特許第6057646号(P6057646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057646
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】イオン歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   A46B15/00 N
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-212249(P2012-212249)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-64760(P2014-64760A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】592116844
【氏名又は名称】フクバデンタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】飯島 雅人
【審査官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第99/062372(JP,A1)
【文献】 特開平07−064483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00
A61C 1/08
A61C 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する柄部と、
前記柄部から延出する導電性の支軸部と、
前記支軸部によって支持され、ブラシ毛が設けられたヘッド部と、
前記柄部に収容され、第1電極および第2電極を有する電池であって、前記第1電極が前記柄部の外表面に設けられた導電部材と電気的に接続され、前記第2電極が前記支軸部と電気的に接続される電池と、
前記柄部に収容され、第1端子および第2端子を有する発光部と、
前記柄部に設けられ、前記発光部が発する光を透過する光透過部と、
前記第1端子と前記第1電極とを電気的に接続可能な第1配線と、
前記第2端子と前記第2電極とを電気的に接続可能な第2配線と、
前記光透過部に設けられ、前記第1配線を前記第1端子に押し付けている第1突起部と、
前記光透過部に設けられ、前記第2配線を前記第2端子に押し付けている第2突起部と、
を含み、
前記光透過部、前記第1突起部、および前記第2突起部の材質は、ポリウレタンであり、
前記柄部は、
柄部本体と、
前記柄部本体に固定されたカバー部と、
を有し、
前記第1端子は、前記柄部本体の第1載置面に載置され、
前記第2端子は、前記柄部本体の第2載置面に載置され、
前記光透過部は、前記カバー部に形成された開口部に設けられ、
前記第1突起部は、前記光透過部の内表面から前記第1載置面側に突出し、
前記第2突起部は、前記光透過部の内表面から前記第2載置面側に突出し、
前記第1突起部は、前記第1載置面と対向する第1面を有し、
前記第2突起部は、前記第2載置面と対向する第2面を有し、
前記第1突起部は、前記第1面において前記第1配線と接して、前記第1配線を前記第1端子に押し付け、
前記第2突起部は、前記第2面において前記第2配線と接して、前記第2配線を前記第2端子に押し付けている、イオン歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2配線を前記支軸部に押し付けるためのスイッチ部を、さらに含み、
前記第2配線は、前記スイッチ部によって、前記支軸部と接触して、前記第2電極と電気的に接続される、イオン歯ブラシ。
【請求項3】
請求項2において、
前記スイッチ部の材質は、ポリウレタンである、イオン歯ブラシ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第1突起部は、前記第1配線の前記第1端子との重なり部を押し、
前記第2突起部は、前記第2配線の前記第2端子との重なり部を押している、イオン歯ブラシ。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1項おいて、
