(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の好適な実施形態につき詳細に説明する。
【0013】
図1および
図2は本発明を採用した溶湯通路形成用耐火物ブロックの基本構造を示している。
図1は、列状に複数個配列することにより溝状の溶湯通路を形成するために用いられる同一構造の耐火物ブロックを、接合構造を示すために2つ並べて図示している。また、
図2は本発明を採用した溶湯通路形成用耐火物ブロックの断面構造を示しており、
図1の耐火ブロックに関しては
図2は溶湯通路の底部の断面、特に溶湯通路に沿い上下方向に延びる断面(下記のSc)を示している。
【0014】
図1および
図2において符号10は、複数の耐火性を有する材料から予め燒結などにより形成された耐火物ブロックで、
図1、
図2の耐火物ブロック10、10(…)は溶銑樋の流通路の一部を構成すべく連続的に直列配置できる形状に形成されている。耐火物ブロック10、10(…)の材質や形成手法については任意であり、従来より溶銑樋に用いられる耐火れんがなどを構成するに用いられている公知の材質および手法などを採用することができる。
【0015】
図1の耐火物ブロック10は、溝状の溶湯通路を形成できるよう、燒結などの手法によって底部と両側部とを有する形状に形成されている。
【0016】
図1の耐火物ブロック10の左右の側部の内壁および外壁は互いに平行で、底面から直立しているものとする。また、図において符号Fの矢印は溶湯を流す方向を示しており、この溶湯の流れる方向Fに関して上流側の端面11と下流側の端面12はほぼ同じ角度で傾斜させてあり、耐火物ブロック10、10…は連続的に直列配置し、太矢印で示すように接合することによって全体として樋状の構造物を施工できる。このような耐火物ブロック10、10…の対称的な形状を本発明では「型対称」という。
【0017】
耐火物ブロック10では、溝状の溶湯通路の底部と両側部の内面はほぼコの字を横倒しにした形状で、特に底部と両側部の内面が出合う角部は円筒面形状となっているが、この部分の形状は任意であり、たとえば多角形断面などであっても良い。また、全体の形状についても、たとえば手前側の耐火物ブロック10について符号C4、C5で示したような面取り部分を形成するなど、当業者において任意に変形してかまわない。
【0018】
図1の耐火物ブロック10、10(…)では、上流側の端面11と下流側の端面12を同じ角度で傾斜させてあるため、特に、
図1の耐火物ブロック10、10(…)の溶湯通路の底部は
図2に示すようなほぼ平行四辺形の断面構造となる。
【0019】
すなわち、
図2において、符号Scは
図1の耐火物ブロック10、10(…)の溶湯通路に沿い上下方向に延びる断面を示しており(
図1中にも同じ断面Scを示してある)、
図1の耐火物ブロック10、10(…)はこの断面Scにおいて、次のような特徴を有する。
【0020】
すなわち、本実施例の耐火物ブロック10は溶湯通路に沿い上下方向に延びる断面Scにおいて、溶湯通路を区画する線fと上流側端面11の少なくとも該底部の線eとは鈍角D(>90°)をなしている。この角度Dは溶湯の流れる方向Fに対して(Fの方向を0°として)鈍角、と考えても同じである。また、型対称形状の耐火物ブロック10の底部の溶湯通路下流側の端面12は、鋭角S(<90°)となっている。
【0021】
ここで、特に隣り合うブロック同士の溶湯通路が面一であり、各耐火物ブロック10、10(…)耐火物ブロック10の底部の上面とと下面が完全に平行であれば上記の鈍角Dおよび鋭角Sは鈍角D+鋭角S=180°の関係となる。ただし、この鋭角Sおよび鈍角Dの関係は隣り合う耐火物ブロック同士の溶湯通路面を面一ではなく、一方の溶湯通路面が他方の溶湯通路面に対して傾斜した関係などとする場合に用いる耐火物ブロックにおいては遵守する必要はなく、適宜変更してよい。
【0022】
図1には耐火物ブロック10を2個のみ示しているが、溶銑樋を施工する場合には耐火物ブロック10、10…は
図2に示すように多数、隣接して直列配置することができる。それぞれ隣接する耐火物ブロック10、10…の下流側端面12と上流側端面11が接合される目地には不定形耐火物(耐火セメントなど)20を埋設することができる。
【0023】
そして、本実施例の耐火物ブロック10では、溶湯通路に沿い上下方向に延びる断面Scにおいて、溶湯通路を区画する線fと上流側端面11の少なくとも該底部の線eとは鈍角D(>90°)をなすよう構成されているため、
