特許第6058304号(P6058304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058304
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ギター、及びその弦調整構造
(51)【国際特許分類】
   G10D 3/14 20060101AFI20161226BHJP
   G10D 1/08 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   G10D3/14
   G10D1/08
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-157323(P2012-157323)
(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2014-21179(P2014-21179A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501444958
【氏名又は名称】鎌田 勇
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 勇
【審査官】 大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/045528(WO,A1)
【文献】 特開2009−301050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 3/14
G10D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に着脱可能なネック部と、
前記ネック部側の弦の一端を係止し、前記ネック部に着脱可能なネック側弦係止部と、
前記本体部側の弦の一端を係止し、前記本体部に着脱可能な本体側弦係止部と、
前記本体部に固定された基盤部と、
前記本体側弦係止部のネック側への移動を制限する制限部と、を備え、
前記制限部は、前記基盤部との弦方向の距離を調整可能に前記基盤部に連結されている、
ことを特徴とするギター。
【請求項2】
請求項に記載のギターであって、
前記本体側弦係止部及び前記制限部は、互いに向かい合って接する面を備え、前記本体側弦係止部がネック側に引っ張られることにより、前記本体側弦係止部の弦方向の位置が定まる、
ことを特徴とするギター。
【請求項3】
請求項に記載のギターであって、
前記互いに向かい合って接する面は、互いに嵌り合う一組以上の凸部及び凹部を有する、
ことを特徴とするギター。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のギターであって、
前記本体側弦係止部は、係止される前記本体部側の各弦の一端の弦方向の位置を調整する調整手段を有する、
ことを特徴とするギター。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のギターであって、
前記制限部は、前記基盤部とネジ部により連結されており、当該ネジ部の回転により前記弦方向の距離を調整可能である、
ことを特徴とするギター。
【請求項6】
ネック部と本体部とを備えるギターの弦調整構造であって、
前記本体部側の弦の一端を係止し、前記本体部に着脱可能な本体側弦係止部と、
前記本体部に固定される基盤部と、
前記本体側弦係止部のネック側への移動を制限する制限部と、を備え、
前記制限部は、前記基盤部との弦方向の距離を調整可能に前記基盤部に連結される
ことを特徴とする弦調整構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギター、及びその弦調整構造に関する。
【背景技術】
【0002】
収納や持ち運びの利便性を向上にするために、折り畳んだり分解したりすることができる構造を有するギターが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ネック部をボディ部とジョイントで接続し、ジョイントを回転することでネック部を折り畳むことができるギターが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−202348
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通常、ギターを持ち運ぶ際は、弦を張った状態(もちろん、弦を緩めてもよい)で持ち運ぶ。しかし、特許文献1に開示されているギターでは、弦の両端は、マシン・ヘッド及びブリッジに固定されている。そのため、ネック部をボディ部に向かい合うように折り畳むと、例えば、弦が折れて破損する、弦がギターの表面と接触して傷つける、などのおそれがある。
【0006】
本発明は、弦やギターの破損を防止し易くするとともに、収納や持ち運びの利便性をより向上した構造のギターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、ギターであって、本体部と、前記本体部に着脱可能なネック部と、前記ネック部側の弦の一端を係止し、前記ネック部に着脱可能なネック側弦係止部と、前記本体部側の弦の一端を係止し、前記本体部に着脱可能な本体側弦係止部とを備える。
