【実施例】
【0029】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらの具体例にのみ限定されるものではない。なお、分析は下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により実施し、面積%により純度を評価した。
【0030】
(カラム)L−column ODS4.6mmφ×150mm((財)化学物質評価研究機構製)
(移動相)
A:20mmol/Lのリン酸二水素カリウム溶液に、HPLC用リン酸を滴下してpH3.0に調製する。
B:HPLC用メタノール(関東化学製)
(移動相組成)
A/B:50体積%/50体積%(分析開始から20分間)
:10体積%/90体積%(分析開始から20分経過後40分まで)
(移動相流量)1.0mL/min
(測定波長)254nm
(カラム温度)40℃
(注入量)10μL
(サンプル調製法)30mgを50mLメスフラスコに秤量し、アセトニトリルでメスアップする。
【0031】
(実施例1)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン101gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し、0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜5℃に保持しながら、61質量%硝酸21.0g(反応原料に対する理論モル比:2.0)を1時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を0〜5℃を保持しながら3.5時間撹拌した後、反応混合物の温度を20℃まで徐々に昇温した。20℃となった反応混合物をさらに攪拌し、上記の昇音開始後2時間の時点で反応混合物中の反応液をHPLCにて分析した。その結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下となっていることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水50gで洗浄してウェットケーキ27.8gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品20.5gを、やや黒みがかった黄色粉末結晶として得た。収率は61.6モル%であり、純度は87.6%であった。
【0032】
(実施例2)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン101gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し、−20〜−15℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を上記の温度範囲に保持しながら、61質量%硝酸21.0g(反応原料に対する理論モル比:2.0)を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を−20〜−15℃に保持しながら2時間撹拌した後、反応混合物の温度を20℃まで徐々に昇温した。20℃となった反応混合物をさらに攪拌し、上記の昇音開始後2時間の時点で反応混合物中の反応液をHPLCにて分析した。その結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下となっていることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水50gで洗浄してウェットケーキ28.7gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品21.7gを、やや黒みがかった黄色粉末結晶として得た。収率は66.5モル%であり、純度は88.4%であった。
【0033】
(実施例3)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびキシレン(三種の異性体の混合物、キシレン含有量85質量%、残部エチルベンゼンなど)60.6gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜9℃の範囲に保持しながら、69質量%硝酸18.3g(反応原料に対する理論モル比:2.0)を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を0〜2℃に保持しながら2時間撹拌した後、反応混合物の温度を20℃まで徐々に昇温した。20℃となった反応混合物をさらに攪拌しながら、反応終点(HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下)の確認を行った。その結果、攪拌開始から2時間後に反応終点に到達したことを確認した。反応終点に到達した反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水50gで洗浄してウェットケーキ26.4gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品20.9gを、やや黒みがかった黄色粉末結晶として得た。収率は60.4モル%であり、純度は85.4%であった。
【0034】
(実施例4)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン101gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を15℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を15〜20℃の範囲に保持しながら、61質量%硝酸21.0g(反応原料に対する理論モル比:2.0)を1.0時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を15〜20℃に保持しながら4時間撹拌した。攪拌後の反応液の分析の結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水50gで洗浄してウェットケーキ22.4gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品17.2gを、やや黒みがかった黄色粉末結晶として得た。収率は52.0モル%であり、純度は88.2%であった。
【0035】
(実施例5)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた1000mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)80.9g(0.4モル)およびトルエン647gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を−9℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を−9〜2℃の範囲に保持しながら、69質量%硝酸73.1g(反応原料に対する理論モル比:2.0)を2.0時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を−2〜2℃に保持しながら2時間撹拌した。攪拌後の反応液の分析の結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水324gで洗浄してウェットケーキ113.7gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品85.3gを、やや黒みがかった黄色粉末結晶として得た。収率は、64.1モル%であり、純度は87.8%であった。
【0036】
(実施例6)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン162gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜3℃の範囲に保持しながら、69質量%硝酸18.3g(反応原料に対する理論モル比:2.0)を1.0時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を0〜3℃に保持しながら2時間撹拌した。攪拌後の反応液の分析の結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水60gで洗浄してウェットケーキ28.0gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品20.6gを、やや黒みがかった黄色の粉末結晶として得た。収率は、60.7モル%であり、純度は86.0%であった。
【0037】
