【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成25年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「固体酸化物型燃料電池を用いた事業用発電システム要素技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料電池から排出された前記燃料ガスと、前記燃料電池から排出された空気の一部とを燃焼させる第2燃焼器を備え、前記第2燃焼器で発生する燃焼ガスが前記蒸気発生部に供給される請求項1に記載のコンバインド発電システム。
前記第2燃焼器が前記ガスタービンから排出される前記排ガスを受け入れ、前記第2燃焼器が、前記燃料電池から排出された前記燃料ガスの一部と、前記燃料電池から排出された空気の一部と、前記ガスタービンから排出される前記排ガスとを燃焼させる請求項2に記載のコンバインド発電システム。
前記燃料電池から前記第1燃焼器に燃料を供給できない場合に、前記燃料電池からの前記燃料ガスを第2燃焼器に供給し、前記第2燃焼器で前記燃料電池から排出された燃料と、前記燃料電池から排出された空気の一部とを燃焼させ、前記第2燃焼器で発生する燃焼ガスを前記蒸気発生部に供給する請求項5に記載のコンバインド発電システムの運転方法。
前記第2燃焼器で、前記燃料電池から排出された前記燃料ガスの一部と、前記燃料電池から排出された空気の一部と、前記ガスタービンから排出される前記排ガスとを燃焼させる請求項6に記載のコンバインド発電システムの運転方法。
前記蒸気発生部において発生した水蒸気、または、水より沸点が低い液体の蒸気が前記蒸気タービンに送給される請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のコンバインド発電システムの運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスタービンは、負荷変動に伴ってガスタービンの圧縮機から吐出される空気の流量及び圧力が変動する。このため、特許文献1に例示されるコンバインド発電システムにおいて、燃料電池はガスタービンの負荷変動の影響を受けることになる。
【0005】
しかしながら、燃料電池は供給空気の流量及び圧力の変動に対する追従性が悪い。例えば、ガスタービンの圧縮機からの吐出空気量が増加する場合は、所望の発電量に対して余剰の空気が供給されることになり効率が悪くなるし、燃料電池内のセルが空気により冷却されるために発電による発熱量とのバランスを図ることが困難となり運転制御性が悪化する。また、空気の供給量が低下した場合には、所望の発電量に対して空気流量が不足することで発電性能の低下や発電による発熱量とのバランスを図ることが困難となり運転制御性が悪化する。また圧力が変化した場合には、燃料電池燃料側との圧力差により燃料電池セルが破損する恐れが生じる。
【0006】
一方、供給空気の流量及び圧力の変動が燃料電池に与える影響を小さくするには、ガスタービンの負荷変化速度を遅くするなどの対策が考えられる。しかしながら、早い負荷変化に対応することができるというガスタービンの特性を犠牲にすることになるため、有効な対策ではないと考えられていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、燃料電池がガスタービンの運転状況の影響を受けないコンバインド発電システム及びコンバインド発電システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、燃料電池と、前記燃料電池から排出された燃料ガスを燃焼させる第1燃焼器と、前記第1燃焼器から供給される燃焼ガスによって駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動により空気を圧縮するガスタービン圧縮機とを備えるガスタービンシステムと、前記ガスタービンから排出された