(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058209
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】管接続部用ロック
(51)【国際特許分類】
F16L 37/084 20060101AFI20161226BHJP
F16L 37/098 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
F16L37/084
F16L37/098
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-508214(P2016-508214)
(86)(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公表番号】特表2016-519264(P2016-519264A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】FR2014050900
(87)【国際公開番号】WO2014170590
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】1353466
(32)【優先日】2013年4月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514226693
【氏名又は名称】ア・レイモン・エ・シエ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デプラン,アナイス
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0173780(US,A1)
【文献】
特開2005−221074(JP,A)
【文献】
特表2000−512368(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02497991(EP,A1)
【文献】
独国特許発明第102004062207(DE,B3)
【文献】
特開2011−179630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L37/00−37/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管接続部をロックするロック部品(10)にして、前記ロック部品(10)は、第1管要素(3)内に軸方向にロックされるように設計され、円形カラー(21)が設けられた第2管要素(2)を受け取るように設計された軸方向オリフィス(14)を画定し、前記ロック部品(10)には、弾性変形可能な少なくとも1つのクレードル(11)であって、前記第2管要素(2)が前記軸方向オリフィス(14)の中へと軸方向に係合されている間、それに対して軸方向に押圧する前記円形カラー(21)の作用下で半径方向に離れて行き、前記円形カラー(21)が過ぎて行くのを可能にし、次いで引っ込んで、前記円形カラー(21)の後ろで圧締めし、前記円形カラー(21)と協働して、前記第2管要素(2)を前記第1管要素(3)内に軸方向にロックするように設計された内部斜面(13)が設けられた、クレードル(11)が設けられた、ロック部品(10)であって、前記ロック部品は、前記クレードル(11)の前記内部斜面(13)には、浮き彫り状に延在する、前記クレードル(11)の幅(L)よりも小さな幅(l)の少なくとも1つの軸方向隆起部(15)が設けられ、前記軸方向の係合中に、前記軸方向隆起部(15)外側の前記クレードル(11)上への前記円形カラー(21)からのいかなる軸方向スラストも回避しながら前記円形カラー(21)からの軸方向スラストを受け取るよう設計されることを特徴とする、ロック部品(10)。
【請求項2】
前記軸方向隆起部(15)が前記内部斜面(13)の内側縁部から軸方向に延在することを特徴とする、請求項1に記載のロック部品(10)。
【請求項3】
前記軸方向隆起部(15)が少なくとも0.1mmの幅(l)を有すること、軸方向隆起部(複数)(15)の総幅は前記クレードル(11)の幅(L)の50%を超えないことを特徴とする、請求項1に記載のロック部品(10)
【請求項4】
前記軸方向隆起部(15)の外形が、その頂点で、前記クレードル(11)の前記内部斜面(13)の外形に対して少なくとも0.1mmの厚み(E)を有し、前記厚み(E)は前記内部斜面(13)の表面に垂直に測定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロック部品(10)。
【請求項5】
前記軸方向隆起部(15)が前記内部斜面(13)に沿って変化する厚み(E)を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロック部品(10)。
