(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057473
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ダイオードレーザのための駆動回路
(51)【国際特許分類】
H01S 5/062 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
H01S5/062
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-550508(P2013-550508)
(86)(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公表番号】特表2014-503133(P2014-503133A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】US2012021258
(87)【国際公開番号】WO2012099792
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】13/009,625
(32)【優先日】2011年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512095392
【氏名又は名称】コヒレント, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, ギルバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー, リチャード ジェイ.
【審査官】
佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−112438(JP,A)
【文献】
特開2007−329212(JP,A)
【文献】
特開2002−299754(JP,A)
【文献】
特開2006−250908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ変調されたダイオードレーザを駆動する方法であって、前記方法は、
前記ダイオードレーザのための所望の変調プロファイルに対応するアナログ変調信号を提供するステップであって、前記変調信号の大きさは、所定の第1の極値と第2の極値との間の範囲内を変動し、前記所定の第1の極値と第2の極値とのうちの1つは、前記ダイオードレーザのゼロ出力を表す、ステップと、
アナログ変調された駆動電流を生成するステップであって、前記駆動電流は、DC成分と変調された成分との合計であり、前記変調された成分は、前記変調信号に関連している、ステップと、
前記ダイオードレーザを前記駆動電流によって駆動し、レーザ出力を提供するステップと、
前記変調信号の大きさを監視し、監視されている変調信号を前記極値間の範囲内の所定の設定値と比較するステップであって、前記変調信号の成分は、前記変調された駆動電流を生成するために使用される、ステップと、
前記監視されている変調信号の大きさが、前記設定値と、前記ダイオードレーザの所望のゼロ出力を表す、前記変調信号の前記極値のうちの前記1つとの間にある場合、入力ノードと出力ノードとの間に位置するスイッチを閉鎖位置から開放位置に移動させ、それによって、前記駆動電流が前記ダイオードレーザに到達することを防止するステップであって、前記入力ノードは、前記アナログ変調信号を受信するためのものであり、前記出力ノードは、前記駆動電流を前記ダイオードレーザに供給するためのものである、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ダイオードレーザのゼロ出力を表す前記極値は、最小値である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調信号の最小値は、ゼロである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変調信号は、電圧信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動電流の前記変調された成分は、前記変調信号に正比例で関連している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記駆動信号の前記変調された成分は、前記変調信号に反比例で関連している、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記変調信号は、電流信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記駆動電流の前記DC成分は、閾値駆動電流に略等しく、前記閾値駆動電流を上回ると、前記ダイオードレーザがレーザ放射を放出する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記駆動電流の前記DC成分は、前記ダイオードレーザ出力が、前記変調された成分に略線形に関連するように選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記駆動電流の前記DC成分および前記変調された成分は、選択的に変えることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アナログ変調されたダイオードレーザを駆動する方法であって、前記方法は、
