(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性特性を有する材料と、熱可塑性特性を有する材料の少なくとも一部をin situで液化するために縫合アンカーに伝達されるエネルギとを用いて、縫合アンカー(2)を硬組織開口内に固着するための装置であって:
遠位ツール面(10)と、遠位ツール面(10)にある遠位口を有する軸方向チャネル(11)とを含むツール(1)と、
ツール(1)の軸方向チャネル(11)に嵌合する実質的に管状のインターフェイス片(3)とを備え、
軸方向チャネル(11)およびインターフェイス片(3)には引っ掛かりエレメント(12および12′)が具備され、インターフェイス片(3)が軸方向チャネル(11)内において近位方向に動かされた場合、引っ掛かりエレメントはインターフェイス片(3)の近位端を軸方向チャネル(11)内に引っ掛けるよう協働する、装置。
ツール(1)は、軸方向チャネル(11)内において、インターフェイス片(3)の近位方向の動きを制限できるストップ(13)と、遠位方向においてストップ(13)に隣接して、半径方向において軸方向チャネル(11)を視覚的に確認することができる確認部とをさらに含む、請求項1から2のいずれか1項に記載の装置。
ツール(1)はロッド部(71)と結合部(72)とを含み、ロッド部(71)の近位端は結合部(72)の軸方向ボア内に固定され、結合部(72)は振動エネルギの源に結合できるようボルト(73)を含む、請求項6または7に記載の装置。
縫合アンカー(2)および縫合糸(4)をさらに備え、縫合アンカー(2)はアンカー脚(22)および熱可塑性スリーブ(23)を含み、アンカー脚(22)はチャネルおよび/または溝を含み、縫合糸(4)はループの形で延在し、熱可塑性スリーブ(23)は、熱可塑性特性を有する材料を含み、かつツール(1)の遠位面(10)とアンカー脚(22)の近位面との間にあり、インターフェイス片(3)はアンカー脚(22)から熱可塑性スリーブ(23)を通って軸方向チャネル(11)内に延在し、縫合糸(4)の端部はアンカー脚(22)からインターフェイス片(3)を通って延在し、アンカー脚(22)、熱可塑性スリーブ(23)およびインターフェイス片(3)は、縫合糸(4)の端部がより近位位置に保持されることにより、および/またはインターフェイス片(3)がツール(1)の軸方向チャネル(11)内で引っ掛かることにより、ツール(1)の遠位端に対して保持される、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
引っ掛かりエレメント(12および12′)は、熱可塑性スリーブが最初の軸方向長さを有する場合に、または熱可塑性スリーブが熱可塑性材を有する材料の液化により短くなった場合にのみ、インターフェイス片(3)を軸方向チャネル(11)内で引っ掛けることができるよう配置される、請求項9から11のいずれか1項に記載の装置。
エネルギ源(50)と、縫合糸(4)の端部を固着するための、縫合糸を真っ直ぐにするまたは引っ張るための、および縫合糸(4)を用いてアンカー脚(22)を動かすための、手段とをさらに備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
固着するための、真っ直ぐにするまたは引っ張るための、および動かすための前記手段は、クランピングアーム(53)および引っ張りアーム(54)を有するレバーシステム(52)を含み、クランピングアームは枢支運動する態様でハウジング(51)に、エネルギ源(50)に、またはツール(1)に装着され、引っ張りアーム(54)は連接する態様でクランピングアーム(53)の自由端に接続され、さらに、レバーシステム(52)に対して縫合糸(4)の端部を固定するための手段、ならびにクランピングアーム(53)および引っ張りアーム(54)をクランピング位置に係止するための係止手段を含む、請求項13に記載の装置。
請求項9から14のいずれか1項に記載の装置を使用して、熱可塑性特性を有する材料と、熱可塑性特性を有する材料の少なくとも一部をin situで液化するために縫合アンカーに伝達されるエネルギとを用いて、縫合アンカー(2)を人間以外の動物の硬組織開口内に固着するための方法であって、
縫合アンカー(2)の断面よりもわずかに大きい断面を有する硬組織開口(5)を設けるステップと、
ツール(1)の近位端をエネルギ源(50)に結合するステップと、
縫合糸(4)の端部を近位方向に引っ張ることにより、縫合糸を真っ直ぐにするまたは引っ張るステップと、
ツール(1)の遠位面(10)が硬組織開口(5)内に位置づけられるよう、装置の遠位部を硬組織開口(5)内に位置づけるステップと、
エネルギ源(50)を起動させ、それにより熱可塑性特性を有する材料の液化を開始するステップと、
熱可塑性スリーブ(23)の少なくとも一部を液化するのに十分な時間の間、エネルギ源(50)を起動状態に保ち、かつ熱可塑性スリーブ(23)がさらなる液化により短くなるにつれ、真っ直ぐにまたは引っ張られた状態で保たれる縫合糸(4)を用いて、アンカー脚(22)をツール(1)に対して近位方向に動かすステップと、
エネルギ源(50)を不活性化させ、縫合糸(4)の端部を解放するステップと、
ツール(1)の遠位端を、ツール(1)の軸方向チャネル(11)内に引っ掛かっているインターフェイス片(3)とともに、硬組織開口(5)から外すステップとを含む、方法。
前記位置づけるステップにおいて、ツール(1)の遠位面は硬組織開口(5)内に位置づけられ、ツール(1)の遠位面および/または熱可塑性スリーブ(23)は、熱可塑性スリーブ(23)の近位面で液化が始まるよう設計されている、請求項15に記載の方法。
インターフェイス片(3)の近位端が軸方向チャネル(11)内に配置されるストップ(13)に当接したとき、もしくは軸方向チャネル(11)内の所定の位置に達したとき、または熱可塑性スリーブ(23)が完全に液化されたとき、または縫合糸の引っ張りが所定の上限に達したとき、前記保ちかつ動かすステップは終了する、請求項15から17のいずれか1項に記載の方法。
前記位置づけるステップにおいて、ツール(1)の遠位面は、皮質性骨層(7)の厚さとほぼ対応する深さに位置づけられる、または骨プレート(41)を越えて位置づけられ、前記保ちかつ動かすステップの際この位置に保持され、熱可塑性特性を有する材料は液化されて再固化した後、皮質性骨層(7)の下の海綿骨組織(8)内にアンカレッジ(40)を形成、または皮質性骨層(7)の下の空洞内にもしくは骨プレート(41)を越えたところでボタン(44)を形成し、ボタンの断面は開口(5)の断面よりも大きい、請求項15から19のいずれか1項に記載の方法。
係止エレメントを、アンカー脚(22)にまたは熱可塑性スリーブ(23)の残りの部分に、固定することにより、硬組織内に固定される縫合アンカー(2)に対して縫合糸(4)を係止するステップをさらに備える、請求項15から20のいずれか1項に記載の方法。
係止エレメントは、振動エネルギを用いて、チャネルおよび/または溝のチャネルに、または熱可塑性スリーブ(23)の残りの部分に、溶着される係止プラグ(35)である、請求項21に記載の方法。
縫合糸は縫合アンカー(2)を固着するために用いられる補助縫合糸であり、さらなる縫合糸は、補助縫合糸を用いてアンカー脚(22)の中を通され、係止ステップの前に張力がかけられる、請求項21から22のいずれか1項に記載の方法。
保護スリーブ(36)を熱可塑性スリーブ(23)の残りの部分に固定することにより、硬組織開口(5)の入り口のエッジを保護するステップをさらに備える、請求項15から20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
一般に、本発明の目的は、縫合アンカーを、およびそれに伴って縫合糸を硬組織に固着するためのさらなる装置および方法をもたらすことであり、縫合アンカーを用いて硬組織に固着される縫合糸は特に軟組織を硬組織に装着するのに適し、硬組織は特にヒトまたは動物の患者の骨組織であり、当該方法は、熱可塑性特性を有する材料をin situで液化し、液化した材料を硬組織と接触させるステップを含む。縫合アンカーは、液化材料を開口の硬組織壁内に浸透させることにより、硬組織開口内に固着される、または開口を越えて、すなわち硬組織層のアクセスできない側に(半径方向に流れる)液化材料の延在によって、場合によっては硬組織層のアクセスできない側の硬組織面に対する浸透と組み合わせて、硬組織開口を越えて固着される。再固化されると、硬組織に浸透した材料は、硬組織とアンカーとの間に正嵌合をなす、および/または硬組織開口を越えて広がった材料は、開口を通過できない本体をなす。同じ目的のための従来の方法および装置と比べて、本発明による改良は特に方法および装置の簡易性に関する。
【0008】
特に、本発明の目的は、縫合アンカーを、ヒトまたは動物の患者の骨組織の開口内に、または開口を越えて固着するためのさらなる装置および方法をもたらすことであり、縫合アンカーおよび固着は、特に縫合アンカーを用いて固定された縫合糸を、硬組織に固着されたアンカーに対して摺動可能にするのに適する。ここでは、硬組織における縫合アンカーの固着、特に皮質性骨層の下の固着は、熱可塑性特性を有し、in situで液化されて硬組織と接する材料が、特に硬組織の自然穴(骨構造)内に、または硬組織に設けられる適切な構造体または空洞内に浸透して、再固化すると、好ましくはアンカーと硬組織との間に正嵌合をなすことにより、行なわれる。本発明の装置および方法は、従来技術に対する改良、特に装置の安定性および簡易性ならびに準備工程を含む固着処理全体を簡易にする改良に関する。本発明の装置および方法は、特に低侵襲性外科手術に適するが、切開手術にも適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、独立請求項に記載されている装置および方法によって達成される。
