(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
布団乾燥機は、外装体の内部に送風手段と加熱手段とを備え、吸込口から吸い込んだ外気を加熱して吐出口から吐出する。吐出口側の一部が敷き布団と掛け布団との間に挿入配置され、これらの間に加熱した乾燥用空気を供給することにより、各布団を乾燥させる。
【0003】
特許文献1に記載の布団乾燥機は、外装体の一端の吸込口に連通するダクトを備える。ダクトは送風路を構成し、内部に送風手段と加熱手段とが配設され、ダクトの先端の吐出口から加熱した温風を吐出する。また、敷き布団と掛け布団との間に配置され、これらの間に送風空間を形成するためのアームが搭載されている。
【0004】
誤使用により掛け布団で吸込口が塞がれると、外気の吸引が断たれて少なくなるため、加熱手段による乾燥用空気の意図しない過度の加熱が生じる。なお、吸込口が塞がれると流体抵抗が増大するため、過負荷により送風手段(その駆動モータ)では過度の発熱が生じる。また、誤使用により布団乾燥機全体が覆い隠された場合、不注意で踏み付けて破損させる可能性がある。
【0005】
これらの問題の発生を防止するために、発光部と受光部とを有する赤外線センサを配設し、吸込部に掛け布団が掛けられているか否かを検出する方法が考えられる。しかしながら、赤外線センサの受光部は、太陽光やテレビリモコン等の赤外線信号(以下「リモコン光」と称する。)を受光すると、掛け布団が掛けられていると誤判断する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、周囲の光による誤判断を防止し、かつ、誤使用による乾燥用空気の意図しない過度の加熱を確実に防止できる布団乾燥機および物体検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の布団乾燥機および物体検出方法は、吸込口を有し、掛け布団の外側に配置される吸込部と、吐出口を有し、敷き布団と掛け布団との間に配置される挿入部と、前記吸込口から前記吐出口に至る送風路中に配設され、外気を前記吸込口から吸い込んで前記吐出口から吐出する送風手段と、前記吸込部に設けられ、発光部から発光した光の反射光を受光部で受光することで、前記吸込部上の掛け布団の有無を検出する布団検出手段と、前記発光部から光をパルス発光させる発光制御手段と、前記受光部で受光した光の強度の高強度側と低強度側の強度差と設定した判定値とに基づいて、前記吸込部に掛け布団が掛けられているか否かを判断する判断手段と、を備える構成としている。ここで、敷き布団とは、人が上に横たわるものであり、ベッドのマットを含む。掛け布団とは、人の上に被せるものであり、毛布を含む。
【0009】
布団乾燥機に用いる物体検出方法は、発光制御手段によって発光部から光をパルス発光させながら、判断手段が、受光部から入力される光の強度の高強度側および低強度側の強度差と設定した判定値とに基づいて、前記発光部の発光方向の物体の有無を検出する。
【0010】
発光部の発光方向に物体(掛け布団)が有る場合、発光制御手段により発光部から光をパルス発光しているため、反射光を受光した受光部から判断手段に入力される光の強度(電圧)は、オンパルス(発光)時に高くなり、オフパルス(非発光)時に低くなる。そのため、これらの強度差と設定した判定値とに基づいて物体の有無を判断することができる。因みに、掛け物体が無い場合には、受光部から判断手段に入力される光の強度は、オフパルス時と同一の低い強度が維持される。
【0011】
一方、太陽光を受光した受光部から判断手段に入力される光の強度は、実質的に一定であるため強度差は生じない。よって、太陽光を受光することで物体が有ると誤判断することを防止できる。また、リモコン光を受光した受光部から判断手段に入力される光の強度は、リモコンに設定された特定の周期およびパルスに応じた波形となり、高強度側と低強度側とを有する。しかし、これらの強度差と設定した判定値とが一致することはない。言い換えれば、多種あるリモコンの既存のリモコン光の高強度側と低強度側との強度差と異ならせることは容易である。よって、リモコン光を検出することで物体が有ると誤判断することを防止できる。
【0012】
そのため、この物体検出方法を採用した布団乾燥機は、吸込口を有する吸込部に布団検出手段を設けているため、掛け布団が吸込部上にかけてセットされた誤使用状態を判断できる。即ち、吸込口が塞がれる可能性が高い状況を迅速に判断できるため、乾燥用空気の意図しない過度の加熱を確実に防止できる。また、不注意で踏み付けて布団乾燥機を破損させる問題も確実に防止できる。
