(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、半導体チップ100、磁気シールド層400、及び配線基板200を備えている。半導体チップ100は磁気記憶素子10を有しており、かつ第1面に電極パッド110(本図で省略)を有している。磁気シールド層400は、少なくとも電極パッド110が露出した状態で半導体チップ100を被覆している。半導体チップ100は、バンプ310を介して配線基板200に実装されている。ここでの接続形態は、例えばフリップチップ接続である。半導体チップ100と配線基板200は、少なくとも一方が凸部を有しており、当該凸部上にバンプ310が設けられている。以下、詳細に説明する。
【0012】
本実施形態において、凸部は配線基板200に設けられている。具体的には、配線基板200は、第1の配線基板210及び第2の配線基板220を有している。平面視において、第2の配線基板220は第1の配線基板210よりも小さい。第2の配線基板220は、バンプ230を介して第1の配線基板210の上に搭載されている。このような構成により、第2の配線基板220が凸部を構成している。そして第2の配線基板220のうち第1の配線基板210に対向していない面は、バンプ310を介して半導体チップ100に接続している。バンプ230,310は、例えば半田バンプである。また第1の配線基板210のうち半導体チップ100とは逆側の面には、外部接続端子としてハンダボール320が設けられている。
【0013】
磁気シールド層400は、少なくとも半導体チップ100の第1面(配線基板200に対向する面)の一部を覆っているが、平面視で第2の配線基板220とは重なっていない。具体的には、磁気シールド層400は、半導体チップ100のほぼ全面(側面を含む)を覆っているが、配線基板200に対向している領域に開口402を有している(後述する
図25(a)に相当)。平面視において開口402は、第2の配線基板220よりも大きい。このため、磁気シールド層400は第2の配線基板220とは干渉せず、開口402の内側に第2の配線基板220が入り込む。磁気シールド層400は、軟磁性材料、例えば、鉄、パーマロイ、センダスト、珪素鋼、又はナノ結晶により形成されている。磁気シールド層400の厚さは、例えば0.05mm以上0.15mm以下である。
【0014】
半導体チップ100と配線基板200の間の空間は、アンダーフィル樹脂510により封止されている。アンダーフィル樹脂510は、エポキシ系の樹脂であってもよいし、イミド系の樹脂であってもよい。本実施形態において、アンダーフィル樹脂510は、磁気シールド層400と第2の配線基板220の間にも形成されている。すなわち第2の配線基板220も、アンダーフィル樹脂510によって封止されている。
【0015】
図2は、磁気記憶素子10の原理を説明するための図である。磁気記憶素子10は、磁気固定層12と磁気フリー層14とをトンネルバリア層16を介して対向させた構造を有している。
図2(a)に示す磁気記憶素子10は、垂直スピンタイプの素子である。このタイプの磁気記憶素子10は、半導体チップ100に対して垂直方向の磁場によって書込及び消去が行われる。
図2(b)に示す磁気記憶素子10は、水平スピンタイプの素子である。このタイプの磁気記憶素子10は、半導体チップ100に対して水平方向の磁場によって書込及び消去が行われる。いずれのタイプの磁気記憶素子10も、磁気固定層12と磁気フリー層14の磁化の向きが同一方向の場合は低抵抗となり、磁気固定層12と磁気フリー層14の磁化の向きが逆方向の場合は高抵抗となる、そして、トンネルバリア層16を通過するトンネル電流の大小を測定することにより、書き込みされている情報の読み出しが行われる。そして
図1に示す磁気シールド層400は、
図2(a)及び
図2(b)のいずれのタイプの磁気記憶素子10に対しても磁気シールド効果を奏する。
【0016】
図3は、磁気記憶素子10の構成を説明するための図である。
図3(a)に示す磁気記憶素子10は、磁壁移動型の磁気記憶素子である。具体的には、磁気フリー層14が磁壁移動層になっており、2本のビット線13a,13bに接続している。そして磁気固定層12は読出線11に接続している。
【0017】
図3(b)に示す磁気記憶素子10はスピン注入型の磁気記憶素子である。具体的には、磁気フリー層14は一本のビット線13に接続しており、磁気固定層12は読出線11に接続している。
【0018】
なお、
図2及び
図3を用いて磁気記憶素子10の原理及び構成を説明したが、本発明が適用できる磁気記憶素子10の構成はこれらに限定されず、例えば磁場移動型の磁気記憶素子であってもよい。
【0019】
図4及び
