特許第6057776号(P6057776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057776
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/03 20080401AFI20161226BHJP
   G05G 9/047 20060101ALI20161226BHJP
   B60K 20/02 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   G05G5/03 A
   G05G9/047
   B60K20/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-35632(P2013-35632)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-164559(P2014-164559A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】都 軍安
(72)【発明者】
【氏名】木村 渉
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−211270(JP,A)
【文献】 特開2005−067324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 5/03
B60K 20/02
G05G 9/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作可能に支持された操作部と、
前記操作部の操作を検知する検知部と、
前記操作部の操作を規制するための操作規制部と、
前記操作部が所定位置に移動したことが前記検知部によって検知されたとき、前記操作規制部を駆動させるための駆動信号を前記操作規制部に送信可能な制御部と、を有し、
前記制御部は、前記操作規制部が駆動され、前記操作部が前記所定位置にあり続ける間に、一定時間ごとに規制を解除するための規制解除信号を前記操作規制部に発信することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記規制解除信号の発信中であって、前記操作部の操作方向が規制方向に検出されたとき、前記規制解除信号の発信を中止して前記駆動信号を発信する請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記規制解除信号は、前記駆動信号よりもパルス幅が小さい請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記操作部は、交わる複数の方向に移動可能に支持されており、各方向への移動を規制するための複数の前記操作規制部が設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記操作部を直交する2方向に移動自在に支持する移動機構と、前記操作部の移動状態を検知可能な検知部と、直交する第1の方向と第2の方向のうち、前記第1の方向への前記操作部の移動を規制する第1の操作規制部と、前記第2の方向への前記操作部の移動を規制する第2の操作規制部と、を有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記操作部はシフトレバーであり、前記制御部にて、各操作規制部の駆動を制御することで、前記シフトレバーの移動経路を規制する請求項4又は5に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の操作を規制するための操作規制部(具体例として電磁ブレーキ)を備えた入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハプティックあるいはハプティックコマンダ(ハプティック及びハプティックコマンダはいずれもアルプス電気(株)の登録商標)と呼ばれるフォースフィードバック技術が開発されている。
【0003】
特許文献1に開示された力覚付与入力装置では、操作ノブの回転を阻止する壁感触を備えた力覚付与型入力装置に関する発明が記載されている。壁感触は、ノブの回転を阻止する電磁ブレーキの駆動(ON状態)により付与している。
【0004】
