【実施例1】
【0029】
本発明の第1の実施形態である実施例1は、本発明を、車両用電気ヒータに適用したものである。以下、本発明の実施例1を、
図1〜
図6を用いて説明する。
【0030】
[システム構成の説明]
本発明を適用した車両用電気ヒータ装置100は、図示しない車両に設置され、
図1に示すように、電気ヒータ60と、上流側電気ヒータ駆動部14aと、下流側電気ヒータ駆動部14bと、高電圧電源20と、バッテリ電源22と、空調制御装置30と、インタフェース部10を備えている。
【0031】
電気ヒータ60には、通電によって発熱するPTC素子(Positive Temperature Coefficient)を用いたものや、ニクロム線を利用したシーズヒータなどが用いられる。
【0032】
上流側電気ヒータ駆動部14aは、電気ヒータ60の上流側を加熱するための制御信号を生成する。そして、下流側電気ヒータ駆動部14bは、電気ヒータ60の下流側を加熱するための制御信号を生成する。
【0033】
このように、上流側電気ヒータ駆動部14aと下流側電気ヒータ駆動部14bを分けて設置しているのは、2重系とすることによって、故障発生時の故障検知を確実に行うようにするためである。
【0034】
そして、上流側電気ヒータ駆動部14aは、さらに、スイッチ素子駆動用電源24と、上流側スイッチ素子機能異常検知部42a(スイッチ素子機能異常検知部)と、上流側過熱検知部44aと、上流側過電流検知部46aと、上流側過電圧検知部47aと、上流側信号断検知部48aと、上流側スイッチ素子制御部49a(スイッチ素子制御部)と、上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)と、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)を備えている。
【0035】
スイッチ素子駆動用電源24は、バッテリ電源22から生成されて、上流側電気ヒータ駆動部14aの設計値に合致した所定の電圧値を有し、上流側スイッチ素子駆動部50aに供給されて、上流側スイッチ素子52aへの通電を制御する。
【0036】
上流側スイッチ素子機能異常検知部42aは、電気ヒータ60に通電を行う上流側スイッチ素子52aまたは上流側スイッチ素子駆動部50aに、短絡故障または開放故障が発生したことを検知する。なお、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aは、具体的には、
図5に示す電子回路で構成されている。その構成と作用については後述する。
【0037】
上流側過熱検知部44aは、サーミスタ等の感熱素子や温度検知用のショットキーバリアダイオード等の過熱検知用素子を用いて、回路基板の過熱を検知する。
【0038】
上流側過電流検知部46aは、電流検出抵抗器(シャント抵抗)等の低抵抗の抵抗素子を用いて、上流側スイッチ素子駆動部50aおよび上流側スイッチ素子52aに流れる過電流を検知する。
【0039】
上流側過電圧検知部47aは、コンパレータ等の比較器を用いて、過電圧を検知する。
【0040】
上流側信号断検知部48aは、所定のスイッチ素子機能診断信号Aが生成されているか否かを確認することによって、インタフェース部10の回路故障を検知する。
【0041】
上流側スイッチ素子制御部49aは、後述する上流側スイッチ素子駆動部50aの動作を制御するスイッチ素子駆動信号Cを生成して出力する。なお、上流側スイッチ素子制御部49aは、具体的には、
図6に示す電子回路で構成されている。その具体的構成と作用については後述する。
【0042】
上流側スイッチ素子駆動部50aは、スイッチ素子駆動信号Cを用いて、後述する上流側スイッチ素子52aへの通電を制御して、スイッチング動作を行う。
【0043】
上流側スイッチ素子52aは、電気ヒータ60への通電を制御する。スイッチ素子としては、一般に、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のトランジスタが用いられる。
【0044】
また、下流側電気ヒータ駆動部14bは、さらに、下流側スイッチ素子機能異常検知部42bと、下流側過熱検知部44bと、下流側過電流検知部46bと、下流側信号断検知部48bと、下流側スイッチ素子制御部49bと、下流側スイッチ素子駆動部50bと、下流側スイッチ素子52bを備えている。
【0045】
なお、下流側電気ヒータ駆動部14bは、上流側電気ヒータ駆動部14aの構成から、上流側過電圧検知部47aに対応する構成要素を除いた構成であるため、構成要素の詳細説明は省略する。
【0046】
高電圧電源20は、電気ヒータ60に供給する、例えば100V系から400V系の高電圧直流電源である。
【0047】
バッテリ電源22は、例えば12Vの直流電源であり、車両に搭載されたバッテリから供給され、上流側電気ヒータ駆動部14aと下流側電気ヒータ駆動部14bにおいて、電気ヒータ60を駆動する制御信号を生成するために利用される。制御信号は、一般にTTL回路やCMOS回路によって生成されるため、バッテリ電源22は、TTL回路やCMOS回路で使用される電源電圧に変換されて供給される(電源電圧の変換部の構成は周知のため図示省略)。
【0048】
空調制御装置30は、車両の乗員の指示や、車室内の空調環境の状態に基づいて、電気ヒータ60の駆動状態を制御する。
【0049】
インタフェース部10は、さらに、外部インタフェース部32と、スイッチ素子機能診断信号発生部40を備えている。
【0050】
外部インタフェース部32は、空調制御装置30の指令を上流側電気ヒータ駆動部14aと下流側電気ヒータ駆動部14bに伝達する。
【0051】
スイッチ素子機能診断信号発生部40は、後述する上流側スイッチ素子駆動部50a、下流側スイッチ素子駆動部50b、および上流側スイッチ素子52a、下流側スイッチ素子52bの故障を検知するためのスイッチ素子機能診断信号Aを発生する。
【0052】
そして、インタフェース部10と上流側電気ヒータ駆動部14aとの間には、高電圧回路と低電圧回路の間を電気的に絶縁するために、上流側信号アイソレーション部70が設けられて、インタフェース部10と上流側電気ヒータ駆動部14aとは電気的に分離された状態になっている。なお、上流側信号アイソレーション部70は、具体的には、高周波トランスを利用して入力部と出力部を電気的に絶縁する方法や、電気信号を光信号に変換して、入力部と出力部を電気的に絶縁する方法などによって実現される。