本発明の装置および方法は、WO2009/109057に開示されている装置および方法のさらなる展開をなし、その開示はここに引用によりその全体が含まれる。当該装置は、遠位ツール端部に配置された場合に、アンカーに働く横方向の力に対する安定性を向上させることに関し、さらにガイドスリーブを不要にすることにより簡易化される。さらに、熱可塑性特性を有する材料の液化について、容易な機械的制御および場合により視覚的制御のための手段を含み得る。さらに、本発明の装置は、外科医によって操作され、かつ縫合糸の取り扱いを容易にするレバーシステム、すなわち縫合糸を取り付け、引っ張り、および動かすための手段を含み得る。本発明による装置は外科医の片手で容易に操作することができ、外科医はこの手の1本の指でレバーシステムを操作することができる。レバーシステムは、インプランテーション処理を簡易にするだけでなく、インプランテーション処理のために装置を用意するステップも簡易にする。
【0010】
本発明の装置は、エネルギ源に結合するのに適する近位端と、縫合糸を含む縫合アンカーを配置するのに適する遠位端とを有するツールを含む。さらに、当該装置は実質的に管状のインターフェイス片を含み、これはアンカーをツールの遠位端において安定化させる働きをなし、アンカーが硬組織に対して安全に位置づけられ、固着プロシージャの際にはツールと整合したままとなる。インターフェイス片は、固着プロシージャの際には、遠位ツール端の軸方向チャネル内において変位可能であるように、かつツールとともに固着箇所から取り外すことができるよう、設計されている。
【0011】
本装置はさらに縫合糸を有するアンカーと、場合によってはエネルギ源とを含むことができ、アンカーはツールの遠位端に配置され、エネルギ源はツールの近位端に結合される。エネルギ源またはそのハウジングは、上記のレバーシステムを保有することができる。アンカーは、熱可塑性スリーブの形で、熱可塑性特性を有する材料を含み、熱可塑性スリーブは遠位ツール面とアンカー脚との間に保持され、固着処理では、少なくとも部分的に液化され、これは好ましくは遠位ツール面と接する近位面から始まり、液化材は半径方向に流れて、液化箇所の周りにある硬組織もしくはこの硬組織内に設けられる空洞内に浸透する、または硬組織を越えて軟組織内にもしくは空洞を超えて広がる。液化処理の際に熱可塑性スリーブを遠位ツール面と密着したままに保つために、アンカー脚は縫合糸を用いて、ツールに対して近位方向に引っ張られ、これは上記のレバーシステムを用いて、外科医によって有利に行なわれる。
【0012】
インターフェイス片は、熱可塑性スリーブを通って達するよう寸法決めされ、インターフェイス片の遠位端は、アンカー脚と結合可能であるまたは結合され、近位端はツールの軸方向チャネル内に達する。液化処理の際、熱可塑性スリーブは短くなり、アンカー脚はインターフェイス片とともに、ツールに対して近位方向に動かされる。液化処理を機械的に制御するために、ツールはストップを含むことができ、熱可塑性スリーブが所望の最小軸方向長さになると、インターフェイス片の近位面がストップに当接する。さらに視覚的制御のために、ツールはストップと遠位方向で隣接する横凹部またはシースルー部を含むことができ、凹部またはシースルー部で、インターフェイス片の近位端の動きが視覚的に制御することができ、低侵襲性手術では関節鏡を通して、または切開手術の際には外科医によって直接見ることができる。固着が完了した後、ツールとともに固着部の箇所から除去するために、インターフェイス片は遅くとも固着処理が完了したときにツールの軸方向チャネル内に引っ掛かり、チャネルから遠位方向に外れないようになっている。アンカー脚は好ましくは押し込みまたは嵌め込み接続によりインターフェイス片と接続され、それにより負荷がない場合には2つのエレメントが一緒に保持され、圧縮荷重下では互いに安定化され、さらに小さな引っ張り荷重では容易に外れる。
【0013】
縫合糸は、アンカー脚においてチャネルおよび/または溝の系統を通ってループをなして延在し、縫合糸の2つの端部は近位面から突出し、そこからインターフェイス片を通過し、ツールの軸方向チャネルを通って好ましくは上記の凹部を通って出る。チャネルおよび/または溝の系統は、縫合糸が容易に中を通って滑り、さらにインプランテーションの際、縫合糸は組織開口内の硬組織および液化材のどちらとも接触しないよう、好ましくは寸法決めされる。これにより、硬組織に対する摩擦、または熱可塑性スリーブの液化もしくは再固化材料の熱的もしくは機械的影響により、導入されたアンカーを通る縫合糸の摺動性を損なわないようにする。これは、縫合アンカーを係留した後、縫合糸はアンカーによって摺動可能に保持されることを意味するだけではなく、縫合糸はたとえば熱可塑性スリーブの材料と類似した特性を有する材料からなる、摩擦および/または熱感応型のものであり得ることを意味する。
【0014】
固着処理のため、ツールは好ましくは硬組織上で支持される。皮質性骨層の下または骨プレートのアクセス可能でない側で液化を達成するためには、ツールは皮質性骨層または骨プレートの厚さに適合された、遠位ツール面からある距離のところで、段差を含む。そこでは、段差の遠位側のツール部の断面は、開口の断面よりも小さく、段差の近位側のツール部の断面は、開口の断面よりも大きいので、この段差のおかげで、遠位ツール面と熱可塑性スリーブの近位面との界面およびそれに伴う液化箇所が、皮質性骨層の真下または骨プレートの反対側(アクセス可能でない側)にある場合、硬組織面と当接することにより、硬質組織開口内への装置の遠位端の進入が制限される。液化処理の際、ツールは同じ位置に保たれる。
【0015】
エネルギ源は好ましくは振動源、特に超音波振動源(たとえば圧電振動発生器であって、場合によってはツールが結合されるブースターを含む)であり、ツールは振動をその近位端から遠位面に伝えるのに適し、好ましくは遠位面が最大の長手方向振幅で振動する。In situの液化のため、熱可塑性スリーブの近位面は振動する遠位ツール面に対して保持され、それにより界面で熱摩擦を発生させる。半径方向または回転方向に振動するよう、ツールを起動させることもできる。
【0016】
代替的に、エネルギ源はレーザ、好ましくは可視または赤外線周波数範囲のレーザ光を発するレーザであってもよく、ツールは光をその遠位端に、好ましくはガラスファイバを介して伝えるために具備される。In situの液化のため、レーザ光は遠位ツール面近くで、または遠位ツール面に対して保持される熱可塑性スリーブで吸収される。後者の場合、熱可塑性スリーブの材料はこのような吸収を高める粒子または物質を含んでもよい。さらに、エネルギ源は電気エネルギの源、たとえば遠位ツール部において電気抵抗器を加熱するもの、または渦電流を生じさせ、それにより遠位ツール面または熱可塑性スリーブ内に熱的エネルギを出すものであってもよい。
【0017】
組織の許容可能な熱負荷加と組み合わせられた振動エネルギを用いて熱可塑性特性を有し、さらにもたらされるべき正嵌合接続の適切な機械的特性を有する材料の適切なin situでの液化は、少なくとも0.5GPaの初期弾性率と、好ましくは2から200kHz(好ましくは15から40kHz、またはより好ましくは20から30kHz)の振動周波数と組み合わせた約350℃までの溶融温度を有する熱可塑性特性を備えた材料を用いることによって達成できる。熱可塑性特性を有する材料が、機械的剛性を失わずに振動または機械的力を伝えなければならない場合、少なくとも0.5GPaの弾性率が特に必要である。熱可塑性特性を有する材料が振動を伝えるのではなく、振動ツールと直接接する箇所で液化するべきである場合、または熱可塑性特性を有する材料は振動または機械的力を伝えるべきであるが、ほかの材料からなる装置の部分によって支持および案内されている場合、熱可塑性特性を有する材料ははるかに低い弾性率を有してもよい。
【0018】
本発明に係る装置および方法の熱可塑性スリーブに適する熱可塑性特性を有する材料は熱可塑性ポリマーであり、たとえば、乳酸および/もしくはグリコール酸系ポリマー(PLA、PLLA、PGA、PLGAなど)、もしくはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、多糖類、ポリジオキサン(PD)、ポリ無水物、ポリペプチド、もしくは対応の共重合体もしくは上記のポリマーを成分として含有する複合材料などの再吸収可能もしくは分解可能なポリマー;またはポリオレフィン(たとえばポリエチレン)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアリールケトン、ポリイミド、ポリフェニルスルフィド、もしくは液晶ポリマーLCP、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテル、もしくは同等の共重合体もしくは上記のポリマーを成分として含有する複合材料などの再吸収不可能もしくは分解不可能ポリマーである。
【0019】
分解可能な材料の具体的例は、LR706 PLDLLA 70/30、R208 PLDLA 50/50、L210S、およびPLLA100%L(すべてBoehringer)のようなポリ乳酸である。適切な分解可能なポリマー材のリストは以下にある:Erich Wintermantel und Suk-Woo Haa, "Medizinaltechnik mit biokompatiblen Materialien und Verfahren", 3. Auflage, Springer, Berlin 2002(以下、「Wintermantel」、202頁;PGAおよびPLAの情報については、202頁以降参照、PCLについては207頁参照、PHB/PHV共重合体については206頁参照;ポリジオキサノンPDSについては209頁参照。さらに、生体再吸収可能材料の説明は、たとえばCA Bailey他、J Hand Surg [Br]4月2006年;31(2):208-12にある。
