特許第6057420号(P6057420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057420
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/16 20060101AFI20161226BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   B65H9/16
   B65H5/02 M
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-19316(P2013-19316)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-148409(P2014-148409A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 伸幸
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−099243(JP,U)
【文献】 実開昭56−064943(JP,U)
【文献】 実開平07−024840(JP,U)
【文献】 特開平10−279134(JP,A)
【文献】 特開平06−183628(JP,A)
【文献】 特開2007−022665(JP,A)
【文献】 特開平03−182445(JP,A)
【文献】 特開昭56−113641(JP,A)
【文献】 特公昭48−035012(JP,B1)
【文献】 特開平07−076436(JP,A)
【文献】 特開2003−312898(JP,A)
【文献】 特開平09−301577(JP,A)
【文献】 実開昭63−183150(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 9/00− 9/20
B65H 13/00−15/02
B65H 29/12−29/24
B65H 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の搬送路を有するフレームと、
前記フレームに取り付けられて前記搬送路の一側に配置され、搬送方向にのびる基準プレートと、
前記フレームに取り付けられ、前記搬送路の下側において前記基準プレートに対し前記搬送路の上流方向に鋭角をなしてのびる傾斜搬送ベルトと、
前記搬送路の上側に配置され、前記傾斜搬送ベルト上を搬送される用紙の上面に圧接する用紙ずらせユニットと、を備え、用紙を前記傾斜搬送ベルトによって搬送しつつ、前記用紙ずらせユニットによって前記斜搬送ベルト上で横滑りさせ、当該用紙の一側縁をその全長にわたって基準プレートに当接させることにより、当該用紙の斜行を補正する用紙搬送装置において、
一対の平行な前記傾斜搬送ベルトを備え、
前記用紙ずらせユニットが、
前記フレームに取り付けられ、前記傾斜搬送ベルトの上方において前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびるハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて前記ハウジングの長さ方向に間隔をあけた位置において上下運動可能とされ、前記一対の傾斜搬送ベルトに接触しつつ回転する複数のローラ対と、を備え、前記ローラ対の回転軸は前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのび、さらに、
前記ハウジングに設けられるとともに、それぞれ前記複数のローラ対に連結されて前記ローラ対を前記傾斜搬送ベルトに向けて弾性的に付勢する複数のバネと、
前記ハウジングに設けられ、前記複数のバネのそれぞれの付勢力を一括して調節する押圧力調節機構と、を備え、
前記ローラ対は、前記傾斜搬送ベルト間の間隔に対応する長さを有する車軸と、前記車軸の両端に当該車軸のまわりに回転可能に取り付けられた一対のローラとからなり、前記ローラ対の車軸が、前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのびるとともに、前記ハウジングに対し上下運動可能に取り付けられ、
前記押圧力調節機構は、
前記ローラ対の車軸の上方に配置され、前記ハウジングの長さ方向にのびるバネ取付部材と、
前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を上下運動可能に案内するガイドと、
前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を上下運動させるバネ取付部材高さ調節機構と、からなり、
前記バネは、前記複数のローラ対の各車軸と前記バネ取付部材との間に取り付けられた圧縮バネからなり、
前記バネ取付部材高さ調節機構によって前記バネ取付部材および前記ローラ対間の距離が調節されて前記圧縮バネの圧縮長さが調節され、それによって、前記ローラ対の前記傾斜搬送ベルトに対する圧接力が調節されることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記傾斜搬送ベルト間の間隔に対応する幅を有し、前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびる矩形板状の水平部分と、前記水平部分の幅方向両端縁に接続し、前記水平部分から下向きに平行にのびる一対の矩形板状の垂直部分とを有する断面がコ字状の板状体からなり、前記一対の垂直部分の下部には、それぞれ、長さ方向に間隔をあけて長穴が設けられ、前記長穴には前記ローラ対の車軸が挿通されて上下運動可能に案内されており、
前記バネ取付部材は、前記ハウジングの内側において、最上流側の前記ローラ対の車軸および最下流側の前記ローラ対の車軸間にのびるバネ取付板からなり、
