特許第6057445号(P6057445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6057445ごみ焼却炉排ガス処理方法、ならびにごみ焼却炉排ガス処理設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6057445
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ごみ焼却炉排ガス処理方法、ならびにごみ焼却炉排ガス処理設備
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/40 20060101AFI20161226BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20161226BHJP
   B01D 46/02 20060101ALI20161226BHJP
   B01D 46/04 20060101ALI20161226BHJP
   B01D 53/68 20060101ALN20161226BHJP
【FI】
   B01D53/40
   B01D53/81ZAB
   B01D46/02 B
   B01D46/04
   !B01D53/68 100
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-207378(P2015-207378)
(22)【出願日】2015年10月21日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136804
【氏名又は名称】株式会社プランテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 良二
(72)【発明者】
【氏名】三宅 伴憲
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−254326(JP,A)
【文献】 特開2006−075758(JP,A)
【文献】 特開2008−229416(JP,A)
【文献】 特開2014−128775(JP,A)
【文献】 韓国特許第10−1997−0010162(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34−53/85
B01D 53/14−53/18
B01D 46/00−46/54
B01D 36/00−37/08
F23J 15/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理方法であって、
前記ろ過式集塵装置の入口側において排ガス量および当該排ガス中における酸性ガスの濃度を連続的に計測する計測処理と、
前記計測した酸性ガスの濃度と前記排ガス量とに基づき前記ろ過式集塵装置に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を推定する推定処理と、
当該推定結果に応じた薬剤を前記ろ過式集塵装置にまとめて供給する供給処理と、を行うことを特徴とするごみ焼却炉排ガス処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のごみ焼却炉排ガス処理方法において、
前記供給処理を行った後、前記連続的に計測している排ガス量と前記連続的に計測している酸性ガスの濃度とに基づいて前記ろ過式集塵装置内における薬剤の残量を推定し、当該推定結果が設定値以下になったか否かを判定する第1判定処理と、
前記供給処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の出口側において排ガス中における酸性ガスの濃度を計測し、当該計測結果が設定値以上になったか否かを判定する第2判定処理と、
前記供給処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の入口側と出口側との差圧を算出し、当該算出結果が設定値以上になったか否かを判定する第3判定処理と、
前記第1、第2、第3判定処理のいずれか1つで肯定判定したときに、前記ろ過式集塵装置のろ布を清掃する払落し処理と、をさらに行うことを特徴とするごみ焼却炉排ガス処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のごみ焼却炉排ガス処理方法において、
前記計測処理での酸性ガスの濃度計測には、レーザ式の分析計を用い、前記計測処理での排ガス量の計測には、ピトー管を用いる、ことを特徴とするごみ焼却炉排ガス処理方法。
【請求項4】
ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理設備であって、