【0020】
分解不可能な材料の具体的な実施形態は、ポリエーテルケトン(PEEK Optima、グレード450および150、Invibio社)、ポリエーテルイミド、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、またはポリカーボネート−ウレタン(たとえば、DSMによるBionate、特にタイプ65Dおよび75D)である。ポリマーおよび用途の概略表がWintermantelの150頁に列挙されている。具体例は、Wintermantelの161頁以降(PE、Hostalen Gur 812, Hoechst AG)、164頁以降(PET)、169以降(PA、すなわちPA6およびPA66)、171以降(PTFE)、173以降(PMMA)、180(PUR、表を参照)、186以降(PEEK)、189以降(PSU)、191以降(POM−ポリアセタール、商品名Delrin、TenacもProtecによる体内プロテーゼで用いられている)にある。
【0021】
熱可塑性特性を有する材料は、さらなる機能を果たす異相または外来化合物をさらに含有してもよい。特に、熱可塑性材料は、(たとえばリン酸カルシウムセラミックまたはガラスからなる)添加されるファイバまたはウィスカによって強化されてもよく、これらは複合材料の代表的なものである。熱可塑性特性を有する材料は、in situで膨張または溶解(細孔を作成)する成分(たとえばポリエステル、多糖類、ヒドロゲル、リン酸ナトリウム)、インプラントを不透明にし、これによりX線で識別できるようになる化合物、またはin situで放出されて、たとえば治癒および再生の促進などの治療効果を有する化合物(たとえば、成長因子、抗生物質、炎症抑制剤、または酸分解という悪影響に対する、リン酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムなどの緩衝剤)をさらに含有してもよい。熱可塑性材料が再吸収可能である場合、このような化合物の放出は遅延される。装置が振動エネルギではなく電磁放射によって係留されるなら、熱可塑性特性を有する液化可能材料は、特定的な周波数範囲(特に可視または赤外線周波数範囲)の放射を吸収することができる(粒子状または分子状の)化合物を局所的に含有してもよく、これらはたとえば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、酸化チタン、マイカ、飽和脂肪酸、多糖類、グルコース、またはその混合物である。
【0022】
用いられる充填剤は、分解可能ポリマー用の分解可能な骨刺激充填剤を含んでもよく、これらは、β−リン酸三カルシウム(TCP)、ヒドロキシアパタイト(HA、<90%の結晶性);またはTCP、HA、DHCP、バイオグラスの混合物(Wintermantelを参照)を含む。分解不可能なポリマー用の、部分的にしか分解可能でないまたはほとんど分解可能でない骨結合刺激充填剤は、以下を含む:バイオグラス、ヒドロキシアパタイト(>90%の結晶性)、HAPEX(登録商標)、SM Rea et他、J Mater Sci Mater Med. 2004年9月; 15(9):997-1005を参照;ヒドロキシアパタイトについては、L. Fang他、Biomaterials 2006年7月; 27(20):3701-7、M. Huang他、J Mater Sci Mater Med 2003年7月;14(7):655-60、ならびにW. BonfieldおよびE. Tanner, Materials World 1997年1月; 5 no. 1 :18-20も参照。生物活性充填剤の実施形態およびその考察は、たとえば、X. HuangおよびX. Miao, J Biomater App. 2007年4月; 21(4):351-74), JA Juhasz他、 Biomaterials, 2004年3月; 25(6):949-55に見出すことができる。粒子状の種類の充填剤は、粗い種類として、5−20μm(含有量、優先的には10−25体積%)、サブミクロン(優先的には板状のアスペクト比>10、10−50nm、含有量0.5から5体積%の沈殿物からのようなナノ充填剤)を含む。実験では、超音波振動エネルギを用いた液化により、たとえば成長可能な海綿骨の骨梁構造として、構造体への液化材料の浸透能力を損なうことなく、熱可塑性ポリマーを比較的高度に充填できることが示される。
【0023】
熱可塑性スリーブ以外のアンカー部は、任意の適切な材料(たとえば、ポリマー、金属、セラミック、ガラス)からなり、その材料は生体再吸収可能または生体再吸収不可能および液化可能または液化不可能であり得る。このような生体再吸収不可能または生体分解不可能な材料は、骨組織と接するところにおいて、特に熱可塑性スリーブの材料が生体再吸収可能または生体分解可能であって、係留機能が骨結合によって次第にその役目が引き継がれるのなら、骨結合を促進するよう(たとえば、それ自体知られている表面構造または被覆)向けに対応する表面を含んでもよい。優れた結果は、たとえばヒドロキシアパタイトまたはリン酸カルシウムで充填されたポリ乳酸(PLA)からなるアンカー脚、特に60%リン酸三カルシウムで充填されたPLLA、または30%二相性リン酸カルシウムで充填されたPDLLA70%/30%(70%Lおよび30%D/L)のアンカー脚と、PLDLLA70%/30%(70%Lおよび30%D/L)からなる(LR706としてBoehringerより利用可能)熱可塑性スリーブとの組み合せによって得られた。30%の二相性リン酸カルシウムおよび類似した材料で充填されたPDLLA70%/30%は熱可塑性スリーブにも適することが証明されているので、1つの材料だけからなる生体再吸収可能一体的アンカーを製造するのに適する。
【0024】
ツールは非常に細くかつ200mm以上の軸方向長さを有するよう設計可能であるので、本発明に係る装置および方法は特に低侵襲性外科手術に適するが、切開手術にも適用可能である。振動ツールである場合、ツールはツール材の振動波長の半分(またはその倍数)に対応する長さを好ましくは有する。この振動波長の半分とは、たとえばグレード5のチタンから作られ、振動周波数が20kHzでは、126.5mmである。
【0025】
今まで説明した、本発明に係る装置および方法は、ヒトまたは動物の患者においてどの外科的プロシージャにも適用可能であり、この外科的プロシージャでは、縫合糸が硬組織に、特に植え込まれたアンカーに対して少なくとも最初は摺動可能であるよう、特に皮質性骨層を有する骨組織に装着される必要があり、アンカーの固着は好ましくは、皮質性骨層の下で行なわれ(いわゆる皮質下固着)、皮質性骨層の内側で、皮質性骨層の下にある海綿骨内に、または皮質性骨層の内側に隣接する空洞または軟組織に、行なわれる。同じ態様で、本発明に係る装置および方法は、縫合糸を、硬組織の特徴に匹敵する特徴を有する代替材料に、または一部が硬組織であり一部が代替材であるものに、または付加的インプラント(たとえば体内プロテーゼ)であって、たとえばアンダーカット開口を有して適切に具備されるインプラントに、装着するのに適用可能である。このような適用の一例として、軟組織端部を骨に固着する、たとえばローテータカフを下の骨組織(または対応する体内プロテーゼ)に固着する、アキレス腱の修復、またはいわゆるダブルロープロシージャと呼ばれる技術を用いて別の靭帯または腱を骨に固着することを含む。このプロシージャでは、縫合糸は中間アンカーの列によって骨に摺動可能に装着され、軟組織を通り、引っ張られ、かつ互いに交差し、1列の横アンカーを用いて非摺動的に固定(係止)され、この第2の列は中間アンカーの列に対して実質的に平行に走る。熱可塑性特性を有する材料および好ましくは振動エネルギを伴って、縫合糸を摺動可能に装着するための、たとえば中間アンカーを固定するための、本発明に係る上記の装置および方法を用いる場合、縫合糸の非摺動装着または係止、すなわち横アンカーを係留するためにも、同様の技術を用いることは有利である。
【発明の効果】
【0026】
以下で説明されるように、本発明に係る装置および方法は、硬組織に対して縫合糸を摺動可能に固着するためだけでなく、硬組織に対して縫合糸を非摺動的に固着または係止するためにも用いることができる。
【0027】
図面の簡単な説明
本発明に係る装置および方法は、添付の図面に関連してより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
好ましい実施例の説明
図1は本発明に係る装置の例示的実施例の遠位部を示し、断面としてツール1の遠位端、縫合アンカー2、およびインターフェイス片3を示す。さらに、縫合糸4が(一点鎖線で)示され、アンカー2を通ってループをなして延在し、縫合糸端部はインターフェイス片3およびツール1の部分を通る。示されている遠位装置部は、液化および固定処理の前(
図1の左側)および後(
図1の右側)における、硬組織開口5に対して位置づけられ、硬組織開口5はたとえば骨組織内の開口であり、骨表面6から皮質性骨層7を通って海綿骨組織8内に達する。
【0030】
ツール1は、遠位端において遠位ツール面10と、遠位ツール面から軸方向に延在する軸方向チャネル11とを含む。軸方向チャネル11は第1の引っ掛かりエレメント12(たとえば楔形の突出部)と、第1の引っ掛かりエレメント12の近位方向において、軸方向チャネル11を終端させるまたは少なくとも部分的に閉鎖するストップ13とを含む。ストップ13は示されている例では、横凹部14の近位壁からなり、凹部は視認用に軸方向チャネル11を横方向に開口する。近位方向に横凹部14に隣接するツール部は、溝15を含み、溝15は縫合糸4を収容するための横凹部14と整合する。ツール1は好ましくは外段差16をさらに含み、これはより小さい断面を有するツール1の遠位端部17を、より大きい断面を有する近位方向において隣接する部分と分ける。
