(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記袋本体及び前記左右一対の把手はポリプロピレン不織布からなり、かつ、前記重ね縫製箇所及び縫着箇所に用いた糸は、ポリエステルスパン又はポリプロピレン糸である、請求項1記載の把手付き不織布袋の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、手に携えて荷物を持ち運ぶときには把手付きの紙袋や布袋が使用されている。特に、女性はハンドバックなどの小さい鞄を持ち歩くことが多いため、外出先に荷物を持っていく場合、又は外出先で増えた荷物などを持ち返る場合などに、把手付きの紙袋や布袋がよく使用される。
把手付きの紙袋は軽いうえ、折り畳むと薄くなるので携帯に便利であるが、その反面、強度が弱く形が決まってしまうので、重い荷物や嵩張る荷物を運ぶには不向きであった。それに対し、把手付きの布袋は強度が高く、荷物の形にあわせて形が変化できるので、嵩張る荷物や重い荷物を運ぶのに適しているものの、袋自体が重く、さらに小さく折り畳めないため、持ち運びに不便であるという問題がある。さらに、布袋は紙袋などと比較して値段が高く、一時的な間に合わせの用途の為に使用したい場合に、気軽に購入しにくいという問題があった。
そこで、近年、一時的な用途に気軽に使用できる、壊れにくく、形状が変化しやすいうえ、軽量でコンパクトに折りたたんで持ち運べる把手付き袋がもとめらえれている。
一方、ポリオレフィンフィルム製の買物袋、具体的にはスーパー等のレジで用いられる所謂レジ袋の代わりとして、不織布製の買物袋が提案されている(特許文献1)。しかし、上記の把手付きの紙袋や布袋に代わって使用するのに、満足のいく把手付き不織布袋は提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている買物袋はポリオレフィン不織布をヒートシールにより結合して製造されている。
そして、特許文献1に記載の買物袋は、大きい又は重い商品を入れても繰り返し使用可能であり、軽量かつコンパクトで、さらにリサイクルが容易であるため、従来のレジ袋等のポリオレフィンフィルム製の買物袋に比して非常に有用性の高いものといえる。
しかしながら、外出時に持ち歩くことが多い把手付きの不織布袋は、上記買物袋より遥かに多くの使用回数が想定され、そのため、より高い耐久性や強度が要求される。
そのため、上記買物袋と同様に不織布をヒートシールにより結合したのみでは、望ましい把手付きの不織布袋を製造できない可能性がある。その理由として、ヒートシール結合は、不織布を溶かして圧力をかけて結合させるものであるため、結合部の厚みが薄くなり壊れ易くなるからである。例えば、袋口を開いた場合に、袋側面のヒートシール部を広げる力がかかり、それにより把手付き袋の開口部から裂ける様に破けてしまうおそれがある。また、重い荷物を入れた場合、把手が袋本体の接合部より剥がれるように壊れてしまい、袋本体から把手が外れてしまうおそれがある。また、重い荷物を入れた場合、袋底にかかる重さによって、袋底をヒートシール結合させた袋底部或いは袋底から連なる袋本体の側面部分に負荷がかかってしまい、その部分から破けてしまうというおそれもある。
【0005】
そこで、ヒートシール部分をヒートシールより強度のより高い縫着によって結合することが考えられる。しかしながら、不織布を縫製した不織布袋は人がミシン等を用いて不織布シートを縫い合わせて製造するので、製造に手間と時間がかかり、製造コストが高くなってしまうという問題がある。そのため、縫製した不織布袋は紙袋に比べて高価なものとなってしまうので、一時的な間に合わせの用途の為に使用したい場合に、気軽に購入しにくいという問題が生じ得る。
そのため、袋全体が縫製により仕上げられた不織布袋よりも製造の手間と時間を減らしてコストを削減でき、且つヒートシールによって製造した不織布袋よりも嵩張る荷物や重い荷物を運ぶことのできる、一時的な用途に気軽に使用できる安価で強度のある不織布製袋が求められている。