上記のギターは、前記本体部に固定された基盤部と、前記本体側弦係止部のネック側への移動を制限する制限部と、を備え、前記制限部は、前記基盤部との弦方向の距離を調整可能に前記基盤部に連結されていてもよい。
上記のギターにおいて、前記本体側弦係止部及び前記制限部は、互いに向かい合って接する面を備え、前記本体側弦係止部がネック側に引っ張られることにより、前記本体側弦係止部の弦方向の位置が定まってもよい。
上記のギターにおいて、前記互いに向かい合って接する面は、互いに嵌り合う一組以上の凸部及び凹部を有してもよい。
上記のギターにおいて、前記本体側弦係止部は、係止される前記本体部側の各弦の一端の弦方向の位置を調整する調整手段を有してもよい。
上記のギターにおいて、前記制限部は、前記基盤部とネジ部により連結されており、当該ネジ部の回転により前記弦方向の距離を調整可能であってもよい。
上記の課題を解決するための本発明の他の態様は、ネック部と本体部とを備えるギターの弦調整構造であって、前記本体部側の弦の一端を係止し、前記本体部に着脱可能な本体側弦係止部と、前記本体部に固定される基盤部と、前記本体側弦係止部のネック側への移動を制限する制限部と、を備え、前記制限部は、前記基盤部との弦方向の距離を調整可能に前記基盤部に連結される。
【0009】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るギター1の正面図(組み立て状態)。
図2】ギター1の側面図(組み立て状態)。
図3】ギター1の斜視図(分解した状態)。
図4】ギター1をケース500に収納した状態の斜視図(分解した状態)。
図5】ネック部20の構造を説明する図。
図6】弦固定部30の構造を説明する図。
図7】弦調整部40の構造を説明する図(その1)。
図8】弦調整部40の構造を説明する図(その2)。
図9】弦調整部40の構造を説明する図(その3)。
図10】弦調整部40の構造を説明する図(その4)。
図11】弦係止部440の構造を説明する図(その1)。
図12】弦係止部440の構造を説明する図(その2)。
図13】弦係止部440の構造を説明する図(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るギター1の正面図(組み立て状態)である。図2は、ギター1の側面図(組み立て状態)である。なお、図2では、弦50を省略している。
【0013】
ギター1は、いわゆるエレクトリック・ギターとしての機能を有する。
【0014】
ギター1は、ボディ部10と、ネック部20と、を有する。ボディ部10は、ピックアップ11と、ブリッジ12と、弦調整部40と、を有する。ボディ部10は、その他に、ボリューム・コントロール、トーン・コントロール、ピックアップ・スイッチ、などを有する。ネック部20は、ボディ部10から遠い側の一端に、弦固定部30を有する。ネック部20は、その他に、ナット21、フレット、指板、などを有する。
【0015】
弦50は、その両端が、弦固定部30及び弦調整部40により係止され、ナット21及びブリッジ12を介して、ギター1に張られる。詳細は後述するが、弦固定部30の弦係止部300は、弦50のネック側の一端を係止するとともに、ネック部20の先端に着脱可能に固定される。また、詳細は後述するが、弦調整部40の弦係止部440は、弦50のボディ側の一端を、張力を調整可能に係止するとともに、ボディ部10に着脱可能に固定される。
【0016】
図3は、ギター1の斜視図(分解した状態)である。本図は、ギター1を持ち運ぶ際に、ギター1がどのように分解されるかを示している。
【0017】
ギター1は、組み立て構造を有している。すなわち、ボディ部10とネック部20とを、分離できるようになっている。また、ネック部20と弦固定部30の一部(詳細には、後述の弦係止部300)とを、分離できるようになっている。また、ボディ部10と弦調整部40の一部(詳細には、後述の弦係止部440)とを、分離できるようになっている。詳細は後述するが、上述の各部は、手作業で容易に分離したり組み立てたりできるようになっている。
【0018】
図4は、ギター1をケース500に収納した状態の斜視図(分解した状態)である。本図は、ギター1を持ち運ぶ際に、図3のように分解されたギター1の各部がどのように収納されるかの一例を示している。
【0019】
分離されたギター1の各部は、例えば、図示するような見開きのケース500に収納することができる。
【0020】
ケース500は、本体部510と蓋部520を有する。本体部510には、ボディ部10及びネック部20それぞれを嵌め込むことができるように、各部に対応する形状の穴が開けられた緩衝材が設けられている。蓋部520には、例えば、弦固定部30(詳細には、後述の弦係止部300)及び弦調整部40(詳細には、後述の弦係止部440)それぞれを嵌め込むことができるように、各部に対応する形状の穴が開けられた緩衝材が設けられている。
