特許第6058420号(P6058420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 電気化学工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058420
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】導光板
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20161226BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20161226BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20161226BHJP
   C08F 212/00 20060101ALI20161226BHJP
   C08F 20/12 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   F21S2/00 434
   G02B6/00 331
   G02F1/13357
   C08F212/00
   C08F20/12
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-30678(P2013-30678)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2014-160583(P2014-160583A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西野 広平
(72)【発明者】
【氏名】進藤 有一
(72)【発明者】
【氏名】野口 哲央
(72)【発明者】
【氏名】山田 毅
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−137915(JP,A)
【文献】 特開平02−014207(JP,A)
【文献】 特開昭57−153008(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/031544(WO,A1)
【文献】 特開2004−318021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
C08F 6/00−246/00
C08F 301/00
C08L 1/00−101/00
C08K 3/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニル単量体単位45〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜25質量%からなり、ASTM D1003に基づき測定した2mm厚みの全光線透過率が88%以上である共重合体(A)5〜80質量%と、メタクリル樹脂(B)20〜95質量%とからなる導光板。
【請求項2】
共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が10万〜20万である請求項1に記載の導光板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等のバックライトに用いられる導光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイのバックライトには光源を表示装置の正面に配置する直下型バックライトと側面に配置するエッジライト型バックライトがある。導光板はエッジライト型バックライトに組み込まれ、側面からの光を液晶パネルに導く役割を果たし、テレビ、デスクトップ型パーソナルコンピューターのモニター、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話機、カーナビゲーションなど幅広い用途で使用される。また、導光板を用いたバックライトは、照明用としても使用される。導光板にはPMMA(ポリメチルメタクリレート)に代表されるメタクリル樹脂が使用されているが、吸水性が高いため、成形品に反りの発生や寸法の変化が発生する場合がある。また、耐熱性の不足のため、使用環境下によっては成形品が変形することがある。それらの改良技術としては下記があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−75648号公報
【特許文献2】特開2003−165885号公報
【特許文献3】特開2004−318021号公報
【特許文献4】特開2005−215370号公報
【特許文献5】特開2007−204536号公報
【特許文献6】特開2010−211977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な耐熱性に優れた導光板に関するものである。本発明の導光板は、液晶表示装置等のバックライトに好適に利用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下を要旨とするものである。
(1)芳香族ビニル単量体単位45〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位5〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜25質量%からなり、ASTM D1003に基づき測定した2mm厚みの全光線透過率が88%以上である共重合体(A)5〜80質量%と、メタクリル樹脂(B)20〜95質量%とからなる導光板。
(2)共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が10万〜20万である(1)に記載の導光板。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、メタクリル樹脂の特徴である優れた表面硬度を維持したまま、耐熱性と透明性に優れた導光板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<用語の説明>
本願明細書において、「〜」という記号は「以上」及び「以下」を意味し、例えば、「A〜B」なる記載は、A以上でありB以下であることを意味する。
【0008】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0009】
共重合体(A)は、芳香族ビニル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位に由来する単位構造を有する共重合体である。
【0010】
共重合体(A)を構成する芳香族ビニル単量体単位としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどの各スチレン系単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも好ましくはスチレン単位である。これら芳香族ビニル単量体単位は、1種類でもよく、2種類以上の併用であってもよい。
【0011】
共重合体(A)を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの各メタクリル酸エステル単量体、およびメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレートなどの各アクリル酸エステル単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも好ましくはメチルメタクリレート単位である。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、1種類でもよく、2種類以上の併用であってもよい。
【0012】
共重合体(A)を構成する不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位としては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物などの各無水物単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも好ましくはマレイン酸無水物単位である。不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位は、1種でもよく、2種類以上の併用であってもよい。
【0013】
共重合体(A)の構成単位は、芳香族ビニル単量体単位45〜85質量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位5〜45質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜25質量%であり、好ましくは芳香族ビニル単量体単位50〜80質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位8〜38質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位12〜18質量%である。