前記柄部の材質は、ABS(acrylonitrile butadiene styrene copolymaer)樹脂である、イオン歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯ブラシの柄部に電池を内蔵し、この柄部を把持する使用者の手を介して歯とブラシ毛との間に電流を流し、ブラッシング効果を向上させたイオン歯ブラシや電子歯ブラシ(以下、これらを総称して「イオン歯ブラシ」という)が提案されている。この種のイオン歯ブラシは、上記の効果を維持するために、電池の電圧が所定の値に維持されているか、定期的に検査する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1には、柄部に設けられたスイッチ部を押すことにより、発光部を発光させ、電池の電圧の検査を行うことができるイオン歯ブラシが開示されている。特許文献1のイオン歯ブラシでは、電池とLEDとの電気的接続を、導電性の接続部材を接触させることによって行っている。接続部材は、ねじによって柄部に固定され、発光部の端子に押圧され接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/62372号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のイオン歯ブラシでは、接続部材をねじによって固定しているため、例えば部品数が増え、これにともなって工数が増えてコストが高くなるという問題がある。そのため、例えば、柄部の内表面に突起部を設け、該突起部によって接続部材を発光部の端子に押さえ付けることが考えられる。
【0006】
しかしながら、製造工程に超音波溶着工程を含むイオン歯ブラシでは、突起部が超音波溶着工程の際に、変形したり溶けたりする場合があった。そのため、突起部の押さえつける作用が不足して、接続部材と発光部の端子との接触が不十分となり、発光部の点灯不良が発生する場合があった。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、発光部の点灯不良を抑制できるイオン歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0009】
[適用例1]
本発明に係るイオン歯ブラシの一態様は、
使用者が把持する柄部と、
前記柄部から延出する導電性の支軸部と、
前記支軸部によって支持され、ブラシ毛が設けられたヘッド部と、
前記柄部に収容され、第1電極および第2電極を有する電池であって、前記第1電極が前記柄部の外表面に設けられた導電部材と電気的に接続され、前記第2電極が前記支軸部と電気的に接続される電池と、
前記柄部に収容され、第1端子および第2端子を有する発光部と、
前記柄部に設けられ、前記発光部が発する光を透過する光透過部と、
前記第1端子と前記第1電極とを電気的に接続可能な第1配線と、
前記第2端子と前記第2電極とを電気的に接続可能な第2配線と、
前記光透過部に設けられ、前記第1端子および前記第1配線の一方を他方に押し付けている第1突起部と、
前記光透過部に設けられ、前記第2端子および前記第2配線の一方を他方に押し付けている第2突起部と、
を含み、
前記光透過部、前記第1突起部、および前記第2突起部の材質は、ポリウレタンである。
【0010】
[適用例2]
適用例1において、
前記第2配線を前記支軸部に押し付けるためのスイッチ部を、さらに含み、
前記第2配線は、前記スイッチ部によって、前記支軸部と接触して、前記第2電極と電気的に接続されてもよい。
【0011】
[適用例3]
適用例2において、
前記スイッチ部の材質は、ポリウレタンであってもよい。
【0012】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか1例おいて、
前記第1突起部は、前記第1配線を前記第1端子に押し付け、
前記第2突起部は、前記第2配線を前記第2端子に押し付けていてもよい。
【0013】
[適用例5]
適用例4において、
前記第1突起部は、前記第1配線の前記第1端子との重なり部を押し、
前記第2突起部は、前記第2配線の前記第2端子との重なり部を押していてもよい。
【0014】
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか1例おいて、
前記柄部の材質は、ABS(acrylonitrile butadiene styrene copolymaer)樹脂であってもよい。
【0015】
[適用例7]
適用例1ないし6のいずれか1例おいて、
前記柄部は、
柄部本体と、
超音波溶着によって前記柄部本体に固定されたカバー部と、
を有していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るイオン歯ブラシによれば、第1突起部は、発光部の第1端子および第1配線の一方を他方に押し付けている。そのため、第1配線と第1端子とを確実に接触させることができる。さらに、第2突起部は、発光部の第2端子および第2配線の一方を他方に押し付けている。そのため、第2配線と第2端子とを確実に接触させることができる。
