特許第6057903号(P6057903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6057903ナノ結晶の沿面成長によるコロイド状ナノシートを作製する工程
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057903
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ナノ結晶の沿面成長によるコロイド状ナノシートを作製する工程
(51)【国際特許分類】
   C01B 19/04 20060101AFI20161226BHJP
   H01S 5/30 20060101ALI20161226BHJP
   H01L 33/04 20100101ALI20161226BHJP
   H01L 31/04 20140101ALI20161226BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20161226BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20161226BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   C01B19/04 C
   H01S5/30
   H01L33/04
   H01L31/04
   B82Y40/00
   B82Y30/00
   H01L29/06 601N
   H01L29/06 601Q
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-534358(P2013-534358)
(86)(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公表番号】特表2014-503444(P2014-503444A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】FR2011000570
(87)【国際公開番号】WO2012056121
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月23日
(31)【優先権主張番号】1004175
(32)【優先日】2010年10月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511064306
【氏名又は名称】ネクスドット
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】マーラー,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】イチュリア,サンドリーヌ
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−073120(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0140586(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/029508(WO,A2)
【文献】 Sandrine Lthurria and Benoit Dubuertret,QUASI 2D COLL0IDAL CDSE PLATELETS WITH THICKNESS CONTOROLLED AT THE ATOMIC LEVEL,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,米国,2008年 1月 1日,130,p.16504-16505
【文献】 Aiyu Zhang et al.,NANOCRYSTALLINE METAL CHALCOGENAIDES OBTAINED OPEN TO AIR,JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY,米国,2009年 8月10日,113,p.15492-15496
【文献】 Georgios N Karanikolos et al.,WATER-BASED SYNTHESIS OF ZNSE NANOSTRUCTURES,NANOTECHNOLOGY,2006年 7月14日,17,p.3121ー3128
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 19/04
