(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2挿通穴に両端部が挿通される棒状部と、前記棒状部に固定され、前記回転軸から偏芯された正円板状の中間校正プレートと、を有する校正テストバーを備え、
前記光軸校正値算出部は、前記レーザ変位計による前記中間校正プレートの測定値データと、前記中間校正プレートの設計値データとに基づいて、前記光軸に垂直な方向における前記光軸と前記回転軸との間隔を示す第3光軸校正値を算出し、
前記外形測定部は、前記測定対象物の前記測定値データを前記第1乃至第3光軸校正値に基づいて補正することによって、前記測定対象物の形状を測定する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の外形測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態では、本発明に係る外形測定装置をクランクシャフト加工システムに適用した場合について説明する。ただし、本発明に係る外形測定装置は以下のクランクシャフト加工システムに限らず、カムシャフトなどの様々な測定対象物の外形を測定するために利用可能である。
【0016】
[クランクシャフト加工システム100の概要]
図1は、クランクシャフト加工システム100の概要を示すブロック図である。クランクシャフト加工システム100は、クランクシャフト素材1の両端面にセンタ穴を加工するセンタ穴加工機10と、クランクシャフト素材1の外形に基づいてセンタ穴の位置を決定するコンピュータ20と、を有する。
【0017】
センタ穴加工機10は、クランクシャフト素材1(測定対象物の一例)の外形を測定するための外形測定機11を備えている。外形測定機11は、クランクシャフト素材1の外形を測定する。具体的に、外形測定機11は、後述するようにクランクシャフト素材1のうち8つのカウンタウェイトCW1〜CW8(
図2参照)の外形を測定する。センタ穴加工機10は、外形測定機11によって測定されたクランクシャフト素材1の外形に基づいて決定される位置にセンタ穴を形成する。
【0018】
コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23とを有する。
【0019】
ROM22は、CPU21に実行させる各種プログラムや各種情報を記憶する。本実施形態では、ROM22は、クランクシャフト素材1の外形を測定するためのプログラムや、クランクシャフト素材1のセンタ穴位置を決定するためのプログラムを記憶している。
【0020】
また、本実施形態において、ROM22は、後述する第1及び第2校正プレート17a,17bの各種寸法を記憶している。
【0021】
RAM23は、プログラムやデータを記憶する領域として、あるいはCPU21による処理に使用しているデータを格納する作業領域として利用される。
【0022】
[クランクシャフト素材1の構成]
図2は、クランクシャフト素材1の斜視図である。クランクシャフト素材1は、直列4気筒エンジン用のクランクシャフト素材である。
【0023】
クランクシャフト素材1は、
図2に示すように、メインジャーナルJ(J1〜J5)と、ピンジャーナルP(P1〜P4)と、カウンタウェイトCW(CW1〜CW8)とを有する。クランクシャフト素材1においては、Z軸方向に、メインジャーナルJ1、カウンタウェイトCW1、ピンジャーナルP1、カウンタウェイトCW2、メインジャーナルJ2、カウンタウェイトCW3、ピンジャーナルP2、カウンタウェイトCW4、メインジャーナルJ3、カウンタウェイトCW5、ピンジャーナルP3、カウンタウェイトCW6、メインジャーナルJ4、カウンタウェイトCW7、ピンジャーナルP4、カウンタウェイトCW8、メインジャーナルJ5の順に並んでいる。
【0024】
また、クランクシャフト素材1は、
図2に示すように、フロントシャフト1a(第1端部の一例)と、リアフランジ1b(第2端部の一例)とを有する。フロントシャフト1aは、後工程においてセンタ穴が形成される第1端面S1を有する。リアフランジ1bは、後工程においてセンタ穴が形成される第2端面S2を有する。
【0025】
[センタ穴加工機10の構成]
図3は、センタ穴加工機10の平面図である。
【0026】
センタ穴加工機10は、