【0017】
また、第1突起部および第2突起部の材質は、ポリウレタンである。そのため、イオン歯ブラシの製造工程において、例えば、カバー部を、超音波溶着によって柄部本体に固定する工程を有したとしても、第1突起部および第2突起部が変形したり溶けたりすることを抑制できる。これにより、例えば、第1配線および第2配線を発光部の第1端子および第2端子に押さえつける力が弱まることを抑制ができる。その結果、本発明に係るイオン歯ブラシでは、発光部の点灯不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係るイオン歯ブラシを模式的に示す正面図。
図2】本実施形態に係るイオン歯ブラシを模式的に示す側面図。
図3】本実施形態に係るイオン歯ブラシを模式的に示す背面図。
図4】本実施形態に係るイオン歯ブラシのヘッド部を取り外した状態を模式的に示す図。
図5】本実施形態に係るイオン歯ブラシを分解した状態を模式的に示す図。
図6】本実施形態に係るイオン歯ブラシを分解した状態の一部を模式的に示す図。
図7】本実施形態に係るイオン歯ブラシのカバー部の内表面側を模式的に示す図。
図8】本実施形態に係るイオン歯ブラシを模式的に示す断面図。
図9】本実施形態に係るイオン歯ブラシを模式的に示す断面図。
図10】本実施形態に係るイオン歯ブラシを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0020】
図1は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を模式的に示す正面図である。図2は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を模式的に示す側面図である。図3は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を模式的に示す背面図である。図4は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100のヘッド部90を取り外した状態を模式的に示す図である。図5は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を分解した状態を模式的に示す図である。図6は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を分解した状態の一部を模式的に示す図であって、図5に示す領域Aの拡大図である。図7は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100のカバー部130の内表面132側を模式的に示す図である。図8は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を模式的に示す図1のVIII−VIII線断面図である。図9は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を模式的に示す図1のIX−IX線断面図である。図10は、本実施形態に係るイオン歯ブラシ100を模式的に示す図1のX−X線断面図である。
【0021】
なお、便宜上、図5では、導電部材26、板ばね27、シール部材28、およびヘッド部90の図示を省略している。また、図8は、図5に示すVIII−VIII線に対応する断面図でもある。図9は、図5に示すIX−IX線に対応する断面図でもある。図10は、図5に示すX−X線に対応する断面図でもある。また、図1図10では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸を図示している。
【0022】
イオン歯ブラシ100は、図1図10に示すように、柄部10と、電池20と、導電部材26と、支軸部30と、発光部40と、光透過部50と、第1突起部52と、第2突起部54と、第1配線60と、第2配線70と、スイッチ部80と、ヘッド部90と、を含む。
【0023】
柄部10は、使用者が把持する部分である。柄部10の形状は、使用者が把持することができれば特に限定されないが、図示の例では、Y軸方向に延びる形状である。柄部10の材質は、例えば、ABS(acrylonitrile butadiene styrene copolymaer)樹脂である。柄部10は、電池20、発光部40、および配線60,70を収容することができる。柄部10は、柄部本体110と、カバー部130と、を有している。
【0024】
柄部本体110は、図5に示すように、カバー部130によって覆われる表面(カバー部130側を向く面)112を有している。表面112には、凹部114が設けられている。