図1に示されるように、段差16はツールの外周の一部のみ延在するだけで十分であるが、ツールの外周全体にわたって延在してもよい。
【0031】
縫合アンカー2は、アンカー脚22および熱可塑性スリーブ23を含み、アンカー脚22および熱可塑性スリーブ23は別々の物体であっても、または一体的物体であってもよい。アンカー脚22はチャネルおよび/または溝の系統25を含み、その中を縫合糸4は好ましくは摺動可能なループをなして延在し、アンカー脚22の近位面を通って出る。
図1に示されるように、チャネルおよび/または溝の系統は、たとえばアンカー脚軸に対して実質的に垂直に延在する横断第1チャネル30と、この第1のチャネル30の両方の入り口の領域において、凹部31または溝と、アンカー脚22の近位面に延在し、角度のついた第3のチャネル33を通って凹部31または溝に接続される軸方向の第2チャネル32とを含む。
【0032】
二本以上の縫合糸4を収納するために、チャネルおよび/または溝の系統25は複数の横断第1チャネル30を含んでもよく、横断第1チャネル30は互いに軸方向に間隔があけられ、さらに互いに対して平行にまたは角度がついて配置される。
【0033】
インターフェイス片3は実質的に管形状であり、熱可塑性スリーブ23を通ってゆとりを持って延在するよう設計されている。インターフェイス片は、アンカー脚22に対して遠位端で結合(または結合可能に)され、遠位スリーブ面がアンカー脚22の近位面上に乗った場合に、近位スリーブ面を越える。アンカー脚22およびインターフェイス片3の結合は、図示されるように管状アンカー脚突出部を介在して行なわれ、インターフェイス片3の遠位端部がたとえば圧入される。このような圧入結合の代わりに、それ自体既知であるクリップオン接続も適用可能であり、この場合、インターフェイス片3の遠位部は環状リッジを含み、管状アンカー脚突出部は、このリッジに適合される環状溝を含む。近位部において、インターフェイス片3は第2の引っ掛かりエレメント12′、たとえば凹所を含み、これはツール1の軸方向チャネル11にある第1の引っ掛かりエレメント12に適合され、以下に記載する態様でこの第1の引っ掛かりエレメント12と協働する。
【0034】
縫合アンカー2はツール1の遠位端に配置され、インターフェイス片3の近位端はツール1の軸方向チャネル11内に延在し、アンカー脚22の近位面から延在する縫合糸4はインターフェイス片3を通ってツール1の凹部14に入り、そこから溝15に進む。熱可塑性スリーブ23は、それぞれの端部によって、または縫合糸4がツールの近位端で保持される(たとえば
図4参照)ことにより、ツール1の遠位面10とアンカー脚22との間に保持される。インターフェイス片3、熱可塑性スリーブ23、および遠位方向において凹部14に隣接するツール部の軸方向の長さは、熱可塑性スリーブ23が最初の最大長さを有する場合に、インターフェイス片3の近位面が凹部14内において少し見えるほどになっている。ストップ13は、液化される熱可塑性スリーブ23の長さだけ、インターフェイス片3の近位面の上記の場所から離れている。引っ掛かりエレメント12および12′は、インターフェイス片3の近位面がストップ13に当接する前に互いに引っ掛かるように配置されており、協働する引っ掛かりエレメントは、ツールに対するインターフェイス片3の遠位方向の動きを制限し、それによりインターフェイス片はチャネル11から外れないが、場合によってはさらに近位方向に移動できる。
【0035】
液化処理のために振動エネルギを用いる場合、ツール1の遠位面10(または熱可塑性スリーブ23の近位面)に対してエネルギディレクタを具備することは有利である。たとえばラインへの熱可塑性スリーブの接触を制限するエッジを有する、および/または熱可塑性スリーブ23の遠位面をアンカー脚22に剛性的に装着する。これはアンカー脚22が熱可塑性材からなる、たとえば熱可塑性スリーブ23が溶着できるPEEKからなる場合、容易である。さらに、アンカー脚および熱可塑性スリーブを、たとえばポリ乳酸だけからなる熱可塑性特性を有する材料(
図11も参照)、たとえばPDLLA、好ましくは30%の二相性リン酸カルシウムで充填されたPDLLA70%/30%からなる、一体部分として作成することも可能である。上記の手段すべては、熱可塑性スリーブ23の液化をその近位面に限定することを確実にする。クリーピングの傾向があるポリマーからなるアンカー脚の場合、縫合糸の引っ張りによって最も負荷を受ける領域を強化するのが有利であり得る。これはたとえば横断縫合チャネル30をたとえば結晶化度がより高いポリ乳酸もしくはPEEKのようなより耐性のある材料からなる管を裏打ちすることにより、またはこのような材料の部分を横断縫合チャネル30に近接して位置づけることにより、達成される。
【0036】
穴をあけることにより縫合アンカー2を係留するための硬組織開口5を設けることが最も便利であるので、アンカーと開口5内に位置づけられるツールの少なくとも遠位端部16とは、有利に円形の断面を有する。同じことが、アンカー脚22、インターフェイス片3および中を通る軸方向チャネル、ならびに熱可塑性スリーブ23およびツール1の軸方向チャネル11にも当てはまる。しかし、これは本発明の条件ではなく、上記の項目のいずれも円形でない断面を有してもよい。断面についての唯一の条件は、材料の十分な部分が開口5の壁近くにあるよう、開口5内に嵌合する熱可塑性スリーブ23に対する条件である。ツール1の遠位端部17の断面およびアンカー脚22の断面は、好ましくは熱可塑性スリーブ23の断面と同じである、または後者に対してわずかに小さい。
【0037】
縫合アンカー2を硬組織開口5内に固着し、それに伴って縫合糸4を硬組織面6に対して装着するために、本発明に係る装置は、
図1の左側に示されるように、骨開口5に対して位置づけられる。エネルギ源はツール1の近位端(図示されていない)に結合され、インターフェイス片3およびアンカー2は遠位ツール端で配置され、縫合糸4はアンカー脚22、インターフェイス片3、ツール1の軸方向チャネル11および凹部14を通って延在し、かつ少なくとも真っ直ぐになるようにまたはわずかに引っ張られるようさらに近位方向に保持され、それにより熱可塑性スリーブ23はツール1の近位面10とアンカー脚22との間に保持され、ツール1は段差16が骨表面6に対して当接するよう位置づけられる。熱可塑性スリーブ23の液化を始めるために、エネルギ源が起動され、場合によっては縫合糸の引っ張りが増加される。液化した材料はアンカー2およびツール1から離れる半径方向に流れ、熱可塑性スリーブ23は短くなり、縫合糸4を近位方向に引っ張り、それによりアンカー脚22を遠位ツール面10に近い方向に引っ張ることにより、ツール1の遠位面10と接したままとなり、その間段差16は骨表面6と接触したままである。
【0038】
係留処理の原理は、たとえばUS−2009/131947に記載されている(異なる用途)。
【0039】
振動ツールと摩擦および/または熱感応縫合糸とを用いる場合、エネルギ源が起動したときに縫合糸に引っ張りを与えずに、熱可塑性スリーブの近位面が少なくとも温められた場合にのみ引っ張りを与えて、振動をさらに遠位にまたは少なくともすべてを伝達できないようにすることが重要である。縫合糸が振動の始まった瞬間引っ張られると、振動が熱可塑性スリーブを通ってアンカー脚に伝達され、これが縫合糸に対して振動することになり得る。これは熱可塑性スリーブの液化が始まる前に繊細な縫合糸に損傷を与えるかもしれない。アンカー脚への振動伝達を防止するための他の手段としては、上記のように、ツール1と熱可塑性スリーブとの間の界面でのエネルギダイレクタがあり、および/またはより小さい開始振幅で振動を始めて熱可塑性スリーブの近位端が加熱する開始期間後に振幅を増加させることもできる。
【0040】
液化処理が進行し、熱可塑性スリーブ23が短くなり、アンカー脚22が近位方向に引っ張られると、引っ掛かりエレメント12および12′が互いに対して引き止める相互作用に達して、インターフェイス片の近位面がストップ13に当接するまで、インターフェイス片3は凹部14の軸方向チャネル11内で進み、当接は
図1の右側に示されるように、液化処理の終了を示す。インターフェイス片3の近位端の進行およびそれに伴う液化処理は、凹部14内において視覚的に制御できる。
【0041】
液化処理の終わりにおいて、熱可塑性スリーブ23の軸方向の長さは最小となり、熱可塑性スリーブ23の液化されて再固化された材料40は、半径方向に海綿骨8内に延在し、および/または縫合アンカー2を皮質性骨層7の内側にしっかりと係留する。さらに、インターフェイス片3はツール1の軸方向チャネル11に引っ掛かり、これによりツール1を係留された縫合アンカーから外す場合、インターフェイス片3もツール1とともに外されることを意味する。
【0042】
インターフェイス片の近位面がストップ13に当接したときに、縫合糸4がインターフェイス片3の近位端とストップ13との間で挟まれないようにするためには、ストップに対するインターフェイス片3の当接は凹部14の底面においてのみ起こり、その間縫合糸4はこの底面から離される、すなわち凹部14の開口に向かって引っ張られるよう、近位面および/またはストップ13の傾斜を設計することが有利である。インターフェイス片3の近位面の上記の形状は、インターフェイス片3の近位面の当接部の弾性を容易にし、これは第2の引っ掛かりエレメント12′の設計にも用いることができる。
【0043】
液化処理が完了した後、縫合糸4は引っ張られて保持される状態から解放され、ツール1はインターフェイス片3と共に、縫合アンカー2がしっかりと係留されている開口5から外され、縫合糸は骨組織に対して摺動可能に取り付けられている。