前記プレコート層を形成するための動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記ろ過式集塵装置の入口側において排ガス量および当該排ガス中における酸性ガスの濃度を連続的に計測する処理を行う計測手段と、
前記計測した酸性ガスの濃度と前記排ガス量とに基づき前記ろ過式集塵装置に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を推定する処理を行う推定手段と、
当該推定結果に応じた薬剤を前記ろ過式集塵装置にまとめて供給する処理を行う供給手段と、を含むことを特徴とするごみ焼却炉排ガス処理設備。
【請求項5】
請求項4に記載のごみ焼却炉排ガス処理設備において、
前記制御部は、
前記供給手段の処理を行った後、前記連続的に計測している排ガス量と前記連続的に計測している酸性ガスの濃度とに基づいて前記ろ過式集塵装置内における薬剤の残量を推定し、当該推定結果が設定値以上になったか否かを判定する処理を行う第1判定手段と、
前記供給手段の処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の出口側において排ガス中における酸性ガスの濃度を計測し、当該計測結果が設定値以上になったか否かを判定する処理を行う第2判定手段と、
前記供給手段の処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の入口側と出口側との差圧を算出し、当該算出結果が設定値以上になったか否かを判定する処理を行う第3判定手段と、
前記第1、第2、第3判定手段のいずれか1つで肯定判定したときに、前記ろ過式集塵装置のろ布を清掃する処理を行う払落し手段と、をさらに含むことを特徴とするごみ焼却炉排ガス処理設備。
【請求項6】
請求項4または5に記載のごみ焼却炉排ガス処理設備において、
前記計測処理での酸性ガスの濃度計測には、レーザ式の分析計を用い、前記計測処理での排ガス量の計測には、ピトー管を用いる、ことを特徴とするごみ焼却炉排ガス処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理方法、ならびにごみ焼却炉排ガス処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉から排出される排ガスには、焼却対象となるごみの種類によって塩化水素(HCl)や、硫黄酸化物(SOx)など、有害な酸性ガスが含まれるようになっている。
【0003】
従来は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを200℃以下に減温してから、この排ガスをろ過式集塵装置に通すことにより、前記排ガス中の酸性ガスを除去した後、煙突から大気中に排出させるようにしている。前記ろ過式集塵装置には、前記酸性ガスを中和するための薬剤(例えば消石灰など)を供給するようにしている。
【0004】
例えば特許文献1では、前記ろ過式集塵装置の入口側と出口側との差圧、ならびに出口側の酸性有害ガス濃度を測定し、前記差圧から付着層の層厚を類推し、前記差圧が設定値に達した場合は付着層を払落し、また前記出口側の酸性有害ガス濃度から未反応薬剤の有効層厚を類推して、付着層払落し時の酸性有害ガス濃度に基づいて次回の薬剤噴霧量を補正するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2518576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、バグフィルタ出口側の酸性有害ガス濃度から未反応薬剤の有効層厚を類推するとされているが、ごみは一様でなく、焼却に伴い発生する酸性ガス濃度は一定でないため、バグフィルタ入口側の酸性ガス濃度の変化によってバグフィルタ出口側の酸性ガス濃度も変化するため、未反応薬剤量を類推しても誤差が大きくなり、薬剤を過剰に供給することが必要になる。そのため、ランニングコストが増大することになる。
【0007】
また、前記のように過剰な量の薬剤を供給するようにしていると、当該薬剤が前記ろ過式集塵装置内で完全に反応するまでに前記ろ過式集塵装置のろ布に付着する飛灰によって、当該ろ過式集塵装置の入口側と出口側との差圧が上昇することがある。
【0008】
その場合には、前記ろ過式集塵装置のろ布を払い落とす処理を行う必要がある。この処理では、前記ろ過式集塵装置内に未反応の薬剤が残った状態でろ布表面の付着物を払い落とすことになる。
【0009】
つまり、前記薬剤の供給量を過剰に設定している場合には、前記払落し処理を比較的早期段階で行う必要が生じるなど、操業時間にロスが生じる。