【0013】
前記判断手段は、前記発光制御手段によるオンパルス時に高強度側を検出し、オフパルス時に低強度側を検出する。このようにすれば、確実に高強度側と低強度側とを検出することができる。また、判断手段によって入力される光の強度を常に監視し続けるのではないため、判断手段の負荷を軽減することができる。
【0014】
この場合、前記判断手段は、前記発光制御手段による連続したオンパルス時とオフパルス時に、高強度側と低強度側とを検出する。このようにすれば、周囲の経時的な変化の影響を受けないため、高精度の検出を実現できる。
【0015】
前記判断手段は、強度差と判定値とに基づいた布団有判定が設定した判断時間または判断回数以上継続した場合に掛け布団が掛けられていると判断する。このようにすれば、リモコン光の周期およびパルスによる波形と一致することは、実質的に不可能である。よって、判断手段による誤判断を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の物体検出方法では、発光部からパルス発光させた光の反射光を受光部で受光し、高強度側および低強度側の強度差と判定値とに基づいて物体の有無を判断するため、周囲の光による誤判断を実質的に防止できる。
【0017】
よって、この物体検出方法を用いた布団乾燥機は、吸込口を有する吸込部に布団検出手段を設けているため、掛け布団で吸込口が塞がれ、乾燥用空気の意図しない過度の加熱を防止できる。また、不注意で踏み付けて布団乾燥機を破損させることもない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1乃至
図3は、本発明に係る実施形態の物体検出方法を用いた布団乾燥機10を示す。
図2および
図3に示すように、布団乾燥機10は、乾燥機本体(本体)11と、乾燥機本体11に対して回動可能にヒンジ接続した吐出部材17とを有する外装体を備える。内部には、送風手段であるファン22と、加熱手段であるPTCヒータ24とが配設され、吸い込んだ外気を加熱して吐出する。本実施形態では、乾燥機本体11の吸込部12上の掛け布団の有無を検出する布団検出手段として一対の赤外線センサ31A,31Bを設けている。
【0021】
図1および
図2に示すように、乾燥機本体11は、掛け布団の外側に露出して配置される吸込部12と、敷き布団と掛け布団との間に挿入配置される重畳部(挿入部)14とを備える。吸込部12は、横向き(幅方向)に延びる四角筒形状をなし、両側面に外気を取り入れる吸込口13が形成されている。重畳部14は、吸込部12の全高より低く形成され、吸込部12との間に上向きに延びる垂直壁からなる段部15が形成される。この段部15により、吸込部12上に掛け布団が掛けられることを抑制できる。
【0022】
重畳部14における吸込部12と逆側の端部には、ヒンジ接続部16が設けられている。ヒンジ接続部16は、横方向の両端が開口した円筒状をなし、内部空間が送風路21の一部を構成する。吐出部材17が接続され、
図2に示す使用状態および
図3に示す折畳み状態の間で回動可能となる。
【0023】
図2および
図3に示すように、吐出部材17は、使用状態で重畳部14と一緒に敷き布団と掛け布団との間に配置される挿入部である。ヒンジ接続部16の両側に回動可能に装着される一対の接続部18,18を備える。全高が吸込部12の全高より低く、内部は中空状をなす。先端開口にはルーバー19が配設され、その両側部に一対の吐出口20,20が設けられている。
【0024】
図1に示すように、外装体の内部には、吸込口13から吐出口20に至る送風路21が形成され、この送風路21内にファン22およびPTCヒータ24が配設されている。ファン22はシロッコファンであり、吸込部12内の吸込口13の内側にそれぞれ配設されている。一対のファン22,22の間に配設した駆動手段である駆動モータ23により回転される。PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータは、周辺温度に基づいた自己温調機能を有する。PTCヒータ24は、多数のフィンを有する伝熱部材25内に配設された状態で、重畳部14内に配設されている。
【0025】
