(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記終了通知情報は、前記輸液調整制御システムにおいて輸液が終了したことを、医療従事者または前記輸液調整制御システムから通知して、前記データベースに記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の輸液監視システム。
前記輸液調整制御システムは複数設けられ、それぞれが識別情報及び/またはアドレスにより管理されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の輸液監視システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、フリーフローなどの場合に異常を知らせるものではなく、あくまでもシステムが自動的に流量制御を行うというものである。
【0007】
また、特許文献2の発明によれば、輸液ポンプドアの開放などを原因としたフリーフローに対処できるものの、操作忘れやシステムの不具合による輸液の未終了などに対応することはできない。
【0008】
本発明は、上記のような輸液調整制御システムの現状に鑑みてなされたもので、その目的は、輸液チューブを流れる液体の流量を調整制御する輸液調整制御システムによる輸液について、人のミスであるか機械の不具合であるかに関わりなく、異常である場合に的確に報知することができ、安全で安定的に輸液を行うことを可能とする輸液監視システムを提供することである。また、輸液監視システムを用いて構成した上記輸液監視機能付き輸液制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る輸液監視システムは、輸液チューブを流れる液体の流量を調整制御する輸液調整制御システムによる輸液の監視を行う輸液監視システムにおいて、前記輸液調整制御システムによる液体の流れ状態を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果情報を送信するローカル側送信手段と、前記検出結果情報を受信するセンタ側受信手段と、前記輸液調整制御システムによる輸液に関し、終了通知情報と当該通知の時刻情報及び終了予定時刻情報、開始通知情報と当該通知の時刻情報が記憶されるデータベースと、前記輸液調整制御システムによる輸液に関し、
前記終了通知情報と
前記開始通知情報を監視すると共に、この監視結果と前記センタ側受信手段により受信された検出結果情報と前記データベースに記憶された情報とに基づき、検出結果情報が輸液チューブの液体が流れていることを示す場合(ケース1)に、
前記開始通知情報が通知されていない(状態1−1)、
前記終了通知情報が通知されている(状態1−2)、終了予定時刻情報の時刻以降である(状態1−3)、が検出されたか否か、更に、検出結果情報が輸液チューブの液体の流れが停止していることを示す場合(ケース2)に、
前記終了通知情報が通知されていない(状態2−1)、終了予定時刻情報の時刻以前である(状態2−2)、
前記開始通知情報が通知されている(状態2−3)、が
検出されたか否かに基づき、輸液異常を検出し、異常報知出力を行う異常出力手段と、前記異常出力手段からの出力を受けて輸液異常の表示を行う表示手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る輸液監視システムでは、前記輸液チューブにおける輸液を停止可能な位置に設けられ、前記輸液チューブを開閉するクランプ手段と、前記異常出力手段からの出力を受けて前記クランプ手段による輸液チューブの閉塞を実現するクランプ制御手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る輸液監視システム
では、終了通知情報は、前記輸液調整制御システムにおいて輸液が終了したことを、医療従事者または前記輸液調整制御システムから通知して、前記データベースに記憶することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る輸液監視システムでは、前記輸液調整制御システムにおいて輸液を開始したことを、医療従事者または前記輸液調整制御システムから