(実施例7)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)10.1g(0.05モル)およびトルエン50.5gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜2℃の範囲に保持しながら、61質量%硝酸6.8g(反応原料に対する理論モル比:1.3)を0.5時間かけて滴下した。さらに61質量%硝酸2.1g(反応原料に対する理論モル比:0.40)を0.5時間かけて滴下し、フラスコ内の反応混合物の温度を0〜2℃に保持したまま4時間撹拌した。攪拌後の反応液の分析の結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水30gで洗浄してウェットケーキ12.5gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品9.51gを、山吹色の粉末結晶として得た。収率は、54.9モル%であり、純度は84.4%であった。
【0038】
(実施例8)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン162gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜2℃の範囲に保持しながら、69質量%硝酸16.4g(反応原料に対する理論モル比:1.8)を1.3時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を0〜2℃に保持しながら4時間撹拌した。攪拌後の反応液の分析の結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水61gで洗浄してウェットケーキ24.5gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品18.9gを、やや黒みがかった黄色の粉末結晶として得た。収率は、54.8モル%であり、純度は84.9%であった。
【0039】
(実施例9)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン60.6gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜7℃の範囲に保持しながら、61質量%硝酸20.0g(反応原料に対する理論モル比:1.9)を0.8時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を0〜7℃に保持しながら2時間撹拌した。その後、攪拌を継続しながら、反応混合物の温度を20℃まで昇温し、20℃まで到達した後、さらに攪拌を継続した。昇音開始から2時間の時点で反応混合物中の反応液をHPLCにて分析した。その結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水100gで洗浄してウェットケーキ26.9gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品20.2gを、やや黒みがかった黄色の粉末結晶として得た。収率は、59.1モル%であり、純度は85.4%であった。
【0040】
(実施例10)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン162gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜3℃の範囲に保持しながら、69質量%硝酸20.1g(反応原料に対する理論モル比:2.2)を1.0時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を0〜5℃に保持しながら2時間撹拌した。攪拌後の反応液の分析の結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水60gで洗浄してウェットケーキ26.1gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品20.2gを、やや黒みがかった黄色の粉末結晶として得た。収率は、60.2モル%であり、純度は87.0%であった。
【0041】
(実施例11)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびトルエン162gを加えて、フラスコ内の反応混合物を撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。続いて、反応混合物の温度を0〜3℃の範囲に保持しながら、69質量%硝酸21.9g(反応原料に対する理論モル比:2.4)を1.0時間かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物を0〜5℃に保持しながら4時間撹拌した。攪拌後の反応液の分析の結果、HPLCによる面積百分率で反応液中の反応原料の濃度が2%以下であることを確認した。そこで、この時点で反応終点に到達していると判断して、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水60gで洗浄してウェットケーキ25.6gを得た。このウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品20.1gを、やや黒みがかった黄色の粉末結晶として得た。収率は、59.8モル%であり、純度は87.0%であった。
【0042】
(比較例1)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた300mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)3.0g(0.015モル)、ベンゼン26.1gおよび酢酸49.8gを加えて撹拌し反応混合物を15℃に冷却した。その後、フラスコ内の反応混合物の温度を15〜19℃に保持しながら、61質量%硝酸2.7g(反応原料に対する理論モル比:1.8)を1.6時間かけて滴下した。滴下後の反応混合物の温度を15〜19℃に保持しながら1時間撹拌した後、反応混合物に水30gを添加して、添加後の反応混合物を0〜5℃まで冷却して、この温度を保持しながら1時間撹拌した。攪拌終了後、反応混合物をろ過して、ろ過ケーキを水30gで洗浄してウェットケーキ4.0gを得た。ウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品2.1gを黄色結晶として得た。収率は47.8モル%であり、純度は、96.5%であった。
【0043】
(比較例2)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)10.1g(0.05モル)、塩化メチレン50.5gを加えて撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。その後、フラスコ内の反応混合物の温度を0〜6℃を保持しながら61質量%硝酸6.8g(反応原料に対する理論モル比:1.3)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに61質量%硝酸2.1g(反応原料に対する理論モル比:0.40)を1時間かけて滴下し、フラスコ内の反応混合物の温度を0〜6℃に保持したまま3時間撹拌した。攪拌終了後、反応混合物をろ過し、ろ過ケーキを水10gで洗浄してウェットケーキ7.1gを得た。ウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品4.8gを結晶として得た。収率は30.2モル%であり、純度は91.6%であった。
【0044】
(比較例3)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(HPE)20.2g(0.1モル)およびアセトニトリル101gを加えて撹拌し反応混合物を0℃に冷却した。その後、反応混合物を0〜5℃を保持しながら61質量%硝酸10.3g(反応原料に対する理論モル比:1.0)を16分かけて滴下した。温度を保持したまま30分撹拌後、さらに61質量%硝酸2.6g(反応原料に対する理論モル比:0.25)を6分かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物の温度を0〜5℃に保持したまま2時間撹拌し、その後、さらに61%硝酸2.6g(反応原料に対する理論モル比:0.25)を6分かけて滴下した。滴下終了後の反応混合物をろ過し、得られたろ過ケーキを水50gで洗浄してウェットケーキ14.9gを得た。ウェットケーキを真空乾燥機で乾燥し、乾燥品14.1gを黄色結晶として得た。収率は26.5モル%であり、純度は54.8%であった。