【0006】
本発明は、斯かる事情を考慮してなされたものであって、その目的とするところは、製造にかかる手間と時間を減らして製造コストを削減し、且つ十分な強度を有している把手付き不織布袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、不織布シートを、ヒートシールとしてインパルス式ヒートシールを採用し、該ヒートシールと一部は超音波シールを組み合わせて用いて結合すると共に、側縁部の開口部周縁及びその近傍、並びに袋底を形成している不織布シートの折り目部から連なる部位、把手の長手方向の両縁及び把手取付け部を部分的に縫着して補強するだけで、十分な強度を有する把手付き不織布袋となり、また、該袋は特定の部位を部分的に縫着しているだけであるため、製造にかかる手間と時間を減らして製造コストを削減し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)略線対称形状の不織布シートを、その対称線に沿って二つ折りに畳み、
その折り目部位を含むシート部分で袋底を形成するとともに、
該二つ折りにされた互いに対向する不織布シートの左右両側について側縁部同士を結合することにより、袋状とし、
その袋の開口部周縁のシート部分を内側に折り曲げ、結合して二層重ね部を設けてなる袋本体と、
二重に重ね縫製された二本の帯状物を該二層重ね部に取付けてなる左右一対の把手と
を備えた把手付き不織布袋であって、
前記側縁部同士はインパルス式ヒートシールにより結合してなり、
更に、該ヒートシール部のうち、前記開口部周縁及びその近傍部位、並びに前記折り目部位に連なる部位を縫着してなり、
該二層重ね部は断続的な超音波シールにより結合してなり、
そして、該二層重ね部と該把手との取付け部は縫着してしてなる
ことを特徴とする把手付き不織布袋、
(2)前記袋本体及び前記左右一対の把手はポリプロピレン不織布からなり、かつ、前記重ね縫製箇所及び縫着箇所に用いた糸は、ポリエステルスパン又はポリプロピレン糸である、前記(1)記載の把手付き不織布袋、
に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の把手付き不織布袋は、袋を製造するのに、ヒートシールとしてインパルス式ヒートシールを採用し、該ヒートシールと一部は超音波シールを組み合わせて用いて結合すると共に、特定の部位を部分的に縫着しているだけであるため、従来の縫製による把手付き不織布袋に比べて、製造にかかる手間及び時間を短縮することができ、製造コストを削減できる。
その上、本発明の把手付き不織布袋は、嵩張る又は重い荷物を入れることで裂けや破れ等によって壊れやすい、側縁部の開口部周縁及びその近傍、並びに袋底を形成している不織布シートの折り目部から連なる部位、把手の長手方向の両縁及び把手取付け部を縫着して補強しているので、壊れにくい。
そして、開口部周縁を内側に折り曲げて、断続的に超音波シールにより結合してなるので、荷物の出し入れを繰り返しても壊れにくいものになっている。
【0010】
加えて、力が加わり伸び易い把手及び開口部周縁は不織布が二枚重ねられているので、伸びたりしにくい。
これにより、本発明の把手付き不織布袋は、優れた荷物の許容容量及び荷重限度を有することができる。
また、本発明の把手付き不織布袋を、ポリプロピレン不織布及びポリプロピレン糸のみを材料として製造する場合は、使用後に回収して容易にリサイクルできるため、環境保護及び省資源化が期待できる。
