特許第6057654号(P6057654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057654
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】溶湯通路形成用耐火物ブロック
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/14 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   C21B7/14 307
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-225069(P2012-225069)
(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-77168(P2014-77168A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220767
【氏名又は名称】東京窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】古澤 栄二
(72)【発明者】
【氏名】柳 憲治
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−007206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/14
F27D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列状に複数個配列することにより溝状の溶湯通路を形成する底部と両側部とを有する耐火物ブロックであって、
溶湯通路を溶湯が流れる方向に対して左右に複数に分割された2以上のサブブロックから構成され、
前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記各サブブロックの分割位置が定められていることを特徴とする溶湯通路形成用耐火物ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の耐火物ブロックにおいて、第1の耐火物ブロックを構成する前記サブブロックが前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して第1の姿勢で配置され、第1の耐火物ブロックと隣接して配置される第2の耐火物ブロックを構成する前記サブブロックが前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して前記第1の姿勢と180°反転した第2の姿勢で配置された場合に、第1および第2の耐火物ブロックが溶湯通路を構成するとともに、かつ、前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記各サブブロックの分割位置が定められていることを特徴とする溶湯通路形成用耐火物ブロック。
【請求項3】
請求項1に記載の耐火物ブロックにおいて、相互に接合され1の耐火物ブロックを構成するサブブロック同士の接合面が、前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に対して傾斜して前記溶湯通路に臨むとともに、前記サブブロック同士の接合面に臨む各サブブロックの端面が、該サブブロックの溶湯通路底面に対して傾斜しており、前記接合面を通過した溶湯が流れ込む側にある前記サブブロックを前記接合面の下流側に配置されるサブブロックとし、前記接合面に到達する前の溶湯が通過する側にある前記サブブロックを前記接合面の上流側に配置されるサブブロックとした場合に、前記サブブロック同士の接合面に臨む各サブブロックの端面が、前記接合面の下流側に配置されるサブブロックでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鈍角をなし、かつ前記接合面の上流側に配置されるサブブロックでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鋭角をなすようそれぞれ形成され、かつ、前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記各サブブロックの分割位置が定められていることを特徴とする溶湯通路形成用耐火物ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑樋やノロ樋などを構成するために用いることができる、列状に複数個配列することにより溝状の溶湯通路を形成する底部と両側部とを有する耐火物ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高炉から出銑される高温の溶銑またはスラグ(ノロ)などの溶湯を流す溶銑樋あるいはノロ樋は、流動性をもつキャスタブル材を現場で流し込むことにより構成されるか、あるいは耐火れんがなどの耐火物ブロック(プレキャストブロック)を多数配列して現場で築造される。
【0003】