前記開始通知情報として通知することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る輸液監視システムでは、前記輸液調整制御システムは複数設けられ、それぞれが識別情報及び/またはアドレスにより管理されることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る輸液監視機能付き輸液制御システムは、輸液チューブを流れる液体の流量を調整制御する輸液調整制御システムと、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の輸液監視システムとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、輸液チューブを流れる液体の流量を調整制御する輸液調整制御システムによる輸液の監視を行う輸液監視システムにおいて、前記輸液調整制御システムによる液体の流れ状態を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果情報を送信するローカル側送信手段と、前記検出結果情報を受信するセンタ側受信手段と、前記輸液調整制御システムによる輸液に関し、少なくとも終了通知の情報を監視すると共に、この監視結果と前記センタ側受信手段により受信された検出結果情報とに基づき輸液異常を検出し、異常報知出力を行い、前記異常出力手段からの出力を受けて輸液異常の表示を行うので、人のミスであるか機械の不具合であるかに関わりなく、異常である場合に的確に報知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下添付図面を参照して、本発明の輸液監視システム及び輸液監視機能付き輸液制御システムの実施形態を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1に輸液監視システムの実施形態を示す。この輸液監視システムでは、例えば病室10内には、輸液チューブ11の上流側に、点滴液などの液体が入れられたガラス瓶や合成樹脂バックの容器が設けられている。輸液チューブ11には、クレンメ12が装着される。
【0021】
クレンメ12は、輸液チューブ11を流れる液体の流量を調整するものであり、輸液チューブ11を流れる液体の流量を調整制御する輸液調整制御システムを構成する。この実施形態では、輸液調整制御システムをクレンメ12によって構成するが、輸液調整制御システムとして、クレンメによるもの以外に、輸液ポンプを用いて行うものや、輸液チューブを挟圧して自動的に流量を調整する自動輸液装置など、人によらないシステムなども採用することができる。クレンメ12は、例えば
図2に示すように構成することができる。つまり、輸液チューブ11が配置される筒孔部21を有する筐体22に、ローラ23が設けられた構成とすることができる。ローラ23の軸受溝24は、例えば下方に向かって移動するに従って筒孔部21内の輸液チューブ11に近付くように傾斜して形成されている。このため、ローラ23を回転させて下方へ移動させると、輸液チューブ11が徐々に押し潰されて液体の流量が少なくなり、最終的には輸液チューブ11を閉塞させて液体の流れを止めることが可能な構成となっている。
【0022】
図1に示すように、本実施形態では、上記クレンメ12による液体の流れ停止を検出する検出手段として、圧力センサ13が上記クレンメ12のローラ23によって輸液チューブ11が閉塞される位置の近傍に設けられている。検出手段としては、圧力センサ13以外に流量を検出するセンサであれば、特に限定はない。
【0023】
クレンメ12の上流または下流の、輸液チューブ11における輸液を停止可能な位置に、輸液チューブ11を開閉するクランプ手段14が設けられている。更に、クランプ手段14による輸液チューブの閉塞を実現するクランプ制御手段15が設けられている。
【0024】
クランプ手段14及びクランプ制御手段15は、
図3、
図4に示すように構成することができるが、これ以外の構成であっても良い。
図3に示すように、クランプ手段14及びクランプ制御手段15は、枠体25に輸液チューブ11を挿入させる空間26を有し、空間26の中央部に先端が突起27Aを有するアーム27が設けられた構造を有している。アーム27の基部は回転軸27Bを構成する。アーム27は、枠体25の垂直な側壁となるロック位置(
図3(a))と、枠体25の内側へ突起27Aが移動して全体が傾斜したクランプ位置(
図3(b))との間をバネ29の付勢力で移動する。アーム27の突起27Aの両サイドは、枠体25の一部である天枠部28となっており、天枠部28とアーム27の間には間隙が設けられている
【0025】
クランプ制御手段15は、例えば