【0053】
さらに、インタフェース部10と下流側電気ヒータ駆動部14bとの間には、上流側信号アイソレーション部70と同様に、下流側信号アイソレーション部72が設けられて、インタフェース部10と下流側電気ヒータ駆動部14bとは電気的に分離された状態になっている。
【0054】
また、上流側電気ヒータ駆動部14aと下流側電気ヒータ駆動部14bとの間にも、上流下流間信号アイソレーション部74が設けられて、上流側電気ヒータ駆動部14aと下流側電気ヒータ駆動部14bとは電気的に分離された状態になっている。
【0055】
[回路構成の説明]
前記上流側スイッチ素子機能異常検知部42a(スイッチ素子機能異常検知部)は、具体的には
図5の回路によって構成されている。
【0056】
この回路は、入力端子I
1,入力端子I
2,入力端子I
3を備えている。入力端子I
1には、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)の動作状態を示す電圧信号波形が入力される。そして、入力端子I
2には、予め設定された所定の電圧V
0が印加されている。また、入力端子I
3には、スイッチ素子機能診断信号Aが入力される。
【0057】
入力端子I
1,入力端子I
2に入力された信号は、反転増幅器として動作するコンパレータ601に入力される。そして、コンパレータ601の出力段には、信号のハイレベルとローレベルを反転させるインバータ603が接続されて、その後、排他的論理和を演算する演算素子604の一方の入力端子I
4に接続される。なお、コンパレータ601の出力にヒステリシスを持たせるため、インバータ603の出力段と入力端子I
2とは、抵抗値R
1を有する抵抗を介して接続されている。また、コンパレータ601には抵抗値R
2を有する抵抗を介して、コンパレータ601の駆動用電源が接続されている。
【0058】
演算素子604の他方の入力端子I
5には、入力端子I
3から入力されたスイッチ素子機能診断信号Aが接続されている。そして、演算素子604の出力端子O
3から、スイッチ素子機能異常検知信号Dが出力される。
【0059】
なお、下流側スイッチ素子機能異常検知部42b(スイッチ素子機能異常検知部)も、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aと同様の回路構成を有している。
【0060】
また、前記上流側スイッチ素子制御部49a(スイッチ素子制御部)は、具体的には
図6の回路によって構成されている。
【0061】
図6の回路において、入力端子I
6から入力されたスイッチ素子機能異常検知信号Dは、まず、抵抗値R
0を有する抵抗と容量C
0を有するコンデンサで構成されたCR回路を通過する。その後、入力端子I
7において、信号レベルを反転させるインバータ701に入力される。そして、インバータ701の出力端子O
7から出力された信号が、入力端子I
8から、インバータ701の出力を安定させて、スイッチ素子制御信号Bを生成するフリップフロップ702に入力される。フリップフロップ702の出力端子O
8からは、スイッチ素子制御信号Bが出力される。このスイッチ素子制御信号Bは、入力端子I
9から、論理積を演算する演算素子703に入力される。そして、演算素子703の他方の入力端子I
10には、スイッチ素子機能診断信号Aが入力されて、演算素子703において論理積が演算される。演算結果は、スイッチ素子駆動信号Cとして出力端子O
9から出力される。
【0062】
なお、下流側スイッチ素子制御部49b(スイッチ素子制御部)も、上流側スイッチ素子制御部49a(スイッチ素子制御部)と同様の回路構成を有している。
【0063】
[作用の説明]
次に、本発明を適用した車両用電気ヒータ装置100における故障検知の作用について、まず、
図1を用いて概要を説明する。
【0064】
図1に示す車両用電気ヒータ装置100は、以下に示す故障検知機能を備えている。
【0065】
まず、上流側信号断検知部48aによって、インタフェース部10の回路の異常が検知される。
【0066】
さらに、上流側過熱検知部44aによって、上流側スイッチ素子駆動部50aおよび上流側スイッチ素子52aが実装された回路基板の過熱が検知される。
【0067】
また、上流側過電流検知部46aによって、上流側スイッチ素子駆動部50aおよび上流側スイッチ素子52aに流れる過電流が検知される。
【0068】
また、上流側過電圧検知部47aによって、上流側スイッチ素子52aまたは電気ヒータ60に過電圧が印加されたことが検知される。
【0069】
そして、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aによって、上流側スイッチ素子52aと上流側スイッチ素子駆動部50aにおける、素子または回路の一部が断線する開放故障と、素子または回路の一部が短絡する短絡故障が検知される。
【0070】
これらの故障検知のうち、インタフェース部10の回路の異常検知、回路基板の過熱検知、回路に流れる過電流検知と回路にかかる過電圧検知は、いずれも周知の技術である。
【0071】
本願発明のポイントは、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aにおいて、上流側スイッチ素子52aと上流側スイッチ素子駆動部50aの開放故障と短絡故障を、ともに検知できる点にある。
【0072】
下流側電気ヒータ駆動部14bは、上流側電気ヒータ駆動部14aと同様の故障検知機能を備えており、それらは全く同様の作用をするため、以下の説明では、上流側電気ヒータ駆動部14aにおける故障検知のみを説明して、下流側電気ヒータ駆動部14bの動作説明は省略する。
【0073】
以下、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aにおいて行われる開放故障と短絡故障の検知方法について、
図2のフローチャート、および
図3、
図4のタイムチャートを用いて説明する。
【0074】
(ステップS10)空調制御装置30によって、車室内の空調制御が開始されると、スイッチ素子機能診断信号発生部40において、スイッチ素子機能診断信号Aが生成される。
【0075】
スイッチ素子機能診断信号Aは、TTLデバイス、またはCMOSデバイスによって生成され、
図3(a)に示すように、正側のパルス幅である正パルス幅τ
1に亘るハイレベルの信号の間に、負側のパルス幅である負パルス幅τ