ファン22を動作させると、外気を吸込口13から吸込部12内に取り入れ、重畳部14内に送出する。重畳部14内ではPTCヒータ24により加熱された後、ヒンジ接続部16内および吐出部材17内を経由して吐出口20から吐出される。なお、PTCヒータ24による加熱温度を検出するために、重畳部14内には、ファン22による送風方向に対して伝熱部材25の下流側に温度検出手段であるサーミスタ26が配設されている。
【0026】
使用状態での吸込部12の上面には、段部15の側に位置するように操作パネル27が設けられ、その内側に操作基板28が配設されている。操作基板28には、
図4に示す操作パネル27の各部に対応するように、入力手段であるスイッチ29a〜29eと、表示手段であるLED30a〜30oと、布団検出手段である2個の赤外線センサ31A,31Bとが配設されている。
【0027】
スイッチ29aは電源スイッチであり、操作の度にオンオフが繰り返される。スイッチ29bはスタートスイッチであり、操作により選択された乾燥コースが実行される。スイッチ29cは選択スイッチであり、布団乾燥コースを「標準」「送風仕上げ」「エコ」「あたため」「ダニ対策」の順番で選択できる。スイッチ29dは温風/送風スイッチであり、衣類等の乾燥コースを「温風」「送風」の順番で選択できる。スイッチ29eは時間選択スイッチであり、温風または送風の実行時間を「15」「30」「45」「60」「75」「90」「120」「180」分の順番で選択できる。
【0028】
LED30a〜30eは、「標準」「送風仕上げ」「エコ」「あたため」「ダニ対策」という文字表示の横に設けられ、スイッチ29cの操作による選択状態を示す。LED30f,30gは、「温風」「送風」という文字表示の横に設けられ、スイッチ29dの操作による選択状態を示す。LED30h〜30oは、実行時間の数字の横に設けられ、スイッチ29eの操作による選択状態を示す。
【0029】
赤外線センサ31A,31Bは発光部32と受光部33とを有し、発光部32が発光した光(赤外線)の反射光を受光部33が受光するか否かにより、上方の掛け布団の有無を検出する。掛け布団が上方に掛けられることにより受光部33が反射光を受光した場合に出力する光の強度に相当する電圧(布団有信号)は、受光部33が反射光を受光しない場合に出力する電圧(布団無信号)より高い。操作パネル27の両側部に位置し、かつ、吸込口13より重畳部14の側に位置するように配設されている。
【0030】
吸込部12内には、段部15の背面(内側)に位置するように基板ケース34が配設され、その内部に操作基板28に接続された制御基板35が配設されている。制御基板35には、発光部32の発光制御手段であるパルス駆動部36と、制御手段であるマイコン37とが実装されている。パルス駆動部36はスイッチング回路からなり、設定されたオンパルス幅P1(例えば5ms)およびオフパルス幅P2(例えば12ms)のパルス波形でパルス発光するように発光部32を制御する。マイコン37は、内蔵された記憶手段であるROM38に記憶されたプログラムに従って、ファン22およびPTCヒータ24を制御し、選択されている所定の乾燥コースを実行する。
【0031】
図5に示すように、各乾燥コースは、5種のステップの組み合わせにより構成されている。送風量調整ステップでは、PTCヒータ24による加熱量を一定に維持し、サーミスタ26の検出温度に基づいてファン22による送風量を調整する。加熱量調整ステップでは、ファン22による送風量を一定(最大)に維持し、サーミスタ26の検出温度に基づいてPTCヒータ24をオンオフ制御する。送風ステップでは、PTCヒータ24の動作を停止し、ファン22による送風量を一定(最大)に維持する。非調整ステップでは、PTCヒータ24による加熱量を一定に維持し、ファン22による送風量を一定(最大)に維持する。冷却ステップでは、PTCヒータ24の動作を停止し、ファン22による送風量を一定(弱(例えば35%))に維持する。なお、送風ステップと冷却ステップとは、送風ステップがユーザの選択時間だけ実行し、冷却ステップが予め設定された設定時間だけ実行する点で相違する。
【0032】
