(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057919
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】可塑剤としてのフランジカルボン酸のC11〜C13−ジアルキルエステル
(51)【国際特許分類】
C07D 307/68 20060101AFI20161226BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20161226BHJP
C08K 5/1535 20060101ALI20161226BHJP
C08J 3/18 20060101ALI20161226BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
C07D307/68CSP
C08L101/00
C08K5/1535
C08J3/18CEV
C08L27/06
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-554830(P2013-554830)
(86)(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公表番号】特表2014-506618(P2014-506618A)
(43)【公表日】2014年3月17日
(86)【国際出願番号】EP2012051304
(87)【国際公開番号】WO2012113607
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2014年11月20日
(31)【優先権主張番号】102011004675.5
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヒンネアク ゴードン ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル グラス
【審査官】
吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】
特表平11−502240(JP,A)
【文献】
特開2007−106972(JP,A)
【文献】
特表2009−504851(JP,A)
【文献】
広辞苑,1984年11月20日,第三版,p.1131,2221
【文献】
JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCE,1994年,V53,P1785-1793
【文献】
改訂新版・プラスチック配合剤−基礎と応用,1996年,初版,p.6-32
【文献】
ExxonMobil Chemical Company Alkyl Alcohols C6 to C13 Category Analysis Report,HPV CHEMICAL CATEGORY SUMMARY: ALKYL ALCOHOLS C6-C13 CATEGORY, Final Revision as Identified by the S,2006年,p1-57
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラン−2,5−ジカルボン酸のC11〜C13−ジアルキルエステル。
【請求項2】
請求項1記載のC11〜C13−ジアルキルエステルを含有する、可塑剤又は可塑剤組成物。
【請求項3】
少なくとも2種の異性体フラン−2,5−ジカルボン酸C11〜C13−ジアルキルを含有する、請求項2記載の可塑剤。
【請求項4】
異性体フラン−2,5−ジカルボン酸C11〜C13−ジアルキルが、異性体C11〜C13−アルキル基を有する、請求項3記載の可塑剤。
【請求項5】
異性体フラン−2,5−ジカルボン酸C11〜C13−ジアルキルのいずれも、該エステル混合物中で90質量%超の割合を有していない、請求項3又は4記載の可塑剤。
【請求項6】
異性体C11〜C13−アルキル基が、非分枝鎖状アルキル基、一分枝鎖状アルキル基、二分枝鎖状アルキル基、三分枝鎖状アルキル基、四分枝鎖状アルキル基又はそれらの混合物の群から選択されている、請求項4又は5記載の可塑剤。
【請求項7】
該可塑剤が、フラン−2,5−ジカルボン酸ジトリデシルを含有する、請求項2から6までのいずれか1項記載の可塑剤。
【請求項8】
安息香酸アルキル、アジピン酸ジアルキル、グリセリンエステル、クエン酸トリアルキルエステル、アシル化されたクエン酸トリアルキルエステル、メリト酸トリアルキル、二安息香酸グリコール、テレフタル酸ジアルキル、フタル酸ジアルキル、イソソルビトールのジアルカノイルエステル、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルの群から選択される追加の可塑剤を含有する、請求項2から7までのいずれか1項記載の可塑剤。
【請求項9】
請求項2から8までのいずれか1項記載の可塑剤の製造方法であって、次の処理工程:
a)化学量論的過剰量のC11〜C13−アルコールを、フラン−2,5−ジカルボン酸又はフラン−2,5−ジカルボン酸の相応して適した誘導体と、反応させる工程、
b)フラン−2,5−ジカルボン酸又は相応して適した誘導体を完全に反応させてフラン−2,5−ジカルボン酸のC11〜C13−ジアルキルエステルにした後に、過剰のアルコールを分離する工程及び
c)該反応混合物を後処理して、高純度の生成物を取得する工程
を含む、可塑剤の製造方法。
【請求項10】
ポリマー用の可塑剤としての、請求項2から8までのいずれか1項記載の可塑剤の使用。
【請求項11】
接着剤、シーラント、コーティング材料、塗料、ペイント、プラスチゾル、ペースト、人造皮革、フロアカバリング、アンダーシール、織物コーティング、壁紙、ケーブル及び電線絶縁、フィルム、自動車内部用途又はインキにおける、請求項2から8までのいずれか1項記載の可塑剤の使用。
【請求項12】
請求項2から8までのいずれか1項記載の可塑剤を含有する、ポリマー組成物。
【請求項13】
ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリラート、フルオロポリマー、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、ポリスチレンポリマー、アクリロニトリル−スチレン−アクリラート(ASA)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン−無水マレイン酸コポリマー(SMA)、スチレン−メタクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン−酢酸ビニル(EVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、ポリエステル、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、ゴム又はシリコーンから選択されるポリマーあるいは前記のポリマーの混合物を含有する、請求項12記載のポリマー組成物。
【請求項14】
ポリマーとして、エチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、メタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又は炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルコールの該エステル基の酸素原子に結合されたアルキル基を有するメタクリラート、スチレン、アクリロニトリル又は環状オレフィンをベースとするホモポリマー又はコポリマーを含有する、請求項12又は13記載のポリマー組成物。