0に亘るローレベルを有するパルス列である。ここで、負パルス幅τ
0は、このスイッチ素子機能診断信号Aによって電気ヒータ60を作動させても、電気ヒータ60の動作に影響しない短い時間が設定される。このスイッチ素子機能診断信号Aを生成する回路の具体例は図示しないが、周知の発振回路や分周回路を用いて容易に生成可能である。
【0076】
(ステップS12)上流側スイッチ素子制御部49aにおいて、スイッチ素子制御信号Bが仮生成される。
【0077】
スイッチ素子制御信号Bは、後述するように、実際に上流側スイッチ素子52aをスイッチングしたときに出力される上流側スイッチ素子機能異常検知部42aの出力に基づいて生成されるが、
図2のフローチャートの最初の動作時には、上流側スイッチ素子52aがスイッチングされないため、仮のスイッチ素子制御信号Bとして、時間によらずハイレベルが継続する信号(以下、ハイ信号と呼ぶ。)が生成される。ここで、スイッチ素子制御信号Bのハイレベルは、スイッチ素子を導通状態(ON)にすることを意味しており、スイッチ素子制御信号Bのローレベルは、スイッチ素子を非導通状態(OFF)にすることを意味しているものとする。
【0078】
(ステップS14)上流側スイッチ素子制御部49aにおいて、スイッチ素子駆動信号Cが生成される。
【0079】
具体的には、
図3(a)に示すように、スイッチ素子機能診断信号Aとスイッチ素子制御信号Bとの論理積を演算することによって、スイッチ素子駆動信号Cが生成される。
図3のフローチャートの最初の動作時には、スイッチ素子制御信号Bはハイ信号であるため、スイッチ素子駆動信号Cは、スイッチ素子機能診断信号Aと同じ信号になる。なお、ここで論理積を演算するのは、スイッチ素子制御信号Bにスイッチ素子機能診断信号Aを重畳して、上流側スイッチ素子52aを駆動すると同時に、上流側スイッチ素子52aおよび上流側スイッチ素子駆動部50aの故障検知を行うためである。
【0080】
このスイッチ素子駆動信号Cは、実際には、上流側スイッチ素子制御部49a(スイッチ素子制御部)に実装された、例えば、
図6に示す回路によって生成される。なお、ステップS12で生成されるスイッチ素子制御信号Bは、
図6における出力端子O
8から出力される信号を表している。
【0081】
(ステップS16)ステップS14で生成されたスイッチ素子駆動信号Cが、上流側スイッチ素子駆動部50aに入力されて、上流側スイッチ素子駆動部50aは、スイッチ素子駆動信号Cに従って上流側スイッチ素子52aへの通電を制御するスイッチング動作を行う。すると、上流側スイッチ素子52aがスイッチ素子駆動信号Cに対応してON・OFF動作を行い(スイッチ素子駆動信号CがハイのときON、ローのときOFFになる)、上流側スイッチ素子52aがONになっている期間に亘って、電気ヒータ60に高電圧電源20から供給された電圧が印加されて、電気ヒータ60が作動する。
【0082】
(ステップS18)電気ヒータ60が作動している間、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aにおいて、上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aにおける故障の発生の有無が検知されて、故障の有無と故障の内容を含んだスイッチ素子機能異常検知信号Dが生成される。そして、生成されたスイッチ素子機能異常検知信号Dは、上流側スイッチ素子制御部49aに入力される。
【0083】
具体的には、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aでは、上流側スイッチ素子駆動部50aまたは上流側スイッチ素子52aにおいて、短絡故障または開放故障が発生したときに、その故障を検知する。
【0084】
ここで、まず、
図4(a)を用いて、上流側スイッチ素子駆動部50a、および上流側スイッチ素子52aが、ともに正常に機能しているときの動作を説明する。
【0085】
上流側スイッチ素子駆動部50a、および上流側スイッチ素子52aが、ともに正常に動作しているときには、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)の動作状態を示す電圧信号波形が、適切な論理回路を介して、コンパレータ601の入力端子I
1に、TTLデバイス、またはCMOSデバイスにおけるロー信号として入力されるものとする。なお、前記論理回路の具体的な構成は問わない。そして、このとき、インバータ603の出力端子からはロー信号が出力されて、この信号が演算素子604の一方の入力端子I
4に入力される。
【0086】
このとき、演算素子604の他方の入力端子I
5には、入力端子I
3からスイッチ素子機能診断信号Aが入力されているため、排他的論理和を演算する演算素子604の出力端子O
3からは、スイッチ素子機能異常検知信号Dとしてスイッチ素子機能診断信号Aが出力される。
【0087】
そして、出力端子O
3から出力されたスイッチ素子機能異常検知信号Dは、上流側スイッチ素子制御部49aに入力される。
【0088】
次に、
図4(b)を用いて、上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに開放故障が発生しているときの動作を説明する。
【0089】
上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに開放故障が発生したときには、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)の動作状態を示す電圧信号波形が、適切な論理回路を介して、コンパレータ601の入力端子I
1に、TTLデバイス、またはCMOSデバイスにおけるハイ信号として入力されるものとする。なお、前記論理回路の具体的な構成は問わない。そして、このとき、インバータ603の出力端子からはハイ信号が出力されて、この信号が演算素子604の一方の入力端子I
4に入力される。
【0090】
このとき、演算素子604の他方の入力端子I
5には、入力端子I
3からスイッチ素子機能診断信号Aが入力されているため、排他的論理和を演算する演算素子604の出力端子O
3からは、スイッチ素子機能異常検知信号Dとしてスイッチ素子機能診断信号Aを反転させた信号が出力される。
【0091】
そして、出力端子O