【0010】
このような事情に鑑み、本発明は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理方法において、必要以上の薬剤を使用することなく、前記ろ過式集塵装置による所期の浄化能力を確保可能とすることを目的としている。また、本発明は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理設備において、必要以上の薬剤を使用することなく、前記ろ過式集塵装置による所期の浄化能力を確保可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理方法であって、前記ろ過式集塵装置の入口側において排ガス量および当該排ガス中における酸性ガスの濃度を連続的に計測する計測処理と、前記計測した酸性ガスの濃度と前記排ガス量とに基づき前記ろ過式集塵装置に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を推定する推定処理と、当該推定結果に応じた薬剤を前記ろ過式集塵装置にまとめて供給する供給処理と、を行うことを特徴としている。
【0012】
この構成では、プレコート方式において、ろ過式集塵装置に流入する排ガス量および当該排ガス中の酸性ガスの濃度から、前記ろ過式集塵装置内に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を調べて、当該最適量の薬剤を前記ろ過式集塵装置内にまとめて供給するようにしている。
【0013】
これにより、前記薬剤を従来例のように過剰に供給するといった無駄がなくなるので、ランニングコストの低減に貢献できるようになる。
【0014】
ところで、前記ごみ焼却炉排ガス処理方法は、前記供給処理を行った後、前記連続的に計測している排ガス量と前記連続的に計測している酸性ガスの濃度とに基づいて前記ろ過式集塵装置内における薬剤の残量を推定し、当該推定結果が設定値以下になったか否かを判定する第1判定処理と、前記供給処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の出口側において排ガス中における酸性ガスの濃度を計測し、当該計測結果が設定値以上になったか否かを判定する第2判定処理と、前記供給処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の入口側と出口側との差圧を算出し、当該算出結果が設定値以上になったか否かを判定する第3判定処理と、前記第1、第2、第3判定処理のいずれか1つで肯定判定したときに、前記ろ過式集塵装置のろ布を清掃する払落し処理と、をさらに行うようにすることが可能である。
【0015】
この場合、前記ろ過式集塵装置のろ布に薬剤ができるだけ残っていない状態で払落しを行うことが可能になる。これにより、薬剤を無駄に使用することを回避できるようになるので、ランニングコストの低減に貢献できるようになる。
【0016】
また、前記計測処理での酸性ガスの濃度計測には、レーザ式の分析計を用い、前記計測処理での排ガス量の計測には、ピトー管を用いる、ことが可能である。この場合、排ガス量および排ガス中の酸性ガス(塩化水素など)の濃度を、非接触かつリアルタイムで連続的に計測することが可能になるから、ろ過式集塵装置に供給すべき薬剤の最適量の推定精度を高めることができるようになる。これにより、薬剤を無駄に使用することを回避できるようになる。その他、薬剤の供給に関して細かい制御を行うことが可能になるので、薬剤のさらなる節約が可能になる。
【0017】
本発明は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理設備であって、前記プレコート層を形成するための動作を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記ろ過式集塵装置の入口側において排ガス量および当該排ガス中における酸性ガスの濃度を連続的に計測する処理を行う計測手段と、前記計測した酸性ガスの濃度と前記排ガス量とに基づき前記ろ過式集塵装置に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を推定する処理を行う推定手段と、当該推定結果に応じた薬剤を前記ろ過式集塵装置にまとめて供給する処理を行う供給手段と、を含むことを特徴としている。
【0018】
この構成では、プレコート方式において、ろ過式集塵装置に流入する排ガス量および当該排ガス中の酸性ガスの濃度から、前記ろ過式集塵装置内に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を調べて、当該最適量の薬剤を前記ろ過式集塵装置内にまとめて供給するようにしている。