図5は、
図1に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。まず
図4(a)に示すように、個片化される前の第1の配線基板210に、バンプ230を用いて第2の配線基板220を搭載する。第1の配線基板210には位置合わせマーク212が設けられており、第1の配線基板210には位置合わせマーク222が設けられている。位置合わせマーク212,222は、例えば配線層の一部であり、保護層から露出している導体パターンである。このため、位置合わせマーク212と位置合わせマーク222の位置を検出することにより、第1の配線基板210上に第2の配線基板220を高い位置精度で搭載することができる。なお、第2の配線基板220は、第1の配線基板210のうち個片化される複数の領域それぞれに搭載される。
【0020】
次いで
図4(b)に示すように、第1の配線基板210上に搭載された各第2の配線基板220に、バンプ310を一括して形成する。
【0021】
次いで
図5(a)に示すように、磁気シールド層400で被覆された半導体チップ100を準備する。磁気シールド層400は、例えば複数の部品を半導体チップ100に取り付けることにより、形成することができる。
【0022】
次いで、バンプ310を用いて半導体チップ100を第2の配線基板220に搭載する。ここで、磁気シールド層400には位置合わせマーク404が設けられているため、半導体チップ100は高い位置精度で第2の配線基板220に搭載される。なお、位置合わせマーク404は、例えば磁気シールド層400に設けられた特定の形状(くぼみを含む)である。
【0023】
この状態において、磁気シールド層400と第1の配線基板210の間には、隙間が存在する。このようにすると、バンプ310が硬化する際に、半導体チップ100は自己整合的に第2の配線基板220に対して位置決めされる。
【0024】
次いで
図5(b)に示すように、毛細管現象を利用し、磁気シールド層400と第1の配線基板210の間の隙間を、アンダーフィル樹脂510で封止する。このとき、磁気シールド層400と第2の配線基板220の間の隙間にも、毛細管現象によりアンダーフィル樹脂510が浸透する。次いで、複数の半導体チップ100を封止樹脂500で個別に封止する。
【0025】
その後、ダイシングライン(点線で示す)に沿って第1の配線基板210を切断することにより、複数の半導体装置を個片化する。
【0026】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、磁気シールド層400は、半導体チップ100の電極パッドを露出させるための開口402を有している。そして開口402は平面視で第2の配線基板220を内側に含んでいる。このため、半導体チップ100を配線基板200上に搭載したとき、第2の配線基板220の上面は磁気シールド層400の下面より半導体チップ100の近くに位置する。従って、バンプ310の高さを低くすることができる。そして、これに伴ってバンプ310の幅を小さくすることができる。これにより、バンプ310を狭いピッチで高密度に配置することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、第1の実施形態における
図1に相当している。本実施形態に係る半導体装置は、封止樹脂500の形状を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。具体的には、封止樹脂500の側面は、第1の配線基板210の側面と同一面を形成している。
【0028】
図7は、
図6に示した半導体装置の製造方法を示す断面図である。まず
図7(a)に示すように、第1の配線基板210上に第2の配線基板220を搭載し、さらに第2の配線基板220上に、磁気シールド層400で被覆された半導体チップ100を搭載する。次いで、アンダーフィル樹脂510を形成する。ここまでの工程は、第1の実施形態と同様である。
【0029】
次いで
図7(b)に示すように、複数の半導体チップ100を封止樹脂500で一括封止する。その後、封止樹脂500及び第1の配線基板210をダイシングすることにより、複数の半導体装置を個片化する。
【0030】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、アンダーフィル樹脂510の形成方法を除いて、第1又は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0032】
まず