図3に示すように、ベース部12と、第1及び第2側部13a,13bと、メインクランパ14と、第1及び第2加工刃具15a,15bと、を有する。
【0027】
第1及び第2側部13a,13bは、ベース部12の両端において対向して配置されている。第1及び第2側部13a,13bは、図示しない駆動部で駆動されることによって、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に移動可能である。
【0028】
メインクランパ14は、ベース部12に固定されている。メインクランパ14は、クランクシャフト素材1を把持して固定するための部材であり、クランクシャフト素材1を把持するための第1及び第2把持部14a,14bと、クランクシャフト素材1の長手方向における位置決めを行うための長手位置決めクランパ14cと、を有している。
【0029】
第1及び第2加工刃具15a,15bは、第1及び第2側部13a,13bに固定されており、第1及び第2側部13a,13bの移動に応じてクランクシャフト素材1に対して移動可能である。第1及び第2加工刃具15a,15bは、クランクシャフト素材1の第1及び第2端面S1,S2をフライス加工するための刃と、第1及び第2端面S1,S2にセンタ穴を形成するためのドリルとを有している。
【0030】
また、センタ穴加工機10は、第1及び第2求芯チャック16a,16bと、第1及び第2校正プレート17a,17bと、第1及び第2支持部18a,18bと、変位計アッセンブリ19と、を有する。第1及び第2求芯チャック16a,16b、第1及び第2校正プレート17a,17b、第1及び第2支持部18a,18b、変位計アッセンブリ19、及び上述のコンピュータ20は、本実施形態に係る「外形測定機11」を構成している。
【0031】
第1及び第2求芯チャック16a,16bは、第1及び第2側部13a,13bに固定されており、第1及び第2側部13a,13bの移動に応じてクランクシャフト素材1に対して移動可能である。第1及び第2求芯チャック16a,16bのそれぞれは、等角度間隔で配置された3つのチャック爪を有している。第1求芯チャック16aは、クランクシャフト素材1のフロントシャフト1aを把持した状態で回転軸T周りに回転可能である。第2求芯チャック16bは、クランクシャフト素材1のリアフランジ1bを把持した状態で回転軸T周りに回転可能である。
【0032】
第1及び第2校正プレート17a,17bは、第1及び第2支持部18a,18bを介して、第1及び第2求芯チャック16a,16bに固定されている。従って、第1及び第2校正プレート17a,17bは、第1及び第2求芯チャック16a,16bとともに回転軸T周りに回転可能である。ここで、
図4は、第1校正プレート17aの平面図であり、
図5は、第2校正プレート17bの平面図である。
【0033】
第1校正プレート17aは、
図4に示すように、中心Paを中心とする半径Raの正円板状に形成された平板部材である。第1校正プレート17aには、クランクシャフト素材1のフロントシャフト1aを挿通するための第1挿通孔171が形成されている。第1挿通孔171は、中心Qaを中心とする半径raの正円状に形成されている。半径raは、フロントシャフト1aの外径よりも大きければよい。第1挿通孔171の中心Qaは、第1校正プレート17aの中心Paから間隔a1だけ離れており、第1及び第2求芯チャック16a,16bの回転軸Tと一致している。また、後述するシミュレーション結果(
図15参照)から判るように、中心Qaと中心Paとの間隔a1は、第1校正プレート17aの半径Raの1/4以上であることが好ましい。
【0034】
第2校正プレート17bは、
図5に示すように、中心Pbを中心とする半径Rbの正円板状に形成された平板部材である。第2校正プレート17bには、クランクシャフト素材1のリアフランジ1bを挿通するための第2挿通孔172が形成されている。第2挿通孔172は、中心Qbを中心とする半径rbの正円状に形成されている。半径rbは、リアフランジ1bの外径よりも大きければよい。第2挿通孔172の中心Qbは、第2校正プレート17bの中心Pbから間隔a2だけ離れており、回転軸Tと一致している。また、後述するシミュレーション結果から判るように、中心Qbと中心Pbとの間隔a2は、第2校正プレート17bの半径Rbの1/4以上であることが好ましい。
【0035】