排ガスから熱を回収し、回収された前記熱を用いて蒸気を発生させる蒸気発生部と、前記蒸気発生部から供給される蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの駆動により空気を圧縮する蒸気タービン圧縮機とを備える蒸気タービンシステムと、前記ガスタービン圧縮機から排出された空気を前記燃料電池に供給するガスタービン排出空気供給ラインと、前記蒸気タービン圧縮機から排出された空気を前記燃料電池に供給する蒸気タービン排出空気供給ラインと、前記ガスタービン排出空気供給ライン及び前記蒸気タービン排出空気供給ラインに設置され、前記燃料電池への空気の供給源を、前記ガスタービン圧縮機と前記蒸気タービン圧縮機との間で切り替える切替え部とを備えるコンバインド発電システムである。
【0009】
本発明の第2の態様は、燃料電池と、前記燃料電池から排出された燃料ガスの一部を燃焼させる第1燃焼器と、前記第1燃焼器から供給される燃焼ガスによって駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動により空気を圧縮するガスタービン圧縮機とを備えるガスタービンシステムと、前記ガスタービンから排出された排ガスから熱を回収し、回収された前記熱を用いて蒸気を発生させる蒸気発生部と、前記蒸気発生部から供給される蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの駆動により空気を圧縮する蒸気タービン圧縮機とを備える蒸気タービンシステムと、前記ガスタービン圧縮機から排出された空気の一部を前記燃料電池に供給するガスタービン排出空気供給ラインと、前記蒸気タービン圧縮機から排出された空気を前記燃料電池に供給する蒸気タービン排出空気供給ラインと、前記ガスタービン排出空気供給ライン及び前記蒸気タービン排出空気供給ラインに設置される切替え部とを備えるコンバインド発電システムの運転方法であって、前記切替え部が、前記ガスタービンが負荷変動運転する場合に、前記ガスタービン圧縮機からの空気の供給を遮断するとともに前記蒸気タービン圧縮機からの空気を前記燃料電池に供給させ、前記ガスタービンが安定負荷運転する場合に、前記ガスタービン圧縮機からの空気を前記燃料電池に供給させるコンバインド発電システムの運転方法である。
【0010】
本発明では、ガスタービンが負荷変動運転するときの燃料電池の空気を、蒸気タービンシステムから供給する。こうすることで、ガスタービンの負荷変動の影響が燃料電池に及ぶことを防止し、燃料電池を安定して運転させることができる。
【0011】
第1の態様において、前記燃料電池から排出された前記燃料ガスと、前記燃料電池から排出された空気の一部とを燃焼させる第2燃焼器を備え、前記第2燃焼器で発生する燃焼ガスが前記蒸気発生部に供給される。
この場合、前記第2燃焼器が前記ガスタービンから排出される前記排ガスを受け入れ、前記第2燃焼器が、前記燃料電池から排出された前記燃料ガスの一部と、前記燃料電池から排出された空気の一部と、前記ガスタービンから排出される前記排ガスとを燃焼させることが好ましい。
【0012】
第2の態様において、前記燃料電池から前記第1燃焼器に燃料を供給できない場合に、前記燃料電池からの前記燃料ガスを第2燃焼器に供給し、前記第2燃焼器で前記燃料電池から排出された燃料と、前記燃料電池から排出された空気の一部とを燃焼させ、前記第2燃焼器で発生する燃焼ガスを前記蒸気発生
部に供給する。
この場合、前記第2燃焼器で、前記燃料電池から排出された前記燃料ガスの一部と、前記燃料電池から排出された空気の一部と、前記ガスタービンから排出される前記排ガスとを燃焼させる。
【0013】
本発明では、蒸気タービンの動力源となる蒸気を、燃料電池から排出された燃料で発生するガスを熱源として発生させている。更には、ガスタービンから排出される排ガスも熱源発生に利用する。このため本発明は、熱効率が高い運転を行うことができるという効果を奏する。