前記ダイオードレーザのための所望の変調プロファイルに対応するアナログ変調電圧信号を提供することであって、前記変調電圧信号の大きさは、所定の最小値と最大値との間の範囲内を変動し、前記変調信号の最小値は、前記ダイオードレーザのゼロ出力を表す、ことと、
前記変調信号に対応するアナログ変調された駆動電圧を生成することであって、前記変調された駆動電圧は、固定バイアス電圧成分と前記変調信号電圧に対応する変動する電圧成分との合計である、ことと、
前記駆動電圧を前記駆動電圧に比例する駆動電流に変換することと、
前記ダイオードレーザを前記駆動電流によって駆動し、レーザ出力を提供することと、
前記変調された駆動電圧を生成するために使用される前記変調電圧信号の大きさを監視し、監視されている変調電圧信号を、前記最小値と最大値との間の範囲内にあり、前記最小値に近接する所定の設定値と比較することと、
前記監視されている変調信号の大きさが設定レベルを下回る場合、入力ノードと出力ノードとの間に位置するスイッチを閉鎖位置から開放位置に移動させ、それによって、前記駆動電圧をゼロに切り替えることであって、前記駆動電圧がゼロであることにより、前記駆動電流をゼロに切り替えて、前記ダイオードレーザ出力をオフに切り替え、前記入力ノードは、前記アナログ変調電圧信号を受信するためのものであり、前記出力ノードは、前記駆動電流を前記ダイオードレーザに供給するためのものである、ことと
を含む、方法。
【請求項12】
前記変調された駆動電圧の固定バイアスレベルは、閾値駆動電圧に略等しく、前記閾値駆動電圧を上回ると、前記ダイオードレーザがレーザ放射を放出する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記固定バイアスレベルは、前記ダイオードレーザ出力が、前記変動する電圧に線形に関連するように選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記変調信号の最小値は、ゼロである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ダイオードレーザのための駆動回路であって、前記回路は、所定の第1の極値と第2の極値との間の範囲内を変動するアナログ変調入力信号を受信し、前記所定の第1の極値と第2の極値とのうちの1つは、前記ダイオードレーザのゼロ出力を表し、前記駆動回路は、前記入力信号に応答して、アナログ変調された出力電流を生成し、前記出力電流は、前記レーザを駆動し、閾値電流を下回ると、前記レーザは、自発的非レーザ放出を生成し、前記閾値電流を上回ると、前記レーザは、レーザ光を生成し、
前記回路は、
変調された入力信号を受信するための入力ノードと、
変調された駆動電流を前記レーザに供給するための出力ノードであって、前記変調された駆動電流は、DC成分と変調された成分との合計であり、前記変調された成分は、前記変調された入力信号に関連している、出力ノードと、
前記変調された入力信号を前記変調された駆動電流に変換するために、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に位置する1つ以上の要素であって、前記変調された駆動電流の大きさは、前記変調された入力信号の大きさに直接に依存し、前記変調された入力信号の大きさは、監視され、所定の設定値と比較され、前記所定の設定値は、前記極値間の範囲内にあり、前記閾値電流に対応する、1つ以上の要素と、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に位置するスイッチであって、前記スイッチは、前記駆動電流が前記レーザに送達されることを可能にする閉鎖位置と、前記駆動電流が前記レーザに到達することを防止する開放位置との間で移動可能であり、前記スイッチは、監視されている入力信号の大きさが前記設定値と交差し、前記駆動電流が前記閾値電流より下に落下する場合、前記開放位置に移動するように制御される、スイッチと
を備えている、駆動回路。
【請求項16】
前記変調された入力信号を所定の値と比較し、前記比較に応答して、前記スイッチを制御するためのコンパレータを含む、請求項15に記載の駆動回路。
【請求項17】
前記変調された入力信号は、電圧であり、前記1つ以上の要素は、電圧/電流コンバータを含む、請求項16に記載の駆動回路。
【請求項18】
前記電圧/電流コンバータは、反転電圧/電流コンバータである、請求項17に記載の駆動回路。
【請求項19】
前記スイッチは、前記入力ノードと前記電圧/電流コンバータとの間に位置付けられている、請求項17に記載の駆動回路。
【請求項20】