図2に示すように施工した状態において、隣接する耐火物ブロック10、10…同士の接合面(上流側端面11と下流側端面12の接合面)は溶湯が流れる方向Fに対してそれぞれ鈍角Dをなすことになる。
【0024】
このように溶湯が流れる方向Fに対して各耐火物ブロック10、10…の下流側端面12と上流側端面11の接合面がそれぞれ鈍角Dをなす構成においては、流体力学的に見ると下流側端面12と上流側端面11の接合部位、いわゆる接合目地の部位には陰圧が生じる傾向となり、たとえば従来の直方体形状の耐火物ブロック同士を接合する構造よりも接合目地付近の耐火物ブロックの各部位(あるいはさらに目地の不定形耐火物)に作用する溶湯の圧力が小さくなり、各耐火物ブロック10、10…の接合目地の溶損を低減でき、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【0025】
なお、
図1中の符号C1、C2、101〜104については下記の
図5の実施例に関連して説明する。また、
図2中に括弧書きで示した符号は下記の
図3に示す異なる構造の耐火物ブロックの各部位に相当するものである。これらについては下記の
図3に関連して後述する。
【0026】
図1に示した耐火物ブロック10は、底部と左右の両側部の内面が溶湯流路を構成する。そして、
図1の耐火物ブロック10では、
図2に示した断面構造を有するのは底部のみであったが、
図2に示した断面構造は
図3に示すように左右の両側部についても採用することができる。
【0027】
図3(a)は
図1と同様の様式で隣接して多数、直列配置可能な耐火物ブロック10a、10aを2つ示している。また、
図3(b)は同じ耐火物ブロック10aの1つを
図3(a)とは反対側、すなわち溶湯の流れる方向に関して下流側から示したものである。
【0028】
図3(a)、(b)の耐火物ブロック10aは、溶湯通路の上流側においては底部の上流側端面111、および両側部の上流側端面112と113、を有するとともに、下流側においては底部の下流側端面121、および両側部の下流側端面122と123を有する。
【0029】
そして、
図3(a)、(b)の耐火物ブロック10aは、底部のみならず、両側部についても
図1および
図2で説明したものと同等の構造を有している。
【0030】
まず、
図3の耐火物ブロック10aは、底部の部分に注目すると、上流側端面111、下流側端面121により区画される底部の断面構造は
図1の耐火物ブロック10と同等で、耐火物ブロック10aの溶湯通路に沿い上下方向に延びる
図3中の断面Sc1(煩雑さを避けるため
図3(a)では手前側のブロック10aについてのみ図示)の構造は、前述の
図2に示した
図1の耐火物ブロック10の断面Scと同等である(
図2中の括弧書き参照)。
【0031】
すなわち、
図3の耐火物ブロック10aは、
図2に示すように、溶湯通路に沿い上下方向に延びる断面Sc1において溶湯通路を区画する線fと上流側端面111の少なくとも該底部の線eとが鈍角D(>90°)をなすよう構成されているとともに、上流側端面111と対向する隣接するブロックの下流側端面121は同じ角度で傾斜し、型対称構造をなしている。
【0032】
また、
図3の耐火物ブロック10aは、特に
図3(a)右側の側部において溶湯通路に沿い水平方向に延びる断面Sc2(
図3(a)右側の側部の上面に表われている形状と同じであるからここに符号Sc2を置いている)においても底部と同等の構造であり、この断面Sc2も前述の
図2に括弧書きで示すように
図1の耐火物ブロック10の断面Scと同等、と考えることができる。
【0033】
ただし、断面Sc2に
図2の図示を適用する場合には、
図2の図示は溶湯流路方向に延びる縦断面ではなく、横断面(あるいは上面)を示しているものと読み換える必要があり、この場合、
図2の溶湯通路を区画する線fは、
図3(a)の耐火物ブロック10aの右側の側部内壁を画成する線、線eは同じく右側側部の上流側端面112を画成する線、ということになる。
【0034】
このようにして、断面Sc2について
図2を適用すると、
図3の耐火物ブロック10aは、溶湯通路に沿い水平方向に延びる断面Sc2においては、溶湯通路を区画する線fと側部の上流側端面112の線eとが鈍角D(>90°)をなすよう構成されているとともに、上流側端面112と対向する隣接するブロックの下流側端面122は同じ角度で傾斜し、型対称構造をなしている。