3から出力されたスイッチ素子機能異常検知信号Dは、上流側スイッチ素子制御部49aに入力される。
【0092】
次に、
図4(c)を用いて、上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに短絡故障が発生しているときの動作を説明する。
【0093】
上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに短絡故障が発生したときには、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)の動作状態を示す電圧信号波形が、適切な論理回路を介して、コンパレータ601の入力端子I
1に、スイッチ素子機能診断信号Aとして入力されるものとする。なお、前記論理回路の具体的な構成は問わない。そして、このとき、インバータ603の出力端子には、スイッチ素子機能診断信号Aが出力されて、この信号が演算素子604の一方の入力端子I
4に入力される。
【0094】
このとき、演算素子604の他方の入力端子I
5には、入力端子I
3からスイッチ素子機能診断信号Aが入力されているため、排他的論理和を演算する演算素子604の出力端子O
3からは、スイッチ素子機能異常検知信号Dとしてロー信号が出力される。
【0095】
そして、出力端子O
3から出力されたスイッチ素子機能異常検知信号Dは、上流側スイッチ素子制御部49aに入力される。
【0096】
なお、前記した説明の中で、ハイ、ローの信号レベルは説明の限りではなく、論理が逆になっても構わないのは勿論である。さらに、
図5,
図6に示した回路構成も、図示したものに限定されるものではなく、実施例1の中で説明したのと同様の論理構成を実現できるものであれば、そのいずれの構成によって実現しても構わない。
【0097】
ステップS18で生成されたスイッチ素子機能異常検知信号Dは、上流側スイッチ素子制御部49aに入力されて、
図6に示す回路によって、ステップS20以降の処理が行われる。
【0098】
(ステップS20)ステップS20において、ステップS18で生成されたスイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化する信号処理が行われる。この平滑化処理は、上流側スイッチ素子制御部49aに実装された、
図6に示す回路の入力段に設置された、抵抗値R
0を有する抵抗と、容量C
0を有するコンデンサで構成されたCR回路によって行われる。
【0099】
この平滑化処理によって、平滑化信号Eが生成される。平滑化信号Eの具体例を
図4(a)〜(c)に示す。
【0100】
上流側スイッチ素子駆動部50aおよび上流側スイッチ素子52aがともに正常に動作しているときには、
図4(a)に示すように、負パルス幅τ
0のパルスによる電圧変動が平滑化されて、略ハイ信号と見なせる平滑化信号Eが得られる。
【0101】
上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに開放故障が発生したときには、
図4(b)に示すように、負パルス幅τ
0の負パルスによる電圧変動が平滑化されて、略ロー信号と見なせる平滑化信号Eが得られる。
【0102】
上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに短絡故障が発生したときには、
図4(c)に示すように、平滑化信号Eとしてロー信号が得られる。これは、ロー信号を平滑化しても、平滑化の効果はないため、入力信号と同じ出力信号が得られるためである。
【0103】
なお、平滑化を行うCR回路で使用する抵抗値R
0と容量C
0は、スイッチ素子機能診断信号発生部40において生成されるスイッチ素子機能診断信号Aに含まれる負パルス幅τ
0によって異なるため、実験等によって適切に設定された値の素子を用いる。
【0104】
(ステップS22)次に、ステップS22において、平滑化信号Eをインバータ701に入力して、信号レベルを反転させて反転信号Fを生成する。このようにして生成される反転信号Fの例を、
図4(a)〜(c)に示す。
【0105】
(ステップS24)次に、ステップS24において、反転信号Fをフリップフロップ702のプリセット端子である入力端子I
8に入力して、フリップフロップ702の出力端子O
8から出力される信号をスイッチ素子制御信号Bとする。ここで、フリップフロップ702を通すのは、スイッチ素子制御信号Bを安定させるためである。このとき、フリップフロップ702を通すことによって、反転信号Fのレベルは再び反転する。
【0106】
そして、上流側スイッチ素子駆動部50aおよび上流側スイッチ素子52aのいずれも正常に動作しているときには、スイッチ素子制御信号Bとしてハイ信号が得られ、上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに開放故障、または短絡故障が発生したときには、スイッチ素子制御信号Bとしてロー信号が得られる。
【0107】
(ステップS26)次に、スイッチ素子制御信号Bがロー信号であるか否かが判定される。もし、スイッチ素子制御信号Bがロー信号であるとき(上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに、開放故障、または短絡故障が発生したとき)はステップS28に進み、スイッチ素子制御信号Bがロー信号でないとき(ハイ信号であるとき)はステップS14に戻る。
【0108】
(ステップS28)上流側スイッチ素子制御部49aから下流側スイッチ素子制御部49bに対して、電気ヒータ60の下流側の動作を止める信号が送信される。
【0109】
下流側スイッチ素子制御部49bは、この信号を受信して、下流側スイッチ素子駆動部50bに対して、下流側スイッチ素子52bの動作を停止するスイッチ素子駆動信号Cとしてロー信号を出力する。下流側スイッチ素子駆動部50bは、このロー信号に従って下流側スイッチ素子52bを駆動するが、スイッチ素子駆動信号Cがロー信号であるため、スイッチング動作は行われず、スイッチ素子は切断されて、電気ヒータ60の下流側の動作は停止する。
【0110】
(ステップS14)ステップS24で生成されたスイッチ素子制御信号Bは、上流側スイッチ素子制御部49aにおいてスイッチ素子機能診断信号Aと論理積を演算することによって合成されて、スイッチ素子駆動信号Cが生成される。ここで、上流側スイッチ素子駆動部50aおよび上流側スイッチ素子52aのいずれも正常に動作しているときには、スイッチ素子駆動信号Cとしてスイッチ素子機能診断信号Aが得られ、上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに開放故障、または短絡故障が発生したときには、スイッチ素子駆動信号Cとしてロー信号が得られる。