【0014】
芳香族ビニル単量体単位が85質量%以下であれば、導光板の耐熱性が向上する。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が45質量%以下であれば、共重合体の熱安定性が向上し、良好な外観を有する導光板が得られる。不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位が25質量%以下であれば、メタクリル樹脂との相溶性が向上し、透明性に優れた導光板が得られる。一方、芳香族ビニル単量体単位が45質量%以上であれば、共重合体の熱安定性が向上し、良好な外観を有する導光板が得られる。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が5質量%以上であれば、メタクリル樹脂との相溶性が向上し、透明性に優れた導光板が得られる。また、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位が10質量%以上であれば、メタクリル樹脂との相溶性が向上し、透明性に優れた導光板が得られ、耐熱性にも優れる。
【0015】
共重合体(A)は、芳香族ビニル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、および不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位以外の、共重合可能なビニル単量体の単位を共重合体中に発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよく、好ましくは5質量%以下である。共重合可能なビニル単量体の単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸単量体、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−アルキルマレイミド単量体、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミドなどのN−アリールマレイミド単量体などの各単量体に由来する単位が挙げられる。共重合可能なビニル単量体の単位は、2種類以上の併用であってもよい。
【0016】
共重合体(A)は、ASTM D1003に基づき測定した2mm厚みの全光線透過率が88%以上であり、好ましくは89%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。2mm厚みの全光線透過率が88%以上であれば、メタクリル樹脂に配合して得られる樹脂組成物の透明性が良好となる。なお、全光線透過率は射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度40℃の成形条件で成形された縦90mm、横55mm、厚み2mmの鏡面プレートを、ASTM D1003に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP型)を用いて測定した測定値である。
【0017】
共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)が10万〜20万であることが好ましく、より好ましくは、重量平均分子量(Mw)が12万〜18万である。重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、成形性が悪化して、成形品の外観が劣る場合があり、重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、成形品の強度に劣る場合がある。なお、重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値であり、下記記載の測定条件における測定値である。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作製した。
【0018】
共重合体(A)の製造方法について説明する。
重合様式においては特に限定はなく、溶液重合、塊状重合等公知の方法で製造できるが、溶液重合がより好ましい。溶液重合で用いる溶剤は、副生成物が出来難く、悪影響が少ないという観点から非重合性であることが好ましい。溶剤の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等のエーテル類、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素などが挙げられるが、単量体や共重合体の溶解度、溶剤回収のし易さの観点から、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。溶剤の添加量は、得られる共重合体量100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、さらに好ましくは30〜80質量部である。10質量部以上であれば、反応速度および重合液粘度を制御する上で好適であり、100質量部以下であれば、所望の重量平均分子量(Mw)を得る上で好適である。
【0019】
重合プロセスは回分式重合法、半回分式重合法、連続重合法のいずれの方式であっても差し支えないが、所望の分子量範囲と透明性を得る上で回分式重合法が好適である。
【0020】
重合方法は特に限定されないが、簡潔プロセスによって生産性良く製造することが可能であるという観点から、好ましくはラジカル重合法である。重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例えばジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスメチルプロピオニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル等の公知のアゾ化合物を用いることができる。これらの重合開始剤は2種以上を併用することも出来る。これらの中でも10時間半減期温度が、70〜110℃である有機過酸化物を用いるのが好ましい。
【0021】
共重合体(A)は、ASTM D1003に基づき測定した2mm厚みの全光線透過率が88%以上である。この条件を満たす共重合体が得られれば、その重合手順に特に制限はないが、全光線透過率が88%以上の透明性を有する共重合体を得るためには、共重合組成分布が小さくなるように重合しなければならない。芳香族ビニル単量体と不飽和ジカルボン酸無水物単量体とが強い交互共重合性を有することから、芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合速度に対応するように不飽和ジカルボン酸無水物単量体を連続的に分添する方法が好適である。重合速度のコントロールについては、重合温度、重合時間、および重合開始剤添加量とで調整することが出来る。重合開始剤を連続分添すると、より重合速度をコントロールし易くなるので好ましい。
【0022】
さらに、好ましい重量平均分子量(Mw)の範囲である10万〜20万である共重合体を得る方法については、重合温度、重合時間、および重合開始剤添加量の調整に加えて、溶剤添加量および連鎖移動剤添加量を調整することで得ることが出来る。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンや2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。
【0023】
メタクリル樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単量単位を主成分とする重合体である。メタクリル樹脂(B)は、スチレン等の芳香族ビニル単量体を含有してもよく、芳香族ビニル単量体単位0〜20質量%であることが好ましい。
【0024】
メタクリル樹脂(B)を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの各メタクリル酸エステル単量体、およびメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレートなどの各アクリル酸エステル単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも好ましくはメチルメタクリレート単位である。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、1種類でもよく、2種類以上の併用であってもよい。2種類以上併用する場合は、アクリル酸メチル、または、アクリル酸エチルが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計量のうち10質量%未満の割合であることが好ましい。
【0025】
メタクリル樹脂(B)は、重量平均分子量(Mw)が5万〜15万であることが好ましく、より好ましくは、重量平均分子量(Mw)が7万〜13万である。重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、成形性が悪化して、成形品の外観が劣る場合があり、重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、成形品の強度に劣る場合がある。重量平均分子量(Mw)は、共重合体(A)と同様の方法での測定値である。