前記ガイドは、前記バネ取付板の長さ方向に間隔をあけた複数の位置にそれぞれ突設さたガイドロッドと、前記ハウジングの水平部分に形成されたガイド穴とからなり、前記ガイドロッドが、前記バネ取付板から垂直上方に前記ガイド穴を貫通してのびており、
前記バネ取付部材高さ調節機構は、前記ハウジングの水平部分を上下に貫通してのび、かつ前記水平部分に対し定位置において軸まわりに回転自在に取り付けられた調節ネジと、前記バネ取付板に設けられ、前記調節ネジと対をなすネジ溝を備えた貫通穴とからなり、前記調節ネジが前記貫通孔と螺合しており、前記調節ネジの回転に応じて、前記バネ取付板が前記ガイドによって案内されつつ上下運動することを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
用紙の搬送路を有するフレームと、
前記フレームに取り付けられて前記搬送路の一側に配置され、搬送方向にのびる基準プレートと、
前記フレームに取り付けられ、前記搬送路の下側において前記基準プレートに対し前記搬送路の上流方向に鋭角をなしてのびる傾斜搬送ベルトと、
前記搬送路の上側に配置され、前記傾斜搬送ベルト上を搬送される用紙の上面に圧接する用紙ずらせユニットと、を備え、用紙を前記傾斜搬送ベルトによって搬送しつつ、前記用紙ずらせユニットによって前記傾斜搬送ベルト上で横滑りさせ、当該用紙の一側縁をその全長にわたって基準プレートに当接させることにより、当該用紙の斜行を補正する用紙搬送装置において、
一対の平行な前記傾斜搬送ベルトを備え、
前記用紙ずらせユニットが、
前記フレームに取り付けられ、前記傾斜搬送ベルトの上方において前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびるハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて前記ハウジングの長さ方向に間隔をあけた位置において上下運動可能とされ、前記一対の傾斜搬送ベルトに接触しつつ回転する複数のローラ対と、を備え、前記ローラ対の回転軸は前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのび、さらに、
前記ハウジングに設けられるとともに、それぞれ前記複数のローラ対に連結されて前記ローラ対を前記傾斜搬送ベルトに向けて弾性的に付勢する複数のバネと、
前記ハウジングに設けられ、前記複数のバネのそれぞれの付勢力を一括して調節する押圧力調節機構と、を備え、
前記用紙ずらせユニットは、さらに、
前記ハウジングに取り付けられ、前記傾斜搬送ベルトの上方の前記ハウジングの長さ方向に間隔をあけた位置において、前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのび、その軸まわりに回転可能とされた複数のシャフトと、
前記複数のシャフトのそれぞれの前記傾斜搬送ベルトに対応する位置に、前記シャフトとともに回転可能に取り付けられた一対のレバーと、を備え、前記レバーは前記シャフトに対する取付部の両側に第1および第2の腕部分を有しており、
前記用紙ずらせユニットは、さらに、
前記一対のレバー間にのび、前記一対のレバーの前記第1の腕部分同士を互いに連結するロッドを備え、
前記ローラ対は、前記一対のレバーのそれぞれの前記第2の腕部分に回転可能に取り付けられた各1つのローラからなり、前記一対のレバーの前記シャフトの軸まわりの搖動によって前記ローラ対が上下運動するようになっており、
前記押圧力調節機構は、
前記ロッドの上方に配置され、前記ハウジングの長さ方向にのびるバネ取付部材と、
前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を前記ハウジングの長さ方向に運動可能に案内するガイドと、
前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を前記ハウジングの長さ方向に運動させるバネ取付部材位置調節機構と、からなり、
前記バネは、前記一対のレバーの前記ロッドと前記バネ取付部材との間に取り付けられて、前記一対のレバーを前記ローラ対が前記傾斜搬送ベルトに押し付けられる向きに弾性的に付勢する引張バネからなり、
前記バネ取付部材位置調節機構によって前記バネ取付部材の前記ハウジングに対する位置が調節されて前記引張バネの引張長さが調節され、それによって、前記ローラ対の前記傾斜搬送ベルトに対する圧接力が調節されることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記傾斜搬送ベルト間の間隔に対応する幅を有し、前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびる矩形板状の水平部分と、前記水平部分の幅方向両端縁に接続し、前記水平部分から下向きに平行にのびる一対の矩形板状の垂直部分とを有する断面がコ字状の板状体からなり、前記シャフトが前記一対の垂直部分に取り付けられて、前記一対の垂直部分間にのび、前記レバーが前記シャフトにおける前記一対の垂直部分のそれぞれの内側に取り付けられており、
前記バネ取付部材は、前記ハウジングの内側において前記ハウジングの長さ方向にのびるバネ取付板からなり、
前記ガイドは、前記バネ取付板に取り付けられて、前記バネ取付板の長さ方向に間隔をあけた複数の位置において前記バネ取付板の両側に突出する支持ロッドと、前記ハウジングの前記一対の垂直部分の上部における前記支持ロッドに対応する位置に形成された複数の長穴と、を備え、前記長穴は前記ハウジングの長さ方向にのび、前記支持ロッドが前記長穴に挿入されており、