前記変調された入力信号は、前記ダイオードレーザ出力が前記変調された入力信号に線形に関連するような方法で、前記変調された駆動電流に変換される、請求項15に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ダイオードレーザのための駆動回路に関する。本発明は、特に、アナログ変調されたダイオードレーザのための駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ変調された出力を伴うダイオードレーザは、共焦点顕微鏡法における照明源として使用される。ダイオードレーザは、典型的には、単純な電圧/電流コンバータによって供給される可変直流(DC)によって駆動(給電)される。電流は、電流と電圧との間に線形関係を伴うコンバータに印加されるDC電圧を変動させることによって、変動される。共焦点顕微鏡法では、通常、ダイオードレーザ電力(光出力)は、ランプまたは「鋸歯」波形において、ゼロからある最大値に変調されることが所望される。
【0003】
この変調形態を達成する好ましい方法は、電流コンバータに印加される同等の電圧波形を使用して、ダイオードレーザを駆動することである。これは、レーザ作用がダイオード内で開始される前に、電圧(および、対応する電流)のある閾値レベルが、要求されるという事実によって、複雑となる。閾値電圧未満の電圧では、ダイオードは、自発放出または蛍光発光の形態において、光(放射)を放出するであろう。閾値電圧は、最大レーザ光出力を産生する電圧の略2分の1であり得る。
【0004】
これは、印加される電圧の関数として、ダイオードレーザ電力を描写する、
図1のグラフに図式的に図示される。曲線は、線形電圧ランプに対する出力電力応答を表す。ゼロとレイジング閾値電圧との間の電圧において、非レーザ光出力は比例的に増加するが、レーザ作用が確立された場合の光出力増加と比較して、増加が少ないことが分かる。出力曲線全体は、線形電圧ランプの歪められたレプリカである。正弦波等の任意の他の変調波形も、対応して、歪められるであろう。
【0005】
歪みを完全に排除しないまでも低減させる概して実践される方法は、変調電圧が、ゼロをほんの少し上回るときにレイジング閾値電圧に到達するように、固定バイアス電圧(および、対応する電流)を電流コンバータに印加することである。これは、グラフとして、
図2に図式的に図示される。
【0006】
ここでは、バイアス電圧は、変調電圧が、1ボルトのほんの何分の1かであるときに、レイジング閾値に到達するように選択されている。このわずかな電圧は、辛うじてある統計的変動に対応することができるよう十分であるように選択される。これらとして、レイジング閾値における変動、外部から提供される変調駆動信号における変動、および内部信号処理回路内の変動が挙げられる。線形電圧ランプに対する応答は、今度は、バイアスを伴わない
図1の実施例におけるよりも歪みが有意に少ない。しかしながら、ここでは、ゼロ変調電圧において、依然として、ダイオードレーザからある程度の非レーザ光出力が存在することに留意されたい。これは、共焦点顕微鏡法システムでは、容認可能ではない。故に、
図2の方法の、但し、ゼロ変調電圧においてゼロ光出力を伴う、最小限にされた出力歪みを提供するであろう変調方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面では、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための本発明による方法は、ダイオードレーザのための所望の変調プロファイルに対応する変調信号を提供することを含む。変調信号は、所定の第1の極値と第2の極値との間の範囲内で変動し、極値のうちの一方は、ダイオードレーザのゼロ出力を表す。変調された駆動電流が、生成され、駆動電流は、DC成分と変調された成分との合計であって、変調された成分は、変調信号に関連する。ダイオードレーザは、駆動電流によって駆動され、レーザ出力を提供する。変調信号は、監視され、極値間の範囲内のその所定の設定値と比較される。監視されている変調信号が、設定値と、ダイオードレーザのゼロ出力を表す、変調信号の極値の一方との間にある場合、ダイオードレーザは、オフに切り替えられる。
【0008】
以下に説明される本発明の実施形態の1つ以外の全部において、ゼロ出力を表す極値は、最小値である。変調信号が、ゼロ出力を表すその極値に到達し得る前に、ダイオードレーザをオフに切り替えることは、ダイオードレーザが自発放出または蛍光発光のみを放出する十分に低い電流によって、ダイオードレーザが駆動されないように防止する。これは、駆動電流のための適切なDCレベルの選択と一緒に、ダイオードレーザ出力が、本質的に、変調信号に線形に応答して、ダイオードレーザ出力の所望の変調のいかなる有意な歪みも回避することをもたらす。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
アナログ変調されたダイオードレーザを駆動する方法であって、
前記ダイオードレーザのための所望の変調プロファイルに対応する変調信号を提供するステップであって、前記変調信号は、所定の第1の極値と第2の極値との間の範囲内を変動し、前記最小値および最大値のうちの1つは、前記ダイオードレーザのゼロ出力を表す、ステップと、
変調された駆動電流を生成するステップであって、前記駆動電流は、DC成分と変調された成分との合計であり、前記変調された成分は、前記変調信号に関連している、ステップと、
