特許第6058416号(P6058416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058416
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】焼嵌めホルダ用自動工具交換システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20161226BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20161226BHJP
   B23P 11/02 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   B23Q3/157 R
   B23Q3/155 F
   B23Q3/157 E
   B23Q3/155 G
   B23P11/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-22573(P2013-22573)
(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公開番号】特開2014-151390(P2014-151390A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】内 村 浩
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−208506(JP,A)
【文献】 特開昭56−134148(JP,A)
【文献】 特開2000−343306(JP,A)
【文献】 特開2003−225840(JP,A)
【文献】 特開2004−237408(JP,A)
【文献】 特開2007−075924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155 − 3/157
B23B 31/117
B23P 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンク端面が所定の高さ位置に位置決めされた状態で工具がセットされる工具ポッドと、
前記工具ポッドと主軸に固定された焼嵌めホルダとの間で工具を搬送する工具搬送装置と、
前記焼嵌めホルダを加熱して当該焼嵌めホルダを開放する加熱装置と、
前記焼嵌めホルダを冷却して当該焼嵌めホルダを閉塞する冷却装置と、
を備え、
前記工具搬送装置は、
前記工具ポッドにセットされた工具を把持する補助ハンドを有し、前記工具を予め定められた高さ位置で前記補助ハンドにより把持可能であり、把持した工具を昇降移動可能且つ上下反転可能な第1工具搬送部と、
前記工具を反転させた後の前記第1工具搬送部が所定高さに制御された時に、反転された工具を常に同じ高さ位置で前記第1工具搬送部から受取可能であり、受け取った工具を主軸に固定された焼嵌めホルダまで搬送可能な第2工具搬送部と、
を有する
ことを特徴とする焼嵌めホルダ用自動工具交換システム。
【請求項2】
前記第2工具搬送部は、
鉛直な回転軸回りに回転出力部を回転駆動する回転駆動機構と、
前記回転出力部に結合されたハンド支持部と、
前記ハンド支持部において前記回転軸からそれぞれ径方向に等距離の位置に支持された開閉自在の第1ハンド及び開閉自在の第2ハンドと、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の焼嵌めホルダ用自動工具交換システム。
【請求項3】
前記第1ハンドと前記第2ハンドとは、それぞれ前記ハンド支持部に微小領域内を可動な状態で支持されており、
前記第2工具搬送部は、前記第1ハンド及び前記第2ハンドを前記ハンド支持部に対して不動に固定するためのハンド固定部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の焼嵌めホルダ用自動工具交換システム。
【請求項4】
前記工具搬送装置は、第2回転駆動機構によって鉛直な第2回転軸回りに旋回されるアーム部材を有し、
前記第2工具搬送部は、前記アーム部材に固定されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の焼嵌めホルダ用自動工具交換システム。
【請求項5】
前記工具ポッドは、シャンク端面が底面に当接された状態で工具がセットされるようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の焼嵌めホルダ用自動工具交換システム。
【請求項6】
前記工具搬送装置は、前記第2工具搬送部に保持された状態の工具がセットされる清掃ポッドを更に有し、
前記清掃ポッドには、セットされた工具のシャンク端面に向けてエアを供給するエア供給部が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の焼嵌めホルダ用自動工具交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼嵌めホルダ用自動工具交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
精密加工機においては、加工に使用される工具が工具ホルダを介して主軸に取り付けられている。工具ホルダにはコレット方式や焼嵌め方式など様々なタイプがあるが、現在最も高精度且つ小型の工具ホルダとしては焼嵌め方式が使用されている。焼嵌め方式では、工具の交換時に工具ホルダ(焼嵌めホルダ)を加熱及び冷却する必要がある。
【0003】
特許文献1では、主軸から焼嵌めホルダごと工具を取出し、機外で焼嵌めホルダを加熱して焼嵌めホルダから工具のみを取外し、当該焼嵌めホルダに新たな工具をセットした後、機外で焼嵌めホルダを冷却して新たな工具を焼嵌めホルダ内に固定し、主軸に対して焼嵌めホルダごと新たな工具をセットする方法が記載されている。
【0004】
しかしながら、この方法では、主軸に対する焼嵌めホルダの着脱機構を予め設けておく必要があり、その分だけ主軸が大型化してしまう。精密加工機においては主軸を超高速で回転させる必要があるところ、主軸が大型化すると回転振動などの影響が大きくなるため、その様な主軸を超高速で回転させることは困難である。