ところで電磁ブレーキを使用して壁感触を付与して操作ノブをロックした状態では、ロック解除が課題となる。特許文献1では、電磁ブレーキと操作ノブとの間に弾性部材を設けており、例えば操作ノブをA方向に回転させたときに電磁ブレーキが駆動しても、弾性部材の撓みにより、さらにA方向に多少、操作ノブを回転操作できるようになっている。このように操作ノブを電磁ブレーキの駆動により本来、動きがロックされるべき位置よりも多少、その位置を超えて回転操作できる。このように特許文献1の構成では、電磁ブレーキが駆動しても操作ノブが完全にロックされず多少の遊びが生じており、この遊びを利用して操作ノブがA方向とは逆方向のB方向に回転操作されたことを検知したときに、ロック解除を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−19113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、弱い力で操作ノブを回転操作した場合、弾性部材の弾性変形量は小さいため、上記の遊びも小さくなってしまい、ロック解除方向への回転角を検知できなかったり、あるいは検知した回転角が所定の閾値を下回った場合、ロック解除されないといった問題があった。
【0007】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に、従来に比べて簡単かつ適切に操作部に対する規制を解除できる入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における入力装置は、
操作可能に支持された操作部と、
前記操作部の操作を検知する検知部と、
前記操作部の操作を規制するための操作規制部と、
前記操作部が所定位置に移動したことが前記検知部によって検知されたとき、前記操作規制部を駆動させるための駆動信号を前記操作規制部に送信可能な制御部と、を有し、
前記制御部は、前記操作規制部が駆動され、前記操作部が前記所定位置にあり続ける間に、一定時間ごとに規制を解除するための規制解除信号を前記操作規制部に発信することを特徴とするものである。本発明によれば、操作規制部の駆動時に、操作規制部を駆動させるための駆動信号に対して一定時間ごとに規制を解除する規制解除信号を発信して操作部への規制を一定時間ごとに解除しているので、従来のように操作部に対する規制を解除できない不具合を防止でき、従来に比べて操作性を向上させることができる。
【0009】
本発明では、前記制御部は、前記規制解除信号の発信中であって、前記操作部の操作方向が規制方向に検出されたとき、前記規制解除信号の発信を中止して前記駆動信号を発信することが好ましい。規制解除中に操作部の操作が行われても、その操作方向が規制方向である場合には、即座に規制解除信号の発信を中止して駆動信号を発信し操作に規制をかけることで、安定して操作部に対する規制を行うことができる。
【0010】
また本発明では、前記規制解除信号は、前記駆動信号よりもパルス幅が小さいことが好ましい。このように駆動信号の間に短い規制解除信号を発信することで、操作規制部による安定した規制状態を維持しつつ、規制解除を行うことができる。
【0011】
また本発明では、前記操作部は、交わる複数の方向に移動可能に支持されており、各方向への移動を規制するための複数の前記操作規制部が設けられていることが好ましい。これにより、各操作規制部を制御しながら、操作部を所定の移動経路に沿って移動させることができる。
【0012】
また本発明では、前記操作部を直交する2方向に移動自在に支持する移動機構と、前記操作部の移動状態を検知可能な検知部と、直交する第1の方向と第2の方向のうち、前記第1の方向への前記操作部の移動を規制する第1の操作規制部と、前記第2の方向への前記操作部の移動を規制する第2の操作規制部と、を有する構成にできる。上記によれば第1の操作規制部による第1の方向への移動規制をかけることで、操作部を第2の方向にのみ移動可能にし、また第2の操作規制部による第2の方向への移動規制をかけることで、操作部を第1の方向にのみ移動可能に支持できる。これにより操作部を第1の方向と第2の方向とによる所定の移動経路に沿って移動させることができる。
【0013】
上記において、前記操作部はシフトレバーであり、前記制御部にて、各操作規制部の駆動を制御することで、前記シフトレバーの移動経路を規制する構成にできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作規制部の駆動時に、操作規制部に対して一定時間ごとに規制を解除する規制解除信号を発信して操作部への規制を一定時間ごとに解除しているので、従来のように操作部に対する規制を解除できない不具合を防止でき、従来に比べて操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の実施形態における入力装置(シフト装置)の部分縦断面図である。