本実施形態のマイコン37は、赤外線センサ31A,31Bから入力される布団有無信号により、吸込部12上に掛け布団が掛けられているか否かを判断する判断手段の役割を兼ねる。2個の赤外線センサ31A,31Bのうち、いずれか一方からでも布団有信号が入力されると、吸込部12上に掛け布団が有る(掛けられている)と判定する(布団有判定)。但し、ユーザが布団乾燥機10の乾燥コース変更を行う場合等、一時的に吸込部12上を塞いだ際の誤判断を防止するために、設定した判定時間t0(例えば0.017秒)毎に、掛け布団の有無を判定(一次判断)する。そして、布団有判定が設定した判断時間t1(例えば2秒)以上継続した場合に、掛け布団が掛けられていると判断(二次判断)する。また、布団有りと判断すると、PTCヒータ24の動作を停止するとともに、ファン22を設定した冷却時間t2(例えば20秒)動作させる。なお、判断時間t1は、判定時間t0の100回分以上の時間に相当する。
【0033】
次に、赤外線センサ31A,31Bを用いたマイコン37による布団有無判定(物体検出方法)について説明する。
【0034】
図6Aに示すように、マイコン37は、パルス駆動部36を介してオンパルス幅P1およびオフパルス幅P2のパルス波形で赤外線センサ31A,31Bの発光部32をパルス発光させる。受光部33は、発光部32からの光の反射光を受光している場合(オンパルス時)には出力する電圧が高く(高電圧)なり、反射光を受光していない場合(オフパルス時)には出力する電圧が低く(低電圧)なる。そのため、マイコン37に入力される電圧は、掛け布団が掛けられていない場合には低電圧を維持し、掛け布団が掛けられている場合には高電圧と低電圧とが繰り返される。
【0035】
そのため、マイコン37は、受信部33から入力される高圧側電圧(高強度側)V1および低圧側電圧(低強度側)V2の電圧差(強度差)ΔVと設定した判定値V0とに基づいて、設定した誤差範囲内であれば、発光部32の発光方向である吸込部12上に掛け布団が掛けられていると判断し、誤差範囲外であれば掛け布団が掛けられていないと判断する。高圧側電圧V1はオンパルス時に取り込み(検出)、低圧側電圧V2はオフパルス時に取り込む。しかも、連続したオンパルス時の高圧側電圧V1とオフパルス時の低圧側電圧V2との電圧差ΔVを算出する。即ち1パルス内で高圧側電圧V1と低圧側電圧V2とを取り込む。また、入力電圧の安定(信頼)性を確保するために、オンパルス幅P1およびオフパルス幅P2の終盤(例えば0.2ms前)に取り込む。そして、全パルスにおいて電圧差ΔVを算出して判定値V0と比較(布団有無判定)する。この構成を実行するために、発光パルスに連動した第1取込時間t0−1および第2取込時間t0−2が設定されている。
【0036】
図6Bに破線で示すように、赤外線センサ31A,31Bの受光部33が太陽光を受光した場合、受光部33からマイコン37に入力される電圧は、実質的に一定の高電圧を維持する。そのため、第1取込時間t0−1で取り込んだ電圧と、第2取込時間t0−2で取り込んだ電圧とは、電圧差がない。よって、使用中に太陽光を受光しても、掛け布団が掛けられていると誤判断することはない。
【0037】
図6Bに実線で示すように、赤外線センサ31A,31Bの受光部33がリモコン光を受光した場合、受光部33からマイコン37に入力される電圧は、リモコンに設定された特定の周期およびパルスに応じた波形となり、高圧側電圧と低圧側電圧とを有する。しかし、第1取込時間t0−1で取り込んだ電圧と第2取込時間t0−2で取り込んだ電圧との電圧差ΔVが、設定した判定値V0と一致することはない。言い換えれば、多種あるリモコンの既存のリモコン光の高圧側電圧と低圧側電圧との電圧差と異なるように、判定値V0と発光部32の光量とが設定されている。よって、使用中にリモコン光を受光しても、掛け布団が掛けられていると誤判断することはない。しかも、本実施形態では、100回以上に相当する判断時間t1が経過するまで、継続して布団有判定されなければ、掛け布団が布団が掛けられていると判断しない。よって、リモコン光の周期およびパルスによる波形と一致することは、実質的に不可能である。よって、誤判断を確実に防止できる。
【0038】
次に、マイコン37による制御について具体的に説明する。
【0039】
操作パネル27のスイッチ29c〜29eの操作により所定の乾燥コースが選択され、スイッチ29bの操作により実行されると、
図7に示すように、マイコン37は、ステップS1の布団乾燥工程と、ステップS3の布団検出工程とを並行処理する。
【0040】
ステップS1の布団乾燥工程では、送風コースを除き、ファン22とPTCヒータ24とを動作させ、吸込口13から吸い込んだ外気を加熱して吐出口20から吐出する。そして、
図5に示す各ステップを実行し、終了すると(ステップS2)、布団乾燥工程を終了する。