【0005】
この問題を解決するために、主軸に対して着脱不能の焼嵌めホルダを手動で加熱及び冷却して工具を交換する方法も知られている。しかしながら、この方法では、工具交換時に機械を停止する必要があり、工具交換時間が長くかかる。また、工具交換時間が長くかかると、工具交換後に周囲の温度環境が変化している場合があり、当該変化を補償する調整を行わなければ加工精度に悪影響が生じてしまう。
【0006】
特許文献2では、主軸に対して着脱不能の焼嵌めホルダに対して工具を自動で交換する方法が記載されている。この方法では、刃先が下方に向けられた状態で工具が工具ポッドにセットされた後に、特殊な測定器具を用いて、工具の突き出し量(すなわちシャンク端面の突出高さ位置)が測定される。そして、工具ポッドにセットされた工具は、前記特殊な測定器具による測定結果に基づいて、工具搬送装置によって把持されて上昇され、予め決定された所定高さに高精度に位置決めされる。この状態で工具は焼嵌めホルダ内に適切に受け渡されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−118888号公報
【特許文献2】特開2007−75904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本件発明者の知見によれば、特許文献2に記載された方法では、工具の受け渡しを適切に実施するための工具の高さ制御のために特殊な測定器具を用いて工具の突き出し量を測定する必要があるため、当該突き出し量の測定時間の分だけ工具交換時間が延びてしまう。
【0009】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、特殊な測定器具を用いて工具の突き出し量を測定することなく、主軸に対して着脱不能の焼嵌めホルダに対して工具を短時間で位置決めできる焼嵌めホルダ用自動工具交換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シャンク端面が所定の高さ位置に位置決めされた状態で工具がセットされる工具ポッドと、 前記工具ポッドと主軸に固定された焼嵌めホルダとの間で工具を搬送する工具搬送装置と、前記焼嵌めホルダを加熱して当該焼嵌めホルダを開放する加熱装置と、前記焼嵌めホルダを冷却して当該焼嵌めホルダを閉塞する冷却装置と、を備え、前記工具搬送装置は、前記工具ポッドにセットされた工具を把持する補助ハンドを有し、前記工具を予め定められた高さ位置で前記補助ハンドにより把持可能であり、把持した工具を昇降移動可能且つ上下反転可能な第1工具搬送部と、前記工具を反転させた後の前記第1工具搬送部が所定高さに制御された時に、反転された工具を常に同じ高さ位置で前記第1工具搬送部から受取可能であり、受け取った工具を主軸に固定された焼嵌めホルダまで搬送可能な第2工具搬送部と、を有する ことを特徴とする焼嵌めホルダ用自動工具交換システムである。
【0011】
本発明によれば、シャンク端面が所定の位置に位置決めされた状態で工具が工具ポッドにセットされているため、工具ポッドにセットされた工具を例えば常に同じ高さ位置で第1工具搬送部が把持するとすれば、当該工具と第1工具搬送部との間の高さに関する位置関係は、常に一定となる。次いで、把持された工具が第1工具搬送部によって上昇されて上下反転されることにより、前記位置関係と第1工具搬送部自身の高さとに基づいて、上下反転後の工具のシャンク端面の高さを制御することができる。工具を上下反転させた後の第1工具搬送部が所定高さに制御された時に、反転された工具を例えば常に同じ高さ位置で第2工具搬送部が受取るとすれば、当該工具と第2工具搬送部との高さに関する位置関係は、常に一定になる。次いで、第2工具搬送部によって受取られた工具が主軸に固定された焼嵌めホルダまで搬送されることにより、特殊な測定器具を用いて工具の突き出し量を測定せずとも、焼嵌めホルダ内に工具が短時間で位置決めされ得る。
【0012】
好ましくは、前記第2工具搬送部は、鉛直な回転軸回りに回転出力部を回転駆動する回転駆動機構と、前記回転出力部に結合されたハンド支持部と、前記ハンド支持部において前記回転軸からそれぞれ径方向に等距離の位置に支持された開閉自在の第1ハンド及び開閉自在の第2ハンドと、を有する。このような態様によれば、例えば、第1ハンド及び第2ハンドが回転軸回りに180°だけ互いに離間した位置に配置されている場合に、ハンド支持部が回転軸回りに180°だけ回転されることにより、回転前の第1ハンドの位置に第2ハンドが配置され得る。これにより、例えば、予め次の工具を第2ハンドに把持させておけば、第1ハンドに把持された工具が焼嵌めホルダ内から取り出された後において、当該取り出された工具を第1工具搬送部に受け渡す前に、ハンド支持部を180°だけ回転させて、回転前の第1ハンドの位置に第2ハンドを配置させることにより、第2ハンドに把持させておいた次の工具を焼嵌めホルダまで搬送することができる。これにより、工具の交換時間が更に短縮される。
【0013】
更に好ましくは、前記第1ハンドと前記第2ハンドとは、それぞれ前記ハンド支持部に微小領域内を可動な状態で支持されており、前記第2工具搬送部は、前記第1ハンド及び前記第2ハンドを前記ハンド支持部に対して不動に固定するためのハンド固定部を有する。このような態様によれば、例えば、焼嵌めホルダに保持された工具または工具ポッドにセットされた工具が第1ハンド(または第2ハンド)によって把持される際に、第1ハンド(または第2ハンド)を微小領域内で可動な状態としておけば、例えば水平面内での位置決め誤差が微小に生じていた場合等において、当該工具及び第1ハンド(または第2ハンド)間の芯ずれに起因する高い応力の発生を抑制することができる一方、第1ハンド(または第2ハンド)が工具を把持した後においては、第1ハンド(または第2ハンド)をハンド支持部に対して不動とすることにより、その後の動作を円滑に実施することができる。
【0014】
また、好ましくは、前記工具搬送装置は、第2回転駆動機構によって鉛直な第2回転軸回りに旋回されるアーム部材を有し、前記第2工具搬送部は、前記アーム部材に固定されている。このような態様によれば、アーム部材が第2回転軸回りに旋回されることにより、主軸に固定された焼嵌めホルダに対して第2工具搬送部を水平面内で適切に位置決めすることができる。