前記バネ取付部材位置調節機構は、前記ハウジングの水平部分に形成されて前記水平部分の長さ方向にのびるスロットと、前記バネ取付板の上面に設けられ、前記バネ取付板から上方に前記スロットを貫通してのびる拡張部と、前記水平部分の上面に設けられ、前記バネ取付板の前記拡張部に対向するネジ取付部と、前記ネジ取付部を前記ハウジングの長さ方向に貫通してのび、前記ネジ取付部に対し定位置において軸まわりに回転自在に取り付けられた調節ネジと、前記拡張部に設けられ、前記調節ネジと対をなすネジ溝を備えた貫通穴とからなり、前記調節ネジが前記貫通孔と螺合しており、前記調節ネジの回転に応じて、前記バネ取付板が前記ガイドによって案内されつつ前記ハウジングの長さ方向に運動することを特徴とする請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記複数のバネは、それぞれ、異なるバネ定数を有していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送装置、特に、搬送中の用紙の斜行を補正する機構を備えた用紙搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙折り装置や用紙裁断装置は、通常、その前段に配置された用紙搬送装置から用紙の供給を受けるようになっており、また、印刷機および複写機等の画像形成装置は、内部に用紙搬送装置(用紙搬送機構)を備えている。
ところで、用紙折り装置や用紙裁断装置においては、折りナイフ、折りローラまたはカッターに対して用紙を正確に位置合わせしなければならず、また、画像形成装置においては、印刷部や複写部に対して用紙を正確に位置合わせする必要がある。
そのため、用紙搬送装置(用紙搬送機構)には、搬送中に用紙が斜行した場合にそれを補正する機能を備えたものがある。
【0003】
この種の用紙搬送装置として、例えば、搬送路の一側に配置されて搬送方向にのびる規制部材と、回転駆動される搬送ローラおよび搬送ローラに斜めに当接する斜送ころの対からなる第1および第2の搬送手段を備え、各搬送手段の搬送ローラおよび斜送ころ間のニップ部によって挟持搬送される用紙に規制部材に向かう力を付与するとともに、第1の搬送手段を第2の搬送手段よりも上流側に、かつ第1の搬送手段のニップ部の方が第2の搬送手段のニップ部よりも規制部材から離れるように配置し、第1および第2の搬送手段によって搬送するシートに第2のニップ部を中心とした回転力を付与し、用紙の一側縁をその全長にわたって規制部材に当接させることにより、用紙の斜行を補正するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この構成によれば、斜送ころは搬送ローラに対しバネ付勢されていて、斜送ころの搬送ローラに対する圧接力は常に一定であるが、搬送すべき用紙の紙質および厚さ等はしばしば変更される。そのため、用紙によっては、搬送ローラおよび斜送ころの間で適度にスリップせず、ガイドにうまく沿わなかったり、あるいは、ガイドに強く押し付けられて皺が発生する場合があった。
【0005】
また、この種の用紙搬送装置として、例えば、搬送路の一側に配置されて搬送方向にのびる基準プレートと、上流側から基準プレートに向かって搬送方向に対し斜めにのびる傾斜搬送ベルトと、傾斜搬送ベルト上にその長さ方向に間隔をあけて配置され、それぞれ定位置において傾斜ベルトに圧接しつつ回転可能に保持された複数のボールと、を備え、用紙を、傾斜搬送ベルトによって搬送しつつボールの自重によって傾斜搬送ベルトに押し付けて、傾斜搬送ベルト上において横滑りさせ、用紙の一側縁をその全長にわたって基準プレートに当接させることによって、用紙の斜行を補正するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この構成によれば、ボールの材質(プラスチックや金属等)、ボールの個数および配列パターンを変更することによって、ボールの傾斜搬送ベルトに対する圧接力およびボールおよび傾斜搬送ベルト間の摩擦力を調節することができ、紙質および厚さ等の異なる用紙にも対応可能である。
しかしながら、操作者は、異なる用紙毎に、ボールの材質、ボールの個数および配列パターンの最適の組み合わせを選択し、それに従ってボールやボールの配置を変更しなければならず、この作業が非常に面倒であった。また、使用される可能性のあるボールの全てを常に用意しておく必要があり、そのためのスペースが用紙搬送装置のコンパクト化の妨げになるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−146489号公報
【特許文献2】実開昭64−21157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、用紙の紙質および厚さ等が異なる場合でも、簡単かつ確実に用紙の斜行が補正可能で、しかも簡単でコンパクトな構造の用紙搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の発明は、用紙の搬送路を有するフレームと、前記フレームに取り付けられて前記搬送路の一側に配置され、搬送方向にのびる基準プレートと、前記フレームに取り付けられ、前記搬送路の下側において前記基準プレートに対し前記搬送路の上流方向に鋭角をなしてのびる傾斜搬送ベルトと、前記搬送路の上側に配置され、前記傾斜搬送ベルト上を搬送される用紙の上面に圧接する用紙ずらせユニットと、を備え、用紙を前記傾斜搬送ベルトによって搬送しつつ、前記用紙ずらせユニットによって前記斜搬送ベルト上で横滑りさせ、当該用紙の一側縁をその全長にわたって基準プレートに当接させることにより、当該用紙の斜行を補正する用紙搬送装置において、一対の平行な前記傾斜搬送ベルトを備え、前記用紙ずらせユニットが、前記フレームに取り付けられ、前記傾斜搬送ベルトの上方において前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびるハウジングと、前記ハウジングに取り付けられて前記ハウジングの長さ方向に間隔をあけた位置において上下運動可能とされ、前記一対の傾斜搬送ベルトに接触しつつ回転する複数のローラ対と、を備え、前記ローラ対の回転軸は前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのび、さらに、前記ハウジングに設けられるとともに、それぞれ前記複数のローラ対に連結されて前記ローラ対を前記傾斜搬送ベルトに向けて弾性的に付勢する複数のバネと、前記ハウジングに設けられ、前記複数のバネのそれぞれの付勢力を一括して調節する押圧力調節機構と、を備え、前記ローラ対は、前記傾斜搬送ベルト間の間隔に対応する長さを有する車軸と、前記車軸の両端に当該車軸のまわりに回転可能に取り付けられた一対のローラとからなり、前記ローラ対の車軸が、前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのびるとともに、前記ハウジングに対し上下運動可能に取り付けられ、前記押圧力調節機構は、前記ローラ対の車軸の上方に配置され、前記ハウジングの長さ方向にのびるバネ取付部材と、前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を上下運動可能に案内するガイドと、前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を上下運動させるバネ取付部材高さ調節機構と、からなり、前記バネは、前記複数のローラ対の各車軸と前記バネ取付部材との間に取り付けられた圧縮バネからなり、前記バネ取付部材高さ調節機構によって前記バネ取付部材および前記ローラ対間の距離が調節されて前記圧縮バネの圧縮長さが調節され、それによって、前記ローラ対の前記傾斜搬送ベルトに対する圧接力が調節されることを特徴とする用紙搬送装置を構成したものである。
【0011】
第1の発明において、好ましくは、前記ハウジングは、前記傾斜搬送ベルト間の間隔に対応する幅を有し、前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびる矩形板状の水平部分と、前記水平部分の幅方向両端縁に接続し、前記水平部分から下向きに平行にのびる一対の矩形板状の垂直部分とを有する断面がコ字状の板状体からなり、前記一対の垂直部分の下部には、それぞれ、長さ方向に間隔をあけて長穴が設けられ、前記長穴には前記ローラ対の車軸が挿通されて上下運動可能に案内されており、前記バネ取付部材は、前記ハウジングの内側において、最上流側の前記ローラ対の車軸および最下流側の前記ローラ対の車軸間にのびるバネ取付板からなり、前記ガイドは、前記バネ取付板の長さ方向に間隔をあけた複数の位置にそれぞれ突設さたガイドロッドと、前記ハウジングの水平部分に形成されたガイド穴とからなり、前記ガイドロッドが、前記バネ取付板から垂直上方に前記ガイド穴を貫通してのびており、前記バネ取付部材高さ調節機構は、前記ハウジングの水平部分を上下に貫通してのび、かつ前記水平部分に対し定位置において軸まわりに回転自在に取り付けられた調節ネジと、前記バネ取付板に設けられ、前記調節ネジと対をなすネジ溝を備えた貫通穴とからなり、前記調節ネジが前記貫通孔と螺合しており、前記調節ネジの回転に応じて、前記バネ取付板が前記ガイドによって案内されつつ上下運動するようになっている。
【0012】
上記課題を解決するため、また、第2の発明は、用紙の搬送路を有するフレームと、前記フレームに取り付けられて前記搬送路の一側に配置され、搬送方向にのびる基準プレートと、前記フレームに取り付けられ、前記搬送路の下側において前記基準プレートに対し前記搬送路の上流方向に鋭角をなしてのびる傾斜搬送ベルトと、前記搬送路の上側に配置され、前記傾斜搬送ベルト上を搬送される用紙の上面に圧接する用紙ずらせユニットと、を備え、用紙を前記傾斜搬送ベルトによって搬送しつつ、前記用紙ずらせユニットによって前記傾斜搬送ベルト上で横滑りさせ、当該用紙の一側縁をその全長にわたって基準プレートに当接させることにより、当該用紙の斜行を補正する用紙搬送装置において、一対の平行な前記傾斜搬送ベルトを備え、前記用紙ずらせユニットが、前記フレームに取り付けられ、前記傾斜搬送ベルトの上方において前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびるハウジングと、前記ハウジングに取り付けられて前記ハウジングの長さ方向に間隔をあけた位置において上下運動可能とされ、前記一対の傾斜搬送ベルトに接触しつつ回転する複数のローラ対と、を備え、前記ローラ対の回転軸は前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのび、さらに、前記ハウジングに設けられるとともに、それぞれ前記複数のローラ対に連結されて前記ローラ対を前記傾斜搬送ベルトに向けて弾性的に付勢する複数のバネと、前記ハウジングに設けられ、前記複数のバネのそれぞれの付勢力を一括して調節する押圧力調節機構と、を備え、前記用紙ずらせユニットは、さらに、前記ハウジングに取り付けられ、前記傾斜搬送ベルトの上方の前記ハウジングの長さ方向に間隔をあけた位置において、前記傾斜搬送ベルトを直角に横切って前記傾斜搬送ベルトに平行にのび、その軸まわりに回転可能とされた複数のシャフトと、前記複数のシャフトのそれぞれの前記傾斜搬送ベルトに対応する位置に、前記シャフトとともに回転可能に取り付けられた一対のレバーと、を備え、前記レバーは前記シャフトに対する取付部の両側に第1および第2の腕部分を有しており、前記用紙ずらせユニットは、さらに、前記一対のレバー間にのび、前記一対のレバーの前記第1の腕部分同士を互いに連結するロッドを備え、前記ローラ対は、前記一対のレバーのそれぞれの前記第2の腕部分に回転可