【請求項6】
前記軸方向隆起部(15)が、凸型外形、単一傾斜外形、および多数傾斜外形から成る群から選択される外形を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロック部品(10)。
【請求項7】
前記軸方向隆起部(15)が単一隆起部であり、前記クレードル(11)の軸方向中央平面(P)内で心合わせされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロック部品(10)。
【請求項8】
前記クレードルには、前記クレードルの軸方向中央平面の両側上に対称的に分配される複数の軸方向隆起部が設けられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のロック部品(10)。
【請求項9】
互いに軸方向に対称である2つのクレードルが設けられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のロック部品(10)。
【請求項10】
管接続器にして、円形カラー(21)が設けられた第2管要素(2)を受け取るように設計された軸方向オリフィス(32)を画定する第1管要素(3)と、ロック部品(10)であって、前記第1管要素(3)内に軸方向にロックされ、弾性変形可能な少なくとも1つのクレードル(11)であって、前記第2管要素(2)が前記軸方向オリフィス(32)の中へと軸方向に係合されている間、それに対して軸方向に押圧する前記円形カラー(21)の作用下で半径方向に離れて行き、前記円形カラー(21)が過ぎて行くのを可能にし、次いで引っ込んで、前記円形カラー(21)の後ろで圧締めし、前記円形カラー(21)と協働して、前記第2管要素(2)を前記第1管要素(3)内に軸方向にロックするように設計された内部斜面(13)が設けられた、クレードル(11)が設けられたロック部品(10)とを備える管接続器であって、前記管接続器は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のロック部品(10)を含むことを特徴とする、管接続器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、管接続部をロックするロック部品、例えば流体を搬送する管同士を一緒に接続するロック部品と、その結果できる管接続器、特に自動車分野で使用されるもの、例えば燃料噴射器、フィルタ、ラジエタ、または任意の他の適切な機器を接続するもの、ならびに/あるいは任意の他の類似技術分野の管接続器とに関する。
【背景技術】
【0002】
管接続部をロックするそのようなロック部品とそのような管接続器とが、特に公報米国特許第6086119号明細書および第5374088号明細書から知られており、
図1から
図3に示されている。そのようなロック部品1は、第1管要素3内に第2管要素2をロックしてそれらを一緒に接続し、流体が一方から他方へ流れるのを可能にするように設計される。
【0003】
各第1管要素3には、ハウジング31に固定された、またはそれと一体である軸方向雄型端部片30が設けられる。ハウジング31には、第1管要素3の雄型端部片30と軸方向に位置合わせして設けられた軸方向オリフィス32が設けられる。ハウジング31は受け口33を画定する。受け口33はロック部品1を受け取るように設計され、
図1内の矢印Tによって示されるようにロック部品1が横から挿入されるのを可能にする側方開口部34がこれに設けられる。
【0004】
ロック部品1は一般的にダイアモンド形であり、そのダイアモンド形状を軸方向オリフィス14が通過する。ダイアモンド形状の側部は弾性変形可能であり、側部の中央にはクレードル11が設けられ、端部にはプレス板12が設けられる。このように、ロック部品1のダイアモンド形状はある程度平坦化されることが可能であって、例えばロック部品1を
図1の矢印Tによって示されるように横から側方開口部34を通して第1管要素3の受け口33の中に挿入することができる。ロック部品1は挿入された後、受け口33の内側で弛緩し、プレス板12は側方開口部34内に受け取られ、クレードル11は軸方向オリフィス32の中へ内向き、かつ外向きに突出して、ロック部品1を受け口33の内側にロックするようになる。
【0005】
各第2管要素2は、円形カラー21が設けられた、例えば接続フランジ板22によって拡張された軸方向雄型端部片20を有する。第2管要素2の雄型端部片20の直径は、第1管要素3の雄型端部片30とロック部品1の軸方向オリフィス14との直径よりも小さく、そこに受け取られることが可能であるようになる。第2管要素2はロック部品1を通して第1管要素3の中に軸方向に係合される。クレードル11には内部斜面13が設けられる。内部斜面13の配置構成は、第2管要素2が