変位計アッセンブリ19は、レーザ変位計19aと、レール19bと、によって構成される。レーザ変位計19aは、照射するレーザ光Bの反射光B’を検出することによって、レーザ光Bが照射された物体までの距離を三角測量法の原理に基づいて測定する。レーザ変位計19aは、クランクシャフト素材1の側方に配置されており、図示しない駆動部で駆動されることによって回転軸Tと平行に移動する。レーザ変位計19aは、後述するように、第1及び第2校正プレート17a,17bと8つのカウンタウェイトCW1〜CW8との距離を順次測定する。レーザ変位計19aは、測定値データL
1をコンピュータ20に送信する。レール19bは、第1及び第2求芯チャック16a,16bの回転軸Tに沿って配置されている。レール19bは、レーザ変位計19aをZ軸方向において移動可能に支持している。
【0036】
ここで、レーザ変位計19aがレール19bに沿って移動する際、レーザ変位計19aが回転軸Tに垂直な面内で揺動することを完全に抑えることは極めて困難である。そこで、本実施形態では、後述するように、レーザ変位計19aの光軸U(
図10参照)と回転軸Tとのずれを校正するための処理が外形測定装置11において実施されている。これによって、レーザ変位計19aの揺動がクランクシャフト素材1の外形測定に与える影響を抑えることができるため、クランクシャフト素材1の外形を精度良く測定することができる。
【0037】
[センタ穴加工機10の動作]
次に、センタ穴加工機10の動作について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、センタ穴加工機10の動作を説明するためのフロー図である。
【0038】
ステップS10において、センタ穴加工機10は、メインクランパ14のセンタ位置にクランクシャフト素材1を配置し、クランクシャフト素材1の長手方向における位置決めを行うために長手位置決めクランパ14cによってカウンタウェイトCWを外側から挟み込む。
【0039】
ステップS20において、センタ穴加工機10は、メインクランパ14の第1及び第2把持部14a,14bによって、クランクシャフト素材1のメインジャーナルJ1,J5を把持する。これによって、クランクシャフト素材1がメインクランプ15に強固に固定される。
【0040】
ステップS30において、センタ穴加工機10は、第1及び第2側部13a,13bをクランクシャフト素材1に近づくように移動させ、第1及び第2求芯チャック16a,16bによってクランクシャフト素材1のフロントシャフト1a及びリアフランジ1bを把持する。この際、第1及び第2求芯チャック16a,16bに把持されたクランクシャフト素材1は、メインクランパ14に把持された姿勢を維持している。
【0041】
ステップS40において、センタ穴加工機10は、第1及び第2把持部15a,15bによるメインジャーナルJ1,J5の把持を解除した後、第1及び第2求芯チャック16a,16bを回転させることによって、クランクシャフト素材1を回転させる。
【0042】
ステップS50において、センタ穴加工機10の外形測定装置11は、レーザ変位計19aをレール19bに沿ってZ軸方向に走査しながら、第1及び第2校正プレート17a,17bとクランクシャフト素材1(具体的には、カウンタウェイトCW)との外形を測定する。なお、ステップS50における外形測定装置11の動作については後述する。
【0043】
ステップS60において、センタ穴加工機10は、クランクシャフト素材1を第1及び第2把持部14a,14bによって把持した後に、第1及び第2求芯チャック16a,16bによる把持を解除し、第1及び第2加工刃具15a,15bによってクランクシャフト素材1の第1及び第2端面S1,S2をフライス加工する。
【0044】
ステップS70において、センタ穴加工機10は、ステップS50において測定された外形に基づいて決定される位置に、第1及び第2加工刃具15a,15bによってセンタ穴を形成する。
【0045】
その後、第1及び第2加工刃具15a,15bを退避させるとともに、第1及び第2把持部15a,15bの把持を解除して処理を終了する。
【0046】
[外形測定装置11の動作]
外形測定装置11の動作について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図7は、外形測定装置11の動作を説明するためのフロー図であり、