【0041】
ステップS3の布団検出工程では、赤外線センサ31A,31Bから入力される布団有無信号に基づいて布団の有無を判断する。この判断は、布団有りと判断しない限り、布団乾燥工程が終了するまで実行し続けられる。そして、布団有りと判断した場合には、ステップS4の割込停止工程とステップS5の異常報知工程とを並行処理する。
【0042】
具体的には、
図8に示すように、布団検出工程では、マイコン37は、ステップS3−1で、後述する布団有無判定を実行した後、ステップS3−2で、判定が布団有りか布団無しかを意味するフラグfaが「1」であるか否かを検出する。そして、faが「0」(布団無し判定)である場合にはステップS3−3に進み、フラグfbを「0」としてステップS3−1に戻る。また、faが「1」(布団有り判定)である場合にはステップS3−4に進む。なお、フラグfbは、「0」である場合には、布団無し判定でt1(判断)タイマのカウントが停止している状態を意味する。また、「1」である場合には、布団有り判定が継続して判断タイマがカウント中であることを意味する。
【0043】
ステップS3−4では、fbが「1」であるか否かを判断する。そして、「0」である場合、即ち初めての布団有判定である場合、ステップS3−5でfbを「1」とする。ついで、ステップS3−6で判断タイマをリセットしてスタートした後、ステップS3−1に戻る。また、「1」である場合、即ち継続した2回目以降の布団有り判定である場合にはステップS3−7に進む。
【0044】
ステップS3−7では、判断タイマがカウントアップしたか否かを判断する。即ち、布団有り判定が判断時間t1継続したか否かを判断する。そして、カウントアップしていない場合にはステップS3−1に戻る。また、カウントアップしている場合には、布団が掛けられていると判断してリターンする。これによりステップS4の割込停止処理とステップS5の異常報知処理とが実行される。
【0045】
図9に示すように、ステップS4の割込停止処理では、マイコン37は、ステップS4−1でPTCヒータ24を停止(オフ)した後、ステップS4−2でファン22を35%の通電率で動作させる。ついで、ステップS4−3で20秒タイマをリセットしてスタートした後、ステップS4−4で20秒タイマがカウントアップするまで待機する。そして、20秒タイマがカウントアップすると、ステップS4−5でファン22をオフしてリターンする(ステップS6に進む。)。この割込停止所定が終了した状態では、ステップS1の布団乾燥工程は一時停止(中断)した状態をなす。
【0046】
また、ステップS5の異常報知工程では、マイコン37は、制御基板35に実装した図示しない圧電ブザーにより報知音を出力するとともに、操作基板28に実装した所定のLED30a〜30eを点滅させる。この異常報知工程は、ステップS6でスタートスイッチ29bが操作されるか、ステップS7で電源入/切スイッチ29aが操作されるまで継続される。
【0047】
ステップS6では、操作パネル27のスタートスイッチ29bが操作されたか否かを検出する。スタートスイッチ29bの操作を検出するとステップS2に進み、中断されているステップS1の布団乾燥工程の続きを実行する。また、スタートスイッチ29bの操作を検出しない場合にはステップS7に進む。
【0048】
ステップS7では、操作パネル27の電源入/切スイッチ29aが操作されたか否かを検出する。電源入/切スイッチ29aの操作を検出すると、マイコン37は、ステップS1の布団乾燥工程の全ステップが終了していない中断状態でも、布団乾燥工程を終了する。また、電源入/切スイッチ29aの操作を検出しない場合にはステップS5に戻り、異常報知処理を継続する。
【0049】
図10に示すように、ステップS3−1の布団有無判定では、マイコン37は、ステップS10で、第1取込時間t0−1が経過するまで待機する。そして、第1取込時間t0−1が経過すると、ステップS11で、赤外線センサ31A,31Bの受光部33から高圧側電圧V1を取り込む。ついで、ステップS12で、第2取込時間t0−2が経過するまで待機する。そして、第1取込時間t0−1が経過すると、ステップS13で、赤外線センサ31A,31Bの受光部33から低圧側電圧V2を取り込む。
【0050】