【請求項15】
該可塑剤が、該ポリマー組成物中に100質量部当たり5〜200質量部の量で含まれている、請求項12から14までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項16】
可塑剤対ポリマーの比が1:15〜15:1の範囲内である、請求項12から14までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項17】
ポリマーとして、塩化ビニルと、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、又はアクリル酸ブチルからなる群から選択される1種以上のモノマーとのコポリマーを含有する、請求項12から16までのいずれか1項記載のポリマー組成物。
【請求項18】
請求項12から17までのいずれか1項記載のポリマー組成物を含有する、成形体又はフィルム。
【請求項19】
該フィルム又は該成形体が、フロアカバリング、壁装材、ホース、異形材、ルーフィングシート、シーリングシート、ケーブルシース又は線材外装、防水シート、広告横断幕、人造皮革、包装フィルム、医療用品、玩具、パッキン、自動車室内品又は装置品である、請求項18記載の成形体又はフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステル及びそれらの混合物に関する。
【0002】
更に、本発明は、フランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステル及びそれらの混合物を含有する可塑剤に関する。本発明の更なる対象は、ポリマー、特にPVCにおけるこれらの可塑剤の使用並びに該可塑剤の製造方法である。更に、本発明の対象は、これらのポリマーからの成形体又はフィルム並びに多様な用途のための該可塑剤の使用である。
【0003】
ポリ塩化ビニル(PVC)は、経済的に最も重要なポリマーの1つであり、かつ硬質PVCとして並びに軟質PVCとして多岐にわたる用途において使用される。重要な使用分野は、例えばケーブルシース、フロアカバリング、壁紙及びプラスチックウィンドウ用のフレームである。その弾性の増加のため及びより良好な加工性のために、該PVCに可塑剤が添加される。これらの常用の可塑剤には、例えばフタル酸エステル、例えばフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)及びフタル酸ジイソデシル(DIDP)が含まれる。それらの毒性学的性質のために、多くの場合に、フタル酸エステルを他の可塑剤により置き換えることが尽力される。ゆえに、代替の可塑剤として、最近、例えば、ジイソノニルシクロヘキサンカルボン酸エステル(DINCH)のようなシクロヘキサンジカルボン酸エステルが記載されてきている。
【0004】
更に、技術水準において、テレフタル酸のエステル、特にテレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHT又はDOTP)も、代替の可塑剤として記載されていた。
【0005】
国際公開(WO-A1)第2009/095126号には、テレフタル酸のジイソノニルエステルの混合物、並びにそれらの製造方法が記載されている。これらの可塑剤は、1.0〜2.2の範囲内である該イソノニル基の平均分岐度を有し、かつ同様にPVC用の可塑剤として使用される。
【0006】
化石原料の限られた利用可能性、それと結び付いた将来的に予測できる著しい値上がり及び政策によってもますます多く奨励される再生可能原料の使用のために、特に、少なくともその酸成分が天然資源、例えば糖類、脂肪又は油をベースとするエステルは、将来的に良好な市場機会を有するはずである。
【0007】
フランジカルボン酸の多くのエステル、例えばフラン−2,5−ジカルボン酸ジ−n−ブチル及びフラン−2,5−ジカルボン酸ジ−n−ヘキシルは、室温で結晶性固体であり、それらの固体特性に基づき、プラスチゾルの製造に使用することができない。そして、工業的規模でのポリマーペーストもしくはプラスチゾルの製造は、液状可塑剤を用いてのみ実現されうる。固体可塑剤は前もって、対応する溶剤中に溶解させなければならず、このことは、該方法を繁雑かつ高価にする。
【0008】
C8よりも高級の一価アルコールとのフランジカルボン酸エステルは、まだ知られておらず、ゆえにプラスチック用の可塑剤としてもまだ記載されていない。その放出挙動への高い要求が課される用途、例えば高温ケーブル又は自動車内装品のためには、ゆえに、再生可能原料系の適した可塑剤は殆どない。
【0009】
これまで、これらの用途にフタル酸のエステルも使用されるが、しかしながら、これらは、それらの毒性学的性質に基づき、危険と分類され、更にまた再生可能原料から製造することができない。
【0010】
この技術水準から出発して、本発明の技術的課題は、再生可能原料から簡単に製造することができ、かつこれまで使用される可塑剤と比較して良好な可塑剤特性を有する、新規物質を提供することにある。
【0011】
本発明の技術的課題は、フランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルにより解決される。
【0012】
意外なことに、フランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルが可塑剤として又はプラスチック用、特にポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)及びポリアルキルメタクリラート(PAMA)用の可塑剤組成物の成分として使用することができ、かつ通常可塑剤として使用される類似のフタル酸エステルに比べて、そこで有利な性質を有することが見出された。
【0013】
本発明による可塑剤は、技術水準の類似のフタル酸エステル系可塑剤に比べて、より少ないドライブレンド時間を有する。このことは、該ドライブレンド(=ポリマー、特にPVCと、更なる配合成分との粉末状混合物;液状の該配合成分は、混合過程の際に該ポリマー粒子により吸収される)の製造の際に必要な混合時間がより少なく、そのために技術水準の可塑剤に比べて、コストの利点がもたらされることを意味する。本発明による可塑剤の更なる利点は、僅かな揮発性にある。これは、対応するフタル酸エステル系可塑剤の場合よりも低いので、該可塑剤のしみ出し又は蒸発があまり著しく起こらず、ゆえにポリマー中での該可塑剤の安全な加工が可能である。更に、本発明による可塑剤が、技術水準の対応するフタル酸エステル系可塑剤と比較した場合に、より良好な可塑化作用、ひいてはより高い効率を有することが確かめられた。
【0014】
好ましい実施態様において、該可塑剤は、フラン−2,5−ジカルボン酸C
11〜C
13−ジアルキルを含有する。
【0015】
更に、該可塑剤が、少なくとも2種の異性体フラン−2,5−ジカルボン酸C
11〜C
13−ジアルキルを含有することが好ましい。これらの異性体フラン−2,5−ジカルボン酸C
11〜C
13−ジアルキルは、異性体C
11〜C
13−アルキル基を有する。これらは、特に好ましくは、非分枝鎖状アルキル基、一分枝鎖状アルキル基、二分枝鎖状アルキル基、三分枝鎖状アルキル基、四分枝鎖状アルキル基又はそれらの混合物の群から選択される、異性体C