【0015】
具体的には、例えば、前記工具ポッドは、シャンク端面が底面に当接された状態で工具がセットされるようになっている。
【0016】
また、好ましくは、前記工具搬送装置は、前記第2工具搬送部に保持された状態の工具がセットされる清掃ポッドを更に有し、前記清掃ポッドには、セットされた工具のシャンク端面に向けてエアを供給するエア供給部が設けられている。このような態様によれば、例えば、第2工具搬送部に保持された工具が清掃ポッド内にセットされる際にエア供給部から清掃ポッド内にエアが供給されていれば、供給されたエアによってセットされる工具のシャンクが清掃され得る。例えば、工具交換の直前にシャンクの清掃を行うことにより、工具交換時におけるゴミの影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シャンク端面が所定の位置に位置決めされた状態で工具が工具ポッドにセットされているため、工具ポッドにセットされた工具を例えば常に同じ高さ位置で第1工具搬送部が把持するとすれば、当該工具と第1工具搬送部との間の高さに関する位置関係は、常に一定となる。次いで、把持された工具が第1工具搬送部によって上昇されて上下反転されることにより、前記位置関係と第1工具搬送部自身の高さとに基づいて、上下反転後の工具のシャンク端面の高さを制御することができる。工具を上下反転させた後の第1工具搬送部が所定高さに制御された時に、反転された工具を例えば常に同じ高さ位置で第2工具搬送部が受取るとすれば、当該工具と第2工具搬送部との高さに関する位置関係は、常に一定になる。次いで、第2工具搬送部によって受取られた工具が主軸に固定された焼嵌めホルダまで搬送されることにより、特殊な測定器具を用いて工具の突き出し量を測定せずとも、焼嵌めホルダ内に工具が短時間で位置決めされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態による焼嵌めホルダ用自動工具交換システムの概略側面図である。
図2図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムの概略平面図である。
図3図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第2工具がセットされた第2工具ポッドが適切に位置決めされる工程を説明するための模式図である。
図4図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第2工具ポッドにセットされた第2工具が第1工具搬送部に把持される工程を説明するための模式図である。
図5図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第2工具ポッド内から第2工具が取り出される工程を説明するための模式図である。
図6図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1工具搬送部に把持された第2工具が上下反転される工程を説明するための模式図である。
図7図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、反転された第2工具が第2ハンドに受取られる工程を説明するための模式図である。
図8図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1工具搬送部が下方に退避される工程を説明するための模式図である。
図9図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1ハンド及び第2ハンドが回転軸回りに旋回される工程を説明するための模式図である。
図10図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、焼嵌めホルダに固定された第1工具が第1ハンドに把持される工程を説明するための模式図である。
図11図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1ハンドに把持された工具が焼嵌めホルダ内から取り出される工程を説明するための模式図である。
図12図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1ハンド及び第2ハンドが回転軸回りに旋回される工程を説明するための模式図である。
図13図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第2ハンドに把持された第2工具が焼嵌めホルダ内に位置決めされる工程を説明するための模式図である。
図14図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1ハンド及び第2ハンドが下方に退避される工程を説明するための模式図である。
図15図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1ハンド及び第2ハンドが回転軸回りに旋回される工程を説明するための模式図である。
図16図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1ハンドに把持された第1工具が第1工具搬送部に受取られる工程を説明するための模式図である。
図17図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、第1工具搬送部に把持された第1工具が上下反転される工程を説明するための模式図である。
図18図1の焼嵌めホルダ用自動工具交換システムにおいて、反転された第1工具が第1工具ポッドにセットされる工程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態による焼嵌めホルダ用自動工具交換システムの概略側面図であり、図2は、当該焼嵌めホルダ用自動工具交換システムの概略平面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態による焼嵌めホルダ用自動工具交換システム10は、シャンク端面が所定の位置に位置決めされた状態で工具15がセットされる工具ポッド11と、工具ポッド11と主軸17に固定された焼嵌めホルダ16との間で工具15を搬送する工具搬送装置12と、焼嵌めホルダ16を加熱して当該焼嵌めホルダ16を開放する加熱装置13と、焼嵌めホルダ16を冷却して当該焼嵌めホルダ16を閉塞する冷却装置14と、を備えている。但し、図1では、工具ポッド11と焼嵌めホルダ16とが整列された状態で図示されているが、工具ポッド11と焼嵌めホルダ16とは通常は平面視で異なる位置に配置されている。