C01B 19/00
C01G 1/00−23/08
C01G 25/00−47/00
C01G 49/10−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロイド状ナノシートであって、式M(式中、Mが遷移金属であり、Xがカルコゲンである。)で表される異なる結晶質半導体物質により、厚み中ではなく、沿面に伸長した1つの最初のコロイド状ナノ結晶を含み、
前記最初のコロイド状ナノ結晶は、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTeおよびそれらの合金から作製され、
前記結晶質半導体物質Mは、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTeおよびそれらの合金の中から選択される化合物であり、
前記最初のコロイド状ナノ結晶は、コロイド状ナノシートである、
ことを特徴とする、コロイド状ナノシート。
【請求項2】
前記結晶質半導体物質Mには、遷移金属が添加される、請求項に記載のコロイド状ナノシート。
【請求項3】
前記コロイド状ナノシートは、10nm超の沿面の大きさを有する、請求項1又は請求項2に記載のコロイド状ナノシート。
【請求項4】
式M(式中、Mが遷移金属であり、Xがカルコゲンである。)で表される結晶質半導体物質の沿面への成長により、1つの最初のコロイド状ナノ結晶上にてコロイド状ナノシートを作製する製造プロセスであって、かつ、前記最初のナノ結晶は前記析出したM物質と比較して異なる組成物を有し、
前記最初のコロイド状ナノ結晶は、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTeおよびそれらの合金から作製され、
前記結晶質半導体物質Mは、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTeおよびそれらの合金の中から選択される化合物であり、
前記工程は、以下の、
− 1つの最初のナノ結晶を含む合成溶媒としての非配位性またはわずかに配位している第1の有機溶液を調製するステップと、
− 前駆物質MおよびXを含み、酢酸塩をさらに含む、第2の有機溶液を調製するステップと、
− ナノシートの成長のため20℃〜350℃の温度にて、所定量の前記第1の溶液中に所定量の前記第2の溶液を1時間よりも長い時間尺度でゆっくりと導入するステップと、
を含む、製造プロセス
【請求項5】
前記前駆物質Mは、Mのホスホン酸塩、Mのジチオカルバミド酸塩、Mのキサントゲン酸塩、またはMのカルボン酸塩である、請求項に記載の製造プロセス
【請求項6】
前記第2の溶液にリガンドが添加されており、前記リガンドは、カルボン酸、アミン、チオール、ホスフィン、またはホスフィンオキシドである、請求項またはに記載の製造プロセス
【請求項7】
前記ナノシートは、触媒作用のため使用される、請求項1〜の何れか1項に記載のコロイド状ナノシートの使用。
【請求項8】
発光ダイオードの活性要素、トランジスタ、またはレーザーにおける、請求項1〜の何れか1項に記載のコロイド状ナノシートの使用。
【請求項9】
太陽電池の活性要素における、請求項1〜の何れか1項に記載のコロイド状ナノシートの使用。
【請求項10】
低温にて基板上に半導体の超薄膜を形成するための、請求項1〜の何れか1項に記載のコロイド状ナノシートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらかじめ存在しているナノ結晶またはナノシートの沿面成長によりコロイド状ナノシートを作製する方法を提供する。前記沿面成長とは、所定の期間にわたって前駆物質を連続的に追加することにより得られる。同様に、本発明は、この得られたナノ結晶物質およびこの物質の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1ナノメートルの次元の構造成長が、新規の物理的特性を引き起こす。これらのナノ物質は、このバルク物質と全く異なる性質にて存在する。この大きさがナノメートル単位まで減少した場合、電子的、光学的、磁性的およびプラズモニック(plasmonic)の特性が変化する。これらの新規の物質は、光学的、電子的特性および触媒作用などの点においてに関心が集まっている。
【0003】
