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特許6057415食品店舗機器の制御装置及び食品店舗機器の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057415
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】食品店舗機器の制御装置及び食品店舗機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20161226BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   H02J3/14
   H02J13/00 311T
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-242513(P2012-242513)
(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公開番号】特開2014-93848(P2014-93848A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】上野 健一
(72)【発明者】
【氏名】花村 英樹
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−195392(JP,A)
【文献】 特開2002−135977(JP,A)
【文献】 特開昭63−234837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 − 5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の季節及び時刻に応じて、食品店舗内の複数の電気機器による使用電力の目標値を決定する目標値決定部と、
前記現在の季節及び時刻に応じて、前記複数の電気機器による使用電力が前記目標値を超えないように、前記複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した前記制御対象の電気機器に対する制御内容を決定する制御決定部と、
前記制御決定部により決定された前記制御内容に応じて、前記制御決定部により選択された前記制御対象の電気機器を制御する制御実行部と、
前記食品店舗の外気温度に応じて、前記現在の季節を修正する季節修正部と、
を備え、
前記目標値決定部は、前記現在の時刻に加え、前記季節修正部により修正された前記現在の季節に応じて、前記目標値を決定することを特徴とする食品店舗機器の制御装置。
【請求項2】
前記制御決定部は、季節及び時間帯ごとに前記制御対象の電気機器及びその制御内容を示す制御決定情報を記憶し、記憶した前記制御決定情報に基づき、前記現在の季節及び時刻に応じて、前記複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した前記制御対象の電気機器に対する制御内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の食品店舗機器の制御装置。
【請求項3】
操作者により入力操作される入力部をさらに備え、
前記制御決定部は、前記入力部に対する操作者の入力操作に応じて、前記制御決定情報における前記制御対象の電気機器又は前記制御内容を変更することを特徴とする請求項2に記載の食品店舗機器の制御装置。
【請求項4】
現在の季節及び時刻に応じて、食品店舗内の複数の電気機器による使用電力の目標値を決定するステップと、
前記現在の季節及び時刻に応じて、前記複数の電気機器による使用電力が前記目標値を超えないように、前記複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した前記制御対象の電気機器に対する制御内容を決定するステップと、
決定した前記制御内容に応じて、選択した前記制御対象の電気機器を制御するステップと、
前記食品店舗の外気温度に応じて、前記現在の季節を修正するステップと、
を有し、
前記目標値を決定するステップでは、前記現在の時刻に加え、修正した前記現在の季節に応じて、前記目標値を決定することを特徴とする食品店舗機器の制御方法。
【請求項5】
前記制御内容を決定するステップでは、季節及び時間帯ごとに前記制御対象の電気機器及びその制御内容を示す制御決定情報を記憶し、記憶した前記制御決定情報に基づき、前記現在の季節及び時刻に応じて、前記複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した前記制御対象の電気機器に対する制御内容を決定することを特徴とする請求項4に記載の食品店舗機器の制御方法。
