(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
いくつかの参考文献が本特許明細書の開示部分の最後に列挙され、これらは括弧付きの数字によって以下に示されている。本特許明細書において特定されるこれら参考文献並びに先行特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
米国において、乳癌の死亡率は、女性において、肺癌に次ぐ第2位を占める。X線マンモグラフィーは、その早期腫瘍発見における役割のために、米国では、乳癌スクリーニング、診断及び評価に最も一般的に使用されるツールである。マンモグラフィーは、乳房内の正常及び異常構造を可視化するよう使用される、内部乳癌組織のX線画像である。マンモグラムは、手による触診が可能となる前に、乳房腫瘤及び/又は乳房石灰沈着を示す場合が多いために、癌の早期発見を可能にする。
【0005】
スクリーニング用X線マンモグラフィーは、乳癌の早期発見のために最も有効な方法として認識されているが、場合によっては、検出された異常が癌性病巣か良性病巣のいずれであるかを判定することが困難であり得ることが課題となっている。これに関する1つの理由は、マンモグラムMpは、三次元構造を表す二次元投影画像であり、圧縮された乳房内の重なり合う構造が、画像の解釈及び診断を混乱させ得ることである。第2番目の理由は、画像を得るためにしばしば使用されるX線が、望ましい信号ノイズ比(SNR)を達成するのに役立つ範囲内にあるエネルギーではあるが、同時に異なる臨床的重要性を有し得る乳房構造によってX線が同様な程度まで減衰されることを引き起こし得るエネルギーを有することである。
【0006】
乳房X線の感度及び特異性を改善するための試みは、乳房トモシンセシスシステムの開発を含んだ。乳房トモシンセシスは、短いスキャン中に複数の角度で静止圧縮された乳房の画像を取得することを伴う三次元撮像法である。乳房に対して撮像用X線ビームの対応の角度で撮影された個々の投影トモシンセシス画像Tpが、次いで乳房の対応のスライスをそれぞれ表す一連の再構成されたトモシンセシススライス画像にコンピュータ処理される。Tp及び/又はTr画像は、別個に又は同時に若しくは動的シネモードで表示され得る。乳房トモシンセシスマンモグラフィー[参考文献14〜19]は、典型的には、フィールドデジタルマンモグラフィー(FFDM)プラットフォームを使用する。一例では、X線管が乳房の上で弧を描いて動き、一連の11〜22の低線量X線2−Dトモシンセシス投影画像Tpが得られる。全ての2−Dトモシンセシス投影画像Tpからの線量の和は、単一の従来のデジタルマンモグラムMpからの線量と同様である。これら低線量2−Dトモシンセシス投影画像Tpは、各スライスが、例えば1〜5mmの厚さである乳房のスライスをそれぞれ表す一連の3−Dスライス画像Trに再構成される。このスライス画像は、典型的には、画像取得中に乳房を支持するプラットフォームに平行な平面に一致するが、異なって配向されることもできる。従来のマンモグラフィーと比較された乳房トモシンセシスの利点は、単一のマンモグラムよりはむしろ一連のスライスとして乳房を表示すことによって、従来のマンモグラムにおいて存在する積層した組織の大部分が除去されたために、病巣がより大きな鮮明度で見ることができることである。
【0007】
再構成されたトモシンセシススライス画像Trは、二次元マンモグラフィー撮像法における組織の重なり合い及び構造ノイズによって生じる問題を低減又は排除する。デジタル乳房トモシンセシスはまた、低減された乳房圧縮、改善された診断及びスクリーニング精度、より少ない再検査、及び3D病巣局在化の可能性を提供する。マルチモード乳房トモシンセシス/マンモグラフィーシステムは、共通の譲受人に譲渡された米国特許第7,869,563号に記載されている。乳房トモシンセシス及びマンモグラフィーの他の態様は、共通の譲受人に譲渡された米国特許第7,991,106号、同第7,760,924号、同第7,702,142号及び同第7,245,694号に記載され、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
乳房X線撮像法において良性の異常から乳癌を識別するうえでの課題を解決するための試みにおいては、造影強化及び二重エネルギー撮像法が検討されてきた。造影強化撮像法では、ヨウ素系であり得る造影剤が、典型的には乳房から離れた静脈内の注射を通して、乳房内に導入され、造影剤が乳房に届いた後に(並びにその前でも可能)、X線画像が撮影される。造影剤は、乳房内の血管分布状態を強調表示することに役立つ。乳房内の造影剤の到着の前後に撮影された同一の乳房の画像が互いから減算され(並びに2つの画像が撮影された時間の間に乳房の動作がない場合)、乳房の血管分布状態が、得られた減算画像において更により鮮明に現れ得る。乳癌は腫瘍近辺の小血管の形成を増加させる血管形成因子を放出すると考えられているために、このことは、癌を良性組織から識別する上で補助することができる(1、2)。(括弧内のアラビア数字は、本特許明細書の最後で列挙される対応の刊行物を指す)。乳癌の成長は、血管形成に依存すること、並びにこれら血管が、増加した透過性を有しかつしばしば蛇行性であることで、これら血管は正常の血管と異なると考えられる。腫瘍周囲の血管の撮像は、乳癌の改善された発見を可能にすると考えられる。