下記の特許文献1は、溶銑が流れる流出溝通路の底面をアルミナ−スピネル質のプレキャストブロックで形成した溶銑樋を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−246960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のうち、キャスタブル材(いわゆる不定形耐火物、耐火セメントなど)の流し込みで溶銑樋を構成する前者の手法は耐久性が必ずしも充分ではなく、また、予め焼成などにより直方体形状や、また、それに溶湯通路を成型した形状の耐火物ブロックを組み合わせて溶銑樋を築造する後者の手法では、耐火物ブロック同士の接合目地に集中的に溶損が発生する問題がある。
【0006】
そこで本発明の課題は、耐火物ブロック同士の接合目地の溶損の問題を解決し、耐火物ブロックを用いて構成される溶湯通路(溶銑樋、溶鋼樋、非鉄樋、作業樋やノロ樋等)の耐久性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明においては、列状に複数個配列することにより溝状の溶湯通路を形成する底部と両側部とを有する耐火物ブロックであって、溶湯通路を溶湯が流れる方向に対して左右に複数に分割された2以上のサブブロックから構成され、前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記サブブロックの分割位置が定められている構成を採用した。
【0008】
あるいはさらに、第1の耐火物ブロックを構成する前記サブブロックが前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して第1の姿勢で配置され、第1の耐火物ブロックと隣接して配置される第2の耐火物ブロックを構成する前記サブブロックが前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して前記第1の姿勢と180°反転した第2の姿勢で配置された場合に、第1および第2の耐火物ブロックが溶湯通路を構成するとともに、かつ、前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記各サブブロックの分割位置が定められている構成を採用した。
【0009】
あるいはさらに、相互に接合され1の耐火物ブロックを構成するサブブロック同士の接合面が、前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に対して傾斜して前記溶湯通路に臨むとともに、前記サブブロック同士の接合面に臨む各サブブロックの端面が、該サブブロックの溶湯通路底面に対して傾斜しており、前記接合面を通過した溶湯が流れ込む側にある前記サブブロックを前記接合面の下流側に配置されるサブブロックとし、前記接合面に到達する前の溶湯が通過する側にある前記サブブロックを前記接合面の上流側に配置されるサブブロックとした場合に、前記サブブロック同士の接合面に臨む各サブブロックの端面が、前記接合面の下流側に配置されるサブブロックでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鈍角をなし、かつ前記接合面の上流側に配置されるサブブロックでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鋭角をなすようそれぞれ形成され、かつ、前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記各サブブロックの分割位置が定められている構成を採用した。
【0010】
なお、ここで耐火物ブロックは、焼成したもの、非焼成のもの等、従来溶湯通路に用いられた耐火性のブロック及び溶湯通路としての機能を持つ耐火性のブロック全てを含む。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、溶湯通路を溶湯が流れる方向に対して左右に複数に分割されたサブブロックから成る耐火物ブロックを列状に複数個配列することにより溶湯通路を形成すると、溶湯通路に沿う方向に関して、各サブブロック同士の接合目地が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう配列されるため、たとえば下流ほどサブブロックの接合目地付近の構造が溶損してしまう、という問題を回避することができ、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【0012】
あるいはさらに、第1の耐火物ブロックを構成する前記サブブロックが前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して第1の姿勢で配置され、第1の耐火物ブロックと隣接して配置される第2の耐火物ブロックを構成する前記サブブロックが前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して前記第1の姿勢と180°反転した第2の姿勢で配置された場合に、第1および第2の耐火物ブロックが溶湯通路を構成するとともに、かつ、前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記各サブブロックの分割位置が定められている構成によれば、溶湯通路を形成するのに必要なサブブロックの種類ないし数を減少することができ、溶湯通路の施工コストを大きく低減することができる。
【0013】
