(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転台、前記回転台を回転駆動する駆動手段、および前記回転台上に載置された円盤状の基板の位置を検出する基板位置検出手段を備えるアライメント装置のための回転条件調整方法であって、
前記基板位置検出手段は、
前記基板の位置を検出するために前記基板の周縁部においてそれぞれ半径方向に沿うようにかつ互いに異なる角度位置に配置されてそのエッジ位置をそれぞれ検出する2つのラインセンサと、
前記2つのラインセンサによって検出された前記エッジ位置に基づいて、前記回転台の回転にともなって前記基板の前記回転台に対するズレにより生じる変位量を求める変位算出手段と、を含み、
前記2つのラインセンサは、前記回転台の中心点に対する角度位置が互いにほぼ90度だけずれた状態で配置され、しかも、少なくとも1つのラインセンサは、前記XY平面を定義するX軸およびY軸のいずれかの軸上から微少角度αだけずれた状態で配置されており、
前記回転台上に基板が載置された状態で、前記駆動手段によって前記回転台を回転させる第1のステップと、
前記変位量を前記基板位置検出手段によって検出する第2のステップと、を実行し、
検出された前記変位量に基づいて、前記基板がスリップしないような回転速度または加速度である限界速度または限界加速度を求める、
ことを特徴とするアライメント装置のための回転条件調整方法。
前記限界速度または前記限界加速度に基づいて、前記アライメント装置におけるアライメントの実行時における前記回転台の最大回転速度または最大回転加速度を設定する、
請求項1または2記載のアライメント装置のための回転条件調整方法。
前記制御手段は、前記第7の手段による前記周方向の位置合わせを行う前に、前記方位表示基準の位置を前記2つのラインセンサの位置から外すための予備処理を行う、第8の手段を有し、
前記第8の手段は、
前記2つのラインセンサによって前記エッジ位置を検出し、前記回転台を微少角度βだけ回転させた後で前記2つのラインセンサによって前記エッジ位置を再度検出し、
前記検出されたエッジ位置の差が許容範囲内となるまで前記微少角度βの回転とエッジ位置の検出とを繰り返して行うことにより、前記予備処理を行う、
請求項5記載のアライメント装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態においては、基板WDを処理する基板処理装置1について説明する。なお、基板処理装置1で処理を行う基板WDは、半導体ウエハ、マイクロマシンデバイス、その他の基板であってよい。また、基板WDの材料についても、ガラス、樹脂、シリコン、その他の材料であってもよい。以下の実施形態においては、基板WDが円盤状であるものについて説明するが、これ以外の形状、例えば、長円形、正方形、長方形、その他の多角形などの形状のものにも適用することが可能である。
〔基板処理装置の構成〕
図1には一実施形態の基板処理装置1の平面図が示されている。
【0018】
図1において、基板処理装置1は、本体フレーム2、チャンバー3、ローダ部4、搬送ロボット5、アライメント装置6、および制御装置7などを備える。
【0019】
ローダ部4には、複数枚の基板WDが収納されたカセットCAが、正確に位置決めされてセットされる。各基板WDは、カセットCAに設けられたスロットに収納されており、搬送ロボット5のハンド(フォーク)5aによって出し入れが行われる。
【0020】
搬送ロボット5には、例えばNC制御された多軸ロボットが用いられ、先端部のハンド5aが基板WDの下方に挿入された後で上昇することによって基板WDを持ち上げる。これによって、基板WDはハンド5aの上に載置され、アームの移動または回転によって基板WDが所定の位置に運ばれる。
【0021】
つまり、例えば、カセットCA内の基板WDが、搬送ロボット5のハンド5aによって取り出され、アライメント装置6の所定の位置にセットされる。アライメント装置6によって、基板WDがセットされた位置の正規の位置(基準位置)からの変位量(ズレ量)が測定(計測)され、測定された変位量が搬送ロボット5に伝えられる。搬送ロボット5は、測定された変位量を補正した位置で、ハンド5aによってアライメント装置6から基板WDを取り出し、チャンバー3の所定の位置にセットする。これによって、基板WDはチャンバー3内の正確な位置にセットされる。
【0022】
チャンバー3内において、基板WDに対し、種々の処理、例えば、CVD、スパッタリング、エッチング、または検査などの処理が行われ、その後にハンド5aによって取り出され、カセットCAに戻される。
【0023】
制御装置7は、基板処理装置1の全体の動作およびプロセスを制御する。制御装置7は、ユーザが操作するための操作パネルおよび表示パネルを備え、また、他の装置またはネットワークとの間で信号またはデータの授受を行うためのインタフェースを備える。
【0024】
なお、基板処理装置1の構成、構造、形状などは、上に述べた以外の種々のものとすることができる。その一例が
図2に示されている。
【0025】
図2に示す基板処理装置1Bでは、複数の処理装置KS1,2が設置されている。各処理装置KS1,2には、チャンバー3B1、3B2が設けられている。搬送ロボット5Bは、走行可能であり、これらチャンバー3B1、3B2、アライメント装置6、およびカセットCAの間で、基板WDの出し入れおよび搬送を行う。
〔アライメント装置の構造〕
次に、アライメント装置6について説明する。
【0026】
図3および
図4に示すように、アライメント装置6は、ハウジング11、回転台12、モータ13、2つのラインセンサ14,15、スポットセンサ16、および制御部17(
図9参照)などを備える。
【0027】
ハウジング11は、複数の長い型材11a,11b,11c…によって直方体状に形成されている。また、床部分には、部材の取り付けのための型材11m,11n,11pが取り付けられている。型材11m,11nの上面に、底板112が取り付けられる。
【0028】
型材11a,11b…は、いずれもアルミニウム合金などからなって断面外形がほぼ正方形状であり、各辺の表面に長手方向に延びるT字溝が設けられている。
【0029】
底部の型材11i〜11lの外周の4ヵ所にはブラケット113が設けられ、ボルト114によって基板処理装置1の本体フレーム2に固定されている。
【0030】
ハウジング11の外周面には、板材からなるカバー111が設けられているが、図においてはカバー111の一部を除いてその図示が省略されている。
【0031】
なお、図示しない正面側のカバー111には、ロボットによって基板WDの受け渡しを行うための開口部112が設けられる。開口部112は、搬送ロボット5のハンド5aの上に水平状態で載置された基板WDを、ハンド5aとともに干渉することなく出し入れ可能な大きさである。
【0032】
回転台12は、円盤状のテーブル121、円盤状のテーブル121を支持する回転軸122、回転軸122を回転自在に支持するベアリングなどからなる。回転軸122の下端部にはプーリ124が設けられ、モータ13の出力軸13aによりベルト125を介して回転駆動される。
【0033】
テーブル121の表面(上面)は、基板WDを高精度で載置できるよう高い精度の表面状態に仕上げられる。また、基板WDの種類に応じて、テーブル121の表面の処理方法または材質を選定してもよい。
【0034】
また、基板WDが半導体ウエハである場合のように、基板WDを負圧(真空圧)で吸着することが可能な場合のために、空気が流通する多数の溝をテーブル121の表面に設けておいてもよい。その場合には、溝は、例えば、多数の同心円状の溝と、それらを連結するための半径方向に延びる多数の溝によって構成することができる。そして、円盤状のテーブル121および回転軸122の中心部に、これらの溝に連結される穴を設け、図示しない自在カップリングおよびホースなどを介して負圧発生装置に接続すればよい。