【0111】
(ステップS16)ステップS14で生成されたスイッチ素子駆動信号Cは、上流側スイッチ素子駆動部50aに供給されて、このスイッチ素子駆動信号Cによって上流側スイッチ素子駆動部50aが上流側スイッチ素子52aを駆動する。
【0112】
ここで、上流側スイッチ素子駆動部50aおよび上流側スイッチ素子52aのいずれも正常に動作しているときには、スイッチ素子機能診断信号Aによってスイッチング動作が行われて、上流側スイッチ素子52aが導通して電気ヒータ60の上流側が動作する。一方、上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aに開放故障、または短絡故障が発生したときには、スイッチ素子駆動信号Cはロー信号であるため、スイッチング動作は行われず、上流側スイッチ素子52aは切断されて、電気ヒータ60の上流側の動作は停止する。そして、以降、
図2のフローチャートに記載された処理が繰り返して実行される。
【0113】
なお、
図2のフローチャートには記載しないが、適宜、電気ヒータ60のメインスイッチ(非図示)の状態が監視されており、メインスイッチがOFFのときには、
図2のフローチャートに記載した処理が終了する。
【0114】
以上、上流側電気ヒータ駆動部14aにおいて行われる故障検知の方法について説明したが、下流側電気ヒータ駆動部14bにおいても、同様の故障検知が行われる。そして、下流側においても、
図5,
図6で説明した回路と同様の構成の回路が構成される。
【0115】
なお、
図6の回路では、スイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化した後で信号レベルを反転させているが、これは、スイッチ素子機能異常検知信号Dの信号レベルを反転させた後で平滑化を行っても、同じ結果が得られる。したがって、信号処理の手順は問わない。
【0116】
以上、上流側スイッチ素子機能異常検知部42aにおける故障検知の流れについて説明した。なお、
図2には記載しないが、実際は、その他の部位(上流側信号断検知部48a、上流側過熱検知部44a、上流側過電流検知部46a、上流側過電圧検知部47a)における故障検知も並行して実施される。そして、いずれかの部位で異常が検知されたときには、上流側スイッチ素子制御部49aから上流側スイッチ素子駆動部50aに対して、スイッチ素子駆動信号Cがロー信号として出力されて、さらに、上流側スイッチ素子駆動部50aから上流側スイッチ素子52aに対して、上流側スイッチ素子52aを切断するスイッチ素子駆動信号Cを出力する構成になっている。
【0117】
上流側スイッチ素子制御部49aの全回路構成は図示しないが、各々の検知部(42a,44a,46a,47a,48a)の出力を、論理和を演算する演算素子に入力して、少なくとも1つの検知部で異常が検知されたことを検出した後で、ロー信号を生成して、このロー信号を、スイッチ素子制御信号Bとする構成になっている。
【実施例3】
【0132】
本発明の第3の実施形態である実施例3は、本発明を、車両用電気ヒータに適用したものである。特に、実施例3は、実施例1,実施例2で説明したスイッチ素子機能診断信号Aを用いて電気ヒータをPWM制御する際に、スイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比の範囲を拡大することによって、スイッチ素子機能診断信号Aの使用可能範囲をより拡大するものである。
【0133】
実施例1,実施例2では、スイッチ素子機能診断信号Aを構成するパルス信号のパルス幅について、スイッチ素子機能診断信号Aによって電気ヒータ60を作動させても、電気ヒータ60の動作に影響しない短い時間が設定されるものとした。しかし、スイッチ素子機能診断信号Aによって電気ヒータのPWM制御を行おうとすると、スイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比dを幅広い範囲に亘って変化させる必要があるため、実施例1,実施例2で説明した構成では、変化させられるデューティー比dに限界が生じる。
【0134】
ここで、
図8を用いて、実施例1,実施例2で説明したスイッチ素子機能診断信号Aによって電気ヒータをPWM制御したときに、生成することが可能なPWM波形のデューティー比dに限界があることを具体的に説明する。
【0135】
図8は、上流側スイッチ素子駆動部50a、および上流側スイッチ素子52aがともに正常に機能しているときに、スイッチ素子機能診断信号Aの負パルス幅τ
0を長くしたときに生成される、スイッチ素子機能異常検知信号D,平滑化信号E,反転信号F,スイッチ素子制御信号Bの例を示す図である。
【0136】
図8に示すように、スイッチ素子機能診断信号Aの周波数を一定に保ったまま、スイッチ素子機能診断信号Aの負パルス幅τ
0をより長い負パルス幅τ
0’とし、同時に正パルス幅τ
1をより短い正パルス幅τ
1’とした場合を想定する。このとき、スイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比dを小さくしていくと、デューティー比dをある値以下にしたときに、上流側スイッチ素子駆動部50a、および上流側スイッチ素子52aが正常に動作しているにも関わらず、故障が発生していることを示すスイッチ素子制御信号Bが生成される。すなわち、
図8の例では、区間T
1,区間T
2,区間T
3において、故障が発生していることを示すスイッチ素子制御信号Bが出力される。
【0137】
これは、平滑化信号Eを生成する際に使用しているCR回路(
図6参照)の影響によって生じる現象である。すなわち、
図8の平滑化信号Eに示すように、スイッチ素子機能診断信号Aの負パルス幅τ
0’が長くなると、CR回路の充放電に伴って発生する電圧変動が大きくなるため、スイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化することができない。そのため、平滑化信号Eをインバータ701(
図6参照)に通したときに、ハイレベルとローレベルをともに含む反転信号Fが得られる。したがって、スイッチ素子制御信号Bもハイレベルとローレベルをともに含む信号となる。