能に取り付けられた各1つのローラからなり、前記一対のレバーの前記シャフトの軸まわりの搖動によって前記ローラ対が上下運動するようになっており、前記押圧力調節機構は、前記ロッドの上方に配置され、前記ハウジングの長さ方向にのびるバネ取付部材と、前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を前記ハウジングの長さ方向に運動可能に案内するガイドと、前記ハウジングに設けられて、前記バネ取付部材を前記ハウジングの長さ方向に運動させるバネ取付部材位置調節機構と、からなり、前記バネは、前記一対のレバーの前記ロッドと前記バネ取付部材との間に取り付けられて、前記一対のレバーを前記ローラ対が前記傾斜搬送ベルトに押し付けられる向きに弾性的に付勢する引張バネからなり、前記バネ取付部材位置調節機構によって前記バネ取付部材の前記ハウジングに対する位置が調節されて前記引張バネの引張長さが調節され、それによって、前記ローラ対の前記傾斜搬送ベルトに対する圧接力が調節されることを特徴とする用紙搬送装置を構成したものである。
【0013】
第2の発明において、好ましくは、前記ハウジングは、前記傾斜搬送ベルト間の間隔に対応する幅を有し、前記傾斜搬送ベルトの長さ方向にのびる矩形板状の水平部分と、前記水平部分の幅方向両端縁に接続し、前記水平部分から下向きに平行にのびる一対の矩形板状の垂直部分とを有する断面がコ字状の板状体からなり、前記シャフトが前記一対の垂直部分に取り付けられて、前記一対の垂直部分間にのび、前記レバーが前記シャフトにおける前記一対の垂直部分のそれぞれの内側に取り付けられており、前記バネ取付部材は、前記ハウジングの内側において前記ハウジングの長さ方向にのびるバネ取付板からなり、前記ガイドは、前記バネ取付板に取り付けられて、前記バネ取付板の長さ方向に間隔をあけた複数の位置において前記バネ取付板の両側に突出する支持ロッドと、前記ハウジングの前記一対の垂直部分の上部における前記支持ロッドに対応する位置に形成された複数の長穴と、を備え、前記長穴は前記ハウジングの長さ方向にのび、前記支持ロッドが前記長穴に挿入されており、前記バネ取付部材位置調節機構は、前記ハウジングの水平部分に形成されて前記水平部分の長さ方向にのびるスロットと、前記バネ取付板の上面に設けられ、前記バネ取付板から上方に前記スロットを貫通してのびる拡張部と、前記水平部分の上面に設けられ、前記バネ取付板の前記拡張部に対向するネジ取付部と、前記ネジ取付部を前記ハウジングの長さ方向に貫通してのび、前記ネジ取付部に対し定位置において軸まわりに回転自在に取り付けられた調節ネジと、前記拡張部に設けられ、前記調節ネジと対をなすネジ溝を備えた貫通穴とからなり、前記調節ネジが前記貫通孔と螺合しており、前記調節ネジの回転に応じて、前記バネ取付板が前記ガイドによって案内されつつ前記ハウジングの長さ方向に運動するようになっている。
また、第1および第2の発明において、前記複数のバネが、それぞれ、異なるバネ定数を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
第1および第2の発明によれば、一対の平行な傾斜搬送ベルト上を搬送される用紙を横滑りさせて基準プレートに沿わせる用紙ずらせユニットが、傾斜搬送ベルトの長さ方向に間隔をあけて配置されて傾斜搬送ベルトに圧接する複数のローラ対を備えるようにしたので、用紙を安定かつ確実に基準プレートに沿わせて用紙の斜行を補正することができる。
【0015】
第1の発明によれば、さらに、ローラ対を車軸と車軸両端に取り付けたローラとから構成して、各ローラ対の車軸をハウジングに対し上下運動可能に取り付けるとともに、押圧力調節機構を、ハウジングに対し上下運度可能に取り付けたバネ取付板と、バネ取付板高さ調節機構とから構成し、バネ取付板および各ローラ対の車軸間に圧縮バネを設けて各ローラ対を傾斜搬送ベルトに向けて弾性付勢し、バネ取付板高さ調節機構によってバネ取付板および各ローラ対間の距離、よって圧縮バネの圧縮長さを調節することで、各ローラ対の傾斜搬送ベルトに対する圧接力を一括して調節できるようにしたので、搬送すべき用紙の紙質や厚さ等が異なる場合であっても、各ローラ対の傾斜搬送ベルトに対する圧接力を簡単に変更し、用紙の斜行を安定かつ確実に補正できる。
第2の発明によれば、さらに、ローラ対を、ハウジングに対し一対のレバーを介して取り付けた一対のローラとから構成して、レバーの搖動によってローラが上下運動し得るようにし、押圧力調節機構を、ハウジングに対しハウジングの長さ方向に運動可能に取り付けたバネ取付部材と、バネ取付部材位置調節機構とから構成し、バネ取付部材および各一対のレバー間に引張バネを設けてローラ対を傾斜搬送ベルトに向けて弾性付勢し、バネ取付部材位置調節機構によって、バネ取付部材のハウジングに対する位置、よって引張バネの引張長さを調節することで、各ローラ対の傾斜搬送ベルトに対する圧接力を一括して調節できるようにしたので、搬送すべき用紙の紙質や厚さ等が異なる場合であっても、各ローラ対の傾斜搬送ベルトに対する圧接力を簡単に変更し、用紙の斜行を安定かつ確実に補正できる。
【0016】
本発明のこれらの効果は、紙質および厚さ等が異なる種々の用紙に対して得られることは言うまでもないが、特に、用紙表面にコーティングがなされて表面が滑りやすく、しかも比較的厚い用紙に対して顕著である。
また本発明によれば、簡単かつコンパクトな構造の用紙搬送装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の1実施例による用紙搬送装置を示す図であり、(A)は装置全体の構成を示す概略的な平面図であり、(B)は装置の主要部の斜視図である。