【0035】
モータ13として、パルスモータ、サーボモータなどが用いられ、その回転速度が
図9に示す制御部17によって制御される。モータ13には、その回転速度および回転角度位置を検出するための回転エンコーダ13bが設けられている。
【0036】
回転エンコーダ13bは、例えばA相およびB相について、所定の角度を回転する毎に1個のパルス信号SPを出力し、一周回転する毎にN個のパルス信号SPを出力する。したがって、回転台12つまり基板WDが一周回転する間に、Kr×N個のパルス信号SPが出力される。ただし、Krは、回転台12の回転数に対するモータ13の回転数の比である。なお、Nは、例えば、360、500、720などの整数とすることができる。
【0037】
また、パルス信号SPの周期(時間間隔)Tspの逆数1/Tspは、基板WDの回転速度Vに比例し、その変化の割合は基板WDの加速度Aに比例する。
【0038】
なお、回転エンコーダ13bをモータ13に設けるのではなく、回転台12の回転軸122に設けてもよい。
【0039】
制御部17は、回転エンコーダ13bから出力されるパルス信号SPに基づいて、モータ13の回転速度、加速度(回転加速度)、および回転角度位置(周方向の位置)などを制御する。これにより、基板WDの回転速度Vおよび加速度(回転加速度)A、および回転角度位置が制御される。
【0040】
なお、回転速度Vおよび加速度Aは、いずれも正負を含む。つまり、「回転速度V」は、正方向回転における回転速度および逆方向回転における回転速度を含み、「加速度A」は、正の加速度および負の加速度(減速度)を含む。
【0041】
なお、モータ13がパルスモータである場合には、モータ13に対して出力するパルス信号の周期、速度、個数などを制御することにより、回転速度Vおよび加速度Aなどを制御することが可能である。
【0042】
ラインセンサ14,15は、上方に配置された投光部14a,15aと、下方に配置された受光部14b,15bとを有し、これらは互いに対向するようにブラケット141,142、151,152によりハウジング11に取り付けられている。
【0043】
図5〜
図7には、基板WDとセンサとの位置関係が示されている。
図5は基板WDが回転台12上の正規の位置に置かれた理想的な場合を示す。また、
図6および
図7は、ラインセンサ14の実際上の配置位置の一例を示す。
【0044】
つまり、
図6は基板WDの中心位置C2が正規の位置である回転台12の中心位置C1からズレている場合を示す。
図6において、基板WDの正規の位置は2点鎖線で示され、実際にズレている基板WDは実線で示されている。
【0045】
また、
図7は基板WDの周方向の位置が正規の位置からズレている場合を示す。
図7において、基板WDの中心位置C2は回転台12の中心位置C1に一致しているが、回転角度位置、つまり方位表示基準NTの位置が正規の位置であるY軸に対して角度θcだけズレている。
【0046】
さらに
図4および
図9を参照して、投光部14a,15aからスリット状または帯状のレーザ光AR1、AR2が射出され、それを受光部14b,15bが受光する。回転台12の上に基板WDが載置されたときは、基板WDの周縁部が投光部14a,15aと受光部14b,15bとの間に挿入されるため、投光部14a,15aからの光の一部が遮られる。したがって、受光部14b,15bからの出力信号S1,S2に基づいて、基板WDのエッジEGの位置が検出される。
【0047】
ラインセンサ14,15は、
図4および
図5に示す平面視において、回転台12の中心位置C1についての中心角で互いにほぼ90度離れた位置に配置される。
【0048】
ここで、基板WDを含む平面、つまり回転台12の上面に沿った平面において、回転台12の中心位置C1を原点とし、
図4の左右方向をX軸、上下方向をY軸として、XY平面を定義する。
【0049】
さて、ラインセンサ14,15は、XY平面における基板WDのエッジEGのX方向の変位x、Y方向の変位yを、それぞれ常に監視する。つまり、ラインセンサ14,15によって、基板WDのエッジEGの位置(エッジ位置)がリアルタイムで測定(検出)される。つまり、ラインセンサ14,15によって、基板WDの位置が常に監視され、基板WDが回転台12からの落下や内部機器に衝突する可能性がある場合などには、回転台12を直ちに停止させることができる。
【0050】
なお、本明細書において、基板WDのエッジ位置を、「エッジ変位(x,y)」と表現することがある。また、基板WDのエッジEGの変位、特にエッジEGの基準位置(正規の位置)からの変位を、「エッジ変位(x,y)」と表現することがある。エッジ変位(x,y)についても、リアルタイムで測定(検出)されることとなる。
【0051】
ここで、「基準位置」とは、基板WDが回転台12上の正しい位置に載置された場合のエッジEGの位置である。つまり、理想的な「基準位置」は、
図5に示すように、基板WDの中心位置C2が回転台12の中心位置C1に一致するように載置された場合のエッジEGの位置である。
【0052】
しかし、基板WDの中心位置C2が回転台12の中心位置C1に完全に一致するように載置することは実際上困難であるので、本実施形態においては、回転台12の上にセットされた基板WDの中心位置C2と回転台12の中心位置C1との誤差が許容範囲内であるときに、その基板WDのエッジEGの位置を「基準位置」として用いる場合もある。
【0053】
なお、基板WDのエッジEGの位置と中心位置C2とは相互に変換可能であるので、本明細書においては、「エッジEG基準位置」に対応する「中心位置C2の基準位置」についても、「基準位置」ということとする。
【0054】
すなわち、本実施形態においては、回転台12の回転にともなう基板WDのズレを制御の対象としているので、そのズレ量つまり変位量Dを問題とする場合における、基板WDの初期位置、またはその理想的な初期位置を「基準位置」として扱うこととする。
【0055】
なお、レーザ光AR1、AR2のライン長さ、つまりレーザ光AR1、AR2のXY平面上での長さは、例えば3センチメートル程度である。直径が30センチメートルの基板WDのエッジEGの検出のためには、ラインセンサ14,15は、例えば、レーザ光AR1、AR2の中央位置が直径が30センチメートルの円周線上に位置するように配置される。
【0056】
なお、ラインセンサ14,15は、回転台12の中心点に対する角度位置が互いにほぼ90度だけずれた状態で配置されるが、
図6および
図7に示すように、90度丁度ではなく、(90+α)度の角度位置で配置される。これによって、一方のラインセンサ15はX軸上に配置され、他の一方のラインセンサ14はY軸からずれた位置に配置される。
【0057】
ラインセンサ14をY軸からずれた位置に配置する理由は次のとおりである。つまり、
図5に示すように、基板WDには、通常、その回転角度位置を表示するために、ノッチやオリエンテーションフラットなどの方位表示基準NTが周縁部などに設けられる。基板WDがカセットCAや回転台12の上に初期配置される際に、制御の単純化を図るために、方位表示基準NTがY軸上に位置するように配置されることが多い。したがって、ラインセンサ14がY軸上に配置された場合には、基板WDが初期配置された状態でそのラインセンサ14が方位表示基準NTを検出してしまうことが多くなり、これを回避するための予備処理に時間がかかってしまうので、これを避けるためである。
【0058】
したがって、角度αは、0度を越え45度以下の範囲に設定されるが、方位表示基準NTがY軸上にある場合にラインセンサ14がそれを検出しなくなる程度の小さい角度としておけばよい。例えば、角度αは3度または5度程度である。しかし、数度乃至十数度程度としてもよく、45度以下としてもよい。なお、
図6および
図7においては、分かりやすくするため30度程度にして示してある。