図6のステップS50の内容を詳細に示している。また、
図8は、CPU21のうち外形を測定するための構成を示すブロック図である。
【0047】
まず、ステップS51において、駆動制御部211は、クランクシャフト素材1の側方に配置されたレーザ変位計19aの位置を順次ずらしていく。ここで、
図9は、レーザ変位計19aの移動順序を説明するための模式図である。駆動制御部211は、後述するステップS53から処理が戻される度に、
図9に示すように、PST1からPST10までレーザ変位計19aを順次移動させる。これによって、レーザ変位計19aは、第1校正プレート17aと第2校正プレート17bとの側方で順次停止された後に、カウンタウェイトCW8〜CW1の側方で順次停止される。
【0048】
次に、ステップS52において、測定値データ取得部212は、PST1〜PST10に順次停止される度に、クランクシャフト素材1が回転軸T周りに360°回転する間の測定値データを取得する。測定値データ取得部212は、360°分の測定値データを取得する度に、360°分の測定値データをRAM23に格納し、その旨を駆動制御部211に通知する。
【0049】
次に、ステップS53において、駆動制御部211は、測定値データ取得部212からの通知に応じて、レーザ変位計19aをPST1〜PST10までの全ての位置に移動させたか否かを判定する。全ての位置に移動させていない場合、処理はステップS51に戻る。全ての位置に移動させた場合、処理はステップS54に進む。
【0050】
次に、ステップS54において、半径校正値算出部213は、PST1(
図9参照)の測定値データL
1に基づいて、レーザ変位計19aの測定値データを0点校正するための仮の半径校正値を算出する。具体的に、半径校正値算出部213は、PST1における360°分の測定値データL
1から最小二乗法によって第1校正プレート17aの仮の中心Pa’を取得する。次に、半径校正値算出部213は、仮の中心Pa’を基準として第1校正プレート17aの仮の半径Ra’を算出する。次に、半径校正値算出部213は、算出された仮の半径Ra’と実際の半径Raとの差を仮の半径校正値として算出する。また、半径校正値算出部213は、仮の半径校正値を用いてPST1の測定値データL
1に仮の半径校正を施すことによって、仮の半径校正が施されたPST1の測定値データL
2を生成してRAM23に格納するとともに、その旨を光軸校正値算出部214に通知する。
【0051】
次に、ステップS55において、光軸校正値算出部214は、仮の半径校正が施されたPST1の測定値データL
2に基づいて、レーザ変位計17aの光軸Uに垂直な方向(以下、垂直方向という)における光軸Uと回転軸Tとの第1光軸校正値b1を算出する。
【0052】
以下、第1光軸校正値b1の算出方法について、図面を参照しながら説明する。
図10は、レーザ変位計17aの光軸Uが回転軸Tからずれている様子を説明するための模式図である。
図11は、
図10に示すレーザ変位計17aによって得られる測定値データL
2の推移と、測定値データL
2の位相に対応する設計値データL
0の推移とを示すグラフである。
図12は、測定値データL
2と設計値データL
0との誤差値(L
2-L
0)の推移を示すグラフである。
【0053】
なお、設計値データL
0とは、光軸Uが回転軸Tからずれていない場合にレーザ変位計17aによって取得される値であり、以下の式(A)によって示される。
【0055】
すなわち、
図11に示すように、設計値データL
0は正弦波と余弦波を合成した波形となる。
【0056】
まず、測定値データL
2と設計値データL
0との誤差値(L
2-L
0)が、所定位相を基準とする回転軸T周りの角度θと第1光軸校正値b1とによって表される関数F(θ,b1)であるとすれば、次の式(1)が成立する。
【0058】
また、
図10に示すように第1光軸校正値b1が0より大きい場合には、
図12に示すようにθが270°付近であるときに誤差値(L
2-L
0)は最大値F
MAXとなる。また、図示しないが、第1光軸校正値b1が0より小さい場合には、θが90°付近であるときに、誤差値(L
2-L
0)は最大値F
MAXとなる。従って、誤差値(L
2-L
0)が最大値F
MAXとなるときの位相に基づいて、第1光軸校正値b1が0より大きいか小さいかを判定することができる。
【0059】