図8(a)に示すように、第1の配線基板210上にバンプ230を形成する。次いで、第2の配線基板220の下面に絶縁性の樹脂フィルム(NCF:Non Conductive Film)512を、例えばラミネート法により設ける。次いで、第1の配線基板210上に第2の配線基板220を搭載する。これにより、第2の配線基板220と第1の配線基板210の間の空間は樹脂フィルム512により封止される。
【0033】
次いで
図8(b)に示すように、第2の配線基板220上にバンプ310を設ける。次いでバンプ310上及び第2の配線基板220上に、樹脂フィルム(NCF)514をラミネート法により設ける。これにより、アンダーフィル樹脂510が形成される(
図8(c))。この段階において、アンダーフィル樹脂510は第2の配線基板220及びバンプ310を封止しているが、未だ硬化していない。
【0034】
次いで、第2の配線基板220上に、磁気シールド層400で被覆された半導体チップ100を搭載する。このとき、半導体チップ100はある程度の圧力で第2の配線基板220に押し付けられる。これにより、バンプ310は半導体チップ100に接触する。
【0035】
次いで、半導体チップ100、配線基板200、及びバンプ310を熱処理し、その後冷却する。詳細には、まず加熱により、アンダーフィル樹脂510を軟化させ、バンプ間を埋める。その後、徐々にアンダーフィル樹脂510は硬化し、これと並行して、バンプ310は溶融する。そして冷却によりバンプは凝固して、半導体チップ100に接合する。その後、封止樹脂500を設ける。
【0036】
本実施形態では、半導体チップ100が第2の配線基板220に接合される前に樹脂フィルム514が設けられているが、樹脂フィルム514は、第2の配線基板220の上面ではなく半導体チップ100の下面に設けられてもよい。
【0037】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2の配線基板220に半導体チップ100を搭載する前に、アンダーフィル樹脂510を樹脂フィルム512,514で形成するため、バンプ230,310のピッチが小さくなっても、バンプ230,310をアンダーフィル樹脂510で十分封止することができる。
【0038】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、磁気シールド層400の形状を除いて、第1〜第3の実施形態のいずれかと同様である。
【0039】
本実施形態において、磁気シールド層400は、半導体チップ100の側面と対向している領域に湾曲部406を有している。すなわち半導体チップ100の側面と磁気シールド層400の間には、隙間が存在している。
【0040】
本実施形態によっても、第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また磁気シールド層400が湾曲部406を有しているため、例えば薄い鋼板を折り曲げ加工することにより、磁気シールド層400の少なくとも一部を形成することができる。従って、磁気シールド層400の製造コストを低くすることができる。
【0041】
(第5の実施形態)
図10(a)は、第5の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、第1の実施形態における
図1に相当している。
図10(b)は、
図10(a)に示した半導体装置の上面図である。本実施形態に係る半導体装置は、以下の点を除いて第1〜第3の実施形態のいずれかに係る半導体装置と同様の構成である。
【0042】
まず、半導体チップ100は、メモリ領域102とメモリ無領域104を有している。メモリ領域102は、磁気記憶素子10が設けられている領域であり、メモリ無領域104は磁気記憶素子10が設けられていない領域である。メモリ無領域104には、例えばロジック回路が配置されている。そして磁気シールド層400は、平面視でメモリ領域102を覆っており、かつメモリ無領域104を覆っていない。
【0043】
詳細には、本実施形態において磁気記憶素子10は、
図2(a)に示した垂直スピンタイプの素子である。また半導体チップ100は矩形を有している。そしてメモリ領域102は、メモリ無領域104と比較して半導体チップ100の一辺に近い側に設けられている。そして磁気シールド層400は、半導体チップ100のうち配線基板200に対向している第1面から、側面を経由して、第1面とは逆側の面である第2面にかけて形成されている。
【0044】
具体的には、メモリ無領域104は半導体チップ100の中心側に設けられており、メモリ領域102は半導体チップ100の両脇に設けられている。そして半導体チップ100のメモリ領域102は、互いに異なる磁気シールド層400によってそれぞれ覆われている。各磁気シールド層400は、半導体チップ100の4つの側面のうち1つの側面を完全に覆っており、かつこの側面につながる2つの側面を覆っていない(後述する