【0059】
測定されたエッジ変位(x,y)に基づいて、基板WDの中心位置C2の回転台12の中心位置C1からの変位である中心変位(偏心量)を算出することができる。次に、エッジ変位(x,y)と中心変位(X1,Y1)との関係式について説明する。
【0060】
図8には、エッジ変位(x,y)から中心変位(X1,Y1)を求めるための種々のパラメータE〜Kが示されている。これらのパラメータE〜Kを用いて、エッジ変位(x,y)と中心変位(X1,Y1)との関係を次の式(1)(2)で示すことができる。なお、基板WDの半径をrとする。
【0061】
X1=(K×I/H)−J ……(1)
Y1=K−〔(E−J)×I/H〕 ……(2)
すなわち、
図8において、
E=r−x
F=(r+y)×sin(α)
G=(r+y)×cos(α)
である。また、
H=〔(E+F)
2 +G
2 )〕
1/2 /2 I=(r
2 −H
2 )
1/2
J=〔(E+F)/2〕−F
K=G/2
と示すことができる。また、
K/H=(J+X1)/I ……(3)
(E−J)/H=(K−Y1)/I ……(4)
である。
【0062】
式(3)(4)を変形することによって上の式(1)(2)が得られる。式(1)(2)に示されるパラメータE、H、I、J、Kは、いずれもr、x、y、αから求めることができる。
【0063】
なお、
図8においては、X方向およびY方向が
図6、7に対して逆方向となっている。しかし、これによってはパラメータの正負が変わるだけであるので、式(1)(2)を用いて
図6、7における中心変位(X1,Y1)を求めることができる。
【0064】
このように、中心変位(X1,Y1)は、三角関数などによる演算式で求めることが可能である。しかし、演算式ではなく適当な変換テーブルなどを用いて求めることも可能である。
【0065】
スポットセンサ16は、基板WDの周縁部の所定の位置に設けられた方位表示基準NTを検出するためのものであり、ブラケット161によって型材11eに取り付けられている。スポットセンサ16の下方の型材11pの上面には、スポットセンサ16から射出されるスポット状のレーザ光AR3を反射するミラー16aが設けられる。スポットセンサ16から射出したレーザ光AR3は、ミラー16aで反射され、反射したレーザ光がスポットセンサ16によって受光される。
【0066】
スポットセンサ16の射出するレーザ光AR3は、通常は基板WDによって遮られ、スポットセンサ16によって受光されないが、方位表示基準NTがスポットセンサ16の位置にあるときにはレーザ光AR3が遮られることなく、スポットセンサ16からは方位表示基準NTを検出したことを示す出力信号S3が出力される。出力信号S3および回転エンコーダ13bからのパルス信号SPに基づいて、基板WDの回転角度位置(周方向の位置)が求められる。
【0067】
なお、方位表示基準NTが深さ1ミリメートルのV字状のノッチの場合に、レーザ光AR3の直径はこのノッチを検出できる程度の直径のものとすればよい。
【0068】
なお、ラインセンサ14,15およびスポットセンサ16は、光学系部材および電気系部材(アンプなど)などから構成され、これらは別体で設けられることがある。その場合に、電気系部材は、例えばハウジング11内において光学系部材の近辺の適当な箇所に取り付けておけばよい。
【0069】
また、ハウジング11には、回転台12に供給する負圧のオンオフを切り換えるための電磁切換え弁18a、負圧の圧力を検出する圧力センサ18b、その他の必要な部材が必要に応じて取り付けられる。
【0070】
図9において、制御部17は、第1制御部21、第2制御部22、モータ制御部23、位置演算部24、およびメモリ25などを有する。第2制御部22には、周方向位置合わせ部221、限界条件検出部222、およびメモリ223などが設けられる。
【0071】
モータ制御部23は、モータ13を回転駆動するための駆動回路、回転エンコーダ13bから出力されるパルス信号SPをカウントするためのカウンタ、入力された指令に応じた回転速度Vおよび加速度Aとなるように駆動回路を制御する制御回路などを備える。
【0072】
また、モータ制御部23は、モータ13を制御して回転台12の回転速度Vおよび加速度Aを制御するために、回転速度Vおよび加速度Aについての種々の設定値を記憶するメモリを備える。これらの設定値は、操作部32からのユーザの入力操作によって設定される。また、モータ制御部23のメモリに予め記憶されたプログラムによって、設定値を自動で設定し、または自動で変更して設定することも可能となっている。これによると、回転台12の回転速度Vおよび加速度Aを、予め記憶されたプログラムに基づいて自動的に設定して制御することができる。
【0073】
位置演算部24は、ラインセンサ14,15およびスポットセンサ16からの出力信号S1〜3に基づいて、基板WDのXY平面上の位置、周方向の位置、またはそれらの変位または変位量を求める。位置演算部24は、例えば、上の式(1)(2)に基づいて、ラインセンサ14,15で測定したエッジ変位(x,y)から、XY平面上の位置またはその変位である中心変位(X1,Y1)を求める演算などを行う。
【0074】
本実施形態において、制御部17における制御動作は、主として中心変位(X1,Y1)に対して行われるので、ラインセンサ14,15により測定されたエッジ変位(x,y)に基づいて位置演算部24が中心変位(X1,Y1)を求める処理の全体を、「ラインセンサ14,15によって中心変位(X1,Y1)を測定する(または検出する)」のように表現することがある。
【0075】
また、上に述べたように、エッジ変位(x,y)と中心変位(X1,Y1)とは相互に変換可能であるので、本明細書においては、これらを「変位C」または「変位量D」と表現することがある。また、エッジ変位(x,y)または中心変位(X1,Y1)について、それらとそれらの基準位置との差を問題とする場合に、特に「変位量D」と表現することがある。
【0076】
また、「変位C」および「変位量D」には、基板WDの回転角度位置の変位または変位量が含まれる。
【0077】
ラインセンサ14,15、スポットセンサ16、および位置演算部24の全体で構成される機能が、本発明における「基板位置検出手段」に対応する一例となる。
【0078】
制御部17は、CPU、メモリ、インターフェ−ス回路、その他の周辺回路、ハードウエア回路などを備えたコンピュータなどによって実現可能である。プログラムがCPUにより実行されることにより、第1制御部21および第2制御部22などが設けられる。
【0079】
第1制御部21は、アライメント装置6の本来の機能である基板WDのアライメントを行うための公知の種々の制御を行う。
【0080】
例えば、第1制御部21は、回転台12上に基板WDが載置された状態で、モータ13によって回転台12を回転させ、基板WDの異なる回転角度位置において、基板WDの位置を検出してそのアライメントのための第1の変位量D1を求める。
【0081】
その際に、モータ制御部23は、回転台12の回転速度Vおよび加速度Aが、メモリ25に格納された最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxを越えないように制御する。また、そのときの環境状態などに応じて、設定する回転速度Vおよび加速度Aに修正を加えてもよい。
【0082】
第2制御部22は、本発明の回転条件調整方法を実現するために、アライメントの際の回転台12の最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxの設定に必要な制御を行う。
【0083】