まず、第1光軸校正値b1が0より大きく、θが270°付近で誤差値(L
2-L
0)が最大値F
MAXとなるとき、式(1)の左辺は、
a1×sinθ+b1=a1×sin270°+b1=a1×(-1)+b1=-a1+b1
となる。
【0060】
この際、|a1|>|b1|であり、a1>0であるので、-a1+b1<0が成立する。そのため、次の式(2)が成立する。
【0062】
一方、第1光軸校正値b1が0より小さく、θが90°付近で誤差値(L
2-L
0)が最大値F
MAXとなるとき、式(1)の左辺は、
a1×sinθ+b1=a1×sin90°+b1=a1+b1
となる。
【0063】
この際、|a1|>|b1|であり、a1>0であるので、a1+b1>0が成立する。そのため、次の式(3)が成立する。
【0065】
以上の式(2)と式(3)をまとめると、次の式(4)が導かれる。
【0067】
このように、誤差値F
maxがθ=90°付近の場合には、第1光軸校正値b1(すなわち、光軸のズレ)は0よりも小さくなる。一方で、誤差値F
maxがθ=270°付近の場合には、光軸のズレは0よりも大きくなる。
【0068】
光軸校正値算出部214は、
図12に示す誤差値(L
2-L
0)の推移から、第1光軸校正値b1が0より大きいか0より小さいかを判別した上で、式(4)から第1光軸校正値b1を算出することができる。光軸校正値算出部214は、算出した第1光軸校正値b1を外形測定部215に通知する。
【0069】
次に、ステップS56において、光軸校正値算出部214は、式(4)から算出された第1光軸校正値b1に基づいて測定値データL
2を光軸校正することによって、光軸校正が施されたPST1の測定値データL
3を生成する。具体的に、測定値データL
3は、
図10に示す通り、b1
2+L
22の平方根である。光軸校正値算出部214は、測定値データL
3をRAM23に格納する。
【0070】
次に、ステップS57において、半径校正値算出部213は、光軸校正が施されたPST1の測定値データL
3に基づいて、レーザ変位計19aの測定値データを0点校正するための最終の半径校正値cを算出する。具体的に、半径校正値算出部213は、角度ごとに測定値データL
3と設計値データL
0との誤差値(L
3-L
0)を算出し、全角度における誤差値(L
3-L
0)を平均することによって最終の半径校正値cを算出する。ここで、
図13は、測定値データL
3と設計値データL
0との推移を示すグラフである。
図13に示すように、最終の半径校正値cは、測定値データL
3と設計値データL
0との誤差値(L
3-L
0)から算出可能である。そして、半径校正値算出部213は、測定値データL
3から最終の半径校正値cを引くことによって、最終測定値データL
4を生成してRAM23に格納するとともに、その旨を外形測定部215に通知する。
【0071】
次に、ステップS58において、半径校正値算出部213及び光軸校正値算出部214は、第2校正プレート17bについての光軸校正値bを算出する。具体的に、半径校正値算出部213及び光軸校正値算出部214は、上述のステップS54,S55と同様の処理を実行することによって、PST2(
図9参照)の測定値データL
11と第2校正プレート17bの設計値データL
01とに基づいて、仮の半径校正が施されたPST2の測定値データL
12と、第2光軸校正値b2を算出する。光軸校正値算出部214は、算出した第2光軸校正値b2を外形測定部215に通知する。
【0072】
次に、ステップS59において、外形測定部215は、PST3〜PST10(
図9参照)における測定値データL
13〜L
20と第1光軸校正値b1と第2光軸校正値b2とに基づいて、8つのカウンタウェイトCW1〜CW8の外形を測定する。
【0073】
具体的に、外形測定部215は、PST3〜PST10それぞれのPST1及びPST2に対する相対位置に基づいて、第1光軸校正値b1と第2光軸校正値b2とを按分することによって、PST3〜PST10に応じた第3乃至第10光軸校正値b3〜b10を算出する。例えば、PST3とPST2との間隔を“1”として、PST3とPST1との間隔が“15”である場合、第3光軸校正値b3は、第1光軸校正値b1×1/16と第2光軸校正値b2×15/16との和である。
【0074】