【0022】
工具搬送装置12は、工具ポッド11にセットされた工具15を把持可能で、把持した工具15を昇降移動可能且つ上下反転可能な第1工具搬送部20と、工具15を反転させた後の第1工具搬送部20が所定高さに制御された時に、反転された工具15を第1工具搬送部20から受取可能で、受け取った工具15を主軸17に固定された焼嵌めホルダ16まで搬送可能な第2工具搬送部30と、を有している。
【0023】
具体的には、第1工具搬送部20は、開閉自在の補助ハンド21と、補助ハンド21を上下反転させる不図示の補助ハンド上下反転機構と、補助ハンド21を昇降移動させる不図示の補助ハンド昇降移動機構と、を有している。
【0024】
補助ハンド21は、例えば、それ自体は公知の平行開閉形エアチャックであり、互いに対向して配置されて互いに対して空圧によって相対移動可能な一対の補助可動部材23を有している。当該一対の補助可動部材23が互いに近接される際、当該一対の補助可動部材23間に位置決めされた工具15が当該一対の補助可動部材23に挟まれて把持されるようになっている。一方、当該一対の補助可動部材23が互いに離間される際、当該一対の補助可動部材23間に把持されていた工具15が開放されるようになっている。
【0025】
不図示の補助ハンド上下反転機構は、具体的には、水平な補助回転軸22回りに回転出力部を回転駆動するエアアクチュエータであり、補助ハンド21は当該回転出力部に結合されている。回転出力部が補助回転軸22回りに180°回転駆動されることにより、補助ハンド21は補助回転軸22に関して軸対称に上下反転されるようになっている。補助ハンド21の回転位置はストッパによって制限されるようになっている。
【0026】
不図示の補助ハンド昇降移動機構は、具体的には、鉛直方向に直線出力部を直線駆動するエアシリンダであり、前述の上下反転機構は当該直線出力部に結合されている。直線出力部が鉛直方向に直線駆動されることにより、補助ハンド21は上下反転機構と共に昇降移動されるようになっている。補助ハンド21の高さ位置は、当該エアシリンダに取付けられたストッパによって予め定められた高さ位置に制御されるようになっている。
【0027】
図1及び図2に示すように、本実施の形態では、第2工具搬送部30は、鉛直な回転軸32回りに回転出力部33を回転駆動する回転駆動機構31と、回転出力部33に結合されたハンド支持部34と、ハンド支持部34において回転軸32からそれぞれ径方向に等距離の位置に支持された開閉自在の第1ハンド35a及び開閉自在の第2ハンド35bと、を有している。
【0028】
第1ハンド35a及び第2ハンド35bは、例えば、それ自体は公知の平行開閉形エアチャックであり、特に図2に示すように、第1ハンド35aは、互いに対向して配置されて互いに対して空圧によって相対移動可能な一対の第1可動部材36aを有しており、第2ハンド35bは、互いに対向して配置されて互いに対して空圧によって相対移動可能な一対の第2可動部材36bを有している。一対の第1可動部材36a及び一対の第2可動部材36bの構成は、前述の一対の補助可動部材23の構成と略同様であり、詳細な説明は省略する。
【0029】
本実施の形態では、第1ハンド35a及び第2ハンド35bは、ハンド支持部34において回転軸32回りに180°だけ互いに離間した位置に配置され、それぞれ径方向外向きに向けられている。すなわち、第1ハンド35a及び第2ハンド35bは、回転軸32に関して互いに軸対称な位置及び姿勢でハンド支持部34に支持されている。そして、当該ハンド支持部34は、回転駆動機構31の回転出力部33に結合されている。
【0030】
回転駆動機構31は、具体的にはエアアクチュエータ等である。回転駆動機構31の回転出力部33が回転軸32回りに180°回転駆動されることにより、回転前の第1ハンド35aの位置に第2ハンド35bが配置されると共に、回転前の第2ハンド35bの位置に第1ハンド35aが配置されるようになっている。すなわち、ハンド支持部34に支持された第1ハンド35a及び第2ハンド35bは回転軸32に関して軸対称に左右反転されるようになっている。
【0031】
図1に戻って、本実施の形態では、第1ハンド35a及び第2ハンド35bは、ハンド支持部34に微小領域内を可動な状態で支持されている。具体的には、例えば、ハンド支持部34に設けられた穴部内に、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)のハンド支持部34に対する接続固定部としての突状部が隙間を伴って(可動な状態で)挿入されている。この場合、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)は、ハンド支持部34の穴部の内周と第1ハンド35a(または第2ハンド35b)の突状部の外周との間の隙間に対応する微小領域内を可動な状態で支持されている。具体的には、例えば、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)は、水平面内で±0.1mmの微小領域内を可動な状態でハンド支持部34に支持されている。
【0032】
そして、第2工具搬送部30は、第1ハンド35a及び第2ハンド35bをハンド支持部34に対して不動に固定するためのハンド固定部37を有している。
【0033】
具体的には、第1ハンド35aには、位置決め用の不図示の第1テーパ穴が設けられており、第2ハンド35bには、位置決め用の不図示の第2テーパ穴が設けられており、ハンド固定部37は、第1テーパ穴に挿脱可能な不図示の第1テーパ軸と、第2テーパ穴に挿脱可能な不図示の第2テーパ軸と、第1テーパ軸及び第2テーパ軸を鉛直方向に直線駆動させる不図示のテーパ軸昇降移動機構と、を有している。