半導体のコロイド状のナノ結晶は、それらの間にて1980年代の初期から徹底的に研究されてきた。このような物質のために、この大きさがナノメートル程度内である場合、この光学的特性が強く影響を受けるものである。これらの吸着は青へと変化し、これらの物質は考えられる粒子の大きさにのみ依存してある波長にて蛍光を発する。(物質のボーア半径により定義される)ある大きさ未満の量子の閉じ込めは重要な効果を有する。半導体のために、この粒子の大きさが減少した場合、より大きなバンドギャップが起こるという結果となる。CdSeの場合、このボーア半径は5.6nmであり、このバルクバンドギャップは、710nmに対応する。10nm未満の大きさの結果として、このCdSeのナノ結晶は、青(直径が2nmの時)、緑(直径が3nmの時)、橙(直径が4nmの時)、および赤(直径が7nmの時)の蛍光を発する。結果としてこの分光法は、これらナノ物質を特徴付ける鍵となる道具である。この粒子の大きさの平均および粒度分布は、吸着または発光分光法を使用して測定することができる。
【0004】
この粒子は、以下の、この前駆物質が第1の核であり、その後、この形成した種が成長するという2つのステップの手順にて概して合成される。配位しているもしくはしていない有機溶媒の混合物で満たされたフラスコ内に、高温度(250℃から300℃)にてこの前駆物質の溶液をすばやく注入する。短い時間単位にわたって核生成が起こり、このフラスコの温度が減少すると同時に前駆物質の濃度も減少する結果となる。残存した前駆物質は、完全に使用するまで種を成長させるステップの発達の間使用される。
【0005】
近年まで、この以前の手順では、球面形状のナノ結晶を常に引き起こすものである。過去10年にわたり、徹底的な研究にて、ロッドまたはテトラポッドなどの異方性の形状の粒子をもたらされてきた。この後者の手順は、核‐成長手順を通して達することができる可能性のある形状の動物学を増加させる。
【0006】
ナノ結晶の形状により、いくつかの種類の閉じ込めを観察することができる。閉じ込めは、球面状のナノ結晶(量子ドット)の場合は3次元であり、ロッド上およびワイヤの場合は二次元である。これまで、1次元の閉じ込めのみが、コロイド状のナノ結晶の場合にておいて欠点であった。この後者の手順が、(CdSeの場合において少なくとも10nmの)少なくとも1桁よりも大きな沿面伸長にて(ボーア半径よりも小さな厚さの)薄い物体を得ることができる。以下では、このような物体がナノシートとして記述される。
【0007】
本内容では、このナノシートは、著しい物理的特性を備える新規の種類のナノ物質である。これらの厚さが、たとえこれらが自動的に制御される場合でも、このような物体は、
・狭い蛍光スペクトル
・ 短い蛍光寿命
・大きな吸着横断面
という結果として、1つの次元(厚さ)にわたってのみに閉じ込められて存在する。
【0008】
さらに、1μmよりも大きい沿面伸長を備えたナノ結晶のような成長の性質は、新規の出願の方法を踏まえるものである。ソフト化学の工程に基づく超極薄の半導体膜の成長は、光起電力的、(例えばトランジスタの分野に効果のある)電子的、または光学的適用にて使用することができる。
【0009】
2000年から2010年にわたって、コロイド状ナノシートの合成は、非常に重要な研究のテーマとなってきた。いくつかのナノシートの合成は、異なる種類の物質という結果をもたらしながら発達した。この主要な現存する方法は、層状構造の物質を直接剥離すものであるが、このナノシートの成長では、得られたファセット状の結晶の(成長を止める)リガンドの位置を使用する。あるいは、ナノシートをトポタクティックに変換する層状構造を備えた中間体化合物を通して得ることができる。
【0010】
この直接剥離する方法は、グラフェン、水酸化物、または(TiOなどの)酸化物シートを得るために共通して使用される。第1のステップとして、層の間の相互作用のエネルギーは減少する。その後、このシートを機械的に裂くことができる。
【0011】
イオン化合物のため、この中間層距離の増加により、最初のカチオンがテトラブチル水酸化アンモニウムなどのバルクのカチオンに交換されるカチオン交換工程を通して得られる。この膨張は、中間層の結合を弱め、最終的に、このシートは、超音波処理により分離することができる。グラフェンの場合、この中間層の相互作用エネルギーはN−メチルピロリドンなどの正しい溶媒を使用して得ることができる。
【0012】
このような工程は、一般的に、数オングストロームの厚さであるモノシートを引き起こすものである。さらなる成長は不可能である。この沿面伸長は、バルクが剥離された対象の大きさにより決定される。後者は、最初の化合物の層状構造に依存し、したがってそれの化学的特性に対して依存するため、この可能性のあるナノシートの厚さの制御ができる可能性がある。
