特許第6057970号(P6057970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6057970
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】管継手の連結装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/20 20060101AFI20161226BHJP
   F16L 37/00 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   F16L37/20
   F16L37/00
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-217595(P2014-217595)
(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2016-84856(P2016-84856A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】鴻田 徹
(72)【発明者】
【氏名】土居 崇宏
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4504868(JP,B2)
【文献】 特開2014−126147(JP,A)
【文献】 特開2006−102919(JP,A)
【文献】 実開平4−122878(JP,U)
【文献】 実開平6−63976(JP,U)
【文献】 特開2006−15471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/20
B27B 27/02
B25B 27/14
F16L 1/00
F16L 37/00
F16L 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継手の一方の管継手部材に係合可能とされた第1係合部材と、
該第1係合部材によって係合された該一方の管継手部材と軸線方向で整合された他方の管継手部材に係合可能とされた第2係合部材と、
該第1係合部材に対して固定位置とされたフレームであって、該第2係合部材を該第2係合部材が該軸線方向で変位可能に保持するフレームと、
該第2係合部材に連結され該軸線方向で伸張しているシャフトと、
該第1係合部材に対する該軸線方向での固定位置において該シャフトの軸線を中心に回動可能とされた連結駆動装置であって、第1枢動位置と第2枢動位置との間で枢動可能とされ、該第1枢動位置から該第2枢動位置に枢動されるときに該シャフトを該第2係合部材が該第1係合部材に近づくよう該軸線方向で変位するように作用する操作ハンドルを有し、該操作ハンドルの該第1枢動位置から該第2枢動位置への枢動によって該第2係合部材に係合された該他方の管継手部材を該一方の管継手部材に嵌合連結するようにした連結駆動装置と、
を有する管継手の連結装置。
【請求項2】
該フレームが該第1係合部材に連結された第1端部から該第2係合部材の方向に該シャフトと平行に延びて第2端部に至る相互に間隔のあけられた一対のフレーム部材を有し、
該一対のフレーム部材の間には該駆動装置支持部材が架設され、
該連結駆動装置が該駆動装置支持部材によって該シャフトの軸線の回りで回動可能に支持されている請求項1に記載の管継手の連結装置。
【請求項3】
該シャフトが該駆動装置支持部材を貫通するように延び、該駆動装置支持部材に対して該軸線方向で変位可能とされながら該駆動装置支持部材によって支持されている請求項2に記載の管継手の連結装置。
【請求項4】
該一対のフレーム部材のそれぞれが、
該第1係合部材に連結された固定フレーム部材と、
該固定フレーム部材に対して該軸線方向で変位可能に取り付けられた移動フレーム部材と、
該移動フレーム部材を固定フレーム部材に対して固定する固定部材と
を有し、
該駆動装置支持部材が該移動フレーム部材に取り付けられ、
該第2係合部材が該移動フレーム部材に対して該軸線方向で摺動可能に保持されている請求項2又は3に記載の管継手の連結装置。
【請求項5】
該第2係合部材と該シャフトとの間に設定され、該第2係合部材を該シャフトに解放可能に連結する連結手段であって、該第2係合部材の該第1係合部材へ向かう動きが出来なくなった状態で、該操作ハンドルが該第1枢動位置から該第2枢動位置に向けて枢動されると、該シャフトを介してかけられる該第2係合部材から該第1係合部材に向かう該軸線方向での力を受けて該第2係合部材と該シャフトとの連結を解除し、該操作ハンドルの該枢動によって該シャフトのみが動かされるようにされている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の管継手の連結装置。