また、本発明の把手付き不織布袋は軽量であり、コンパクトに折り畳め、且つ容易に広げて買物袋として使用できるので、紙袋と同様に携帯性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の把手付き不織布袋は、略線対称形状の不織布シートを、その対称線に沿って二つ折りに畳み、その折り目部位を含むシート部分で袋底を形成するとともに、該二つ折りにされた互いに対向する不織布シートの左右両側について側縁部同士を結合することにより、袋状とし、その袋の開口部周縁のシート部分を内側に折り曲げ、結合して二層重ね部を設けてなる袋本体と、二重に重ね縫製された二本の帯状物を該二層重ね部に取付けてなる左右一対の把手とを備えてなる。
【0013】
本発明の把手付き不織布袋に用いられる不織布シートは、強度、成形性、ヒートシール等による結合性(溶着性)がよい不織布であればよく、従来知られている不織布を使用することができる。例えば、不織布シートと重ね縫製又は縫着するための糸をリサイクル可能な同一の素材にすることで、使用した袋を回収し、リサイクルすることができるので、環境保護及び省資源化の観点から好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はポリエチレンテレフタラート等のポリエステルの不織布及び糸、具体的には、ポリエステルスパン又はポリプロピレン糸が挙げられ、特にポリプロピレン不織布及びポリプロピレン糸を使用するのが好ましい。
【0014】
また、本発明の把手付き不織布袋に使用される不織布シートは、無色のもの、漂白したもの、或いはビーム染色、液流染色、ジッカー染色、ディッピング染色などの慣用の染色方法で着色したものや、インク等によりロゴやキャラクターをプリントしたものでも良い。脱色可能なインクや、袋体表面に例えば高い温水溶解性を有する高分子域を介在させてインク層を形成する方法等によってプリントしたものは、再生が容易なため、環境保護・省資源化の観点から好ましい。
【0015】
本発明の把手付き不織布袋に用いられる不織布シートは、二つに折り畳み、必要に応じてその折り目部位を含むシート部位で袋底を形成して、袋側縁部を結合できる形であればよい。例えば、矩形など、二つに折り畳んで両側縁部が重なるような、左右対称の形が好ましい。また、左右対称でなくても、シートの重なり部をインパルス式ヒートシールで結合すると同時に溶断し、袋側縁部とすることもできる。
袋底を形成するように折り畳む方法は、従来知られている方法でよい。たとえば、折り目部位を含むシート部分を内側に谷折りする方法、又は不織布シートに切れ目を入れる、あるいは不織布シートの一部を切り落としてから、折り畳む方法でもよい。
【0016】
本発明の把手付き不織布袋において、側縁部の結合にはインパルス式ヒートシールが用いられ、開口部周縁の二層重ね構造を形成するための結合には超音波シールが用いられる。
ヒートシールの方法としては、インパルス式、熱風式、熱板式、コテ式等が知られているが、本発明では、インパルス式ヒートシールを採用する。インパルス式ヒートシールは、機構が簡単で、制御が容易であり、加工時のみ短時間加熱するだけで不織布を結合できるので、低コストで行えて好ましい。
上記インパルス式ヒートシール加工としては、例えば、
図5に示すように、一対の円柱状のヒーターを用いて2枚の不織布を結合させるのが好ましい。
即ち、
図5の(a)で示されるように不織布31を2枚重ね、その上下から一対の円柱状のヒーター32で2枚重ねの不織布31を挟む(
図5の(b))と、熱溶着部33が形成されるが、該熱溶着部33は、ヒーター32で挟まれた際に、熱溶融した部分が2つのヒーター32が重なる部分の両側へ押しやられることになる。
そのため、結果として形成される熱溶着部33は、2枚の不織布31の結合部分で肉厚となり(
図5の(c))、それにより破損に対する強度が向上し、ヒートシール部分から破損し難くなり、例えば、熱板式ヒートシールで形成したヒートシールよりも遥かに破損し難いヒートシールとなる。
尚、インパルス式ヒートシール加工に用いるための、好ましい、上記一対の円柱状のヒーターにおける各円柱の直径は、0.5ないし1.5mmであり、好ましい瞬間電流は、40ないし50Aであり、好ましい電圧は、180ないし260Vであり、好ましい加熱時間は、3ないし5秒である。