図4に示すように構成することができる。突起27Aの一端側には、回転軸27Bの軸方向にクランプ制御手段15のスライド孔31が形成される。このスライド孔31には、スライド孔31内を移動する第1のピン32と、第1のピン32に隣接する第2のピン33が設けられている。第1のピン32の、第2のピン33とは逆側には、クランプ制御手段15であるアクチュエータ34が、筒状の室35内における図の上下方向に移動可能に設けられている。アクチュエータ34は平面形状が三角形の三角柱の磁性体であり、例えば電磁石36によって移動させられる。
【0026】
ソレノイドへの通電がオフで、電磁石36が磁石として機能しないときには、アクチュエータ34が
図4(a)の位置にある。これによって第2のピン33が、アーム27と天枠部28の間隙に存在した状態で、スライド孔31内に存在し、アーム27が枠体25の垂直な側壁となるロック位置にある。
【0027】
ソレノイドへの通電がオンとなると、電磁石36が磁石として機能し、アクチュエータ34が
図4(b)の矢印に示すように移動させられて、第1のピン32と第2のピン33の間隙が、アーム27と天枠部28の間隙と一致する。これによって、アーム27のロックが解除されクランプ位置へ到り、輸液チューブ11を閉塞する。
【0028】
この実施形態では、輸液調整制御システムをクレンメ12によって構成するが、
図10に示すようにクレンメ12に代えて、輸液ポンプを用いて構成した輸液調整制御システム16を採用しても良い。或いはクレンメ12に代えて
図11に示す自動輸液装置17を輸液調整制御システムとして用いるものであっても良い。この自動輸液装置17は、輸液チューブを挟圧して自動的に流量を調整する構成を採用することができる。
【0029】
図1に示すように、圧力センサ13、クランプ制御手段15が監視制御部40に接続されている。監視制御部40は、検出手段である圧力センサ13による検出結果情報をセンタサーバ50へ送信するローカル側送信手段を構成する。ここで検出結果情報は、圧力センサ13が検出した圧力に基づき輸液チューブ11の液体が流れているか停止しているかを示す情報とすることができる。また、
図10のように輸液ポンプを用いて構成した輸液調整制御システム16の動作状態情報(動作開始、動作終了、動作中の情報)や
図11の自動輸液装置17動作状態情報も、このローカル側送信手段によりセンタサーバ50へ送信される。上記送信のタイミングは、所定時間毎とすることができる。
【0030】
監視制御部40は、例えば、
図5に示すように構成することができる。CPUなどにより構成される中央制御部41に、通信インタフェース42、LANインタフェース43、表示部44、電源部45、警報出力部46が構成される。通信インタフェース42は、圧力センサ13、クランプ制御手段15、
図10の構成では輸液調整制御システム16や
図11の構成では自動輸液装置17と接続され、情報を送受するものである。LANインタフェース43は、センタなどの装置とネットワーク通信を行うためのインタフェースである。中央制御部41は、通信インタフェース42を介して圧力センサ13の情報、
図10の構成では輸液調整制御システム16や
図11の構成では自動輸液装置17の動作状態情報などを例えば所定時間毎に取り込み、この情報をLANインタフェース43を介して後述するセンタサーバ50へ送出する。
【0031】
表示部44は、監視制御部40の動作中を表示し、警報表示を行うこともできる。電源部45は、各部へ電力を供給する電池などにより構成することができる。警報出力部46は、音声や光などで警報出力を行うことができる。
【0032】
図1に示すように、輸液監視システムには、センタサーバ50が設けられている。センタサーバ50は、医療に関連した情報を管理して必要な制御を行うものであり、中央制御装置51にデータベース52とLANインタフェース53が接続された構成を有している。データベース52には、このシステムに用いる各種の医療情報が蓄積される。LANインタフェース53は、各種の情報の送受信を行い、センタ側受信手段として機能する。
【0033】
データベース52には、本実施形態では
図6の上部に示すように、クレンメ情報テーブルが設けられている。
図10の構成や
図11の構成を採用した場合には、輸液調整制御システム16や自動輸液装置17などのシステムに対応して
図6の下部に示すように、システム情報テーブルが設けられる。クレンメ情報テーブルには、複数設けられているクレンメ毎の識別情報とアドレスとに対応して、輸液の開始予定時刻情報と開始通知情報が記憶されるように構成され、更に輸液の終了予定時刻情報と終了通知情報が記憶されるように構成されている。輸液の開始監視を行わないシステムでは、輸液の開始予定時刻情報と開始通知情報が記憶されることはない。また、予定時刻との比較を行わないシステムでは、輸液の開始予定時刻情報や終了予定時刻情報が記憶されることはない。また、監視制御部40から送られてくる圧力センサ13の検出結果情報も対応して記憶される。ここでは、圧力センサ13の検出結果情報は、クレンメ12によって輸液チューブ11が開閉のいずれとされているかという輸液チューブ開閉情報とする。開始通知情報と終了通知情報は、医療従事者が操作する端末であるパーソナルデバイス70から送られる通知情報とすることができ、この通知情報を受け取ったときには、中央制御装置51が受け取った時の時刻情報を通知情報と共に記憶することができる。