【0025】
カバー部130は、柄部本体110を閉鎖することができる。カバー部130は、図7に示すように、内表面(柄部本体110側を向く面)132に設けられた凸部134を有している。凸部134は、内表面132から柄部本体110側に(図示の例では−Z軸方向に)突出している。凸部134は、柄部本体110に設けられた凹部114に対応して設けられている。図7に示す例では、凸部134は、カバー部130の外縁に沿って設けられている。
【0026】
カバー部130は、超音波溶着によって、柄部本体110に固定されることができる。具体的には、カバー部130の凸部134を、柄部本体110に設けられた凹部114に挿入させた状態で、超音波振動を与えつつ圧力を加える。これにより、凸部134および凹部114が互いに溶着し、カバー部130を柄部本体110に固定することができる。なお、図1〜4および図8〜10は、カバー部130が柄部本体110に溶着された後の状態を示している。超音波溶着において超音波振動の周波数は、凸部134の大きさ、形状、材質に合わせて、適宜設定することができるが、カバー部130および柄部本体110の材質がABS樹脂の場合は、例えば、15kHz以上25kHz以下であり、より好ましくは、18kHz以上20kHz以下である。超音波溶着において加える圧力は、凸部134の大きさ、形状、材質に合わせて、適宜設定することができるが、カバー部130および柄部本体110の材質がABS樹脂の場合は、例えば、0.4MPa以上0.6MPa以下である。
【0027】
電池20は、図5および図8に示すように、柄部10に収容されている。具体的には、電池20は、柄部10の表面112に形成された電池収容穴113に収容されている。図示の例では、電池20は、電池収容穴113の底部に設けられた突出部115上に、載置されている。電池20は、例えば、円盤状のリチウム電池である。電池20は、第1電極22(例えば正極)および第2電極24(例えば負極)を有している。なお、カバー部130には、電池収容穴113に連通する開口部133が設けられている。
【0028】
電池20の第1電極22は、図8に示すように、板ばね27を介して、柄部10の外表面12に設けられた導電部材26と電気的に接続されている。電池20の第2電極24は、支軸部30と電気的に接続されている。具体的には、電池収容穴113の底部には、支軸部30の一部が露出しており、第2電極24は、露出した支軸部30に接触している。
【0029】
支軸部30は、図1および図4に示すように、柄部10から延出している。具体的には、支軸部30は、柄部本体110の先端(ヘッド部90が装着される側の端)から、ヘッド部90を柄部10に装着した際のブラシ部92近傍まで、柄部10の長手方向(図示の例ではY軸方向)に延出している。支軸部30は、例えば、棒状の形状である。
【0030】
支軸部30は、図5に示すように、さらに、柄部本体110内であって柄部本体110の長手方向に延びる部分を有している。具体的には、支軸部30は、柄部本体110の先
端から開口部116を超えた位置まで延びている。開口部116は、柄部本体110の表面112に形成され、支軸部30を露出している。開口部116は、電池収容穴113よりも柄部本体110の基端(先端とは反対側の端)側に形成されている。支軸部30は、導電性である。支軸部30の材質は、例えば、ステンレス鋼である。
【0031】
発光部40は、図5,6,10に示すように、柄部10に収容されている。発光部40は、発光部本体42と、第1端子44と、第2端子46と、を有している。発光部本体42は、柄部本体110に形成された発光部収容穴118に収容されている。発光部収容穴118は、開口部116よりも柄部本体110の基端(先端とは反対側の端)側に形成されている。発光部本体42としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)を用いる。
【0032】
発光部40の第1端子44および第2端子46は、発光部本体42から、柄部10の短手方向(図示の例ではX軸方向)であって互いに反対の方向に延出している。図示の例では、第1端子44は、発光部本体42から+X軸方向に延出し、第2端子46は、発光部本体42から−X軸方向に延出している。端子44,46は、柄部本体110の載置面119に載置されている。載置面119には、発光部収容穴118が形成されている。載置面119は、平坦な面であり、柄部本体110の表面112よりも低い面(−Z軸方向に位置する面)であってもよい。端子44,46は、導電性である。端子44,46の材質は、例えば、銅合金である。
【0033】