【0009】
MRI(磁気共鳴撮像法)は、乳癌近辺の血管網を撮像することによって、乳癌を特性化するために造影強化とともに使用され得る(3)。造影強化乳癌MRI(CEMRI)は、乳癌を撮像することで有効であり得るが、これは、高コスト、長い処置時間、線維腺腫などの良性の異常の増強、金属製クリップを着用した又は閉所恐怖症を有する女性を撮像するための不能性を含む制限を有する。典型的には、CEMRIにおいて使用される造影剤は、ガドリニウム系であり、X線撮像法で使用される造影剤とは異なる。
【0010】
また、X線撮像法は、癌の発見を改善するために、造影強化を使用することができる。X線法と共にヨウ素などの造影剤の使用は、乳癌の近辺の血管網を撮像するために示唆されてきた。これらX線撮像法としては、乳房CT(4、5)、乳房トモシンセシス(6、7)及びデジタルマンモグラフィー(8〜13)が挙げられる。造影強化X線マンモグラフィー(CEM)は、乳癌の被視認性を完全することが可能である(8〜13)。良性病巣の増強がより少ないために、CEMはCEMRIと比較して改善された特異性を提供し得ることも示唆される(13)。これら研究は、小規模であり、より大規模な検査で検証を行う必要があり得る。
【0011】
X線マンモグラフィーでは、2つの方法を使用して、造影強化マンモグラフィーが評価されてきた。第1の方法は、造影前及び造影後に得られた画像の減算を伴う(9)。この方法は、時間減算と呼ばれる。第2の方法は、二重エネルギー造影撮像法と呼ばれる。この方法では、造影剤の注射後に低エネルギー及び高エネルギーで、画像が取得される。この画像は、ヨウ素系造影剤が使用される場合、ヨウ素のk端の上下のエネルギー(33.2keV)で画像が取得される。k端の直上のX線エネルギーで、X線の吸収は増加され、高エネルギー画像においてヨウ素造影剤からの造影を増加させる。これら2つの画像の減算は、正常な乳房の解剖学的構造の造影を抑制すると同時に、ヨウ素造影を増強する。二重エネルギー造影画像撮影マンモグラフィーの利点は、双方の画像が非常に短時間で取得され得ることであり、したがって、画像は患者の動作でほとんど減算され得ない。典型的には、2つの画像の取得を離間する時間が1分を超えているために、これは造影前画像及び造影後画像の減算には当てはまらない。
【0012】
任意のX線撮像システムの1つの目標は、誤検知又は有病誤診の診断の発生を低減するために、最高品質の画像を得ることである。現行の設計における特異性及び感度に関連する課題点を軽減するために、X線画像を取得するためのシステム及び方法を特定することが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本特許明細書に記載されるシステム及び方法の例は、二次元(2D)、三次元(3D)、二重エネルギー(DE)及び造影強化(CE)撮像法を含む1つ以上の画像取得モードの利点を活用しかつ組み合わせて、改善された感度及び特異性で、並びにより有効なスクリーニング及び診断のための利点で、放射線医師のためのより大きな便利性及び良好な患者のワークフローで乳房撮像システムを提供する。
【0017】
一例によるシステムは、1つ以上のX線フィルターを含むX線源と、撮像用X線検出器と、患者の乳房などの撮像対象の物体を固定するためのX線源と検出器との間に配置された固定機構とを有する。画像取得中に、X線フィルター及びX線kVが挙げられるがこれらに限定されない、1つ以上のX線源取得パラメータを変更することによって、2つ又はそれ以上の異なるエネルギー範囲のX線が、X線供給源によって発生される。X線は、撮像対象の物体を通って伝搬し、検出器によって受け取られる。撮像対象の物体の組成が、減衰、吸収及び散乱などの機構を通してX線を変調し、検出された画像内で相対的により明るい又は暗い領域を与える。検出された画像は、コンピュータ処理手法を用いて処理され、得られた画像が放射線医師のワークステーションで保存され及び/又は表示され得る。
【0018】
このシステムは、画像取得を制御するための制御モジュールを有してもよく、この制御モジュールは、ユーザーが画像取得及び/又は画像処理の1つ以上のモードを選択することを許可するユーザーインターフェースを有する。ユーザーインターフェースは、ディスプレイに連結されたコンピュータシステムで実行するコンピュータプログラムと相互作用するキーパッド、タッチパッド、ジョイスティック又は他の入力機構を備えてもよい。かかるユーザーインターフェースは、乳房撮像装置の受容能力に応じて、2Dマンモグラフィーモード、3Dトモシンセシス撮像モード又は組み合わせ2D/3D撮像モードなどの画像取得モードの選択を可能にすることができる。
【0019】
あるいは(又はこれに組み合わせて)、このインターフェースは、それぞれの選択された撮像モード内の特定の取得パラメータ及び取得プロセスを介して、画像取得のカスタマイゼーション更に可能にすることができる。例えば、このシステムは、2D、3D又は組み合わせ(コンボ)モードで取得された少なくとも1つの画像に関して、二重エネルギー画像取得プロセスを実施するよう適合される。これに加えて、システムは、二重エネルギー2D、2D及び/又はコンボモードで取得された画像に関して、背景除去画像取得プロセスを実行するよう構成され得る。