【0021】
また、蓋部520には、弦50が動きにくいように固定する紐部521を有する。紐部521により、弦50が蓋部520の内側に抑え付けられ、ケース500を閉めた場合でも動きにくくなる。
【0022】
図5は、ネック部20の構造を説明する図である。本図は、ネック部20とボディ部10の着脱構造の一例を示している。
【0023】
ネック部20は、その裏側(不図示のフレットや指板と反対側)に、プレート210が固定されている。プレート210は、例えば、鉄などの金属で構成され、ネジ等によりネック部20に固定される。プレート210には、雄ネジ240に対応する雌ネジ孔211が形成されている。また、ネック部20の裏側には、プレート210を介して雄ネジ240の先端部が挿入される穴212が形成されている。
【0024】
ボディ部10には、ネック部20のボディ側の一端部を位置決めし、セットするための窪み230が形成されている。また、ボディ部10の裏側(ピックアップ11と反対側)に、プレート220が固定されている。プレート220は、例えば、鉄などの金属で構成され、ネジ等によりボディ部10に固定される。プレート220には、雄ネジ240が貫通する孔221が形成されている。また、窪み230の底面には、プレート220を介して雄ネジ240が貫通する孔222が形成されている。
【0025】
ネック部20は、窪み230にセットされた状態で、雄ネジ240及び雌ネジ孔211により、ボディ部10に固定される。雄ネジ240の頭部には、人間が指で掴んで回すことができる取っ手が形成されている。ユーザーは、雄ネジ240を簡単に回すことができ、ネック部20をボディ部10に対して簡単に着脱することがきる。
【0026】
なお、ネック部20をボディ部10に対して着脱できれば、着脱構造は上記の構造例に限られない。
【0027】
図6は、弦固定部30の構造を説明する図である。
【0028】
弦固定部30は、ネック部20の先端部(ボディ部10から遠い側)であって、ナット21よりも遠くに位置する。弦固定部30は、弦係止部300と、基盤部310と、雄ネジ320とを有する。
【0029】
弦係止部300は、例えば、鉄などの金属で構成される。弦係止部300には、雄ネジ320が弦方向(弦50と略並行する方向)に貫通する孔301が形成されている。また、弦係止部300には、弦50の一端が貫通する孔303が形成されている。また、弦係止部300の上側(ネック部20の表側と同じ側)には、各弦50ごとに、雄ネジ302に対応する雌ネジ孔(不図示)が形成されており、当該雌ネジ孔は、孔303に上側から連結している(不図示)。
【0030】
弦50の一端を孔303に貫通させた状態で、雄ネジ302を締めることにより、雄ネジ302の先端面と孔303の下側の面とで弦50が上下に挟まれ、弦50の一端が弦係止部300に係止される。雄ネジ302の頭部には、例えば、レンチ穴が開けられている。ユーザーは、レンチを用いて雄ネジ302を左又は右に回すことで、弦50を弦係止部300に対して簡単に着脱することがきる。
【0031】
基盤部310は、例えば、鉄などの金属で構成され、ネジ等によりネック部20の先端面に固定される。基盤部310には、弦方向に雄ネジ320に対応する雌ネジ孔311が形成されている。なお、ネック部20の先端部には、雌ネジ孔311を介して雄ネジ320の先端部が挿入される穴(不図示)が形成されている。
【0032】
弦係止部300は、弦方向から見て対応する孔301と雌ネジ孔311が重なるように位置決めされた状態で、雄ネジ320及び雌ネジ孔311により、基盤部310に固定される。雄ネジ320の頭部には、人間が指で掴んで回すことができる取っ手が形成されている。ユーザーは、雄ネジ320を簡単に回すことができ、弦係止部300を基盤部310に対して簡単に着脱することがきる。
【0033】
基盤部310及び弦係止部300の互いに向かい合って接する面には、互いに嵌り合う一組以上の凸部及び凹部が形成されていてもよい。このようにすれば、基盤部310に対する弦係止部300の位置決めをし易くするとともに、雄ネジ320を軸とする弦係止部300の回転を防ぐことができる。
【0034】
なお、弦50を係止することができれば、弦係止部300の構造は、上記の構造例に限られない。また、弦係止部300をネック部20に対して着脱可能に固定できれば、着脱構造は上記の構造例に限られない。
【0035】
図7は、弦調整部40の構造を説明する図(その1)である。図8は、弦調整部40の構造を説明する図(その2)である。図9は、弦調整部40の構造を説明する図(その3)である。図10は、弦調整部40の構造を説明する図(その4)である。
【0036】
図11は、弦係止部440の構造を説明する図(その1)である。図12は、弦係止部440の構造を説明する図(その2)である。図13は、弦係止部440の構造を説明する図(その3)である。なお、図11図13は、一本の弦に関する構造に着目しており、他の弦に関する構造は省略している。
【0037】