【0013】
異なる種類のナノシートを得るためのより用途の広い方法は、あるファセット状の結晶の毒性をこの右面のリガンドにより処置するものである。好ましい、結晶のあるファセットにわたっての分子の吸着は、このファセットに対して垂直方向における物質の成長を避けるものである。このことは、非常に異方性の成長となる結果となる。このような工程は、ナノロッドの成長のために共通して使用される。毒性のある分子:
・界面活性剤
・ポリマー
・チオール
・アミン類
・無機イオン類
は、化学的な自然法則の広い範囲内にある。
【0014】
合成された物質として、
・(PVP、CTAB、イオン類を使用する)金属ナノプレート
・(オレイン酸またはオレイルアミンを使用する)希土類酸化物
・(CuS予備チオール類を使用する)硫黄化合物
とすることができる。
【0015】
その一般論であるにも関わらず、この毒性のある方法は、いくつかの欠点を抱えている。確かに、得られたナノシートの厚さを注意深く制御することは不可能である。すべて同じ厚さ(単分散性の厚さ)を有するナノシートを得ることも不可能である。さらに、我々の知識の及ぶ限りでは、これらの物質の沿面伸長後の成長の報告はなされていない。
【0016】
代わりに、層状構造の中間体化合物を利用してナノシートを合成することが可能である。この方法は、層状構造の水酸化物を介して金属ナノシート(コバルト、ニッケルまたは銅)または酸化物ナノシート(MgO)を得ることに成功したことが報告されたものである。同様に、多くの層状構造のカルコゲン化物が、硫黄またはセレン前駆物質と反応する層状構造の金属−1級アミン複合体を形成することにより得られる。このような手順に従って、CdSe、CdMnSe、ZnSまたはInのナノシートが得られる。鉛‐チオ尿素の層状構造複合体が、PbSナノシートの合成をももたらすことと言及されることにも同様に価値がある。
【0017】
後者の工程は、厚さが、原子の大きさにて定義されるカルコゲン化物のシートを得ることができる第1の時間を有するものである。得られた厚さの制御がないにも関わらず、沿面成長の合成の後の記録はない。
【0018】
CdSeのナノシートの合成のために、近年ある方法が提案された。この方法では、ある酢酸塩が、前駆物質としてのセレン粉末およびカルボキシルカドミウムを含む熱反応混合物内にすばやく注入される。一般的に、(等方性のコロイド状のナノ粒子である)いくつかの望ましくない量子ドットを備えたナノプレートレットの素早い形成が起こる。
【0019】
大きな沿面伸長を備えたナノプレートレットの合成のために、いくつかの試みが、文献(Ithurria, S.; Dubertret, B. Journal of the American Chemical Society 2008, 130, 16504-16505., Dubertret, B.; Ithurria, S. US patent application n°, 61/095,978.)からの共通の方法を使用して行われてきた。提案された通り、これらの方法は、純粋なナノシートを得るよう単純化して修正されたものではない。参考文献(Dubertret, B.; Ithurria, S. US patent application n°, 61/095,978.)に記述された特許は、大きな沿面の大きさを備えたナノシートを得るための方法を提案するものである。この後半は、ナノシートおよび前駆物質が、最初に反応フラスコ内に導入される工程が記述される。この方法を使用するにも関わらず、図3に示される酸化カドミウムのナノ構造と同様にCdSeの量子ドットのいくつかの塑性の形体が体系的にみられる。以下に提案される通り、寄生性の(parasitic)粒子ではない大きな沿面伸長を備えた純粋なナノシートを成長させる方法を得るため。いくつかの顕著な変化が、結果として必要とされる。
【0020】
結論として、ナノシートを得るための現在の方法は、原子の厚さを制御し、ナノメートルからマイクロメートルの調節可能な沿面伸長を備えた粒子を合成することを可能とするものではない。
【0021】
本発明は、少なくとも1つの最初のコロイド状ナノ粒子の沿面成長によりコロイド状ナノシートを合成する方法に関する。この得られた物質は、式Mに関連する結晶質半導体であり、Mは遷移金属であり、かつXはカルコゲン化物である。本方法は、以下の、
・第1の有機溶液であって、非配位性またはわずかに配位しており、合成溶媒として作用し、少なくとも1つの最初のコロイド状のナノ結晶を含む第1の有機溶液の調製のステップと、