【0020】
各画像モード内での様々な撮像プロセスの選択を可能にすることに加えて、このシステムは、ユーザーが所定のモード又はプロセスの取得パラメータをカスタマイズすることを可能にする。したがって、このシステムは、ユーザーが、造影剤、kV、mA、画像タイミング、及びX線フィルター型などの取得パラメータを特定することを可能にする。本明細書で後により詳細に記載されるように、パラメータの選択は、トモシンセシス取得中の連続投影画像Tp間などの異なる2D画像取得間で変更されてもよく、並びに造影剤を導入するためのタイミングに関係して撮像を引き起こすために、変更されてもよい。
【0021】
取得モード及び操作パラメータの選択を可能にすることに加えて、ユーザーインターフェースは、3D再構成プロセス(後方投影、前方投影、荷重による等)、ノイズフィルタリングアルゴリズム、荷重の差の有無での異なるエネルギー画像の減算、荷重の差の有無での異なるエネルギー画像の付加等を含む、獲得された画像で使用される画像処理の様々な形の選択を可能にすることができる。あるいは、制御モジュールが、選択された取得モードに従って、又は選択された操作パラメータに従って、若しくはこれらの組み合わせに従って、画像処理の好ましい方法を選択するようプログラムされてもよい。
【0022】
ここで、これらの特徴又は他の特徴が、図面を参照してより詳細に記載される。
【0024】
1つの例は、マンモグラフィー及び乳房トモシンセシスのために最適化されるX線画像取得システムであり、これは、二重エネルギー撮像法及び造影剤の使用のために更に修正される。更なる修正のための基準としての役割を果たし得る1つのシステムは、Bedford MassachusettsのHologic,Inc.で製造され販売されるSelenia(登録商標)Dimensions(登録商標)トモシンセシス撮像システムである。このシステムは、2D及び3Dモードのいずれか又は双方で画像を取得することが可能なコンボモードシステムであるが、これが好適なシステムの唯一の例でないこと、トモシンセシスのみのシステムもまた修正のための基準としての役割を果たし得ること、並びにマンモグラフィーのみのシステムのいくつかの態様もまた、更なる修正のための基準として有用であることは明白でなければならない。したがって、本特許明細書に記載されるシステム及び方法は、要求されるプロセスを実行するよう使用され又は修正され得る特定の出発システムに限定されない。出発システムの例のある態様が、上述の同一の譲受人の特許で記載されている。
【0025】
図1〜3は、以下に記載の二重エネルギーのために好適な付加又は修正を伴う、本特許明細書に記載されるプロセスを実行し得る、マルチモードのマンモグラフィー/トモシンセシスシステムの非限定的な例の様々な構成要素を示す。このシステムは、ガントリー100と、データ取得ワークステーション102とを備える。ガントリー100は、水平軸402の回りで旋回するよう、そこに回転可能に固定されて、かつX線管アセンブリ108を運ぶ管アームアセンブリ106を支持するハウジング104を有する。X線管アセンブリ108は、(1)公称寸法0.3mmのラージスポットと公称寸法0.1mmのスモールスポットなどの焦点スポットを備える、3〜400mAsの範囲などのmAsで、20〜50kVなどの選択された範囲内でX線エネルギーを発生するX線管、(2)モリブデン、ロジウム、アルミニウム、銅、ヨウ化セシウム、銀及びスズフィルターなどの複数のX線フィルターのための支持体、及び(3)75cmなどの最大線源画像間距離で、このシステム内に含まれるX腺画像受容体502の画像平面で測定される場合、7×8cmの長方形から24×29cmの長方形までの範囲において、X線を焦点スポットから選択的にコリメートする調整可能なコリメーションアセンブリを含む。同一の軸402(又は異なる軸)の回りの回転のために、更にハウジング104上に取り付けられているものは、圧縮アームアセンブリ110であり、この圧縮アームアセンブリは、圧縮板又はパドル122と、乳房板又はプラットフォームとして働き、画像検出器サブシステム系117を封入する、上面116を有する受容体ハウジング114とを備え、この画像検出器サブシステム系は、フラットパネルX線撮像受容体502(
図2)と、格納式散乱線除去グリッドと、散乱線除去グリッドを、撮像用X線ビームがこのグリッドを通過する位置とグリッドが撮像用X線の外側にある位置との間で駆動させかつ撤退させるための機構とを備える。ハウジング104はまた、特定の患者又は画像撮影位置に適応させるための管アームアセンブリ106と圧縮アームアセンブリ110を上下に移動させるための上下移動アセンブリ404と、異なる撮像位置に関して水平軸の回りで管アームアセンブリ106を回転させるための管アームアセンブリ回転機構と、異なる操作モードに適応させるように水平軸の回りで検出サブシステム117の構成要素を回転させるため検出器サブシステム回転機構と、管アームアセンブリ106と圧縮アームアセンブリ110を互いに選択的に連結し又は分離し、管アームアセンブリ106と検出器サブシステム117を互いに選択的に連結し又は分離する連結/分離機構とを封入する。ハウジング104は更に、好適なモーターと、本明細書で説明される機能を実施するための電気的及び機械的構成要素並びに接続部分とを封入する。