【0014】
第1の態様において、前記蒸気発生部が、水蒸気、または、水より沸点が低い液体の蒸気を発生させることが好ましい。第2の態様において、前記蒸気発生部において発生した水蒸気、または、水より沸点が低い液体の蒸気が前記蒸気タービンに送給されることが好ましい。
本態様に依れば、発生した蒸気をコンバインド発電システム内の蒸気タービンの駆動に利用するので、システムのエネルギー効率を向上させることができる。特に水より沸点が低い液体の上記を利用することは、より低温側の熱を回収することに繋がるので、エネルギー効率が更に向上するので有利である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に依れば、ガスタービンの負荷変動の影響が燃料電池に及ぶことを防止することができる。ガスタービンを速い負荷応答で運転することが可能であり、ガスタービンの運転状況に依らずに燃料電池の運転制御を行うことが可能となる。この結果、高効率で安定した発電を実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンバインド発電システムの概略図である。コンバインド発電システム1は、発電設備として燃料電池10、ガスタービンシステム20及び蒸気タービンシステム30を有する。
【0018】
燃料電池10は、例えば固体電解質形燃料電池(SOFC)である。SOFCは、圧力容器と、圧力容器の内部に収容されているSOFC本体とから構成されている。燃料電池10には、燃料電池10の燃料極側に燃料ガスを供給する燃料系統と、燃料電池の空気極側に酸化ガスとしての空気を供給する空気系統とが接続する。本実施形態において、燃料ガスは例えば都市ガス等である。
燃料電池10には図示されない発電機が接続されている。
【0019】
SOFC本体は特に限定されるものではないが、例えば複数の円筒型のセラミックス製の燃料電池セル管を備える。セル管は、基体管の外表面に複数のセルが軸線方向に並べられて形成された構成である。セルは、基体管側から燃料極膜、固体電解質膜及び空気極膜が積層されて構成され、隣接するセル間はインターコネクタで電気的に接続される。円筒型のSOFC本体の場合、基体管内側が燃料極側に相当し、基体管外側が空気極側に相当する。燃料ガスが基体管内側を流通し、酸素を含む酸化剤ガスが基体管外側を流通する。
【0020】
ガスタービンシステム20は、燃料ガスを燃焼させる燃焼器(第1燃焼器)21と、燃焼器21から供給される燃焼ガスによって駆動するガスタービン22と、ガスタービン22の駆動により空気を圧縮する圧縮機(ガスタービン圧縮機)23とを備える。ガスタービン22と圧縮機23とは軸24により結合される。ガスタービン22には、タービンの回転力によって駆動する発電機(不図示)が結合される。
【0021】
ガスタービン22のガス下流側に、蒸気発生部が設けられる。本実施形態では、蒸気発生部は排ガスボイラ40である。排ガスボイラ40は、蒸気タービンシステム30の蒸気タービン31と連絡する。
【0022】
蒸気タービンシステム30は、蒸気発生部で発生した蒸気により駆動する蒸気タービン31と、蒸気タービンの駆動により空気を圧縮する圧縮機(蒸気タービン圧縮機)32とを備える。蒸気タービン31と圧縮機32とは軸33により結合される。蒸気タービン31には、タービンの回転力によって駆動する発電機(不図示)が結合される。
なお、本実施形態の蒸気タービンシステム30は、蒸気タービン31と圧縮機32の接続が切り離せる構造としてもよい。
更には、蒸気タービン31と圧縮機32の間に、変速機が設置される、または、発電機と接続した蒸気タービンが別に設置されるなどの構成としてもよい。このような構成では、発電機の回転数維持と、圧縮機32の回転数変化による送風能力変化を両立できる。
【0023】