・第2の有機溶液であって、M、X、および酢酸塩を含む第2の溶液の調製のステップと、
・ナノ結晶の成長のため、所定の温度にて、所定量の第1の溶液中に所定量の第2の溶液を所定の時間にわたってゆっくりとした導入するステップと、
を含む。
【0022】
本発明の別の目的は、式Mに関連するナノシートの形状の下で結晶質半導体を合成する方法に関するものであり、Mは遷移金属であり、かつXはカルコゲン化物である。本方法は、以下の、
・第1の有機溶液であって、非配位性またはわずかに配位しており、合成溶媒として作用する第1の有機溶液の調製のステップと、
・M、X、および酢酸塩の前駆物質を含む第2の有機溶液の調製のステップと、
・ナノシートの形状の下における結晶質半導体の成長のため、所定の温度にて、所定量の第1の溶液中に所定の第2の溶液を所定の時間にわたってゆっくりと導入するステップと、
を含む。
【0023】
1つの実施形態において、ナノシート形状下の結晶物質は、10nmよりも大きな沿面伸長を有する。
【0024】
1つの実施形態において、ナノシート形状下の結晶物質は、0.3nmおよび100nmの間の沿面伸長を有する。
【0025】
1つの実施形態において、ナノシート形状下の結晶物質は、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、HgS、HgSe、HgTe、CuInS、CuInSe、AgInS、AgInSe、CuS、CuS、AgS、AgSe、AgTe、FeS、FeSInP、Cd、Zn、FeO、Fe、Fe、Al、TiOおよびそれらの合金から作成される。
【0026】
1つの実施形態において、この最初のコロイド状のナノ粒子は、コロイド状ナノシートである。
【0027】
1つの実施形態において、この結晶質半導体Mは、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、HgS、HgSe、HgTe、CuInS、CuInSe、AgInS、AgInSe、CuS、CuS、AgS、AgSe、AgTe、FeS、FeS、InP、Cd、Zn、FeO、Fe、Fe、Al、TiOおよびそれらの合金の間にて選択される。
【0028】
1つの実施形態において、この結晶質半導体Mは、遷移金属が添加される。
【0029】
1つの実施形態において、この酢酸塩の一部を、第1の溶液内に導入することができる。
【0030】
1つの実施形態において、このナノ結晶の種は、ナノシートである。
【0031】
1つの実施形態において、この第1の有機溶液は、以前に作用させたコロイド状のナノ結晶の合成からの結果として得られた粗製混合物から作成される。
【0032】
1つの実施形態において、Mの前駆物質は、Mのカルボキシル塩であり、特には、Mの酢酸塩、Mのオレイン酸塩、Mのステアリン酸塩、Mのミリスチン酸塩、またはMの安息香酸塩である。
【0033】
1つの実施形態において、Mの前駆物質は、Mのホスホン酸塩である。
【0034】
1つの実施形態において、Mの前駆物質は、Mのジチオカルバミド酸塩またはキサントゲン塩である。
【0035】
1つの実施形態において、Xの前駆物質は、0.01Mから化学量論的比率までの濃度にてホスフィン内に溶解されるXの化合物である。
【0036】
1つの実施形態において、Xの前駆物質は、0.01Mおよび0.2Mの間の濃度にてアルセン(alcene)内に溶解されるXの化合物である。
【0037】
1つの実施形態において、Xの前駆物質は、非配位性またはわずかに配位する溶媒内に分散される(例えば、100メッシュの)Xの微粉である。
【0038】
1つの実施形態において、リガンドは、第2の溶液に添加される。このリガンドは、カルボン酸、アミン、チオール、ホスフィンまたはホスフィンオキシドであり得る。
【0039】
1つの実施形態において、温度Tは、20℃および350℃の間である。
【0040】
1つの実施形態において、第2の溶液は、1時間よりも長い時間尺度にわたって添加される。
【0041】
1つの実施形態において、この酢酸塩は、細かく粉砕され、かつ第2の溶液内に分散される。
【0042】
1つの実施形態において、この酢酸塩は、適切な溶媒に溶解する。
【0043】
1つの実施形態において、酢酸塩に溶解するために使用される溶媒は、水、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシドの間にて選択される。
【0044】
1つの実施形態において、結晶状の物質は、CdSeであり、この酢酸塩は、カドミウム酢酸塩である。
【0045】