図2の矢印Fによって示されるように軸方向オリフィス32の中に軸方向に係合される間、クレードル11に対して軸方向に押圧する円形カラー21がクレードル11同士を半径方向に離れさせ、それによって円形カラー21がクレードル11同士の間を通るのを可能にし、かつ第2管要素2が第1管要素3の中に挿入されることを可能にするようになされる。円形カラー21がそれらを過ぎて行った後は、クレードル11同士は半径方向に互いに近づき、円形カラー21の後ろで第2管要素2の雄型端部片20のまわりで圧締めする。次いでクレードル11は円形カラー21と協働して、ロック部品1を介して第2管要素2を第1管要素2に対して軸方向にロックする。このようにして
図3に示されるように管接続器が得られる。第1と第2管要素は流体密閉性を保証することを可能にするガスケット23によっても離隔される。例えば、これらのガスケット23同士は環状スペーサ24によって軸方向に互いに離隔され、リング25によって第1管要素3内でロックされる。
【0006】
管接続部が、引き離されることへの充分な抵抗度を有することを保証するためには、クレードル11は高強度でなければならない。これはそれらが堅固でなければならないことを意味する。したがって、円形カラー21の上を渡ってゆく際のクレードル11を弾性変形させるのに必要とされる差し込み力は大きく、ロック部品1を使用し難いものにしている。さらに、第2管要素2の雄型端部片20の直径の寸法許容度を考えると、クレードル1それぞれに対して軸方向スラストが心合わせされないことが頻繁に起こる。このように、加えられるべき軸方向係合力はより大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6086119号明細書
【特許文献2】米国特許第5374088号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、充分な強度を提供しながらも限られた差し込み力しか必要としない管接続部用のロック部品を提案することによってその欠点を救済することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は管接続部をロックするロック部品にして、ロック部品は、第1管要素内に軸方向にロックされるように設計され、円形カラーが設けられた第2管要素を受け取るように設計された軸方向オリフィスを画定し、ロック部品には、弾性変形可能な少なくとも1つのクレードルであって、第2管要素が軸方向オリフィスの中へと軸方向に係合されている間、それに対して軸方向に押圧する円形カラーの作用下で半径方向に離れて行き、円形カラーが過ぎて行くのを可能にし、次いで引っ込んで、円形カラーの後ろで圧締めし、円形カラーと協働して、第2管要素を第1管要素内に軸方向にロックするように設計された内部斜面が設けられた、クレードルが設けられた、ロック部品であって、前記ロック部品は、クレードルの内部斜面には、浮き彫り状に延在する、クレードルの幅よりも小さな幅の少なくとも1つの軸方向隆起部が設けられ、軸方向の係合中に、軸方向隆起部以外の前記クレードル上への円形カラーからのいかなる軸方向スラストも回避しながら円形カラーからの軸方向スラストを受け取るよう設計されることを特徴とする、ロック部品を提供する。
【0010】
本発明の基本概念は、各クレードルに、軸方向スラストを取り上げ、集中化するのに適し、それを担持するクレードルの幅よりも小さな幅の軸方向隆起部を設けることである。このようにして、発生される摩擦は小さくなり、差し込みがし易くされる。さらに、軸方向力が軸方向隆起部によってクレードルの中央平面内で心合わせされることから、同じ軸方向力では、クレードル同士が離れ易くなる。
【0011】
本発明のロック部品は有利に以下の特色を有することがきる:
・軸方向隆起部は内部斜面の内側縁部から軸方向に延在する。
・軸方向隆起部は少なくとも0.1ミリメートル(mm)の幅を有し、軸方向隆起部(複数)の総幅はクレードルの幅の50%を超えない。
・軸方向隆起部の外形は、その頂点で、クレードルの内部斜面の外形に対して少なくとも0.1mmの厚みを有する。厚みは内部斜面の表面に垂直に測定される。
・軸方向隆起部は内部斜面に沿って変化する厚みを有する。
・軸方向隆起部は、凸型外形、単一傾斜外形、および多数傾斜外形から成る群から選択される外形を有する。
・軸方向隆起部は単一隆起部であり、クレードルの軸方向中央平面内で心合わせされる。
・クレードルには、クレードルの軸方向中央平面の両側上に対称的に分配される複数の軸方向隆起部が設けられる。
・ロック部品には互いに軸方向に対称である2つのクレードルが設けられる。
【0012】
本発明は、そのようなロック部品を含む、第1管要素と第2管要素を一緒に接続する管接続器も提供する。