【0138】
すなわち、故障が発生していないときは、スイッチ素子制御信号Bとしてハイレベルの信号が出力されるべきところが、ハイレベルとローレベルをともに含むスイッチ素子制御信号Bが出力される。そのため、
図8に示すスイッチ素子機能診断信号Aを用いた場合は、スイッチ素子またはスイッチ素子駆動部の故障検知を確実に実施することができない。
【0139】
したがって、スイッチ素子機能診断信号Aを用いて電気ヒータをPWM制御するときには、適切なパルス幅を有するスイッチ素子機能診断信号Aを生成する必要がある。
【0140】
本発明の第3の実施形態である実施例3は、この問題を解決して、実施例1,実施例2で説明した故障検知を行いつつ、電気ヒータのPWM制御を行うものである。以下、本発明の実施例3を、
図9〜
図11を用いて説明する。
【0141】
[システム構成の説明]
本発明を適用した車両用空調装置の機械的構成について、実施例1で説明した構成(
図1参照)、および実施例2で説明した構成(
図7参照)との相違点についてのみ説明する。
【0142】
本発明を適用した車両用電気ヒータ装置120は、図示しない車両に設置され、
図9に示すように、電気ヒータ60と、上流側電気ヒータ駆動部14aと、下流側電気ヒータ駆動部14bと、高電圧電源20と、バッテリ電源22と、空調制御装置30と、インタフェース部11を備えている。
【0143】
実施例3の構成は、実施例1,実施例2の構成と、インタフェース部11の構成が異なっている。すなわち、実施例3のインタフェース部11は、
図9に示すように、スイッチ素子機能診断信号発生部40(
図1,
図7参照)に代わって、第2スイッチ素子機能診断信号発生部41を備えている。
【0144】
図10は、この第2スイッチ素子機能診断信号発生部41の詳細構成を示す図である。すなわち、第2スイッチ素子機能診断信号発生部41は、パルス幅設定部412と、第2スイッチ素子機能診断信号生成部414とからなる。
【0145】
パルス幅設定部412は、空調制御装置30から出力された制御指示を、外部インタフェース部32を介して入手し、電気ヒータ60の制御を行うために必要なスイッチ素子機能診断信号Aを構成する正パルス幅τ
1’を設定する。正パルス幅τ
1’の設定方法については後述する。
【0146】
第2スイッチ素子機能診断信号生成部414は、パルス幅設定部412で設定された正パルス幅τ
1’に基づいて、必要なスイッチ素子機能診断信号Aを生成する。このスイッチ素子機能診断信号Aの生成方法については後述する。
【0147】
[スイッチ素子機能診断信号の設定方法]
次に、実施例3におけるスイッチ素子機能診断信号Aの設定方法、すなわち、正パルス幅τ
1’とデューティー比dの設定方法について説明する。
【0148】
実施例3においては、まず、PWM信号として使用するスイッチ素子機能診断信号Aの最大周波数f
maxと、スイッチ素子機能診断信号Aの正パルス幅τ
1’の最小値τ
minと、がそれぞれ設定される。
【0149】
ここで、スイッチ素子機能診断信号Aの最大周波数f
maxの値は、電気ヒータ60の制御仕様に基づいて設定される。また、スイッチ素子機能診断信号Aの正パルス幅τ
1’の最小値τ
minは、
図6に示したCR回路を構成する抵抗の抵抗値R
0とコンデンサの容量C
0に基づいて設定される。そして、実施例3では、具体的に、f
max=2kHz,τ
min=100μsに設定されるものとする。
【0150】
次に、スイッチ素子機能診断信号Aの正パルス幅τ
1’の最小値τ
minを設定する手順について、
図6,
図8を参照して説明する。まず、スイッチ素子機能診断信号Aの負パルス幅τ
0’に着目する。
【0151】
スイッチ素子機能診断信号Aの負パルスが
図6に示すCR回路に印加されると、そのときにCR回路に充電されていた電荷が放出されるため、
図8に示す平滑化信号Eが得られる。このとき、CR回路の出力端の電圧は、
図8の平滑化信号Eに示すように、CR回路を構成する抵抗の抵抗値R
0とコンデンサの容量C
0で定まる時定数の値に応じて、時間とともに徐々に低下する。そして、平滑化信号Eが、インバータ701(
図6参照)においてハイレベルとローレベルを判定するしきい値Thを挟んで変化したときに、
図8に示すように、平滑化信号Eをインバータ701に通すことによって得られる反転信号Fの論理レベルが反転する。
【0152】
ここで、
図8において、スイッチ素子、および前記スイッチ素子駆動部がともに正常であるときは、反転信号Fは常にローレベルとなる必要がある。すなわち、CR回路の出力端の電圧は、常にハイレベルとなる必要がある。そして、スイッチ素子、および前記スイッチ素子駆動部がともに正常であるときに、反転信号Fを常にローレベルにすることが、実施例1で説明したように、スイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化するためにCR回路を挿入した目的である。
【0153】
したがって、スイッチ素子機能診断信号Aの正パルス幅τ
1’の最小値τ
min、すなわちスイッチ素子機能診断信号Aの負パルス幅τ
0’の最大値は、負パルス幅τ
0’に相当する時間は、生成される平滑化信号Eが、負パルス幅τ
0’に相当する時間に亘ってハイレベルを維持できるように設定される必要がある。すなわち、負パルス幅τ
0’は、
図6のCR回路の時定数の値に基づいて決定される。
【0154】
本実施例3では、
図6のCR回路を構成する抵抗の抵抗値R
0とコンデンサの容量C
0で定まる時定数に基づいて、スイッチ素子機能診断信号Aの正パルス幅τ
1’が100μs以上であるとき、すなわち、負パルス幅τ
0’が400μs(f
max=2kHzとの設定から逆算される)よりも短いときに、平滑化信号Eは、負パルス幅τ
0’の時間に亘って、同一論理レベル、すなわち、本実施例ではハイレベルを維持できるものと想定する。
【0155】
このとき、スイッチ素子機能診断信号Aの周波数fを一定に保った状態で、スイッチ素子機能診断信号Aの正パルス幅τ
1’が100μsを下回ると、スイッチ素子機能診断信号Aの負パルス幅τ
0’がより長くなるため、先に説明したように、CR回路から出力される電圧がしきい値Thを挟んで変化することにより、負パルス幅τ
0’の時間内で平滑化信号Eの論理レベルの反転が生じるため、スイッチ素子の故障検知を確実に実施することができなくなる。なお、抵抗の抵抗値R