【0026】
メタクリル樹脂(B)の重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知のスチレン重合方法が挙げられる。品質面や生産性の面で、塊状重合法、溶液重合法が好ましい。また、重合時には必要に応じて有機過酸化物やアゾ系開始剤等の重合開始剤、脂肪族メルカプタン等の連鎖移動剤を使用することができる。
【0027】
導光板は、共重合体(A)5〜80質量%とメタクリル樹脂(B)20〜95質量%とからなる。また、導光板は、共重合体(A)10〜55質量%とメタクリル樹脂(B)25〜90質量%とからなることが好ましく、共重合体(A)15〜30質量%とメタクリル樹脂(B)70〜85質量%とからなることがさらに好ましい。共重合体(A)が5質量%以上であれば、導光板の耐熱性が向上し、50質量%以下であれば表面硬度に優れる。
【0028】
導光板は、共重合体(A)とメタクリル樹脂(B)とを溶融混合し、押出成形、射出成形、圧縮成形等の目的に応じた成形方法で得られる。共重合体(A)とメタクリル樹脂(B)との溶融混合方法は、特に限定はなく、公知の溶融混錬技術を用いることができる。好適に使用できる溶融混錬装置としては、単軸押出機、噛合型同方向回転または噛合型異方向回転二軸押出機、非または不完全噛合型二軸押出機等のスクリュー押出機、バンバリーミキサー、コニーダー及び混合ロール等がある。押出成形で導光板を成形する場合は、押出成形機の押出機において、共重合体(A)とメタクリル樹脂(B)とを溶融混合した後、直接シート状に押出することができる。射出成形で導光板を成形する場合は、予め、共重合体(A)とメタクリル樹脂(B)を溶融混合しておくことが好ましい。
【0029】
共重合体(A)、メタクリル樹脂(B)、共重合体(A)とメタクリル樹脂(B)との溶融混合物には、必要に応じて、ヒンダードフェノール系化合物、ラクトン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物などの耐熱安定剤、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の耐光安定剤、滑剤や可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油等の添加剤を加えても構わない。その添加量は全単量体単位100質量部に対して0.2質量部未満であることが好ましい。これらの添加剤は単独で用いても、2種類以上を併用しても構わない。これらの添加剤は、共重合体(A)、メタクリル樹脂(B)の製造時や共重合体(A)とメタクリル樹脂(B)を溶融混合する際に、添加することができる。
【0030】
導光板は、板状の成形品の側面から光を入射し、成形品の非発光面に形成された反射パターンにより、成形品の発光面に光を導き、面発光させる機能を持った光学部材である。反射パターンは、スクリーン印刷法、インクジェット法、レーザー法などの方法や成形加工時に金型に転写させることで形成することができる。また、光の入射面は研磨処理して、鏡面とすることが好ましい。
【実施例】
【0031】
<共重合体(A−1)の製造例>
マレイン酸無水物が20質量%濃度となるようにメチルイソブチルケトンに溶解させた20%マレイン酸無水物溶液と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが2質量%となるようにメチルイソブチルケトンに希釈した2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液とを事前に調製し、重合に使用した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.4kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート11.2kg、t−ドデシルメルカプタン30g、メチルイソブチルケトン2kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて87℃まで昇温した。昇温後87℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を1.8kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを30g添加した。20%マレイン酸無水物溶液は、そのまま1.8kg/時の分添速度を維持しながら、8.25℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で18kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−1)を得た。得られた共重合体(A−1)をC−13NMR法により組成分析を行った。さらにGPC装置にて分子量測定を行った。また、射出成形機にて2mm厚みの鏡面プレートを成形し、ヘーズメーターにて全光線透過率を測定した。組成分析結果、分子量測定結果、および全光線透過率測定結果を表1に示す。
【0032】
<共重合体(A−2)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート10.4kg、t−ドデシルメルカプタン40gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.1kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.1kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で25.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−2)を得た。得られた共重合体(A−2)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0033】
<共重合体(A−3〉の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液3.4kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート9.2kg、t−ドデシルメルカプタン60gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.55kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.55kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で30.6kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−3)を得た。得られた共重合体(A−3)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0034】
<共重合体(A−4)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液3.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート8.4kg、t−ドデシルメルカプタン32gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.85kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.85kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で34.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−4)を得た。得られた共重合体(A−4)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0035】
<共重合体(A−5)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン30.4kg、メチルメタクレリレート3kg、t−ドデシルメルカプタン36gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を1.4kg/時、メチルメタクリレート56g/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に10時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを60g添加した。20%マレイン酸無水物溶液およびメチルメタクリレートは、各々そのまま1.4kg/時、56g/時の分添速度を維持しながら、4℃/時の昇温速度で9時間かけて124℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は積算で25.2kgになった時点で、メチルメタクリレートの分添は積算で1kgになった時点で、各々の分添を停止した。昇温後、1時間124℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−5)を得た。得られた共重合体(A−5)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0036】