光透過部50は、柄部10に設けられている。具体的には、光透過部50は、カバー部130に形成された開口部136に設けられている。開口部136は、カバー部130を貫通している。光透過部50の一部は、カバー部130の外表面(柄部10の外表面)12において露出している。光透過部50の平面形状(Z軸方向から見た形状)は、特に限定されないが、図5に示す例では、円形である。光透過部50は、平面視において(Z軸方向から見て)、発光部40と重なるように設けられている。光透過部50は、発光部40が発する光を透過することができる。これにより、発光部40が発する光を、イオン歯ブラシ100の外側から確認することができる。
【0034】
第1突起部52および第2突起部54は、図7および図10に示すように、光透過部50に設けられている。具体的には、突起部52,54は、図10に示すように、光透過部50の内表面51(柄部本体110側を向く面)に設けられている。突起部52,54は、内表面51から柄部本体110側に突出している。突起部52,54の平面形状は、特に限定されないが、図7に示す例では、円形である。
【0035】
第1突起部52は、平面視において、発光部40の第1端子44および第1配線60と重なるように設けられている。第1突起部52は、発光部40の第1端子44および第1配線60の一方を他方に押し付けている(詳細は後述)。第2突起部54は、平面視において、発光部40の第2端子46および第2配線70と重なるように設けられている。第2突起部54は、発光部40の第2端子46および第2配線70の一方を他方に押し付けている(詳細は後述)。
【0036】
光透過部50、第1突起部52、および第2突起部54の材質は、ポリウレタンであり、例えば、ジイソシアネートとジオールとの重付加反応により合成されたポリウレタンである。光透過部50および突起部52,54は、例えば、射出成形により一体的に形成される。
【0037】
第1配線60は、図5に示すように、柄部10に収容されている。第1配線60は、発光部40の第1端子44と、電池20の第1電極22と、を電気的に接続可能である。具
体的には、第1配線60の第1部分62は、第1端子44に接触している。第1配線60の第2部分64は、第1電極22に接触している。
【0038】
第1配線60の第1部分62は、図5に示す例では、第1配線60の−Y軸方向の端部近傍の部分である。具体的には、第1部分62は、平面視において、第1配線60の、発光部40の第1端子44との重なり部である。第1部分62は、図10に示すように、第1突起部52に接触している。第1突起部52は、弾性を有することができ、第1配線60を第1端子44に押し付けている。これにより、第1部分62と第1端子44とを確実に接触させることができる。図10に示す例では、第1突起部52は、第1部分62を押している。
【0039】
第1配線60の第2部分64は、図5に示す例では、第1配線60の+Y軸方向の端部である。第2部分64は、電池20の+X軸方向において、電池20の第1電極22に接触している。第1配線60は、略U字状に屈曲した屈曲部66を有している。図示の例では、第1配線60は、屈曲部66から+Y軸方向に向かうに従って、+X軸方向に湾曲している。この湾曲した形状および第1配線60の弾性により、第2部分64は、第1電極22に押し付けられることができる。これにより、第2部分64と第1電極22とを確実に接触させることができる。さらに、屈曲部66によって、第1配線60が柄部本体110の長手方向にずれることを抑制できる。
【0040】
第2配線70は、柄部10に収容されている。第2配線70は、発光部40の第2端子46と、電池20の第2電極24と、を電気的に接続可能である。具体的には、第2配線70の第3部分72は、第2端子46に接触している。第2配線70の第4部分74は、スイッチ部80が押されることによって、支軸部30と接触して、第2電極24と電気的に接続される(詳細は後述)。
【0041】
第2配線70の第3部分72は、図5に示す例では、第2配線70の−Y軸方向の端部近傍の部分である。具体的には、第3部分72は、平面視において、第2配線70の、発光部40の第2端子46との重なり部である。第2配線70は、図10に示すように、第2突起部54に接触している。第2突起部54は、弾性を有することができ、第2配線70を第2端子46に押し付けている。これにより、第3部分72と第2端子46とを確実に接触させることができる。図10に示す例では、第2突起部54は、第3部分72を押している。
【0042】