燃料系統は、燃料ガス源50から燃料電池10の燃料極側に燃料ガスを供給する燃料ガス供給ラインL1と、燃料電池10の燃料極側から排出された燃料ガスを燃焼器21に導く第1燃料ガス排出ラインL2とを備える。燃料ガス供給ラインL1には、燃料ガス源50から燃料電池10に供給する燃料ガスの流量を調整する流量調整弁51が設置される。第1燃料ガス排出ラインL2には、燃料ガスを燃焼器21に押し込むための昇圧ブロア52が設けられる。昇圧ブロア52の下流に、燃焼器21へ供給する燃料ガスの流量を調整する流量調整弁53が設置される。
【0024】
燃料系統は、第1燃料ガス排出ラインL2の中途位置から分岐して燃料ガス供給ラインL1へと合流する燃料ガス再循環ラインL3を備える。燃料ガス再循環ラインL3には、燃料ガスを燃料ガス供給ラインL1に押し込むための再循環ブロア54が設けられる。
燃料系統は、図示しない燃料ガス源から燃焼器21に補助燃料ガスを供給する補助燃料ガス供給経路L4を備える。
【0025】
コンバインド発電システム1は、蒸気発生
部(
図1では排ガスボイラ40)のガス上流側に、燃焼器(第2燃焼器)70を備える。燃料系統は、第1燃料ガス排出ラインL2の中途位置で分岐する第2燃料ガス排出ラインL5を有し、第2燃料ガス排出ラインL5は燃焼器70に接続する。燃料電池10から排出された燃料ガスの一部が、第2燃料ガス排出ラインL5を通じて燃焼器70に供給される。第2燃料ガス排出ラインL5には、燃焼器70へ供給する燃料ガスの流量を調整する流量調整弁55が設置される。
【0026】
空気系統は、燃料電池10の空気極側に空気を供給する燃料電池空気供給ラインL6と、燃料電池10の空気極側から排出された空気をガスタービンシステム20の燃焼器21に導く第1燃料電池空気排出ラインL7とを備える。
図1において、第1燃料電池空気排出ラインL7は符号Bで繋がっている。第1燃料電池空気排出ラインL7には、燃料電池10から燃焼器21に供給する空気の流量を調整する流量調整弁56が設置される。
【0027】
空気系統は、燃料電池10の空気極側から排出された空気の一部を燃焼器70に供給する第2燃料電池空気排出ラインL8を備える。第2燃料電池空気排出ラインL8には、燃料電池10から燃焼器70に供給する空気の流量を調整する流量調整弁57が設置される。
【0028】
空気系統は、ガスタービンシステム20の圧縮機23に空気を供給する空気供給ラインL9と、圧縮機23から排出される空気を燃料電池10の空気極側に導くガスタービン排出空気供給ラインL10とを備える。ガスタービン排出空気供給ラインL10は符号Aで繋がっており、端部は燃料電池空気供給ラインL6に結合する。ガスタービン排出空気供給ラインL10の途中に昇圧ブロア58が設置される。
【0029】
ガスタービン排出空気供給ラインL10は中途位置で分岐し、ガスタービン排出空気供給ラインL10に補助空気供給ラインL11が接続しても良い。補助空気供給ラインL11が設置される場合は、補助空気供給ラインL11の途中位置で第1燃料電池空気排出ラインL7が合流する。補助空気供給ラインL11にガスタービンシステム20の圧縮機23から燃焼器21に供給する補助空気の流量を調整する流量調整弁59が設置されても良い。
【0030】
空気系統は、蒸気タービンシステム30の圧縮機32に空気を供給する空気供給ラインL12と、圧縮機32から排出される空気を燃料電池10の空気極側に導く蒸気タービン排出空気供給ラインL13とを備える。蒸気タービン排出空気供給ラインL13の端部は、燃料電池空気供給ラインL6に結合する。
【0031】
コンバインド発電システム1は、ガスタービン排出空気供給ラインL10及び蒸気タービン排出空気供給ラインL13に、燃料電池への空気の供給源をガスタービンシステム20または蒸気タービンシステム30に切り替える切替え部60を備える。切替え部60は、ガスタービン排出空気供給ラインL10の昇圧ブロア58の下流側の中途位置に、ガスタービンシステム20の圧縮機23から供給する空気の流量を調整する供給空気流量調整弁61を備える。切替え部60は、蒸気タービン排出空気供給ラインL13の中途位置に、蒸気タービンシステム30の圧縮機32から供給する空気の流量を調整する供給空気流量調整弁62を備える。供給空気流量調整弁61,62は、それぞれ図示しない制御部に接続する。