【請求項6】
該第2係合部材が該シャフトを通す貫通孔を有し、
該連結手段が、
該シャフトの周りに該シャフトと同軸状にして固定されたスリーブと、
該スリーブの半径方向で貫通する連結用孔と、
該連結用孔内に該半径方向で変位可能とされた連結子と、
該シャフトに設けられた凹部であって、該第2係合部材の該貫通孔の内周面によって押圧されて該スリーブの内周面から部分的に突出する連結子の部分を受け入れる凹部と、
該シャフトを該第1係合部材側から該第2係合部材側に向かう方向に付勢する弾性部材と、
該シャフトに固定的に設けられ、該第2係合部材に係合して、該シャフトを該弾性部材の付勢力に抗して該連結子が該第2係合部材の貫通孔の該内周面によって押圧される位置となるようにする係止部と
を有し、
該第2係合部材の該第1係合部材へ向かう動きが出来なくなった状態で、該操作レバーの該第1枢動位置から該第2枢動位置に向けての枢動が行われると、該弾性部材が圧縮されながら該シャフト及びスリーブが該第1係合部材に向かう方向で変位され該第2係合部材の該貫通孔の該内周面による該連結子への押圧が解除されるような構成とされている請求項5に記載の管継手の連結装置。
【請求項7】
該第1係合部材及び該第2係合部材は、下向きに開く逆V字状の開口を有し、それぞれの開口が、該一方の管継手部材及び該他方の管継手部材にその上方から被せられるようにして係合されるようになされている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の管継手の連結装置。
【請求項8】
該連結駆動装置が該第1係合部材及び該第2係合部材の間の位置に設けられている請求項1乃至7のいずれか一項に記載の管継手の連結装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手の一対の管継手部材を相互に連結するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管継手を用いて2つの導管を連結するためには、各導管の端部に結合された管継手部材を相互に軸線方向で整合し、雄型の管継手部材を雌型の管継手部材に軸線方向で所定深さまで挿入して、当該管継手内に設けられている施錠部材を作用させて両管継手部材が分離しないように連結する。
【0003】
このような連結作業は、通常、作業者の手作業で行われるために、例えばプラント配管などの導管のように口径が大きく重量のあるものの連結作業は困難になることがある。また、導管の口径が大きくない場合であっても、扱う流体が高圧の場合には、当該管継手内に設けられている開閉弁に大きな圧力が加わるため、雄型の管継手部材を雌型の管継手部材に挿入して行われる開閉弁の閉鎖状態から開放状態への弁開放作業が困難となることがある。
【0004】
特許第4504868号(特許文献1)には、扱う流体が高圧である場合でも管継手部材の連結を可能とする装置が開示されている。この装置では載置面と称する連結作業の土台となるべき面の上に設定されるベースと、該ベースに取り付けられて一方の管継手部材を保持する保持体と、該保持体によって保持された一方の管継手部材に対して他方の管継手部材を軸線方向で整合して、梃子(レバー)などを利用した倍力機構により該他方の管継手部材に近づけ、両管継手部材を連結するようになっている。
【0005】
実開昭55−179780号(特許文献2)には、各管継手部材に係合される係合部材(アーム)と、両係合部材間に連結される連繋部材及びレバーとを有し、該レバーを回動することにより両管継手部材を引き付け嵌合接続するようにした装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4504868号
【特許文献2】実開昭55−179780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に開示された管継手の連結装置においては、いずれも、両管継手部材を相対的に相互に引き付けるためのレバーなどの操作部材が当該連結装置に対して固定された位置に取り付けられている。このため例えばプラント配管などでは、連結すべき管継手部材に当該連結装置を設定した場合、その周囲の状況によってはレバーなどの操作部材を操作しにくい場合がある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑み、管継手の連結装置を連結すべき2つの管継手部材に設定した状態で、連結操作のために動かす操作部材を当該連結装置に対して変位可能とし、該操作部材をより操作のしやすい位置とすることを可能とした管継手の連結装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、