【0034】
テーパ軸昇降移動機構は、例えばエアシリンダである。テーパ軸昇降移動機構によって第1テーパ軸及び第2テーパ軸が鉛直下方に直線駆動される場合、第1テーパ軸と第1ハンド35aとの間に介設された不図示のバネ部材が収縮されると共に、第1テーパ軸の上端部が第1テーパ穴の内周面から微小距離だけ離間され、結果的に、第1ハンド35aはハンド支持部34に対して微小領域内を可動な状態にされる。また、第2テーパ軸と第2ハンド35bとの間に介設された不図示のバネ部材が収縮されると共に、第2テーパ軸の上端部が第2テーパ穴の内周面から微小距離だけ離間され、結果的に、第2ハンド35bはハンド支持部34に対して微小領域内を可動な状態にされる。
【0035】
一方、テーパ軸昇降移動機構による鉛直下方の直線駆動が解消される場合、第1テーパ軸及び第2テーパ軸は不図示のバネ部材の弾性力によって鉛直上方に引っ張られ、第1テーパ軸の上端部は第1テーパ穴の内周面の少なくとも一部に当接した後、当該内周面に沿って相対的に案内されて、当該第1テーパ穴に嵌め合わされ、結果的に、第1ハンド35aは第1テーパ軸によって高精度に位置決めされるようになっている。また、第2テーパ軸の上端部は第2テーパ穴の内周面の少なくとも一部に当接した後、当該内周面に沿って相対的に案内されて、当該第2テーパ穴に嵌め合わされ、結果的に、第2ハンド35bは第2テーパ軸によって高精度に位置決めされるようになっている。
【0036】
また、図1及び図2に示すように、本実施の形態の工具搬送装置12は、第2回転駆動機構41によって鉛直な第2回転軸42回りに旋回されるアーム部材43を有しており、第2工具搬送部30は、当該アーム部材43に固定されている。
【0037】
第2回転駆動機構41は、具体的にはエアシリンダとリンク機構とを有しており、エアシリンダの直線駆動に応じてリンク機構が動作することにより、リンク機構に接続されたアーム部材43が第2回転軸42回りに旋回されるようになっている。第2回転駆動機構41によって第2回転軸42回りにアーム部材43が旋回される際に、当該アーム部材43に固定された第2工具搬送部30も第2回転軸42回りに旋回されるようになっている。このような第2回転駆動機構41は、工具ポッド11と焼嵌めホルダ16とが平面視で異なる位置に配置されている場合に有効である。
【0038】
本実施の形態では、第2工具搬送部30は、昇降機構38を有している。昇降機構38は、具体的にはエアシリンダであり、アーム部材43上に鉛直に設けられている。昇降機構38には仲介部材39を介して前述の回転駆動機構31が結合されている。昇降機構38によって回転駆動機構31がアーム部材43に対して昇降移動されることにより、第1ハンド35a及び第2ハンド35bもアーム部材43に対して昇降移動されるようになっている。本実施の形態では、昇降機構38は、第1ハンド35a及び第2ハンド35bを、エアシリンダのストロークの最低位置に対応する第1高さ位置と、エアシリンダのストロークの最高位置に対応する第2高さ位置と、の間で往復移動させるようになっている。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態では、アーム部材43には、第2工具搬送部30に保持された工具15のシャンクを清掃する清掃ポッド45が取付けられている。
【0040】
清掃ポッド45は筒状を有しており、第1ハンド35aまたは第2ハンド35bの上方に配置されている。第1ハンド35a及び第2ハンド35bが昇降機構38によって第2高さ位置まで上昇される際に、第1ハンド35aまたは第2ハンド35bに保持された工具15のシャンクが当該清掃ポッド45内に挿入され、当該工具15のシャンク端面が当該清掃ポッド45の内部に位置決めされるようになっている。
【0041】
本実施の形態では、清掃ポッド45の上端部には、セットされた工具15のシャンク端面に向けてエアを供給するエア供給部46が接続されている。清掃ポッド45内に工具15がセットされる際にエア供給部46から清掃ポッド45内にエアが供給されていれば、供給されたエアが清掃ポッド45の内周面とセットされる工具15のシャンク外面との間の隙間を流れて外部に流出されるようになっている。当該隙間によってエアの流速が上昇されるため、セットされる工具15のシャンクの外面が効果的に清掃されるようになっている。
【0042】
図1に示すように、本実施の形態では、加熱装置13と冷却装置14とはアーム部材43に固定されており、第2工具搬送部30と一緒に第2回転軸42回りに旋回されるようになっている。
【0043】
加熱装置13は、それ自体は公知の焼嵌めホルダ用加熱装置であり、焼き嵌めホルダ16の周囲を覆うことで当該焼嵌めホルダ16を加熱するようになっている。
【0044】
冷却装置14も、それ自体は公知の焼嵌めホルダ用冷却装置であり、焼き嵌めホルダ16の周囲に冷却エアを吹き付けることで当該焼嵌めホルダ16を冷却するようになっている。なお、加熱装置13と冷却装置14とは、別個独立の装置として搭載されてもよいし、両装置13、14の機能を合わせ持つ単一の装置として搭載されてもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、工具ポッド11は、鉛直な回転軸回りを回転する不図示のポッド回転テーブルの周方向に複数個が設けられている。ポッド回転テーブルは、所望の工具ポッド11が第1工具搬送部20に対して工具15を受け渡しできるように、当該工具ポッド11の位置を位置決めできるようになっている。
【0046】
図1に示すように、本実施の形態の工具ポッド11は筒状を有しており、工具ポッド11内の所定の高さに底部が設けられている。刃先を上向きに向けられた状態で工具15が工具ポッド11内に挿入される際に、挿入された工具15のシャンク端面が前記底部に当接され、これにより、挿入された工具15のシャンク端面が所定の位置に容易に位置決めされるようになっている。
【0047】
次に、以上のような本実施の形態の作用について、図3乃至図18を参照し、焼嵌めホルダ16内に固定された第1工具151を、第2工具ポッド112にセットされた第2工具152と交換する方法を、一例として説明する。
【0048】
