特許第6057861号(P6057861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057861
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】接合構造及び接合方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   E04G21/16
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-174618(P2013-174618)
(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-42824(P2015-42824A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000159272
【氏名又は名称】吉永機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】垂井 睦
(72)【発明者】
【氏名】小川 喜平
(72)【発明者】
【氏名】中越 淳郎
(72)【発明者】
【氏名】富樫 良智
(72)【発明者】
【氏名】野田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】長 かほる
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−038617(JP,U)
【文献】 特表2008−527221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G21/14−21/22
E04B1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側梁部に対して上側梁部を降下させて接合させるための接合構造において、
前記下側梁部に揺動自在に軸支されると共に、前記下側梁部から上方に向かって延在する一対のアーム部と、
前記アーム部から内側に向かって突出すると共に、前記上側梁部の降下時に前記上側梁部に当接して、前記アーム部の上端を内側に向かって回動させる作動部と、
前記アーム部の前記上端で内側に向かって屈曲されると共に、前記アーム部の回動終了時に前記上側梁部の上面に当接又は近接する掛け止め部と、
を備えたことを特徴とする接合構造。
【請求項2】
前記アーム部を外側に倒れた状態に維持するアーム部保持手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
前記上側梁部には、前記上側梁部から外方に張り出して前記作動部に上から当接する当接プレートが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合構造。
【請求項4】
前記上側梁部の上面には、上方に向かって突出する第1の掛け止め突起が設けられており、
前記掛け止め部の下面には、前記アーム部が内側に向かって回動する時に、前記第1の掛け止め突起の内側に移動する第2の掛け止め突起が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合構造。
【請求項5】
前記下側梁部には、前記下側梁部の延在方向に対して垂直な方向に延在するベースプレートが設けられ、
前記ベースプレートには前記アーム部が揺動自在に軸支され、前記アーム部の下端には、前記アーム部の回動時に前記ベースプレートの表面を摺動し、前記回動終了時に前記ベースプレートから外れて水平方向に突出する揺動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の接合構造。
【請求項6】
前記アーム部保持手段は、一端が前記アーム部に連結されると共に他端が前記下側梁部に連結されており、前記アーム部が内側に回動した時に変形又は破断するバンド部材であることを特徴とする請求項2に記載の接合構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の接合構造によって前記下側梁部と前記上側梁部とを接合させる接合方法において、
前記上側梁部の降下時に前記上側梁部が前記作動部に当接する当接工程と、
前記当接工程で前記上側梁部が前記作動部に当接することによって、一対の前記アーム部の上端を内側に向かって回動させるアーム部回動工程と、
前記アーム部の回動終了時に前記上側梁部の上面に前記掛け止め部を当接又は近接させる掛け止め工程と、