前記ダイオードレーザを前記駆動電流によって駆動し、レーザ出力を提供するステップと、
前記変調信号を監視し、前記監視されている変調信号を前記極値間の範囲内の所定の設定値と比較するステップと、
前記監視されている変調信号が、前記設定値と、前記ダイオードレーザの所望のゼロ出力を表す、前記変調信号の前記極値のうちの1つとの間にある場合、前記駆動電流をオフに切り替えるステップと
を含む、方法。
(項目2)
前記ダイオードレーザのゼロ出力を表す前記極値は、最小値である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記変調信号の最小値は、ゼロである、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記変調信号は、電圧信号である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記駆動電流の変調された成分は、前記変調信号に正比例で関連している、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記駆動信号の前記変調された成分は、前記変調信号に反比例で関連している、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記変調信号は、電流信号である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記駆動電流の前記DC成分は、閾値駆動電流に略等しく、前記閾値駆動電流を上回ると、前記ダイオードレーザがレーザ放射を放出する、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記駆動電流の前記DC成分は、前記ダイオードレーザ出力が、前記変調された成分に略線形に関連するように選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記駆動電流の前記DC成分および変調された成分は、選択的に変えることができる、項目1に記載の方法。
(項目11)
アナログ変調されたダイオードレーザを駆動する方法であって、
前記ダイオードレーザのための所望の変調プロファイルに対応する変調電圧信号を提供することであって、前記変調電圧信号は、所定の最小値と最大値との間の範囲内を変動し、前記変調信号の最小値は、前記ダイオードレーザのゼロ出力を表す、ことと、
前記変調信号に対応する変調された駆動電圧を生成することであって、前記変調された駆動電圧は、固定バイアス電圧成分と前記変調信号電圧に対応する変動する電圧成分との合計である、ことと、
前記駆動電圧を前記駆動電圧に比例する駆動電流に変換することと、
前記ダイオードレーザを前記駆動電流によって駆動し、レーザ出力を提供することと、
前記変調電圧信号を監視し、前記監視されている変調電圧信号を、前記最小値と最大値との間の範囲内にあり、前記最小値に近接する所定の設定値と比較することと、
前記監視されている変調信号が前記設定レベルを下回る場合、前記駆動電圧をゼロに切り替え、それによって、前記駆動電流をゼロに切り替えて、前記ダイオードレーザ出力をオフに切り替えることと
を含む、方法。
(項目12)
前記変調された駆動電圧の前記固定バイアスレベルは、閾値駆動電圧に略等しく、前記閾値駆動電圧を上回ると、前記ダイオードレーザがレーザ放射を放出する、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記固定バイアスレベルは、前記ダイオードレーザ出力が、前記変動する電圧に線形に関連するように選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記変調信号の最小値は、ゼロである、項目12に記載の方法。
(項目15)
ダイオードレーザのための駆動回路であって、前記回路は、変調入力信号を受信し、前記入力信号に応答して、変調された出力電流を生成し、前記出力電流は、前記レーザを駆動し、閾値電流を下回ると、前記レーザは、自発的非レーザ放出を生成し、前記閾値電流を上回ると、前記レーザは、レーザ光を生成し、
前記回路は、
前記変調された入力信号を受信するための入力ノードと、
前記変調された駆動電流を前記レーザに供給するための出力ノードと、
前記変調された入力信号を前記変調された駆動電流に変換するために、前記入力ノードと前記出力ノードとの間に位置する1つ以上の要素と、
前記入力ノードと前記出力ノードとの間に位置するスイッチであって、前記スイッチは、前記駆動電流が前記レーザに送達されることを可能にする閉鎖位置と、前記駆動電流が前記レーザに到達することを防止する開放位置との間で移動可能であり、前記スイッチは、前記駆動電流が前記閾値電流を下回るであろう場合、前記開放位置に移動するように制御されている、スイッチと
を備えている、駆動回路。
(項目16)
前記変調された入力信号を所定の値と比較し、前記比較に応答して、前記スイッチを制御するためのコンパレータを含む、項目15に記載の駆動回路。
(項目17)
前記変調された入力信号は、電圧であり、前記1つ以上の要素は、電圧/電流コンバータを含む、項目16に記載の駆動回路。