あるいはさらに、相互に接合され1の耐火物ブロックを構成するサブブロック同士の接合面が、前記溶湯通路を溶湯が流れる方向に対して傾斜して前記溶湯通路に臨むとともに、前記サブブロック同士の接合面に臨む各サブブロックの端面が、該サブブロックの溶湯通路底面に対して傾斜しており、前記接合面を通過した溶湯が流れ込む側にある前記サブブロックを前記接合面の下流側に配置されるサブブロックとし、前記接合面に到達する前の溶湯が通過する側にある前記サブブロックを前記接合面の上流側に配置されるサブブロックとした場合に、前記サブブロック同士の接合面に臨む各サブブロックの端面が、前記接合面の下流側に配置されるサブブロックでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鈍角をなし、かつ前記接合面の上流側に配置されるサブブロックでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鋭角をなすようそれぞれ形成され、かつ、前記溶湯通路に臨む前記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう前記各サブブロックの分割位置が定められている構成によれば、1の耐火物ブロックを構成するサブブロック同士の接合面が、溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して下流側に接合面が倒れるように傾斜した姿勢となり、流体力学的に見るとサブブロック同士の接合目地の部位に陰圧が生じる傾向となり、接合目地付近の耐火物ブロックの各部位(あるいはさらに目地に埋設される不定形耐火物)に作用する溶湯の圧力が小さくなり、耐火物ブロックを構成するサブブロック同士の接合目地の溶損を低減でき、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を採用した溶湯通路形成用の耐火物ブロックを示した斜視図である。
図2】耐火物ブロックを用いた溶銑樋ないしノロ樋の施工構造例を示した断面図である。
図3】本発明を採用した溶湯通路形成用耐火物ブロックの接合構造例を示した上面図である。
図4】本発明を採用した溶湯通路形成用耐火物ブロックの異なる接合構造例を示した上面図である。
図5】本発明を採用した溶湯通路形成用耐火物ブロックの異なる接合構造例を示した説明図である。
図6】本発明を採用した溶湯通路形成用耐火物ブロックのさらに異なる接合構造例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の好適な実施形態につき詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明を採用した溶湯通路形成用耐火物ブロックの基本構造を示している。図1は、列状に複数個配列することにより溝状の溶湯通路を形成するために用いられる同一構造の耐火物ブロックを、接合構造を示すために2つ並べて図示している。
【0017】
図1において符号10は、複数の耐火性を有する材料から予め燒結などの手法により形成された耐火物ブロックで、図1の耐火物ブロック10、10(…)は溶銑樋の流通路の一部を構成すべく連続的に直列配置できる形状に形成されている。また、後述のように、底部と両側部とを有する形状の耐火物ブロック10、10(…)はさらにサブブロック101、102、103、104から構成される。
【0018】
耐火物ブロック10、10(…)の材質や形成手法については任意であり、従来より溶銑樋に用いられる耐火れんがなどを構成するに用いられている公知の材質および手法などを採用することができる。
【0019】
図1の耐火物ブロック10、10(…)は、ちょうど直方体形状のブロック形状の上部に溝状の溶湯通路を設けた全体形状であって、それぞれ燒結などの手法によって形成されたサブブロック101、102、103、104…から成り、これらサブブロック101、102、103、104…を組み上げ、接合した状態においては溝状の溶湯通路を囲むよう底部と両側部とを有する形状となる。
【0020】
図1の耐火物ブロック10の左右の側部の内壁および外壁は互いに平行で、底面から直立しているものとする。また、図において符号Fの矢印は溶湯を流す方向を示しており、溶湯の流れる方向Fに関して上流側の端面11と下流側の端面12が互いに面するよう、図中中央の太矢印で示すように接合することによって、耐火物ブロック10、10…のサブブロック101、102、103、104…を連続的に直列配置することにより、全体として樋状の構造物を施工できる。このとき、耐火物ブロック10、10…のサブブロック101、102、103、104…同士の接合目地、および上流側端面と下流側端面の接合目地には不定形耐火物(耐火セメントなど)が埋設され、サブブロック101と102、103と104、さらに耐火物ブロック10、10同士が固定される。
【0021】
なお、図1の耐火物ブロック10、10(…)は、溝状の溶湯通路の底部と両側部の内面はほぼコの字を横倒しにした形状で、特に底部と両側部の内面が出合う角部は円筒面形状となっているが、この部分の形状は任意であり、たとえば多角形断面などであっても良い。また、全体の形状についても、たとえば手前側の耐火物ブロック10について符号C3〜C6で示したような面取り部分を形成するなど、当業者において任意に変形してかまわない。
【0022】
図1の耐火物ブロック10、10は、符号101、102、103、および104で示すようにさらにサブブロックに分割されている。
【0023】
上記のように溝状の溶湯通路をブロック上部に形成した構造によれば、現場での溶銑樋の施工が容易になる可能性があるが、その反面、溝状の溶湯通路を形成する底部と両側部とを有する耐火物ブロックは横断面の形状が複雑であり、比較的大型の溶銑樋を構成する場合に耐スポーリング性の点で不利が生じる場合がある。
【0024】