図2に概略的に図示される患者シールド200は、圧縮アームアセンブリ110に固定され、回転するX線管アームアセンブリ106と患者の接触に対して機械的インターロックを提供することができる。ワークステーション102は、Selenia(登録商標)マンモグラフィーシステム及びSelenia(登録商標)Dimensions(登録商標)コンボシステムにおけるものと同様な構成要素を備え、これらは、ディスプレイスクリーン(典型的には、タッチスクリーン機能を含み得るフラットなパネルディスプレイ)、キーボード、可能であればタッチスクリーン、及びマウス又はトラックボールなどのユーザーインターフェース装置、並びに様々なスイッチ及び表示ランプ及び/又はディスプレイが挙げられる。ワークステーション102はまた、ガントリー100を制御するために、並びにガントリー100から受け取られたデータを処理し、保存し、及び表示するために、Selenia(登録商標)及びSelenia(登録商標)Dimension(登録商標)システムと同様のコンピュータ設備を含む(しかしながら、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの違いを通して適応される)。X線管アセンブリ108用の発電設備は、ハウジング104内又はワークステーション102内に組み込まれてもよい。電源118は、ワークステーション102に電力供給する。ガントリー100及びワークステーション102はデータ交換し、概略的に図示された接続部120全体にわたって制御する。
【0026】
図3に示すように、画像などの情報を保存するため及び/又は先に取得された画像及びソフトウェアなどの情報をワークステーション102に提供するための1つ以上の光ディスクドライブ、若しくはローカルプリンター(図示せず)などの追加的保存設備602が、ワークステーション102に接続され得る。これに加えて、開示されたシステムは、病院又はローカルエリア若しくは他のネットワーク604に接続され得、このネットワークを通して、ソフトコピーワークステーション606、異常の可能性があるものを特定するマンモグラフィー及び/又はトモシンセシス画像をコンピュータ処理するためのCAD(コンピュータ補助検出)ステーション608、画像を印刷するための画像プリンター610、技術者ワークステーション612、他のマンモグラフィーシステム又は画像及び/又は他の情報交換用の他の診断法のためのシステムなどの他の撮像システム614などの他のシステムに、並びに画像及び他の情報を保管し及び/又は画像データ及び他の情報を検索するためのPACS(画像データ保管通信)システムに送られる。
【0027】
マンモグラフィーをスクリーニングするために典型的に使用される標準的マンモグラフィーモードにおいては、管アームアセンブリ106及び圧縮アームアセンブリ110が連結され、
図1に見られるような位置に対して一緒にロックされることで、患者の乳房が圧縮装置112によって圧縮される場合、X線管アセンブリ108からのX線ビームがX線受容体502を照射する。このモードにおいて、このシステムは、マンモグラムを撮影するために、前述したSelenia(登録商標)システムと同様に動作する。上下移動アセンブリ404及び管アーム回転機構は、患者に適応するように垂直方向の調整を実行し、CC又はMLOなどのための異なる画像の方向に対して、管アームアセンブリ106と圧縮アームアセンブリ110とを一緒に1つのユニットとして水平軸の回りを回転させることができる。例えば、管アームアセンブリ106及び圧縮アームアセンブリ110は、軸の回りで、(−19.5度)と(+15.0度)の間で回転することができる。Selenia(登録商標)システムでは、圧縮装置112は、異なる画像の方向に対して調整するために、患者の胸壁に沿う方向で横方向に移動し得る圧縮パドル122を含む。この圧縮パドルは、複数のタイプのパドルのうちのいずれか1つを備えることができ、パドルのタイプとしては、限定されるものではないが、フルパドル、スポットパドル、又は湾曲形パドル(以下に記載される造影画像取得プロセスにおける使用には、これが好ましい場合がある)が挙げられ、上記で特定された同一の譲受人の特許で記載されているように、バネ伏勢に対して傾くよう及び/又は横方向に移動するよう構成されてもよい。
【0028】
トモシンセシスモードにおいては、例えば前述のSelenia(登録商標)Dimensions(登録商標)システムで使用されるように、並びに前述の米国特許第7,869,563号に記載されるように、圧縮アームアセンブリ110が患者の乳房を圧縮しながら、1つの位置に留まり、一方管アームアセンブリ106が、例えば圧縮アームアセンブリ110に対して+/−15度で水平軸の回りを回転するように、管アームアセンブリ106及び圧縮アームアセンブリ110が分離される。トモシンセシスが異なる画像の向きに関して実行され得ることで、圧縮アームアセンブリ110は、所望の画像の向きに関して水平軸の回りを回転し(単独で又はアセンブリ106と一緒に)、適所にロックされ得、次いで管アームアセンブリ106が、+/−15度又はいくつかの他の所望の角度範囲にわたって、トモシンセシス撮像のために圧縮アームアセンブリ110のこの位置に対して回転され得る。例えば、低線量トモシンセシスは、7つの投影画像の領域内での収集のために、7度の角度範囲にわたって実行され得る。