例えば、第2制御部22は、回転台12上に基板WDが載置された状態で、モータ13によって回転台12を種々の互いに異なる回転速度Vまたは加速度Aで回転させ、回転台12の回転にともなって基板WDの回転台12に対するズレにより生じる第2の変位量D2を測定する。そして、第2の変位量D2がしきい値th1を越えたときのまたはその直前の回転速度Vまたは加速度Aを、限界速度Vaまたは限界加速度Aaとして求め、これをメモリ223に記録する。また、求められた限界速度Vaおよび限界加速度Aaを表示装置31に表示する。
【0084】
求められた限界速度Vaおよび限界加速度Aaに基づいて、第1制御部21で第1の変位量D1を求める際の回転台12の回転のための最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxが求められ、これがメモリ25に記録されることによって、回転台12の最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxが設定される。
【0085】
さらに具体的には、例えば、第2制御部22は、回転台12上に基板WDが載置された状態で、モータ13によって回転台12を回転させる第1のステップと、回転台12の回転にともなって基板WDの回転台12に対するズレにより生じた第2の変位量D2を基板位置検出手段によって検出する第2のステップと、第2の変位量D2がしきい値th1を越えるか否かを判断する第3のステップと、第2の変位量D2がしきい値th1を越えたときに、そのときのまたはその直前の回転速度Vまたは加速度Aを、アライメントのための限界速度Vaまたは限界加速度Aaとして求めてメモリ223に記録する第4のステップと、第2の変位量D2がしきい値th1を越えないときは、回転台12の回転速度Vまたは加速度Aの設定値を増大させて第1〜第3のステップを繰り返す第5のステップと、を実行する。
【0086】
なお、第4のステップにおいて、その直前の回転速度Vおよび加速度Aとして、第2の変位量D2がしきい値th1を越えなかったときの回転速度Vおよび加速度Aを用いればよい。
【0087】
例えば、前回(1回前)に第4のステップを実行したときの回転速度Vおよび加速度A、前前回(2回前)に第4のステップを実行したときの回転速度Vおよび加速度A、今回に第4のステップを実行したときの回転速度Vまたは加速度Aから所定の回転速度または加速度をそれぞれ減じた回転速度または加速度、または第2の変位量D2がしきい値th1を越えないときの最終の回転速度Vおよび加速度Aなどを用いることが可能である。
【0088】
また、回転台12を連続的に回転させて第2の変位量D2を測定する場合には、前回に第4のステップを実行してから今回に第4のステップを実行するまでの間に基板WDがズレた可能性がある。したがって、その間の任意のタイミングまたは所定のタイミングにおける回転速度Vおよび加速度Aを、直前の回転速度Vおよび加速度Aとすることが可能である。換言すれば、第2の変位量D2がしきい値th1を越えなかったことが測定されたタイミングから越えたことが測定されたタイミングまでの間の任意のタイミングにおける回転速度Vおよび加速度Aを、直前の回転速度Vおよび加速度Aとすることが可能である。この場合に、第2の変位量D2がしきい値th1を越えたことが測定されたタイミングよりも時間tgだけ前のタイミングを、直前のタイミングとし、時間tgをユーザによって設定可能としてもよい。
【0089】
なお、第4のステップにおいて限界速度Vaまたは限界加速度Aaをメモリ223に記録した後の適当なタイミングで、回転台12の回転を停止させればよい。
【0090】
そして、限界速度Vaおよび限界加速度Aaに基づいて、当該アライメント装置6における回転台12の最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxを設定する。この場合に、最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxを求める方法として、限界速度Vaまたは限界加速度Aaと同一の値とし、または限界速度Vaまたは限界加速度Aaに所定の割合を掛けた値とし、または限界速度Vaまたは限界加速度Aaから所定の値を減じた値とし、または限界速度Vaまたは限界加速度Aaを変数とする関数を演算した値とし、または限界速度Vaまたは限界加速度Aaに対応する最大回転速度Vmaxまたは最大加速度Amaxを記録したテーブルから読み取った値とするなど、種々の方法を採用することが可能である。
【0091】
アライメント装置6によりアライメントを行う際に、設定された最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxを越えない範囲で、回転速度Vおよび加速度Aが設定される。そのような回転速度Vおよび加速度Aは、ユーザが設定してもよく、自動的に設定するようにしてもよい。
【0092】
ユーザが設定する場合には、最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxを越える設定が不可能となるようにしておけばよい。自動的に設定する場合には、例えば、最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxに対する所定割合として設定すればよい。例えば、所定割合を100%として、最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxをアライメントを行う際の実際の回転台12の回転速度Vおよび加速度Aとして設定してもよい。
【0093】
なお、第2の変位量D2は、後で述べるように、中心変位(X1,Y1)についての検出値B2と初期値B1との差ΔB(=B2−B1)に等しい。そして、第2の変位量D2がしきい値th1を越えたか否かの判断において、例えば、X1,Y1のそれぞれについて、しきい値th11またはしきい値th12を越えたか否かがチェックされる。この場合に、X1,Y1のいずれかがしきい値th11またはしきい値th12を越えた場合に、第2の変位量D2がしきい値th1を越えたと判断される。
【0094】
また、第1のステップにおいて、回転台12を、その一周回転毎に断続的に回転させ、第2のステップにおいて、第2の変位量D2の検出を、回転台12の一周回転が終わる毎に行うようにすることができる。
【0095】
つまり、この場合は、回転台12を一周回転する毎に、第2の変位量D2の測定を行い、回転速度Vまたは加速度Aの設定値を段階的に大きくし、次回の回転台12の一周回転と第2の変位量D2の測定とを行う。これは、後で説明する段階的速度増大法に対応する。
【0096】
その場合に、第1のステップにおいて、回転台12を一周回転する毎に、停止状態から回転を開始して設定された正の加速度で増速し、回転速度が設定値に達した後に、設定された負の加速度(減速度)で減速して停止させるようにすることができる。
【0097】
また、第5のステップにおいて、加速度Aの設定値を一定とし、回転速度Vの設定値を増大させるようにすることができる。
【0098】
また、第5のステップにおいて、回転速度Vの設定値を一定とし、加速度Aの設定値を増大させるようにすることができる。
【0099】
また、第1のステップにおいて、回転台12を連続的に回転させ、第2のステップにおいて、第2の変位量D2の検出を所定の時間間隔で行い、第5のステップにおいて、回転速度Vの設定値を所定の傾きで増大させるようにすることができる。
【0100】
つまり、この場合には、回転台12の回転速度Vを徐々に上げるとともに、その過程において所定の時間間隔で第2の変位量D2の検出を行う。これは、後で説明する連続的速度増大法に対応する。
【0101】
なお、上の第1〜第4のステップのいずれかが時間的に互いに重複するように実行してもよい。
【0102】
なお、制御部17は、制御装置7との間で信号の授受を行い、搬送ロボット5と連係して基板WDのアライメントを行うことが可能である。
〔タイミング図による制御動作の説明〕
次に、
図10〜