【0044】
図2は
図1に示される方法の結果を示す。すなわち、硬組織にある、または開口の周りにある骨組織、特に皮質性骨層7のすぐ下にある海綿骨組織8にある再固化材料40によって硬組織開口5内に係留された(皮質下固定)縫合アンカー2を用いて、縫合糸4は硬組織に取り付けられ、再固化材料40は熱可塑性スリーブ23の残りの部分に接続されている。明らかに、本発明に係る固着処理は、まったく存在しないこともあり得る海綿骨8の品質に依存しない。海綿骨8がない場合、液化材料は皮質性骨層の内面に浸透するまたは浸透しなくてもよく、再固化後では、もはや開口を通過することができない本体をなすことにより、硬組織開口内に保持される。これは、本発明に係る固着は物理的安定性が減少した海綿骨における皮質下固着だけではなく、海綿骨がない場合、たとえば長い骨の骨髄腔内において、または骨プレートのアクセスできない側での固着も可能となる。
【0045】
図3は、本発明に係る装置の、引っ掛かり機構およびツール1とインターフェイス片3との間のストップ機構の代替実施例を示す図である。ここでもツールは軸方向チャネル11を含み、軸方向チャネル11は遠位ツール部を少なくとも延在し、その中を実質的に管状のインターフェイス片3が延在し、ツールは凹部14を含み、凹部14の中にインターフェイス片3の近位端が液化処理の際近位方向に動く。第1の引っ掛かりエレメント12は、凹部14の遠位側においてツール面によって構成され、第2の引っ掛かりエレメント12′は、インターフェイス片3の近位突出部上に配置される。2つの引っ掛かりエレメントにより、熱可塑性スリーブが元の(最大)長さを有する場合でも、インターフェイス片3がツールの軸方向チャネル11内に保持されることを維持する。つまり、熱可塑性スリーブおよびアンカー脚を取り付けるために、ツールから外されたインターフェイス片は、装置を固定プロシージャ用に準備するために、インターフェイス片の近位端を軸方向チャネル内に導入すると、既に軸方向ツールチャネル11内に保持されている状態にあることを意味する。熱可塑性スリーブの材料の液化の際、第2の引っ掛かりエレメント12′は第1の引っ掛かりエレメント12に対して近位方向に離れており、ツール1およびインターフェイス片3を固定箇所から外す場合、インターフェイス片3はその最も遠位位置に変位され、そこで2つの引っ掛かりエレメントが互いに接する。
【0046】
図3に係るツールのストップ13は、凹部14内において段差として配置され、インターフェイス片3の近位面の一部と相互作用し、その部分は第2の引っ掛かりエレメント12′の突出部とほぼ対向する。インターフェイス片3用のストップ13を設けなくてもよい可能性も十分ある。このような場合、インターフェイス片3およびアンカー脚の近位方向の動きは最後に終わることになり、つまり熱可塑性スリーブ23が完全に液化され、アンカー脚が遠位ツール面に当接した場合に終わる。さらに、縫合糸の引っ張りによって、液化処理を制限することも可能であり、これはたとえば
図4と関連して説明されるレバーシステムを用いて行なわれる。
【0047】
本発明に係る方法および装置は、
図7と関連して以下でより詳細に説明されるそれ自体既知であるダブルロープロシージャにおいて、さらにローテータカフ修復またはアキレス腱修復のために用いられる中間アンカーを展開するために適する。この用途では、縫合糸はアンカーに対して摺動可能に保たれる。本発明に係る方法および装置の他の例示的適用例は、たとえばヒトの肩関節については、バンカート修復またはSLAP損傷(上方関節唇)の修復があり、ヒトの手については、UCL修復(尺骨側副靭帯)、SL修復(舟状月状靭帯)、副靭帯の修復、屈筋腱の再付着、中手指節関節の莢膜の再付着、およびヒトの足については、ブロムストローム靭帯の修復、内側嚢縫合術の外反母趾の治療、または腓骨支帯修復がある。
【0048】
図1から
図3に示される、本発明に係る装置の遠位端およびこのような装置を用いて行なうことができる固着方法は、本発明の基本的概念から逸脱することなく、たとえば以下の態様で変形することができる:
・図示されている引っ掛かりエレメント12および12′の代わりに、それ自体既知である引っ掛かりエレメントの対を用いることができ、これは少なくとも固着処理の際、ツール1とインターフェイス片3との摩擦ができるだけ低く、および/またはツール1の軸方向チャネル11内におけるインターフェイス片3の最後の部分の進行の間だけに起こるよう、引っ掛かりエレメントを設計する。
【0049】
・横凹部14の代わりに、ツール1はシースルー部を含むことができ、これによりツール1の軸方向チャネル11内におけるインターフェイス片3の近位端の動きを視覚的に確認することができ、縫合糸4は別の開口を通って、または遠位ツール面から少なくともストップ13に延在するスロットを通って、外に延在する。
【0050】
・ツールは、視覚的確認のための手段を含まない。
・凹部14は狭く、遠位ツール面まで延在し、インターフェイス片3は固着処理を視覚的に制御するために、凹部内に延在し、かつ場合によっては凹部から突出してツール1の外部から見ることができるフラグを含む。
【0051】
・ストップ13の軸方向位置は、異なる軸方向の位置で凹部14内に固定することができる別個のストップエレメントとしてストップを設計することにより選択可能であり、または凹部14内に固定することができる、異なる軸方向の長さを有する別個のストップエレメントの選択として設計することにより、選択可能である。
【0052】
・縫合糸4をアンカー脚22の遠位領域に保持するチャネルおよび/または溝の系統25の代わりに、アンカー脚は近位面から突出する糸穴、または縫合糸4を摺動可能な態様で保持するための他の適切な近位手段を含む。
【0053】
・縫合糸4は摺動不可能態様でアンカー脚22内に保持され、これは縫合糸が近位方向に延在する近位方向に隣接するチャネルよりも大きい断面を有する遠位凹部内に保持される結び目または縫合保持部を用いることによりなされる、またはアンカー脚22に形づくられる縫合糸端またはループによって保持される。
【0054】
・ツール1は、硬組織開口5内に嵌合するよう適合された断面を有する遠位ツール部17の軸方向を制限する段差16を含まない、または段差16はさらなる近位位置を有する。これは、遠位ツール端が外科医によって選択される深さまで硬組織開口5内に挿入できること、または遠位ツール端は硬組織開口内に挿入されて、固着処理が開始されるときにはこの開口の底面に達することを意味する。固着処理の際、遠位ツール端は熱可塑性スリーブが液化によりさらに短くなる間、硬組織開口内により深く移動することができ、アンカー脚22は硬組織開口5の底面に対して位置づけられたまま残る。
図1に関連して前に記載した以外では、このような場合、液化工程の際には、熱可塑性スリーブ23を振動ツールに対して保持するのは張力がかけられた縫合糸ではなく、さらにツールを支持するのは骨表面6ではなく、これら機能の両方は、硬組織開口の底面によってその役目が引き継がれる。これは、底面の骨組織が対応する物理的強度を持たなければならないことを意味し、縫合糸の必要な物理的強度はこの縫合糸の組織接続機能のみに適合する必要がある。
【0055】
・アンカー脚22は、前もって開口を設ける必要なく、または中皮質骨だけを通る開口を設ける必要なく、少なくとも海綿骨に押し込むことができるよう、たとえばテーパー状の、または鋭くなった遠位端を有することにより適合される。骨組織へのアンカー脚22の押し込みは、
図1に示されるように、アンカー脚22を遠位ツール端に配置することにより、さらにツール1に対応する力を与えることにより行なわれ、この力は熱可塑性スリーブ23を介してアンカー脚22に伝えられる。液化処理は、アンカー脚22が骨組織の所望な深さに達した場合にのみ、エネルギ源(たとえば、振動源)の起動によって始まる。骨組織内にアンカー脚22を押し込むことが振動エネルギを伴うものなら、熱可塑性23を介したツール1からアンカー脚22への押し込み力および振動の伝達は、この押し込み工程の際に熱可塑性スリーブ23が不所望に液化するのを防ぐために、防止されなければならない。これはインターフェイス片3を介して力および振動をアンカー脚に伝達し、熱可塑性スリーブ23は遠位ツール面とアンカー脚との間でゆとりを持たせて配置されることを確実にすることによって実施される。たとえば、インターフェイス片の近位方向の移動を防止し、振動および力をツール1からインターフェイス片に伝達することができるブロックエレメントを凹部14内に組み込むことによって実施される。ブロックエレメントは、固着工程には除去される。
【0056】
・アンカー脚22は、前もって開口を設けずに、たとえば尖がったまたは他の態様で鋭い遠位端を有することにより、硬組織(少なくとも海綿骨組織)内に押し込むことができるよう具備され、たとえば超音波振動を用いて硬組織内に押し込まれ、必要な押し込み力および振動をアンカー脚22に伝えるために、インターフェイス片3または他の適切な押し出しツールが用いられる。熱可塑性スリーブは、アンカー脚に固定されるまたは固定されないかのどちらかである。アンカー脚が所望の深さに到達し、さらに適用可能であるのなら、押し込みツールを外してインターフェイス片3をアンカー脚22に取り付けた後、さらに適用可能であるのなら熱可塑性スリーブ23を取り付けた後、ツール1の遠位端は熱可塑性スリーブの近位面に位置づけられ、固着工程は
図1に関連して前に記載したとおり実施される。アンカー脚を硬組織内に押し込む代わりに、アンカー脚を硬組織内に螺合することもでき、ここではインターフェイス片3または他の適切なツールを用いてねじ形状のアンカー脚に回転を与える。
【0057】
図4は、たとえば
図1から