【0029】
組み合わせモードにおいては、患者の乳房の単一の圧縮中に、このシステムは従来のマンモグラム及びトモシンセシス画像を撮影する。このモードでは、乳房が圧縮アームアセンブリ110内で圧縮されたままでとどまると同時に、(1)それぞれが適切な角度を通して、管アームアセンブリ106が進み、かつX線受容体502が振動し、トモシンセシス画像のためにX線露光が取得され、並びに(2)標準的マンモグラムが撮影される。標準的マンモグラムは、管アームアセンブリ106とX線受容体502の撮像平面に対して垂直の間の角度に対して0(ゼロ)度の角度で撮影され得、かつトモシンセシス画像が撮影される前後で撮影されるか、又は2つの連続するトモシンセシス画像の撮影の間に撮影され得る。典型的には、各トモシンセシス画像は、標準的マンモグラムよりも実質的に低いX線線量を利用する。
【0030】
例えば、上述したように、トモシンセシススキャン中に取得された全ての投影画像の総線量は、単一のマンモグラムの線量の0.25〜2.0倍の範囲であり得る。2つの線量の間の関係は、X線管電圧、電流、トモシンセシスのスキャン角度、取得される投影画像の数等のいずれか1つを制御するようユーザー選択され得る。代替的実施形態では、この線量は、ガントリー上の簡単なスイッチを介して変更されてもよく、又は放射線医師ワークステーションにおけるユーザー制御を通して変更されてもよい。更に代替え的実施形態では、この線量は、放射線医師がモード間を切り替えると同時に自動的に変更してもよい。
【0032】
任意のデジタル撮像システムの1つの重要な特徴は、任意の画像を発生するよう使用される放射の量及び強度を変更する能力である。放射強度は、X線標的の原子数(Z)、X線電流(mA)、X線電圧及びX線ビームフィルトレーションに関連する。放射強度は、画像品質を改善するよう変更され、これが今度は診断的感度を改善し得る。放射強度が増加する場合、量子モトル(光子吸収によって引き起こされる画像ノイズ)は減少する傾向にあり、逆もまた同様である。
【0033】
多くのマンモグラフィー及びトモシンセシスシステムは、mA及びmSecなどの手法係数を手動で設定することによって、操縦者がX線露光を制御することを可能にする。いくつかのシステムでは、所望の線量が投与された場合にX線源をオフにする、放射の投与の持続時間を制御する自動露光制御(AEC)機能を有する。自動露光制御(AEC)法は、露光時間、kV、mA及び露光及び放射強度を変更するための画像に関するフィルターモードが挙げられる線量パラメータを変更し得る。
【0034】
取得パラメータに対するかかる制御が、画像品質に対していくつかの改善を提供し得ると同時に、本特許明細書に記載されるシステム及び方法によると、改善された画像品質は、追加的取得プロセスを2D、3D又はコンボシステムに組み込むことによって提供され得、本特許明細書に記載される新しいアプローチによる造影画像強化の利点を実現する。
【0035】
本特許明細書に記載される例による乳房画像撮影システムは、組み合わされた2D及び/又は3D乳房X線画像撮影の能力を造影画像取得プロセスに組み合わせる。生検能力(定位又はトモシンセシス案内)はまた、簡単な2D画像、3D投影画像、3D再構成データ、若しくは二重エネルギー又は背景除去画像取得プロセス中に獲得された2D、3D投影及び3D再構成データのうちのいずれかから選択される任意の画像を利用する病巣位置決定ソフトウェアで、このシステム内に一体化され得る。
【0036】
かかる構成配置によって、以下の画像プロトコルがサポートされる。
・2D又は3Dモードにおける、単一の高エネルギー又は低エネルギー画像取得手法を使用する造影撮像(背景除去)。
・2D又は3Dモードにおける、二重エネルギー造影撮像
・3Dモードにおける二重エネルギー造影撮像。この場合、トモシンセシススキャン中に高エネルギー露光及び低エネルギー露光が、異なる角度で生じる[高エネルギー及び低エネルギーは、別個に再構成され、組み合わされて二重エネルギー体積を形成することができる]
・コンボ撮像モード。この場合、単一エネルギー撮像を使用して2D画像データセットが取得され、並びに単一エネルギー画像を使用して3D画像データが取得される
・トモシンセシス撮像モード。この場合、断層撮影スキャンの全体を通して乳房が圧縮されたままで留まる造影断層撮影スキャンにおけるN表示の合計の中で、異なる用途での大きな順応性のために、異なる投影画像が、異なる線量、kVps、mAs及びフィルターに割り当てられる
・一連の取得された投影画像において低エネルギースキャン及び高エネルギースキャンが交互に切り換るトモシンセシスモード
・ユーザーが選択可能なパターンにおける不等な比率で、投影画像のために低エネルギー及び高エネルギースキャンが実行されるトモシンセシスモード
・造影剤を使用し、二重エネルギー又は背景除去撮像のいずれかでの定位生検
・造影剤を使用し、二重エネルギー又は背景除去撮像のいずれかで取得されたトモシンセシススキャン画像を使用する直立生検
【0037】
造影撮像及び画像取得モードの組み合わせの他の変更は、本特許明細書の範囲内にある。
画像取得パラメータ選択
【0038】
画像取得モード及び取得プロセスが一旦特定されたら、取得パラメータ及び画像処理手法が、それぞれの2D画像取込のためのkV、mA、及び/又はフィルターの少なくとも1つを変更することによって、投影画像グラニュラリティで変更され得る。