図14を参照して、第2制御部22の制御動作についてさらに詳しく説明する。第2制御部22の制御動作には、予備処理、周方向位置合わせ処理(ノッチ合わせ処理)、および限界条件測定処理が含まれる。
【0103】
まず、第2制御部22による予備処理について説明する。予備処理には、ノッチ外し処理および初期配置処理が含まれる。
〔予備処理におけるノッチ外し処理〕
ノッチ外し処理は、回転台12上に載置された基板WDの方位表示基準NTが、ラインセンサ14,15のレーザ光AR1、AR2に掛からないようにする処理である。
【0104】
まず、使用したい基板WDを回転台12の上に載置する。これは、搬送ロボット5を用いて行ってもよく、ユーザが手操作で行ってもよい。その場合に、基板WDが回転台12の中心位置にできるだけ一致するように載置する。
【0105】
そして、ラインセンサ14,15によって、エッジ変位(x,y)が測定される。その後、回転台12が微少な角度βだけ回転され、再度、ラインセンサ14,15によってエッジ変位(x,y)が測定される。
【0106】
これら測定された2つのエッジ変位(x,y)の差が許容範囲内である場合に、レーザ光AR1、AR2が方位表示基準NTが掛かっていないと判断する。この場合の許容範囲は、例えば、x,yのそれぞれの差について、0.3ミリメートル以内である。
【0107】
測定された2つのエッジ変位(x,y)の差が許容範囲外である場合、つまりx,yのいずれかについての差が許容範囲を越えている場合には、レーザ光AR1、AR2が方位表示基準NTが掛かっている可能性があるので、これを回避するため、回転台12を所定の角度βだけ回転させ、エッジ変位(x,y)を再度測定する。
【0108】
なお、角度βは、方位表示基準NTの周方向の最大長さに対応する中心角度程度としておけばよい。例えば、角度βを3度程度としておけばよい。
【0109】
エッジ変位(x,y)の再度の測定によって許容範囲内となれば、ノッチ外し処理を終了する。
【0110】
このように、角度βの回転とエッジ位置の検出とを繰り返して行うことにより、ノッチ外し処理を行う。ノッチ外し処理を行うことによって、以降におけるラインセンサ14,15によるエッジ変位(x,y)の測定が正確に行われることとなる。
〔予備処理における初期配置処理〕
次に、初期配置処理を行う。初期配置処理は、基板WDが回転台12上の正しい位置に配置(初期配置)されるようにする処理である。つまり、基板WDの中心位置C2と回転台12の中心位置C1との誤差が許容された誤差範囲内であるかを判定し、誤差範囲外であると判定された場合には基板WDを配置し直す。
【0111】
まず、ノッチ外し処理が終わった後、ラインセンサ14,15によって、エッジ変位(x,y)が測定され求められる。ここでは、基板WDの中心位置C2が回転台12の中心位置C1と一致している場合のエッジ位置(基準位置)からのX方向およびY方向の変位が、エッジ変位(x,y)として求められる。つまり、基板WDが回転台12上の正しい位置に載置されている場合には、エッジ変位(x,y)は0、つまりx=0、y=0である。
【0112】
エッジ変位(x,y)が誤差範囲内、つまりx,yのいずれもが誤差範囲内であった場合に、初期位置の判定を良とする。この場合の誤差範囲は、例えば、x,yのそれぞれの差について、0.2ミリメートル以内である。
【0113】
エッジ変位(x,y)が誤差範囲外、つまりx,yのいずかが誤差範囲外であった場合には、初期位置の判定を否とし、初期位置の判定が良となるまで、基板WDの再配置とエッジ変位(x,y)の測定および判定とを繰り返す。基板WDの再配置を行った場合には、上に述べたノッチ外し処理を最初に行う。
【0114】
なお、初期配置処理での判定に用いられるエッジ変位(x,y)は、ノッチ外し処理の最後に測定されたエッジ変位(x,y)を用いることも可能である。
【0115】
また、初期配置処理での判定のために、回転台12を例えば一周回転させ、その間に測定した複数のエッジ変位(x,y)を用いてもよい。その場合に、例えば、複数のエッジ変位(x,y)のいずれもが誤差範囲内であった場合に、初期位置の判定を良とすればよい。または、複数のエッジ変位(x,y)における差の最大値が誤差範囲内であった場合に、初期位置の判定を良とすればよい。
【0116】
基板WDの再配置には、搬送ロボット5を用いて行ってもよく、ユーザが手操作で行ってもよい。
【0117】
なお、基板WDの初期位置の判定が良となった場合に、そのときのエッジ変位(x,y)、またはそれに基づく中心変位(X1,Y1)を、基準位置として用いればよい。
〔周方向位置合わせ処理(ノッチ合わせ処理)〕
次に、第2制御部22による周方向位置合わせ処理について説明する。周方向位置合わせ処理は、主として周方向位置合わせ部221の制御によって行われる。
【0118】
図10に示すように、時刻t1において、モータ13によって回転台12を正方向(例えば右方向)に回転させる。一定の加速度Aによって回転速度Vが増大し、時刻t2において一定の回転速度V1となる。時刻t3において、スポットセンサ16から方位表示基準NTを検出したことを示す出力信号S3が出されると、モータ13の回転を停止させるように一定の負の加速度(減速度)Aで減速する。時刻t4で回転速度Vが0になり、その後は負の回転速度Vによって逆方向(例えば左方向)に回転する。時刻t5において、一定の低速の回転速度V2となり、時刻t6において、スポットセンサ16から方位表示基準NTを検出したことを示す出力信号S3が出される。これによってモータ13の回転を停止させる。
【0119】
すなわち、時刻t3で方位表示基準NTを検出したときに、基板WDは瞬時には停止できないので、方位表示基準NTがスポットセンサ16のレーザ光AR3の位置を行き過ぎてから停止する。時刻t4から時刻t6までの間に、瞬時停止が可能な低い回転速度V2で逆回転し、再び方位表示基準NTを検出したときに回転台12が停止する。これによって、スポットセンサ16のレーザ光AR3の位置と方位表示基準NTの位置とが一致し、基板WDの回転角度位置(周方向の位置)が原点位置に位置決めされる。
【0120】
このようにして基板WDの周方向の原点の位置合わせを行った後、時刻t7から正方向に回転させ、原点から所定の回転角度θaだけ回転した位置で停止するように減速し、時刻t8で停止させる。これによって、基板WDは、周方向において所定の回転角度θaに位置決めされることとなる。
〔限界条件測定処理〕
次に、第2制御部22による限界速度Vaおよび限界加速度Aaの検出のための制御について説明する。この制御は主として限界条件検出部222によって行われる。
〔限界速度Vaの検出の制御〕
まず、限界速度Vaの検出の制御について説明する。
【0121】
限界速度Vaの検出の制御では、最初に、基板WDの周方向の位置合わせ処理が終わった状態で、ラインセンサ14,15によって基板WDのエッジEGの位置が検出される。エッジEGの位置は、上に述べたように、例えば基準位置からのエッジ変位(x,y)として検出可能である。検出されたエッジEGの位置(エッジ変位)は、初期値B1としてメモリ223に記憶される。
【0122】
なお、本実施形態においては、初期値B1として中心変位の値X1,Y1が用いられるが、エッジ変位の値x,yを用いることも可能である。
【0123】
以降において、回転台12(つまり基板WD)の回転速度Vを増大させながら限界速度Vaの検出が行われるが、回転速度Vを増大させるための制御方法として、上に述べたように、段階的速度増大法と連続的速度増大法とがある。以下、それぞれについて説明する。
〔段階的速度増大法〕
段階的速度増大法では、回転台12の回転速度Vを各回での一周回転毎に段階的に増大させ、各回において、回転台12の一周回転と第2の変位量D2(これは差ΔBに等しい)の測定とを行い、第2の変位量D2がしきい値thを越えていないかどうかのチェックを行う。
【0124】
すなわち、
図11および