を備えた接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作で建設機械を稼動して梁や柱の接合を自動的に行う接合構造及び接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設作業現場で梁や柱を接合する技術は、特開平6−2365号公報に開示されている。この公報には、鉄骨架構を構築する際の梁と柱の接合方法が記載されており、既存の鉄骨柱の間に鉄骨梁を接合する工法や、鉄骨柱に鉄骨梁の一端を接合させたユニットを現場で組み立てる工法が開示されている。これらの工法では、溶接によって梁と梁を接合したり、又は柱の端部に溶接されたガセットプレート間をボルト締めすることによって柱と柱が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−2365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、溶接やボルト締めで梁や柱の接合作業を行うと、梁や柱を確実に接合することが可能となる。しかしながら、溶接やボルト締めは人手を介して行わなければならないため簡単なものではなく、特に人が立ち入ることができない場所で梁や柱の接合を行う場合には、接合作業を自動化することが望まれている。すなわち、梁や柱を自動的に接合するにあたって接合作業を確実に行える手法が求められている。
【0005】
本発明は、自動的な接合作業を確実に行うことができる接合構造及び接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接合構造は、下側梁部に対して上側梁部を降下させて接合させるための接合構造において、下側梁部に揺動自在に軸支されると共に、下側梁部から上方に向かって延在する一対のアーム部と、アーム部から内側に向かって突出すると共に、上側梁部の降下時に上側梁部に当接して、アーム部の上端を内側に向かって回動させる作動部と、アーム部の上端で内側に向かって屈曲されると共に、アーム部の回動終了時に上側梁部の上面に当接又は近接する掛け止め部と、を備えている。
【0007】
この接合構造では、上側梁部を下側梁部に向かって降下させると、降下した上側梁部が作動部に上から当接することによって一対のアーム部が内側に回動し、回動終了時には各アーム部の掛け止め部が上側梁部の上面に当接又は近接する。このように、上側梁部を下側梁部に降ろしていくだけで各アーム部の掛け止め部が上側梁部の上面に当接又は近接するので、各アーム部の回動終了時には下側梁部に対する上側梁部の移動が鉛直方向に規制されることとなる。このように各梁部の接合後において各アーム部の掛け止め部が上側梁部の上面に当接又は近接しているので、接合された各梁部は鉛直方向に働く引っ張り力に耐え得る強固な構造となっている。また、アーム部は下側梁部に一対に設けられており、各アーム部の回動に伴って上側梁部は両側からアーム部に挟み込まれることとなるので、下側梁部に対する上側梁部の移動は水平方向にも規制される。従って、上側梁部を下側梁部に向かって降ろすだけで上側梁部を下側梁部に確実に接合させることができるので、自動的な接合作業を確実に行うことができる。
【0008】
また、アーム部を外側に倒れた状態に維持するアーム部保持手段を備えている。
このように一対のアーム部を外側に倒れた状態で維持するアーム部保持手段を備えることにより、上側梁部を下側梁部に向かって降ろす前には一対のアーム部を確実に開いた状態で維持させることができる。
【0009】
また、上側梁部には、上側梁部から外方に張り出して作動部に上から当接する当接プレートが設けられている。
この接合構造では、作動部に当接させる当接プレートが上側梁部から外方に張り出している。よって、下側梁部に向かって上側梁部を降ろすときには、上側梁部から外方に張り出した当接プレートが作動部に上から当接することとなる。従って、上側梁部そのものを作動部に当接させる場合と比較して、外方に張り出した当接プレートを作動部に当接させることによってより確実且つスムーズに各アーム部を回動させることができる。
【0010】
また、上側梁部の上面には、上方に向かって突出する第1の掛け止め突起が設けられており、掛け止め部の下面には、アーム部が内側に向かって回動する時に、第1の掛け止め突起の内側に移動する第2の掛け止め突起が設けられている。