【0039】
現行のマンモグラフィー及び/又はトモシンセシス乳房撮像システムに対するいくつかの修正が、造影撮像をサポートするために実行され得る。例えば、X線源内において、kV、mA及びX線ビームフィルターの間の高速の切り替えを可能にする機構が提供され、画像取込モード間及び画像取込モード内の二重エネルギー撮像をサポートする。例えば、X線フィルターホイールが提供され、低エネルギーパルスと高エネルギーパルスとの間でフィルターを切り替えてもよい。ロジウム、銀、アルミニウム、銅、チタン、及びヨウ化セシウムなどの様々なフィルターが提供され、異なる造影剤のために所望のエネルギーを与えることができる。
【0040】
図3aは、X線源108の内側の焦点スポット108aが撮像用X線ビーム108bを撮像用X線受容体に向かって放射する例を概略的に図示する。ビームは、ビーム経路内に選択されたフィルターを挿置するための機構を封じ込める可変式フィルターアセンブリ108cを通過し、これによって、撮像受容体に向かうX線のエネルギー範囲を制御する。フィルター変更制御108dが、どのフィルターがX線ビームを遮断するかを判定し、今度はこのフィルター変更制御がシステム設定によって又はユニット102を通してユーザーによって制御される。可変式フィルター配置は、これらが、共通の譲受人によって提供されるタイプの二重エネルギー骨密度測定システムを含む様々なシステムで使用されているので、当該分野では既知である。可変式コリメーター108eは、受容体の撮像平面でX線撮像ビームの領域を制御し、これがユニット102からのコマンドを受け取ることもできるコリメーターコントローラ108fによって制御される。
【0041】
本特許明細書に記載される新しいシステムは、ユーザーが、投影画像グラニュラリティで物理的取得パラメータを選択することを可能にする。例えば、
図4は、次に続き得るプロセスステップの例を示す。ステップ400では、造影強化モードにおいて操作するようシステムを設定するかどうかの決定が実行され、ステップ402では、システムを二重エネルギーモードで動作するかどうかの決定が実行される。これら決定は、ユーザーによって実行され得るか、又はユーザーが入力するいくつかの情報に応じて、システムによって自動的に実行され得る。ステップ404では、ユーザー又はシステムは、2Dモードのみで動作するか、3Dモードのみか、又は2D及び3Dモードの組み合わせで動作するかどうかを選択する。ステップ406においては、システム又はユーザーは、kV、mAs等の取得パラメータをカカスタマイズすることができ、更にステップ408では、ステップ400〜406において選択された設定でシステムが動作し、画像Tp及び/又はMpを取得する。
【0042】
図5は、ユーザーにトモシンセシススキャンの画像の手動のカスタマイゼーションを提示され得るトモシンセシス投影画像のカスタマイゼーション表の例を示す。特定の照射野がこの表には表示されているが、本特許明細書は、いずれの取得変数でも、このような方法で、画像のカスタマイゼーションに関して、ユーザーが利用可能に実行され得ると予想する。かかる表には、最初はデフォルト値が取り込まれ得、このデフォルト値はシステムのデフォルトか又はAECに応答して受け取られた画像データの次に続く解析を取り込んだデフォルト値であるか、若しくはユーザーによって書き込まれ、システムに入力され得る。
【0044】
新しいシステムはまた、受け取られた画像上で異なる画像処理が実行されることを可能にし、ここでは画像処理手法は、取得のタイプ(すなわち、トモシンセシス取得、2D取得、二重エネルギー取得、造影取得)に応答して決定され得る。したがって、例えば、高エネルギーを使用して取得された画像は、低エネルギーを使用して取得された画像とは異なるアルゴリズムを使用して処理され得る。画像処理手法は、選択された取得モードに基づいて事前プログラムされてもよく、或いは、ユーザー入力に応答して選択されてもよい。本特許明細書の目的のために、画像処理とは、任意の操作並びにノイズフィルタリング及び画像再構成を含む画像の組み合わせを指す。いくつかの処理は、取得モードの関数であり得る。例えば、トモシンセシス画像を使用して、背景除去造影撮像を実施する場合,
注射前及び注射後の投影画像が減算され得、得られた信号は、患者の動作を補正するために画像を登録するようシフトされ得る。
【0045】
一実施形態では、新しいシステムは、造影画像処理の基準として、利得制御画像又はエアマップ修正画像のいずれかの利用を可能にする(すなわち、この画像は、減算プロセス又は付加プロセスの前に処理され得る)。利得制御画像は、SNRを増加させるようにシステム利得を補正するよう処理された画像であり、これは、例えば、前述の共通の譲受人の米国特許第7,991,106号に記載された手法を使用する。
【0047】
新しいシステムのディスプレイは、任意の画像取得プロセスを使用して、任意の様式(2D、3D、コンボ)を用いて取り込まれた画像を表示するよう使用され得る。このディスプレイは、単独で、並行式で、トグル状態で、又はシネモードで、を含む様々な配置で画像を表示する能力を含む。かかる配置によって、医療専門家は、低エネルギー取得、高エネルギー取得のいずれかで、又はこれら2つの除去に続いて、造影剤の使用の有無で、乳房の2D画像、3D投影画像又は3Dスライス画像を同時に表示するか(若しくは、これらの間でトグルするか又はシネ表示することができることによって、病巣を可視化し、かつ特性化するための能力を増強する。