図12において、1回目のチェックでは、時刻t11eにおいて、回転台12が停止状態から設定された一定の加速度Asで加速され、回転速度Vが設定値Vcminに達するとしばらくその回転速度Vで回転され、その後、一定の負の加速度(−A)で減速され、一周(360度)回転した位置で停止する(時刻t12)。回転台12が停止した後、基板WDの中心変位(X1,Y1)を検出し、これを検出値B2とする。検出値B2と上に述べた初期値B1との差ΔB(=B2−B1)を求める。求めた差ΔBが第2の変位量D2である。差ΔB(第2の変位量D2)がしきい値th1を越えていないかどうかがチェックされる。これで1回目のチェックが終了する。差ΔBがしきい値th1を越えていないときは2回目のチェックを行う。
【0125】
2回目のチェックでは、時刻t12eにおいて、回転速度Vが0の状態から1回目と同じ一定の加速度Asで加速され、回転速度Vが設定値(Vcmin+ΔV)に達するとしばらくその回転速度Vで回転され、その後、1回目と同じ一定の負の加速度(−A)で減速され、一周回転した位置で停止する(時刻t13)。回転台12が停止した後、基板WDのエッジEGの位置を検出し、これを検出値B2とする。検出値B2と初期値B1との差ΔB、つまり第2の変位量D2を求める。差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかがチェックされる。これで2回目のチェックが終了する。差ΔBがしきい値th1を越えていないときは、さらに、3回目、4回目、…n回目のチェックを行う。
【0126】
n回目のチェックでは、回転速度Vの設定値を〔Vcmin+(n−1)・ΔV〕として、同様に回転台12を一周回転させ、差ΔBを求め、差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかをチェックする。
【0127】
そして、回転速度Vの設定値〔Vcmin+(n−1)・ΔV〕が最大回転速度Vcmaxに達すると終了する。
【0128】
n回目のチェックにおいて、差ΔBがしきい値th1を越えたときは、その回、またはその直前の回である(n−1)回目の回転速度Vを限界速度Vaとし、これをメモリ223に記録する。差ΔBがしきい値th1を越えたときは、その回以降のチェックを行わない。
【0129】
このように、回転速度Vの設定値を、最小回転速度Vcminから最大回転速度Vcmaxまで、回毎に微少な回転速度(回転速度Vの増大分)ΔVずつ段階的に増大させ、回毎の測定により得られた差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかのチェックを行う。この間において、各回の加速度Aの設定値は一定の設定値Asとしておく。設定値Asは、基板WDにズレを生じさせない程度の低い値としておけばよい。
【0130】
なお、差ΔBがしきい値th1を越えるかどうかのチェックにおいて、次の(1)(2)のいずれの方法を採用してもよい。
(1) 差ΔBとして、測定された中心変位のX1およびY1を独立して用い、X1,Y1をそれぞれのしきい値th1x、th1yと個別に比較してチェックする。この場合に、例えば、X1またはY1のいずれかについてしきい値th1x、th1yを越えた場合に、差ΔBがしきい値th1を越えたと判断すればよい。
(2) 測定された中心変位X1,Y1に基づいて基板WDの中心位置C2の移動距離(直線距離)を求め、求めた移動距離を差ΔBとして用いる。この場合には、移動距離である差ΔBをしきい値th1と比較してチェックすればよい。
【0131】
なお、最小回転速度Vcmin、最大回転速度Vcmaxは、ユーザが操作部32を操作することにより設定できるようになっている。その際に、モータ13の回転制御が可能な範囲、および、基板WDのズレが生じそうな回転速度Vの範囲などを考慮して設定すればよい。
【0132】
各回毎の回転速度Vの増大分ΔVについては、同様にユーザにより設定することが可能である。また、回毎に同じ大きさの増大分ΔVを加算して増大させることが可能であるが、回毎に異なる大きさの増大分ΔVを加算することも可能である。
【0133】
例えば、回毎に、前回の回転速度Vに対する所定の割合の増大分ΔV、つまり、前回の回転速度Vに所定の割合Kvを掛けた値(V×Kv)を、増大分ΔVとすることも可能である。この場合には、回転速度Vを、各回毎に、所定の割合Kvずつ増大させることとなる。例えば、5パーセントずつ、または10パーセントずつ、増大させるということが可能である。
【0134】
なお、回転速度Vが早くなると回転台12の一周回転に要する時間が短くなるので、回転台12の一周回転に要する時間は、1回目のチェックよりも2回目のチェックの方が短く、2回目のチェックよりも3回目のチェックの方が短い。
【0135】
このように、ユーザが操作部32を操作することにより、各回毎の回転速度Vの増大分ΔVとして、一定値を設定し、または所定の割合Kvを設定することが可能となっている。また、上に述べたように、回転速度Vの増大分ΔV、または回転速度Vそれ自体を、予め記憶されたプログラムによって自動で設定することも可能である。
【0136】
なお、回転速度Vおよび加速度Aがどのように設定された場合でも、一周回転におけるパルス信号SPの個数Nは同じである。つまり、回転速度Vおよび加速度Aを制御することによって、一周回転分のN個のパルス信号SPの時間軸に対する発生間隔および分布が制御されることとなる。
〔限界加速度Aaの検出の制御〕
次に、限界加速度Aaの検出の制御について説明する。
【0137】
限界加速度Aaの検出の制御では、上に述べた限界速度Vaの検出の制御において、回転速度Vを一定の回転速度Vsとしておき、加速度Aを各回での一周回転毎に段階的に増大させる。
【0138】
すなわち、
図13において、1回目のチェックでは、時刻t22eにおいて、回転台12が停止状態から初期設定された加速度Acminで回転を開始し、設定された回転速度Vsに達した後、同じ大きさの負の加速度(−Acmin)で減速され、一周回転した位置で停止する(時刻t22)。回転台12が停止した後、限界速度Vaの検出の場合と同様に、基板WDの中心変位(X1,Y1)を検出し、これを検出値B2とする。検出値B2と初期値B1との差ΔB(=B2−B1)を求め、求めた差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかをチェックする。
【0139】
2回目のチェックでは、時刻t22eにおいて、回転速度Vが0の状態から、1回目の加速度Acminに増大分ΔAを加算した値(Acmin+ΔA)を加速度Aの設定値とし、回転を開始する。その後、設定された回転速度Vsに達した後、同じ大きさの負の加速度〔−(Acmin+ΔA)〕で減速され、一周回転した位置で停止する(時刻t23)。回転台12が停止した後、1回目と同様に、基板WDの中心変位(X1,Y1)を検出し、これを検出値B2とする。検出値B2と初期値B1との差ΔB(=B2−B1)を求め、求めた差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかをチェックする。差ΔBがしきい値th1を越えていないときは、さらに、3回目、4回目、…n回目のチェックを行う。
【0140】
n回目のチェックでは、加速度Aの設定値を〔Acmin+(n−1)・ΔA〕として、同様に回転台12を一周回転させ、差ΔBを求め、差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかをチェックする。
【0141】
そして、加速度Aの設定値〔Acmin+(n−1)・ΔA〕が最大加速度Acmaxに達すると終了する。
【0142】
n回目のチェックにおいて、差ΔBがしきい値th1を越えたときは、その回、またはその直前の回である(n−1)回目の加速度Aを限界加速度Aaとし、これをメモリ223に記録する。差ΔBがしきい値th1を越えたときは、その回以降のチェックを行わない。