【0034】
システム情報テーブルには、複数の輸液調整制御システム16や自動輸液装置17などのシステム毎の識別情報とアドレスとに対応して、輸液の開始予定時刻情報が記憶され、更に輸液の終了予定時刻情報が記憶される。また、開始通知情報と終了通知情報は、
図10の構成や
図11の構成を採用した場合に、輸液調整制御システム16や自動輸液装置17などから監視制御部40を介して送られる通知情報とすることができ、この通知情報を受け取ったときには、中央制御装置51が受け取った時の時刻情報を通知情報と共に記憶することができる。更に、現在の動作/非動作情報も複数の輸液調整制御システム16や自動輸液装置17毎の識別情報とアドレスとに対応して記憶される。
【0035】
図7に示すように、中央制御装置51には、例えばプログラムによって中央制御装置51が実現する異常出力手段511が備えられている。異常出力手段511は、少なくとも終了通知情報の監視を行い、センタ側受信手段であるLANインタフェース53により受信された検出結果情報と少なくとも終了通知情報の監視結果とに基づき輸液異常を検出し、異常報知出力を行うものである。異常出力手段511は、センタ側受信手段であるLANインタフェース53により受信された検出結果情報と前記データベース52の記憶情報とに基づき輸液異常を検出し、異常報知出力を行うように構成することができる。
【0036】
輸液異常とは、例えば、次のような状態を挙げることができる。検出結果情報が輸液チューブ11の液体が流れていることを示す場合に、開始通知情報が通知されていない、開始予定時刻情報の時刻以前である、終了通知情報が通知されている、終了予定時刻情報の時刻以降である、が検出されたとき。検出結果情報が輸液チューブ11の液体の流れが停止していることを示す場合に、終了通知情報が通知されていない、終了予定時刻情報の時刻以前である、開始通知情報が通知されている、開始予定時刻情報の時刻以降である、が検出されたとき。
【0037】
また、次のときにも輸液異常と判定することができる。輸液の開始予定時刻情報と通知された輸液の開始通知情報の時刻が相違していること、更に輸液の終了予定時刻情報と通知された輸液の終了通知情報の時刻が相違していること。更に、輸液の開始予定時刻情報と輸液の終了予定時刻情報の記憶が無い場合に、輸液の開始通知情報が登録された場合である。その他、異常な場合を定義して用いることができる。
【0038】
前述の監視制御部40の表示部44や警報出力部46は、上記異常出力手段511からの出力を受けて輸液異常の表示を行う表示手段として機能することができる。また前述のクランプ制御手段15は、異常出力手段511からの出力を受けて前述のクランプ手段14による輸液チューブ11の閉塞を実現することができる。
【0039】
図1に示すように、例えばナースステーションなどには、セントラルモニタ60を配置することができる。また、看護師などの医療従事者は、パーソナルデバイス70を持つことができる。セントラルモニタ60とパーソナルデバイス70は、
図8に示すように構成することができる。プロセッサなどにより構成される中央処理部61に、LANインタフェース62、記憶部63、表示部64、操作入力部65が接続された構成とすることができる。パーソナルデバイス70の場合には、上記にマイクとスピーカを含む通話処理部を備えていても良い。
【0040】
LANインタフェース62は、LANにより情報の送受を行うものであり、記憶部63には各種のプログラムやデータが格納されている。表示部64はLEDなどにより構成される情報を表示するデバイスである。操作入力部65は、タッチパネルやキーボードその他のポインティングデバイスにより構成することができる。
【0041】
中央処理部61には、操作入力部65から入力された情報やLANインタフェース62を介して到来する情報を表示部64に表示する表示制御手段611が備えられる。また、中央処理部61には、操作入力部65から入力された情報などを取り込む入力取込手段612、取り込んだ情報をLANインタフェース62を介して送信する端末側送信手段613が備えられている。
【0042】