図3に関連して前に述べたように、遠位端を有する装置の例示的実施例の近位端部を示す。この近位端部は軸方向の断面が示され、ハウジング51内に配置されるエネルギ源50(好ましくは、超音波振動ジェネレータ)に結合されるツール1の近位端と、縫合糸4の2つの端部(一点鎖線)とを含む。装置の近位端部はさらに、縫合糸4を固定および真っ直ぐにするおよび/または引っ張るための手段として働く、さらにアンカー脚を通って延在する縫合糸4(
図1に示される)を用いて、ツール1に対して近位方向にアンカー脚を動かすための手段として働く、レバーシステム52をさらに含む。レバーシステム52は好ましくはエネルギ源50のハウジング51上に配置されるが、エネルギ源上に、またはツール1の近位部上にも配置できる。レバーシステム52は、外科医によって操作されるよう意図されている。
【0058】
図4において、装置の近位部、特に上記のレバーシステム52は、3つの構成(a)、(b)および(c)で図示され、1つの固定処理について連続したものとなる。構成(a)は、縫合糸4の端部をレバーシステム内に導入することに対応する。構成(b)では、縫合糸の端部はレバーシステム内において挟まれるまたは制動される(小さい半径の周りに沿って少なくとも1つ曲げる)ことにより固定され、構成(c)では、縫合糸4の固定された端部は、半径方向におよびツール1に対して近位方向に動かされ、それにより縫合糸を真っ直ぐにするまたは張力をかけ、熱可塑性スリーブの液化が始まると直ちにアンカー脚(
図1参照)をツールに対して動かす。
【0059】
図4に示されるレバーシステム52の例示的実施例は、クランピングアーム53および引っ張りアーム54を含む。クランピングアーム53は枢支運動する態様でハウジング51上に配置され、引っ張りアーム54は、クランピングアーム53の自由端に対して連接する態様で接続される。引っ張りアーム54はクランピングアーム53よりも長く、システムを手により起動するのに適切な端部が有利に備わっている(図示されていない)。レバーシステム52の各アーム53および54は、縫合糸を2つのアームの間に固定するための手段を含む。たとえばアーム53および54が互いに対して回動して、実質的に同じ方向でその連接する接続から延在したときに、縫合糸端部を互いの間に挟むよう配置されている1対のクランピングジョー55を含む。アームはこの固定した位置で互いに係留(たとえば、スナップ接続)するよう、さらに具備されており、接続機能はクランピングジョー55に統合されてもよい。
【0060】
図4は、
図1に関連して既に説明した溝15も示し、溝15は好ましくはツールの近位端まで達し、縫合糸4を収納する働きがあり、溝15およびレバーシステム52は互いに対して整合される。
図4はさらに、溝15とレバーシステム52との間に配置される縫合糸ガイド56を示す。
【0061】
縫合糸4の端部をレバーシステムに固定し、縫合糸4を真っ直ぐにするまたは引っ張り、縫合糸を用いてアンカー脚を動かすことは、以下の態様で行なわれる。レバーシステム52によって縫合糸4の端部を通過させるために、2つのアームは実質的に延び切った位置にされ、有利に遠位方向に延びる(構成(a))。溝15内を走る、または溝が設けられていない場合には、近位ツール端に向かってツール1に沿って走る、縫合糸4の端部は、縫合ガイド56および糸穴57を通過し、アーム53および54の一方を通ってアームの一方(外)側に達し、このアームの構成では、ツール1から反対方向に向く。縫合糸の端は引っ張りアーム54の外側にある付加的糸穴58を通り、2つの糸穴57および58によって案内されて、引っ張りアーム54のクランピングジョー55を通って延在する。縫合糸4の端部は、引っ張りアーム54の自由端で保持され、真っ直ぐに延在するが、記載されている経路(矢印T、構成(a))に沿ってはほとんど引っ張られない。引っ張りアーム54はクランピングアーム53に対して回動し、その間縫合糸4の端部は、縫合糸4がクランピングジョー55の間に挟まれるまで、引っ張りアーム54の自由端で保持され、アーム53および54が互いにクランピング位置で係止される(構成(b))。この構成状態において、装置はチェックされ、場合によってはエネルギ源を短く動かすことにより調整される。このようなチェックおよび場合によっては調整の後、装置は縫合アンカーを植え込む準備ができている。
【0062】
このようなインプランテーションの際、引っ張りアーム54の自由端をハウジング51に対して引っ張ることにより、縫合糸4に張力がかかり、それにより縫合糸端部が固定されている他方端がハウジング51から離れて、かつ近位方向に動き、エネルギ源50は起動されて液化が始まる。液化処理の際、引っ張りアーム54への圧力(構成(c)の矢印P)が保持され、このように動かされた引っ張りアーム54の自由端はハウジング51にさらに近づく、またはその他方端はハウジング51からさらに遠ざかり、それによりアンカー脚を近位方向に動かす(構成(c))。
【0063】
図4に示されるレバーシステム52は、縫合糸の引っ張りを制御する、および液化処理またはアンカー脚の近位方向の動きを制御するための手段をそれぞれ含んでもよい。縫合糸が最初に通されてレバーシステムで固定された場合に、縫合糸の引っ張りを最小にする、または真っ直ぐな縫合糸の伸びを確実にするために、ローラ59を弾性的態様(たとえば、ばねを介して)糸穴56および57の間でハウジング51に装着することができる。縫合糸がローラ59の周りを通ると、ローラはばねによって糸穴から離れる方向に動かされることにより、縫合糸のたるみをなくす。縫合糸を引っ張るためにレバーシステムを起動させると、ローラ59は2つの糸穴と整合する最も伸びた位置に動かされる。ローラ59の固着の際の弾性は、図示されるように引っ張りばねを用いて得ることができるが、圧縮ばねまたは他のそれ自体既知である手段(たとえば、機械的、空気圧的または油圧的手段)を用いても得ることができ、これは縫合糸のたるみをなくして縫合糸の引っ張りをほぼ一定に保つだけでなく、縫合糸を損なうかもしれない振動もしくは衝撃を吸収する役割を果たす。
【0064】
レバーシステム52は、
図1および
図3に関連して説明したように、ストップの機能を引き受けることもでき、これは最も簡単な場合は、アンカー脚が所望の最近位位置に達したときに、ハウジングに当接することによって可能である。液化処理およびその所望の端部は、縫合糸引っ張りによって制御することもできる。これは、引っ張りアームの近位部が弾力性を有するように設計することにより得られ、そのおかげで所望の最大力だけで縫合糸を引っ張り可能であり、より大きな力が与えられた場合には曲がるだけである。液化処理を制御するこの手段は、熱可塑性スリーブがなくなった場合に処理を停止させるだけでなく、液化材料によって浸透するべき硬組織の容量が一杯となり、不所望な大きさの力でしかさらに材料を組織内に押し込むことができない場合に処理を停止させることが可能となる。後者の場合、液化処理は引っ張りを受ける縫合糸の延在と独立して制御され、アンカーが固着される硬組織に依存して制御できることを意味する。さらに、縫合糸の引っ張りの制限、たとえば上記の態様での制限により、縫合糸が固着処理の際損なわれないことを確実にする。
【0065】
図5は、レバーシステムに縫合糸を固定するための手段ならびにクランピングアーム53および引っ張りアーム54をクランピング位置に係止するための手段のさらなる例示的実施例を示す。同様の要素は、
図4と同じ参照符号が付けられている。
図4に示されるクランピングジョー55の代わりに、2つのアーム53および54はクランピング位置にある場合に、緩みを持たせて噛み合う協働する湾曲プロファイル55.1を含む。湾曲プロファイルは、プロファイル間の間隙を通る縫合糸の動きを防止するために、2つのプロファイル間を通る縫合糸を十分に制動するだけの十分な数の湾曲および/または十分に小さい半径を有する。
図5の固定手段の利点は、縫合糸が挟まれてそれにより断面については変形する必要がないことであり、挟まれることは繊細な種類の場合には縫合糸を損傷するかもしれない。
【0066】
図5に示されるようなクランピング位置にクランピングアーム53および引っ張りアーム54を係止するための手段は、スナップ接続55.2であり、引っ張りアーム54上に突出部とクランピングアーム53に対応する凹所とを含み、この突出部は凹所内に嵌め込まれるよう十分に弾力性を有する。
【0067】
上記のレバーシステム52の代わりに、本装置はラチェット機構またはたとえばハウジング51の表面に対して変位される簡単な爪を含んでもよく、これにより縫合糸端部をこの表面に対して挟み、縫合糸が一方向にのみ動くよう設計されている。または、装置は縫合糸4を固定、真っ直ぐにするまたは引っ張り、縫合糸の引っ張りを維持しながら縫合糸を用いてアンカー脚の動きを可能にする他の既知の機構を含んでもよく、外科医は縫合糸端部を引っ張ることによりその機構を操作する、またはその機構は外科医が取り扱う部材を含む。本装置の非常に簡単な実施例では、装着、引っ張り、および動かすためのこのような手段はなく、外科医が縫合糸を持って張力をかけ、それに伴ってアンカー脚を動かすことになる。
【0068】
図6は、上記の方法であって、縫合アンカーが硬組織開口を越えて、すなわち硬組織層のアクセスできない側の空洞または軟組織(たとえば、長い骨の骨髄腔、海綿骨組織がない皮質性骨層下の場所、または骨プレートもしくは骨プレートに置き換わるプロテーゼのアクセスできない側)に固着するための方法に向けられる。
図6に示される装置は、
図1および
図3に示される装置の簡略化されたものである。
【0069】
縫合アンカー2を固着するために設けられた開口はいわゆる上皮質固着であり、縫合アンカーを固着するために設けられた硬組織開口は硬組織内(たとえば、皮質性骨層下の海綿骨組織)に達するのではなく、骨41のアクセス可能側42からアクセスできない側43に達するものであり、皮質下アンカレッジの代わりに上皮質ボタン44が形成される。この上皮質ボタン44は、骨のアクセス可能でない側の表面に係留されてもまたは係留されなくてもよい。この固着が行なわれる方法は、