【0048】
図6aは、異なるタイプの画像が、コンピュータディスプレイ102aのそれぞれのウィンドウに並んで提示されている例を示す。
図6bは、患者の乳房の6つの異なる画像を同時に表示するコンピュータディスプレイ102aの例を概略的に図示し、これらは単一エネルギーのトモシンセシス投影画像TpSE、単一エネルギーの再構成されたトモシンセシススライス画像TrSE、単一エネルギーのマンモグラムMpSE、二重エネルギーのトモシンセシス投影画像TpDE、二重エネルギーの再構成されたトモシンセシススライス画像TrDE、及び二重エネルギーのマンモグラムMpDEである。この文脈においては、用語単一エネルギーとは、管が放射するそのエネルギーのX線を決定するパラメータの特定のパラメータ設定において、X線管が放射するエネルギーの範囲を指し、用語二重エネルギーとは、部分的に重なり得る2つのかかるエネルギー範囲を指すことが理解されるべきである。
図6bが本特許明細書による画像の配置の多くの例の1つを示すこと、そしてこの画像ディスプレイは、図示された画像のサブセットのみを表示し得ること、異なる相対的配置で画像を表示し得ること、同一種類の複数の画像を表示し得ること(例えば、複数の画像Tp等)、重ね合わせた画像を表示し得ること、及び/又はシネモードで画像を表示し得ること、並びに単一の画像をスクリーン全体にわたって表示し得ること又はスクリーンを異なる数のウィンドウに分割し得ることも理解されるべきである。
【0049】
図7は、2D撮像マンモグラフィーモード及び3D撮像トモシンセシスモードのいずれか又はこの双方で動作するコンボシステムの動作の異なるモードにおける撮像の適用範囲を示す。これら2D及び3Dモードのそれぞれにおいて、このシステムは乳房内の造影剤の有無にかかわらず乳房を撮像するよう動作することができる。2D及び3Dモードのいずれか又は双方において、乳房内の造影剤の有無にかかわらず、このシステムは、二重エネルギー撮像又は背景除去撮像を実行することができる。
図7に見られるように、これら能力は、単一エネルギー(SE)及び造影強化(CE)を使用する2D、CEを使用する3D、DEを使用する3D等のモードの異なる組み合わせの多くを可能にする。
図8は、2Dのみのシステム、すなわち、3Dトモシンセシス能力を組み込まないシステムを使用する場合の撮像の適用範囲を示す。
図8の例において、このシステムは、単一エネルギー又は二重エネルギーモードで、それぞれの場合、乳房内の造影剤の有無にかかわらず使用され得る。
図9は、単一エネルギー又は二重エネルギー撮像を使用する3D撮像モードで、いずれの場合も乳房内の造影剤の有無にかかわらず動作し得る3Dのみのシステムの動作を示す。
【0050】
上記が、トモシンセシス及びマンモグラフィー画像の双方の取得に関して新システムの使用を記述したが、本特許明細書は、一体化したマルチモードシステムに限定されるものではなく、トモシンセシスを実行可能である任意のシステムにも適用する。例えば、新システムは、トモシンセシス画像撮影能力のみを有してもよい。かかるシステムは、例えば石灰沈着の検出のための従来のマンモグラフィーを使用してもよく、又はその2D画像として使用するために高線量での単一のトモシンセシス画像を得てもよく、若しくはトモシンセシス投影画像からマンモグラム画像を合成してもよい。加えて、新システムは、トモシンセシス撮像能力を、分子レベルの乳房撮像法又は超音波撮像法などの異なる診断法と合体させてもよい。要するに、トモシンセシス撮像能力を有する任意の乳房撮像システムは、本特許明細書の範囲内にある。更にこれに加えて、本特許明細書に記載される改良のいくつかはまた、2D画像のみを撮影するシステムにも適用する。
【0051】
上記の特定の例及び実施形態が図示され、更に本開示の精神から又は添付の特許請求の範囲から逸脱しない限りにおいて、多くの変形がこれら例及び実施形態に導入され得る。例えば、異なる例示的実施形態の要素及び/又は特徴は、本開示及び添付された特許請求求の範囲内で互いに組み合わされても及び/又は互いに置き換えられてもよい。
好ましい実施例
【0052】
好ましい実施例において、本特許明細書に記載されるシステムは、(i)乳房の対応のスライスを表し、コンピュータ処理によって、患者の乳房の多数の単一エネルギーbX線2Dトモシンセシス投影画像TpSEに再構成される、患者の乳房の3Dトモシンセシススライス画像TrSE、(ii)乳房の低エネルギーX線2DマンモグラムMpL、及び(iii)乳房の高エネルギーX線2DマンモグラムMpHを取得する。このTp、MpL及びMpH画像は、乳房が固定されたままで、単一の乳房圧縮で撮影されることが好ましい。このシステムは、2D低エネルギーマンモグラムMpL及び2D高エネルギーマンモグラムMpHをコンピュータ処理して、乳房内で血管分布状態を強調表示する傾向がある荷重された組み合わせの二重エネルギー2Dマンモグラム画像MpCDWを形成する。このシステムは、(i)2次元で可能な血管異常の3D位置を明らかにするのに役立ち得る、組み合わせ2D画像MpCDEと、(ii)その中で異常が出現し、スライス画像で異常の3D位置及び異常の出現を明らかにするのに役立ち得る、3Dスライス画像TrSEを同時に表示することが好ましい。