【請求項6】
入力部に対する操作者の入力操作に応じて、前記制御決定情報における前記制御対象の電気機器又は前記制御内容を変更するステップをさらに有することを特徴とする請求項5に記載の食品店舗機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品店舗機器の制御装置及び食品店舗機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの食品店舗には、各種の電気機器(食品店舗機器)が複数台設置されている。この電気機器としては、例えば、冷蔵食品や生鮮食品などの食品を陳列するショーケースや冷蔵庫用の冷凍機、食品店舗内の空調を行う空調機、さらに、ショーケースのケース照明や売場照明、バックヤード照明などが挙げられる。
【0003】
前述のような食品店舗には、各電気機器による使用電力(デマンド値)の目標値(デマンド目標値)を超えないように使用電力を監視するデマンド監視装置が設置されることがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このデマンド監視装置は、デマンド値が例えば契約電力値を超えないように負荷となる各電気機器(負荷機器)を制御するデマンド制御を行うものである。なお、デマンド値とは、例えば30分間などのデマンド時限における平均使用電力である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−180187号公報
【特許文献2】特開2006−174582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の技術では、デマンド制御が外気環境(例えば、季節や時刻、外気温度)に追随することが十分にできず、さらに、その外気環境が変化しても制御対象の電気機器は変わらずに同じであるため、使用電力を確実に削減することは困難である。
【0006】
例えば、開店時間帯と閉店時間帯とでデマンド目標値を変えても制御対象の電気機器が同じある場合には、閉店時間帯よりも開店時間帯に大きな電力を消費する電気機器(例えば、外気温度や昼夜で消費電力が大きく変わるショーケースなど)を閉店時間帯に入り切り(オン/オフ)しても、使用電力の削減効果は小さく、使用電力を確実に削減することは難しい。
【0007】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、外気環境に応じて確実に使用電力を削減することができる食品店舗機器の制御装置及び食品店舗機器の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る食品店舗機器の制御装置は、現在の季節及び時刻に応じて、食品店舗内の複数の電気機器による使用電力の目標値を決定する目標値決定部と、現在の季節及び時刻に応じて、複数の電気機器による使用電力が目標値を超えないように、複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した制御対象の電気機器に対する制御内容を決定する制御決定部と、制御決定部により決定された制御内容に応じて、制御決定部により選択された制御対象の電気機器を制御する制御実行部と、食品店舗の外気温度に応じて、現在の季節を修正する季節修正部と、を備え、目標値決定部は、現在の時刻に加え、季節修正部により修正された現在の季節に応じて、目標値を決定することを特徴とする。
【0010】
また、前述の食品店舗機器の制御装置において、制御決定部は、季節及び時間帯ごとに制御対象の電気機器及びその制御内容を示す制御決定情報を記憶し、記憶した制御決定情報に基づき、現在の季節及び時刻に応じて、複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した制御対象の電気機器に対する制御内容を決定することが望ましい。
【0011】
また、前述の食品店舗機器の制御装置において、操作者により入力操作される入力部をさらに備え、制御決定部は、入力部に対する操作者の入力操作に応じて、制御決定情報における制御対象の電気機器又は制御内容を変更することが望ましい。
【0012】