図2図1の用紙搬送装置の概略構成を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は搬送方向に見た正面図である。なお、図中、用紙搬送装置の用紙ずらせユニットは、バネ取付板およびローラ対間の距離(圧縮バネの圧縮長さ)が最長となった状態にある。
図3】用紙ずらせユニットのバネ取付板およびローラ対間の距離(圧縮バネの圧縮長さ)が最短となった状態を示す図2に類似の図である。
図4】本発明の別の実施例による用紙搬送装置を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は搬送方向に見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。図1は、本発明の1実施例による用紙搬送装置を示した図であり、(A)は装置全体の構成を示す概略的な平面図であり、(B)は装置の主要部の斜視図である。図2は、図1の用紙搬送装置の概略構成を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は搬送方向に見た正面図である。なお、図2中、用紙搬送装置の用紙ずらせユニットは、バネ取付板およびローラ対間の距離(圧縮バネの圧縮長さ)が最長となった状態にある。なお、図1(A)および図2(A)において、ハウジングの内部構成を明確化するため、ハウジングの壁は透明として描いてある。
【0019】
図1および図2を参照して、本発明による用紙搬送装置は、用紙Pの搬送路Fを有するフレーム(図示はしない)を備えている。そして、搬送路Fの一側には、基準プレート2が配置されている。基準プレート2は、フレームに取り付けられて搬送方向(矢印R)にのびている。
また、一対の平行な傾斜搬送ベルト3、4が、フレームに取り付けられて搬送路Fの下側に水平に配置されるとともに、基準プレート2に対し搬送路Fの上流方向に鋭角をなしてのびている。各傾斜搬送ベルト3、4は、同じ一定の速度で用紙Pを搬送するようになっている。
【0020】
本発明による用紙搬送装置は、また、搬送路Fの上側に配置され、傾斜搬送ベルト3、4上を搬送される用紙Pの上面に圧接する用紙ずらせユニット1を備えている。
用紙ずらせユニット1は、フレームに取り付けられ、傾斜搬送ベルト3、4の上方において傾斜搬送ベルト3、4の長さ方向にのびるハウジング5を備えている。
ハウジング5は、傾斜搬送ベルト3、4間の間隔に対応する幅を有し、傾斜搬送ベルト3、4の長さ方向にのびる矩形板状の水平部分5aと、水平部分5aの幅方向両端縁に接続し、水平部分5aから下向きに平行にのびる一対の矩形板状の垂直部分5b、5cとを有する断面がコ字状の板状体からなっている。
【0021】
ハウジング5の一対の垂直部分5b、5cの下部には、それぞれ、長さ方向に間隔をあけて複数の長穴6が設けられている。各長穴6は上下方向にのび、また、一方の垂直部分5bの1の長穴6と他方の垂直部分5cの1の長穴6が対をなし、この対毎に、2つの長穴6は傾斜搬送ベルト3、4を直角に横切る水平な直線上に位置している。
【0022】
そして、長穴6の各対には車軸7が挿通され、長穴6によって上下運動可能に案内されている。さらに、ハウジング5の一対の垂直部分5b、5cの外側に突出する車軸7の両端には、それぞれローラ8が車軸7のまわりに回転可能に取り付けられるとともに、対応する傾斜搬送ベルト3、4に接触している。
この場合、ローラ8の外周面は、滑らかに形成され、比較的小さい摩擦係数を有していることが好ましい。また、図示したように、ローラ対のローラ8は、傾斜搬送ベルト3、4のローラに対応する位置においてベルトに接触するように配置されることが好ましい。
【0023】
こうして、車軸7と、車軸7の両端に取り付けられた一対のローラ8とからローラ対が構成され、ローラ対の車軸7は、傾斜搬送ベルト3、4を直角に横切って傾斜搬送ベルト3、4に平行にのびるとともに、ハウジング5に対し上下運動可能になっている。
【0024】
なお、複数のローラ対7、8をハウジング5に対し、ハウジング5の長さ方向に間隔をあけて上下運動可能に取り付けるための構成は、この実施例のような、ハウジング5に設けた長穴6にローラ対の車軸7を挿通するものには限定されず、それ以外の公知の適当な取付構造が適用可能である。
【0025】
用紙ずらせユニット1は、また、ローラ対の車軸7の上方に配置され、ハウジング5の長さ方向にのびるバネ取付部材9と、ハウジング5に取り付けられ、バネ取付部材9を上下運動可能に案内するガイド10を備えている。
バネ取付部材9は、この実施例では、ハウジング5の内側において、最上流側のローラ対の車軸7および最下流側のローラ対の車軸7間にのびるバネ取付板からなっている。また、ガイド10は、この実施例では、バネ取付板9の長さ方向に間隔をあけた複数(この実施例では2つ)の位置にそれぞれ突設されたガイドロッド10aと、ハウジング5の水平部分5aに形成されたガイド穴10bからなっている。そして、ガイドロッド10aが、バネ取付板9から垂直上方にガイド穴10bを貫通してのびている。
【0026】
また、バネ取付板9と各ローラ対の車軸7との間には圧縮バネ11が取り付けられ、ローラ対のローラ8を傾斜搬送ベルト3、4に向けて弾性的に付勢するようになっている。この場合、圧縮バネ11としては、通常、全て同じバネ定数を有するものが使用されるが、必要に応じて、ローラ対毎に異なるばね定数を有する圧縮バネを使用することもできる。
【0027】
さらに、用紙ずらせユニット1は、ハウジングに設けられて、バネ取付板(バネ取付部材)9を上下運動させるバネ取付部材高さ調節機構12を備えている。
この実施例では、バネ取付部材高さ調節機構12は、ハウジング5の水平部分5aを上から下に貫通してのび、かつ水平部分5aに対し定位置において軸まわりに回転自在に取り付けられた調節ネジ12aと、バネ取付板9に設けられ、調節ネジ12aと対をなすネジ溝を備えた貫通穴12bとからなっている。そして、調節ネジ12aは貫通孔12bと螺合し、それによって、バネ取付板9が、調節ネジ12aを介してハウジング5から吊り下げ状態に支持されるとともに、調節ネジ12aの回転に応じてガイド10によって案内されつつ上下運動するようになっている。