(項目18)
前記電圧/電流コンバータは、反転電圧/電流コンバータである、項目17に記載の駆動回路。
(項目19)
前記スイッチは、前記入力ノードと前記電圧/電流コンバータとの間に位置付けられている、項目17に記載の駆動回路。
(項目20)
前記変調された入力信号は、前記ダイオードレーザ出力が前記変調された入力信号に線形に関連するような方法で、前記変調された駆動電流に変換される、項目15に記載の駆動回路。
【0009】
明細書に組み込まれ、その一部を構成する、付随の図面は、本発明の好ましい実施形態を図式的に図示し、前述の一般的説明および後述の好ましい実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ダイオードレーザのためのある従来技術の駆動配列における、駆動電圧の関数として、ダイオードレーザ電力出力を図式的に図示する、グラフである。
【
図2】
図2は、ダイオードレーザのための別の従来技術の駆動配列における、駆動電圧の関数として、ある好ましい実施形態のダイオードレーザ電力出力を図式的に図示する、グラフである。
【
図3】
図3は、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための、本発明による電子装置のある好ましい実施形態を図式的に図示する、回路図であって、変調された駆動電圧から変調された駆動電流を生成するように配列される、電圧/電流コンバータを伴い、駆動電流は、駆動電圧に正比例し、電流コンバータに入力される駆動電圧は、固定バイアス電圧成分と変調された成分との合計である。
【
図3A】
図3Aは、
図3の装置内のダイオードレーザに送達される、駆動電流を図式的に図示する、グラフであって、駆動電流は、DC成分および変調された成分を含む。
【
図4】
図4は、
図3の装置内の駆動電圧の変調された成分の関数として、ダイオードレーザ電力出力を図式的に図示する、グラフである。
【
図5】
図5は、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための、本発明による電子装置の別の好ましい実施形態を図式的に図示する、回路図であり、
図3の装置に類似するが、電圧/電流コンバータは、変調された駆動電圧から変調された駆動電流を生成するように配列される、反転電圧/電流コンバータによって置換され、駆動電流は、駆動電圧に反比例する。
【
図6】
図6は、
図5の装置内の駆動電圧の変調された成分の関数として、ダイオードレーザ電力出力を図式的に図示する、グラフである。
【
図7】
図7は、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための、本発明による電子装置のさらに別の好ましい実施形態を図式的に図示する、回路図であり、
図3の装置に類似するが、電圧/電流コンバータへの入力は、変調された電流を生成するための変調された成分のみを有し、固定バイアス電流は、コンバータから出力される変調された電流に追加される。
【
図8】
図8は、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための、本発明による電子装置のなおも別の好ましい実施形態を図式的に図示し、
図7の装置に類似するが、電圧/電流コンバータは、省略され、変調信号は、回路の外部の発生器から変調された電流である。
【
図9】
図9は、
図8の装置内の変調された入力電流の関数として、ダイオードレーザ電力出力を図式的に図示する、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
引き続き図面を参照すると、
図3は、本発明の方法に従って、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための電子回路の好ましい配列10を図式的に図示する。変調信号(電圧)が、プログラム可能デジタル電位差計U1の一方の側に入力される。これは、変調利得を調節するための電位差計として説明することができる。この信号は、マイクロプロセッサまたはPC等の外部源によって提供されることができる。信号は、所定の最小値と最大値との間で変動する。最小値は、ゼロまたはある非ゼロの正あるいは負の値であることができる。
【0012】
電位差計U1の他方の側に接続された可変電圧源P2は、バイアス電圧レベルを設定し、レーザ出力強度が、電位差計から出力される変調された駆動電圧によって決定される。変調された駆動電圧は、固定バイアス電圧成分と変調された電圧成分との合計である。この変調された駆動電圧は、デジタルスイッチU2およびU3を介して、電圧/電流コンバータ12に伝送され、ダイオードレーザを駆動するための変調された駆動電圧に比例する、変調された駆動電流を提供する。変調された駆動電流は、固定バイアス電流成分と変調された電流成分とを有する。
【0013】
駆動ダイオードレーザを駆動するための電圧/電流コンバータは、当業者に周知であり、その詳細な説明は、本発明の原理を理解するために必要ではない。故に、そのような発明を実施するための形態は、本明細書に提示されない。前述の電圧および電流成分に適用されるような用語「固定」とは、これらが、本質的に、DC成分であることを意味する。これらの実際のレベルは、電圧源P2を調節することによって、選択的に変えることができる。