本発明に係る食品店舗機器の制御方法は、現在の季節及び時刻に応じて、食品店舗内の複数の電気機器による使用電力の目標値を決定するステップと、現在の季節及び時刻に応じて、複数の電気機器による使用電力が目標値を超えないように、複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した制御対象の電気機器に対する制御内容を決定するステップと、決定した制御内容に応じて、選択した制御対象の電気機器を制御するステップと、食品店舗の外気温度に応じて、現在の季節を修正するステップと、を有し、目標値を決定するステップでは、現在の時刻に加え、修正した現在の季節に応じて、目標値を決定することを特徴とする。
【0014】
また、前述の食品店舗機器の制御方法において、制御内容を決定するステップでは、季節及び時間帯ごとに制御対象の電気機器及びその制御内容を示す制御決定情報を記憶し、記憶した制御決定情報に基づき、現在の季節及び時刻に応じて、複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した制御対象の電気機器に対する制御内容を決定することが望ましい。
【0015】
また、前述の食品店舗機器の制御方法において、入力部に対する操作者の入力操作に応じて、制御決定情報における制御対象の電気機器又は制御内容を変更するステップをさらに有することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る食品店舗機器の制御装置又は食品店舗機器の制御方法によれば、現在の季節及び時刻に応じて、複数の電気機器による使用電力が目標値を超えないように、複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した制御対象の電気機器に対する制御内容を決定する。これにより、現在の季節や時刻に応じて制御対象となる電気機器及びその制御内容が適切に決定されるため、外気環境が変化してもその変化に対応することが可能となるので、外気環境に応じて確実に使用電力を削減することができる。また、食品店舗の外気温度に応じて現在の季節を修正し、現在の時刻に加え、修正した現在の季節に応じて使用電力の目標値を決定する場合には、外気温度に応じて目標値を決定することが可能になるので、外気環境に応じてより確実に使用電力を削減することができる。
【0018】
また、季節及び時間帯ごとに制御対象の電気機器及びその制御内容を示す制御決定情報に基づき、現在の季節及び時刻に応じて、複数の電気機器から制御対象の電気機器を選択し、選択した制御対象の電気機器に対する制御内容を決定する場合には、現在の季節や時刻に応じて制御対象の電気機器及びその制御内容をより適切に決定することが可能になるので、より確実に使用電力を削減することができる。
【0019】
また、入力部に対する操作者の入力操作に応じて、前述の制御決定情報における制御対象の電気機器又は制御内容を変更する場合には、操作者は必要に応じて制御対象の電気機器や制御内容を適切に変えることが可能となるので、利用者の利便性を向上させることができ、さらに、より確実に使用電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る食品店舗システムの概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る目標値決定情報を説明するための説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る季節修正情報を説明するための説明図である。
図4】本発明の実施形態に係る制御決定情報を説明するための説明図である。
図5】本発明の実施形態に係る使用電力(デマンド値)の目標値(デマンド目標値)の変更を説明するためのグラフである。
図6】本発明の実施形態に係るデマンド制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施の一形態に係る食品店舗システム1は、食品店舗内に設けられた複数の電気機器(食品店舗機器)2と、それらの電気機器2を制御する制御装置(食品店舗機器の制御装置)3とを備えている。
【0023】
各電気機器2は、制御装置3に電気的に接続されており、信号の送受信が可能に形成されている。これらの電気機器2としては、例えば、第1冷凍機A(50kW)、第2冷凍機B(30kW)、第3冷凍機C(10kW)、第1エリアの空調機D(30kW)、第2エリアの空調機E(10kW)、第1エリアのケース照明F(10kW)、第2エリアのケース照明G(5kW)、売場照明H(20kW)、バックヤード照明I(5kW)、バックヤードの空調機J(5kW)、社員食堂の空調機K(3kW)がある。なお、図1中の各電気機器2の種類や個数はあくまでも一例である。
【0024】