センタサーバ50の中央制御装置51に備えられた異常出力手段511は、セントラルモニタ60やパーソナルデバイス70などの端末から入力され送信された終了通知情報や開始通知情報とデータベース52に記憶された情報に基づき輸液異常を検出し、異常報知出力を行うように機能する。また、医療計画などに基づき、セントラルモニタ60などの端末からクレンメ毎の輸液の開始予定時刻情報や輸液の終了予定時刻情報、更には複数の輸液調整制御システム16や自動輸液装置17毎に、輸液の開始予定時刻情報と終了予定時刻情報を予め入力して、センタサーバ50へ送り、データベース52へ記憶しておくこともできる。予定の記憶はオーバーライトにより変更することができ、この変更はセントラルモニタ60などの端末からの入力によって行うことができる。
【0043】
更に、医療従事者が各クレンメ12をマニュアル操作して輸液開始または終了したときに、医療従事者が操作する端末であるパーソナルデバイス70から、輸液の開始通知情報または終了通知情報を入力してセンタサーバ50へ送り、上記データベース52に記憶することもできる。また、医療従事者が複数の輸液調整制御システム16や自動輸液装置17の各システムを操作して輸液を開始または終了したときに、医療従事者が操作する端末であるパーソナルデバイス70から、それぞれのシステムにおける輸液の開始通知情報または終了通知情報を入力して、センタサーバ50へ通知し、上記データベース52に記憶することもできる。更に、複数の輸液調整制御システム16や自動輸液装置17のそれぞれが、輸液を開始または終了したときに、それぞれのシステムが自動的に輸液の開始通知情報または終了通知情報をセンタサーバ50へ送り、上記データベース52に記憶することもできる。
【0044】
監視制御部40、センタサーバ50、セントラルモニタ60、パーソナルデバイス70は、無線または有線或いは有線と無線の混合のネットワーク80により接続される。また、監視制御部40、センタサーバ50、セントラルモニタ60、パーソナルデバイス70は、複数設けられていても良い。更に、
図1の病室10内の構成は一つの輸液チューブ11に対する構成を示しており、輸液チューブ11が複数であるときには、それぞれの輸液チューブ11毎に複数セット設けることができる。
【0045】
以上のように構成された輸液監視システムの動作を説明する。先に、
図1に示したクレンメ12による輸液調整制御システムの場合を説明する。医療従事者が各クレンメの操作に基づき輸液を開始または終了したときに、輸液の開始通知情報または終了通知情報がパーソナルデバイス70から送られ、センタサーバ50に到来する。センタサーバ50は上記開始通知情報または終了通知情報を受け取り、上記データベース52に記憶し、
図9に示すフローチャートに対応するプログラムを実行する。
【0046】
また、
図10の輸液調整制御システム16や
図11の自動輸液装置17による輸液調整制御システムの場合も同様に動作が行われる。システム輸液調整制御を操作してシステムの動作開始または終了となったときに、それぞれシステムから或いはパーソナルデバイス70から輸液の開始通知情報または終了通知情報の情報がセンタサーバ50へ送られる。センタサーバ50はこれを受け取り、上記データベース52に記憶し、
図9に示すフローチャートに対応するプログラムを実行する。また、センタサーバ50の中央制御装置51は、所定時間間隔で
図9に示すフローチャートのプログラムを起動させ、輸液監視を行うことができる。
【0047】
以下、
図9に示すフローチャートに基づき動作を説明する。センタサーバ50の中央制御装置51は、情報を受け取ったかまたは所定時刻となったかを判定し(S10)、情報を受け取った場合には、受け取った情報に対応するデータベース52の情報と比較する(S11)。受け取った情報がクレンメの情報(
図1の監視制御部40からの検出結果情報、開始通知情報、終了通知情報)であれば、データベース52のクレンメ情報テーブルを受け取ったクレンメ情報の識別情報(或いはアドレス)により検索し、既に登録してある情報と比較する。
【0048】
また、受け取った情報が
図10の輸液調整制御システム16や
図11の自動輸液装置17による輸液調整制御システムに関する情報(
図10、
図11の監視制御部40からの検出結果情報、開始通知情報、終了通知情報)であれば、データベース52のシステム情報テーブルを、受け取ったシステムの識別情報により検索し、既に登録してある情報と比較する。
【0049】