11〜C
13−アルキル基である。
【0016】
好ましい実施態様において、異性体フラン−2,5−ジカルボン酸C
11〜C
13−ジアルキルのいずれも、90質量%超の割合で該エステル混合物中に含まれていない。更に、該エステル混合物中の非分枝鎖状のC
11〜C
13−アルキル基の割合が0.01〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
【0017】
極めて特に好ましい実施態様において、該可塑剤は、フラン−2,5−ジカルボン酸ジトリデシルを含有することにより特徴付けられている。これらの生成物は、それらの特に低い揮発性のために、より僅かな蒸発傾向に基づく長い寿命への高い要求を有する生成物の製造に極めて特に適している。
【0018】
更に好ましい実施態様において、該可塑剤は、安息香酸アルキル、アジピン酸ジアルキル、グリセリンエステル、エポキシ化植物油;部分的に又は完全にエポキシ化されていてもよい飽和又は不飽和の脂肪酸エステル;クエン酸トリアルキルエステル、アシル化されたクエン酸トリアルキルエステル、メリト酸トリアルキル、二安息香酸グリコール、テレフタル酸ジアルキル、フタル酸ジアルキル、イソソルビドエステル、特にイソソルビトールのジアルカノイルエステル、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルの群から特に選択されている、追加の他の可塑剤を含有してよい。これらの追加の可塑剤は、個別的には例えば、次のリストから選択されている:
フタル酸ジアルキルエステル、好ましくは該アルキル鎖中に炭素原子4〜13個を有するもの;トリメリト酸トリアルキルエステル、好ましくは該側鎖中に炭素原子4〜10個を有するもの;アジピン酸ジアルキルエステル、好ましくは該側鎖中に炭素原子4〜13個を有するもの;テレフタル酸ジアルキルエステル、それぞれ好ましくは該側鎖中に炭素原子4〜10個、特に炭素原子7〜9個を有するもの;1,2−シクロヘキサン二酸アルキルエステル、1,3−シクロヘキサン二酸アルキルエステル及び1,4−シクロヘキサン二酸アルキルエステル、この場合に好ましくは1,2−シクロヘキサン二酸アルキルエステル、それぞれ好ましくは該側鎖中に炭素原子4〜13個を有するもの;グリコールの二安息香酸エステル;炭素原子8〜22個を有する好ましくは1個のアルキル基を有するフェノールのアルキルスルホン酸エステル;グリセリンエステル、遊離OH基又はカルボキシル化されたOH基及び例えば炭素原子4〜10個のアルキル基を有するクエン酸トリエステル、炭素原子4〜18個のアルキル基を有するアルキルピロリドン誘導体並びに安息香酸アルキルエステル、好ましくは該アルキル鎖中に炭素原子8〜13個を有するもの。全ての場合に、該アルキル基は、線状又は分枝鎖状であり、かつ同じか又は異なっていてよい。
【0019】
特に好ましくは、本発明による混合物中で、追加の可塑剤としてo−フタラートは使用されない。
【0020】
特別な実施態様において、本発明による組成物中で使用される追加の可塑剤のうちの少なくとも1種は、トリメリト酸トリアルキルエステルである。好ましくは、このトリメリト酸トリアルキルエステルは、炭素原子4〜10個を有するエステル側鎖を有し、その際に該エステル基は、同じ数又は互いに異なる数の炭素原子を有してよい。特に好ましくは、存在しているエステル基のうちの少なくとも1種は、エステル基1個当たり最小8個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最小9個の炭素原子を有する基及び極めて特に好ましくは最小10個の炭素原子を有する基である。
【0021】
更に特別な実施態様において、本発明による組成物中で使用される追加の可塑剤のうちの少なくとも1種は、アジピン酸ジアルキルエステルである。好ましくは、このアジピン酸ジアルキルエステルは、炭素原子4〜13個を有するエステル側鎖を有し、その際にここでも該エステル基は、同じ数又は互いに異なる数の炭素原子を有してよい。特に好ましくは、存在しているエステル基のうちの少なくとも1種は、エステル基1個当たり最小8個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最小10個の炭素原子を有する基及び極めて特に好ましくは13個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるアジピン酸ジアルキルエステルのうちの少なくとも1種は、アジピン酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジプロピルヘプチル又はアジピン酸ジイソトリデシルである。
【0022】
更に特別な実施態様において、本発明による組成物中で使用される追加の可塑剤のうちの少なくとも1種は、テレフタル酸ジアルキルエステルである。好ましくは、このテレフタル酸ジアルキルエステルは、炭素原子4〜10個を有するエステル側鎖を有し、その際にそしてまた該エステル基は、同じ数又は互いに異なる数の炭素原子を有してよい。特に好ましくは、存在しているエステル基のうちの少なくとも1種は、エステル基1個当たり最小4個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最小9個の炭素原子を有する基及び極めて特に好ましくは10個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるテレフタル酸ジアルキルエステルのうちの少なくとも1種は、テレフタル酸ジ−n−ヘプチル、テレフタル酸ジイソヘプチル、テレフタル酸ジ−n−ブチル、テレフタル酸ジ−(3−メチルブチル)、テレフタル酸ジ−n−ペンチル、テレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル又はテレフタル酸ジイソノニルである。
【0023】
更に特別な実施態様において、本発明による組成物中で使用される追加の可塑剤のうちの少なくとも1種は、シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステル、特に好ましくは1,2−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキルエステルである。好ましくは、このシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルは、炭素原子4〜13個を有するエステル側鎖を有し、その際にそしてまた該エステル基は、同じ数又は互いに異なる数の炭素原子を有してよい。特に好ましくは、存在しているエステル基のうちの少なくとも1種は、エステル基1個当たり最小5個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最小9個の炭素原子を有する基及び極めて特に好ましくは最小10個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルのうちの少なくとも1種は、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−ペンチルエステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−n−ヘプチルエステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソヘプチルエステル、又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−(3−メチルブチル)エステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシルエステル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシルエステル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−エチルヘキシルエステル、並びに1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルである。