ここで、冷凍機は、冷蔵食品や生鮮食品などの食品を陳列するショーケースや冷蔵庫を冷却するための冷凍機である。この冷凍機は圧縮機や凝縮器などを備えており、各ショーケースや冷蔵庫に配管を介して冷媒を供給する。空調機は、食品店舗内のエリアごと、すなわち第1エリア、第2エリア、バックヤード及び社員食堂に設けられている。また、ケース照明は、食品店舗内のエリアごと、すなわち第1エリア及び第2エリアごとのショーケースの照明である。同様に、売場照明は食品店舗内の売場の照明であり、バックヤード照明は食品店舗内のバックヤードの照明である。
【0025】
制御装置3は、現在の日時から現在の季節及び時間帯を決定する季節時間帯決定部3aと、使用電力(デマンド値)の目標値(デマンド目標値)を決定する目標値決定部3bと、現在の季節を修正する季節修正部3cと、制御対象の電気機器2及びその制御内容を決定する制御決定部3dと、デマンド制御を実行する制御実行部3eと、操作者による入力操作を受け付ける入力部3fと、外気温度を検出する外気温度センサ3gとを具備している。
【0026】
季節時間帯決定部3aは、現在の日付から現在の季節を決定し、さらに、現在の時刻から開店時間帯であるか閉店時間帯であるかを決定し、それらの現在の季節及び開店/閉店時間帯を示す季節時間帯情報を目標値決定部3b、季節修正部3c及び制御決定部3dに出力する。なお、季節時間帯決定部3aは、カレンダーやタイマにより現在の日時や季節などを把握することが可能である。
【0027】
目標値決定部3bは、季節時間帯決定部3aから出力された季節時間帯情報を用いて、食品店舗内の各電気機器2による使用電力の目標値、すなわちデマンド目標値を決定する。詳しくは、目標値決定部3bは、季節及び時間帯ごとにデマンド目標値を示す目標値決定情報を記憶しており、その目標値決定情報に基づき、現在の季節及び時間帯に応じてデマンド目標値を決定する。
【0028】
目標値決定情報は、図2に示すように、季節及び時間帯ごとにデマンド目標値が設定されている情報である。この目標値決定情報は、例えば、目標値決定部3bが有するメモリにより記憶されている。なお、図2中の数値は一例であり、その変更も可能である。
【0029】
ここで、現在の時刻が開店時間(10時〜23時)である場合において、季節が夏期(6/1〜9/15)であると、デマンド目標値は500kWであり、季節が中間期(4/1〜5/31及び9/16〜11/30)であると、デマンド目標値は400kWであり、季節が冬期(12/1〜3/31)であると、デマンド目標値は300kWである。一方、現在の時刻が閉店時間(23時〜10時)である場合において、季節が夏期であると、デマンド目標値は300kWであり、季節が中間期であると、デマンド目標値は250kWであり、季節が冬期であると、デマンド目標値は200kWである。
【0030】
季節修正部3cは、季節時間帯決定部3aから出力された季節時間帯情報に加え、外気温度センサ3gにより検出された外気温度を用いて、現在の季節を他の季節に修正する。詳しくは、季節修正部3cは、季節及び時間帯ごとに修正条件及び修正季節を示す季節修正情報を記憶しており、その季節修正情報に基づき、現在の季節、時間帯及び外気温度に応じて現在の季節を修正する。
【0031】
季節修正情報は、図3に示すように、季節及び時間帯ごとに修正条件及び修正季節が設定されている情報である。この季節修正情報は、例えば、季節修正部3cが有するメモリにより記憶されている。なお、図3中の数値は一例であり、その変更も可能である。
【0032】
ここで、現在の時刻が開店時間である場合において、季節が夏期であると、外気温度が25℃以下(修正条件)で季節を夏期から中間期(修正季節)に変更し、季節が中間期であると、修正条件は外気温度が30℃以上(修正条件)で季節を中間期から夏期(修正季節)にさらに外気温度が15℃以下で季節を中間期から冬期(修正季節)に変更する。また、季節が冬期であると、修正条件は外気温度が20℃以上(修正条件)で季節を冬期から中間期(修正季節)に変更する。
【0033】
一方、現在の時刻が閉店時間である場合において、季節が夏期であると、外気温度が15℃以下(修正条件)で季節を夏期から中間期(修正季節)に変更し、季節が中間期であると、外気温度が20℃以上(修正条件)で季節を中間期から夏期(修正季節)にさらに外気温度が10℃以下で季節を中間期から冬期(修正季節)に変更する。また、季節が冬期であると、外気温度が15℃以上(修正条件)で季節を冬期から中間期(修正季節)に変更する。
【0034】
制御決定部3dは、季節時間帯決定部3aから出力された季節時間帯情報を用いて、各電気機器2から制御対象の電気機器2を選択し、選択した制御対象の電気機器2に対する制御内容を決定する。詳しくは、制御決定部3dは、季節及び時間帯ごとに制御対象の電気機器2及びその制御内容を示す制御決定情報を記憶し、記憶した制御決定情報に基づき、現在の季節及び時間帯に応じて、複数の電気機器2から制御対象の電気機器2を選択し、選択した制御対象の電気機器2に対する制御内容を決定する。