図24(a),(b)に相当)。なお、後述する
図24(d)に示すように、磁気シールド層400は上記した2つの側面を部分的に覆っていてもよい。
【0045】
本実施形態によっても、第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、半導体チップ100に対して垂直な方向の磁場に対しては、第1の実施形態に係る磁気シールド層400よりも、本実施形態に係る磁気シールド層400のほうがシールド効果が高い。従って、磁気記憶素子10に対して誤書込や誤消去が行われる可能性がさらに低くなる。
【0046】
(第6の実施形態)
図11(a)は、第6の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、第1の実施形態における
図1に相当している。
図10(b)は、
図10(a)に示した半導体装置の上面図である。本実施形態に係る半導体装置は、磁気シールド層400の形状を除いて第5の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。
【0047】
本実施形態において、磁気シールド層400は、湾曲部406を有している。湾曲部406の構成は、第4の実施形態と同様である。
【0048】
本実施形態によっても、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。また第4の実施形態と同様に、磁気シールド層400の製造コストを低くすることができる。
【0049】
(第7の実施形態)
図12(a)は、第7の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、配線基板200の構成を除いて、第1〜第6の実施形態のいずれかと同様である。
【0050】
本実施形態において、配線基板200は、凸部250を有している。凸部250は、一枚の配線基板200の表面が部分的に凸になることにより、形成されている。凸部250は、磁気シールド層400の開口402内に入り込んでいる。そして凸部250の上面には、バンプ310が接続している。
【0051】
図12(b)は、
図12(a)の変形例を示す断面図である。本図に示す例において、凸部250は配線基板200のうち磁気シールド層400に対向しない部分の全域に形成されている。そして磁気シールド層400は、配線基板200のうち凸部250が形成されていない領域に当接していても良いし、この領域から離れていてもよい。
【0052】
図13は、凸部250の構造の詳細を示す断面拡大図である。本図に示す例において、配線基板200は4層以上の多層配線基板である。凸部250は、保護層240、金属柱202、及び金属層203により構成されている。保護層240は、例えばソルダーレジストであり、配線基板200の上面を部分的に被覆している。ここでソルダーレジストは、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びポリイミド樹脂の少なくとも一つを含んでいる。保護層240の厚さは、例えば20μm以上60μm以下である。金属柱202は、例えばCuにより形成されている。また配線基板200のうちハンダボール320が取り付けられる面には、保護層242が形成されている。
【0053】
配線基板200のうち保護層240が形成されている領域には、電極201が形成されている。電極201は、平面視で磁気シールド層400の開口402の内側に位置している。そして電極201には、金属柱202が接続している。金属柱202は保護層240を貫通しており、上端が保護層240よりも上に位置している。金属柱202は例えばCuポストであり、例えば電解めっき法により形成されている。金属柱202の高さは、例えば60μm以上120μm以下である。
【0054】
金属柱202の上端(上端面および側面の上端部を含む)には、金属層203が形成されている。金属層203は、例えばNi/Au、Ni/Pd/Au層であり、例えば無電解めっき法、又は電解めっき法により形成されている。金属層203は、バンプ310を金属柱202に接合させるために設けられている。
【0055】
そして電極201は、コア層に設けられたビア206を介して電極204に接続している。電極204は配線基板200の裏面側に設けられており、金属層205を介してハンダボール320に接続している。
【0056】
本実施形態によっても、第1〜第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、