【0024】
更に特別な実施態様において、本発明による組成物中で使用される追加の可塑剤のうちの少なくとも1種は、グリセリンエステル、特に好ましくはグリセリントリエステルである。該エステル基はその際に脂肪族並びに芳香族の構造のものであってよい。好ましくは、このグリセリンエステルは、炭素原子1〜9個を有するエステル側鎖を有し、その際にそしてまた該エステル基は、同じ数又は互いに異なる数の炭素原子を有してよく、並びに線状又は分枝鎖状、飽和又は不飽和であってよく、又は1個以上のエポキシド単位を有してもよい。特に好ましくは、存在しているエステル基のうちの少なくとも1種は、エステル基1個当たり最小2個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最小8個の炭素原子を有する基及び極めて特に好ましくは9個の炭素原子を有する基である。
更に好ましくは、炭素原子1〜24個を有するエステル側鎖を有するグリセリンエステルを使用することができ、その際にそしてまた該エステル基は、同じ数又は互いに異なる数の炭素原子を有してよい。特に好ましくは、該エステル基のうちの1種はヒドロキシステアリン酸であり、その際に該ヒドロキシ官能基は好ましくは同様に、特に好ましくはアセチル基により、エステル化されている。更に好ましくは、該エステル基のうちの少なくとも1種はラウリン酸である。
【0025】
更に特別な実施態様において、本発明による組成物中で使用される追加の可塑剤のうちの少なくとも1種は、遊離OH基又はカルボキシル化されたOH基を有するクエン酸トリエステルである。該エステル基はその際にここでも脂肪族並びに芳香族の構造のものであってよい。特に好ましいのは、カルボキシル化されたOH基を有するクエン酸トリアルキルエステルである。好ましくは、このクエン酸トリアルキルエステルは、炭素原子2〜10個を有するエステル側鎖を有し、その際にそしてまた該エステル基は、同じ数又は互いに異なる数の炭素原子を有してよい。特に好ましくは、存在しているエステル基のうちの少なくとも1種は、エステル基1個当たり最小4個の炭素原子を有する基、特に好ましくは最小8個の炭素原子を有する基及び極めて特に好ましくは最小9個の炭素原子を有する基である。特に、使用されるクエン酸エステルのうちの少なくとも1種は、アセチル−トリブチルシトラート、アセチル−トリ−n−ブチルシトラート、アセチル−トリ−n−ペンチルシトラート、アセチル−トリ−イソヘプチルシトラート、アセチル−トリ−2−エチルヘキシルシトラート又はアセチル−トリイソノニルシトラートである。
【0026】
好ましい実施態様において、使用される追加の可塑剤とフランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルとの質量比は、1:20〜20:1、特に好ましくは1:20〜10:1及び極めて特に好ましくは1:20〜5:1である。
【0027】
該可塑剤自体に加え、その製造方法も特許の保護が請求される。そのような方法は、以下の処理工程を含む:
a)化学量論的過剰量のC
11〜C
13−アルコールを、任意に触媒の存在下で、フランジカルボン酸又はフランジカルボン酸の相応して適した誘導体と、反応させる工程、
b)フランジカルボン酸又は相応して適した誘導体を完全に反応させてフランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルにした後に、過剰のアルコールを分離する工程及び
c)該反応混合物を後処理して、高純度の本発明による生成物の取得する工程。
【0028】
フランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルの選択的な製造方法は、次の処理工程を含む:
a)5−ヒドロキシメチルフルフラール及び/又は少なくとも1種のフラン誘導体を、炭素原子11〜13個を有する1種以上の脂肪族アルコール、並びに少なくとも1種の触媒及び少なくとも1種の酸素含有成分と接触させる工程、
b)前記の反応混合物を>0℃の温度に温度調節し、かつ酸化的エステル化を実施する工程、その際に"酸化的エステル化"の概念は、好ましくは1つの処理工程において、特に好ましくは1つの反応空間中での、酸化及びエステル化及び場合により該フラン誘導体の保護基の開裂の(任意の)組合せであると理解すべきである。
【0029】
本発明によるフランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルは、フランジカルボン酸のエステル化によるか、又は例えばフランジカルボン酸のメチルエステルからの、エステル交換により、製造することができる。
【0030】
2,5−フランジカルボン酸の異性体C
11〜C
13−ジアルキルエステルの本発明による製造方法は、2,5−フランジカルボン酸又はこの化合物のより短鎖のジアルキルエステル、好ましくは該ジメチルエステルが、異性体C
11〜C
13−アルコールの混合物と、触媒の任意の使用下に反応されることにより特徴付けられる。更に、該FDCAと塩素化剤、例えば塩化チオニルとの反応により得ることができる2,5−フランジカルボン酸二塩化物も、該フランジカルボン酸エステルの製造のための出発物質として使用することができる。
好ましくは、異性体C
11〜C
13−アルコールの混合物が使用され、特に異性体C
12〜C
13−アルコールの混合物及び極めて特に好ましくは異性体C
13−アルコールの混合物が使用される。
【0031】
該異性体アルコール混合物の製造
対応するアルコール混合物の製造方法は文献から知られている。最も重要な製造方法は、アルコールと比較して1個だけ炭素原子の少ない炭素数を有する対応するオレフィン又はオレフィン混合物をヒドロホルミル化し、次に対応するアルコール混合物に水素化する。トリデシルアルコールの製造の場合に、該製造は例えばトリブテン又はテトラプロピレン(C
12−オレフィン)から行われる。ヒドロホルミル化法は、独国特許出願公開(DE-A1)第199 55 593号明細書及び欧州特許出願公開(EP-A1)第1515934号明細書に記載されている。
【0032】
ヒドロホルミル化に使用されるオレフィンは全て同じ炭素原子数を有してよく、例えば、Octol法から副生物として得ることができるC
12−オレフィンは、トリブテンの名称でも知られている。市場で知られた異性体C
13−アルコールの混合物は、Sasolから販売されているMarlipal O13又はBASFのイソトリデカノールNである。
【0033】
更に、これらのオレフィンは、異なる炭素原子を有するオレフィンを含有し、例えばPolygas法から知られており、かつ例えばExxonMobil Chemical社により製造され、かつ該アルコールへ変換される蒸留留分に由来してもよい(例えばExxal 13)。これから得ることができるフタル酸エステル系可塑剤は、JAYFLEX DTDPとして何年も前から市場で知られている。