図2図2は、第2の実施形態における入力装置(シフト装置)の分解斜視図である。
図3図3は、第3の実施形態における入力装置の部分斜視図である。
図4図4は、本実施形態における入力装置のブロック図である。
図5図5は、駆動信号の発信タイミング、規制解除信号の発信タイミング及び電磁ブレーキのON/OFF切換タイミングを説明するためのタイムチャート図である。
図6図6は、操作部の操作が規制方向に行われた場合の、駆動信号の発信タイミング、規制解除信号の発信タイミング及び電磁ブレーキのON/OFF切換タイミングを説明するためのタイムチャート図である。
図7図7は、電磁ブレーキのON/OFF切換タイミングを説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、第1の実施形態における入力装置(シフト装置)の部分縦断面図である。図4は、本実施形態における入力装置のブロック図である。
【0017】
本実施形態におけるシフト装置1は、ハプティックあるいはハプティックコマンダ(ハプティック及びハプティックコマンダはいずれもアルプス電気(株)の登録商標)と呼ばれるフォースフィードバック技術を取り入れた入力装置である。
【0018】
図1図4に示すシフト装置1は、シフトレバー(操作部)2と、センサ(検知部)3と、電磁ブレーキ(操作規制部)4と、制御部5とを有して構成される。
【0019】
シフトレバー2は把持部2aと、把持部2aに接続された軸部2bとを備える。シフトレバー2は軸部2bの部分がハウジング6により支持されており、把持部2aはハウジング6の表面から突出している。
【0020】
図1に示すように、軸部2bには球面部7が設けられており、球面部7はハウジング6に設けられた球面軸受8にて支持されている。これによりシフトレバー2はハウジング6に対して揺動可能に支持されている。
【0021】
図1に示すように軸部2bの基端には、略半球状の外力受部9が設けられており、外力受部9の表面には板バネ(図示せず)を介して磁性板10が設けられている。
【0022】
また図1に示すように、磁性板10と対向した位置に電磁コイル11が設けられている。電磁ブレーキ4は、磁性板10と電磁コイル11とを有して構成される。
【0023】
またセンサ3の位置は特に限定されるものでないが、例えば軸部2bの延長線上に位置させることができる。センサ3は、シフトレバー2(磁性板10)とは非接触で設けられる。センサ3には、公知の位置センサを用いることができる。センサ3は、シフトレバー2の操作量(回転角など)や操作方向(回転方向など)を検知可能であることが好ましい。センサ3には、ポテンショメータ、磁気センサ、非接触型光学位置センサ等を用いることができる。
【0024】
また図4に示すようにモータ15を備えた構成にすることもできる。例えばモータ15は、シフトレバー2を操作したとき、センサ3により得られる操作情報に基づいて、把持部2aに対して力覚を付与する。「力覚」とは、操作者が把持部2aを操作した際に加わる力の感覚を指す。
【0025】
例えば、把持部2aをA方向に操作したとき、モータ15の駆動力により、素早くA方向の所定位置に把持部2aを引き寄せる力覚を把持部2aに与える。このような力覚を操作者は触覚的なフォースフィードバックとして受け取ることができる。
【0026】
また図1に示す電磁コイル11に通電することで磁性板10を引きつけてシフトレバー2に摩擦抵抗を付与し、それによって把持部2aに壁感触を与えることができる。壁感触は、操作者に、これ以上、シフトレバー2をA方向に操作できないとする触覚的なフォースフィードバックを与える。
【0027】
電磁ブレーキ4の駆動について説明する。
図7(a)のステップST1に示すように、制御部5はセンサ3からシフトレバー2の操作情報を入力している。制御部5は、操作情報に基づいて、電磁ブレーキ4を駆動させるか否かを判断する(ステップST2)。例えば、操作者(運転手)が把持部2aを手に持ってシフトレバー2をA方向に移動(揺動)させ、シフトレバー2が、規制(ロック)を必要とする所定位置に達したことを制御部5がセンサ3からの操作情報で判断すると、電磁ブレーキ4を駆動させるために、図5(a)に示すように、制御部5は、電磁ブレーキ4に対して駆動信号αを発信する。このとき駆動信号αは、間欠的に発生している。各駆動信号αのパルス幅はT1であり一定である。各駆動信号αの間に、図5(b)に示すように規制解除信号βが電磁ブレーキ4に発信されている。各規制解除信号βのパルス幅はT2であり一定である。このように本実施形態では、駆動信号αと規制解除信号βとが交互に電磁ブレーキ4に発信される(図7のステップST3)。