図14に示すように、配線基板200はコア層の上面及び下面に配線を形成した2層基板であってもよい。この場合、コア層の上面に電極201が形成され、コア層の下面に電極204が形成される。
【0058】
(第8の実施形態)
図15は、第8の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、第7の実施形態に係る
図13に相当している。本実施形態に係る半導体装置は、以下を除いて第7の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。
【0059】
本実施形態において、配線基板200は最上層にビルドアップ領域207を有している。ビルドアップ領域207は、配線層を部分的にビルドアップすることにより形成されている。そして保護層240は、ビルドアップ領域207上のみに形成されている。ビルドアップ領域207は、平面視で磁気シールド層400の開口402と重なる部分に形成されている。そしてビルドアップ領域207及び保護層240により、凸部が形成されている。この凸部は、開口402内に入り込んでいる。
【0060】
また、電極201上には金属柱202が形成されておらず、バンプ310は、電極201に直接接続している。ただし電極201は、上面に、バンプ310との接合を確保するために、Ni/Au、Ni/Pd/Auなどの金属層を有している。
【0061】
また、ビルドアップ領域207の一つ下の配線層に位置する配線層では、配線はビルドアップ領域207で覆われている部分のみに形成されている。
【0062】
本実施形態によっても、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、本実施形態において、保護層240は、配線基板200のうち半導体チップ100に対向する面の全面に形成されても良い。この場合、ビルドアップ領域207の一つ下の配線層に位置する配線層のうちビルドアップ領域207で覆われていない部分にも、配線を形成することができる。
【0064】
また
図16に示すように、ビルドアップ領域207は、平面視で磁気シールド層400と重ならない領域である限りにおいて、開口402と重ならない場所(例えば平面視で磁気シールド層400の外側に位置する部分)にも形成されて良い。
【0065】
また
図17に示すように、配線基板200内における電極201と電極204は、一つのビア206によって直接接続されてもよい。
【0066】
(第9の実施形態)
図18は、第9の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、以下の点を除いて、第7の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。
【0067】
まず、磁気シールド層400が半導体チップ100の側面の一部には形成されていない。そして保護層240は、平面視で、半導体チップ100の側面のうち磁気シールド層400が形成されていない部分から半導体チップ100の内側から外側にかけて連続的に形成されている。
【0068】
本実施形態によっても、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(第10の実施形態)
図19は、第10の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、以下の点を除いて、第8の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。
【0070】
まず、半導体チップ100は、金属柱112を有している。金属柱112は電極パッド110上に形成されている。電極パッド110を含む多層配線層上には、保護層120が形成されている。保護層120は、電極パッド110上に位置する開口が設けられているが、この開口内に金属柱112が形成されている。金属柱112は、例えばCuから構成されている。金属柱112は、保護層120よりも高く、上端が保護層120より凸になっている。金属柱112の高さは、例えば60μm以上120μm以下である。
【0071】
そして、金属柱112の端面にバンプ310が形成されている。配線基板200には金属柱202が設けられていないため、バンプ310は保護層240に設けられた開口内に入り込む。この開口は、電極201上に位置している。そしてバンプ310は、アンダーバンプメタル(図示せず)を介して電極201に接続している。
【0072】
図20は、
図19の第1の変形例を示す断面図である。この変形例は、以下の点を除いて
図19と同様の構成である。まず、保護層240は配線基板200のうち半導体チップ100に対向している面の全面に形成されている。そして保護層240により被覆されている配線層は、平面視で磁気シールド層400と重なる領域にも配線を有している。