【0143】
なお、加速度Aが大きくなると回転台12の一周回転に要する時間が短くなるので、回転台12の一周回転に要する時間は、1回目のチェックよりも2回目のチェックの方が短く、2回目のチェックよりも3回目のチェックの方が短い。
【0144】
このように、加速度Aの設定値を、最小加速度Acminから最大加速度Acmaxまで、回毎に微少な加速度(加速度Aの増大分)ΔAずつ段階的に増大させ、回毎の測定により得られた差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかのチェックを行う。この間において、各回の回転速度Vの設定値は一定の設定値Vsとしておく。設定値Vsは、基板WDにズレを生じさせない程度の低い値としておけばよい。
【0145】
なお、最小加速度Acmin、最大加速度Acmaxは、例えば、モータ13の回転制御が可能な範囲、および、基板WDのズレが生じそうな加速度Aの範囲などを考慮してユーザが設定する。
【0146】
各回毎の加速度Aの増大分ΔAについては、同様にユーザにより設定することが可能である。また、回毎に同じ大きさの増大分ΔAを加算して増大させたり、回毎に異なる大きさの増大分ΔVを加算したり、または回毎に所定の割合Kaずつ増大させることが可能である。また、加速度Aの増大分ΔA、または加速度Aそれ自体を、予め記憶されたプログラムによって自動で設定することも可能である。
【0147】
上に述べたように、限界速度Vaおよび限界加速度Aaを検出することができる。
【0148】
また、限界速度Vaまたは限界加速度Aaを検出する際に、それぞれの加速度Aまたは回転速度Vの設定値As,Vsを種々変更して、種々設定された互いに異なる加速度Aaまたは回転速度Vsに対する限界速度Vaおよび限界加速度Aaを検出してもよい。
【0149】
例えば、限界速度Vaの検出の制御において、種々の異なる加速度Asに対して限界速度Vaを検出することにより、最適の限界速度Vaと限界加速度Aaの組み合わせを求めることが可能である。
【0150】
また、これとは逆に、限界加速度Aaの検出の制御において、種々の異なる回転速度Vsに対して限界加速度Aaを検出することによっても、同様に最適の限界速度Vaと限界加速度Aaの組み合わせを求めることが可能である。
〔連続的速度増大法〕
連続的速度増大法では、回転台12の回転速度Vを所定の傾き(加速度)で連続的に徐々に増大させ、その間の所定の時間間隔で第2の変位量D2の検出を行い、第2の変位量D2がしきい値thを越えていないかどうかのチェックを行う。
【0151】
すなわち、
図14に示すように、回転台12(基板WD)の回転速度Vの設定値を、最小回転速度Vcminから最大回転速度Vcmaxまでの間において、連続的に増大させる。なお、この場合の「連続的」とは、必ずしも厳密な連続でなくてもよい。例えば、デジタル的な制御ではミクロ的に見れば段階的ということになるが、これもここでいう「連続的」に含まれる。
【0152】
そして、その間において、所定の時間間隔で第2の変位量D2の検出を行う。つまり、回転が停止しているとき、または回転が最小回転速度Vcminのときに、基板WDの中心変位(X1,Y1)を検出し、これを初期値B1とする。そして、所定の時間間隔で中心変位(X1,Y1)を検出して検出値B2とする。検出値B2を検出する度ごとに、検出値B2と初期値B1との差ΔB(=B2−B1)を求める。求めた差ΔBが、第2の変位量D2である。差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかをチェックする。しきい値th1を越えたときは、その直前の回転速度Vを限界速度Vaとし、これをメモリ223に記録する。
【0153】
また、しきい値th1を越えることなく最大回転速度Vcmaxに達すると、終了する。
【0154】
なお、第2の変位量D2の検出を行う時間間隔(所定の時間間隔)として、予め設定した時間間隔を用いてもよい。また、回転エンコーダ13bから出力されるパルス信号SPを利用し、回転台12が所定の角度回転するごとに、第2の変位量D2の検出を行ってもよい。
〔限界条件テーブル〕
図11〜
図14における説明のようにして限界速度Vaおよび限界加速度Aaが求まると、その限界速度Vaおよび限界加速度Aaが、チェックを行った基板WDの識別符号SBとともに、
図15に示す限界条件テーブルTB1に記録される。
【0155】
つまり、第2制御部22によるこのような回転条件調整が、種類やロット番号の異なる複数の基板WDに対して行われ、それぞれの結果得られた限界速度Vaおよび限界加速度Aaが、基板WDの種類やロット番号を識別する識別符号SBとともに限界条件テーブルTB1に記録される。
【0156】
図15には限界条件テーブルTB1の例が示されている。限界条件テーブルTB1はメモリ223に格納されている。
【0157】
上に述べたように、スリップの起こり易さつまりズレの生じ易さの異なる種々の基板WDについて、その限界速度Va1,2,3…および限界加速度Aa1,2,3…を検出し、それらを限界条件テーブルTB1に記録する。
【0158】
そして、第1制御部21によるアライメントのための制御が行われる際に、アライメントを行う基板WDについての限界速度Vaおよび限界加速度Aaが限界条件テーブルTB1から読み出され、読み出された限界速度Vaおよび限界加速度Aaに基づいて、最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxが求められ、メモリ25に設定される。
〔本実施形態による効果〕
このようにして、第1制御部21によってアライメントのための第1の変位量D1を求める際に、基板WDがスリップしないような最適の回転速度Vおよび加速度Aが、短時間で容易に測定され、設定されることとなる。
【0159】
したがって、本実施形態のアライメント装置6によると、アライメントのための制御に要する時間を大幅に短縮することが可能である。例えば、従来において、1つの基板WDについて、スリップしないような回転速度Vおよび加速度Aを取得するための調整に1時間または数時間程度を要していたのが、本実施形態のアライメント装置6によると、数分の1分から数分程度で行うことが可能である。
【0160】
特に、限界速度Vaのみを検出するのであれば、上に述べた連続的速度増大法を用いることにより、数秒程度の短時間で調整を行うことが可能である。実際に、基板WDが回転台12上にセットされる場合に、それらの中心位置C1,C2が完全に一致することはほとんどないので、回転による遠心力によって基板WDの位置がズレることが多い。したがって、加速度Aを適当な設定値Asとしておき、連続的速度増大法によって限界速度Vaを求めるのは実用面において有用である。
【0161】
また、アライメントを行う際に回転台12の最適の回転速度Vおよび加速度Aを設定することができるので、アライメントを行うに要する時間を最短のものとすることが可能である。
〔本実施形態の変形例〕
上に述べた実施形態において、限界速度Vaおよび限界加速度Aaの検出は、基板WDについてのアライメントを行う直前に行ってもよく、また、基板WDが提供された時点で予め行っておき、限界条件テーブルTB1を作成しておくこととしてもよい。
【0162】
上に述べた種々の制御において、スポットセンサ16による検出を行うことによって方位表示基準NTの位置が分かっているときは、上に述べたノッチ外し処理を省略することが可能である。
【0163】
また、本実施形態においては、2つのラインセンサ14,15を用いているので、これらラインセンサ14,15のレーザ光AR1,2が方位表示基準NTの位置に掛かっていない場合には、基板WDを回転させることなく、エッジ変位(x,y)および中心変位(X1,Y1)を検出することができる。したがって、基板WDを回転させた場合には、基板WDのエッジ変位(x,y)および中心変位(X1,Y1)を、回転中におけるその時々の瞬間の回転速度Vに対し、リアルタイムで検出することができる。