【0034】
ヒドロホルミル化により製造可能な該アルコールに加え、更なる方法も知られている。例えば、ここでは偶数の線状アルコールを製造するためのAlfol法、しかし脂肪酸又は脂肪酸エステル、特に脂肪酸メチルエステルの水素化も挙げることができる。対応するアルコールへの該アルデヒドの水素化方法についての概観は、例えば欧州特許出願公開(EP-A1)第1749572号明細書に見出される。
【0035】
エステル化
本発明によるエステルを製造するには、2,5−フランジカルボン酸又は反応性誘導体、例えば対応する二塩化物又は該ジメチルエステルが、異性体C
11〜C
13−アルコールの混合物と反応される。好ましくは、該エステル化は、フランジカルボン酸又はフランジカルボン酸ジメチルエステル及び特に好ましくはフランジカルボン酸ジメチルエステル及び対応するC
11〜C
13−アルコールから出発して、触媒を用いて行われる。
【0036】
C
11〜C
13−アルコール混合物でのフランジカルボン酸の、対応するエステルへのエステル化は、自触媒作用又は触媒作用により、例えばブレンステッド酸又はルイス酸を用いて、実施することができる。該触媒反応のどの種類が選択されても全く同じく、常に、該装入物質(酸及びアルコール)と、該生成物(エステル及び水)との間に温度に依存した平衡が生じる。該平衡を該エステルに有利に移動させるために、共沸剤を使用することができ、これを用いて該反応水が該バッチから除去される。該エステル化に使用されるアルコール混合物は、該フランジカルボン酸、それらの反応性誘導体及びそれらのエステルよりも低い沸点を有し、かつ水と溶解度ギャップを有するので、これらはしばしば共沸剤として使用され、該共沸剤は水分離後に再び該方法へ返送することができる。
【0037】
該エステルの形成に使用されるアルコールもしくは同時に共沸剤として利用される異性体C
11〜C
13−混合物は、過剰量で、好ましくは該エステルの形成に必要な量の5〜120質量%、特に10〜80質量%の過剰量で使用される。
【0038】
エステル化触媒として、酸、例えば硫酸、メタンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸、又は金属あるいはそれらの化合物を使用することができる。適しているのは例えばスズ、チタン、ジルコニウムであり、これらは、細かく分散した金属として又は好都合にはそれらの塩、酸化物又は可溶性有機化合物の形態で使用される。該金属触媒は、プロトン酸とは異なり、それらの全活性にしばしば180℃を上回る温度で初めて達する高温触媒である。しかしながら、この場合に、該フランジカルボン酸が190℃を上回る温度でCO
2を脱離する傾向を有し、次いでこれからそのモノカルボン酸が形成され、これがもちろん次いでもはや目的生成物に変換することができないことが顧慮されるべきである。フランジカルボン酸ジメチルエステルの使用の場合に、これらの欠点は存在しない。
【0039】
該金属触媒は、しかしながら好ましくは使用される、それというのも、これらは、プロトン触媒反応と比較して、あまり副生物、例えば使用されるアルコールからのオレフィンを形成しないからである。金属触媒の例示的な代表例は、スズ粉末、酸化スズ(II)、シュウ酸スズ(II)、チタン酸エステル、例えばオルトチタン酸テトライソプロピル又はオルトチタン酸テトラブチル並びにジルコニウムエステル、例えばジルコン酸テトラブチルである。
【0040】
該触媒濃度は、該触媒の種類に依存する。好ましくは使用されるチタン化合物の場合に、この濃度は該反応混合物を基準として、0.005〜2.0質量%、特に0.01〜0.5質量%、極めて特に0.01〜0.1質量%である。
【0041】
該反応温度は、チタン触媒の使用の際に160℃〜270℃、好ましくは160℃〜200℃である。該最適温度は、該装入物質、反応の進展及び該触媒濃度に依存する。これらは、それぞれ個々の場合について実験により容易に算出することができる。より高い温度は、該反応速度を高め、かつ副反応、例えばアルコールからの水脱離又は有色副生物の形成を促進する。該反応水の除去のためには、該アルコールを該反応混合物から留去できることが好都合である。所望の温度又は所望の温度範囲は、反応容器中の圧力により調節することができる。ゆえに該反応は、低沸点アルコールの場合に過圧で、より高沸点のアルコールの場合に減圧で実施される。例えば、FDCAと異性体トリデカノールの混合物との反応の際に、160℃〜190℃の温度範囲内で0.1MPa〜0.001MPaの圧力範囲内で操作される。
【0042】
該反応へ返送すべき液体量は、該共沸留出物の後処理により取得されるアルコールから部分的に又は完全になっていてよい。該後処理をより遅い時点で実施すること、及び除去される液体量を、完全にか又は部分的に新鮮なアルコールにより、すなわち貯蔵容器中に準備されているアルコールからの、置き換えることも可能である。
【0043】
該エステルに加え、アルコール、触媒又はその一連の生成物及び場合により副生物を含有する粗製エステル混合物は、それ自体として知られた方法により後処理される。該後処理は、その際に次の工程を含む:過剰のアルコール及び場合により低沸成分の分離、存在している酸の中和、任意に水蒸気蒸留又は不活性ガスでのストリッピング、該触媒の容易にろ過できる残留物への変換、該固体の分離及び場合により乾燥。その際に、使用される後処理方法に応じて、これらの工程の順序は異なっていてよい。
【0044】
任意に、フランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルの該混合物は、該反応混合物から、場合により該バッチの中和後に、蒸留により分離することができる。
【0045】
エステル交換
選択的に、本発明によるフランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルは、フラン−2,5−ジカルボン酸ジエステルとC
11〜C
13−アルコール混合物とのエステル交換により取得することができる。出発物質として、フラン−2,5−ジカルボン酸ジエステルが使用され、該エステル基の酸素原子に結合されたそれらのアルキル基は、炭素原子1〜10個を有する。これらの基は、脂肪族、直鎖状又は分枝鎖状、環式脂肪族又は芳香族であってよい。これらのアルキル基の1個以上のメチレン基は酸素により置換されていてよい。出発エステルの母体となるアルコールが、使用されるC
11〜C
13−アルコール混合物よりも低沸点であることは好都合である。好ましい装入物質は、フラン−2,5−ジカルボン酸ジメチルエステルである。
【0046】
該エステル交換は、触媒作用により、例えばブレンステッド酸又はルイス酸又は塩基を用いて実施される。どの触媒が使用されても全く同じく、常に、該装入物質フランジカルボン酸のジアルキルエステル及びC
11〜C
13−アルコール混合物と該生成物フランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステル及び遊離されるアルコールとの間の温度に依存した平衡が生じる。該平衡をフランジカルボン酸のC
11〜C
13−ジアルキルエステルに有利に移動させるために、出発エステルから生じるアルコールは、該反応混合物から留去される。ここでは、該C
11〜C
13−アルコール混合物を過剰量で使用することも好都合である。
【0047】