【0013】
非制限的な例として以下に掲げられ、添付図面を参照した実施形態の以下の詳しい説明を読めば、本発明がより充分に理解されることが可能であり、他の利点も明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1および第2管要素とロック部品とから構成される、係合の一段階における従来技術の管接続器の分解斜視図である。
【
図2】第1および第2管要素とロック部品とから構成される、係合の別の段階における従来技術の管接続器の分解斜視図である。
【
図3】第1および第2管要素とロック部品とから構成される、係合の別の段階における従来技術の管接続器の断面図である。
【
図5】本発明のロック部品の一実施形態の詳細図である。
【
図6】本発明のロック部品の一実施形態の詳細図である。
【
図7】本発明のロック部品内の第2管要素の係合の一段階を示す断面図である。
【
図8】本発明のロック部品内の第2管要素の係合の別の段階を示す断面図である。
【
図9】本発明のロック部品内の第2管要素の係合の別の段階を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図4から
図9を参照すると、本発明のロック部品10は
図1から
図3に示されたロック部品1と実質的に類似している。同様の要素は同様の参照番号を有する。各クレードル11は、対応するクレードルの軸方向中央平面P内に設けられ、内部斜面13の外形に対して浮き彫り状に延在し、内部斜面13の内側縁部16から軸方向に延在する軸方向隆起部を有する。ここに示された実施例では、軸方向隆起部15は内部斜面13の外側縁部17へ延在する。しかし軸方向隆起部は前記外側縁部に到達する前に中断されることもできる。このように、軸方向隆起部15の軸方向長さは、内部斜面13の内側縁部16から出発して内部斜面13の軸方向長さの少なくとも10%である。
【0016】
各軸方向隆起部15はそれを担持するクレードル11の幅Lよりも小さな幅lを有する。幅lは少なくとも0.1mmであり、軸方向隆起部15の総幅が対応するクレードル11の幅の50%を超えないように構成される。
【0017】
各軸方向隆起部15は、
図7で示されるように、内部斜面13の外形に対するその頂点で、前記厚みEが内部斜面13の表面に対して垂直に測定されるとき、少なくとも0.1mmの厚みEを有する。
【0018】
各軸方向隆起部15の厚みは、
図5に示されるように斜面部に沿って変化することができ、または
図6に示されるように一定であることができる。さらに、各軸方向隆起部15は、ここに示されるように凸型外形、単一傾斜外形、または多数傾斜外形を有することができる。
【0019】
一実施形態(図示せず)では、ロック部品には複数の軸方向隆起部が設けられる。次いで軸方向隆起部はクレードルの軸方向中央平面の両側上に対称的に分配される。同じクレードルの軸方向隆起部全ての総幅は前記クレードルの幅の50%を超えない。同じクレードルの軸方向隆起部同士は、0.1mmからクレードルの幅Lの2分の1までの範囲で変化することが可能な間隔によって離隔される。
【0020】
ここに示される実施例では、ロック部品は2つのクレードルを有し、クレードルそれぞれに1つの軸方向隆起部が設けられる。ロック部品には単一のクレードルまたは複数のクレードルが設けられることもでき、複数のクレードルの一部には軸方向隆起部は設けられない。
【0021】
本発明のロック部品10は、従来技術のロック部品1について上述されたものと同じ方式で、知られているタイプの第1管要素3上に組み立てられることができる。
図7から
図9に示されるように知られているタイプの第2管要素2が、矢印Fによって示されるように本発明のロック部品10内に軸方向に係合されている間、第2管要素2の円形カラー21が軸方向隆起部15と接触する。円形カラー21はクレードル11の表面の残りの部分とは接触しない。このように、軸方向隆起部15は、クレードル11同士を押し離す力が各クレードル11の軸方向中央平面P内に集中化され、軸方向隆起部15によってのみ取り上げられることを保証することを可能にし、それによって力がクレードル11の一方または他方の縁部によって斜めに取り上げられるリスクを回避する。したがって、同じ係合力では、クレードル11同士を離すことがより容易である。このように、管接続器を本発明のロック部品10と組み立てることは、従来技術のロック部品1と組み立てるより小さな力しか必要としない。このように、本発明は、ロック部品10、特にクレードルの強度を引き離し力に耐えるように維持しながら、かつ軸方向の差し込みもし易くしながら、上述の目的を達成することを可能にする。
【0022】
当然ながら、本発明は決してその実施形態の一つについての上述の説明に限定されない。本発明の実施形態は本発明の範囲を超えずに修正を受けることが可能である。