【0014】
スイッチU2は、ユーザ操作可能であり、ダイオードレーザの変調動作のための位置Aに、または随意に、P2によって設定された電位によって決定される強度によって、CWまたは定常状態モードにおいて、レーザを駆動するための位置Bに切り替えることができる。スイッチU3は、コンパレータU5の出力(デジタル高またはデジタル低)によって、本発明にしたがって、デジタル的に操作される。
【0015】
可変電位P1は、コンパレータU5の一方の入力(ここでは、正の入力)に印加され、それを下回ると変調信号がゼロであると合理的にみなされることができる値を設定する。変調信号は、デジタル電位差計U1への入力接続において監視され、コンパレータU5の他方の入力に印加される。サンプリングされた変調信号が、設定値を上回る場合、コンパレータ出力は、デジタル低であり、スイッチU3は、位置Cにあり、変調信号がレーザ出力を制御する。
【0016】
サンプリングされた変調信号が、設定値を下回る場合、コンパレータ出力は、デジタル低からデジタル高となり、スイッチU3は、位置Dに切り替えられ、出力電流が生成されず、ダイオードレーザ出力が、オフに切り替えられるように、変調された駆動信号を接地に短絡し、電圧/電流コンバータを電位源から切断する。このため、レーザ出力強度は、実際にゼロであり、従来技術の配列におけるようなダイオードレーザの下位閾値駆動から生じる、ある非ゼロの自発放出によって決定される値ではない。変調信号が、設定レベルを下回る値から、設定レベルを上回る値へと上昇する場合、コンパレータU5の出力は、デジタル高からデジタル低となり、スイッチU5は、電圧/電流コンバータが、変調された駆動電圧に再接続され、ダイオードレーザが、ある対応する非ゼロレーザ出力を有するように、位置Cに復元される。
【0017】
図3Aは、
図3の装置内の電圧/電流コンバータに送達される駆動電流を図式的に図示する、グラフである。電流は、「オン」であるとき、図示されるように、DC成分および変調された成分(変調信号に対応する)を備える。駆動電流は、変調信号が、ダイオードレーザのゼロ出力を表す最小値に到達する前に、オフにされる。ここでは、ゼロダイオードレーザ出力は、非ゼロ最小値によって、変調信号において表され得ることに留意されたい。そのような場合、駆動電流内のDCレベルは、源P2を介して印加されるバイアス電位と、変調信号の最小値とゼロとの間の差異との合計に関連付けられるであろう。本明細書に後述される本発明の全他の実施形態では、ダイオードレーザに送達される駆動電流は、
図3Aに図式的に描写される一般的形態を有するが、異なる方法で生成される。
【0018】
図3の装置の特に有用な特徴は、駆動電流のDC成分および駆動電流の変調された成分の変調深度が、それぞれ、源P2または電位差計U1を選択的に変動させることによって、独立して、選択的に変えることができることである。これは、特定のダイオードレーザのための駆動電流を最適化するために使用することができる。当業者は、駆動電流形態のこの選択的変動性が、本明細書に後述される本発明の他の実施形態に利用可能であることを認識するであろう。
【0019】
図4は、
図3の回路によって駆動されるダイオードレーザのための変調電圧の関数として、ダイオードレーザ出力強度を図式的に図示する、グラフである。ここでは、デジタルスイッチU3をトリガするための設定レベル(ブランキングレベル)は、約0.2Vの変調電圧信号に対応するように設定されている。ここでは、電圧/電流コンバータに送達される実際の電圧は、前述のように、可変変調電圧に、源P2に設定された固定バイアスレベル電圧を加えたものに等しくなるであろうことに留意されたい。
図4の実施例では、バイアスレベルは、強度対電圧曲線の線形(レーザ作用)部分が、ゼロ信号ボルトにおけるゼロ強度に外挿するようなレベルにおいてレイジングするために、略電圧閾値に設定されている。設定レベルは、
図2を参照して前述のレーザ閾値および他のパラメータにおける統計的変動に対応するために十分であるだけ変調信号の最小値を上回るように選択される。これは、レーザがレイジングするとき(スイッチU3によってブランキングされない)、レーザ強度が、変調信号の電圧に略線形に比例することをもたらす。一例として、
図4では、100%出力(最大)強度は、5.0Vの信号電圧に対応し、0.5Vの信号電圧は、最大強度の10%を提供する。
【0020】
図5は、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための、本発明による電子装置の別の好ましい実施形態20を図式的に図示する、回路図である。装置20は、
図3の装置10に類似するが、装置10の電圧/電流コンバータ12は、反転電圧/電流コンバータ22によって置換される。これは、変調された駆動電圧から変換された変調された駆動電流が、駆動電圧に反比例する、すなわち、信号電圧が低いほど、駆動電流が高くなることをもたらす。反転電流/電圧コンバータが、時として、種々の理由から、当業者によって好まれる。
【0021】