1つの実施形態において、第1の溶液は、1−オクタデセン、トリオクチルアミン、トルエンまたは安息香酸ベンジルの間にて選択される。
【0046】
1つの実施形態において、この得られたナノ結晶は、均一性の組成物を有する。
【0047】
1つの実施形態において、この得られたナノ結晶は、不均一性の組成物を有する。少なくとも1つの最初のナノ結晶は、析出したM物質と比較して異なる組成物を有する。
【0048】
1つの実施形態において、得られたナノ結晶は、薄膜を成長させるための前駆物質として使用することができる。
【0049】
1つの実施形態において、得られたナノ結晶は、例えば、低温度にて基板上の半導体の超薄膜を成長させるための前駆物質として使用することができる。
【0050】
1つの実施形態において、得られたナノ結晶は、発光ダイオード、トランジスタまたはレーザー用の活性要素として使用される。
【0051】
1つの実施形態において、得られたナノ結晶は、大きな特定の範囲の触媒作用の物質として使用することができる。
【0052】
1つの実施形態において、得られたナノ結晶は、例えば、電極のための物質として使用することができる。
【0053】
1つの実施形態において、得られたナノ結晶は、光電池、吸収装置、または集電器の活性要素として使用することができる。
【0054】
本発明による他の特性および利点は、具現化する実施例の詳細な記述を読むことによって現れるものである。本明細書の後半には、制限するものではないが、文献が記載され、かつ添付された図面が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】は、462nmにて発光するCdSeのロールドシートを示し、本発明の具現化物として実施例1により合成される。
図2】は、393nmにて発光するCdSeの凝集したシートを示す。
図3】は、実施例1の修正版により合成された462nmにて発光するCdSeのロールドシートを示し、このカドミウム酢酸塩は、フラスコ(溶液1)内にのみある。
図4】は、均一的に構成されるシートのスキームの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の実施形態の中のいくつかは、後半に記述され、いくつかの半導体ナノ結晶の二次元の成長方法を示すものである。これらの工程は、この厚さを一定に保ち、かつ原子の単層内に制御するように保ったまま、マイクロメートル以上の沿面の大きさに達するものである。前駆物質の性質、反応温度および/または反応混合物のナノ結晶の存在などのいくつかの合成パラメータを制御することにより得られるナノシートの厚さを制御することも可能である。
【0057】
本発明による成長工程は、合成後の精製がなく、寄生性の等方性のナノクリスタルではない、純粋なナノシートを得ることができる。
【0058】
この新規の結晶成長工程は、現在すべてのコロイド状半導体ナノ結晶の有機合成に使用され、高温にて前駆物質を急速に注入することによるパラダイム核生成/成長に対処する。実際に、本発明の1つの実施形態において、この前駆物質は、合成の間、ゆっくりとフラスコ中に導入される。この核生成速度はフラスコの温度および注入速度により制御され、このシステムは、全て注入された前駆物質がナノシート成長に消費されるまで、平衡状態の成長状態にて撹拌され、この最初の核生成は、導入された前駆物質がいずれかの時間にて消費されるために十分な反応媒体中の種を得るという結果となる。このナノシート(この沿面寸法)の最終的な大きさは、導入された前駆物質により結果的に制御される。
【0059】
さらに、この提唱された成長工程は、(酢酸塩を処置することができる)層状構造の複合体が、ナノシートの形成に対する成長を引き起こす「ソフトテンプレート」の方法により、ナノシートの合成を記述に対処するものである。
【0060】
本発明の1つの実施形態において、細かく粉砕され、かつよく分散された酢酸塩を含む前駆物質の溶液は、酢酸塩がない状態にて暖かい有機溶媒であり得る反応混合物内にゆっくりと添加される。
【0061】
温度および前駆物質の性質を制御することにより、このシートの厚さを制御することが可能であり、この濃度は、注入の速度により制御され、この沿面の大きさは、導入される前駆物質の量により制御される。このシートの幾何学的形状は、特に、使用される酢酸塩の性質により決定される。
【0062】