【0019】
これにより、前記薬剤を従来例のように過剰に供給するといった無駄がなくなるので、ランニングコストの低減に貢献できるようになる。
【0020】
ところで、前記制御部は、前記供給手段の処理を行った後、前記連続的に計測している排ガス量と前記連続的に計測している酸性ガスの濃度とに基づいて前記ろ過式集塵装置内における薬剤の残量を推定し、当該推定結果が設定値以上になったか否かを判定する処理を行う第1判定手段と、前記供給手段の処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の出口側において排ガス中における酸性ガスの濃度を計測し、当該計測結果が設定値以上になったか否かを判定する処理を行う第2判定手段と、前記供給手段の処理を行った後、前記ろ過式集塵装置の入口側と出口側との差圧を算出し、当該算出結果が設定値以上になったか否かを判定する処理を行う第3判定手段と、前記第1、第2、第3判定手段のいずれか1つで肯定判定したときに、前記ろ過式集塵装置のろ布を清掃する処理を行う払落し手段と、をさらに含む構成とすることが可能である。
【0021】
この場合、前記ろ過式集塵装置のろ布に薬剤ができるだけ残っていない状態で払落しを行うことが可能になる。これにより、薬剤を無駄に使用することを回避できるようになるので、ランニングコストの低減に貢献できるようになる。
【0022】
また、前記計測手段での酸性ガスの濃度計測には、レーザ式の分析計を用い、前記計測処理での排ガス量の計測には、ピトー管を用いる、ことが可能である。この場合、排ガス量および排ガス中の酸性ガス(塩化水素など)の濃度を、非接触かつリアルタイムで連続的に計測することが可能になるから、ろ過式集塵装置に供給すべき薬剤の最適量の推定精度を高めることができるようになる。これにより、薬剤を無駄に使用することを回避できるようになる。その他、薬剤の供給に関して細かい制御を行うことが可能になるので、薬剤のさらなる節約が可能になる。この場合、排ガス量および排ガス中の酸性ガスの濃度を、非接触かつリアルタイムで連続的に計測することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るごみ焼却炉排ガス処理方法によれば、必要以上の薬剤を使用することなく、ろ過式集塵装置による所期の浄化能力を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るごみ焼却炉排ガス処理設備の一実施形態の構成を模式的に示す図である。
図2図1の焼却炉排ガス処理設備を用いた排ガス処理方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1および図2に、本発明の一実施形態を示している。図示例のごみ焼却炉排ガス処理設備は、ごみ焼却炉1、冷却装置2、バグフィルタ等のろ過式集塵装置3、誘引通風機4、煙突5、薬剤供給装置6、払落し装置7、制御部10、第1、第2、第3センサ11,12,13などを備えている。
【0027】
ごみ焼却炉1は、例えば図示しない産業廃棄物や所定梱包に入れられた感染性医療廃棄物などのごみを燃焼するものであり、焼却炉の型式は問わない。
【0028】
冷却装置2は、詳細に図示していないが、ごみ焼却炉1から排出される高温の排ガスを例えば220℃程度に降温するボイラや、冷却装置2で降温された排ガスをさらに概ね200℃以下に減温する減温塔などを有している。
【0029】
ろ過式集塵装置3は、冷却装置2で減温された排ガス中のばいじんや有害ガス成分を中和、濾過して浄化するものである。
【0030】
誘引通風機4は、ろ過式集塵装置3内の排ガスを吸引して、煙突5から大気中に放出させるものである。
【0031】
薬剤供給装置6は、ろ過式集塵装置3に所定ろ過時間分の薬剤をまとめて供給するものであって、タンク61、ブロワ62、搬出装置63などを備えている。
【0032】
タンク61は、前記排ガス中の酸性ガスを中和するための薬剤を貯留するものである。ブロワ62は、タンク61内の薬剤をろ過式集塵装置3の入口側に供給するための搬送空気を発生するものである。搬出装置63は、タンク61の薬剤排出口から薬剤を切り出すものである。
【0033】
払落し装置7は、ろ過式集塵装置3内の不図示のろ布を清掃するものであって、圧縮空気供給源71、弁72などを備えている。
【0034】
圧縮空気供給源71は、ろ過式集塵装置3内のろ布を清掃するために用いる圧縮空気を発生するものである。弁72は、圧縮空気供給源71で発生する圧縮空気をろ過式集塵装置3に供給可能とする量を制御するものである。
【0035】