管継手の一方の管継手部材に係合可能とされた第1係合部材と、
該第1係合部材によって係合された該一方の管継手部材と軸線方向で整合された他方の管継手部材に係合可能とされた第2係合部材と、
該第1係合部材に対して固定位置とされたフレームであって、該第2係合部材を該第2係合部材が該軸線方向で変位可能に保持するフレームと、
該第2係合部材に連結され該軸線方向で伸張しているシャフトと、
該第1係合部材に対する該軸線方向での固定位置において該シャフトの軸線を中心に回動可能とされた連結駆動装置であって、第1枢動位置と第2枢動位置との間で枢動可能とされ、該第1枢動位置から該第2枢動位置に枢動されるときに該シャフトを該第2係合部材が該第1係合部材に近づくよう該軸線方向で変位するように作用する操作ハンドルを有し、該操作ハンドルの該第1枢動位置から該第2枢動位置への枢動によって該第2係合部材に係合された該他方の管継手部材を該一方の管継手部材に嵌合連結するようにした連結駆動装置と、
を有する管継手の連結装置を提供する。
【0010】
この装置では、連結する一対の管継手部材を相対的に近づけるために操作される操作ハンドルを備える連結駆動装置が、シャフトの周りで回動可能とされているために、管継手の連結作業を行う場所に応じ当該連結駆動装置をシャフトの周りで回動して操作ハンドルを操作しやすい位置として連結作業を行うことが可能となる。
【0011】
具体的には、
該フレームが該第1係合部材に連結された第1端部から該第2係合部材の方向に該シャフトと平行に延びて第2端部に至る相互に間隔のあけられた一対のフレーム部材を有し、
該一対のフレーム部材の間には駆動装置支持部材が架設され、
該連結駆動装置が該駆動装置支持部材によって該シャフトの軸線の回りで回動可能に支持されるようにすることができる。
【0012】
より具体的には、
該シャフトが該駆動装置支持部材を貫通するように延び、該駆動装置支持部材に対して該軸線方向で変位可能とされながら該駆動装置支持部材によって支持されるようにすることができる。このようにすることにより該シャフトが該フレームによって安定的に支持されるようになる。
【0013】
このようにした管継手の連結装置においては、
該一対のフレーム部材のそれぞれが、
該第1係合部材に連結された固定フレーム部材と、
該固定フレーム部材に対して該軸線方向で変位可能に取り付けられた移動フレーム部材と、
該移動フレーム部材を固定フレーム部材に対して固定する固定部材と
を有し、
該駆動装置支持部材が該移動フレーム部材に取り付けられ、
該第2係合部材が該移動フレーム部材に対して該軸線方向で摺動可能に保持されるようにすることができる。
【0014】
以上の管継手の連結装置においては、
該第2係合部材と該シャフトとの間に設定され、該第2係合部材を該シャフトに解放可能に連結する連結手段であって、該第2係合部材の該第1係合部材へ向かう動きが出来なくなった状態で、該操作ハンドルが該第1枢動位置から該第2枢動位置に向けて枢動されると、該シャフトを介してかけられる該第2係合部材から該第1係合部材に向かう該軸線方向での力を受けて該第2係合部材と該シャフトとの連結を解除し、該操作ハンドルの該枢動によって該シャフトのみが動かされるようにすることができる。ここで「該第2係合部材の該第1係合部材へ向かう動きが出来なくなった状態」とは、両管継手部材の連結が完了した場合や、管継手部材内の内圧が高くて管継手部材内の開閉弁を押し開くことが出来なくなった場合などを意味する。
【0015】
この場合、具体的には、
該第2係合部材が該シャフトを通す貫通孔を有し、
該連結手段が、
該シャフトの周りに該シャフトと同軸状にして固定されたスリーブと、
該スリーブの半径方向で貫通する連結用孔と、
該連結用孔内に該半径方向で変位可能とされた連結子と、
該シャフトに設けられた凹部であって、該第2係合部材の該貫通孔の内周面によって押圧されて該スリーブの内周面から部分的に突出する連結子の部分を受け入れる凹部と、
該シャフトを該第1係合部材側から該第2係合部材側に向かう方向に付勢する弾性部材と、
該シャフトに固定的に設けられ、該第2係合部材に係合して、該シャフトを該弾性部材の付勢力に抗して該連結子が該第2係合部材の貫通孔の該内周面によって押圧される位置となるようにする係止部と
を有し、
該第2係合部材の該第1係合部材へ向かう動きが出来なくなった状態で、該操作レバーの該第1枢動位置から該第2枢動位置に向けての枢動が行われると、該弾性部材が圧縮されながら該シャフト及びスリーブが該第1係合部材に向かう方向で変位され該第2係合部材の該貫通孔の該内周面による該連結子への押圧が解除されるような構成とすることができる。
【0016】