【0032】
燃料電池10に供給する空気を昇温する必要がある場合には、燃料電池空気供給ラインL6の中途位置に、熱交換器または燃焼器を設置することができる。熱交換器が設置される場合は、燃料電池空気供給ラインL6を流通する空気は、燃料電池本体から排出される空気(第1燃料電池空気排出ラインL7または第2燃料電池空気排出ラインL8を流通する空気)、または、第1燃料ガス排出ラインL2を流通する燃料ガスと熱交換する。
【0033】
図1のコンバインド発電システム1では、ガスタービン22から排出された燃焼ガスは、燃焼ガス搬送ラインL15を通じて燃焼器70に導かれる。燃焼器70は、燃焼器70で発生する排ガスをコンバインド発電システム1の系外に排出する排ガス排出ラインL14に接続する。
図1のコンバインド発電システム1では、排ガス排出ラインL14の中途経路に排ガスボイラ40が設置される。
【0034】
排ガスボイラ40と蒸気タービン31とは、上記搬送ラインL16により結合される。
図1において、上記搬送ラインL16は符号Cで繋がっている。
【0035】
図1のコンバインド発電システム1を用いて、本実施形態に係るコンバインド発電システムの運転方法を以下に説明する。
まず、ガスタービン22が安定負荷運転を行っている場合を説明する。
安定負荷運転時おけるガスタービンシステムの出力電力に応じた負荷と、燃料電池の出力に応じた負荷とから、発電に必要な燃料ガス量及び空気量が決定される。決定された燃料ガス量を供給するように、燃料ガス源50から燃料ガス供給ラインL1を介して燃料ガスが燃料電池10に供給される。
【0036】
切替え部60の制御部は供給空気流量調整弁61を開放する。空気供給ラインL9を通じて圧縮機23に吸い込まれた空気は、圧縮機23で圧縮された後に、ガスタービン排出空気供給ラインL10を通じて燃料電池10に導かれる。切替え部60は、供給空気流量調整弁61の開度を調整して、ガスタービン排出空気供給ラインL9及び燃料電池空気供給ラインL6を介して、所定量の空気を燃料電池10に供給する。この時、切替え部60の制御部は供給空気流量調整弁62を閉鎖して、蒸気タービンシステム30からの空気の供給を遮断する。または、必要により供給空気流量調整弁62を開放し、蒸気タービンシステム30からの空気を追加投入してもよい。
所定量の燃料ガス及び空気が導かれた燃料電池10内で、発電が行われる。
【0037】
燃料ガス排出ラインL2の流量調整弁53が開放されている。反応を終えた燃料ガスは、未反応の燃料ガスとともに燃料ガス排出ラインL2を介して燃料電池10から排出される。排出燃料ガスの一部は再循環ラインL3を介して燃料電池10に送給されて、燃料電池10での発電に再利用される。残りの燃料ガスは燃焼器21に導かれる。なお、第2燃料ガス排出ラインL5の流量調整弁55は閉鎖する。または、必要により流量調整弁55を開放し、燃焼器21に導かれる燃料ガスの一部を燃焼器70側へ供給しても良い。
【0038】
反応を終えた空気の一部は、第1燃料電池空気排出ラインL7を介して燃焼器21に導かれる。この時、流量調整弁56が燃焼器21に導かれる空気の流量を調整する。
【0039】
燃焼器21において、排出燃料ガスは、補助燃料ガス供給ラインL4から導かれた補助燃料ガスとともに、第1燃料電池空気排出ラインL7から導かれた排出空気とが燃焼し、燃焼ガスが発生する。
【0040】
燃焼器21で発生した高温高圧の燃焼ガスは、ガスタービン22へと導かれ、ガスタービン22を回転駆動する。このガスタービン22の回転駆動により、図示しない発電機が駆動されて発電が行われる。ガスタービン22の回転駆動は軸24を介して圧縮機23に伝えられる。これにより圧縮機23が駆動して空気の圧縮が行われる。
ガスタービン22から排出された燃焼ガスは、燃焼ガス搬送ラインL15を介して燃焼器70に導かれる。