【0028】
なお、図示はしないが、調節ネジ12の先端外周にはフランジが設けられ、このフランジにバネ取付板9の下面が当接することでバネ取付板9の下向きの運動が規制され、バネ取付板9が調節ネジ12から脱落しないようになっている。
【0029】
そして、バネ取付部材高さ調節機構12の調節ネジ12aの回転に伴って、バネ取付板9が上下運動してバネ取付板9およびローラ対7、8間の距離、よって圧縮バネ11の圧縮長さが変化する。
この状態を図2および図3に示した。図2は、バネ取付板9が最も高い位置にあって、バネ取付板9およびローラ対7、8間の距離(圧縮バネ11の圧縮長さ)が最長となった状態を示す図であり、図3は、バネ取付板9が最も低い位置にあって、バネ取付板およびローラ対間の距離(圧縮バネ11の圧縮長さ)が最短となった状態を示す図2に類似の図である。
図2に示した状態では、ローラ対7、8の傾斜搬送ベルト3、4に対する圧接力が最小となり、図3に示した状態では、ローラ対7、8の傾斜搬送ベルト3、4に対する圧接力が最大となる。
【0030】
こうして、バネ取付板9、ガイド10およびバネ取付部材高さ調節機構12から、各圧縮バネ11の付勢力を一括して調節する押圧力調節機構が構成され、バネ取付部材高さ調節機構12の調節ネジ12aを回転させるだけで、各ローラ対7、8の傾斜搬送ベルト3、4に対する圧接力が簡単に調節され得る。
この場合、各ローラ対の車軸7が、常に、関係する長穴6の上端および下端間のスペース内に位置するように、ハウジング5の長穴6の長さ、およびハウジング5の取付位置(長穴6と傾斜搬送ベルト3、4との間の距離)が設定されることに留意されたい。
【0031】
本発明の用紙搬送装置は、給紙装置等の前段の装置の出口と、用紙折り装置や用紙裁断装置、あるいは印刷機や複写機等の後段の装置の入口との間に配置される。そして、前段の装置の出口に配置された排紙ユニット、例えば、サクションベルト13から供給された用紙Pは、用紙搬送装置の一対の傾斜搬送ベルト3、4上に供給される。そして、傾斜搬送ベルト3、4上を搬送される用紙Pの上面には用紙ずらせユニット1のローラ対7、8が圧接する。それによって、用紙Pは、傾斜搬送ベルト3、4上を横滑りしながら、先端部から順に、その一側縁を基準プレート2に当接させ、最終的には、用紙の一側縁がその全長にわたって基準プレート2に当接する。その結果、用紙Pの斜行が補正され、次いで、傾斜搬送ベルト3、4から、後段の装置の入口に配置された用紙取り込みユニット、例えば、搬送ローラ対14に受け渡される。
【0032】
本発明の用紙搬送装置によれば、用紙ずらせユニット1が、一対の平行な傾斜搬送ベルト3、4の長さ方向に間隔をあけて配置されて傾斜搬送ベルト3、4に圧接する複数のローラ対7、8を備えるようにしたので、用紙Pを安定かつ確実に基準プレート2に沿わせて用紙Pの斜行を補正することができる。
【0033】
さらに本発明の用紙搬送装置によれば、各ローラ対7、8を圧縮バネ11によって傾斜搬送ベルト3、4に向けて弾性付勢することで、各ローラ対7、8を傾斜搬送ベルト3、4に圧接させるとともに、各圧縮バネ11の圧縮長さ(付勢力)をバネ取付部材高さ調節機構12によって一括調節可能としたので、搬送すべき用紙Pの紙質や厚さ等が異なる場合であっても、バネ取付部材高さ調節機構12を操作するだけで、各ローラ対7、8の傾斜搬送ベルト3、4に対する圧接力を簡単に変更し、常に、用紙Pの斜行を安定かつ確実に補正することができる。
【0034】
なお、本発明のこれらの効果は、紙質および厚さ等が異なる種々の用紙に対して得られることは言うまでもないが、特に、用紙表面にコーティングがなされて表面が滑りやすく、しかも比較的厚い用紙に対して顕著である。
【0035】
以上、本発明の構成をその好ましい1実施例について説明したが、本発明の構成は、この実施例に限定されるものではない。例えば、上述の実施例では、各ローラ対を圧縮バネによって傾斜搬送ベルトに弾性的に付勢するとともに、圧縮バネの付勢力を一括して調節する構成としたが、圧縮バネの代わりに引張バネを用いる構成とすることもできる。
【0036】
図4は、各ローラ対を引張バネによって傾斜搬送ベルトに向けて弾性的に付勢するとともに、引張バネの付勢力を一括して調節する構成を備えた用紙搬送装置の1例を示した図2に類似の図である。なお、図4(A)において、ハウジングの内部構成を明確化するため、ハウジングの壁は透明として描いてある。また、図4中、図1および図2に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下ではその詳細な説明を省略する。
【0037】
図4を参照して、この実施例では、用紙ずらせユニット1’は、フレーム(図示はしない)に取り付けられ、傾斜搬送ベルト3、4の上方において傾斜搬送ベルト3、4の長さ方向にのびるハウジング5’を備えている。
ハウジング5’は、傾斜搬送ベルト3、4間の間隔に対応する幅を有し、傾斜搬送ベルト3、4の長さ方向にのびる矩形板状の水平部分5a’と、水平部分5a’の幅方向両端縁に接続し、水平部分5a’から下向きに平行にのびる一対の矩形板状の垂直部分5b’、5c’とを有する断面がコ字状の板状体からなっている。
【0038】
また、ハウジング5’の一対の垂直部分5b’、5c’の長さ方向に間隔をあけた位置には、それぞれ、シャフト15が取り付けられている。シャフト15は、一対の垂直部分5b’、5c’間において傾斜搬送ベルト3、4を直角に横切って傾斜搬送ベルト3、4に平行にのび、軸まわりに回転可能になっている。
【0039】