そこで、図1のように耐火物ブロック10、10をサブブロック101、102、103、および104に分割しておくことによって、各部材の形状がシンプルになり、耐スポーリング性を向上させることができる。
【0025】
耐火物ブロック10、10をサブブロック101と102、ないしは103、104に分割する場合、たとえば耐スポーリング性のみを考慮するのであればその条件にかなう任意の分割位置を採用してかまわない。
【0026】
また、全ての耐火物ブロック10、10について同じ分割位置、たとえば溶湯通路の中央の位置で左右均等に耐火物ブロック10、10を分けるような分割位置を採用してもよいが、その場合には連続的に直列配置される耐火物ブロック10、10で、一直線上に左右のサブブロック同士の接合目地が整列してしまうことになる。このような構造では、接合目地に沿う部分と他の部分で溶湯通路中の溶湯の流速に不均衡が生じ、たとえばサブブロックの接合目地付近の流速が他の部分で速くなるなどして、溶湯通路の下流ほどサブブロックの接合目地付近の構造が溶損してしまう、という問題が生じる可能性がある。
【0027】
そこで、図1の耐火物ブロック10、10では、各ブロックをサブブロック101と102、ないしは103、104に分割する場合、サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう各サブブロック101と102、ないしは103、104の分割位置が定められている。
【0028】
図1耐火物ブロック10、10の例では、符号S1、S2で示すように、左右端部からの距離がそれぞれ各耐火物ブロック10の全幅のほぼ1/3付近に相当する位置にサブブロック101と102、および103、104の分割位置をとってある。この各耐火物ブロック10、10の分割位置は、一例であって当業者において任意に変更することができるが、その場合、要するにサブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう各サブブロック101と102、ないしは103、104の分割位置が定められていればよい。
【0029】
図3(a)に、図1のようなサブブロック分割を行なった耐火物ブロック10、10を連続的に直列配置した状態を示す。
【0030】
図3(a)中の太線は溶湯通路(以下溶湯流路、ともいう)の方向に連続して直列配置、接合される耐火物ブロック10、10…同士の目地、および耐火物ブロック10、10…を構成する各サブブロック101、102、103、104の接合目地に相当する。
【0031】
特に各サブブロック101、102、103、104については、接合目地S1、S2、S1…の配列パターンから明らかなように、図1のようなサブブロック分割を行なうと、各サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう千鳥状に配列された接合目地パターンが形成されることになる。
【0032】
このように、溶湯流路に沿う方向に関して、各サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう千鳥状に配列された接合目地パターンを形成すると、サブブロックの接合目地付近の流速が他の部分で速くなるなどして、下流ほどサブブロックの接合目地付近の構造が溶損してしまう、という問題を回避することができ、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【0033】
図2(a)は、図1のようにサブブロック101、102、ないし103、104から構成された耐火物ブロック10を用いて構成した溶湯通路(溶銑樋)の施工例で、図2(a)は溶湯通路(溶銑樋)の幅方向の横断面を示している。
【0034】
図2(a)は、サブブロック101、102から成る耐火物ブロック10の部分の断面で、符号S1、S2は、図1と同様にサブブロック101と102同士の接合目地(実線)、および紙面の手前側か奥側で隣接する耐火物ブロック10のサブブロック103と104同士の接合目地(破線)の位置を示しており、各サブブロック同士の接合面が隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう配列されていることが判る。
【0035】
図2(a)の構造では、樋状の鉄皮50により図の紙面垂直方向に複数、直列に配置、接合された耐火物ブロック100が保持されており、耐火物ブロック10の部分の下部には補強または位置規制のため耐火物ブロック40が配置される。耐火物ブロック40たとえば平板状の形状で、耐火物ブロック10同様に列状に複数個配列される。鉄皮50中の耐火物ブロック10、10…、それらを構成するサブブロック101、102、103、104および耐火物ブロック40の空隙部は不定形耐火物(耐火セメントなど)が埋設され、各部材同士が固定される。
【0036】
図1図2(a)、図3(a)に示した耐火物ブロック10は、底部と両側部の内面はほぼコの字を横倒しにした形状で、また、その全体形状を幅方向の左右端部からそれぞれ1/3程度の位置で垂直に切断するような位置で分割されたサブブロック101と102、または103と104から構成されているが、本発明において耐火物ブロックは、溝状の溶湯通路を形成する底部と両側部とを有しており、また、溶湯通路を溶湯が流れる方向に対して左右に複数に分割された2以上のサブブロックから構成されたものであれば耐火物ブロックの全体形状や、サブブロックへの分割位置、また分割断面の姿勢などは任意であり、当業者が任意に変更してかまわない。