弦調整部40は、基盤部400と、支持部(「制限部」と呼んでもよい。)410と、弦係止部440と、を有する。これらの各部は、例えば、鉄などの金属で構成される。
【0038】
基盤部400は、ボディ部10の表面の、ブリッジ12を介してネック部20から遠い側に固定される。基盤部400は、例えば、ネジ等によりボディ部10に固定される。
【0039】
基盤部400は、弦方向と直交する方向にボディ部10の表面に沿って延びる平板部401と、平板部401の長手方向の両端に位置する一対の平板部402とから形成される。平板部402には、弦方向に雄ネジ420に対応する雌ネジ孔405が形成されている。
【0040】
支持部410は、弦方向と直交する方向にボディ部10の表面に沿って延びる平板部411と、平板部411の長手方向の両端に位置する一対の肉厚部412(図中のL字型あるいは逆L字型とも呼ぶことができる部分。)とから形成される。肉厚部412には、雌ネジ孔405と対応する位置に、雄ネジ420と対応する雌ネジ孔415が形成されている。雌ネジ孔415は、弦方向に貫通している。また、肉厚部412の雌ネジ孔415より内側の位置には、弦係止部440の一対の穴446に挿入される一対のロッド部416が設けられている。
【0041】
支持部410は、弦方向から見て対応する雌ネジ孔415と雌ネジ孔405が重なるように位置決めされた状態で、雄ネジ420及び雌ネジ孔415により、弦方向の位置を調整可能に基盤部400に支持(「連結」と呼んでもよい。)される。すなわち、雄ネジ420が左又は右に回転することにより、支持部410は弦方向に移動可能である。
【0042】
なお、支持部410は、弦係止部440がセットされた状態で、弦係止部440が弦50の張力によりネック側に引っ張られることで、ネック側に引っ張られる。しかし、支持部410は、雄ネジ420の頭部が、基盤部400の雌ネジ孔405が設けられている面に接して係止されることにより、ネック側への動きが制限され、雄ネジ420の回転量に応じた弦方向の位置に固定される。
【0043】
雄ネジ420は、弦方向のその先端と反対側の一部の幅(少なくとも平板部402の弦方向の厚みに対応する幅)には、雄ネジが形成されていない。雄ネジが形成されていない部分の口径は、雌ネジ孔405を通過できる大きさとなっている。また、雄ネジ420の頭部には、人間が指で掴んで回すことができる取っ手が形成されている。ユーザーは、雄ネジ420を簡単に回すことができ、支持部410を簡単に弦方向に移動することができる。
【0044】
弦係止部440は、弦方向と直交する方向にボディ部10の表面に沿って延びる平板部441と、ネック側の一辺を開けて平板部441の周囲を囲む肉厚部442とから形成される。肉厚部442には、支持部410の一対のロッド部416と対応する位置に、一対のロッド部416が挿入される穴446が形成されている。
【0045】
弦係止部440は、弦方向から見て対応する穴446とロッド部416が重なるように位置決めされた状態で、穴446にロッド部416を挿入することにより、支持部410にセットされる。そして、弦係止部440は、弦50の張力によりネック側に引っ張られることで、穴446が形成されている面が、支持部410のロッド部416が設けられている面に対して接し、支持部410に係止されるとともにネック側への動きが制限され、弦方向の位置が固定される。また、穴446にロッド部416を挿入されることにより、弦方向から外れる方向(例えば、弦方向と直交する方向)への動きが制限される。
【0046】
肉厚部442の弦方向と直交する一辺には、各弦50ごとに、弦方向に貫通する孔443が形成されている。孔443は、ボルト部460の雄ネジ462を貫通できる口径となっている。
【0047】
ボルト部460は、頭部461と雄ネジ462を有する。雄ネジ462は、ネック側から、バネ470を介して孔443に挿入される。そして、孔443を貫通して、ナット部450の雌ネジ孔453に挿入される。
【0048】
ナット部450には、雄ネジ462に対応する雌ネジ孔453が形成されている。雌ネジ孔453には、弦方向の少なくとも一部の幅に雌ネジが形成されているとともに、雌ネジが形成されていない部分の口径は、雄ネジ462が通過できる大きさとなっている。
【0049】
ボルト部460は、バネ470及び孔443を介して、雄ネジ462及び雌ネジ孔453により、弦方向の位置を調整可能に弦係止部440の肉厚部442に支持される。すなわち、ナット部450が左又は右に回転することにより、ボルト部460は弦方向に移動可能である。
【0050】
ここで、頭部461及び雄ネジ462には、弦50を貫通する孔463が形成されている。孔463の口径は、弦50のボールエンド51が通過できない大きさとなっている。また、ナット部450の雌ネジ孔453は、弦50を貫通する孔としても機能するものである。雌ネジ孔453の口径は、ボールエンド51が通過できる大きさとなっている。
【0051】
すなわち、弦50が張られた状態において、ボールエンド51は、雄ネジ462の先端部に引っ掛かり、係止される。従って、ナット部450を回転させてボルト部460を弦方向に移動すると、ボールエンド51の弦方向の位置も移動するため、弦の張力を調整することができる。