【0035】
制御決定情報は、図4に示すように、季節及び時間帯ごとに制御対象の電気機器2及びその制御内容(動作内容)が設定されているデマンド制御対象パターン情報である。この制御決定情報は、例えば、制御決定部3dが有するメモリにより記憶されている。なお、図4中の制御対象となる電気機器2やその制御内容は一例であり、その変更も可能である。また、図4中のA〜Kは、図1中の各電気機器2のA〜Kを示すものである。
【0036】
ここで、現在の時刻が開店時間である場合において、季節が夏期であると、制御対象はA〜Kであり、その制御内容はA〜Cで設定値変更であり、D及びEで間欠運転であり、F及びGで完全停止であり、H及びIで間引き点灯であり、J及びKで完全停止である。また、季節が中間期であると、制御対象はB〜G、J及びKであり、その制御内容はB及びCで設定値変更であり、D〜G、J及びKで完全停止であり、季節が冬期であると、制御対象はC〜Eであり、その制御内容はCで設定値変更であり、D及びEで間欠運転である。
【0037】
一方、現在の時刻が閉店時間である場合において、季節が夏期であると、制御対象はA〜Cであり、その制御内容はA〜Cで設定値変更である。また、季節が中間期であると、制御対象はB及びCであり、その制御内容はB及びCで間欠運転であり、季節が冬期であると、制御対象はCであり、その制御内容はCで間欠運転である。
【0038】
このような制御決定情報は、各電気機器2による使用電力(デマンド値)がデマンド目標値を超えないように予め設定されている。例えば、制御内容は、店内売場のために完全に停止することが不可能である電気機器2、完全に停止することが可能である電気機器2(例えば、バックヤードの空調機Jや社員食堂の空調機Kなど)、設定値変更に留めておくべき電気機器2に分けて予め設定されている。また、閉店時間に停止していると予めわかっている電気機器2(例えば、第1エリアの空調機Dや第2エリアの空調機E、第1エリアのケース照明F、第2エリアのケース照明Gなど)については、閉店時間中のデマンド制御の対象から外すことで、無駄な制御指令をしないようにすることが可能である。
【0039】
制御実行部3eは、制御決定部3dにより選択された制御対象の電気機器2を制御決定部3dにより決定された制御内容に応じて制御する。詳しくは、制御実行部3eは、制御決定部3dから制御対象の電気機器2及びその制御内容を示す制御実行情報を受け、その制御実行情報に基づいて各電気機器2を制御するデマンド制御を行う。
【0040】
入力部3fは、操作者により入力操作される操作部である。この入力部3fとしては、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスを用いることが可能である。操作者は入力部3fを入力操作し、目標値決定情報(図2参照)、季節修正情報(図3参照)及び制御決定情報(図4参照)の各内容を入力したり、さらに、変更したりすることが可能である。
【0041】
外気温度センサ3gは、食品店舗の外気温度を検出可能に店舗外、例えば店舗の外壁などに設置されており、検出した外気温度を季節修正部3cに出力する。これにより、季節修正部3cは外気温度を現在季節の修正に用いることが可能となる。
【0042】
なお、前述の季節時間帯決定部3aや目標値決定部3b、季節修正部3c、制御決定部3d、制御実行部3eなどは、電気回路などのハードウエアで構成されても良く、あるいは、これらの機能を実行するプログラムなどのソフトウエアで構成されても良い。また、ハードウエア及びソフトウエアの両方の組合せにより構成されても良い。
【0043】
ここで、外気温度(外気環境)によってデマンド目標値を自動的に変えることで、最適なデマンド制御(デマンド値の制御)を行うことが可能となる。なお、デマンド値は、例えば30分のデマンド時限の使用電力量が計測されて平均された平均使用電力である。また、外気温度は、例えば30分のデマンド時限に合わせた30分の平均温度であり、30分ごとに再計算されて更新されていく。
【0044】
このデマンド制御では、例えば、図5に示すように、通常、夏期の開店時間中のデマンド目標値(点線の直線a)が500kWである場合には、デマンド値が500kWのデマンド目標値を超えないため、デマンド制御は実行されない。ところが、夏期の開店時間中であっても外気温度(実線の折れ線b)が25℃以下である場合には、前述の季節修正部3cにより季節が夏期から中間期に修正されるため、デマンド目標値(点線の直線a)は自動的に500kWから400kWとなる。その後、このデマンド目標値に基づいてデマンド制御が行われることになる。例えば、ショーケースの負荷は外気温度の影響を大きく受けるため、外気温度が低いときには無理せず、例えば、ショーケース用の冷凍機に対して設定値変更や間欠運転などのデマンド制御を行い、デマンド目標値400kWを達成する。これにより、図5中の塗りつぶし部分(黒い領域c)の使用電力量を削減することが可能となる。