図1から
図5に関連して記載されたものと類似している。
【0070】
本装置の簡略化された実施例において、縫合アンカー2はアンカー脚22および熱可塑性スリーブ23を含み、縫合糸4のループはアンカー脚(チャネルおよび/または溝の系統25)において好ましくは摺動可能であり、縫合糸の端部は熱可塑性スリーブ23およびツール1の遠位部17を通る。遠位ツール部17は軸方向チャネル11を含み、その軸方向の長さは、段差16の対応する位置により、骨41の厚さとほぼ等しいよう決定される。特に、相対的に短い熱可塑性スリーブ23を用いる場合、
図1および
図3に示されるインターフェイス片を使用しなくてもよい。熱可塑性スリーブ23の遠位面をアンカー脚22に固定することにより、またはツール1の遠位面10もしくは熱可塑性スリーブ23の近位面にエネルギディレクタを設けることにより、熱可塑性スリーブの近位端での好ましい液化が引き起こされる。
【0071】
固着処理の後でも縫合糸4がアンカー脚22および上皮質ボタン44によってまだ摺動可能に保持されていなければならないなら、熱可塑性スリーブ23の挿管内に達し、かつ上皮質ボタン44の最終厚さ以上の軸方向長さを有する管状近位突出部(図示されていない)をアンカー脚22に設けること、および/または
図1および
図3に示されるようなインターフェイス片を用いることが好ましい。縫合糸の摺動可能性が重要でない場合、アンカー脚22は図示されているように平坦であってもよく、インターフェイス片も省略することができる。このように、縫合糸は熱可塑性スリーブ23の液化材料によって係止されるまたは係止されなくてもよい。
【0072】
明らかに、
図6に示される方法では、
図1および
図2に関連して説明したように、スリーブ材が開口の壁に近接するよう、熱可塑性スリーブ23の断面を硬組織開口5の断面に適合させる必要はない。必要なのは、アンカー脚22、熱可塑性スリーブ23、および好ましくはツール1の遠位端が開口5内に嵌合して、そこを通り、開口5を通過できないだけの十分な量のスリーブ材本体44をもたらすことである。
【0073】
上記のようにもたらされた上皮質ボタン44の例示的適用例は、たとえばヒトの肩については、急性肩鎖関節安定化、およびヒトの足については、靭帯結合損傷の固定化を含む。この適用例では、上皮質ボタンによって固着された縫合糸4は、腱または靭帯と直接置き換わることになる縫合糸の束であり得る。
【0074】
図7は、軟組織を硬組織に縫合するためのそれ自体既知のダブルロープロシージャを示し、4つの連続するフェーズ(a)、(b)、(c)および(d)で、破れたローテータカフ腱60をヒトの骨組織61(または対応する体内プロテーゼ)に再付着する例に基づいている。フェーズ(a)は修復手術の前のものであり、再付着が必要な場所62を示す。フェーズ(b)では、2つの中間アンカー63が骨組織に固着され、その場所は最終的には腱60の下にあり、各中間アンカー63は少なくとも1本の縫合糸4を摺動可能な態様で骨組織に装着する。フェーズ(c)では、一方の中間アンカーに取り付けられる各縫合糸の端部が破れた腱60を通され、縫合糸を腱の端(図示されていない)から離れる方向に張力をかけることにより、後者は中間アンカー63上に引っ張られる。フェーズ(d)では、2本の横アンカー64が、破れのエッジを越えた骨組織に固定され、横アンカー64の列は中間アンカー63の列にほぼ平行に走り、縫合糸4の端部は引っ張られ、横アンカー64を用いて横方向に係止され、それにより1本の中間アンカー63によって保持される縫合糸の2つの端部は2つの異なる横アンカー64によって係止され、中間アンカー63の列と横アンカー64の列との間に横切る縫合糸ブリッジ65を形成する。
【0075】
中間アンカー63を展開するために本発明に係る方法および装置が用いられているダブルロープロシージャの場合では、熱可塑性特性を有する材料のin situの液化に基づく固着技術または上記のような類似したアンカーであって縫合糸係止向けに具備されているアンカー(たとえば
図8および
図9参照)を用いた横アンカー列を確立するのが有利であり、アンカーの各列は2つ以上のアンカーを含むことができ、各中間アンカー63は少なくとも1つの縫合糸4(2つの縫合糸端部)を装着するために用いられ、各横アンカー64は2つの異なる中間アンカー63から出てくる少なくとも2つの縫合糸端部を係止するために用いられる。
【0076】
図8および
図9は前に簡単に述べたダブルロープロシージャにおいて、たとえば横アンカーを固定するために用いられる装置および方法を図示し、縫合糸を摺動可能な態様で保持する縫合アンカーは上記の方法に従い、まず骨組織に固着され、次に縫合糸は付加的工程において縫合アンカーに対して係止することにより、結び目の必要をなくす。
図8および
図9に示される実施例は、このような縫合糸係止が必要な他の用途でも適用可能である。
【0077】
図8は
図2と同じ固着アンカーを示し、
図1に示される固着処理後の縫合糸は、アンカーに対して摺動可能であり、固着工程の後の係止工程においてアンカーに係止され、この2工程のプロシージャにより、固着工程が終わった後でも縫合糸に張力がかかることを可能にする。係止工程において、プラグ35がアンカー脚22の軸方向チャネル32の近位口内に押し込まれて好ましくは溶着され、そこで縫合糸はプラグ35とアンカー脚22との間で挟まれることにより最初は係止される、または最初は溶着プロシージャによって、またはこの2つの組み合せによって、係止される。プラグ35は、縫合糸が骨組織に対して最終的に係止する必要があれば直ちに位置づけられて固定される。アンカー脚に溶着するためには、プラグ35およびアンカー脚22の各々は熱可塑性材を含み、2つの熱可塑性材は適切な振動ツール(図示されていない)をプラグ35の近位面に与えることにより、プラグ35に結合される好ましくは超音波振動エネルギを用いて互いに溶着される。熱可塑性プラグ35をチャネル32の粗面化または他に適する構造化された内面と合わせて、または熱可塑性アンカー脚22を粗面化または他に適する構造化された円周プラグ面と合わせて、さらにたとえば超音波振動エネルギをプラグに与えて、同時にプラグをチャネル32内に押し込むことによって、プラグ35をアンカー脚22に固定することもできる。プラグ35をアンカー脚22に装着し、それに伴い縫合糸をアンカー脚に対して係止する他の既知の方法も可能である。
【0078】
図9は縫合糸固着のさらなる例示的実施例を4つの連続するフェーズ(a)から(d)で示し、アンカー脚22および熱可塑性スリーブ23を含む縫合アンカー2(たとえば、熱可塑性特性を有する一つの材料だけからなる一体型アンカー)は、たとえば
図1に関連して説明された装置および方法を用いて、脚22の中を通された補助(または代替)縫合糸4′のループで硬組織開口5内に固定され、この補助縫合糸ループ4′は本発明に係る固着の際に縫合機能の役割を果たし、固着されたアンカー2に対して摺動可能である。フェーズ(a)において、アンカー2、補助縫合糸4′、ツール1、およびインターフェイス片3は、
図1の左側に示されるような態様で係留する処理向けに位置づけられる。フェーズ(b)では、
図2に示される同様の態様で、係留処理の後かつツール1およびインターフェイス片3を除去した後のアンカー2が示される。フェーズ(b)は外科用の機能(たとえばダブルロープロシージャで係留される中間アンカーから延在する縫合糸対)を示し、骨組織に対する係止を必要とする縫合糸4を示す。縫合糸4は補助縫合糸4′のループによって通され、次に縫合ループ4′がアンカー脚から引き出されることにより、アンカー脚22の中を通過する。フェーズ(c)では、縫合糸4はアンカー脚22および固定するための係止プラグ35(たとえば、溶着、好ましくは超音波振動エネルギを用いる)を通り、アンカーの近位面、すなわち熱可塑性スリーブ23の残りの部分に固定される。係止プラグ35は熱可塑性スリーブ23の軸方向チャネルに有利に到達し、スリーブに固定されることにより、縫合糸4はアンカー2に対してしっかりと係止される。フェーズ(c)は係止ツール1′をも示し、係止プラグ35はツールの突出部およびプラグ35の近位面の凹所により、遠位端に装着される。フェーズ(d)では、プロシージャが終了する。すなわち、縫合糸4はアンカー2に対してまたは骨組織に対してしっかりと係止される。
図8に関連して前に説明したように、縫合糸の有効な係止は、プラグ35と縫合アンカー2との間で縫合糸を機械的に挟むことにより、または両方を互いに溶着することにより、またはこの両方を組み合わせることにより、実施することができる。
【0079】
図9に示されるように、プラグ35がアンカーに固定された場合、骨表面6と面一であるよう、アンカー2およびプラグ35の寸法を決めることは有利である(しかし必ずしも必要ない)。骨開口内での付加的固着を得るために、ツール1の遠位端部17の寸法が骨開口5内にきっちりと嵌合するのではなく、骨開口の壁と遠位ツール端17との間に小さい間隙があるようにすることは有利であるが、必ずしも必要ない。熱可塑性スリーブ23の材料の液化の際、液化材はこの間隙内に押し込まれ、係止工程において係止プラグに溶着する。
【0080】
図8に関連してすでに説明したように、
図9の係止プラグは、超音波溶着により、熱可塑性スリーブ23の残りの部分に溶着可能である熱可塑性材からなる、または押圧および超音波振動により熱可塑性スリーブ内に押し込まれた場合に、熱可塑性スリーブの残りの部分と正嵌合接続を形成するのに適する非液化材および表面構造(粗面またはアンダーカット構造、たとえばねじ山)を含む。係止プラグ35をアンカー2に固定する他の既知の固定方法を用いることも当然可能であり、たとえば接着剤の塗布、熱的溶着、正嵌合接続をもたらすスナップ接続、もしくはねじ山により、またはこのような複数の固着方法の組み合せを用いることができる。
【0081】