【0052】
なお、ボルト部460は、雄ネジ462の先端部に係止されたボールエンド51がネック側に引っ張られることで、ネック側に引っ張られる。しかし、ボルト部460は、ナット部450が、肉厚部442の孔443が設けられているネックと反対側の面に接して係止されることにより、ネック側への動きが制限され、ナット部450の回転量に応じた弦方向の位置に固定される。
【0053】
バネ470は、その両端が、ボルト部460の頭部461の雄ネジ462が設けられている面と、肉厚部442の孔443が設けられているネック側の面とに挟まれる。これにより、孔443を始点とする雄ネジ462のぐらつき(ボルト部460のぐらつき)が、所定範囲に制限される。
【0054】
なお、図では、バネ470としてコイルばねを用いているが、ぐらつきを制限できれば、他の種類のばね、弾性体等を用いてもよい。
【0055】
ナット部450の外周には、人間が指で掴んで回すことができる滑り止めが形成されている。ユーザーは、ナット部450を簡単に回すことができ、ボルト部460を簡単に弦方向に移動することができる。
【0056】
このように、ギター1は、組み立てた状態において、支持部410を弦方向に移動することにより、弦係止部440全体を弦方向に移動させ、全ての弦の張力をまとめて調整することができる。また、弦係止部440の各弦のボルト部460を弦方向に移動することにより、各弦の張力を調整することができる。
【0057】
また、ギター1は、持ち運ぶ際には、例えば、ボディ部10(弦調整部40のうち弦係止部440以外の部を含む。)と、ネック部20(弦固定部30のうち弦係止部300以外の部を含む。)と、弦係止部440及び弦係止部300(弦50を取り付けたままの状態では、一体として扱うことができる。)と、に分解することができる。そして、分解した各部は、例えば、ケース500のようなケースに収納することができる。
【0058】
ギター1を持ち運ぶ際の分解の手順の一例を説明する。(1)雄ネジ420を所定回転方向に回転させて、支持部410をネック側に移動させ、弦50を適度に緩める。(2)雄ネジ320を所定回転方向に回転させて外し、弦係止部300を基盤部310から取り外す。(3)弦係止部440を支持部410から取り外す。(4)雄ネジ240を所定回転方向に回転させて外し、ネック部20をボディ部10から取り外す。なお、組み立ては、例えば、上記手順の逆を行えばよい。
【0059】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、弦やギターの破損を防止し易くするとともに、収納や持ち運びの利便性をより向上した構造のギターを提供することができる。
【0060】
なお、以上の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【0061】
例えば、ネック側に引っ張られる弦係止部440が支持部410により係止されるのであれば、弦係止部440及び支持部410の互いに向かい合って接する面の位置、範囲、形状、数等は、図示した例に限られない。また、各面の形状は、平面的な形状に限られず、立体的な形状あってもよい。
【0062】
また、例えば、弦方向から外れる方向への弦係止部440の動きが制限されるのであれば、穴446及びロッド部416の位置、大きさ、形状、数等は、図示した例に限られない。また、弦係止部440にロッド部を設け、支持部410に穴を設けるようにしてもよい。
【0063】
また、例えば、弦方向から外れる方向への弦係止部440の動きが制限されるのであれば、穴446及びロッド部416といった構造に限られない。すなわち、弦係止部440及び支持部410の互いに向かい合って接する面に、互いに嵌り合う一組以上の凸部及び凹部が形成されるようにしてもよい。
【0064】
なお、本発明は、ギターに限らず、ベースなどの他の弦楽器にも適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1:ギター、10:ボディ部、11:ピックアップ、12:ブリッジ、20:ネック部、21:ナット、30:弦固定部、40:弦調整部、50:弦、51:ボールエンド、210:プレート、211:雌ネジ孔、212:穴、220:プレート、221:孔、222:孔、240:雄ネジ、300:弦係止部、301:孔、302:雄ネジ、303:孔、310:基盤部、311:雌ネジ孔、320:雄ネジ、400:基盤部、401:平板部、402:平板部、405:雌ネジ孔、410:支持部、411:平板部、412:肉厚部、415:雌ネジ孔、416:ロッド部、420:雄ネジ、440:弦係止部、441:平板部、442:肉厚部、443:孔、446:穴、450:ナット部、453:雌ネジ孔、460:ボルト部、461:頭部、462:雄ネジ、463:孔、470:バネ、500:ケース、510:本体部、520:蓋部、521:紐部
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