上記の接合構造では、下側梁部に向かって上側梁部を降ろすと作動部によって各アーム部が内側に回動し、このとき上側梁部における第1の掛け止め突起に対して掛け止め部における第2の掛け止め突起が内方に移動する。そして、第2の掛け止め突起は、上方に向かって突出する第1の掛け止め突起の内側に位置する。従って、この状態で上側梁部に引っ張り力が働いても、上側梁部の掛け止め突起と掛け止め部の掛け止め突起とが引っ掛かった状態が維持されると共に上側梁部と掛け止め部との接触圧が高くなるだけなので、第1及び第2の掛け止め突起によって上側梁部がより外れにくくなっている。
【0011】
また、下側梁部には、下側梁部の延在方向に対して垂直な方向に延在するベースプレートが設けられ、ベースプレートにはアーム部が揺動自在に軸支され、アーム部の下端には、アーム部の回動時にベースプレートの表面を摺動し、回動終了時にベースプレートから外れて水平方向に突出する揺動規制部が設けられている。
各アーム部の下端に設けられた揺動規制部は、各アーム部が外側に倒れた状態ではベースプレートに当接し、各アーム部の回動時にベースプレート上を摺接すると共に、各アーム部の回動終了時には水平方向に突出する。よって、回動終了後にアーム部に対して外側に倒れようとする力が働いても、水平方向に突出した揺動規制部がベースプレートに当接することで各アーム部の揺動が阻止されるので、各アーム部が再度外側に倒れることはない。従って、一対のアーム部によって上側梁部をより強固に保持することができる。
【0012】
また、アーム部保持手段は、一端がアーム部に連結されると共に他端が下側梁部に連結されており、アーム部が内側に回動した時に変形又は破断するバンド部材である。
上記の接合構造では、一端がアーム部に連結され他端が下側梁部に連結されたバンド部材によって、アーム部を外側に倒した状態で維持させている。また、下側梁部に向かって上側梁部を降ろして各アーム部が内側に回動するときにバンド部材が変形又は破断するので、下側梁部に対する上側梁部の接合時にアーム部を確実に回動させることができる。
【0013】
本発明の接合方法は、上記の接合構造によって下側梁部と上側梁部とを接合させる接合方法において、上側梁部の降下時に上側梁部が作動部に当接する当接工程と、当接工程で上側梁部が作動部に当接することによって、一対のアーム部の上端を内側に向かって回動させるアーム部回動工程と、アーム部の回動終了時に上側梁部の上面に掛け止め部を当接又は近接させる掛け止め工程と、を備えている。
【0014】
上記の接合方法では、上側梁部を下側梁部に向かって降下させて上側梁部を作動部に当接させる当接工程を経て、一対のアーム部が内側に回動するアーム部回動工程が実行される。そして、アーム部回動工程による一対のアーム部の回動終了時には、各アーム部の掛け止め部が上側梁部の上面に当接又は近接する掛け止め工程が実行される。よって、上側梁部を下側梁部に降ろしていくだけで各アーム部の掛け止め部が上側梁部の上面に当接又は近接するので、各アーム部の回動終了時には下側梁部に対する上側梁部の移動が鉛直方向に規制されることとなる。このように各梁部の接合後において各アーム部の掛け止め部が上側梁部の上面に当接又は近接しているので、接合された各梁部は鉛直方向に働く引っ張り力に耐え得る強固な構造となっている。また、一対に設けられた各アーム部の回動に伴って上側梁部は両側からアーム部に挟み込まれることとなるので、下側梁部に対する上側梁部の移動は水平方向にも規制される。従って、上側梁部を下側梁部に向かって降ろすだけで上側梁部を下側梁部に確実且つ自動的に接合させることができるので、自動的な接合作業を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動的な接合作業を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る接合構造の実施形態を示す斜視図である。
図2図1の接合構造を示す断面図である。
図3】下側梁部及びアーム部を示す側面図である。
図4】アーム部が回動する状態の接合構造を示す断面図である。
図5】アーム部が回動する状態の接合構造を示す断面図である。
図6図5の接合構造を示す側面図である。
図7】上側梁部、掛け止め部及びアーム部連結具を示す断面図である。
図8】アーム部連結具を示す斜視図である。