エステル交換触媒として、酸、例えば硫酸、メタンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸、又は金属あるいはそれらの化合物を使用することができる。適しているのは例えばスズ、チタン、ジルコニウムであり、これらは細かく分散した金属として又は好都合にはそれらの塩、酸化物又は可溶性有機化合物の形態で使用される。該金属触媒は、プロトン酸とは異なり、それらの全活性に180℃を上回る温度で初めて達する高温触媒である。これらは、しかしながら好ましくは使用される、それというのも、これらは、プロトン触媒反応と比較して、あまり副生物、例えば使用されるアルコールからのオレフィンを形成しないからである。金属触媒の例示的な代表例は、スズ粉末、酸化スズ(II)、シュウ酸スズ(II)、チタン酸エステル、例えばオルトチタン酸テトライソプロピル又はオルトチタン酸テトラブチル、オルトチタン酸テトライソトリデシル並びにジルコニウムエステル、例えばジルコン酸テトラブチル又はジルコン酸テトライソトリデシルである。
【0048】
更に、塩基性触媒、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩又はアルコラートを使用することができる。この群からは、好ましくはアルコラート、例えばナトリウムメチラートが使用される。アルコラートは、その場でアルカリ金属とC
11〜C
13−アルコールとから製造することもできる。
【0049】
該触媒濃度は、該触媒の種類に依存する。この濃度は通常、該反応混合物を基準として0.005〜2.0質量%である。
【0050】
該エステル交換のための反応温度は通常、100℃〜250℃である。これらの温度は少なくとも、該出発エステルから生じるアルコールが、所定の圧力、たいてい常圧で、該反応混合物から留去することができるように高くなければならない。
【0051】
該エステル交換混合物は、エステル化混合物について記載されたのとちょうど同じように後処理することができ、任意に、中和を省略することができる。
【0052】
本発明によるエステルに加え、ポリマー、特にPVC用の可塑剤として又は可塑剤におけるそれらの使用も特許の保護が請求される。
【0053】
更に、接着剤、シーラント、コーティング材料、塗料、ペイント、プラスチゾル、人造皮革、フロアカバリング、アンダーシール(Unterbodenschutz)、織物コーティング、ケーブル又は電線絶縁、押出し品における、並びにフィルム、特に自動車内部領域用のフィルムにおける及び壁紙又はインキにもおける、前記の本発明によるエステルの使用の特許の保護が請求される。
【0054】
更に、前記の可塑剤のうちの少なくとも1種を含有するポリマーの特許の保護が請求される。
【0055】
本発明による可塑剤は、ポリマーの改質に使用することができる。これらのポリマーは、次のものからなる群から好ましくは選択されている:
ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリラート、特にポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアルキルメタクリラート(PAMA)、フルオロポリマー、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール、特にポリビニルブチラール(PVB)、ポリスチレンポリマー、特にポリスチレン(PS)、発泡性ポリスチレン(EPS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリラートコポリマー(ASA)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、スチレン−無水マレイン酸コポリマー(SMA)、スチレン−メタクリル酸コポリマー、ポリオレフィン及び/又はポリオレフィンコポリマー、特にポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、ポリエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリスルフィド(PSu)、バイオポリマー、特にポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチラール(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエステル、デンプン、セルロース及びセルロース誘導体、特にニトロセルロース(NC)、エチルセルロース(EC)、酢酸セルロース(CA)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、ゴム又はシリコーン並びに前記のポリマー又はそれらのモノマー単位を有する混合物又はコポリマー。好ましくは、本発明によるポリマーは、PVC又は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、メタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又は炭素原子1〜10個を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状のアルコールの該エステル基の酸素原子に結合されたアルキル基を有するメタクリラート、スチレン、アクリロニトリル又は環状オレフィンをベースとするホモポリマー又はコポリマーを有する。
【0056】
特に好ましくは、該ポリマーは、ポリ酢酸ビニル、ポリアルキルメタクリラート又は塩化ビニルと、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、又はアクリル酸ブチルからなる群から選択される1種以上のモノマーとのコポリマーである。
【0057】
好ましくは、該ポリマーはPVCのタイプとして、懸濁重合PVC、バルク重合PVC、ミクロエマルジョン重合PVC又は乳化重合PVCを含有する。
【0058】
ポリマー100質量部を基準として、本発明によるポリマーは、好ましくは5〜200質量部、好ましくは10〜150質量部の可塑剤を含有する。
特定の場合に、可塑剤対ポリマーの比は1:15〜15:1の範囲内であってよい。
【0059】
本発明によるポリマーは、前記の成分に加え、充填剤、着色剤、熱安定剤、補助安定剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、粘度調節剤、防炎加工剤及び滑剤からなる群から特に選択されている添加剤を含有してよい。
【0060】
該熱安定剤は、とりわけ及び/又は該PVCの加工中及び/又は加工後に脱離した塩酸を中和し、かつ該ポリマーの熱分解を防止する。熱安定剤として、固形及び液状の形態の常用のあらゆるPVC安定剤が考慮に値し、例えばCa/Zn、Ba/Zn、Pb、Sn又は有機化合物(OBS)をベースとするもの、並びにまた酸を結合する層状ケイ酸塩、例えばハイドロタルサイト。本発明による混合物は、ポリマー100質量部当たり熱安定剤0.5〜12質量部、好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは1.5〜8質量部の含量を有してよい。
【0061】
いわゆる補助安定剤(すなわち、該熱安定剤の作用を延長する、改善する及び/又は補充する物質)として、例えば植物油誘導体、例えばエポキシ化大豆油又はエポキシ化あまに油を使用することができる。
【0062】