0とコンデンサの容量C
0の値が変わると、時定数も変化するため、それに応じて、正パルス幅τ
1’と負パルス幅τ
0’の設定値も変更される。
【0156】
ここで、スイッチ素子機能診断信号Aの正パルス幅τ
1’を100μsとして、最大周波数f
max=2kHzのスイッチ素子機能診断信号Aを生成すると、そのデューティー比dは20%となる。
【0157】
したがって、デューティー比dが20%を下回るスイッチ素子機能診断信号Aを生成すると、正パルス幅τ
1’が100μsを下回ってしまう。そして、このときはスイッチ素子の故障検知を確実に実施することができなくなる。
【0158】
そこで、デューティー比dが20%を下回るスイッチ素子機能診断信号Aを生成するときには、
図11(a)の区間Pで示すように、正パルス幅τ
1’を100μsに保持したまま、スイッチ素子機能診断信号Aの周波数fを低減させる。
【0159】
すなわち、デューティー比dが20%を下回るスイッチ素子機能診断信号Aは、デューティー比dに対して、
図11(a)の区間P内に引かれた直線上の周波数fを有する信号として生成する。例えば、デューティー比d=1%のスイッチ素子機能診断信号Aは、f=100Hzの信号として生成する。また、例えば、デューティー比d=2%のスイッチ素子機能診断信号Aは、f=200Hzの信号として生成する。
【0160】
図11(a)を、縦軸に正パルス幅τ
1’をとって書き換えると、
図11(b)のようになる。
図11(b)に示すように、デューティー比dが20%を下回る区間Pでは、正パルス幅τ
1’が100μsに保持される。
【0161】
なお、
図11(a),(b)の区間Qでは、スイッチ素子機能診断信号Aの周波数をf=2kHzに保持したままで正パルス幅τ
1’を大きくして、所定のデューティー比dを有するスイッチ素子機能診断信号Aを生成することができる。
【0162】
このようにして生成されたスイッチ素子機能診断信号Aを用いて電気ヒータ60を駆動することによって、電気ヒータ60のPWM制御を確実に継続することができるとともに、デューティー比dに応じて異なるスイッチ素子機能診断信号Aの波形によらずに、スイッチ素子の故障検知を行うことができる。
【0163】
[作用の説明]
本発明を適用した車両用電気ヒータ装置120の作用について、実施例1で説明した内容との相違点についてのみ説明する。
【0164】
空調制御装置30から出力された電気ヒータ60の制御指示、具体的には、PWMパルスのデューティー比dは、外部インタフェース部32を経てパルス幅設定部412に入力される。
【0165】
パルス幅設定部412では、入力されたデューティー比dが20%以上か、20%を下回るかを判断する。
【0166】
パルス幅設定部412に入力されたデューティー比dが20%以上であるときは、
図11(b)の区間Qの情報を用いて、周波数f=2kHzの下で、入力されたデューティー比dを実現する正パルス幅τ
1’が設定される。
【0167】
そして、第2スイッチ素子機能診断信号生成部414において、正パルス幅τ
1’を有する周波数f=2kHzのスイッチ素子機能診断信号Aが生成される。
【0168】
一方、パルス幅設定部412に入力されたデューティー比dが20%を下回っていたときは、正パルス幅τ
1’が100μsに設定される。
【0169】
そして、第2スイッチ素子機能診断信号生成部414において、
図11(a)の区間Pにおいて、デューティー比dに応じた周波数fを有するスイッチ素子機能診断信号Aが生成される。
【0170】
このようにして生成されたスイッチ素子機能診断信号Aを用いて、実施例1で説明したのと同じ作用によって、電気ヒータ60が駆動されるとともに、電気ヒータ60を駆動する上流側スイッチ素子駆動部50a、または上流側スイッチ素子52aの故障検知が行われる。
【0171】
以上、説明したように、実施例1に係る車両用電気ヒータ装置100によれば、スイッチ素子駆動信号Cによって、電気ヒータ60に通電を行う上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)を駆動したときに、上流側スイッチ素子機能異常検知部42a(スイッチ素子機能異常検知部)から出力される、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)の異常の有無と異常の内容とを含んだスイッチ素子機能異常検知信号Dと、スイッチ素子機能診断信号Aと、を比較する構成になっているため、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)の、短絡故障または開放故障の発生を容易かつ確実に検知することができる。
【0172】
さらに、スイッチ素子機能異常検知信号Dとスイッチ素子機能診断信号Aに基づいて生成されたスイッチ素子制御信号Bと、スイッチ素子機能診断信号Aと、に基づいて生成されたスイッチ素子駆動信号Cによって電気ヒータ60に通電を行う上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)を駆動するため、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)の駆動と故障検知とを同時に実行することができる。
【0173】
また、上流側スイッチ素子制御部49a(スイッチ素子制御部)において、スイッチ素子機能異常検知信号Dとスイッチ素子機能診断信号Aとに基づいて、新たなスイッチ素子制御信号Bを生成して、さらに、新たなスイッチ素子制御信号Bとスイッチ素子機能診断信号Aに基づいて生成された、新たなスイッチ素子駆動信号Cを用いて、上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)が上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)を駆動するため、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)の駆動と故障検知とを同時に継続的に行うことができる。
【0174】
また、実施例1に係る車両用電気ヒータ装置100によれば、上流側スイッチ素子機能異常検知部42a(スイッチ素子機能異常検知部)が、スイッチ素子機能異常検知信号Dとして、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)の故障の有無、および、短絡故障または開放故障の発生に応じた信号を出力することができるため、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)の故障を確実に検知することができる。