図9】アーム部及びアーム部連結具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る接合構造及び接合方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1に示されるように、接合構造1は、下側梁部2のフランジ部21の上面に向かって上側梁部3を降ろすことによって上側梁部3が下側梁部2に接合される構造である。下側梁部2及び上側梁部3はH形鋼であり、上側梁部3はフランジ部33が水平方向に延在する状態で降ろされる。上側梁部3はクレーンによって吊り上げられ、フランジ部33が下側梁部2のフランジ部21の直上に位置するように上側梁部3を位置合わせした状態で上側梁部3を下側梁部2に降ろしていくことで上側梁部3は下側梁部2に接合される。
【0019】
図2に示されるように、下側梁部2は、下側梁部2の延在方向に対して垂直に延在すると共に下側梁部2から左右に張り出した状態で下側梁部2に固定されたベースプレート40を一対に備えている。各ベースプレート40は、下側梁部2における上側のフランジ部21の下面と、下側梁部2における下側のフランジ部23の上面と、下側梁部2のウェブ部22とに溶接されている。ベースプレート40における下側梁部2から左右に張り出した張り出し部41は、下側梁部2における上側のフランジ部21よりも上方に突出する突出部41Aと、下端の隅部で略45°に切り欠かれた切り欠き部41Bとを有している。
【0020】
各ベースプレート40の突出部41Aには、軸ピン24を挿入するための孔部41aが設けられている。また、各ベースプレート40の突出部41Aには、下側梁部2に降ろされた上側梁部3を両側から挟み込むためのアーム部50が、軸ピン24を中心として揺動自在に軸支されている。各アーム部50は、上下に延在すると共に軸ピン24を挿入するための孔部51aを有するアーム本体部51と、上側のフランジ部21の上部近傍でアーム本体部51から内側に突出する作動部52と、各アーム本体部51の上端で内側に屈曲した掛け止め部53と、を備えている。
【0021】
図3に示されるように、軸ピン24は、アーム本体部51の孔部51aとベースプレート40の孔部41aに挿通される略円柱状の挿通部24aと、挿通部24aの一端に連結された楕円状の把持部24bとを有している。この把持部24bを持って挿通部24aを孔部51a,41aに挿通することで各アーム本体部51はベースプレート40に対して揺動自在に連結される。また、軸ピン24は簡単にアーム本体部51とベースプレート40から外せるようになっており、把持部24bを持って挿通部24aを孔部51a,41aから引き抜くことでアーム本体部51とベースプレート40を分解することができる。
【0022】
図1に示されるように、アーム本体部51の上下方向の長さは、上側梁部3の当接プレート60が作動部52に当接し各アーム部50が内側に回動するときに、アーム部50の上端に位置する掛け止め部53が上側梁部3の上面に近接する程度の長さとなっている。また、2枚のアーム本体部51の間にスペーサ55が挟み込まれ、スペーサ55はアーム本体部51に溶接され、これによってアーム本体部51間にベースプレート40の張り出し部41の突出部41Aを挿入させることができる。なお、図2に示されるように、アーム本体部51に沿って延在する2本のスペーサ55は、アーム本体部51の間で平行に延在している。
【0023】
各アーム部50は、上側梁部3を下側梁部2に接合する前には、外側に倒されて開いた状態となっている。各アーム部50と、その下部に位置するベースプレート40には、各アーム部50を外側に倒した状態で維持するナイロン製のバンド部材(アーム部保持手段)25が連結されている。各アーム部50のスペーサ55の外側には各バンド部材25を挿通するための孔部56aを有する張出板56が溶接されており、各ベースプレート40における突出部41Aの外側には各バンド部材25を挿通するための孔部42aを有する張出板42が溶接されている。
【0024】
各バンド部材25は、各アーム部50の孔部56aと各ベースプレート40の孔部42aとに挿通され、各アーム部50を外側に倒した状態で各バンド部材25の両端を固く繋いで輪状とすることにより各アーム部50が外側に倒れた状態を維持させる。このように一対のアーム部50を外側に倒れた状態で維持するバンド部材25を備えることにより、上側梁部3を下側梁部2に降ろす前には一対のアーム部50を確実に開いた状態で維持させることができる。
【0025】
図2及び図3に示されるように、各ベースプレート40における張り出し部41の表面には、一対のアーム部50が過剰に開くことを防止するためのストッパ41Cが溶接されている。各ストッパ41Cは、略直方体状となっており、各アーム部50が一定角度以上開こうとすると、アーム部50の下面51cがストッパ41Cの上面41dに当接し、これ以上各アーム部50が開かないようになっている。
【0026】