【0041】
燃料電池10での反応を終えた空気の残りは、第2燃料電池空気排出ラインL8を介して燃焼器70に導かれる。
【0042】
燃焼器70において、燃焼ガスと空気とが燃焼し、排ガスが発生する。発生した排ガスは排ガス排出ラインL14を通じて排ガスボイラ40に送給される。
排ガスボイラ40において、排ガスボイラ40内を流通する復水と排ガスとの間で熱交換が行われる。
熱交換後の排ガスは、排ガス排出ラインL14を通じて図示しない煙突からコンバインド発電システム1の系外に排出される。排ガスボイラ40で加熱された復水は蒸気となり、上記搬送ラインL16を通じて蒸気タービン31へと導かれる。
【0043】
排ガスボイラ40で発生した蒸気は、蒸気タービン31を回転駆動する。この蒸気タービン31の回転駆動により、図示しない発電機が駆動されて発電が行われる。蒸気タービン31から排出された蒸気は、図示されない復水器に導かれる。復水器で蒸気が冷却されて復水にされた後、排ガスボイラ40に再度供給される。
【0044】
蒸気タービン31の回転駆動は軸33を介して圧縮機32に伝えられる。これにより、圧縮機32が駆動して空気の圧縮が行われる。ガスタービン22の安定負荷運転時では、蒸気タービンシステム30の圧縮機32で発生した圧縮空気は、図示しない経路から排出される。また、蒸気タービンシステム30の蒸気タービン31と圧縮機32が切り離せる構造としている場合は、圧縮機を切り離してもよい。また、発電機と接続した蒸気タービンを別に設置している場合は、蒸気タービンシステム30への蒸気供給を停止しても良い。
【0045】
次に、ガスタービン22が負荷変動運転に移行した場合を説明する。
ガスタービン22が負荷変動運転に移行すると、ガスタービン22から燃料電池10に送給される空気の流量が変動する。切替え部60の制御部は、ガスタービン22が負荷変動運転となったと判断した場合、供給空気流量調整弁61を閉鎖し、ガスタービンシステム20の圧縮機23からの空気の供給を遮断する。この場合、ガスタービン22の圧縮機23で圧縮された空気は、燃料電池10を経由せず、補助空気供給ラインL11を経由して燃焼器21に供給される。
【0046】
切替え部60の制御部は、ガスタービン22から燃料電池10への空気供給を遮断するのと同時に、供給空気流量調整弁62を開放する。これにより、蒸気タービンシステム30で発生する圧縮空気が、蒸気タービン排出空気供給ラインL13及び燃料電池空気供給ラインL6を介して燃料電池10に導かれる。切替え部60の制御部は、供給空気流量調整弁62の開度を調整し、所定量の空気を燃料電池10に送給する。
【0047】
以上のように、ガスタービン22の負荷変動運転時には蒸気タービン31から空気を燃料電池10に送給することにより、燃料電池10は安定した運転を継続する。
【0048】
負荷変動運転時では、ガスタービン22内の圧力が変動する。ガスタービン22内の圧力が燃料電池10内よりも低ければ、燃料電池10からの燃料ガスを燃焼器21に押し込むことができる。しかし、ガスタービン22内の圧力が上昇すると、昇圧ブロア52を用いても燃料ガスを燃焼器21に押し込むことができる範囲を超える場合がある。この場合は、第1燃料ガス排出ラインL2の流量調整弁53が閉鎖され、第2燃料ガス排出ラインL5の流量調整弁55が開放される。燃料電池10から排出された燃料ガスは、第2燃料ガス排出ラインL2を通じて燃焼器70に導かれる。ガスタービン22は、補助燃料ガス供給ラインL4から導かれた補助燃料ガスにより運転が継続される。
【0049】
空気側も同様に、ガスタービン22内の圧力が上昇した場合、燃料電池10から排出される空気を燃焼器21に押し込むことが出来なくなる。この場合は、第1燃料電池空気排出ラインL7の流量調整弁56が閉鎖され、燃料電池10から排出される空気の全量が第2燃料電池空気排出ラインL8を介して燃焼器70に導かれる。
【0050】