【0073】
すなわち本実施形態では、半導体チップ100が凸部として金属柱112を有していることになる。金属柱112は保護層120よりも高いため、金属柱112を設けることにより、第7の実施形態において配線基板200に凸部を設けたときと同様の効果を得ることができる。
【0074】
図21は、
図19の第2の変形例を示す断面図である。この変形例は、以下の点を除いて
図19と同様の構成である。まず、磁気シールド層400が半導体チップ100の側面の一部には形成されていない。そして保護層240は、平面視で、半導体チップ100の側面のうち磁気シールド層400が形成されていない部分から半導体チップ100の内側から外側にかけて連続的に形成されている。
【0075】
本実施形態によっても、第8の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(第11の実施形態)
図22は、第11の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、保護層240の端面241が上を向く方向に傾斜している点を除いて、第7〜第10の実施形態のいずれかに係る半導体装置と同様の構成である。
【0077】
本実施形態によっても、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。また配線基板200上に半導体チップ100を搭載するときに、端面241に磁気シールド層400の下端が当接した場合でも、端面241に沿って磁気シールド層400の下端がスライドすることにより、半導体チップ100は、自己整合的に正しい位置に移動する。従って、さらに確実に半導体チップ100を配線基板200に実装することができる。
【0078】
なお、
図23に示すように、保護層240の端面241は、下を向く方向に傾斜していてもよい。
【0079】
図24の各図、及び
図25の各図は、第1〜第11の実施形態における磁気シールド層400の変形例を示す斜視図である。上記した各実施形態では、磁気シールド層400は、
図24(a)、
図24(b)、及び
図25(a)のいずれかに示す形状を有していた。しかし磁気シールド層400の形状はこれらに限定されず、例えば
図24、
図25の各図に示す形状としてもよい。
【0080】
図24(b)に示す例は、
図24(a)に示す例に対し、磁気シールド層400の幅が半導体チップ100の幅よりも狭い点が異なる。そして半導体チップ100の縁は磁気シールド層400に被覆されていない。
【0081】
図24(c)に示す例は、
図24(a)に示す例に対し、磁気シールド層400が半導体チップ100の一辺の近傍にのみ設けられている点が異なる。
【0082】
図24(d)に示す例では、磁気シールド層400は、直方体のうち半導体チップ100が差し込まれる側面のみが開口している形状を有している。そして2つの磁気シールド層400が、半導体チップ100のうち互いに対向している2つの側面側から、それぞれ差し込まれている。
【0083】
図24(e)に示す例は、
図24(c)に示す例に対し、磁気シールド層400の幅が半導体チップ100の幅よりも狭く、かつ長手方向に長い点が異なる。磁気シールド層400の端部は、半導体チップ100の能動面(電極パッドが形成されている面)のうち半導体チップ100の一側面の近くから、この一側面の反対側の側面を経由し、さらに半導体チップ100の裏面のうち上記した一側面の近くまで延伸している。
【0084】
図25(b)に示す例では、磁気シールド層400は、
図25(a)に示す例に対し、開口402が半導体チップ100のうち互いに対向している2つの側面につながっている点が異なる。そして磁気シールド層400は、これら2つの側面は覆っておらず、残りの2つの側面を覆っている。
【0085】
図25(c)に示す例では、磁気シールド層400は、
図25(b)に示す例に対し、開口402が、半導体チップ100のうち互いに対向している2つの側面にまで連続して形成されているが、これら2つの側面の他の部分は磁気シールド層400によって被覆されている点が異なる。
【0086】
図25(d)に示す例では、磁気シールド層400は、
図25(a)に示す例に対し、互いに対向している2側面を覆っていない点が異なる。
【0087】
図26は、
図24の各図に示した例における開口402の形状の一例を示す図である。
図27は、
図25の各図に示した例における開口402の形状の一例を示す図である。いずれの例においても、開口402は、半導体チップ100のうち電極パッドが設けられた領域に形成されている。