【0035】
さらに、
図3の耐火物ブロック10aは、
図3(a)左側の側部において溶湯通路に沿い水平方向に延びる断面Sc3(
図3(a)左側の側部の上面形状と同じであるからここに符号Sc3を置いている)においても底部および上述の右側部と同等の構造であり、断面Sc3も
図4に示すように
図1の耐火物ブロック10の断面Sc(および上述のSc1およびSc2)と同等である。
【0036】
図4は、
図3(a)の耐火物ブロック10aの左側の側部において、溶湯通路に沿い水平方向に延びる断面Sc3の形状を
図2と同等の様式で示したものであり、
図2との比較から明らかなように丁度
図2を上下反転した形状であって、
図4の場合は溶湯流路は図示したブロックに対して図中下側に位置することになる。
【0037】
この場合、
図4の溶湯通路を区画する線fは、
図3(a)の耐火物ブロック10aの左側の側部内壁を画成する線、線eは同じく左側側部の上流側端面113を画成する線、ということになる。
【0038】
そして、
図3の耐火物ブロック10aは、
図4に示すように溶湯通路に沿い水平方向に延びる断面Sc3において、先の断面Sc2と同様、溶湯通路を区画する線fと上流側端面113の線eとが鈍角D(>90°)をなすよう構成されているとともに、上流側端面113と対向する隣接するブロックの下流側端面123は同じ角度で傾斜し、型対称構造をなしている。
【0039】
以上のように
図3(a)、(b)の耐火物ブロック10a、10a…は、底部のみならず、両側部についても
図1および
図2で説明したものと同等の断面構造および型対称構造を有しており、
図1および
図2で底部の接合目地に関して説明したものと同等の効果を両側部についても期待できる。
【0040】
すなわち、
図3(a)、(b)の耐火物ブロック10a、10a…においても、溶湯が流れる方向Fに対して各耐火物ブロック10a、10a…の下流側端面121、122、123と上流側端面111、112、113のそれぞれのの接合面がそれぞれ鈍角Dをなす構成となっているため、各耐火物ブロック10a、10a…の下流側端面121、122、123と上流側端面111、112、113のの各接合部位、いわゆる接合目地の部位にはそれぞれ陰圧が生じる傾向となり、接合目地付近の耐火物ブロックの各部位(あるいはさらに目地の不定形耐火物)に作用する溶湯の圧力が小さくなり、各耐火物ブロック10、10…の接合目地の溶損を低減でき、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【0041】
ここで、
図5は、耐火物ブロックを用いて構成した溶湯通路(溶銑樋)の幅方向の横断面構造例を示している。
【0042】
図5(a)、(b)において、符号100は、たとえば
図1〜
図4で説明した構造を有する耐火物ブロックで、
図5(a)の保持構造では、樋状の鉄皮50により図の紙面垂直方向に複数、直列に配置、接合された耐火物ブロック100が保持されている。また、
図5(b)の構造では、現場で樋状に掘削したトレンチ60の内部で耐火物ブロック100を複数、直列に配置、接合しながらバラスト70、不定形耐火物80などを用いてを埋設し、溶湯通路を構成したものである。
【0043】
図5(a)、(b)の耐火物ブロック100は、溶湯通路を横切る方向に関して両側部の断面が上部が厚くなった台形形状となっている点は異なるが、図の紙面垂直方向に複数、直列に配置、接合された耐火物ブロック100の上流側および下流側の端面については、
図1〜
図4で説明したものと同じ構造を用いることができる。
【0044】
そして、
図5に示した耐火物ブロック100を紙面垂直方向に複数、直列に配置、接合した状態において、耐火物ブロック100に
図1〜
図4で示した接合構造を用いることにより、溶損耐性に関しては上述と同等の効果を期待することができる。
【0045】
なお、
図5(a)、(b)において、符号40は補強または位置規制のために耐火物ブロック100の下部に配置される耐火物ブロック40で、耐火物ブロック100と同等ないし類似の耐火特性を有する材料から構成される。
【0046】
ここで、耐火物ブロック40も隣接して直列配置される構造であれば、隣接して直列配置される耐火物ブロック40、40…にも耐火物ブロック100と同等の形状、すなわち、