制御部10は、後で詳細に説明するが、ろ過式集塵装置3によるろ過運転時間が所定時間経過するなどしてプレコート処理を行う必要が生じた場合に、ろ過式集塵装置3内のろ布を清掃する払落し処理を実行してから、ろ過式集塵装置3内のろ布に酸性ガスを中和させるための薬剤からなるプレコート層を形成するプレコート処理を実行する。
【0036】
第1センサ11は、ろ過式集塵装置3の入口側において排ガス中における酸性ガスの濃度を連続的に計測するものである。
【0037】
第2センサ12は、ろ過式集塵装置3の出口側において排ガス量を連続的に計測するものである。この第2センサ12の出力は、ろ過式集塵装置3の入口側において排ガス量を計測することと等価であると言える。
【0038】
第3センサ13は、ろ過式集塵装置3の出口側において排ガス中における酸性ガスの濃度を連続的に計測するものである。
【0039】
第1センサ11ならびに第3センサ13は、例えば公知のレーザ式の分析計とされている。第2センサ12は、例えば公知のピトー管とされている。
【0040】
次に、図2を参照して、この実施形態に係るごみ焼却炉排ガス処理設備を用いた排ガス処理方法を説明する。
【0041】
ごみ焼却の操業運転中は、ろ過式集塵装置3によるろ過運転を所定時間行った後、ろ過式集塵装置3のろ布を清掃し、当該ろ布にプレコート層を形成し、再度、ろ過運転に戻るというサイクルを繰り返すようになっている。
【0042】
ここで、ろ過運転中において、ステップS1,S2,S3に示す第1、第2、第3判定処理を行い、それらのうちのいずれか1つの判定処理で肯定判定したときに、ステップS4において、払落し装置7によりろ過式集塵装置3のろ布を清掃する払落し処理を行う。
【0043】
前記第1判定処理は、第2センサ12により前記連続的に計測している排ガス量と第1センサ11により前記連続的に計測している酸性ガスの濃度とに基づいてろ過式集塵装置3内における薬剤の残量を推定し、当該推定結果が設定値X以下になったか否かを判定する。
【0044】
前記第2判定処理は、第3センサ13によりろ過式集塵装置3の出口側の排ガス中における酸性ガスの濃度を計測し、当該計測結果が設定値Y以上になったか否かを判定する。
【0045】
前記第3判定処理は、ろ過式集塵装置3の入口側と出口側との差圧を算出し、当該算出結果が設定値Z以上になったか否かを判定する。
【0046】
この実施形態では、まず、第1判定処理で否定判定したときに第2判定処理を行い、この第2判定処理で否定判定したときに第3判定処理を行い、この第3判定処理で否定判定したときに前記第1判定処理に戻るような形態にしている。但し、第1〜第3判定処理は、同時に並行して行うことも可能である。
【0047】
前記払落し処理は、制御部10が例えば圧縮空気供給源71および弁72を作動させることにより行う。
【0048】
具体的に、前記払落し処理では、例えば弁72を所定タイミングで開閉作動させるとともに圧縮空気供給源71を所定時間作動させることにより、ろ過式集塵装置3内に圧縮空気をパルス的にジェット噴射して、ろ過式集塵装置3内のろ布表面の付着物を払い落とすようにする。
【0049】
この払落し処理を実行した後、下記ステップS5〜S8に示すプレコート処理に移行する。
【0050】
つまり、まず、ステップS5において、第1、第2センサ11,12からの出力に基づいてろ過式集塵装置3の入口側において排ガス量および当該排ガス中における酸性ガス(塩化水素、硫黄酸化物)の濃度を連続的に計測する計測処理を行う。
【0051】
この後、ステップS6において、前記計測した酸性ガスの濃度と前記排ガス量とに基づきろ過式集塵装置3に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を推定する推定処理を行う。なお、前記所定時間分の薬剤の最適量とは、1サイクルのろ過運転時間に要する薬剤の最適量のことである。
【0052】
次いで、ステップS7およびS8において、前記推定した結果に応じた薬剤を薬剤供給装置6によりろ過式集塵装置3にまとめて供給する供給処理を行う。この供給処理では、制御部10が例えばブロワ62および搬出装置63を所定時間(数分〜数十分)作動させることにより、行う。
【0053】
ここで、供給処理が終了すると、つまり、ステップS8で肯定判定すると、上記ステップS1に戻る。
【0054】
ところで、前記ステップS3の第3判定処理で肯定判定したことを条件として前記ステップS4の払落し処理を実行してから前記ステップS5〜S8のプレコート処理に移行した場合には、前記ステップS7,S8の供給処理における薬剤の供給量について、前回のプレコート処理を実行してから払落し処理の直前までの間に消費された薬剤の量に設定することが可能である。
【0055】