【0088】
図26(a)及び(b)に示す例では、半導体チップ100の電極パッドは、半導体チップ100のうち互いに対向する2側面に沿って形成されている。そして開口402も、半導体チップ100のうち互いに対向する2側面に沿って延伸している。そして、
図26(a)に示すように、開口402が磁気シールド層400の中で閉じている形状となる場合もあれば、
図26(b)に示すように、開口402が磁気シールド層400の縁につながって開放されている形状となる場合もある。
【0089】
図26(c)及び
図27(a)に示す例では、半導体チップ100の電極パッドは、半導体チップ100の縁を除いた全面に形成されている。この場合、開口402は、半導体チップ100の能動面に対向する部分のうち、縁を除いた領域に形成される。
【0090】
図27(b)に示す例では、半導体チップ100の電極パッドは、半導体チップ100の4つの側面それぞれに沿って形成されている。そして開口402も、半導体チップ100の4つの側面それぞれに沿って延伸している。
【0091】
図27(c)に示す例では、開口402は、電極パッドそれぞれ別に設けられている。
【0092】
なお、
図24及び
図25に示した各例において、
図28に示すように、磁気シールド層400は、半導体チップ100の側面に沿って形成されている部分が、半導体チップ100の能動面及びその反対面に対向している部分よりも厚くなっていてもよい。
【0093】
磁気シールド層400は、磁束を磁気シールド層400の内部を通過させることにより、半導体チップ100に磁場が加わらないようにするものである。そして、磁気シールド層400のうち最も磁束密度が高くなるのは、磁気シールド層400のうち半導体チップ100の側面に沿っている部分である。
図28に示す例では、磁気シールド層400のうち半導体チップ100の側面に沿っている部分が、他の部分よりも厚くなっている。このため、この部分における磁束の通過容量が増大する。このため、磁気シールド層400の磁気シールド能力が向上する。
【0094】
また磁気シールド層400が、半導体チップ100の側面を経由して半導体チップ100の一面(能動面)側から他面(裏面)側に回り込んでいる場合、磁気シールド層400には、
図26の各図に示したように、この側面に沿った長尺形状の開口402を形成しないのが好ましい。
【0095】
上記したように、磁気シールド層400は、磁束を磁気シールド層400の内部を通過させることにより、半導体チップ100に磁界が加わらないようにするものである。半導体チップ100の側面を経由して半導体チップ100の一面(能動面)側から他面(裏面)側に回り込んでいる場合、磁束は、磁気シールド層400のうち半導体チップ100の一面(能動面)側に位置する部分から、半導体チップ100の側面に対向している部分を経由して、半導体チップ100の他面(裏面)側に位置する部分に流れる。ここで磁気シールド層400に、上記した側面に沿った長尺形状の開口402を形成してしまうと、この側面近傍において、磁束が流れる部分が減少してしまい、この部分における磁束の通過容量が減少してしまう。この場合、磁気シールド層400の磁気シールド能力が低下してしまう。
【0096】
(第12の実施形態)
図29は、第12の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置は、以下の点を除いて第1〜第11の実施形態に係る半導体装置のいずれかと同様の構成である。なお
図29は、第2の実施形態と同様の場合を図示している。
【0097】
まず、磁気記憶素子10は水平スピンタイプの素子である。そして、磁気シールド層400は、半導体チップ100の裏面側(図中上側の面)にのみ設けられている。また、配線基板200の凸部(本図に示す例では第2の配線基板220)以外の領域のうち半導体チップ100と対向している部分には、素子20が搭載されている。素子20は、半導体チップであってもよいし、他のディスクリート部品であってもよい。
【0098】
本実施形態によれば、配線基板200のうち平面視で半導体チップ100と重なる領域に、半導体チップ100以外の電子部品を搭載することができる。
【0099】
なお、上記した各実施形態において、電極パッド110の平面形状は矩形である必要はない。例えば
図30に示すように、電極パッド110は正三角形(
図30(a))、正六角形(
図30(b))又は円形(
図30(c))であってもよい。この場合、電極パッド110を千鳥配置することにより、電極パッド110の配置密度を高めることができる。
【0100】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。