【0028】
なお図5の(a)(b)に示すように、駆動信号αのパルス幅T1は、規制解除信号βのパルス幅T2よりも長い。
【0029】
上記のように、制御部5から電磁ブレーキ4に駆動信号αが発信されると、電磁コイル11への通電により電磁ブレーキ4が駆動(図5(c)のON状態)してシフトレバー2の操作が規制される(ロック状態となる)。このとき、把持部2aを手に持った操作者(運転手)は、これ以上A方向にシフトレバー2を操作できないとする壁を感じることができる。
【0030】
図5(b)に示すように、制御部5から、電磁ブレーキ4の駆動時に、電磁ブレーキ4に対して一定時間ごとに規制解除信号βが送信される。規制解除信号βはシフトレバー2に対する規制を解除するための信号である。すなわち規制解除信号βが電磁ブレーキ4に発信されることで、電磁コイル11への通電を停止(図5(c)のOFF状態)し、規制を解除する。
【0031】
本実施形態では、各駆動信号αの駆動時間は、パルス幅T1であり、その間に短い時間(パルス幅T2)で規制が解除されている。
【0032】
上記したように、操作者(運転手)が把持部2aを持ってシフトレバー2をA方向に操作し所定位置に到達したことをセンサ3の操作情報から制御部5が判断したとき、制御部5から図5(a)(b)に示す駆動信号αと操作規制信号βとが繰り返し電磁ブレーキ4に送られる。このように規制解除信号βが間欠的に送られて一旦、規制が解除されるが、その時間は短いため、操作者(運転手)は主に、駆動信号αに基づいてシフトレバー2が規制(ロック)されたことにより、操作者は、これ以上、シフトレバー2をA方向に操作できない壁を感じる。
【0033】
図7(a)に示すように、ステップST1からステップST3までのルーチンが繰り返される。ステップST2からステップST3への移行は、ステップST1にて得られる操作情報に基づいて、シフトレバー2の操作方向が規制方向に作用しているときのみならず、シフトレバー2の操作を行っておらず、すなわち操作情報である操作量(回転角など)が0である場合にも適用することができる。例えば、シフトレバー2がA方向の規制(ロック)が必要とされる所定位置にあり、シフトレバー2を操作することなく、シフトレバー2がその位置にあり続ける場合には、ステップST2にてシフトレバー2が操作されていないことを条件に駆動信号αと規制解除信号βとを交互に発信し続ける(ステップST3)。
【0034】
一方、操作者(運転手)が規制を解除する方向であるB方向にシフトレバー2を操作したとする。制御部5では、センサ3の操作情報に基づいて、シフトレバー2の操作方向が規制方向(壁感触を持続させる方向)か、あるいはそれ以外の方向であるかを判断する(図7のステップST2)。
【0035】
このとき、操作者の操作Cが図5(b)に示すように、規制解除信号βが電磁ブレーキ4に発信されているときに行われると、シフトレバー2の移動方向はB方向を向くが、このとき瞬時にセンサ3にてシフトレバー2の移動方向をわずかな操作情報の変化にて検知する。制御部5はセンサ3から得られた移動情報からシフトレバー2が規制を解除する方向に移動していると判断すると、電磁ブレーキ4の駆動を中止するために、そのまま規制解除信号βの発信を維持して(図7のステップST4)、電磁ブレーキ4の駆動をOFFにする。これにより、シフトレバー2をB方向に安定して移動させることができる。上記したように、操作者の操作Cは、弾性部材の弾性変形量が少ないことによって通常の規制解除ができない時、規制解除信号βが電磁ブレーキ4に発信されているときに行われないと、規制解除(ロック解除)が実行されないが、各駆動信号αの時間(パルス幅T1)は、せいぜい数百ミリ秒〜数秒であるため、操作者の操作Cの最初のタイミングが駆動信号αの発信時であっても、操作Cを少し持続することで操作Cが規制解除信号βの発信タイミングに入り、規制解除を行うことが可能である。なお各駆動信号αの間で発信され特に操作者の操作が行われていないときの規制解除信号βの持続時間(パルス幅T2)は、数十ミリ秒〜数百ミリ秒程度である。
【0036】
次に、電磁ブレーキ4の駆動によりシフトレバー2の操作が規制(ロック)された状態において、シフトレバー2を、規制方向であるA方向に操作した場合について図6図7(b)を用いて説明する。
【0037】
図6(a)は電磁ブレーキ4に発信される駆動信号αのタイミングチャート、図6(b)は、電磁ブレーキ4に発信される規制解除信号βのタイミングチャートであり、図6(c)は、電磁ブレーキ4のON/OFF切換のタイミングチャートである。