このように算出された第3乃至第10光軸校正値b3〜b10を用いて、外形測定部215は、測定値データL
13〜L
20に対して光軸校正を実行する。具体的に、外形測定部215は、例えばカウンタウェイトCW3であれば、
図14に示すように、ある角度θに対応する測定値データL
13と第3光軸校正値b3とに基づいて、校正測定値データL
13’を算出する。そして、外形測定部215は、校正測定値データL
13’に基づいて、角度校正値δθを算出する。校正測定値データL
13’は、次の式(5)に基づいて算出され、角度校正値δθは、次の式(6)に基づいて算出される。
【0077】
その後、処理は上述のステップS60(
図7参照)に進む。
【0078】
[校正プレートの好適な構成]
次に、第1及び第2校正プレート17a,17bの好適な構成について、シミュレーションを通じて検証する。
【0079】
本実施形態に係るレーザ変位計19aの測定値データには、レーザ変位計19a自体の測定誤差も含まれているため、誤差値(L
2-L
0)が小さければ、誤差値(L
2-L
0)がレーザ変位計19a自体の測定誤差に埋もれてしまうおそれがある。
【0080】
一方で、第1校正プレート17aの中心Paと第1挿通孔171の中心Qaとの間隔a1が大きい程、また、第1校正プレート17aの半径Raが小さい程、誤差値(L
2-L
0)を際だたせることができる。そこで、以下においては、間隔a1と半径Raとの特に好適な関係を検証する。
【0081】
まず、上述の通り、第1光軸校正値b1が0より大きい場合には角度θが270°付近であるときに誤差値(L
2-L
0)が最大値F
MAXとなる。そのため、最大値F
MAXと関数F(270°,b1)との間には、次の式(7)が成立する。
【0083】
ここで、
図15は、式(7)に様々な間隔a1と半径Raとを代入した場合における光軸ずれとF
MAXとの関係を示すグラフである。
図15に示すように、(Ra,a1)の組合せが、(50、25)(50、20)(75、25)(50、15)(75、20)(100、25)の場合に、2.0以上の良好なF
MAXを得ることができた。このことから、中心Qaと中心Paとの間隔a1は、第1校正プレート17aの半径Raの1/4以上であることが好ましいことが判った。
【0084】
このことは、第2校正プレート17bについても同様であり、中心Qbと中心Pbとの間隔a2は、第2校正プレート17bの半径Rbの1/4以上であることが好ましい。
【0085】
[作用及び効果]
(1)外形測定装置11において、光軸校正値算出部214は、第1校正プレート17aの測定値データL
1と、第1校正プレート17aの設計値データL
0とに基づいて第1光軸校正値b1を算出する。同様に、光軸校正値算出部214は、第2校正プレート17bの測定値データL
11と、第2校正プレート17bの設計値データL
01とに基づいて第2光軸校正値b2を算出する。外形測定部215は、クランクシャフト素材1の測定値データL
13〜L
20を第1及び第2光軸校正値b1,b2に基づいて校正することによって、クランクシャフト素材1の外形を測定する。
【0086】
このように、外形測定装置11によれば、レーザ変位計19aの光軸Uと回転軸Tとの垂直方向における間隔に応じて、レーザ変位計19aの測定値データを校正できる。そのため、光軸Uと回転軸Tとがずれている場合であっても、クランクシャフト素材1の外形を精度良く測定することができる。
【0087】
(2)第1挿通孔171の中心Qaと第1校正プレート17aの中心Paとの間隔a1は、第1校正プレート17aの半径Raの1/4以上である。
【0088】
従って、
図15に示されるシミュレーション結果から判る通り、測定値データL
2と設計値データL
0との誤差値(L
2-L
0)を際立たせることができる。そのため、誤差値(L
2-L
0)がレーザ変位計19a自体の測定誤差に埋もれてしまうことを抑制できる。
【0089】
[他の実施形態]
(a)上記実施形態では、本発明に係る外形測定機11がクランクシャフト素材1のセンタ穴加工機10に内蔵される場合について説明したが、これに限られるものではない。外形測定機11は、例えば、カムシャフトなどの他の測定対象物を加工するための加工機に内蔵されていてもよいし、また、外形測定機11を単独で用いることも可能である。
【0090】