このようにすることにより、作業者が操作レバーを枢動操作しても、シャフトから停止している第2係合部材に対して過大な力がかけられることを回避することができ、第2係合部材14等が変形してしまうといった不都合を回避することができる。
【0017】
以上のようにした連結装置においては、
該第1係合部材及び該第2係合部材が、下向きに開く逆V字状の開口を有し、それぞれの開口が、該一方の管継手部材及び該他方の管継手部材にその上方から被せられるようにして係合されるようにすることができる。逆V字状とすることにより、種々の直径の管継手部材に係合するようにすることが出来、また、当該第1及び第2係合部材をそれぞれ管継手部材の上方から係合させるようにしているので、管継手部材を下方から支持するような形態にするものよりも構造的強度を低くすることができるので軽量なものとすることが出来き、また連結駆動装置のシャフトのまわりでの回動位置の変更も容易にすることが出来る。
【0018】
以上の連結装置においては、該連結駆動装置が該第1係合部材及び該第2係合部材の間の位置に設けられるようにすることができる。従来のこの種連結装置においては、連結駆動部材を第1及び第2係合部材の外側に設定するものがあったが、これら係合部材の間に設定することにより、当該連結装置の全体のサイズを小さくすることが可能となる。
【0019】
以下、本発明に係る管継手の連結装置の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明に係る管継手の連結装置の実施形態を示す斜視図である。
図2図2は仮連結された状態の雄型及び雌型の管継手部材に図1の連結装置を装着した状態を示す図である。各管継手部材が連結される導管(パイプ)は省略して示してある。他の図においても同様である。
図3図3図2に類似する図であるが、雄型及び雌型の管継手部材の連結が完了した状態を示している。
図4図4図1に類似する図であるが、同連結装置を反対側から見た図である。
図5図5は同連結装置の平面図である。
図6図6は連結駆動装置を図1の位置からシャフトの周りで約90°回動した状態を示す図である。
図7図7は同連結装置を下から見た図で、同連結装置を管継手連結作業の準備状態とするため第2係合部材を第1係合部材から引き離すように動かすように動かしたときに該第2係合部材と係合して所定位置に停止させるストッパの構成が見えるようにした図である。
図8図8同連結装置の連結駆動装置の構成を示すための断面図である。
図9図9はシャフトを解放可能に第2係合部材に連結する連結手段を示す図であり、該連結手段がシャフトを第2係合部材に連結している状態を示している。
図10】図は同連結手段を示す図であり、シャフトと第2係合部材との連結が外れた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
先ず、本発明に係る管継手の連結装置の概要を説明する。
図1乃至図6に示すように、本発明に係る管継手の連結装置10は、管継手の一方の管継手部材Aに係合可能とされた第1係合部材12と、管継手部材Aと軸線方向で整合された他方の管継手部材Bに係合可能とされた第2係合部材14と、第1係合部材12に固定されたフレーム16であって、第2係合部材14を上記軸線方向で変位可能に保持するフレーム16と、第2係合部材14に連結され上記軸線方向で伸張しているシャフト20と、第1係合部材12に対する上記軸線方向での固定位置においてシャフト20の軸線を中心に回動可能とされてシャフト20から半径方向に延びる固定位置ハンドル22、及び、固定位置ハンドル22に枢着され、図1にαで示すように、固定位置ハンドル22に対して離された第1枢動位置と固定位置ハンドル22側に引き寄せられた第2枢動位置との間で枢動可能とされ、第1枢動位置から第2枢動位置に枢動されるときにシャフト20を該シャフト20に連結されている第2係合部材14が第1係合部材12に近づくよう上記軸線方向で変位するように作用する操作ハンドル24と、を有し、操作ハンドル24の上記第1枢動位置から第2枢動位置への枢動によって第2係合部材14に係合された管継手部材Bを管継手部材Aに連結するようにした連結駆動装置26と、を有している。(尚、この連結装置の通常の使用方法としては、連結されるべき管継手部材A,Bを作業者が仮連結(すなわち、両管継手部材A,Bを部分的に嵌合して相互に軸線方向で整合された状態として、当該連結装置をそれら管継手部材A,Bに係合し、連結操作を行うようにする。)
【0022】
具体的に説明すれば、第1係合部材12及び第2係合部材14は、シャフト20の軸線に直交するように設けられた板状の部材とされ、下向きの逆V字状の開口12a、14aが設けられており、該開口12a、14aはそれぞれ、管継手部材A,Bにおける(図示しない)導管との連結部に対してその上方から被せられるようにして係合されるようになっている。開口12a、14aを逆V字状としているのは、種々のサイズの管継手部材に係合できるようにするためである。