【0037】
図2(b)は、本発明による異なる形状、およびサブブロック分割構造を有する耐火物ブロック10aを用いて構成した溶湯通路(溶銑樋)の施工例で、図2(b)は図2(a)と同様の形式で溶湯通路(溶銑樋)の幅方向の横断面を示している。
【0038】
図2(b)の耐火物ブロック10a(、10a…)において、図1図2(a)、図3(a)に示した耐火物ブロック10、10…と異なるのは溶湯通路(溶銑樋)の幅方向の横断面における断面形状と、サブブロックへの分割形態(分割位置および分割断面の姿勢)で、溶湯通路の伸びる方向については上述の耐火物ブロック10、10…と同様である。
【0039】
すなわち、図2(b)の耐火物ブロック10a(、10a…)は、全体形状において、左右の両側部は傾斜したほぼ平行四辺形の断面を有する壁部であり、その1つの内壁をそのまま延長した面がサブブロックへの分割断面となっており、たとえば図示した断面はサブブロック101a、102aから成る耐火物ブロック10aの断面で、符号S3はこれらサブブロック101a、102aの分割位置(ないしそれらの接合目地)を示している。
【0040】
また、図示した耐火物ブロック10aと隣接して紙面の手前側か奥側に配置される耐火物ブロック10aのサブブロック(下記の図3(b)におけるサブブロック103a、104a)への分割位置(または接合目地)は、たとえば符号S4で示すようにサブブロック101a、102aの分割位置(または接合目地)S3とは左右対称に取ればよい。
【0041】
また、図2(b)は、同時に溶湯通路(溶銑樋)の異なる施工構造例を示しており、図2(b)の溶湯通路(溶銑樋)は現場で樋状に掘削したトレンチ60の内部で耐火物ブロック10a(、10a…)を複数、直列に配置、接合しながらバラスト70、不定形耐火物80などを用いて各ブロックを埋設することにより構成したものである。
【0042】
なお、図2(a)および(b)の溶湯通路(溶銑樋)全体の施工構造は本発明を構成するものではなく、一例に過ぎず、耐火物ブロック10または10a(あるいは後述の耐火物ブロック10bについても同様である)の構造について、図2(a)および(b)のいずれの施工構造を用いてもかまわない。
【0043】
図3(b)は、図3(a)と同様の形式で図2(b)に示した耐火物ブロック10a、10a(…)を連続的に直列配置した状態を示している。図3(b)中の太線は溶湯流路方向に連続して直列配置、接合される耐火物ブロック10a、10a…同士の目地、および耐火物ブロック10a、10a…を構成する各サブブロック101a、102a、103a、104aの接合目地に相当する。
【0044】
ここで、図3(b)中の、各サブブロック101a、102a、103a、104aの接合目地S3、S4、S3…の配列パターンから明らかなように、図2(b)のようなサブブロック分割を行なった場合でも、各サブブロック同士の接合面が隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう千鳥状に配列された接合目地パターンが形成されることになることが判る。
【0045】
そして、図2(b)、および図3(b)のようなサブブロック分割を行なう構成においても、各サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう千鳥状に配列された接合目地パターンが形成されることになり、これによりたとえばサブブロックの接合目地付近の流速が他の部分で速くなるなどして、下流ほどサブブロックの接合目地付近の構造が溶損してしまう、という問題を回避することができ、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【0046】
なお、以上では、耐火物ブロックのサブブロックへ分割する分割位置、ないしは耐火物ブロックを構成するサブブロック同士の接合目地は、溶湯通路の延びる方向(溶湯の流れる方向)に平行にとった例を示してきたが、この方向は必ずしも溶湯通路の延びる方向(溶湯の流れる方向)に平行である必要はない。
【0047】
たとえば、図4(a)は図3(a)、(b)と同様の形式で耐火物ブロック10b、10b…を連続的に直列配置した状態を示している。
【0048】
図4(a)の耐火物ブロック10b、10b…は、図1に示した耐火物ブロック10、10…をサブブロック101、102、103、104に分割する分割断面(ないし各サブブロックの接合目地)S1、S2を溶湯通路と平行ではなく、斜めに傾斜させて取ることによって、符号S5、S6のように接合目地が溶湯通路の底面を斜めに横切るように現れるようにしたものである。
【0049】
図4(a)の例では、符号S5、S6…で示すように各耐火物ブロック10b、10b…を構成するサブブロック101bと102b、および103bと104bの各分割断面は溶湯通路の延びる方向(溶湯の流れる方向)に平行ではなく、傾斜させてあり、サブブロック101bと102b、および103bと104bの接合目地は溶湯通路の底面を斜めに横切るように現れている。
【0050】
ただし、図4(a)の例では、サブブロック101bと102b、およびサブブロック103bと104bの各分割断面は、図1のサブブロック101と102、およびサブブロック103と104の場合と同様に溶湯通路の底面と垂直に取られているものとする。
【0051】