【0017】
袋側縁部は全体に連なってインパルス式ヒートシールにより結合する必要がある。それに対して、開口部周縁の二層重ね部を形成するための超音波シールは、開口部周縁と内側に折り畳んだ不織布の端部との少なくとも2箇所を、袋体の周囲に渡ってローレット状等の断続的な超音波シールにより結合する。即ち、開口部周縁は結合した部分と結合していない部分とが存在する。結合していない部分は動き易いので、開口部を開き易く、荷物に合わせて形を変えられるので、嵩張る荷物でも持ち運べる。
また、開口部周縁を単に連なってヒートシールを行った場合、ヒートシール部分のシートの厚さが薄くなるため、重い荷物を入れたときに破断しやすくなるおそれがある。しかし、本発明では、開口部周縁を断続的に超音波シールで結合しているので、超音波シールしていない部分、即ち2枚の不織布の厚みを持った部分が存在し、重い荷物を入れても破断しにくいものとなっている。この開口部周縁の二層重ね部は、不織布の間にプラスチック、紙、布等の補強片を挟み込むことができる。不織布及び糸と同一の素材を用いる場合、リサイクルする場合等に分離する手間を省ける。
尚、超音波シール加工に用いるための、好ましい電流は、0.8ないし1.5Aであり、好ましい電圧は、180ないし260Vであり、好ましい加工速度は、3ないし5m/分である。
【0018】
本発明の把手付き不織布袋の袋本体は、インパルス式ヒートシールにより結合した側縁
部のうち、開口部周縁及びその近傍、並びに袋底を形成するシート部位の折り目部と連なった部分を縫着してなる。
従来の縫製された袋体は、縫着箇所が多く、端部までしっかり縫着されていないと、その部分から壊れてしまうので、一枚ずつ人の手でミシン縫いをする必要があった。それに対し、本発明の袋体は、縫い合わせ部が多い開口部周縁及び袋側縁部をインパルス式ヒートシールによって結合し、そして袋側縁部のうち、上記4箇所を縫着するだけで足りるので、少人数で多くの袋本体を製造することができる。これにより、1つ当たりの製造コストを低減できる。
側縁部の縫着箇所は、1箇所当りの長さを1ないし2cm程度の直線状とするのが強度及び作業効率の観点から好ましく、縫着箇所の縫い方は、縫う方向に対する直線縫いと幅1ないし2mmのジグザグ縫いを併用するのが好ましい。
縫着には、ポリエステルスパン又はポリプロピレン糸を用いるのが好ましい。
【0019】
また、不織布袋は、その中に嵩張る又は重い荷物を入れた場合、袋体が膨らみ袋側縁部の結合部を広げようとする力がかかってしまう。そのため、単にヒートシールで結合された袋体では、袋側縁部の開口部周縁及びその近傍又は袋底を形成するシート部分の折り目部と連なった部分に力が集中し、そこから袋が破ける或いは裂けるという問題が生じる。これに対して、本発明の不織布袋は力が集中する部分をインパルス式ヒートシールに加えて縫着もしているので、斯かる部分に力が集中したとしても、破ける或いは裂ける事を防止できる。即ち耐久力が高く繰返し使用できるものとなる。
その上、開口部周縁は断続的に結合されているため、より強い負荷がかかったとしても、未結合の部分が伸びて袋側縁部の開口部周縁の結合部分にかかる力を緩和できる。そのため、より壊れにくいものとなる。
上記断続的な結合は、例えば、長さ2ないし5mm程度の超音波シール部を平行に等間隔で設けたものであり、1cm当り3ないし5箇所程度設けるのが好ましい。
【0020】
また、開口部周縁は荷物の出し入れの際に広げて使用するため、生地が伸びたり、擦れたりするので、縫製した不織布袋の場合、開口部周縁の縫製部分がほつれたりして、見た目に劣るものとなる。それに対して、本発明の袋本体は、開口部周縁のシートを内側に折り曲げて超音波シールにより結合してあるので、引っ張り耐性があり伸びにくい。しかも、開口部周縁は折り目となっているので、開口部周縁が不織布の切り落とされた端面になっているものよりもほつれたり裂けたりしにくいものになっている。