【0023】
フレーム16は第1係合部材12に連結された第1端部16xから第2係合部材14の方向にシャフト20と平行に延びて第2端部16yに至る一対のフレーム部材16A,16Bと、該フレーム部材16A,16Bの第2端部16yを連結する連結部材16Cとを有している。一対のフレーム部材16A,16Bの間にはシャフト20が貫通するようにされた貫通孔30aを有する駆動装置支持部材30が架設され、連結駆動装置26が駆動装置支持部材30によってシャフト20の軸線の回りで回動可能に支持されている。図示の例では、連結駆動装置26は図1の位置から約180°回動可能とされており、図6は約90°回動した状態を示している。貫通孔30aを貫通するシャフト20は、駆動装置支持部材30に対してその長手方向で変位可能とされながら駆動装置支持部材30によって支持されている。一対のフレーム部材16A,16Bのそれぞれは、第1係合部材12に連結された固定フレーム部材16A−1、16B−1と、固定フレーム部材16A−1、16B−1に対して上記軸線方向で変位可能に取り付けられた移動フレーム部材16A−2、16B−2と、移動フレーム部材16A−2、16B−2を固定フレーム部材16A−1、16B−1に対して所要の位置で固定する固定部材(ねじ)32とを有し、連結駆動装置26が移動フレーム部材16A−2、16B−2に取り付けられ、第2係合部材14が移動フレーム部材16A−2、16B−2に対して上記軸線方向で摺動可能に保持されている。連結部材16Cは移動フレーム部材16A−2、16B−2の端部に連結されており、作業者が該連結部材16Cを把持して、連結する管継手部材A,Bの種類(型式)により異なる仮連結時の長さに応じて移動フレーム部材16A−2、16B−2を固定フレーム部材16A−1、16B−1に対して摺動するようになっており、これにより第1係合部材12と第2係合部材14との間隔を調整して固定部材32によって両係合部材12,14を固定するようになっている。図示の例では、固定部材としてのねじ32が移動フレーム部材16A−2、16B−2に設けられているネジ穴(図示せず)にねじ込まれており、その軸部(図示せず)が固定フレーム部材16A−1、16B−1に設けられた長孔16A−3,16B−3を通るようにされており、固定フレーム部材16A−1、16B−1に対する移動フレーム部材16A−2、16B−2の上記軸線方向での位置を決めた状態で、ねじ32を締め付けてねじ頭部を固定フレーム部材16A−1、16B−1の外表面に押圧することにより両フレーム部材を固定するようになっている。図示の例では、固定フレーム部材16A−1、16B−1の外表面には長孔16A−3,16B−3の縁に沿ってねじ頭部を受け入れる凹み16A−4,16B−4が複数設けられており、種々のサイズの管継手部材に合わせて移動フレーム部材16A−2、16B−2の位置が設定されてねじ32を締め付けたときに、ねじ頭部が適宜の凹み16A−4,16B−4に嵌合するようになされており、これにより、移動フレーム部材16A−2,16B−2が上記軸線方向で変位するのを確実に阻止することが出来るようにしている。フレーム部材16A,16Bには、凹み16A−4,16B−4がどの管継手の種類(型式)に適合するかの表示を設けることが好ましい。
【0024】
図7は連結装置10を下側から見た図であり、管継手部材A,Bが仮連結されている状態を示している。図示のように移動フレーム部材16A−2、16B−2は細長い板状の部材であり、同じく細長い板状の固定フレーム部材16A−1、16B−1の内側に重ねられて摺動可能に設けられており、前述のように一端を連結部材16Cによって連結され、他端が駆動装置支持部材30によって連結されている。第2係合部材14は、それぞれ、移動フレーム部材16A−2、16B−2の内面に重ねられた板状の摺動部材14bに連結固定されており、移動フレーム部材16A−2、16B−2の内面に沿って上記軸線方向で摺動可能とされている。また、移動フレーム部材16A−2、16B−2には、該移動フレーム部材16A−2、16B−2に対する第2係合部材14の第1係合部材12から離れる方向での動きを制限するため比較的太いワイヤ材で作られたストッパ44が取り付けられている。