また、隣接する耐火物ブロック10b、10b…同士では、それらを構成するサブブロック101bと102b、および103bと104bの接合目地S5、S6は互いに異なる方向に傾斜しており、このようなサブブロック分割を行なっても、各サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう千鳥状に配列された接合目地パターンを形成することができ、上述と同様の作用効果を期待できる。
【0052】
図5の例は、上述してきたサブブロック同士を(あるいは直列配置される耐火物ブロック同士)を結合する場合に用いることができる結合構造の一例である。
【0053】
図5では、一例としてサブブロックの符号に101、および102を用いており、図5に示したサブブロック101、102の接合面には、それぞれ互いに嵌合できるような形状および位置に臍101tおよび溝102mを形成してある。これら臍101tおよび溝102mは、サブブロック101、102の燒結時になどに一体形成することができる。
【0054】
図5に示すような臍101tおよび溝102mを接合面に設けておくことにより、サブブロック101、102をより堅固に結合することができる。なお、図5に示した結合構造は、上述の101、102以外の参照符号で示したサブブロック同士の接合面に設けてもよく、また、臍101tおよび溝102mの配置位置や数、配置パターンなどは任意である。また、図5に示した結合構造は、サブブロック同士の結合構造のみならず、上述の各構造を有する耐火物ブロック同士の結合構造にも用いてよい。
【0055】
なお、以上では、1つの耐火物ブロックを2分割で2つのサブブロックに分割する構成を示してきたが、耐火物ブロックをサブブロックに分割する分割数は3以上であってもよく、その場合でも、サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるようサブブロックの分割位置が定められている構造であれば、上述同様の作用効果を期待することができるのはいうまでもない。
【0056】
さて、ここで図1図3までに示した耐火物ブロックを構成する10、10aを構成するサブブロック101および102と103および104、ないし101aおよび102aと103aおよび104aの形状につき考察すると、図示したこれらサブブロックの形状は溶湯流路の上流および下流に配置される端面(たとえば図1における11と12)を入れ換えて配置しても成立するような形状となっていることが判る。
【0057】
たとえば、図1におけるサブブロック101および102は、端面11を上流側、端面12を下流側に配置した姿勢(第1の姿勢)であるが、実際には図中の端面12を上流側、端面11を下流側に向くよう、180°反転した姿勢(第2の姿勢)で配置すると、サブブロック101および102は図中のサブブロック103および104と同等のサブブロックとなることが判る。
【0058】
したがって、図1では便宜上、符号101〜104の4つのサブブロックとして図示しているが、実際には4つのブロックを部品として用意する必要はなく、サブブロック101および102に分割された1組の耐火物ブロックのみを用意し、隣接する耐火物ブロックで上流側と下流側が交互に逆になるように180°反転した姿勢で配置すれば、図1に示した溶湯通路を構成することができる。
【0059】
その場合、溶湯通路に臨むサブブロック10同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック10同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう各サブブロック101、102の分割位置が定められていれば良いが、この条件は、たとえば図1に示したように溶湯通路底面に臨むサブブロック101、102の接合目地が溶湯の流れる方向Fとほぼ平行であるような構成においては、耐火物ブロック10を構成するサブブロック101、102の分割位置を、溶湯流路横断面において耐火物ブロック10を左右線対称に分割する位置以外に取りさえすれば成立する。
【0060】
そして、以上の説明は、図2(b)、図3(b)に示した耐火物ブロック10aを構成するサブブロック101a、102a、103a、104aに関しても同じように通用する。
【0061】
すなわち、図1図3に示した耐火物ブロック10、10aは、第1の耐火物ブロック(10、10a)を構成するサブブロック(101、102または101a、102a)が溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して第1の姿勢で配置され、第1の耐火物ブロック(10、10a)と隣接して配置される第2の耐火物ブロック(10、10a)を構成するサブブロック(101、102または101a、102a)が溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して第1の姿勢と180°反転した第2の姿勢で配置された場合に、第1および第2の耐火物ブロック(10、10ないし10a、10a)が溶湯通路を構成するとともに、かつ、溶湯通路に臨むサブブロック(101、102または101a、102a)同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう各サブブロックの分割位置が定められている、ということになる。
【0062】
このような構成とすることにより、図1図3に示した溶湯通路は、たかだか2つのサブブロック101、102(または101a、102a)のみから成る耐火物ブロック10を多数用意すれば施工可能であり、用意すべきサブブロックの種類を減少することができ、溶湯通路の施工コストを大きく低減することができる。