ついで、ステップS14で、取り込んだ高圧側電圧V1および低圧側電圧V2から電圧差ΔVを算出した後、ステップS15で、電圧差ΔVと判定値V0とが誤差範囲内で同一である否かを判断する。そして、電圧差ΔVと判定値V0とが同一である場合には布団有りと判定し、faを「1」」としてリターンする。また、電圧差ΔVと判定値V0とが同一でない場合には布団無しと判定し、faを「0」」としてリターンする。
【0051】
このように、吸込口13を有する吸込部12に一対の赤外線センサ31A,31Bを設けているため、掛け布団が吸込部12上にかけてセットされた誤使用状態を判断できる。しかも、赤外線センサ31A,31Bは、吸込口13より重畳部14の側に位置するように操作パネル27に設けられているため、掛け布団で吸込口13が塞がれる可能性が高い状況を迅速に判断できる。また、吸込部12の両側部に配設した一対の赤外線センサ31A,31Bのうち、一方からでも布団有信号が入力されると掛け布団が掛けられていると判断するため、吸込部12に対して掛け布団が斜めにセットされた状態でも確実に検出することができる。
【0052】
そのため、掛け布団で吸込口13が塞がれることに伴う乾燥用空気の意図しない過度の加熱を防止できる。また、布団乾燥機全体が覆い隠された状況にもならないため、不注意で踏み付けて破損させる問題も確実に防止できる。さらに、掛け布団上から操作パネル27に負荷を加え、意図しない乾燥コースに変更される等の誤動作を防止できる。
【0053】
そして、吸込部12上に掛け布団が掛けられていると判断すると、PTCヒータ24の動作を停止するため、過度に加熱された乾燥用空気が吐出口20から吐出されることを防止できる。しかも、PTCヒータ24を停止した後、ファン22を冷却時間t2だけ動作させるため、加熱領域は勿論、布団乾燥機全体を迅速に冷却できる。
【0054】
また、布団有無判定は、オンパルス時に高圧側電圧V1を検出し、連続したオフパルス時に低圧側電圧V2し、これらの電圧差ΔVと判定値V0とを比較する。そのため、マイコン37の負荷を軽減し、かつ、周囲の経時的な変化の影響を受けることなく高精度の検出を実現し、他の光による誤判断を確実に防止できる。しかも、布団有判定が判断時間t1以上継続した場合に掛け布団が掛けられていると判断するため、ユーザが乾燥コースを変更する場合等、一時的に赤外線センサ31A,31B上を塞いだ際の誤判断を防止できる。
【0055】
なお、本発明の布団乾燥機10および物体検出方法は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0056】
特に、検出方法は、発光部32の発光パルスに連動するように、高圧側電圧V1を取り込む第1取込時間t0−1と、低圧側電圧V2を取り込む第2取込時間t0−2とを設定したが、この方法に限定されるものではない。例えば、受光部33から入力される電圧を取り込み続け、オンパルスの平均化した高圧側電圧V1およびオフパルスの平均化した低圧側電圧V2の電圧差ΔVと判定値V0とに基づいて判定してもよい。この場合、高圧側の最大電圧と低圧側の最小電圧は除いて平均化してもよい。また、連続したオンパルスおよびオフパルスにて高圧側電圧V1および低圧側電圧V2を取り込む構成としたが、所定時間(例えば1パルス)離れた不連続のオンパルスおよびオフパルスにて高圧側電圧V1および低圧側電圧V2を取り込んでもよい。さらに、全パルスにおいて電圧差ΔVを算出して判定値V0と比較したが、所定パルス(例えば2パルス)毎に電圧差ΔVを算出して判定値V0と比較してもよい。そして、これらを組み合わせた方法としてもよい。
【0057】
また、前記実施形態では、布団有判定が判断時間t1継続しなければ布団有りと判断しない構成としが、1回の布団有判定で直ぐに布団有りと判断してもよい。さらに、判断時間t1の変わりに判断回数nを設定し、布団有判定が判断回数n以上連続して成立した場合に布団有りと判断してもよい。さらにまた、前記実施形態では、布団有りと判断すると、PTCヒータ24を停止し、ファン22を冷却時間t2だけ動作させるようにしたが、両方を停止する構成としてもよく、希望に応じて変更が可能である。
【0058】
さらに、前記実施形態では、2個の赤外線センサ31A,31Bを用いたが、中央部に1個だけ配設してもよいうえ、3個以上配設してもよい。また、配設部位は使用状態での上面に限られず、吸込口13を設けた側面や段部15に配設してもよい。しかも、使用状態での吸込部12の上部両側に傾斜壁部を設けて、その傾斜壁部に配設してもよい。そして、赤外線センサ31A,31Bの代わりに、可視光を利用したセンサ等の他のタイプのセンサを採用してもよい。