このストッパ44はシャフト20を横切る方向に設定されており、両端は移動フレーム部材16A−2、16B−2の内側縁に沿って上記軸線方向に延びるように設けられた立ち上がり内側エッジ16A−5,16B−5に形成された複数の係止凹部16A−6,16B−6のうちの連結する管継手部材A,Bのストローク、すなわち、上記仮連結の状態から連結状態までの軸線方向の移動量に合わせた適宜のものに通されるようになされており、コ状に折り曲げられた端部44a、44bが、移動フレーム部材16A−2、16B−2の内側面に接するようにして、移動フレーム部材16A−2、16B−2の立ち上がり内側エッジ16A−5,16B−5と立ち上がり外側エッジ16A−8,16B−8によって挟まれるように配置されて、当該移動フレーム部材16A−2、16B−2に対して固定されるようにされている。連結する管継手部材A,Bのストロークに合わせて移動フレーム部材16A−2、16B−2を固定フレーム部材16A−1、16B−1に対して位置決めした後、シャフト20の端部に設けられているノブ20bをもって、ストッパ44のコ状に折り曲げられた上記端部44a、44bの第2係合部14側の部分に第2係合部14が図7に示すように当接して停止される位置まで動かして、第2係合部材14の最終的位置決めを行うようにする。尚、フレーム16の第1端部16xにはゴム製のクッション17が設けられているが、これは、誤って本連結装置10を落下させたとき、破損を防止するためのものである。
【0025】
図8は連結駆動装置26の機構を示している。この連結駆動装置26は、例えば特許第4156310号に開示されたコーキングガンのピストンロッドを前進させるための機構と同様のものであり、シャフト20の周りに取り付けられた駆動リング34を有する。駆動リング34はシャフト20を緩く通すサイズの貫通孔34aを有しており、操作ハンドル24が図示の上記第1枢動位置にあるときには、コイルバネ39によって図でも右方に押圧されると共に操作ハンドル24の基端に設けられたピン24aによって上端が係合されているために図示のように傾斜されている。この状態では貫通孔34aを画定している周壁面はその前端上部(左端上部)及び後端下部(右端下部)においてシャフト20に係合している。操作ハンドル24を図示の第1枢動位置から固定位置ハンドル22に近づけられた第2枢動位置に向けて回動されると、駆動リング34は操作ハンドル24のピン24aによって図で見て反時計方向での回転モーメントを受けて貫通孔34aの周壁面の前端上部及び後端下部でのシャフト20との係合が強められ、それにより、ピン24aの動きに従って図で見て左方に動かされながらシャフト20及び該シャフト20に連結されている第2係合部材14を左方に動かす。作業者が操作ハンドル24を持つ力を緩めるとピン24aを介しての駆動リング34への押圧は無くなるので、貫通孔34aの周壁面とシャフト20との係合は弱められて当該駆動リング34はシャフト20上を摺動して図8の位置に戻り、操作ハンドル24も反時計方向に枢動されて図示の第1枢動位置に戻る。図示の例では、前進したシャフト20が戻らないようにするための戻り防止部材36が更に設けられている。すなわち、この戻り防止部材36はシャフト20を緩く通す貫通孔36aを備えており、図示のように、コイルバネ37によってシャフト20に対して傾斜した状態とされ、貫通孔36aを画定している周壁面はその前端下部及び後端上部においてシャフトに係合するように設定されている。戻り防止部材36はこのように設定されることにより、シャフト20が第1係合部材12に向かって左方に前進するときにはシャフト20との摩擦係合によりシャフトに対して垂直に近い状態とされ、それにより貫通孔36aの周壁面とシャフト20との係合が弱められてシャフト20の前進を許容するが、シャフト20が右方に戻ろうとすると当該戻り防止部材36は元の傾斜状態に戻り貫通孔36aのシャフトとの係合が強められ、それにより、シャフト20の右方への戻りを阻止する。
【0026】
図9及び図10に示すように、第2係合部材14とシャフト20との間には、第2係合部材14をシャフト20に解放可能に連結する連結手段35が設けられている。すなわち、この連結手段35は、シャフト20の周りにシャフト20と同軸状にして固定されたスリーブ38と、スリーブ38の半径方向で貫通する連結用孔38aと、連結用孔38a内に半径方向で変位可能とされた連結子40と、シャフト20に設けられた凹部20aであって、スリーブ38を摺動可能に通している第2係合部材14の貫通孔14cの内周面によって押圧されてスリーブ38の内周面から部分的に突出する連結子40の部分を受け入れる凹部20aと、第2係合部材14とシャフト20上の係止リング45との間に圧縮状態で設定され、スリーブ38を第1係合部材12側から第2係合部材14側に向かう方向(図では右方)に付勢する弾性部材(皿バネ)42とを有しおり、スリーブ38には図で見て左端には係止部38bが設けられて、弾性部材42によって付勢された第2係合部材14は該係止部38bによって係止され、連結子40が図示のように第2係合部材14の貫通孔14cの内周面によって押圧されて凹部20aに係合されてシャフト20と第2係合部材14との間を連結するようになされている。