<共重合体(A−6)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン13.8kg、メチルメタクレリレート16kg、t−ドデシルメルカプタン48gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.8kg/時、スチレン0.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に6時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを20g添加した。20%マレイン酸無水物溶液およびスチレンは、各々そのまま2.8kg/時、0.5kg/時の分添速度を維持しながら、10℃/時の昇温速度で3時間かけて118℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は積算で25.2kgになった時点で、スチレンの分添は積算で4.5kgになった時点で、各々の分添を停止した。昇温後、1時間118℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−6)を得た。得られた共重合体(A−6)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0037】
<共重合体(A−7)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート10.4kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を1.68kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を200g/時の分添速度で各々連続的に10時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを20g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま1.68kg/時の分添速度を維持しながら、6.4℃/時の昇温速度で5時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で25.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−7)を得た。得られた共重合体(A−7)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0038】
<共重合体(A−8)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート10.4kg、t−ドデシルメルカプタン300gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.1kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.1kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で25.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(A−8)を得た。得られた共重合体(A−8)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0039】
<共重合体(B−1)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液12kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート11.2kg、t−ドデシルメルカプタン30g、メチルイソブチルケトン2kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて87℃まで昇温した。昇温後87℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を0.75kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を375g/時の分添速度で各々連続的に12時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを30g添加した。20%マレイン酸無水物溶液は、そのまま0.75kg/時の分添速度を維持しながら、8.25℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で12kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−1)を得た。得られた共重合体(B−1)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0040】
<共重合体(B−2)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液2.8kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート10.4kg、t−ドデシルメルカプタン40gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.1kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を750g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.1kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で25.2kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−2)を得た。得られた共重合体(B−2)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0041】
<共重合体(B−3)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液8kg、スチレン0.8kg、メチルメタクレリレート17.6kg、t−ドデシルメルカプタン30gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を2.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を250g/時の分添速度で各々連続的に6時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを10g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま2.5kg/時の分添速度を維持しながら、16℃/時の昇温速度で2時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で20kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−3)を得た。得られた共重合体(B−3)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0042】
<共重合体(B−4)の製造例>
マレイン酸無水物が10質量%濃度となるようにメチルイソブチルケトンに溶解させた10%マレイン酸無水物溶液と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが2質量%となるようにメチルイソブチルケトンに希釈した2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液とを事前に調製し、重合に使用した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、10%マレイン酸無水物溶液2kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート14kg、t−ドデシルメルカプタン48g、メチルイソブチルケトン2kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて90℃まで昇温した。昇温後90℃を保持しながら、10%マレイン酸無水物溶液を1.5kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。10%マレイン酸無水物溶液はそのまま1.5kg/時の分添速度を維持しながら、7.5℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。10%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で18kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−4)を得た。得られた共重合体(B−4)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0043】