第2配線70の第4部分74は、図5に示す例では、第2配線70の+Y軸方向の端部である。第2配線70は、略L字状に屈曲して、X軸方向に延出する第4部分74を構成している。第4部分74は、平面視において、開口部116において露出する支軸部30と重なっている。図9に示すように、スイッチ部80が押されていない状態では、第4端部74は、支軸部30と離間している。スイッチ部80が押されると、第4端部74は、支軸部30側に変位し、支軸部30に接触する。これにより、第2配線70は、電池20の第2電極24と電気的に接続され、発光部40が点灯する。
【0043】
なお、第2配線70の第4部分74の端75は、図9に示すように、支軸部30側に屈曲していてもよい。これにより、スイッチ部80が押された状態において、より確実に、第2配線70と支軸部30とを接触させることができる。
【0044】
第2配線70は、図5に示すように、略U字状に屈曲した屈曲部76を有している。屈曲部76および第2配線70の弾性により、スイッチ部80が押されていない状態では、第2配線70の第4部分74と支軸部30とを離間させることができる。さらに、屈曲部76によって、第2配線70が柄部本体110の長手方向にずれることを抑制できる。
【0045】
第1配線60および第2配線70は、図5に示す例では、柄部本体110の表面112に形成された溝部120に設けられている。溝部120は、配線60,70の大きさや形状に従って、任意に設計することができる。なお、図5に示すように、表面112には、複数の突出部122が設けられていてもよい。これにより、配線60,70が柄部本体110に対してずれることを抑制できる。また、図7に示すように、カバー部130の内表面132には、突出部122に対応した位置に、窪み部137が形成されていてもよい。
【0046】
第1配線60および第2配線70は、例えば、断面円形の線材によって構成されている。これにより、配線60,70を容易に加工することができる。なお、配線60,70の断面形状は、弾性を有することができれば、特に限定されない。配線60,70は、導電性である。配線60,70の材質は、例えば、ステンレス鋼である。
【0047】
スイッチ部80は、図5および図9に示すように、柄部10に設けられている。具体的には、スイッチ部80は、カバー部130に形成された開口部138に設けられている。開口部138は、カバー部130を貫通している。スイッチ部80の材質は、ポリウレタンである。すなわち、スイッチ部80の材質は、光透過部50、第1突起部52、および第2突起部54の材質と同じである。スイッチ部80は、第2配線70を支軸部30に押し付けるための部分である。
【0048】
スイッチ部80は、図9に示すように、スイッチノブ82を有している。スイッチノブ82は、カバー部130側から柄部本体110側に(図示の例では−Z軸方向に)向けて突出している。スイッチノブ82の形状は、特に限定されないが、例えば、円筒状である。図示の例では、スイッチ部80が押されていない状態において、スイッチノブ82は、第2配線70と接触しているが、第2配線70と離間していてもよい。
【0049】
スイッチ部80は、カバー部130の外表面(柄部10の外表面)12において露出した部分を有している。スイッチ部80の該露出した部分を、柄部本体110側に押し込むことにより、スイッチ部80は弾性変形し、スイッチノブ82は柄部本体110側に変位する。スイッチノブ82の変位に伴い、第2配線70は、支軸部30に接触する。これにより、閉回路が形成され、発光部40は点灯する(詳細は後述)。
【0050】
導電部材26は、図8に示すように、柄部10の外表面12に設けられている。具体的には、導電部材26は、電池20の周囲の外表面12に、電池収容穴113および開口部133を覆って設けられている。導電部材26は、例えば、導電板を、電池20の周囲の外表面12に沿って屈曲させて所定位置に被せ、その両端部26a,26bを内側に(+Z軸方向に)折り曲げて、柄部本体110に形成された係止溝124a,124bに係合させることにより、柄部10に固定されている。導電部材26の材質は、例えば、チタン、ステンレスである。
【0051】
導電部材26と電池20との間には、導電性の板ばね27が設けられている。板ばね27は、弾性を有し、導電部材26と電池20の第1電極22とを確実に電気的に接続させることができる。また、板ばね27は、電池20の第2電極24と支軸部30とを、確実に接触させることができる。
【0052】
電池収容穴113と連通する開口部133の周囲には、シール部材28が設けられている。シール部材28としては、例えば、Oリングを用いる。シール部材28は、電池20を外部に対して水密にシールすることができる。
【0053】
柄部本体110の先端には、図4に示すように、ヘッド部90を着脱可能に固定するた