【0063】
なお、図4(a)のサブブロック101bと103b、102bと104bの形状の関係は左右で鏡像的であって、サブブロック101b(または102b)は、サブブロックを溶湯流路の方向に対して180°反転してもサブブロック103b(または104b)と同等の形状とならない。これは、図4(a)のサブブロック101b、102b、103b、104bの場合、サブブロック同士の接合面の配置が隣接する耐火物ブロック10b、10bにおいて交互に逆の傾斜で溶湯流路底面に臨むようにサブブロックが分割されているためで、図4(a)のようなブロック配置を実現するには、少なくともサブブロック101b、102b、103b、104bの4つの部品が必要となる。
【0064】
しかしながら、サブブロック101b、102bから成る耐火物ブロック10bのみを用いて図4(b)のようなブロック配置を取ることも考えられる。すなわち、図4(b)の溶湯流路は、サブブロック101b、102bが隣接する耐火物ブロック10b、10b…において溶湯流路の方向に対して交互に180°反転した姿勢で並ぶように配置することにより構成されたもので、図4(b)の符号S5(実線)は隣接する耐火物ブロック10b、10b…において交互に180°反転した姿勢で配置されたサブブロック101b、102b同士が形成する接合目地の位置を示している。
【0065】
そして、本発明を実施するには、図4(b)のような配置でも、溶湯通路に臨むサブブロック10b同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック10b、10b…同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう各サブブロック101、102の分割位置が定められていれば良いが、図4(b)のサブブロック101b、102bのようにサブブロック同士の接合目地が流路底面に傾斜した状態で臨む構成では、サブブロック101b、102bが左右対称であってもこの条件を満たすことができる。たとえば、図4(b)の中の符号S5’の破線は、サブブロック101b、102bの異なる分割位置(接合目地)を示したもので、図中の黒丸で示した各耐火物ブロック10bの中心(幾何学的中心)を通っており、したがって、サブブロック101b、102bは耐火物ブロック10bを左右(点)対称で分割した形状であるが、このようにサブブロックの分割位置(接合目地)が流路底面に傾斜した状態で臨む構成においては、溶湯通路に臨むサブブロック10b同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック10b、10b…同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるような配置を作り出すことができる。
【0066】
以上のように、図4(b)のごとくサブブロック101b、102bの分割位置(接合目地)が流路底面に傾斜した状態で臨む構成においても、第1の耐火物ブロック(10b)を構成するサブブロック(101b、102b)が溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して第1の姿勢で配置され、第1の耐火物ブロック(10b)と隣接して配置される第2の耐火物ブロック(10b)を構成するサブブロック(101b、102b)が溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して第1の姿勢と180°反転した第2の姿勢で配置された場合に、第1および第2の耐火物ブロック(10b、10b)が溶湯通路を構成するとともに、かつ、溶湯通路に臨むサブブロック(101b、102b)同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう各サブブロックの分割位置が定められている構成を成立させることができ、たかだか2つのサブブロック101b、102bのみから成る耐火物ブロック10bを多数用意すれば施工可能であり、溶湯通路を形成するのに必要なサブブロックの種類ないし数を減少することができ、溶湯通路の施工コストを大きく低減することができる。
【0067】
さて、以上、図1図4に示した構成のうち、図2(b)、図3(b)に示した耐火物ブロック10aを除けば、耐火物ブロック10および10bを構成するサブブロック101、102、103、104やサブブロック101b、102b、103b、104bの分割断面はたとえば図1に示すように溶湯流路底面に対して垂直に耐火物ブロック10(10bも同様)を分割するもの、と説明してきた。
【0068】
しかしながら、特に図6に示すようにサブブロック101c、102c、103c、104cの分割位置(接合目地)が流路底面に傾斜した状態で臨む構成において、さらにサブブロック同士の分割断面(サブブロック同士の接合面)を傾斜させた構成とすることが考えられ、このような構成において特有の作用効果を期待することができる。
【0069】
図6図1と同様の様式でサブブロック101c、102c、および103c、104cから構成された耐火物ブロック10c、10cを示している。図6中の符号C3〜C6は図1の場合と同様に当業者が採用可能な面取り形状を例示したもので、その他の同一の参照符号の意味も図1とほぼ同じであるから、以下では重複した説明は省略するものとする。
【0070】