【0045】
次に、前述の制御装置3が行うデマンド制御処理(制御方法)について図6を参照して説明する。
【0046】
図6に示すように、目標値決定情報(図2参照)、季節修正情報(図3参照)及び制御決定情報(図4参照)が入力部3fに対する操作者の入力操作に応じて設定される(ステップS1)。
【0047】
このとき、操作者は入力部3fを入力操作して必要な情報を入力する。例えば、図2に示す目標値決定情報を設定する場合には、操作者は入力部3fを入力操作して季節及び時間帯ごとに希望のデマンド目標値を入力していく。この入力に応じて目標値決定情報が目標値決定部3bのメモリに設定される。他の情報も同じように入力され、季節修正情報は季節修正部3cのメモリに、制御決定情報は制御決定部3dのメモリに設定される。
【0048】
ステップS1の処理後、現在の日時から現在の季節及び開店/閉店時間帯が季節時間帯決定部3aにより決定される(ステップS2)。このとき、例えば、現在の日時が7/5、11時00分である場合には、現在の季節は夏期であり、現在の時間帯は開店時間帯であると決定される。また、現在の日時が9/30、7時00分である場合には、現在の季節は中間期であり、現在の時間帯は閉店時間帯であると決定される。
【0049】
ステップS2の処理後、現在の外気温度から季節修正を行うか否かが季節修正部3cにより判断され(ステップS3)、季節修正を行うと判断されると(ステップS3のYES)、現在の季節が季節修正部3cにより修正され(ステップS4)、処理はステップS5に進む。一方、季節修正を行わないと判断されると(ステップS3のNO)、そのまま処理がステップS5に進む。
【0050】
このとき、前述の季節修正情報に基づき、現在の季節、時間帯及び外気温度に応じて、現在の季節を修正するか否かが判断され、修正を行う必要があると判断されると、現在の季節が他の季節に修正される。例えば、図3に示す季節修正情報が用いられた場合には、現在の季節が夏期であり、時間帯が開店時間であり、外気気温が30℃であるとき、現在の季節を修正する必要が無いと判断される。一方、現在の季節が夏期であり、時間帯が開店時間であり、外気気温が23℃であるとき、現在の季節を修正する必要が有ると判断され、現在の季節は夏期から中間期に修正される。
【0051】
その後、現在の季節と開店/閉店時間帯からデマンド目標値が目標値決定部3bにより決定される(ステップS5)。このとき、前述の目標値決定情報に基づき、現在の季節及び時間帯に応じてデマンド目標値が決定される。例えば、図2に示す目標値決定情報が用いられた場合には、現在の季節が夏期であり、時間帯が開店時間であるとき、目標値は500kWに決定される。また、現在の季節が中間期であり、時間帯が閉店時間である場合には、目標値は250kWに決定される。
【0052】
前述のステップS5の処理後、現在の季節と開店/閉店時間帯からデマンド制御対象負荷及びその制御内容が制御決定部3dにより決定される(ステップS6)。このとき、前述の制御決定情報に基づき、現在の季節及び時間帯に応じて、複数の電気機器2から制御対象の電気機器2が選択され、その制御対象の電気機器2に対する制御内容が決定される。例えば、図4に示す制御決定情報が用いられた場合には、現在の季節が夏期であり、時間帯が開店時間であるとき、制御対象の電気機器2はA〜K(図1参照)であり、その制御内容はA〜Cで設定値変更であり、D及びEで間欠運転であり、F及びGで完全停止であり、H及びIで間引き点灯であり、J及びKで完全停止であると決定される。また、現在の季節が中間期であり、時間帯が閉店時間である場合には、制御対象の電気機器2はB及びCであり、その制御内容はB及びCで間欠運転であると決定される。
【0053】
前述のステップS6の処理後、決定されたデマンド制御対象負荷に対して前述の制御内容でデマンド制御が制御実行部3eにより実行される(ステップS7)。このとき、例えば、制御対象の電気機器2がA〜Cであり、その制御内容が設定値変更である場合には、設定値を変更する命令が第1冷凍機A、第2冷凍機B及び第3冷凍機Cに対して出力される。同様に、制御対象の電気機器2がD及びEであり、その制御内容が間欠運転である場合には、間欠運転を指示する命令が第1エリアの空調機D及び第2エリアの空調機Eに対して出力される。