(b)上記実施形態では、外形測定機11は、レーザ変位計19aを備えることとしたが、これに限られるものではない。外形測定機11は、レーザ変位計19aに代えて、一つの光軸を有する非接触変位計を有していてもよい。このような変位計としては、例えば、赤外線変位計やLED式変位センサなどなどが挙げられる。
【0091】
(c)上記実施形態では、第1及び第2校正プレート17a,17bそれぞれの構成が互いに異なることとしたが、これに限られるものではない。測定対象物の両端部の形状によっては、第1及び第2校正プレート17a,17bそれぞれの構成が互いに同じであってもよい。
【0092】
(d)上記実施形態では、レーザ変位計19aが、
図9に示す順番でPST1からPST10まで移動することとしたが、これに限られるものではない。レーザ変位計19aの動作は適宜設定可能である。
【0093】
(e)上記実施形態では、外形測定機11の測定対象物の一例として、クランクシャフト素材1のカウンタウェイトCWについて説明したが、測定対象物の外形はこれに限られるものではない。測定対象物の外形は、円形であってもよく、非円形であってもよい。
【0094】
(f)上記実施形態において、外形測定部215は、第1光軸校正値b1と第2光軸校正値b2とを按分することによって、PST3〜PST10に応じた第3乃至第10光軸校正値b3〜b10を算出することとしたが、これに限られるものではない。
【0095】
例えば、外形測定機11は、
図16に示す校正テストバー200を備え、測定対象物の外形を測定する前に、予め校正テストバー200を用いて第1及び第2校正プレート17a,17bの間における光軸校正値を追加的に取得しておいてもよい。
【0096】
図16に示すように、校正テストバー200は、第1及び第2挿通穴171,172に両端部が挿通される棒状部210と、棒状部210に固定され、回転軸Tから偏芯された正円板状の8枚の中間校正プレート220と、を有する。棒状部210は、両端部を第1及び第2求芯チャック16a,16bに把持された状態で、回転軸T周りに回転する。8枚の中間校正プレート220は、第1乃至第8中間校正プレート221〜228を含んでいる。第1乃至第8中間校正プレート221〜228は、8つのカウンタウェイトCW1〜CW8に対応する位置に固定されている。このような外形測定機11では、第1校正プレート17aについて第1光軸校正値b1を求めたのと同様に、第1乃至第8中間校正プレート221〜228それぞれについて光軸校正値(第3光軸校正値の一例)を予め算出しておくことができる。そのため、クランクシャフト素材1の外形を測定する場合には、8つのカウンタウェイトCW1〜CW8それぞれの測定値データL
13〜L
20を、第1乃至第8中間校正プレート221〜228それぞれについて算出した光軸校正値によって校正することができる。この場合には、第1光軸校正値b1と第2光軸校正値b2とを按分することによって算出された光軸校正値を用いる場合に比べて、現実に存在しているずれに即した校正を実行することができる。そのため、測定対象物の外形をより精度良く測定することができる。
【0097】
(g)上記実施形態において、半径校正値算出部213は、PST1の測定値データL
3に基づいて最終の半径校正値cを算出することとしたが、これに限られるものではない。半径校正値算出部213は、PST1の測定値データL
3に基づいて第1半径校正値c1を算出するとともに、PST2の測定値データL
11に基づいて第2半径校正値c2を算出してもよい。この場合、外形測定部215は、PST3〜PST10それぞれのPST1及びPST2に対する相対位置に基づいて、第1半径校正値c1と第2半径校正値c2とを按分することによって、PST3〜PST10に応じた第3乃至第10半径校正値c3〜c10を算出する。そして、外形測定部215は、各半径校正値c3〜c10を用いて測定値データL
13〜L
20それぞれをオフセットさせた後に、各光軸校正値b3〜b10を用いて半径校正された測定値データL
13〜L
20を光軸校正すればよい。このように、第1及び第2半径校正値c1,c2の按分値を用いることによって、半径校正の精度を向上させることができる。
【0098】
なお、この場合においても、
図16に示す校正テストバー200を用いることによって、第3乃至第10半径校正値c3〜c10を直接取得することとしてもよい。これによって、半径校正の精度をさらに向上させることができる。