装置20の機能は、装置内の駆動電圧の変調された成分の関数として、ダイオードレーザ電力出力を図式的に図示する、グラフである、
図6を追加で参照することによって理解することができる。略ゼロダイオードレーザ出力におけるブランキングに関して、これは、
図6に描写されるように、比較的に高設定レベル(ブランキングレベル)電圧を提供することによって行われる。ブランキングスイッチU3は、サンプリングされた電圧信号が、源P1によって提供される設定レベルを超えると、コンパレータU5によって、ブランキング位置Dにトリガされる。位置Dでは、反転電圧/電流コンバータが、電位源P3に接続され、電位源P3は、それに応答してコンバータによって産生される駆動電流がゼロになり、ダイオードレーザがオフに切り替えられる十分に高い電位を提供する。
【0022】
図7は、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための、本発明による電子装置のさらに別の好ましい実施形態30を図式的に図示する、回路図である。装置30は、
図3の装置10と類似するが、変調された電圧(所定の高極値と低極値との間)のみ、電圧/電流コンバータ12に送達される。これは、当然ながら、コンバータの直接の出力が対応して変調された電流であるようにする。装置30では、電流のDCバイアスレベルが、追加されるか、または、変調された電流の最小値が非ゼロである場合、選択的可変電流発生器32から供給される電流によって補完され、ワイヤ接続34によって、コンバータ12からの変調された電流と合計される。装置30では、ブランキングスイッチU3は、
図3の装置10と同様にトリガされ、すなわち、変調信号電圧がコンパレータに印加される設定レベルを下回ると、ブランキングスイッチU3がD位置にトリガされ、それによって、ダイオードレーザを電流源から切断する。ここでは、再び、設定レベルを下回っていた入力電圧信号が設定レベルより上に上昇すると、スイッチU3は、位置Cに戻るようにトリガされ、電流がダイオードレーザに供給される。
【0023】
図8は、アナログ変調されたダイオードレーザを駆動するための、本発明による電子装置のなおも別の好ましい実施形態40を図式的に図示する。装置40は、バイアスが、発生器16によって、電流として提供され、ワイヤ接続18によって、U2から変調された電流と合計されるため、
図7の装置30に類似する。2つの電流源をワイヤによって一緒に接続することは、2つの電流源を一緒に効果的に合計する。しかしながら、装置40では、装置30の電圧/電流コンバータ12は、省略され、駆動電流の変調された成分は、回路の外部で生成された変調された電流の形態における変調信号によって供給される。電流信号は、必要に応じて、可変増幅器46によって増幅され、スイッチU2を介して、ワイヤ接続18に供給される。選択的可変DC電流発生器48は、非変調(定常状態)モードにおいて、ダイオードレーザを駆動するために提供され、スイッチU2によって、ワイヤコネクタ18に接続されることができる。
【0024】
装置40内の変調信号は、電流信号であるため、装置30の電圧コンパレータU5は、装置40では、電流コンパレータU6によって代用される。変調信号は、電流センサループ42によってサンプリングされ、サンプルは、電流コンパレータに提供され、外部から供給される設定またはブランキングレベルと比較される。ここでは、さらに再び、サンプリングされた電流が、コンパレータに印加される設定レベルを下回る場合、コンパレータは、スイッチU3をD位置にトリガし、それによって、ダイオードレーザを電流源から切断し、ダイオードレーザをオフに切り替える。設定レベルを下回っていたサンプリングされた電流が、設定レベルより上に上昇すると、スイッチU3は、位置Cに戻るようにトリガされ、電流がダイオードレーザに供給され、それによって、ダイオードレーザをオンに戻すように切り替える。コンパレータU6として使用するために好適な電流コンパレータ回路は、当業者に周知であり、その詳細な説明は、本発明の原理を理解するために必要ない。故に、そのような発明を実施するための形態は、本明細書に提示されない。
【0025】
図9は、
図8の装置内の変調された入力電流の関数として、ダイオードレーザ電力出力を図式的に図示する、グラフである。変調信号に対する応答は、本質的に、
図4のものと同じであるが、信号は、電圧信号ではなく、電流信号である。
【0026】
ここで要約すると、本発明のアナログ変調されたダイオードレーザ駆動装置の4つの実施形態が、前述された。各実施形態では、出力が、全く、アナログ変調信号によって要求されないとき、ダイオードレーザが、自発放出または蛍光発光を放出する値に到達する、ダイオードレーザのための駆動電流を回避することが所望される。各実施形態では、これは、変調信号を監視し、監視された信号が、所定の最小値と最大値との間の範囲内にある場合、ダイオードレーザをオフに切り替えることによって、達成される。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これを達成するための他の装置を考案してもよい。本発明は、本明細書に説明および描写される実施形態に限定されない。むしろ、本発明は、本明細書に添付の請求項によってのみ限定される。