また、各アーム本体部51の下部で溶接されたプレート58の下端には、各アーム部50が内側に回動して閉じた後に再度各アーム部50が外側に倒れることを規制する揺動規制部57が設けられている。図3に示されるように、揺動規制部57は、筒状の収容部57aと、収容部57a内に収容されると共に収容部57aから出没する出没部57bと、収容部57a内で固定されると共に出没部57bを収容部57aから突出させる方向に付勢するバネ57cとを備えている。上側梁部3を下側梁部2に接合する前における各アーム部50が外側に倒れた状態において、揺動規制部57の出没部57bは、バネ57cの付勢力によってベースプレート40の表面に当接した状態となっている。
【0027】
図2に示されるように、各アーム本体部51の上端に位置する掛け止め部53は、回動終了後における各アーム部50を連結させるアーム部連結具80(図7参照)を装着するための連結具装着孔53Aと、下側梁部2に降ろされた上側梁部3を掛け止めるための掛け止め突起(第2の掛け止め突起)53Bと、各アーム部50に向かって降ろされた上側梁部3を案内するためのガイド面53Cと、を備えている。
【0028】
掛け止め突起53Bは、掛け止め部53の内側端部で下方に突出しており、掛け止め部53の内側端部に位置する頂面53aと、各頂面53aの外側で上方に向かって傾斜する傾斜面53bと、を有している。ガイド面53Cは、各アーム部50の内側の端部に位置しており、各アーム部50が閉じた状態で略鉛直方向に延在している。
【0029】
また、上側梁部3は、アーム部50の作動部52に上から当接させるための当接プレート60と、アーム部50の掛け止め部53に掛け止めるための上方に突出した掛け止め突起(第1の掛け止め突起)70とを備えている。
【0030】
当接プレート60は、上側梁部3の延在方向から見て左右両側に張り出すように一対に設けられており、各当接プレート60は、上側梁部3における下側のフランジ部33の上面に溶接されている。また、掛け止め突起70は、上側のフランジ部31の上面に溶接された補強部材32上で溶接されており、上側梁部3の延在方向から見て左右一対に設けられている。各掛け止め突起70は、補強部材32の上面から外側に向かって徐々に高くなる傾斜面71aと、傾斜面71aの外側で略水平に延在する頂面71bと、頂面71bの外側で上下に延在する鉛直面71cとを有している。
【0031】
次に、上側梁部3を下側梁部2に接合させる接合方法について説明する。
【0032】
まず、各アーム部50をバンド部材25によって外側に倒して開いた状態とし、上側梁部3をアーム部50の間に降ろせる状態にしておく。そして、クレーンで上側梁部3を吊ってから、上側梁部3が下側梁部2の直上に位置するように上側梁部3を下側梁部2に対して位置合わせする。
【0033】
その後、上側梁部3を下側梁部2に向かって降ろしていくと、上側梁部3の各当接プレート60がアーム部50の間に入り込み下方に移動する。ここで、下側梁部2に対する上側梁部3の左右位置がずれている場合には、左又は右の当接プレート60がアーム部50のガイド面53Cに当接し、上側梁部3は、ガイド面53Cに案内されながらアーム部50の間に入り込んでいく。そして、各当接プレート60の下面がアーム部50の作動部52に当接する当接工程が行われる。各当接プレート60が作動部52に当接すると、軸ピン24を中心として各アーム部50が内側に向かって回動するアーム部回動工程が行われる。図4及び図5に示されるように、各アーム部50が内側に向かって回動すると、アーム部50の張出板56とベースプレート40の張出板42とを連結するバンド部材25が伸長し、更に当接プレート60が作動部52を上から押し込んで各アーム部50が内側に回動するとバンド部材25は破断する。
【0034】
また、各アーム部50の回動時には、掛け止め部53の掛け止め突起53Bは、内方に移動し、上側梁部3の掛け止め突起70よりも内側に移動する。このようにして各アーム部50の掛け止め部53が上側梁部3の上面に近接した状態となり、掛け止め部53が上側梁部3を掛け止める掛け止め工程が実行される。
【0035】
また、各アーム部50の回動時には、各アーム部50の下端に位置する揺動規制部57の出没部57bがベースプレート40の表面を摺動する。このとき、各揺動規制部57の出没部57bは、軸ピン24を中心として円弧状に摺動すると共にベースプレート40の切り欠き部41Bに向かって摺動していく。そして、掛け止め突起53Bの頂面53aが掛け止め突起70の頂面71bの直上に位置しているときには、出没部57bがベースプレート40の切り欠き部41Bに到達する。また、図5及び図6に示されるように、掛け止め部53の掛け止め突起53Bが上側梁部3の掛け止め突起70よりも内側に移動したときには、出没部57bは、切り欠き部41Bから外側に外れ、バネ57cの付勢力によって水平方向に突出する。