以下では、一般的な式MXによるナノ結晶物質二元化合物を示すものであり、このMは、遷移金属であり、Xは、カルコゲンである。記述された工程により合成することができるシートは、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTeおよびそれらの合金である。同様に、Fe、Cu、Mn、Mg、Coなどを添加した以前と同一に維持された物質を成長させることも可能である。
【0063】
この合成は、ナノ結晶性の種と同様に、非配位性またはわずかに配位している有機溶媒を含むフラスコ中の酢酸塩と同じく、MおよびXの前駆物質のゆっくりとした導入からなる。
【0064】
二次元的な成長を得るために、酢酸塩が使用される。いずれかの種類の酢酸塩であり得、異なる酢酸塩の使用が、ナノシートの異なる幾何学的形状をもたらす。CdSeの場合、酢酸カドミウムの使用が、正方形のシートをもたらすことを示す。
【0065】
本発明の1つの実施形態において、この酢酸塩は、モーターにて細かく粉砕され、導入のための溶液中に分散される。この場合、この合成は制御され、等方性のナノ結晶または酢酸塩の熱的分解により導入される酸化物などの望ましくない化合物が出現するという結果とはならない。その後、マイクロメートルより優れて大きな沿面次元を備えたナノシートを得ることが可能であり、このことは、酢酸塩が反応媒体中に直接存在する場合には、不可能である。実際に、この場合では、このことは、この合成に徐々に損害を与え、大きく純粋なナノシートを得るという結果とはならない。
【0066】
一般的に、使用される前駆物質Mは、脂肪酸から作成されるM(カルボン酸塩)である。この前駆物質Mは、同様に、M(酢酸塩)複合体としてもあり得る。さらに正確には、この前駆物質Mは、M(オレイン酸塩)、M(ステアリン酸塩)、またはM(ミリスチン酸塩)とすることができる。
【0067】
この前駆物質Xは、Xまたは均一性の分散した粉末Xを含む液体であり得る。さらに正確には、この前駆物質Xは、0.1Mから化学量論の濃度にてホスフィン(トリオクチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリゲニルホスフィンなど)中に溶解することができ、また0.01Mから0.2Mの濃度の1−オクタデセンなどのアルケン中に溶解することができる。この前駆物質Xは、HXまたはNaXなどの二価の還元の度合であることができる。
【0068】
この溶媒は、非配位性またはわずかに配位しているいずれかの種類の有機溶媒とすることができる。より正確には、この溶媒は、1−オクタデセン、トリオクチルアミン、トルエンまたは安息香酸ベンジルとすることができる。
【0069】
この前駆物質の導入の間のフラスコの温度は、20℃から250℃の範囲内とすることができる。このことは、合成を望むナノシートの前駆物質および厚さに依存する。特に、この温度は、150℃から200℃の範囲内とすることができる。
【0070】
この合成は、好ましくは、不活性雰囲気(アルゴンまたは窒素)下において作用し、望ましくない酸化物の形成を避けるものであるが、空気中にて作用することも可能である。
【0071】
実施例
本発明は、以下の実施例の論述により記述されるが、この記述は制限するものではない。
【0072】
実施例1.462nmにて蛍光を発するナノシートの合成
100mlの3つ首フラスコ中にて、10mlの1−オクタデセンを、前もって乳鉢内にて粉砕した40mgのCd(酢酸塩),2HOに導入した。この混合物を磁性的に撹拌し、かつ真空下で30分間脱気する。この反応媒体は、不活性雰囲気(アルゴン)下を通り、180℃にて加熱する。
【0073】
同時に、前もって乳鉢内にて粉砕した40mgのCd(酢酸塩),2HO、240mgのCd(ミリスチン酸塩)、および4mlのトリオクチルアミンの混合物をCd(ミリスチン酸塩)が完全に溶解するまで、撹拌しながら加熱される。0.1MのODE中の4mlのセレン溶液をその後添加する。この混合物は、冷却によりゲル化する。
【0074】
このゲルは、この反応媒体に280℃にて2時間にわたり注入され、核生成および200nmより大きい沿面次元を備えるナノシートの成長を得る結果となる。
【0075】
実施例2.510nmにて蛍光を発するナノシートの成長
100mlの3つ首フラスコ中にて、10mlの1−オクタデセンを前もって乳鉢内にて粉砕したCd(酢酸塩),2HOを導入し、参照文献(ITHURRIA, S., DUBERTRET, B. JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY vol. 130, 2008, pages 16504 - 16505)に記述される方法を通して10nmolのCdSeナノ結晶を合成する。この混合物を磁性的に撹拌し、かつ真空下にて30分間脱気する。この反応媒体は、不活性雰囲気(アルゴン)下により行われ、180℃にて加熱される。