燃焼器70において、燃料電池10から送給される空気を用いて、ガスタービン22の燃焼ガス及び燃料電池10からの燃料ガスが燃焼される。燃焼器70の排ガスが排ガスボイラ40に導かれ、燃焼により生じた熱が回収される。
【0051】
ガスタービン22が負荷変動運転から安定負荷運転に移行すると、切替え部60の制御部は供給空気流量調整弁62を閉鎖するとともに供給空気流量調整弁61を開放する。これにより、ガスタービン22の圧縮機23から燃料電池10への空気の供給を開始する。
【0052】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係るコンバインド発電システムの概略図である。
図2において、
図1と同じ構成には同じ符号を付す。
【0053】
第2実施形態のコンバインド発電システム101では、ガスタービン22から排出された燃焼ガスが、排ガス排出ラインL14の中途位置で合流する。すなわち、ガスタービン22から排出された燃料ガスは、燃焼器70に導かれることなく、直接排ガスボイラ40に供給される。
【0054】
図2のコンバインド発電システム101を用いて運転する場合は、燃焼器70において燃料電池10から排出された燃料ガスと空気とが燃焼する。燃焼器70で発生した排ガスは、排ガス排出ラインL14の中途位置でガスタービン22の燃焼ガスと合流し、排ガスボイラ40に送給される。それ以外の工程は、第1実施形態と同じである。
【0055】
[第3実施形態]
図3は、本発明の第3実施形態に係るコンバインド発電システムの概略図である。
図3において、
図1と同じ構成には同じ符号を付す。
【0056】
コンバインド発電システム201は、燃料ガス再循環ラインL3の再循環ブロア54の下流側において、燃料ガス再循環ラインL3と第1燃料ガス排出ラインL2とが分岐しており、第1燃料ガス排出ラインL2に昇圧ブロアが設置されていない。それ以外は、
図1のコンバインド発電システム1と同じ構成である。
【0057】
第2実施形態に係るコンバインド発電システム201では、再循環ブロア54が燃料ガス再循環ラインL3を通過する燃料ガスの圧力を、燃料ガス供給ラインL1に押し込むとともに、燃焼器21に押し込むことができる圧力まで上昇させる役割を担う。再循環ブロア54が燃料ガスを十分に昇圧することができれば、
図1における昇圧ブロアが必要なくなるため、装置構成が容易となる。
【0058】
[第4実施形態]
図4は、本発明の第4実施形態に係るコンバインド発電システムの概略図である。
図4において、
図1と同じ構成には同じ符号を付す。
【0059】
第4実施形態のコンバインド発電システム301は、排ガスボイラ40の下流側の排ガス排出ラインL14に蒸気発生部として蒸発器80が設置される。蒸発器80は、蒸気タービンシステム30の蒸気タービン31と連絡する。また、燃焼器70の設置位置は排ガスボイラ40の出口側、蒸発器80の入り口としても良い。なお、排ガスボイラ40は、系外の別の装置と連絡する。
【0060】
蒸発器80は、水より低い沸点を有する液体が内部を流通する。水より低い融点を有する液体とは、例えば炭化水素系媒体や、フロン系媒体である。
【0061】
第4実施形態のコンバインド発電システム301では、排ガスボイラ40で熱回収された後に、蒸発器80で排ガスと上記液体との間で熱交換が行われる。蒸発器80での熱交換で発生した蒸気が、上記搬送ラインL17を介して蒸気タービン31へと導かれる。蒸発器80で発生した蒸気は、蒸気タービン31を回転駆動する。蒸気タービン31から排出された蒸気は、冷却器81で冷却されて液体にされた後、蒸発器80に再度供給される。
【0062】
第4実施形態のコンバインド発電システムの運転方法は、蒸気タービン31が水より沸点が低い液体の上記により駆動される以外は、第1実施形態と同じである。
【0063】
本実施形態によれば、排ガスボイラで回収できない低温側の熱を回収し、コンバインド発電システム内の蒸気タービンの駆動に利用するので、システムのエネルギー効率を向上させることができる。