【0036】
以上のように、接合構造1及び接合構造1を用いた接合方法では、上側梁部3を下側梁部2に向かって降下させると、降下時に上側梁部3が作動部52に上から当接することによって一対のアーム部50が内側に回動し、回動終了時には各アーム部50の掛け止め部53が上側梁部3の上面に近接する。よって、各アーム部50の回動終了時には下側梁部2に対する上側梁部3の移動が鉛直方向に規制されることとなる。このように下側梁部2と上側梁部3との接合後において各アーム部50の掛け止め部53が上側梁部3の上面に近接しているので、下側梁部2に接合された上側梁部3は鉛直方向に働く引っ張り力に耐え得る強固な構造となっている。
【0037】
また、アーム部50は下側梁部2に一対に設けられており、各アーム部50の回動に伴って上側梁部3は両側からアーム部50に挟み込まれることとなり、各アーム部50の回動終了時には上側梁部3の両側にアーム本体部51が近接した状態となる。よって、下側梁部2に対する上側梁部3の移動は水平方向にも規制される。従って、上側梁部3を下側梁部2に向かって降ろすだけで下側梁部2に対する上側梁部3の移動が規制されるので、自動的な接合作業を確実に行うことができる。
【0038】
また、接合構造1では、作動部52に当接させる当接プレート60が上側梁部3から外方に張り出している。よって、下側梁部2に向かって上側梁部3を降ろすときには、上側梁部3から外方に張り出した当接プレート60が作動部52に上から当接することとなる。従って、上側梁部3そのものを作動部52に当接させる場合と比較して、外方に張り出した当接プレート60を作動部52に当接させることによって各アーム部50をより確実且つスムーズに回動させることができる。更に、各アーム部50の回動終了後に各アーム部50が外側に倒れようとしても、各作動部52が当接プレート60に引っ掛かるので、一対のアーム部50は上側梁部3から外れにくくなっている。
【0039】
また、接合構造1では、各アーム部50が内側に向かって回動するときに、各アーム部50の掛け止め部53は、内方に移動して掛け止め突起70の内側に位置した状態となる。従って、この状態で上側梁部3に引っ張り力が働いても、上側梁部3の掛け止め突起70と掛け止め部53の掛け止め突起53Bとが引っ掛かった状態が維持されると共に掛け止め突起70と掛け止め部53との接触圧が高くなるだけなので、これらの掛け止め突起53B,70によって下側梁部2から上側梁部3が外れにくくなっている。
【0040】
また、各アーム部50の下端に設けられた揺動規制部57の出没部57bは、各アーム部50が外側に倒れた状態ではベースプレート40の表面に当接し、各アーム部50の回動時にベースプレート40上を摺接すると共に、各アーム部50の回動終了時にはベースプレート40から外れて水平方向に突出する。よって、回動終了後にアーム部50に対して外側に倒れようとする力が働いても、水平方向に突出した出没部57bがベースプレート40の切り欠き部41Bに横から当接して各アーム部50の揺動が阻止されるので、各アーム部50が再度外側に倒れることはない。従って、一対のアーム部50によって上側梁部3をより強固に保持することができる。
【0041】
また、接合構造1では、一端がアーム部50の張出板56に連結され他端がベースプレート40の張出板42に連結されたバンド部材25によって、各アーム部50を外側に倒した状態で維持させている。このバンド部材25は、上側梁部3を降ろして各アーム部50が内側に回動するときに破断するので、下側梁部2に対する上側梁部3の接合時にアーム部50を確実に回動させることができる。
【0042】
更に、接合構造1では、軸ピン24が簡単にアーム本体部51とベースプレート40から外せるようになっているので、下側梁部2と上側梁部3との接合後においても人手でアーム部50とベースプレート40とを簡単に分解することができる。よって、現場に搬入する前に別の場所で下側梁部2と上側梁部3の接合確認を行って、その後軸ピン24を抜いてアーム部50をベースプレート40から外すことで下側梁部2と上側梁部3の接合を人手で解除することもできる。
【0043】