このようにしてシャフト20に連結されている第2係合部材14は、前述の如く操作ハンドル24を枢動操作することによりシャフト20とともに第1係合部材12に向けて動かされ、管継手部材Bを管継手部材Aに向けて動かす。しかし、管継手部材Bが管継手部材Aに所定深さだけ嵌合されて管継手部材Aとの連結が完了したり、管継手部材A,B内圧が高いために該管継手部材内に設けられた開閉弁(図示せず)が開かない場合などには、管継手部材Bが更に前進することができなくなる。このような状態において、操作ハンドル24の第1枢動位置から第2枢動位置への枢動操作が行われシャフト20が第1係合部材12の方向に変位されると、該シャフト20は、弾性部材42を係止リング45と管継手部材Bに係合している第2係合部材14との間で圧縮しながら第2係合部材14に対して相対的に変位して図10に示す状態となり、連結子40はシャフト20の凹部20aから抜け出し、第2係合部材14の貫通孔14cにおける大径部分14dに入る。このため、シャフト20は第2係合部材14に対して自由に変位可能となり、シャフト20から連結子40を介しての第2係合部材14に過大な負荷がかけられ、第2係合部材14が変形するといった問題が発生するのを回避することができるようになっている。第2係合部材14とシャフト20との関係を図10の状態から図9の状態に戻す場合には、戻り防止部材36を図で見て反時計方向にまわして貫通孔36aがシャフト20と略平行となるようにしてシャフト20の端部のノブ20bを持って引き戻す。
【0027】
尚、図示の連結装置においては、管継手部材A,Bの連結が完了した時点でシャフト20が自動的に動かないようにして、操作ハンドル14の操作ができないようにするためのストッパリング46がシャフト20上に設けられている。すなわち、管継手部材Bを管継手部材Aに対して挿入し仮連結する際に、管継手部材Bをそれ以上挿入すれば管継手部材A内に設定されている開閉弁が開かれる位置まで挿入して当該仮連結とする場合には、仮連結から連結完了までの管継手部材間の相対的動き(ストローク)は当該管継手の種類(形式)によって一定のものとなるので、ストッパ44を連結操作を行う管継手の種類(形式)におけるストロークに合わせて設定し、第2係合部材14を該ストッパ44によって係止される位置に設定して、操作ハンドル24による連結操作を行えば、管継手部材Bが所定ストロークだけ変位されて管継手部材Aに挿入され両管継手部材の連結が完了した時点で、ストッパ44が戻り防止部材36に当接して、シャフト20がそれ以上動かないようにするのである。
【0028】
上述の連結装置10を用いて管継手部材A,Bの連結を行う場合には、戻り防止部材36を固定位置ハンドル22側に倒し、ノブ20bを第1係合部12の反対側に引き、ストッパ44によって停止される位置に第2係合部材14を位置決めした後、部分的に嵌合させた管継手部材A,Bに対してそれぞれ第1係合部材12及び第2係合部材14を係合させ、操作レバー24を第1枢動位置から第2枢動位置へ枢動する動作を一回から数回行い、管継手部材Bを管継手部材Aに近づけ両管継手部材A,Bの連結を行う。
【0029】
以上本発明に係る管継手の連結装置の実施形態を説明したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、連結駆動装置は、操作レバーとシャフトの間にラックピニオン機構を設けて、操作レバーの枢動操作によりシャフトの第1係合部材に向かう動きを起こさせるようにすることが出来る。
【符号の説明】
【0030】
管継手部材A;管継手部材B;連結装置10;第1係合部材12;開口12a;第2係合部材14;開口14a;摺動部14b;貫通孔14c;大径部分14d;フレーム16;第1端部16x;第2端部16y;フレーム部材16A,16B;固定フレーム部材16A−1、16B−1;移動フレーム部材16A−2、16B−2;長孔16A−3,16B−3;凹み16A−4,16B−4;立ち上がり内側エッジ16A−5,16B−5;係止凹部16A−6,16B−6;立ち上がり外側エッジ16A−8,16B−8;連結部材16C;クッション17;シャフト20;凹部20a;ノブ20b;固定位置ハンドル22;操作ハンドル24;ピン24a;連結駆動装置26;駆動装置支持部材30;貫通孔30a;固定部材(ねじ)32;駆動リング34;貫通孔34a;連結手段35;戻り防止部材36;貫通孔36a;コイルバネ37;スリーブ38;連結用孔38a;係止部38b;コイルバネ39;連結子40;弾性部材(皿バネ)42;ストッパ44;端部44a,44b;係止リング45;ストッパリング46
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10