図1〜
図4で説明したものと同等の縦断面形状を用いることができる。
【0047】
その場合、耐火物ブロック40、40…の溶湯の流れる方向に関する断面形状を
図2ないし
図4に示したいずれかの断面形状とし、溶湯の流れる方向に互いに接合する上流側端面と下流側端面とが溶湯が流れる方向Fに対して鈍角をなすよう構成することができる。ただし、耐火物ブロック40、40…は直接、溶湯に接しないため、耐火物ブロック40には従来の直方体形状に構成された定形れんがなどを用いることとしてもかまわない。
【0048】
さて、以上では、溝状の溶湯通路を形成できるよう、底部と両側部とを有する形状に形成された耐火物ブロック(10、10a、100)につき説明してきた。このように溝状の溶湯通路が耐火物ブロックの上部に形成されている構造によれば、現場での溶銑樋の施工が容易になる可能性がある。
【0049】
しかしながら、ほぼ直方体構造に近い均等な厚みを有する耐火物ブロックと比較すると、溝状の溶湯通路を形成する底部と両側部とを有する耐火物ブロックは横断面の形状が複雑であり、比較的大型の溶銑樋を構成する場合に耐スポーリング性の点で不利が生じる場合がある。
【0050】
そこで、以下では、上述の耐火物ブロックを複数のサブブロックに分割しておく構造につき考える。
【0051】
たとえば、
図5(a)、(b)において、符号C10、C11で示した破線は耐火物ブロック100をサブブロックに分けておく場合の分割位置の例を示している。図中の破線C10、C11は溶湯流路の方向に延びる断面であり、破線C10、C11の両方の断面で耐火物ブロック100をサブブロックに分けておく(たとえば、それぞれのサブブロックを別々に燒結形成する)ことにすれば、耐火物ブロック100は、底部、および左右の両側部のサブブロックから構成されることになる。
【0052】
そして、このように耐火物ブロック100を溶湯流路方向に沿う断面で複数のサブブロックに分割し、不定形耐火物などにより現場で接合する構造では、耐火物ブロック100を構成するサブブロックの形状がシンプルになり、各部位の厚みも均等に近づくため耐スポーリング性の点で有利であり、比較的大型の溶銑樋を構成する用途において好適である。
【0053】
しかも、このように耐火物ブロック100を溶湯流路方向に沿う断面で複数のサブブロックに分割しておく構造においても、上述の耐火物ブロック40について説明したのと同様に、各サブブロックの溶湯の流れる方向に関する断面形状を
図2ないし
図4に示した断面形状とし、溶湯の流れる方向に互いに接合する上流側端面と下流側端面とが溶湯が流れる方向Fに対して鈍角をなすよう構成することができる。これにより、耐火物ブロック100構成する複数のサブブロックそれぞれについて、上述同様に接合目地の溶損を低減でき、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【0054】
また、耐火物ブロック100を溶湯流路方向に沿う断面で複数のサブブロックに分割しておく構造では、公知の各種れんが組みなどで行なわれているように、溶湯流路の先頭や終端において異なる長さのサブブロックを用いることなどによって、たとえば溶湯流路を横切る方向に並設されるサブブロックの上流側端面と下流側端面の接合面が一直線上に並ばないように互い違いに配置することもでき、これによって各(サブ)ブロックの接合目地の溶損を低減できる可能性がある。
【0055】
さらに、主に耐スポーリング性の向上を意図し、耐火物ブロックを溶湯流路方向に沿う断面で複数のサブブロックに分割しておく構造は、
図5(a)、(b)に破線C10、C11で示したように底部、両側部のサブブロックに分割する構造以外にも、たとえば底部の中央部の領域で耐火物ブロックをサブブロック分割しておく構造も考えられる。
【0056】
まず、一例としては、たとえば
図5中の耐火物ブロック100を溶湯通路中央などの同一の位置で全て左右に均等に分割した形状の2つのサブブロックに分割しておく構造が考えられるが、この構造では溶銑の溶湯通路に臨む左右のサブブロックの接合目地が一直線に整列してしまうため、たとえばこの溶銑の流れに沿った接合目地の溶損が後流側のブロックほど大きくなってしまうような問題が懸念される。
【0057】
そこで、
図1において、破線C1、C2に示すように隣接して直列に配置される耐火物ブロック10、10において、それぞれのサブブロック分割位置が一直線に整列しないようにした構成が考えられる。