【0021】
本発明の把手は、不織布シートを折り畳んで二重に重ね、その長手方向の両縁部を縫着された二本の帯状物を、袋本体の二層重ね部に縫着されてなる。
把手の形状は、不織布袋の用途及び大きさによって適宜調整できる。把手部分を手で掴む、又は腕あるいは肩にかけられるように長さを調節したり、持ちやすいように幅を調節したりすることができる。
把手付き不織布袋は、重い荷物を入れた場合、把手及び把手の袋本体への取付部に大きな力がかかり、把手が伸びる或いは取付部が破れたり裂けたりしやすいものである。それに対して、本発明の把手付き不織布袋の把手は不織布を二重に重ね縫製されているので、伸びにくい。また、把手の袋本体の取り付けも縫着によってなされるので、ヒートシールによる結合に比べてはるかに強度が高く壊れにくい。
【0022】
把手の取付は、把手と袋体の上部の二層重ね部とがしっかり縫着されればよく、袋の大きさや用途によって適宜選択できる。例えば、二層重ね部に略正方形に縫い合わせることで、左右、上下の引っ張り強度が増加し、さらにこの略正方形にさらに対角線状に縫い目をつけることで、格段に強度が増加する。
また、把手は、開口部の内側、外側のどちらに取り付けてもよいが、内側の方が重ねた状態で収納や出荷しやすく、また折り畳んで携帯するときに袋の内側に入れられるので邪
魔にならない。
【実施例】
【0023】
以下に、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
図1及び2は本発明の実施例1の把手付き不織布袋を表す図であり、
図3及び4は実施例2の把手付き不織布袋を表す図である。しかし、本発明の把手付き不織布袋は以下に限定されるものではない。
【0024】
実施例1:
実施例1の把手付き不織布袋1は、ポリプロピレン不織布及びポリプリピレン糸からなる袋体2と、把手3とを備えてなり(
図1参照)、袋底4は折り畳むことができる(
図2参照)。
76cm×112cmの矩形の不織布シートを、短辺同士が重なるように二つ折に畳み、その折り目部7をふくむシート7.5cmを内側に谷折にして、袋側縁部8をインパルス式ヒートシール(基本条件:ヒーター(一対の円柱状:各円柱の直径0.9mm)、加熱(シール)時間4秒、電圧220V、瞬間電流45A)により結合した。
袋体2は、周囲76cm、高さ45cm、袋底4が短径15cm、長径30cmの略楕円状であり、開口部周縁のシートを内側に3.5cm折り曲げて、開口部周縁から0.5mm及び3.0mmの2箇所を、幅3mm、間隔2mmのローレット状に超音波シール(基本条件:電圧220V、電流1A、速度4m/分)5して二層重ね部6を形成した。
袋側縁部8のうち開口部周縁及びその近傍8a及び袋底6を形成するシートに含まれる折り目部7と連なる部分8bを、それぞれ1.5cmの長さで縫着した。
把手3は、幅5cm、長さ45cmの不織布シートを長辺同士が重なるように二つ折りに畳み、長手方向の両縁部9を縫着して、幅2.5cm、長さ45cmの帯を製造し、これを袋体2の二層重ね部6に2cm四方の略正方形状の縫い目10にて縫着した。
【0025】
実施例2:
実施例2の不織布製把手付き不織布袋21は、ポリプロピレン不織布及びポリプリピレン糸からなる、袋体22と、把手23とを備えてなり(
図3参照)、側面を折り畳むことができる(
図4参照)。
76cm×112cmの矩形の不織布シートを、短辺同士が重なるように二つ折に畳み、その折り目部27をふくむシート7cmを内側に谷折にし、切断したのち、袋側縁部28をインパルス式ヒートシール(基本条件:ヒーター(一対の円柱状:各円柱の直径0.9mm)、加熱(シール)時間4秒、電圧220V、瞬間電流45A)により結合した。