【0038】
なお図7(b)のフローチャートは、図7(a)に示す駆動信号αと規制解除信号βとが交互に発信している状態(ステップST3)を前提としている。
【0039】
図6(b)、図7(b)のステップST5に示すように、シフトレバー2の操作が検出されたとき、制御部5では、操作の検出が、駆動信号αの発信中か否かを判断する(ステップST6)。もし操作の検出が、駆動信号αの発信中であるとき、図7(b)のステップST7に移行し、電磁ブレーキ4の駆動状態をそのまま継続する。
【0040】
一方、図6(b)に示すように操作Dの検出が、駆動信号αの発信中ではなく、規制解除信号βの発信中であった場合、ステップST8に移行する。ステップST8では、シフトレバー2の操作方向が規制方向であるA方向(壁方向)であるか否かを判断する。センサ3は、規制解除信号βの発信中においてシフトレバー2がわずかにA方向に動いたときの移動方向を検知する。センサ3からの操作情報が制御部5に送信され、制御部5では、センサ3からの操作情報に基づいて、操作方向が規制方向であるA方向と判断したとき、ステップST9に移行し、電磁ブレーキ4の駆動を持続させることが必要であると判断する。そのため図6(a)(b)に示すように、A方向への操作Dが検知されたら、制御部5は即座に規制解除信号βの発信を中止して駆動信号αを発信して、電磁ブレーキ4を駆動しシフトレバー2をロックする。
【0041】
このように規制解除信号βの発信中に操作Dが規制方向に行われたら規制解除信号βの発信を中止するので、操作Dが行われたときの規制解除信号βのパルス幅T3は、シフトレバー2に対して操作が行われていないときの規制解除信号βのパルス幅T2以下になり、したがってそのときの電磁ブレーキ4のOFF時間(規制解除時間)の長さT4も、シフトレバー2に対して操作が行われていないときの電磁ブレーキ4のOFF時間(規制解除時間)の長さT5以下になる。その後は、ステップST10に示すように、ステップST3に移行し、駆動信号αと規制解除信号βとが交互に繰り返し発信される。
【0042】
一方、ステップST8で、シフトレバー2の操作方向が規制方向でないとき、ステップST11に移行して、ステップST4と同様に規制解除信号βを出力して電磁ブレーキ4の駆動を解除する。そしてステップST1に戻る。
【0043】
このように規制解除中にシフトレバー2の操作が行われても、その操作方向が規制方向である場合には、即座に規制解除信号βの発信を中止して駆動信号αを発信し操作に規制をかけることで、安定して操作部に対する規制を行うことができる。
【0044】
図2は、第2の実施形態におけるシフト装置(入力装置)の部分分解斜視図である。
図2に示すシフト装置40は、シフトレバー(操作部)41と、軸受42と、軸受42に連結されY1−Y2方向に延びる第1軸部43と、シフトレバー41に連結されX1−X2方向に延びる第2軸部44等を有して構成される。
【0045】
図2に示すシフトレバー41は、軸受42の下側から挿入され、シフトレバー41の一部が、軸受42の上面に設けられた貫通孔42aから上方に突き出される。
【0046】
軸受42には、X1−X2方向に向く側面が開放された開放部42bとなっており、シフトレバー41に連結された第2軸部44の端部には、回転板48がはめ込まれる。
【0047】
図2に示すシフト装置40では、軸受42、第1軸部43及び第2軸部44等からなる移動機構により、シフトレバー41は、直交するX1−X2方向(第1の方向)と、Y1−Y2方向(第2の方向)とに移動可能(揺動可能)に支持される。
【0048】
図2に示すように、第1軸部43の一方の端部が磁性板などで形成され、それに対向した電磁コイル50との間で第1の電磁ブレーキ(第1の操作規制部)51を構成し、第2軸部44の端部に接続される回転板48が磁性板などで形成され、それと対向した電磁コイル52との間で第2の電磁ブレーキ(第2の操作規制部)53を構成している。また、第1軸部43および第2軸部44は図示しないケース部材等に支持される。
【0049】
シフトレバー41の操作情報を検知するためのセンサについて図示していないが、例えば、第1軸部43及び第2軸部44の延長線上や、シフトレバー41の基端部41aの位置にセンサを設けて、シフトレバー41の操作情報である操作量(回転角など)や操作方向(回転方向など)を検知することが可能である。
【0050】