【0058】
すなわち、
図1の隣接する2つの耐火物ブロック10、10を破線C1、C2で示す分割位置でそれぞれサブブロック101、102およびサブブロック103、104に分割しておく。破線C1、C2は2つの耐火物ブロック10、10の底部のほぼ中央領域にあるが、このように隣接するブロック同士では左(または右)端部からの距離が異なっており、サブブロック101、102およびサブブロック103、104を接合して隣接する2つの耐火物ブロック10、10を構成した場合に各サブブロック分割位置、すなわち各サブブロック同士の接合目地が一直線に整列しないように配慮されている。
【0059】
このように耐火物ブロック10、10(…)をサブブロック101、102およびサブブロック103、104から構成する構造では、少なくとも4つのサブブロックを隣接する2つの耐火物ブロック10、10のための基本部品として用意する必要があるが、耐火物ブロック10、10…の左右のサブブロックの接合目地が溶銑の溶湯通路に臨んで一直線上に整列することがなく、流路の方向については不連続な位置を占めるよう千鳥状に配列される構造となるため、左右サブブロックの接合目地が一直線に並ぶ構造のように後流側のブロックほど接合目地の溶損が大きくなる問題を回避することができ、溶銑樋の耐スポーリング性を向上するとともに、あるいは溶銑樋のサブブロック分割を行なわない耐火物ブロック10a、10a…を用いた溶銑樋よりも同等の耐スポーリング性を持ちながら、より大型の溶銑樋を構成できる可能性がある。
【0060】
なお、耐火物ブロックを左右のサブブロック(101、102)およびサブブロック(103、104)のように分割したり、あるいはさらに左右サブブロックの接合目地が一直線上に整列せず不連続な位置を占めるよう千鳥状に配列される構造は、
図5に関連して説明した溶湯通路の実質部分に相当する凹部を形成しない耐火物ブロック、たとえば耐火物ブロック40などにおいても用いることができる。
【0061】
なお、上述の各耐火物ブロックの底部、および両側部により画成される溶湯通路の実質部分に相当する凹部(溝構造)の横断面の形状は任意であり、曲面や直線の組み合わせて構成された多角形形状を用いるなど、当業者において任意に変更することができる。
【0062】
たとえば、
図1に示した耐火物ブロック10の溶湯流路を構成する底部、および両側部の内壁面は曲面(円筒面)で連続するよう構成されている。これに対して
図3の耐火物ブロック10aの底部、および両側部の内壁面はそのままほぼ内角90°の角部を構成するようになっているが、
図3の耐火物ブロック10aにおいても、溶湯流路を構成する底部、および両側部の内壁面が曲面(円筒面)で連続するよう構成できる。
【0063】
その場合、耐火物ブロック10aの上流側端面111および112、上流側端面111および113は、それぞれ凹の円錐面(または円筒面)により連続するように、また、下流側端面121および122、上流側端面121および123は、それぞれ凸の円錐面(または円筒面)により連続するように構成すればよい。
【0064】
また、
図1や
図3に示した
図4の耐火物ブロック10a、10a(…)全体の横断面構造も当業者において任意に変更が可能な事項であって、たとえば、
図1の耐火物ブロック10、10(…)の左右下部を先に触れたように破線C4、C5で示したように面取りしたような形状に形成しておくことも考えられ、このような構造によって、たとえば横断面に渡っての実質的なブロック厚みを均等な寸法に近付けることができ、耐スポーリング性を向上できる可能性がある。
【0065】
なお、以上では、ほぼ直線状に隣接して直列配置される耐火物ブロックを例示して、その接合部の構造について説明してきたが、溶銑樋をカーブさせたり分岐させたり部分において溶湯通路の底部や側壁に用いる耐火物ブロックを構成する必要がある場合には、耐火物ブロックには上述の各形状をL字型、Y字型、T字型など、任意の形状に変形させた全体形状を用いることができ、そのような全体形状の耐火物ブロックにおいても、隣接する耐火物ブロックとの接合部に関しては上述と同様の構造を用いることができるのはいうまでもない。
【0066】
耐火物ブロックも予め成形し焼成したもの、非焼成のもの等従来のものを用いることができる。また、一つの溶湯通路に異なる種類の耐火物ブロックをもちいることもできる。