めの係合部126が設けられている。なお、図4に示すように、柄部本体110およびカバー部130には、使用者が把持したときに滑り止めとなる段差部150が設けられていてもよい。
【0054】
ヘッド部90は、支軸部30によって支持されている。ヘッド部90は、ブラシ毛91が設けられた(植毛された)ブラシ部92と、ブラシ部92から一体的にくびれて延びるシャンク部93と、を有している。ヘッド部90の、ブラシ毛91が植毛されている表面94であって、ブラシ部92近傍の位置には、支軸部30の一部を露出する開口部95が形成されている。ヘッド部90の材質は、例えば、ABS樹脂、PP(polypropylene)樹脂である。
【0055】
シャンク部93には、支軸部30が挿入される支軸部挿入穴96が形成されている。支軸部挿入穴96は、開口部95と連通している。シャンク部93の柄部10と接続される側には、柄部本体110に形成された係合部126と係合する係合凹部97が設けられている。
【0056】
イオン歯ブラシ100では、導電部材26に手を触れながら柄部10を把持し、ブラシ毛91によって歯をブラッシングすると、ブラシ毛91は、唾液等の液体によって濡れ、開口部95を含む液体の連なった経路を介して支軸部30と電気的に導通可能な状態となる。すなわち、開口部95は、液体を媒体として、ブラシ毛91と支軸部30とを電気的に導通可能にするための開口部である。これにより、電流は、電池20から使用者の手、体、歯、ブラシ毛91、開口部95を含む液路、支軸部30、電池20という経路で流れ、電位傾斜によって歯垢除去効果等のブラッシング効果を高めることができる。
【0057】
イオン歯ブラシ100では、電池20の検査をする(電池20の有効を確認する)際には、スイッチ部80を押す。これにより、第2配線70が支軸部30に接触し、電池20、第1配線60、発光部40、第2配線70、支軸部30、電池20という電気回路が構成される。このとき、電池20が所定の電圧を有している場合には、スイッチ部80を押すことによって、発光部40が点灯し、その有効性を示す。一方、電池20が消耗し、所定の電圧を有していない場合には、スイッチ部80を押しても発光部40は点灯しない。
【0058】
さらに、スイッチ部80を押すことを止めると、第2配線70の弾性により、第2配線70は、支軸部30から離間する。これにより、上述の電気回路は開回路となり、発光部40の点灯が消える。このように、スイッチ部80は、電池20と発光部40とを含む電気回路の開閉を行うことができる。
【0059】
なお、上述の例では、第1突起部52は、第1配線60を発光部40の第1端子44に押し付けている形態について説明したが、第1突起部52は、発光部40の第1端子44を第1配線60に押し付けていてもよい。同様に、第2突起部54は、発光部40の第2端子46を第2配線70に押し付けていてもよい。
【0060】
また、上述の例では、第2配線70と支軸部30との接触をスイッチ部80によって行う形態について説明したが、第1配線60と支軸部30との接触をスイッチ部80によって行ってもよい。スイッチ部80は、電池20と発光部40とを含む電気回路の開閉を行うことができれば、任意の位置に設けられることができる。
【0061】
また、上述の例では、ヘッド部90が柄部10から分離可能な形態について説明したが、ヘッド部90と柄部10とが一体的に形成された構造であってもよい。
【0062】
また、発光部50とスイッチ部80との配置は、図示の例に限定されず、上記の機能を
損なわない限り、任意である。
【0063】
また、発光部50およびスイッチ部80は、カバー部130と別工程で射出成形により形成された後に、カバー部130の開口部136,138にはめ込まれてもよい。さらに、発光部50およびスイッチ部80は、防水等の観点から、例えば接着剤によって、カバー部130の開口部136,138の内面に密着されていてもよい。または、発光部50、スイッチ部80、およびカバー部130は、ABS樹脂を射出する射出機およびウレタン樹脂を射出する射出機を備えた射出成形機を使って、連続的に形成されてもよい。
【0064】
本実施形態に係るイオン歯ブラシ100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0065】
イオン歯ブラシ100によれば、第1突起部52は、発光部40の第1端子44および第1配線60の一方を他方に押し付けている。具体的には、第1突起部52は、第1配線60を第1端子44に押し付けている。そのため、第1配線60と第1端子44とを確実に接触させることができる。さらに、第2突起部54は、発光部40の第2端子46および第2配線70の一方を他方に押し付けている。具体的には、第2突起部54は、第2配線70を第2端子46に押し付けている。そのため、第2配線70と第2端子46とを確実に接触させることができる。