袋体22は、正面及び背面が幅22cm、左右の側面が幅14cm、高さ45cm、袋底24が略長方形であり、開口部周縁のシートを内側に3.5cm折り曲げて、開口部周縁31から0.5mm及び3.0mmの2箇所を、幅3mm、間隔2mmのローレット状に超音波シール(基本条件:電圧220V、電流1A、速度4m/分)25して二層重ね部26を形成した。
袋側縁部28のうち開口部周縁及びその近傍28a及び袋底26を形成するシートに含まれる折り目部27と連なる部分28bを、それぞれ1.5cmの長さで縫着した。
把手23は、幅5cm、長さ45cmの不織布シートを長辺同士が重なるように二つ折りに畳み、長手方向の両縁部29を縫着して、幅2.5cm、長さ45cmの帯を製造し、これを袋体22の二層重ね部26に2cm四方の対角線を有する略正方形状の縫い目30にて縫着した。
【0026】
把手付き不織布袋1及び2の袋側縁部8に対して、
図1及び
図3の矢印で示すように、力P1をかけて引っ張ってみた。その結果、本発明の把手付き不織布袋1及び2は破けなかった。
把手付き不織布袋1及び2の把手を持ち、袋底4、24を袋本体の内側から押してみた。その結果、把手付き不織布袋1および2の把手は袋本体としっかりくっついたままだっ
た。
次いで、把手付き不織布袋1及び2の袋本体の開口部周縁の中央及び袋底の側縁部寄りの隅(折れ目部とのつなぎ目部)をつかみ、引っ張ってみた。その結果、把手付き不織布袋1及び2は破けなかった。
これらの結果から、本発明の把手つき不織布袋は、破けたり、剥がれたりし易い箇所を縫着して補強しているので、嵩張る又は重い荷物を入れた場合であっても破けたり剥がれたりしなかった。
【0027】
このような構成からなる把手付き不織布袋1及び2は、従来の縫製による把手付き不織布袋と比較して、縫製量が少なく、手間と時間がかかる側縁部を短時間で簡易にインパルス式ヒートシールで結合し且つ開口部周縁を短時間で簡易に断続的な超音波シールで結合するので、大量生産するのに人手及び製造時間を削減でき、製造コストを低く抑えることができる。その上、本発明の把手付き不織布袋1及び2は、嵩張る荷物又は重い荷物をいれても、袋側縁部の結合部及び把手の取り付け部が裂けたり破けたりしない。
本発明の把手付き不織布袋は、リサイクル可能なポリオレフィン不織布及びポリオレフィン糸等のみを材料とした場合、回収して、ポリオレフィン不織布或いはポリオレフィン糸に再生し、例えば本発明の把手付き不織布袋を再生産できる。これにより、廃棄された把手付き不織布袋の焼却による炭酸ガスの発生や、資源の浪費を減らすことができ、環境保全、資源節約の点から非常に好ましい。
また、本発明の把手付き不織布袋1及び2は軽量なポリプロピレン不織布からできており、かつ把手及び開口部周縁以外は1枚の軽い生地からできているのでコンパクトに折り畳んで容易に持運べ、かつ、折り畳んだものを広げて把手付き不織布袋として使用できるので、携帯するのに大いに適している。
【0028】
試験例1
上述のように、実施例1及び2においては、ポリプロピレン不織布を結合するに際して、特定の条件を採用するインパルス式ヒートシール及び超音波シールを使用したが、これらのシール方法が、一般的に使用されるヒートシール条件(熱板式ヒートシール、基本条件:温度設定200℃、時間1秒)を使用して結合されたポリプロピレン不織布に比してどの程度のシール強度(引張強度)を示すかに付いて試験した。
試験方法:
長さ100mm、幅25mmのポリプロピレン不織布を2枚用意し、該不織布2枚を重ね合わせ、25mmの1辺を、熱板式ヒートシール、超音波シール(実施例1,2と同じ条件)及びインパルス式ヒートシール(実施例1,2と同じ条件)により結合し、各々においてシール強度(引張強度)(N/15mm)を測定した。
上記の操作を20回繰り返して平均値を算出した。
結果を表1に示した。
【表1】
表1から明らかなように、超音波シール及びインパルス式ヒートシールにより結合したポリプロピレン不織布は、熱板式ヒートシールにより結合したポリプロピレン不織布に比して、遥かに高いシール強度(引張強度)(N/15mm)を示した。