニール袋に入れた。次いで、水100gをビニール袋に入れ、5分後に、ビニール袋の内部の状態(大便の被覆度)を目視で確認した。その後、ビニール袋の口を解放したまま、所定時間(15分、1時間、3時間、24時間)ごとに、大便臭を6段階で官能評価した。
【0141】
(実験2:処理剤に水を添加後に、大便を投入)
処理剤50gを、ビニール袋に入れた後、水100gをビニール袋に入れた。次いで、大便250gをビニール袋に入れ、5分後に、ビニール袋の内部の状態(大便の被覆度)を目視で確認した。その後、ビニール袋の口を解放したまま、所定時間(15分、1時間、3時間、24時間)ごとに、大便臭を6段階で官能評価した。
【0142】
実験結果を表4に示す。
【0143】
【表4】
【0144】
表4のように、比較例の処理剤(塊状処理剤3)は、塊状物が完全には分解せず、残留した。本発明の処理剤(塊状処理剤1、2)は、発泡し、塊状物が分解することが確認された。また、本発明の処理剤は発泡することで、気泡が大便を被覆し、その結果、大便臭が抑制されることが示された。