第1の電磁ブレーキ51を駆動させて第1軸部43の回転をロックすると、シフトレバー41は、第2軸部44の軸回りの操作のみが可能になり、すなわちシフトレバー41をY1−Y2方向にのみ操作させることができる。一方、第2の電磁ブレーキ53を駆動させて第2軸部44の回転をロックすると、シフトレバー41は、第1軸部43の軸回りの操作のみが可能になり、すなわちシフトレバー41をX1−X2方向にのみ操作させることができる。よって制御部5にて、第1の電磁ブレーキ51及び第2の電磁ブレーキ53の駆動を任意に制御することで、例えば、図2の符号55に示すような移動経路に沿ってシフトレバー41を操作できるように調整することができる。
【0051】
図2に示すように移動経路55は直交するX1−X2方向とY1−Y2方向との複数の方向に形成される。
【0052】
例えば、シフトレバー41をポジションaから、ポジションdに移動させ、さらにポジションcまで移動させる操作をするとき、ポジションaからポジションdへの移行時には、第1の電磁ブレーキ51を駆動させ(駆動信号αと規制解除信号βとが交互に出力される状態(図7(a)のステップST3))、一方、第2の電磁ブレーキ53を駆動させず(規制解除信号βが出力され続ける状態(図7(a)のステップST4))、これによってX1−X2方向に壁感触が発生し、シフトレバー41をポジションaからポジションdまでY1方向に沿って適切に移動させることができる。
【0053】
シフトレバー41がポジションdに到達すると、シフトレバー41がポジションdから更にY1方向に移動しないようにするために、第2の電磁ブレーキ53を駆動させて、シフトレバー41のY1−Y2方向への動きをロックする。一方、シフトレバー41がポジションdに到達すると、今度は第1の電磁ブレーキ51の駆動を解除しなければならないが、このときの解除を図7(b)のステップST11により行うことができる。すなわちステップST6でシフトレバー41の操作が規制解除信号βの発信時に検出されたときはステップST8に移行し、ステップST8では、操作方向が規制方向であるか否かを判断する。ポジションdからポジションcへの移動方向は規制方向ではないので、ステップST11に移行し、第1の電磁ブレーキ51に対し規制解除信号βを発信してシフトレバー41をポジションdからポジションcにまでX1方向に沿って移動できるように制御する。
【0054】
本実施形態では、図2の移動経路55のように、交わる複数の経路があり、一方の経路から他方の経路に操作部を移動させる構成に特に有効に適用することができる。すなわち曲がり角の位置では、双方の移動経路に対して操作部にロックがかかりやすいが、本実施形態では、常に一定時間ごとに規制解除信号βを発信するので曲がり角でもスムースに操作部を操作することができる。
【0055】
また図3に示す入力装置60のように、操作ノブ61に接続された軸部62の基端に電磁ブレーキ63が設けられ、軸部62の途中にセンサ(例えばロータリーエンコーダ)64が配置され、操作ノブ61を回転操作γして、所定の回転角に達すると電磁ブレーキ63が駆動して操作ノブ61の回転がロックされる構成に対し、図5ないし図7に示した電磁ブレーキ63のON/OFF切換に対する制御を行うことができる。
【0056】
なお図3の構成において、操作ノブ61と電磁ブレーキ63の間にゴム等の弾性部材を介在させるか否かを任意に決定できる。弾性部材を介在させる構成は、図1図2の入力装置にも適用できる。
【0057】
図1ないし図3に示す入力装置の構成は一例であって、これらの構成に限定されるものでない。
【0058】
また操作規制部としては電磁ブレーキが好ましいが、図1ないし図3に示した構成の電磁ブレーキに限定するものでなく、また電磁ブレーキ以外の操作規制部を適用することも可能である。
【0059】
本実施形態の入力装置は例えば車両用として用いることができる。例えばセンターコンソールに配置されたシフト装置や入力操作部などに適用できる。なお入力装置を車両用として限定するものでないが、車両用として使用することで、触覚的なフォースフィードバックを与える入力装置により運転の際の安全性や快適性等を高めることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 シフト装置
2、41 シフトレバー
2a 把持部
2b 軸部
3、64 センサ
4、53、63 電磁ブレーキ
5 制御部
6 ハウジング
10 磁性板
11、50、52 電磁コイル
43 第1軸部
44 第2軸部
51 第1の電磁ブレーキ
53 第2の電磁ブレーキ
55 移動経路
60 入力装置
61 操作ノブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7