着色剤として、本発明の範囲内で、無機着色剤並びに有機着色剤を使用することができる。着色剤の含量は、ポリマー100質量部当たり、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。無機着色剤の例はTiO
2、CdS、CoO/Al
2O
3、Cr
2O
3である。公知の有機着色剤は、例えばアゾ染料、フタロシアニン着色剤、ジオキサジン着色剤並びにアニリン着色剤である。
【0063】
本発明によるポリマーは、技術水準に対応するあらゆる充填剤を含有してよい。そのような充填剤の例は、鉱物質及び/又は合成及び/又は天然の、有機及び/又は無機の材料、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、層状ケイ酸塩、工業用カーボンブラック、ビチューメン、木材(例えば粉末化されたもの、粒状物、微粒状物、繊維等として)、紙、天然繊維及び/又は合成繊維等である。特に好ましくは、使用される充填剤のうちの少なくとも1種は、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムマグネシウムである。
【0064】
本発明によるエステルは、好ましくは液体として、特にポンプ輸送可能な液体として存在する。
【0065】
本発明による可塑剤は、接着剤、シーラント、塗料、ペイント、プラスチゾル、人造皮革、フロアカバリング、アンダーシール、織物コーティング、ケーブル、壁紙又はインキにおいて使用することができる。特に好ましいのは、高温ケーブル及び自動車内装品、例えば計器板用のフィルムにおける使用である。
【0066】
本発明の更なる対象は、本発明によるポリマーを含有する成形体又はフィルムである。
【0067】
これらの成形体又はフィルムは、好ましくは、フロアカバリング、壁装材、ホース、異形材、ルーフィングシート(Dachbahn)、シーリングシート、ケーブルシース及び線材外装、防水シート、広告横断幕、人造皮革、包装フィルム、医療用品、玩具、パッキン(Dichtung)、装置品である。特に好ましくは、該成形体又は該フィルムは、高温ケーブル用のケーブルシース又は自動車内装品の構成要素、特に計器板用のフィルムである。
【0068】
次の実施例は、本発明を説明するものであるが、明細書及び特許請求の範囲からもたらされる本発明の適用範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0069】
例1:フラン−2,5−ジカルボン酸ジイソトリデシルエステルの合成
載置した強力冷却器、撹拌機、浸漬管(Tauchrohr)、滴下漏斗及び温度計を備えた水分離器付き4リットル撹拌フラスコ中に、フラン−2,5−ジカルボン酸234g(1.5モル)、オルトチタン酸テトラブチル0.59g(フラン−2,5−ジカルボン酸を基準として0.25質量%)及びOCTOL法により製造されたイソトリデカノール(Marlipal O13、Sasol社)1200g(6モル)を装入し、170℃でエステル化した。26時間後に、該反応は終わっており、その後、210℃及び3mbarで過剰のアルコールを留去した。引き続き、80℃に冷却し、10質量%NaOH水溶液2mlで中和した。引き続いて、200℃及び30mbarの圧力で、窒素でのストリッピングにより精製を実施した。そのためには、最大真空(5m
3/hの吸引能力で1mbar)で、該圧力を該窒素流により調節した。その後、該バッチを100℃に冷却した後にろ過した。GCによれば、>99.5%のエステル含量が得られた。
【0070】
例2(比較例):フタル酸ジイソトリデシルエステルの合成
載置した強力冷却器、撹拌機、浸漬管、滴下漏斗及び温度計を備えた水分離器付き4リットル撹拌フラスコ中に、無水フタル酸(Fluka)592g(4モル)、オルトチタン酸テトラブチル0.71g(無水フタル酸を基準として0.25質量%)及びOCTOL法により製造されたイソトリデカノール(Marlipal O13、Sasol社)2000g(10モル)を装入し、240℃でエステル化した。3時間後に、該反応は終わっており、その後、210℃及び3mbarで過剰のアルコールを留去した。引き続き、80℃に冷却し、10質量%NaOH水溶液6mlで中和した。引き続いて、200℃で水蒸気蒸留(エステルの量を基準として水8質量%)を実施した。その後、該バッチを100℃に冷却した後にろ過した。GCによれば、>99.5%のエステル含量が得られた。
【0071】
例3(比較例):テレフタル酸ジイソトリデシルエステルの合成
例3を例2のように実施したが、しかしながら、無水フタル酸の代わりにテレフタル酸(Merck)664g(4モル)を使用した点で相違する。変更された酸量に対応して、該触媒量も適合させた。GCによれば、>99.5%のエステル含量が得られた。
【0072】
例4:溶解温度の測定
該溶解温度は、可塑剤のゲル化性への重要な示唆である。
【0073】
該試験の説明:
150mlガラスビーカー中に、例1〜3の対応する可塑剤96g及びPVC's Lacovyl PB 1704 H(Arkema社)4gをはかり入れる。該混合物に、磁石撹拌子及び三脚に固定した内部温度計(範囲:0℃〜250℃、表示精度:0.5℃)を入れる。ワイヤ又は粘着テープを用いて、該ビーカーの裏面に、書体"Times New Roman"の、フォントサイズ12の字面"Loesetemperatur"(溶解温度)を有する紙片を、該字面が該ガラスビーカーを通して見えるように固定した。
【0074】
その後、加熱可能な実験室用撹拌装置(MR-Hei-Standard)の加熱板を200℃にかつ回転数を600rpmに調節する。140℃の該液体の内部温度に達した後に、該設定温度を再度250℃により高く調節した。該字面が、該液体を通してちょうど明瞭に判読できるようになった際に、該溶解温度に達している。
【0075】
結果:(2個の測定の丸めた平均値)
例1(フラノアート):159℃
例2(フタラート):161℃
例3(テレフタラート):185℃より大きい(中止)。
【0076】
該テレフタラートの溶解温度は、測定することができなかった、それというのも、185℃を上回るとPVC分解を考慮すべきであり、そのために該実験が中止されたからである。
【0077】
本発明によるフラノアートは、最も低い溶解温度を示す。このことは、本発明によるフラノアートが、例2及び3の可塑剤よりも低い加工温度を有することを意味する。
【0078】
例5:ドライブレンドの製造、その可塑剤吸収量及びそのトルクの測定
本発明によるエステルを用いて達成可能な有利な性質は、以下に、ドライブレンドと呼ばれる乾燥混合物及びこれらから得ることができる半製品について例示的に示される。
【0079】
例1〜3の可塑剤を用いて製造される配合物は、以下の第1表に示されている。これを用いて、特にケーブル絶縁及び電線絶縁を製造することができる。
【0080】
第1表:該乾燥混合物の配合
(全ての記載は質量部)
【表1】
【0081】
使用される材料及び物質は、以下により詳細に説明される:
Solvin S 271 PC:71のK値(DIN EN ISO 1628-2により測定)を有する懸濁重合PVC;SOLVIN S. A.社
OMYA BSH:炭酸カルシウム系鉱物質充填剤、OMYA社
Baeropan MC 8890 KA/2:高温用途用のCa/Zn系熱安定剤、Baerlocher社。
【0082】