【0054】
前述のステップS7の処理後、全てのデマンド制御対象負荷に対するデマンド制御が終了したか否かが判断され(ステップS8)、そのデマンド制御が終了してないと判断されると(ステップS8のNO)、処理がステップS6に戻されて繰り返される。一方、デマンド制御が終了していると判断されると(ステップS8のYES)、目標値決定情報、季節修正情報及び制御決定情報における各設定値の変更要求があるか否かが判断される(ステップS9)。なお、操作者は入力部3fを入力操作し、設定値の変更要求を入力する。この要求は一度出されると、設置値の変更あるいはその要求の取り消しが行われるまで保持される。
【0055】
ステップS9において、前述の設定値の変更要求が有ると判断されると(ステップS9のYES)、処理はステップS1に戻されて繰り返され、一方、前述の設定値の変更要求が無いと判断されると(ステップS9のNO)、処理はステップS2に戻されて繰り返される。なお、ステップS1では、変更要求を出した操作者が入力部3fを入力操作し、設定値を変更することになる。例えば、図2に示す目標値決定情報が用いられている場合には、操作者は入力部3fを入力操作して希望のデマンド目標値を変更する。これと同様に、操作者は他の情報でもその内容を変更することが可能である。
【0056】
このようなデマンド制御処理では、季節と時間帯ごとにデマンド目標値を有し、現在の日時(日付と時刻)に応じてデマンド目標値を決定するが、外気環境(季節や時刻、外気温度など)に応じてデマンド目標値を自動的に修正することが可能である。また、デマンド制御対象も季節と時間帯ごとに有し、現在の日時(日付と時刻)でデマンド制御対象を決定するが、外気環境(季節や時刻、外気温度など)に応じてデマンド制御対象も自動的に修正することが可能となり、さらに、その制御内容(例えば、設定値変更や間欠運転、完全停止など)も変えることが可能となる。
【0057】
このように、季節及び時間帯ごとに制御対象及びその制御内容を変えることによって、最適なデマンド制御を行うことができる。例えば、閉店時間に消灯しているケース照明をデマンド制御によってOFF(消灯)しても効果はないため、閉店時間に制御対象として決定した電気機器2のみを制御する。また、スーパーマーケットなどの食品店舗では、外気温度が下がる冬期は全体電力量が少なくなるため(デマンド目標値も下げられるため)、夏期と同じ負荷の冷凍機をデマンド制御した場合、その冷凍機をOFF(停止)すると電力は大きく下がるが、再度ON(起動)すると、プルダウン時の電力使用により目標値オーバーが発生することがあり、電力が安定しない。ところが、前述のように季節及び時間帯ごとに別の電気機器2を制御対象とすることで、バランス良く使用電力を削減することができる。
【0058】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、現在の季節及び時刻に応じて、複数の電気機器2による使用電力がデマンド目標値を超えないように、各電気機器2から制御対象の電気機器2を選択し、選択した制御対象の電気機器2に対する制御内容を決定する。これにより、現在の季節や時刻に応じて制御対象となる電気機器2及びその制御内容が適切に決定されるため、外気環境が変化してもその変化に対応することが可能となるので、外気環境に応じて確実に使用電力を削減することができる。
【0059】
また、外気温度に応じて現在の季節を修正し、現在の時刻に加え、修正した現在の季節に応じて使用電力の目標値を決定することによって、外気温度に応じてデマンド目標値を決定することが可能になり、外気環境に応じてより確実に使用電力を削減することができる。さらに、前述の制御決定情報を用いて制御対象の電気機器2及びその制御内容を決定することによって、現在の季節や時刻に応じて制御対象の電気機器2及びその制御内容をより適切に決定することが可能になり、より確実に使用電力を削減することができる。また、操作者は必要に応じて前述の制御決定情報における制御対象の電気機器や制御内容を適切に変更することが可能であることから、利用者の利便性を向上させることができ、加えて、より確実に使用電力を削減することができる。
【0060】
なお、本発明は、前述の実施形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 食品店舗システム
2 電気機器
3 制御装置
3a 季節時間帯決定部
3b 目標値決定部
3c 季節修正部
3d 制御決定部
3e 制御実行部
3f 入力部
3g 外気温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6