【0053】
好ましくは、このシステムは、その中で異常が出現するTrSEのサブセットを自動的に特定するために、MpCDE画像中の異常の特定に応答するよう構成される。更に好ましくは、このシステムは、MpCDE画像及びTrSE画像の前述のサブセットの画像の1つ以上ではあるが全てではないもの、又は全てのサブセットを同時に表示するよう構成される。
【0054】
図10は、好ましい実施例による撮像を実行するための方法のステップを示す。ステップ1000において、撮像用シーケンスのために、
図4に図示されたものなどの撮像パラメータが設定される。これは、デフォルトをシステム内に、例えば、
図1に示す取得ワークステーション102内に保存することによって、より典型的には、例えば
図5に図示するような表を使用して、特定の患者及び/又は特定の検査に適応するパラメータを選択することによってのいずれかで実行され得る。ステップ1001において、標準的FDA承認の低浸透圧ヨウ素造影剤などの造影剤が注射される。一例では、最大で150mlまでの1.5ml/kgの患者重量の総容量で、造影剤の350〜370mg/mlが、3〜3.5ml/秒の速度で、又は適当なIVゲージの安全パラメータの範囲内で注射される。一般的に、この造影剤は、胸部及び腹部の造影強化CT走査に通常臨床的に使用されるものと同様であり得る。この注射は、前肘静脈又は前腕静脈注射であり得る。ステップ1002は、待機時間であり、典型的には、注射の開始後1分又は2分のオーダーである。ステップ1002の持続時間は、造影剤が乳房内での所望の濃度に届くのに必要とされる時間の医療専門家の評価に基づいて設定される。ステップ1004では、トモシンセシス画像及び
図1に図示するようなシステムに関して既知の方法で、又は譲受人から入手可能なSelenia(登録商標)Dimensions(登録商標)(これは、乳房の複数の単一エネルギー投影画像TpSE、例えば、それぞれが±15°などの角度範囲にわたって、乳房に対する撮像用X線ビームの対応の異なる角度からの22個の画像TpSEを撮影するために単一エネルギートモシンセシスモードで動作する)などで既知の方法で、患者の乳房が圧縮される。ステップ1006において、患者の乳房が圧縮されかつ固定されたままである一方で、例えば、X線源を0°位置に戻し、撮像用X線ビーム内の1つのX線フィルターで画像MpLを撮影し、次いで異なるX線フィルターに交換し、画像MpHを撮影することによって、このシステムは低エネルギーマンモグラムMpL及び高エネルギーマンモグラムMpHを撮影する。好ましくは、30〜40kVpの範囲のX線エネルギーが、TrSE画像に使用され、MpL画像には35kVp未満(例えば、28〜32kVpの範囲の)が使用され、MpHには45kVpを超える(例えば、45〜49kVpの範囲の)X線エネルギーが使用される。しかしながら、異なるエネルギーが、臨床現場と一致する方法で使用され得る。一例として、ロジウム又は銀X線フィルターが、MpL画像に使用され得るが、MpH画像には
銅フィルターが使用され得る。他の撮像パラメータは臨床現場に従い、圧縮された乳房の厚さ及びX線密度などの因子に依存し得る。
【0055】
ステップ1008において、参照により組み込まれたマテリアルで記載されるタイプの再構成アルゴリズムを使用して、TpSE画像がコンピュータ処理され、TrSE画像を形成し、MpL及びMpH画像がコンピュータ処理され、組み合わされた画像MpCDEを形成する。例えば、組み合わされた画像は、関係MpCDE=MpH−kMpLにより得られ、ここでkは重み係数であり、二重エネルギーX線撮像手法で既知であるように、典型的にはk<1である。ステップ1010において、ディスプレイプロトコルが、事前設定デフォルトプロトコルに従って自動的であるか、又は特定の患者検査又は特定の表示のためにユーザーによって選択されるものとしてのいずれかが選択され、
図1のユニット102などのワークステーションに、又は別個の撮像ワークステーションに設定され得る。ステップ1012において、画像TrSE及びMpCDEの1つ以上が、
図6bに示すスクリーン102aなどのスクリーン上に表示される。これに加えて、画像TpSEのいずれか及び限定されるものではないがMRI、CT、核医学撮像装置、及び超音波などの同一又は異なる診断法で別の時に取得された乳房の画像などの他の画像が、同一のスクリーン上に又は他のスクリーン上に表示され得る。
【0056】
図10に図示されるステップの順序において、多くの変形が可能である。例えば、ステップ1004と1006の順序は、逆転され得る。ステップ1008はステップ1006の前に、同様にステップ1006の後に開始することができる。ステップ1008、1010及び1012は、
図1に図示するユニット100から離れた装置内で実行され得る。
【0057】
上記に示された好ましい実施例は、本特許明細書に合致する多くの実施例の1つにすぎないこと、並びにモード及びステップの他の組み合わせもまた本明細書の範囲内であることが理解されるべきである。
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