上記のようにしてステップS11で比較を行うことにより、輸液異常であるか否かを検出する(S12)。輸液異常であるか否かは、既に例示した通りである。この場合、(開始または終了)予定時刻情報と通知情報(開始または終了)の到来時刻の相違や一致は、厳密に時刻が相違・一致していなくとも、所定時間のマージンを持たせても良い。上記ステップS12において輸液異常であることが検出されると、センタサーバ50の中央制御装置51は、異常出力手段511として異常報知出力を送出する(S13)。この異常報知出力は、特定の監視制御部40や特定のパーソナルデバイス70のアドレス、更には、特定のセントラルモニタ60のアドレスを付加して送出しても良いが、ブロードキャストにより送ることもできる。
【0050】
これにより、異常報知出力を受けた所定端末等では、輸液異常の表示を行う。輸液異常の表示内容としては、「予定より早く(或いは「遅く」)輸液が開始(或いは「終了」)致しました」、または、「予定より早く(或いは「遅く」)輸液ポンプが動作開始(或いは「動作終了」)致しました」などとすることができる。また、監視制御部40では、警報出力部46から音や光による警報出力を行っても良い。
【0051】
センタサーバ50の中央制御装置51は、更に、フリーフローが生じているかを検出する(S14)。例えば、データベース52において輸液の終了予定時刻が経過しても監視制御部40から送られてきた検出結果情報が輸液チューブ11の液体が流れていることを示す「開」となっているときにはフリーフローと判断することができる。或いは、輸液の終了通知情報がデータベース52に登録されているときに、監視制御部40から送られてきた検出結果情報が輸液チューブ11の液体が流れていることを示す「開」となっているときには、フリーフローと判断することができる。
【0052】
フリーフローと判断すると、センタサーバ50の中央制御装置51は、該当クレンメ(或いは輸液調整制御システム)のアドレスを設定したクランプ指示を内容とする異常報知出力を送信する(S15)。これを受けた該当の監視制御部40では、クランプ制御手段15へクランプ指示の制御情報を送り、クランプ制御手段15がクランプ手段14を制御してクランプを実行する。これにより輸液チューブ11が閉塞され輸液の流れが停止する。
【0053】
一方、ステップS10において所定時刻となったことによる起動であることが検出されると、システムが監視するクレンメ12(或いは輸液調整制御システム)の総数Nをカウンタにセットし(S21)、カウンタ値に該当するデータベース52の欄のクレンメ或いは輸液調整制御システムにおいて輸液異常か否かを検出する(S22)。このステップS22の内容は、ステップS11、S12において説明した処理である。ステップS22でYESとなると、ステップS13へ進み、既に説明したような処理が行われる。
【0054】
ステップS12、S22でNOとなるかステップS15における処理の次には、ステップS16においてカウンタの値が0かを検出し(S16)、カウンタの値が0であればエンドとなる一方、カウンタの値が0以外であればカウンタを1ディクリメントして(S17)、ステップS22へ進む。
【0055】
以上のようにして、所定のときには全て(N)の輸液チューブ11の輸液監視が行われ、また、パーソナルデバイス70からの輸液の開始通知情報や終了通知情報の送信により、該当輸液チューブ11の輸液監視が行われ、輸液異常である場合に的確に報知がなされ、大きな事故への発展を阻止することができる。
【0056】
なお、上記の実施形態では、クランプ制御手段15を監視制御部40とは別に設けたが、クランプ制御手段15の機能を監視制御部40が行うようにしても良い。また、輸液の開始予定時刻情報や終了予定時刻情報を用いなくとも良い。その場合には、データベース52を設けずに、終了通知情報や開始通知情報が到来したときに、輸液チューブ11の液体が流れているか停止しているかを示す検出結果情報を監視制御部40から取り込んで、輸液異常を判定しても良い。また、輸液チューブ11の液体が流れているか停止しているかを示す検出結果情報を監視制御部40から所定時間毎に取り込んでデータベースに記憶し、終了通知情報や開始通知情報が到来したときに、輸液異常の判定を行っても良い。また、輸液終了後のフリーフローを問題にするシステムとする場合には、終了通知情報を得ると共に、この得られた情報と上記の検出結果情報とに基づき輸液異常を検出するようにしても良い。データベースには、終了通知情報と終了予定時刻情報の少なくとも一方が記憶されるようにしても良い。データベースには、開始通知情報と開始予定時刻情報の少なくとも一方が記憶されるようにしても良い。その他、本実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨に沿って適宜変更できることは明かである。