図3に示すように、まず、シャンク端面が所定の位置に位置決めされた状態で第2工具152がセットされた第2工具ポッド112が、第1工具搬送部20に対して工具を受け渡しできるように、不図示のポッド回転テーブルによって水平面内で適切に位置決めされる。
【0049】
次に、図4に示すように、第1工具搬送部20の補助ハンド21が開放された状態で下降され、ストッパによって予め定められた高さ位置に位置決めされる。この時、第2工具ポッド112にセットされた第2工具152のシャンクの少なくとも一部が、開放された補助ハンド21の間(把持領域)に挿入される。続いて、補助ハンド21が閉塞され、補助ハンド21の間に挿入された第2工具152は、補助ハンド21によって把持される。
【0050】
本実施の形態では、シャンク端面が所定の位置に位置決めされた状態で第2工具ポッド112にセットされた第2工具152が、予め定められた高さ位置で第1工具搬送部20の補助ハンド21によって把持されるため、当該工具152と補助ハンド21との間の高さに関する位置関係(ΔL)が特殊な測定器具を用いなくても求められる。
【0051】
次に、図5に示すように、補助ハンド21が第2工具152を把持した状態で上昇され、第2工具ポッド112内から第2工具152が取り出された後、ストッパによって補助ハンド21が予め定められた高さ位置に位置決めされる。続いて、図6に示すように、補助ハンド21が水平な補助回転軸22回りに180°旋回され、すなわち補助ハンド21の位置及び姿勢が補助回転軸22に関して軸対称に上下反転される。これにより、補助ハンド21に把持された第2工具152の位置及び姿勢も補助回転軸22に関して軸対称に上下反転される。
【0052】
本実施の形態では、第2工具152と補助ハンド21との間の高さに関する位置関係(ΔL)と、当該補助ハンド21自身の高さと、に基づいて、上下反転後の第2工具152のシャンク端面の高さが制御される。
【0053】
続いて、図7に示すように、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して不動な状態にされると共に、第2ハンド35bが開放された状態で、昇降機構38によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bが下降され、エアシリンダのストロークの最低位置に対応する第1高さ位置に移動される。この時、第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して不動な状態にされているため、第1ハンド35a及び第2ハンド35bの下降に伴って第1ハンド35a(または第2ハンド35b)に振動が生じたり、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)とハンド支持部34とが互いに擦れて騒音が生じたりすることが抑制される。
【0054】
第1ハンド35a及び第2ハンド35bが第1高さ位置に移動されることにより、補助ハンド21に把持された第2工具152のシャンクの少なくとも一部が、開放された第2ハンド35bの間に挿入される。
【0055】
次に、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して微小領域内を可動な状態にされる。そして、第2ハンド35bが閉塞され、第2ハンド35bの間に挿入された第2工具152のシャンクが第2ハンド35bに把持される。この時、第2ハンド35bが微小領域内を可動な状態とされているため、例えば水平面内での位置決め誤差が微小に生じていた場合等においても、補助ハンド21に把持された第2工具152と第2ハンド35bとの間の芯ずれに起因する高い応力の発生が抑制される。
【0056】
本実施の形態では、第2工具152を上下反転させた後の第1工具搬送部20が所定高さに制御された時に、反転された第2工具152を常に同じ高さ位置(第1高さ位置)で第2工具搬送部30が受取るため、当該工具152と第2工具搬送部30との高さに関する位置関係(ΔL2)は、常に一定になる。
【0057】
図8に示すように、第2ハンド35bに第2工具152が把持された後、当該第2工具152は補助ハンド21から開放される。続いて、補助ハンド21は下方に退避される。
【0058】
次に、図9に示すように、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して不動な状態にされる。そして、第2回転駆動機構41により第2工具搬送部30が、アーム部材43と一緒に第2回転軸42回りに旋回され、第1ハンド35aが焼嵌めホルダ16から前の工具を取り出すことができるように、水平面内で適切に位置決めされると共に、回転駆動機構31によってハンド支持部34が回転軸32回りに180°回転されて、第1ハンド35a及び第2ハンド35bが回転軸32に関して軸対称に左右反転される。この時、第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して不動な状態にされているため、第2工具搬送部30の旋回及びハンド支持部34の回転に伴って第1ハンド35a(または第2ハンド35b)に振動が生じたり、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)とハンド支持部34とが互いに擦れて騒音が生じたりすることが抑制される。
【0059】
図10に示すように、第1ハンド35aが開放された状態で、昇降機構38によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがエアシリンダのストロークの最高位置に対応する第2高さ位置まで移動されると共に、主軸17が焼嵌めホルダ16と一緒に下降される。これにより、当該焼嵌めホルダ16の周囲が加熱装置13によって覆われると共に、当該焼嵌めホルダ16に固定された第1工具151のシャンクの少なくとも一部が、開放された第1ハンド35aの間に挿入される。
【0060】
また、第1ハンド35a及び第2ハンド35bの上昇中に、エア供給部46から清掃ポッド45内へのエアの供給が開始され、第2ハンド35bに把持された第2工具152のシャンクは、シャンク端面にエアが吹き付けられた状態で、清掃ポッド45内に挿入される。これにより、第2ハンド35bに把持された第2工具152のシャンク部からゴミが効果的に除去される。