ハウジング5’の一対の垂直部分5b’、5c’のそれぞれの内側であって、シャフト15の傾斜搬送ベルト3、4に対応する位置には、各1つのレバー16がシャフト15とともに回転可能に取り付けられている。
レバー16は、板状に形成され、シャフトに対する取付部の両側に第1の腕部分16aおよび第2の腕部分16bを有している。一対のレバー16は、シャフト15の軸のまわりにシャフト15の軸に垂直な面内で搖動し得る。
用紙ずらせユニット1’は、また、一対のレバー16間にのび、一対のレバー16の第1の腕部分16a同士を互いに連結するロッド17を備えている。
【0040】
一対のレバー16のそれぞれの第2の腕部分16bには各1つのローラ18が回転可能に取り付けられ、これら一対のローラ18はローラ対を構成する。ローラ対18の回転軸19は、傾斜搬送ベルト3、4を直角に横切って傾斜搬送ベルト3、4に平行にのびている。
この場合、各ローラ対18の外周面は、滑らかに形成され、比較的小さい摩擦係数を有していることが好ましい。また、図示したように、各ローラ対18は傾斜搬送ベルト3、4のローラに対応する位置においてベルトに接触するように配置されることが好ましい。
そして、一対のレバー16のシャフト17の軸まわりの搖動によってローラ対18、18が上下運動する。
【0041】
用紙そらせユニット1’は、さらに、ロッド17の上方に配置され、ハウジング5’の長さ方向にのびるバネ取付部材20と、ハウジング5’に設けられて、バネ取付部材20をハウジング5’の長さ方向に運動可能に案内するガイドを備えている。
バネ取付部材20は、ハウジング5’の内側においてハウジング5’の長さ方向にのびるバネ取付板からなっている。また、ガイドは、バネ取付板20に取り付けられて、バネ取付板20の長さ方向に間隔をあけた複数(この実施例では2つ)の位置においてバネ取付板20の両側に突出する支持ロッド22と、ハウジング5’の一対の垂直部分5b’、5c’の上部における支持ロッド22に対応する位置に形成された複数の長穴23とからなっている。長穴23はハウジング5’の長さ方向にのびている。
そして、支持ロッド22が対応する長穴23に挿入されており、それによって、バネ取付板20が、長穴23の範囲内で運動可能な支持ロッド22によって支持された状態でハウジング5’に取り付けられる。
【0042】
また、バネ取付板20における各ローラ対18に対応する位置には、バネ取付板20の下面の幅方向中央にバネ固定突起部20aが設けられている。そして、各バネ固定突起部20aと、対応するローラ対18の一対のレバー16のロッド17との間には、引張バネ21が取り付けられて、一対のレバー16をローラ対18が傾斜搬送ベルト3、4に押し付けられる向きに弾性的に付勢するようになっている。この場合、引張バネ21としては、通常、全て同じバネ定数を有するものが使用されるが、必要に応じて、ローラ対18毎に異なるバネ定数を有する引張バネを使用することもできる。
【0043】
用紙ずらせユニット1’は、さらに、ハウジング5’に設けられて、バネ取付板(バネ取付部材)20をハウジング5’の長さ方向に運動させるバネ取付部材位置調節機構12’を備えている。
バネ取付部材位置調節機構12’は、この実施例では、ハウジング5’の水平部分5aに形成されて水平部分5a’の長さ方向にのびるスロット(図示はしない)と、バネ取付板20の上面に設けられてバネ取付板20から上方にスロットを貫通してのびる拡張部24と、水平部分5aの上面に設けられてバネ取付板20の拡張部24に対向するネジ取付部25と、ネジ取付部25をハウジング5’の長さ方向に貫通し、ネジ取付部25に対し定位置において軸まわりに回転自在に取り付けられた調節ネジ26と、拡張部24に設けられ、調節ネジ26と対をなすネジ溝を備えた貫通穴24aとから構成される。
そして、調節ネジ26が貫通孔24aと螺合しており、調節ネジ26の回転に応じて、バネ取付板20がガイド22、23によって案内されつつハウジング5’の長さ方向に運動するようになっている。
【0044】
なお、図示はしないが、調節ネジ26の先端外周にはフランジが設けられ、このフランジにバネ取付板20の拡張部24が当接することでバネ取付板20の調節ネジ26から遠ざかる方向の運動が規制され、バネ取付板20が調節ネジ26から外れないようになっている。
【0045】
そして、バネ取付部材位置調節機構12’の調節ネジ26の回転に伴って、バネ取付板20がハウジングの長さ方向に運動してバネ取付板20のハウジング5’に対する位置、よって引張バネ21の引張長さが変化する。
こうして、バネ取付板20、ガイド22、23およびバネ取付部材位置調節機構12’から、各引張バネ21の付勢力を一括調節する押圧力調節機構が構成され、バネ取付部材位置調節機構12’の調節ネジ26を回転させるだけで、各ローラ対18の傾斜搬送ベルト3、4に対する圧接力が簡単に調節され得る。
この実施例もまた図1図3に示した実施例と同様の作用効果を奏することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1、1’ 用紙ずらせユニット
2 基準プレート
3、4 傾斜搬送ベルト
5 ハウジング
5a 水平部分
5b、5c 垂直部分
6 長穴
7 車軸
8 ローラ
9 バネ取付部材(バネ取付板)
10 ガイド
10a ガイドロッド
10b ガイド穴
11 圧縮バネ
12 バネ取付部材高さ調節機構
12a 調節ネジ
12b 貫通穴
12’ バネ取付部材位置調節機構
13 サクションベルト
14 搬送ローラ対
15 シャフト
16 レバー
16a 第1の腕部分
16b 第2の腕部分
17 ロッド
18 ローラ
19 回転軸
20 バネ取付板
20a バネ固定突起部
21 バネ
22 支持ロッド
23 長穴
24 拡張部
24a 貫通穴
25 ネジ取付部
26 調節ねじ
F 搬送路
P 用紙
R 搬送方向
図1
図2
図3
図4