また、図7図9に示されるように、各アーム部50の回動終了後に、掛け止め部53の連結具装着孔53Aにアーム部連結具80を装着することで、接合後の上側梁部3をより強固に保持することができる。アーム部連結具80は、一方の連結具装着孔53Aに挿入される略円筒状の挿入部91が固定されたベース部90と、他方の連結具装着孔53Aに挿入される略円筒状の挿入部92が固定されベース部90にスライド移動自在に支持されるスライド部93と、アーム部連結具80を持ち上げるための取っ手部94と、を備えている。
【0044】
スライド部93における挿入部92の先端部には、挿入部92内で軸部96を中心として揺動自在に支持されると共に挿入部92のスリット95から外方に出没する出没部92Aと、挿入部92内で軸部96に巻き付けられると共に出没部92Aを挿入部92から突出させる方向に付勢するバネ92Bと、が設けられている。出没部92Aは、スリット95に対して略垂直な方向に延在する鉛直面92aと、鉛直面92aから挿入部92の先端に向かうに従って高さが低くなるように傾斜する傾斜面92bと、を有している。同様の鉛直面91a及び傾斜面91bを有する出没部91Aは、ベース部90における挿入部91の先端部にも設けられている。
【0045】
以上のように構成されるアーム部連結具80において、ベース部90に固定された挿入部91を一方の連結具装着孔53Aに挿入し、スライド部93に固定された挿入部92を他方の連結具装着孔53Aに挿入すると、各出没部91A,92Aが掛け止め部53に当接して各挿入部91,92内に入り込む。そして、更に各挿入部91,92を挿入していくと各出没部91A,92Aが掛け止め部53から外方に出て下方に突出する。この状態でアーム部連結具80をアーム部50から外そうとしても、各出没部91A,92Aの鉛直面91a,92aが掛け止め部53に引っ掛かるので、アーム部連結具80が各アーム部50から外れないようになっている。
【0046】
よって、アーム部連結具80によって簡単に各アーム部50を上側梁部3の上方で連結させられると共に、アーム部連結具80は各アーム部50から外れないのでアーム部50による上側梁部3の接合を一層強固にすることが可能となる。また、アーム部連結具80において、スライド部93はベース部90に対してスライド移動自在となっているので、各連結具装着孔53Aの位置にばらつきがあったとしても、スライド部93をスライドさせることで確実且つ容易に挿入部91,92を各連結具装着孔53Aに挿入させることができる。
【0047】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0048】
上記実施形態では、上側梁部3に溶接された当接プレート60を作動部52に当接させたが、当接プレート60を省略して上側梁部3自体を作動部52に当接させてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、上側梁部3が掛け止め突起70を有しており、各アーム部50の回動終了時に掛け止め部53が上側梁部3の上面に近接していたが、各アーム部50の回動終了時に掛け止め部53そのものを上側梁部3の上面に当接させてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、バンド部材25がナイロン製で各アーム部50の回動時に破断するものであったが、バンド部材25の材料は、各アーム部50の回動時に延びるように変形するものであれば適宜変更可能である。また、バンド部材25は、各アーム部50の回動時に破断しなくてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、回動終了後に各アーム部50をアーム部連結具80で連結していたが、アーム部連結具80の構成は適宜変更してもよい。更に、アーム部連結具80を用いなくてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、下側梁部2と上側梁部3がH形鋼であったが、梁部の種類は上記に限定されない。本発明は、種々の梁部に応用することが可能であり、例えば、柱が連結された梁部同士を接合する際にも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…接合構造、2…下側梁部、3…上側梁部、25…バンド部材(アーム部保持手段)、40…ベースプレート、50…アーム部、52…作動部、53…掛け止め部、53B…掛け止め突起、53a…頂面、57…揺動規制部、60…当接プレート、70…掛け止め突起、71b…頂面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9