しかし、前記ステップS1の第1判定処理および前記ステップS2の第2判定処理で肯定判定したことを条件として前記ステップS4の払落し処理を実行してから前記ステップS5〜S8のプレコート処理に移行した場合には、前記ステップS7,S8の供給処理における薬剤の供給量について、前回のプレコート処理(ステップS5,S6)で設定した薬剤の供給量と同じに設定することが可能である。
【0056】
ここで、この実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項との対応関係について説明する。上記ステップS5が特許請求の範囲に記載の「計測手段」、上記ステップS6が特許請求の範囲に記載の「推定手段」、上記ステップS7およびS8が特許請求の範囲に記載の「供給手段」、上記ステップS1が特許請求の範囲に記載の「第1判定手段」、ステップS2が特許請求の範囲に記載の「第2判定手段」、ステップS3が特許請求の範囲に記載の「第3判定手段」、上記ステップS4が特許請求の範囲に記載の「払落し手段」に、それぞれ相当している。
【0057】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態によれば、プレコート方式において、ろ過式集塵装置3に流入する排ガス量および当該排ガス中の酸性ガス(塩化水素、硫黄酸化物)の濃度から、ろ過式集塵装置3内に供給すべき薬剤の最適量(1サイクルのろ過運転時間に要する薬剤の最適量)を調べて、当該最適量の薬剤をろ過式集塵装置3内にまとめて供給するようにしている。
【0058】
これにより、前記薬剤を従来例のように過剰に供給するといった無駄がなくなるので、ランニングコストの低減に貢献できるようになる。
【0059】
しかも、ろ過式集塵装置3のろ布に未反応の薬剤ができるだけ残っていない状態で払落し処理を行うことができる。これらのことから、薬剤を無駄に使用することを回避できるようになるので、ランニングコストの低減に貢献できるようになる。
【0060】
特に、上記実施形態では、前記排ガス量をピトー管からなる第2センサ12で、また排ガス中の酸性ガスの濃度をレーザ式分析計からなる第1、第3センサ11、13でもって、非接触かつリアルタイムで連続的に計測しているから、ろ過式集塵装置3に供給すべき薬剤の最適量の推定精度を高めることが可能になる。これにより、薬剤を無駄に使用することを回避できるようになる。その他、薬剤の供給に関して細かい制御を行うことが可能になるので、薬剤のさらなる節約が可能になる。また、ろ布への付着層厚さが適正に維持されるため、払落し圧力を過剰に上げる必要がなくなり、ろ布の寿命を伸ばせることになる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0062】
上記実施形態では、前記計測対象となる酸性ガスとして塩化水素と硫黄酸化物を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定されるものではない。
【0063】
例えば図示していないが、焼却対象となるごみの種類によっては硫黄酸化物を発生しない場合があるので、前記計測対象となる酸性ガスとしては塩化水素のみとすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ごみ焼却炉から排出される排ガスを浄化するろ過式集塵装置内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、前記ろ過式集塵装置のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理方法、ならびにごみ焼却炉排ガス処理設備に好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ごみ焼却炉
2 冷却装置
3 ろ過式集塵装置
4 誘引通風機
5 煙突
6 薬剤供給装置
61 タンク
62 ブロワ
63 搬出装置
7 払落し装置
71 圧縮空気供給源
72 弁
10 制御部
11 第1センサ
12 第2センサ
13 第3センサ
【要約】
【課題】ごみ焼却炉1から排出される排ガスをろ過式集塵装置3内で酸性ガスを中和させるための薬剤を供給することにより、ろ過式集塵装置3のろ布にプレコート層を形成するごみ焼却炉排ガス処理方法において、必要以上の薬剤を使用することなく、ろ過式集塵装置3による所期の浄化能力を確保可能とする。
【解決手段】ごみ焼却炉排ガス処理方法は、ろ過式集塵装置3の入口側で排ガス量および当該排ガス中における酸性ガスの濃度を連続的に計測する処理と、当該計測した酸性ガスの濃度と排ガス量とに基づきろ過式集塵装置3に供給すべき所定時間分の薬剤の最適量を推定する処理と、当該推定した供給量に応じた薬剤をろ過式集塵装置3にまとめて供給する処理とを行う。
【選択図】図1
図1
図2