【0061】
続いて、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して微小領域内を可動な状態にされる。そして、第1ハンド35aが閉塞され、第1ハンド35aの間に挿入された第1工具151のシャンクが当該第1ハンド35aに把持される。この時、第1ハンド35aが微小領域内を可動な状態とされているため、例えば水平面内での位置決め誤差が微小に生じていた場合等においても、焼嵌めホルダ16に固定された第1工具151と第1ハンド35aとの間の芯ずれに起因する高い応力の発生が抑制される。
【0062】
そして、加熱装置13によって焼嵌めホルダ16が加熱されて、第1ハンド35aに把持された第1工具151が焼嵌めホルダ16から開放される。
【0063】
次に、図11に示すように、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して不動な状態にされる。そして、昇降機構38によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bが下降される。これにより、第1ハンド35aに把持された第1工具151が焼嵌めホルダ16内から取り出されると共に、第2ハンド35bに把持された第2工具152が清掃ポッド45内から取り出される。その後、清掃ポッド45内へのエアの供給が停止される。続いて、図12に示すように、回転駆動機構31によりハンド支持部34が回転軸32回りに180°回転され、これにより、第1ハンド35a及び第2ハンド35bの位置及び姿勢が回転軸32に関して軸対称に左右反転される。第1ハンド35a及び第2ハンド35bの位置及び姿勢が回転軸32に関して軸対称に左右反転されることにより、第1ハンド35aに把持された第1工具151及び第2ハンド35bに把持された第2工具152の位置及び姿勢も回転軸32に関して軸対称に左右反転される。
【0064】
続いて、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して微小領域内を可動な状態にされる。
【0065】
次に、図13に示すように、昇降機構38によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bが、エアシリンダのストロークの最高位置に対応する第2高さ位置まで上昇され、第2ハンド35bに把持された第2工具152は、加熱装置13によって開放された状態の焼嵌めホルダ16まで搬送される。本実施の形態では、第2工具152と第2工具搬送部30との高さに関する位置関係(ΔL2)は常に一定であるため、特殊な測定器具を用いて第2工具152の突き出し量を測定せずとも、焼嵌めホルダ16内に第2工具152を短時間で位置決めすることができる。
【0066】
また、第1ハンド35a及び第2ハンド35bの上昇中に、エア供給部46から清掃ポッド45内へのエアの供給が開始され、第1ハンド35aに把持された第1工具151のシャンクは、シャンク端面にエアが吹き付けられた状態で、清掃ポッド45内に挿入される。これにより、第1ハンド35aに把持された第1工具151のシャンク部からゴミが効果的に除去される。
【0067】
そして、加熱装置13による焼嵌めホルダ16の加熱が停止され、冷却装置14による焼嵌めホルダ16の冷却が開始される。冷却装置14によって焼嵌めホルダ16が冷却されることにより、焼嵌めホルダ16が閉塞され、焼嵌めホルダ16内に位置決めされた第2工具152が当該焼嵌めホルダ16に固定される。この時、第2ハンド35bが微小領域内を可動な状態とされているため、例えば水平面内での位置決め誤差が微小に生じていた場合等においても、焼嵌めホルダ16に固定された第2工具152と第2ハンド35bとの間の芯ずれに起因する高い応力の発生が抑制される。
【0068】
次に、図14に示すように、第2ハンド35bから第2工具152が開放される。そして、主軸17が焼嵌めホルダ16と一緒に上昇されると共に、昇降機構38によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bが下方に退避される。この時、第1ハンド35aに把持された第1工具151が清掃ポッド45内から取り出される。その後、清掃ポッド45内へのエアの供給が停止される。
【0069】
次に、図15に示すように、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して不動な状態にされる。そして、第2回転駆動機構41により第2工具搬送部30が、アーム部材43と一緒に第2回転軸42回りに旋回され、第1工具搬送部20に対して工具を受け渡しできるように水平面内で適切に位置決めされると共に、回転駆動機構31によってハンド支持部34が回転軸32回りに180°回転されて、第1ハンド35a及び第2ハンド35bが回転軸32に関して軸対称に左右反転される。この時、第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して不動な状態にされているため、第2工具搬送部30の旋回及びハンド支持部34の回転に伴って第1ハンド35a(または第2ハンド35b)に振動が生じたり、ハンド支持部34と第1ハンド35a(または第2ハンド35b)とが擦れて騒音が生じたりすることが抑制される。
【0070】
続いて、図16に示すように、昇降機構38によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bは、エアシリンダのストロークの最低位置に対応する第1高さ位置まで下降される。
【0071】
次に、ハンド固定部37によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bがハンド支持部34に対して微小領域内を可動な状態にされる。そして、第1工具搬送部20の補助ハンド21が上昇され、第1ハンド35aに把持された第1工具151のシャンクの少なくとも一部が、補助ハンド21の間に挿入される。
【0072】