図6において、サブブロック101c、102c、103c、104cの分割位置(接合目地)S7、S8は流路底面に傾斜した状態で臨んでおり、この状態はたとえば図4(a)に示した構成とほぼ同様であるが、図6では、さらにサブブロック101cと102c、およびサブブロック103cと104cにおいて、同じ耐火物ブロックを構成するサブブロック同士の接合面に臨む端面を傾斜させてある。
【0071】
ここで、サブブロック101c、102c、103c、104cの接合目地S7、S8が流路底面に傾斜した状態で臨んでいる以上、同じ1の耐火物ブロック10cを構成するサブブロック101cと102c、あるいは103cと104cとでは、サブブロック同士の接合面を境界として上流側ないし下流側の関係が生まれることとなり、図6の例ではサブブロック101c、103cがサブブロック102c、104cよりも下流側にそれぞれ位置している。
【0072】
そして、この図6の構成において、同じ1の耐火物ブロックを構成するサブブロック101cと102c、またはサブブロック103cと104c同士の接合面に臨む端面の傾斜角度はそのサブブロックが上流側か下流側かによって定められている。
【0073】
すなわち、図6において、サブブロック101cと102c、およびサブブロック103cと104cの各々同士の接合面に臨む各サブブロックの端面が、上記サブブロック同士の接合面の下流側に配置されるサブブロック101cおよび103cでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鈍角Oをなし、かつ接合面の上流側に配置されるサブブロック102cおよび104cでは該サブブロックの溶湯通路底面に対して鋭角Aをなすようそれぞれ形成されている。
【0074】
なお、ここで溶湯通路底面がほぼ平面形状を構成する場合には、鈍角Oと鋭角Aの関係は当然ながらO+A=180°の関係をほぼ満たしていれば良い。また、図6では便宜上、サブブロック101cと103c、およびサブブロック102cと104cの、サブブロック接合面に臨む各サブブロックの端面がサブブロックの溶湯通路底面に対してなす鈍角O、および鋭角Aは耐火物ブロック10cの上流側端面に表われる角度として近似的に図示してあるが、正確には接合目地S7およびS8の直線と直交する垂直面内において測定される角度であるものとする。
【0075】
要するに、図6の構成は、相互に接合され1の耐火物ブロック(10c、10c)を構成するサブブロック(101cと102c、および103cと104c)同士の接合面が、溶湯通路を溶湯が流れる方向Fに対して傾斜して溶湯通路に臨むとともに、サブブロック同士の接合面(S7、S8)に臨む各サブブロックの端面が、接合面の下流側に配置されるサブブロック(101c、103c)では該サブブロックの溶湯通路底面に対して鈍角(O)をなし、かつ接合面の上流側に配置されるサブブロック(102c、104c)では該サブブロックの溶湯通路底面に対して鋭角(A)をなすようそれぞれ形成され、かつ、溶湯通路に臨む上記サブブロック同士の接合面が、隣接して直列配置される耐火物ブロック(10c、10c)同士で一直線上に整列することなく不連続な位置を占めるよう各サブブロックの分割位置が定められているものである。
【0076】
そして、このような構成においては、サブブロック101cと102c、およびサブブロック103cと104cの各々同士の接合面は、図示のように溶湯通路を溶湯が流れる方向Fに向かって、下流側に接合面が倒れるように傾斜した姿勢となり、流体力学的に見るとサブブロック101cと102c、およびサブブロック103cと104cの各々同士の接合目地S7、S8の部位には陰圧が生じる傾向となり、接合目地S7、S8付近の耐火物ブロックの各部位(あるいはさらに目地に埋設される不定形耐火物)に作用する溶湯の圧力が小さくなり、耐火物ブロック10c、10cを構成するサブブロック101cと102c、およびサブブロック103cと104cの各々同士の接合目地の溶損を低減でき、溶湯通路の耐久性を向上することができる。
【0077】
なお、図6に示した構成では、サブブロック101c、103cが1の耐火物ブロック10cを構成するサブブロック同士の接合面の下流側に、また、サブブロック102c、104cが1の耐火物ブロック10cを構成するサブブロック同士の接合面の上流側に配置されるよう形成されなければならないため、溶湯通路を溶湯が流れる方向に関して図示の状態と180°反転した姿勢で配置することができず、たとえばサブブロック101c、102cを溶湯通路に対して図示の状態と180°反転した姿勢で配置してもサブブロック103c、104cと同等の形状にはならない。したがって、図6の構成は、少なくとも4つのサブブロック101c、102c、103c、104cを部品として用意する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、高炉から出銑される高温の溶銑を流す溶銑樋、高炉から出銑されるノロ(スラグ)を流すノロ樋などに種々適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 耐火物ブロック
40 耐火物ブロック
50 鉄皮
60 トレンチ
70 バラスト
80 不定形耐火物
101、102、103、104 サブブロック
101a、102a、103a、104a サブブロック
101b、102b、103b、104b サブブロック
101c、102c、103c、104c サブブロック
102t 臍
102m 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6