【0164】
したがって、
図14での説明のように1周回転ごとに中心変位(X1,Y1)を検出するのではなく、回転台12を回転させながら、しかもその回転速度Vまたはその設定値を、連続的に増大させながら、所定の適当な回転角度毎に、リアルタイムで第2の変位量D2を検出することが可能である。
【0165】
なお、限界速度Vaおよび限界加速度Aaを限界条件テーブルTB1に記録するときに、そのときのエッジ変位(x,y)または中心変位(X1,Y1)をも限界条件テーブルTB1に記録してもよい。
【0166】
また、互いに異なる複数のしきい値th1,2,3…を設定しておき、それぞれのしきい値thを越えたときの限界速度Vaまたは限界加速度Aaなどを求め、これを限界条件テーブルTB1に記録してもよい。このようにすると、アライメントのための制御を行う際に、回転台12の回転速度Vおよび加速度Aの設定をよりきめ細かく行うことが可能である。
〔フローチャートによる制御動作の説明〕
次に、制御部17による制御動作について、
図16〜
図21に示すフローチャートを参照して説明する。なお、
図19および
図20は段階的速度増大法の例であり、
図21は連続的速度増大法の例である。
【0167】
図16において、まず、アライメントのための回転条件の調整、つまり限界速度Vaおよび限界速度Vaの検出、およびそれに基づく最大回転速度Vmaxおよび最大加速度Amaxの設定が行われ(#1)、次に、アライメントのための変位量の測定が行われる(#2)。
【0168】
図17において、回転条件の調整では、予備処理が行われ(#11)、基板WDの周方向の位置合わせが行われ、所定の回転角度θaに位置決めされる(#12)。そして、限界速度Vaの検出が行われ(#13)、限界加速度Aaの検出が行われ(#14)、それらが回転条件として設定される(#15)。
【0169】
図18において、予備処理では、まず、基板WDが回転台12にセットされる(#21)。基板WDの変位が測定(検出)され(#22)、回転台12を所定の角度βだけ回転させ(#23)、再度基板WDの変位が測定される(#24)。2回に渡り測定された2つの変位の差が許容範囲内となるまで、角度βの回転と変位の測定とが繰り返される(#25でノー)。
【0170】
変位の差が許容範囲内となると(#25でイエス)、そのときの変位量が測定され(#26)、変位量が誤差範囲内であるか否かが判断される(#27)。変位量が誤差範囲を越えていた場合は(#27でノー)、ユーザまたは搬送ロボット5が基板WDをセットし直した後(#28)、ステップ#22以降が再度実行される。
【0171】
変位量が誤差範囲内である場合は(#27でイエス)、リターンする。
【0172】
図19において、限界速度の検出では、まず、加速度Asを設定し(#31)、回転速度Vの初期値を設定し(#32)、回転台12を回転させる(#33)。回転台12の回転によって基板WDが回転し、これによって基板WDの回転台12に対するズレにより生じた第2の変位量D2を測定する(#34)。第2の変位量D2としきい値th1とを比較し、第2の変位量D2がしきい値th1を越えるか否かを判断する(#35)。
【0173】
第2の変位量D2がしきい値th1を越えた場合は(#35でイエス)、そのときの回転台12の回転速度Vまたはその直前の回転速度Vを限界速度Vaとして求めてメモリ223に記録し、回転台12の回転を停止する(#36)。なお、ステップ#36において、限界速度Vaおよび第2の変位量D2を表示装置31によって表示してもよい。
【0174】
第2の変位量D2がしきい値th1を越えないときは(#35でノー)、回転台12の回転速度Vの設定値を増大させ(#37)、ステップ#33〜35を繰り返す。その際に、回転速度Vの設定値が最大回転速度Vcmax以上となった場合には(#38でイエス)、ステップ#36に移行した後、処理を終了する。
【0175】
なお、ステップ#38でイエスとなった場合に、ステップ#36に移行することなく、最大回転速度Vcmax以上となったことを表示装置31に表示し、回転台12の回転を停止してもよい。
【0176】
図19のフローチャートにおいて、ステップ#33、34、35、36、37が、本発明のステップ1、2、3、4、5のそれぞれに対応する例である。
【0177】
図20において、限界加速度の検出では、まず、回転速度Vsを設定し(#41)、加速度Aの初期値を設定し(#42)、回転台12を回転させる(#43)。回転台12の回転によって基板WDが回転し、これによって基板WDの回転台12に対するズレにより生じた第2の変位量D2を測定する(#44)。第2の変位量D2としきい値th1とを比較し、第2の変位量D2がしきい値th1を越えるか否かを判断する(#45)。
【0178】
第2の変位量D2がしきい値th1を越えた場合は(#45でイエス)、そのときの回転台12の加速度Aまたはその直前の加速度Aを限界加速度Aaとして求めてメモリ223に記録し、回転台12の回転を停止する(#46)。限界加速度Aaを表示装置31によって表示してもよい。
【0179】
第2の変位量D2がしきい値th1を越えないときは(#45でノー)、回転台12の加速度Aの設定値を増大させ(#47)、ステップ#43〜45を繰り返す。その際に、加速度Aの設定値が最大加速度Acmax以上となった場合には(#48でイエス)、ステップ#46に移行した後、処理を終了する。
【0180】
なお、ステップ#48でイエスとなった場合に、ステップ#46に移行することなく、最大加速度Acmax以上となったことを表示装置31に表示し、回転台12の回転を停止してもよい。
【0181】
図20のフローチャートにおいて、ステップ#43、44、45、46、47が、本発明のステップ1、2、3、4、5のそれぞれに対応する例である。
【0182】
図21において、他の実施形態の限界速度の検出では、セットされた基板WDの変位の初期値B1が取得される(#51)。基板WDが所定の角度だけ回転され(#52)、回転後の変位が検出値B2として取得される(#53)。
【0183】
検出値B2と初期値B1とを比較してそれらの差ΔB(第2の変位量D2)が求められ(#54)、差ΔBがしきい値th1を越えていないかどうかがチェックされる(#55)。
【0184】
差ΔBがしきい値th1を越えている場合は(#55でイエス)、そのときの回転速度Vまたはその直前の回転速度Vを限界速度Vaとし、これをメモリ223に記憶し、表示装置31に表示し(#56)、回転台12の回転を停止する(#57)。
【0185】
ステップ#55で差ΔBがしきい値th1を越えていない場合は、回転速度Vの設定値を増大して(#58)、ステップ#52に戻る。その際に、回転速度Vの設定値が最大回転速度Vcmax以上となった場合には(#59でイエス)、ステップ#56に移行した後、処理を終了する。
【0186】
上に述べた実施形態において、搬送ロボット5、アライメント装置6、制御装置7、基板処理装置1の各部の構成、構造、配置、制御内容などは、上に述べた以外の種々のものとすることが可能である。
【0187】
上に述べた実施形態において、ハウジング11の構造および形状、回転台12の回転駆動のための構成、ラインセンサ14,15およびスポットセンサ16の種類および取り付け方法、第1制御部21および第2制御部22の制御内容、その他、アライメント装置6の全体または各部の構成、構造、形状、個数、配置、回路、制御のタイミングまたは順序などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【0188】
例えば、上に述べた実施形態において、2つのラインセンサ14,15を用いたが、3つまたはそれ以上のラインセンサを用いてもよい。