<共重合体(B−5)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液5kg、スチレン24kg、メチルメタクレリレート6kg、t−ドデシルメルカプタン32gを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて88℃まで昇温した。昇温後88℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を3.75kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を300g/時の分添速度で各々連続的に8時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを40g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま3.75kg/時の分添速度を維持しながら、8℃/時の昇温速度で4時間かけて120℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で45kgになった時点で停止した。昇温後、1時間120℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−5)を得た。得られた共重合体(B−5)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0044】
<共重合体(B−6)の製造例>
20%マレイン酸無水物溶液と2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液は、A−1と同様に調製した。
撹拌機を備えた120リットルのオートクレーブ中に、20%マレイン酸無水物溶液1.2kg、スチレン35.2kg、t−ドデシルメルカプタン30g、メチルイソブチルケトン2kgを仕込み、気相部を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら40分かけて92℃まで昇温した。昇温後92℃を保持しながら、20%マレイン酸無水物溶液を0.76kg/時、および2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液を250g/時の分添速度で各々連続的に15時間かけて添加し続けた。その後、2%t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート溶液の分添を停止し、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを60g添加した。20%マレイン酸無水物溶液はそのまま0.76kg/時の分添速度を維持しながら、4℃/時の昇温速度で9時間かけて128℃まで昇温した。20%マレイン酸無水物溶液の分添は、分添量が積算で18.24kgになった時点で停止した。昇温後、1時間128℃を保持して重合を終了させた。重合液は、ギヤーポンプを用いて二軸脱揮押出機に連続的にフィードし、メチルイソブチルケトンおよび微量の未反応モノマー等を脱揮処理して、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状の共重合体(B−6)を得た。得られた共重合体(B−6)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0045】
<メタクリル樹脂(C−1)の製造例>
撹拌機を付した容積20リットルの完全混合型反応器、容積40リットルの塔式プラグフロー型反応器、予熱器を付した脱揮槽を直列に接続して構成した。メチルメタクリレート98質量部、エチルアクリレート2質量部、エチルベンゼン18質量部で構成される混合溶液に対して、さらに1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン(日本油脂社製パーヘキサC)0.02質量部、n−ドデシルメルカプタン(花王社製チオカルコール20)0.3質量部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製IRGANOX1076)を0.1質量部混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6kgで温度120℃に制御した完全混合型反応器に導入した。なお、完全混合型反応器の撹拌数は200rpmで実施した。次いで完全混合型反応器より反応液を連続的に抜き出し、流れの方向に向かって温度130℃から150℃の勾配がつくように調整した塔式プラグフロー型反応器に導入した。この反応液を予熱器で加温しながら、温度240℃で圧力1.0kPaに制御した脱揮槽に導入し、未反応単量体等の揮発分を除去した。この樹脂液をギヤーポンプで抜き出し、ストランド状に押出し切断することによりペレット形状のメタクリル樹脂(C−1)を得た。得られたメタクリル樹脂(C−1)について、A−1と同様に組成分析、分子量、および全光線透過率を測定した。測定結果を表3に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
<実施例・比較例>
前記製造例で記した共重合体(A−1)〜(A−8)、または共重合体(B−1)〜(B−6)と、メタクリル樹脂(C−1)とを、表4〜表5で示した割合(質量%)でヘンシェルミキサーを用いて混合した後、スクリュー径40mmの単軸押出機(池貝社製MS−40)を用い、シリンダー温度を240℃に設定し、窒素パージを行いながらスクリュー回転数100回転で溶融混練してペレット化して導光板用の成形材料を得た。
得られた材料について、以下の評価を行った。評価結果を表4〜表5に示す。
【0050】
(全光線透過率、およびHaze(曇り度))
全光線透過率、およびHazeは、射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度70℃の成形条件で縦127mm、横127mm、厚み2mmの鏡面プレートを成形し、縦115mm、横85mmに端面加工して導光板とした。得られた導光板を、ASTM D1003に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP型)を用いて、2mm厚みの全光線透過率とHazeを測定した。全光線透過率は91%以上で、Hazeは0.4%以下で、良好と判断できる。
【0051】
(ロックウェル硬さ)
ロックウェル硬さは、JIS K7202−2:2001に基づき、ロックウェル硬さスケールはMで測定した。なお、測定機は上島製作所社製ロックウェル硬度計を使用した。ロックウエル硬さは、99以上で良好と判断できる。
【0052】
(シャルピー衝撃強度)
シャルピー衝撃強度は、JIS K7111−1:2006に基づき、ノッチなし試験片を用い、打撃方向はエッジワイズを採用して測定した。なお、測定機は東洋精機製作所社製デジタル衝撃試験機を使用した。シャルピー衝撃強度は、9.9kJ/m2以上で良好と判断できる。
【0053】
(ビカット軟化点)
ビカット軟化点は、JIS K7206:1999に基づき、50法(荷重50N、昇温速度50℃/時間)で試験片は10mm×10mm、厚さ4mmのものを用いて測定した。なお、測定機は東洋精機製作所社製HDT&VSPT試験装置を使用した。ビカット軟化点は、111℃以上で良好と判断できる。
【0054】
(成形品の外観)
射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度40℃の成形条件で、直径30mm、高さ50mmの円柱状成形品のサンプルを50個作製し、目視にて、シルバー、フローマーク、ガス焼け、着色、気泡などの外観不良が発生したサンプル数を数えることによって、外観評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
◎:外観不良のサンプル数が0個
○:外観不良のサンプル数が1〜2個
△:外観不良のサンプル数が2〜5個
×:外観不良のサンプル数が6個以上
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
実施例は透明性に優れることから導光板として好適に用いることができる。また、表面硬度、衝撃強度、耐熱性に優れ、成形品の外観も優れる。一方、比較例では、透明性、表面硬度、衝撃強度、耐熱性および成形品の外観のうち、いずれかの物性において劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、メタクリル樹脂の特徴である優れた表面硬度を維持したまま、耐熱性と透明性に優れた導光板を提供することができる。