ダブルロープロシージャで横のアンカー列を確立するために、
図8および
図9に示される縫合アンカーならびに固着および係止方法を用いることは、中間アンカーおよび横アンカーが実質的に同じ方法および同じツールを用いて固定化できるという利点がある。
【0082】
図10は本発明に係る方法についてさらなる付加的ステップを示し、この付加的ステップは縫合糸4が引っ張られたときに骨開口5の入り口の周りの硬組織エッジによって損傷しないように、および/または上記のエッジが縫合糸により損傷しないよう保護する働きがある。
図10に示される固着されたアンカー2は、
図2に示される固着されたアンカーと同じである。この保護ステップにおいて、保護スリーブ36は係止プラグ35について
図9に関連して説明した態様と実質的に同じ態様で、熱可塑性スリーブ23の残りの部分に固着され、縫合糸4は保護スリーブ36を通って緩みを持たせて延在し、保護スリーブ36はアンカー2に固定されたときに、骨表面6と実質的に面一となる、または骨表面6からわずかに突出するよう、有利に寸法決めされる。
【0083】
図11は、アンカー脚22および熱可塑性スリーブ23を含み、本発明に係る装置および方法に適する縫合アンカー2の軸方向の断面図である。
図11に示される縫合アンカー2は好ましくは一体的物体であり、熱可塑性材を有する1つの材料だけからなり、本発明に係る方法の1つの特徴をなす、in situの液化に適する。アンカーは好ましくは生体再吸収可能である。このような一体的アンカーは(たとえば
図9に関連して)既に説明した例示的アンカー実施例として言及され、たとえば30%の二相性リン酸カルシウムで充填されたPDLLA70%/30%からなり、ここではアンカー脚22は、熱可塑性スリーブ23の材料よりも多くの材料で充填される、または上記のように、たとえばより高い結晶度のポリ乳酸からなる、もしくはヒドロキシアパタイトからなる、縫合スリーブまたは強化エレメントを統合することにより、アンカー脚の材料を強化することが有利であり得る。
【0084】
図11に示される縫合アンカーは、長さがたとえば約15mmであり、約3から4mmの直径の円形断面を有し、熱可塑性スリーブ23の軸方向のチャンネルの直径は約2から3mmとなる。チャネルおよび/または溝の系統25は、
図1に関連して記載したものとほぼ対応し、横断チャネル30、横凹部31、熱可塑性スリーブ23の軸方向チャネルと同軸である軸方向第2チャネル32、および凹部31を第2チャネル32に接続する角度のついた第3チャネル33を含む。2本の縫合糸を収容するために、2つ(または場合によって3つ以上)の平行な横断チャネル30をアンカーに備えることができ、これらのチャネルは互いに対して半径方向にまたは軸方向に離れている。
【0085】
本発明は、本発明に係る装置および方法に特に適するが、振動エネルギ、特に超音波振動エネルギを用いて、特に低侵襲性手術の分野において、硬組織にインプラントを固着する分野で適用可能である振動ツール(ソノトロード)にも関する。当該振動ツールは、ロッド部と、ロッド部の近位端に装着される結合部とによって特徴づけられ、ロッド部の近位端は、好ましくは圧入接続により、結合部の軸方向のボア内に固定される。
【0086】
図12から
図15は、振動ツール70の近位端の例示的実施例を示し、ロッド部71の近位端は、結合部72の軸方向のボア内に固定されている。
図12は横方向の図であり、
図13から
図15はあり得る軸方向の断面図である。結合部72は結合手段、好ましくは振動源(図示されていない)に配置される結合手段と協働するよう設計されているねじ切りされたボルト73を含む。このような協働する結合手段は、差し込み結合またはできるだけ少ないエネルギで機械的振動を振動源からツールに伝達することができる類似した結合部用に設計され得る。結合部はさらに軸方向ボア74を含み、この中にロッド部が入って固定され、これは好ましくは圧入接続により、または適用可能であるのなら、結合部を振動源に結合するためにねじ山の方向と反対のねじ回転を有するたとえばねじ山もしくは差し込み結合のような他の可能な固着により、実施される。
【0087】
一体的に作成される振動ツールと比較して、
図12から
図15の振動ツールは以下のいくつかの利点を有する。断面が非常に小さいロッド部も可能となる。2つのツール部を別に製造してこれらを結合することは、ツールを一体的に製造するよりも簡単である。ロッド部と結合部とは異なる材料から形成することができ、ロッド部の材料は振動を伝達するのに有利なものであり、結合部の材料は結合機能に有利なものにすることができる。ロッド部は好ましくは伸線、好ましくは曲げ加工性が制限されておりかつ優れた振動特性を有するアルミニウムワイヤであり、結合部は好ましくはステンレス鋼、たとえばインプラント鋼1.4441(X2CrNiMo 18−15−3)であり、結合糸は特にツールが複数回使用され、かつ使用ごとに振動源から外されるものである場合には損傷を受けにくい。しかし、ロッド部または結合部のどちらもチタン(好ましくは、グレード5)、アルミニウム、またはステンレス鋼からもなり得る。
【0088】
図13から
図15に示されるように、中にロッド部71が固定される、好ましくは圧入される、結合部72の軸方向のボアは、めくら穴(
図13および
図14)、またはロッド部が適切な深さまで押し込まれる貫通穴(
図15)であり得る。
【0089】
振動ツールは、たとえば縫合アンカーであるインプラントに伝達するべき振動に好ましくは適合され、ロッド部材料の上記の振動の波長の半分(場合によっては、整数係数で乗算)とほぼ同じである軸長さを有する。この半分の波長およびそれに伴う最も短い理論的ツール長さは、20KHz周波数の振動では、126.5mm(チタングレード5)および127.5mm(アルミニウム)であり、25KHz周波数の振動では、101.2(チタングレード5)および102mm(アルミニウム)であり、その数値は最大振動振幅場所でツールを振動源に結合するために適用可能である。最適なツール長さ、特に一定でないツール断面のものについては、実験で定めるのが最もよい。
【0090】
縫合糸を硬組織(たとえば骨組織)に固着する上記の方法は、特に軟組織を硬組織に装着するのに適する縫合アンカーに関する。このような縫合アンカーを硬組織に固着する上記の方法の実施例では、縫合糸は液化された際の熱可塑性特性を有する材料からの放熱によって引き起こされる損傷に対して保護されることができ、これは好ましくは縫合糸が縫合アンカーまたはその一部の中を通る前に、または硬組織開口内に位置づけられる前に、かつ必然的に熱可塑性特性を有する材料の液化の前に、液体(水または食塩水)に浸漬することにより実施される。
【0091】
上記の大部分では、硬組織に対して固着される縫合糸は、固着されると外科的機能の役割を果たすと考えられが、固着方法において特定の機能、すなわちアンカーまたは熱可塑性スリーブをツールに対して保持し、熱可塑性スリーブが短くなるとツールに対してアンカー脚を動かす機能を有する。本発明に係る方法が、縫合糸の固着以外の用途、または上記の固着機能に適さない縫合(たとえば、
図9に示されるように、容易に使用できない、または弱すぎる)と組み合わせた用途で使用する場合、当該方法は補助縫合糸または縫合の代替物を用いて実施することができ、これは外科的機能を引き受ける縫合の代わりにまたは付加的に用いられ、固着の後にはそれ以上の役割はないので外されるまたは切り取られる。このような縫合代替物は、たとえば、ワイヤ、リボン、または適切な特性を有する縫合糸といった、可撓性を有しかつ細長いものであり得る。本明細書において、「縫合」の用語は固着されたら外科的機能を引き受ける縫合糸だけでなく、縫合アンカーを固着する方法においてのみ役割を果たす上記の補助縫合糸または縫合代替物をも表す。
【0092】
縫合アンカーを硬組織に固着する上記の方法の大部分では、熱可塑性特性を有する材料は液化されて、硬組織に、または硬組織内にある空洞に、好ましくは浸透して、再固化されると、アンカーまたはその一部分と開口の壁の硬組織との間に正嵌合をなす。このような正嵌合は、上記のどの場合でも、2工程のプロシージャでも達成することができ、硬組織開口の壁は、WO−2010/045751またはWO−2009/141252(Nexilis)に記載される方法に従って前処理され、これら公報の開示はここに引用によりその全体が含まれる。熱可塑性特性を有する材料は、液化した状態で開口の壁の硬組織内に押し込まれ、壁が熱可塑性特性を有する材料で実質的に被覆されることなく、硬組織とともに一種の複合材を形成する。第2の工程において、本発明に係る方法の一部をなす係留処理は、本明細書および引用された公報で記載されているように実施され、液化材料は前処理工程で形成された開口の壁の複合材を浸透できず、この壁の複合材に溶着される。このような溶着の条件として、第2のまたは固着工程で用いられる熱可塑性特性を有する材料は、第1のまたは前処理工程で用いられた熱可塑性特性を有する材料に溶着可能である。熱可塑性特性を有するこれら2つの材料は、好ましくは同じ熱可塑性ポリマーを有する。
【0093】
上記の前処理工程が、硬組織と熱可塑性材を有する材料とを含む複合材を、硬組織開口の入り口のところまで形成するような態様で行なわれる場合、この入り口は強化され、それに伴い縫合糸に張力がかかったときに、中に固着されたアンカーによって硬組織開口内に固定された縫合糸で切れ目が入ってしまうことに対する耐性能力が高められる。これは
図10に関連して記載した効果と同様の効果が得られることを意味する。
【0094】
上記の前処理工程が硬組織の外領域にのみ(たとえば、損傷を受けたまたは非常に薄い皮質性骨層を強化するために)実施されるのなら、硬組織と熱可塑性材を有する材料とからなる複合材は、硬組織開口の入り口における環について、準皮質層として働き、その下に縫合アンカーが
図2に示されるように係留される。