【0076】
同時に、40mgの前もって乳鉢内にて粉砕したCd(酢酸塩),2HOの混合物、240mgのCd(ミリスチン酸塩)、および4mlのトリオクチルアミンを、Cd(ミリスチン酸塩)が完全に溶解するまで撹拌下で加熱する。0.1MのODE中の4mlのセレン溶液がその後添加される。この混合物は、冷却によりゲル化する。
【0077】
このゲルは、反応媒体中にて200℃にて4時間にわたり注入され、核生成および100nmより大きい沿面次元を備えたナノシートの成長を得る結果となる。
【0078】
本発明の他の実施形態において:
100mlの3つ首フラスコ中にて、10mlの1−オクタデセンを、参照文献(ITHURRIA, S., DUBERTRET, B. JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY vol. 130, 2008, pages 16504 - 16505)に記述される方法を通して合成される10nmolのCdSeのナノ結晶に導入する。この混合物を磁性的に撹拌し、30分間真空下にて脱気する。この反応媒体は、不活性雰囲気(アルゴン)下にて行われ、240℃にて加熱される。
【0079】
同時に、1mlのエタノール中の前もって乳鉢内にて粉砕した96mgのCd(酢酸塩),2HOの混合物、46μlのオレイン酸、1mlのブタノール、および0.1MのODE中の4mlのセレン溶液を調製する。
【0080】
この溶液を、反応媒体中にて、240℃、10分注入し、核生成および100nmより大きい沿面次元を備えたナノシートの成長を得る結果となる。
【0081】
実施例3.393nmの蛍光を発するナノシートの合成
10mlのトルエンを、100mlの3つ首フラスコ中に導入する。このフラスコを100℃にて加熱し、5mlのトルエン、133mgのCd(酢酸塩),2H0、30mgの安息香酸および100μlの化学量論的TOPSeを含むシリンジが調製される。
【0082】
その後、このシリンジを、熱したトルエンのフラスコ中に5ml/時間の速度にて、1時間にわたり注入する。
【0083】
この反応媒体はゆっくりと濁るようになり、このことは、393nmにて蛍光を発する大きなナノシートの形成を示唆するものである。
【0084】
これらは、遠心分離およびトルエンにおける再懸濁を介してこの反応媒体から分離される。
【0085】
以下の実施例に表されるナノ結晶を製作するこの新規の方針は、得られたナノシートの沿面次元の厚さおよび調整を制御することを可能にする。光起電力的、電子的および光学的な多様化における領域においてこれらの物質の新規な用途に対する方法が開かれるものである。
【0086】
この沿面次元は、導入された前駆物質の量を介して制御され、この厚さは、温度、前駆物質および反応媒体のナノ結晶の最初の存在物といった合成パラメータにより制御される。
【0087】
この露出した前駆物質に続くナノシートの合成は、球面状のナノ結晶の形成および酢酸塩の分解反応を最小化する。特に、この前駆物質および酢酸塩のわずかな粉末をゆっくりとした注入することにより、球面状のナノ結晶の形成などの望ましくない反応を回避し、したがって、純粋なナノシートを得ることを可能にする。
【0088】
実施例4:ナノシートCdSe/CdSの成長
100mlの3つ首フラスコにおいて、参照文献(ITHURRIA, S., DUBERTRET, B. JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY vol. 130, 2008, pages 16504 - 16505)に記述される方法により合成される10nmolのCdSeナノ結晶に10mlの1‐オクタデセンを導入する。この混合物を磁性的に撹拌し、かつ30分間脱気する。この反応雰囲気をアルゴンに切り替え、この溶液を240℃に温める。
【0089】
その間、1mlのエタノール中に溶解した96mgのCd(酢酸塩)・2H0、46μlのオレイン酸、1mlのブタノール、および0.1MのODE中の4mlの硫黄から構成される混合物を調整する。
【0090】
この溶液を、この反応混合物中に240℃にて30分にわたって注入し、50nmより大きな沿面の大きさを備えたCdSe/CdSの核/クラウンナノシートの成長を引き起こす。
【0091】
この核/クラウンシートの構造は、図4上に図式化され、この図中のA1はCdSeであり、A2はCdSである。
図1
図2
図3
図4