該ドライブレンドの製造を、ブラベンダープラネタリミキサー中で行った。脱イオン水の充填されたサーモスタット(Lauda社RC6)を、プラネタリミキサー上の混合容器の温度調節のために用意した。PCは、ミキサーからデータケーブルを経て送られたデータをソフトウェア"Winmix"中で記録した。
【0083】
該ソフトウェア"Winmix"を通じて、ブラベンダープラネタリミキサー上で次のパラメーターに調節した。
回転数プログラム:アクティブ
プロフィル:回転数50rpm;保持時間:9分;上昇時間:1分
回転数100rpm;保持時間:20分
混練温度:88℃
測定範囲:2Nm
減衰:3。
【0084】
サーモスタットで、90℃の温度に調節し、ホース接続を介して、該混合容器をブラベンダー上で温度調節した。該混合容器中の温度は、1時間の温度調節時間後に88℃であった。該プラネタリミキサーが自己校正を実施した後に、前もってはかり(Mettler社、型式XS6002S)上で四倍量でPEカップ中へはかり入れた固形成分(PVC、充填剤、安定剤)を、該混合容器に、固体ホッパー及びブラベンダー混合容器上の存在している供給口を経て供給した。該プログラムを開始し、該粉末混合物を10分間混合容器中で撹拌し、温度調節した後で、同様に四倍量ではかり上でPEカップ中ではかった該液状成分を、液体ホッパー及びブラベンダー混合容器上の存在している供給口を経て供給した。該混合物を更に20分間、該プラネタリミキサー中で撹拌した。該プログラムの終了後に、完成した乾燥混合物(粉末)を採取した。伝送するトルク−時間線図を、BRABENDERソフトウェアにより評価した。該液状成分の添加後に、明らかな曲線上昇を認識することができる。該曲線が再び明らかに低下する際に初めて、該可塑剤吸収は完了している。これら双方の点の時間差は、該可塑剤吸収時間(いわゆるドライブレンド時間)である。最大トルクは、プログラムにより自動的に評価する。可塑剤吸収量並びに該乾燥混合物の製造の際に測定される最大トルクは、第2表に示されている。
【0085】
第2表:
該液状配合成分の吸収量について、予め温度調節されたPVCにより必要とされる時間(可塑剤吸収量)及び該乾燥混合物の製造の際に測定される最大トルク
【表2】
【0086】
該可塑剤吸収量についてのより少ない時間と結び付いたより短い混合時間により、本発明による混合物の加工速度は、技術水準からの比較配合物よりも明らかに大きい。該テレフタラートは、該測定条件下では、PVCにより十分に吸収されないように思われる。本発明による可塑剤の使用は、技術水準に比べてより高い加工速度を可能にするドライブレンドを提供することができるようにする。
【0087】
例6:ドライブレンドからの分出シート及びプレスシートの製造
例5に記載されたドライブレンドから、分出シートを製造する。該分出シートの製造を、Collin社のカレンダーW150 AP上で行った。Collin社の該カレンダーは、自動試料巻付け機(automatischen Probenumleger)を有し、かつ追加のオイルサーモスタット(Single社、型式:STO 1-6-12-DM)により温度調節される。その制御をCollin社のソフトウェアにより行う。次のパラメーターをカレンダー上で調節した:
ロール温度[℃]:170
ロール練り時間[min]:5分。
【0088】
該分出シートを製造するための五段階のプログラム
第1段階:該ドライブレンドの可塑化
第2段階:ロール間隙の変更
第3段階:溶融物の混合
第4段階:分出シート最適化
第5段階:分出シート取りはずし。
【0089】
該ロール温度に達した後に、該ロール間隙を校正した。該測定の開始時に、該ロール間隙を0.2mmに調節した。例5からのドライブレンドそれぞれ160gをはかり入れ、動いていないロールの場合にそのロール間隙へ入れた。該プログラムを開始した。該ロール練りを、5rpmの回転数及び20%のフリクションで開始した。約1分後に、該可塑化は大部分が完結しており、該ロール間隙を0.5mmに拡大した。6回の均質化を、自動巻付けユニットを用いて該カレンダー上で行った。5分後に、該分出シートを、該ロールから取り除き、冷却した。
【0090】
該テレフタラート含有ドライブレンド(例3によるエステル、例5からのドライブレンドC)から、前記の条件下でも、10℃だけ高められた温度でも、分出シートを製造することができなかった、それというのも、該ロール上で可塑化を達成することができなかったからである。
ゆえに、該テレフタラート含有ドライブレンド(例C)は更なる調査においてもはや顧慮されなかった。
【0091】
該プレスシートの製造
該プレスシートを、Collin社の実験室用プレス上で製造した。予め製造された分出シート(上記参照)を、該プレスシートの製造に使用した。該分出シートの側縁部を、切断機を用いて取り除き、該分出シートを引き続き約14.5*14.5cmの大きさの塊へ切断した。1mm厚さのプレスシートについては、各2個の分出シート塊を合金鋼製の15*15cmの大きさのプレスフレーム中に置いた。
【0092】
次のパラメーターを、該実験室用プレス上で調節した:
三相のプログラム:
相1:双方のプレート175°;プレスシート圧:5bar;相時間:60秒。
相2:双方のプレート175°;プレスシート圧:200bar;相時間:120秒。
相3:双方のプレート40°;プレスシート圧:200バール、相時間270秒。
【0093】
過剰のプレスリップを、該プレスシートの製造後に取り除いた。
【0094】
例7:
ショア硬さ(ショアD)の測定によるプレスシートでの可塑化作用もしくは可塑剤効率の測定
ショア硬さは、試験体の柔らかさの尺度である。特定の測定期間で、規格化されたニードルが、該試験体中へより多く侵入できればできるほど、該測定値はますます低くなる結果となる。最も高い効率を有する可塑剤は、同じ可塑剤量の場合に、ショア硬さの最も低い値が得られる。実地において配合/配合物はしばしば特定のショア硬さに基づいて調節されるもしくは最適化されるので、極めて効率的な可塑剤の場合に、それに応じて、該配合物中の特定割合を節約することができ、このことは、加工業者にとってコスト低下を意味する。
【0095】
該硬さ測定を、25℃でDIN 53 505により、Zwick-Roell社のショアD測定装置を用いて実施し(6個の平行平面の1mmの厚さのプレートを積み重ねる)、その測定値をそれぞれ3秒後に読み取った。各試験体(例6により製造される)について、異なる3箇所での測定を実施し、平均値が形成された。
【0096】
この場合に、該ショア硬さの測定を、該試験体の製造24時間後に(25℃での貯蔵)初めて行ったことがコメントされる。該硬さ測定の結果は第3表にまとめられている。
【0097】
第3表:例6により製造されたプレスシートのショアDによる硬さ
【表3】
【0098】
それゆえ、比較生成物として使用されるフタル酸エステル系可塑剤に比べて、改善された効率を有し、ゆえに特により少ない配合コストをもたらす可塑化されたプラスチックが自由に利用できる。
【0099】
例8:試験体からの該可塑剤の揮発性
例6からの試験体を、120℃で空気循環乾燥器(Memmert社)中に7日間貯蔵した。各秤量前に、該試料を1時間、デシケーター中で室温で温度調節した。
【0100】
結果(それぞれ6個の試料からの平均値):
減量 例1(フランジカルボキシラート):0.72%
減量 例2(フタラート):0.85%。
【0101】
本発明による生成物は、相応する比較例C
13−フタラートに比べてより少ない揮発性を有する。それゆえ、対応する軟質PVC製品は、より長い寿命を有することになる。