そして、第1工具搬送部20の補助ハンド21が閉塞され、補助ハンド21の間に挿入された第1工具151のシャンクが補助ハンド21に把持される。この時、第1ハンド35aが微小領域内を可動な状態とされているため、例えば水平面内での位置決め誤差が微小に生じていた場合等においても、補助ハンド21に把持された第1工具151と第1ハンド35aとの間の芯ずれに起因する高い応力の発生が抑制される。
【0073】
続いて、図17に示すように、第1ハンド35aから第1工具151が開放される。そして、昇降機構38によって第1ハンド35a及び第2ハンド35bが上方に退避される。
【0074】
次に、制御装置24によって補助ハンド21が水平な補助回転軸22回りに180°旋回され、すなわち補助ハンド21の位置及び姿勢が補助回転軸22に関して軸対称に上下反転される。これにより、補助ハンド21に把持された第1工具151の位置及び姿勢も補助回転軸22に関して軸対称に上下反転される。一方、不図示のポッド回転テーブルが回転されて、第1工具151用の第1工具ポッド111が水平面内で適切に位置決めされる。
【0075】
そして、図18に示すように、補助ハンド21が下降され、補助ハンド21に把持された第1工具151が、適切に位置決めされた第1工具ポッド111内にセットされる。その後、補助ハンド21から第1工具151が開放され、続いて、補助ハンド21が上方に退避される。
【0076】
以上のような本実施の形態によれば、シャンク端面が所定の位置に位置決めされた状態で第2工具152が第2工具ポッド112にセットされているため、第2工具ポッド112にセットされた第2工具152を例えば常に同じ高さ位置で第1工具搬送部20が把持するとすれば、当該第2工具152と第1工具搬送部20との間の高さに関する位置関係(ΔL)は、常に一定となる。次いで、把持された第2工具152が第1工具搬送部20によって上昇されて上下反転されることにより、前記位置関係と第1工具搬送部20自身の高さとに基づいて、上下反転後の第2工具152のシャンク端面の高さを制御することができる。第2工具152を上下反転させた後の第1工具搬送部20が所定高さに制御された時に、反転された第2工具152を例えば常に同じ高さ位置で第2工具搬送部が受取るとすれば、当該第2工具152と第2工具搬送部30との高さに関する位置関係(ΔL2)は、常に一定になる。次いで、第2工具搬送部30によって受取られた第2工具152が主軸17に固定された焼嵌めホルダ16まで搬送されることにより、特殊な測定器具を用いて第2工具152の突き出し量を測定せずとも、焼嵌めホルダ16内に第2工具152が短時間で位置決めされ得る。
【0077】
また、本実施の形態によれば、第1ハンド35a及び第2ハンド35bが回転軸32回りに180°だけ互いに離間した位置に配置されている場合に、ハンド支持部34が回転軸32回りに180°だけ回転されることにより、回転前の第2ハンド35bの位置に第1ハンド35aが配置され得る。このことを利用して、予め第2工具152を第2ハンド35bに把持させておくことにより、第1ハンド35aに把持された第1工具151が焼嵌めホルダ16内から取り出された後において、当該取り出された第1工具151を第1工具搬送部20に受け渡す前に、ハンド支持部34を180°だけ回転させて、回転前の第1ハンド35aの位置に第2ハンド35bを配置させ、第2ハンド35bに把持させておいた第2工具152を焼嵌めホルダ16まで搬送することができる。これにより、工具151、152の交換時間が更に短縮される。
【0078】
また、本実施の形態によれば、例えば、焼嵌めホルダ16に保持された第1工具151(または第2工具ポッド112にセットされた第2工具152)が第1ハンド35a(または第2ハンド35b)によって把持される際に、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)を微小領域内で可動な状態としておけば、例えば水平面内での位置決め誤差が微小に生じていた場合等において、当該第1工具151(または第2工具152)及び第1ハンド35a(または第2ハンド35b)間の芯ずれに起因する高い応力の発生を抑制することができる一方、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)が第1工具151(または第2工具152)を把持した後においては、第1ハンド35a(または第2ハンド35b)をハンド支持部34に対して不動とすることにより、その後の動作を円滑に実施することができる。
【0079】
更に、本実施の形態によれば、アーム部材43が第2回転軸42回りに旋回されることにより、第2工具搬送部30を主軸17に固定された焼嵌めホルダ16に対して水平面内で適切に位置決めすることができる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、第2工具搬送部30に保持された第1工具151または第2工具152が清掃ポッド45内にセットされる際にエア供給部46から清掃ポッド45内にエアが供給されていることにより、供給されたエアによってセットされる第1工具151または第2工具152のシャンクが清掃され得る。このことを利用して、工具交換の直前に第1工具151または第2工具152のシャンクを清掃することにより、工具交換時におけるゴミの影響を低減することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 焼嵌めホルダ用自動工具交換システム
11 工具ポッド
111 第1工具ポッド
112 第2工具ポッド
12 工具搬送装置
13 加熱装置
14 冷却装置
15 工具
151 第1工具
152 第2工具
16 焼嵌めホルダ
17 主軸
20 第1工具搬送部
21 補助ハンド
22 補助回転軸
23 補助可動部材
24 制御装置
30 第2工具搬送部
31 回転駆動機構
32 回転軸
33 回転出力部
34 ハンド支持部
35a 第1ハンド
35b 第2ハンド
36a 第1ハンドの可動部材
36b 第2ハンドの可動部材
37 ハンド固定部
38 昇降機構
39 仲介部材
41 第2回転駆動機構
42 第2回転軸
43 アーム部材
45 清掃ポッド
46 エア供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18