【0066】
また、第1突起部52および第2突起部54の材質は、ポリウレタンである。そのため、イオン歯ブラシ100の製造工程において、例えば、カバー部130を、超音波溶着によって柄部本体110に固定する工程を有したとしても、突起部52,54が変形したり溶けたりすることを抑制できる。これにより、配線60,70を発光部40の端子44,46に押さえつける力が弱まることを抑制ができる。その結果、イオン歯ブラシ100では、発光部40の点灯不良を抑制できる。また、イオン歯ブラシ100の製造時の歩留まりを、向上させることができる。
【0067】
例えば、カバー部の材質と同じABS樹脂で構成された突起部では、超音波溶着の際に突起部が溶けだし、配線を発光部の端子に押さえ付ける力が弱まる場合がある。その結果、配線と発光部の端子との接触が不十分となり、点灯不良が発生する場合がある。
【0068】
さらに、イオン歯ブラシ100では、第1突起部52および第2突起部54は、光透過部50に設けられ、光透過部50の材質は、ポリウレタンである。そのため、例えば、射出成形により、光透過部50および突起部52,54を一体的に形成することができる。その結果、イオン歯ブラシ100では、例えば、製造工程の簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0069】
イオン歯ブラシ100によれば、第2配線70は、スイッチ部80によって、支軸部30と接触して、電池20の第2電極24と電気的に接続される。そのため、イオン歯ブラシ100では、上述のように、電池20の電圧の検査を行いときにだけスイッチ部80を押すことにより、簡単に電池20の電圧の検査を行うことができる。さらに、電圧の検査による電池20の消耗を、低減することができる。
【0070】
イオン歯ブラシ100によれば、スイッチ部80の材質は、ポリウレタンである。そのため、光透過部50および突起部52,54と同じ材料を用いてスイッチ部80を形成することができる。その結果、イオン歯ブラシ100では、例えば、低コスト化を図ることができる。
【0071】
イオン歯ブラシ100によれば、第1突起部52は、第1配線60の、発光部40の第1端子44との重なり部(第1部分)62を押している。第2突起部54は、第2配線7
0の、発光部40の第2端子46との重なり部(第3部分)72を押している。そのため、イオン歯ブラシ100では、例えば、配線の、発光部の端子と重なっていない部分を押している場合に比べて、より確実に、配線60,70と端子44,46とを接触させることができる。
【0072】
イオン歯ブラシ100によれば、柄部10は、柄部本体110と、超音波溶着によって柄部本体110に固定されたカバー部130と、を有している。そのため、イオン歯ブラシ100では、例えば、半田を用いて柄部本体にカバー部を固定する場合に比べて、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0073】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、本発明は、例えば、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0074】
10…柄部、12…外表面、20…電池、22…第1電極、24…第2電極、26…導電部材、26a,26b…端部、27…板ばね、28…シール部材、30…支軸部、40…発光部、42…発光部本体、44…第1端子、46…第2端子、50…光透過部、51…内表面、52…第1突起部、54…第2突起部、60…第1配線、62…第1部分、64…第2部分、66…屈曲部、70…第2配線、72…第3部分、74…第4部分、75…端、76…屈曲部、80…スイッチ部、82…スイッチノブ、90…ヘッド部、91…ブラシ毛、92…ブラシ部、93…シャンク部、94…表面、95…開口部、96…支軸部挿入穴、97…係合凹部、100…歯ブラシ、110…柄部本体、112…表面、113…電池収容穴、114…凹部、115…突出部、116…開口部、118…発光部収容穴、119…載置面、120…溝部、122…突出部、124a,124b…係止溝、126…係合部、130…カバー部、132…内表面、133…開口部、134…凸部、136…開口部、137…窪み部、138…開口部、150…段差部
図1
図2
図3
図4
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