【0175】
また、実施例1に係る車両用電気ヒータ装置100によれば、スイッチ素子機能異常検知部が、電気ヒータ60に通電を行う上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)、または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)の故障の有無、および、短絡故障または開放故障の発生したことを、スイッチ素子機能異常検知信号Dと、スイッチ素子機能診断信号発生部40で生成されたスイッチ素子機能診断信号Aと、の排他的論理和を演算することによって識別するため、簡単な論理回路によって、故障の有無と故障の種類に応じた信号を出力することができる。そして、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)の故障をより一層確実に検知することができる。
【0176】
また、実施例1に係る車両用電気ヒータ装置100によれば、電気ヒータ60に通電を行う上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)に、短絡故障または開放故障が発生したときに、故障の有無と故障の内容を含むスイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化することによって、故障が発生した状態と故障が発生していない状況とを識別可能な信号を生成することができるため、平滑化された信号(平滑化信号E)を反転させた新たなスイッチ素子制御信号(反転信号F)と、スイッチ素子機能診断信号発生部40で生成されたスイッチ素子機能診断信号Aと、の論理積を演算して新たなスイッチ素子駆動信号Cを生成することによって、故障発生時に電気ヒータ60に通電する回路を確実に遮断することができるとともに、故障が発生していないときには電気ヒータ60への通電を継続することができる。
【0177】
また、実施例1に係る車両用電気ヒータ装置100によれば、電気ヒータ60の上流側と下流側のいずれかにおいて、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)に、短絡故障または開放故障が発生したときに、故障の発生を確実に検知して、電気ヒータ60の上流側に通電する回路と下流側に通電する回路とを確実に遮断することができる。
【0178】
また、実施例2に係る車両用電気ヒータ装置110によれば、上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)にスイッチ素子駆動用電源24を供給する回路の途中に、電気ヒータ60の発熱部位に接するように温度ヒューズ80を設置したため、上流側スイッチ素子52a(スイッチ素子)または上流側スイッチ素子駆動部50a(スイッチ素子駆動部)の、短絡故障または開放故障のみならず、電気ヒータ60の異常発熱による温度ヒューズ80の溶断を確実に検知して、電気ヒータ60に通電する回路を確実に遮断することができる。
【0179】
また、実施例2に係る車両用電気ヒータ装置110によれば、低電圧で動作する、上流側スイッチ素子駆動部50aに電源を供給する回路の途中に温度ヒューズ80を設置することによって、高電圧、高電流が発生する回路の途中に温度ヒューズ80を設置せずに済むため、これによって、温度ヒューズ80の溶断時に、上流側スイッチ素子駆動部50aに電源を供給する回路を確実に切断することができ、高電圧、高電流の直流電力で駆動される電気ヒータ60の保護用として高い信頼性をもって使用することができる。
【0180】
また、実施例3に係る車両用電気ヒータ装置100によれば、スイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比dが予め設定された所定値よりも小さいときには、第2スイッチ素子機能診断信号発生部41(スイッチ素子機能診断信号発生部)が、スイッチ素子機能診断信号Aを構成する正パルス幅τ
1’を、スイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化する際の時定数に基づいて定まる最小値τ
min(一定値)に設定して、スイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比dが所定値となるように、予め設定されたスイッチ素子機能診断信号Aの最大周波数f
maxを低減する。したがって、スイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化した信号(平滑化信号E)が、スイッチ素子機能診断信号Aを構成する負パルス幅τ
0’の時間内で同一論理の信号レベルを維持することができ、電気ヒータ60に故障が発生したことを確実に検知することができるとともに、生成したスイッチ素子機能診断信号Aをデューティー信号として電気ヒータ60のPWM制御を継続することができる。また、スイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比dが予め設定された所定値以上であるときには、第2スイッチ素子機能診断信号発生部41(スイッチ素子機能診断信号発生部)が、予め設定されたスイッチ素子機能診断信号Aの最大周波数f
maxで前記デューティー比dを有するスイッチ素子機能診断信号Aを生成するため、電気ヒータ60に故障が発生したことを確実に検知することができるとともに、生成したスイッチ素子機能診断信号Aをデューティー信号として電気ヒータ60のPWM制御を継続することができる。
【0181】
また、実施例3に係る車両用電気ヒータ装置100によれば、スイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比dの所定値を、スイッチ素子機能異常検知信号Dを平滑化する際の時定数に基づいて定まる一定値の正パルス幅τ
1’(パルス幅)を有する正パルスを含む、予め設定された最大周波数f
maxの信号として生成したスイッチ素子機能診断信号Aのデューティー比dとしたため、スイッチ素子機能診断信号Aをデューティー信号として電気ヒータ60のPWM制御に用いる際に、スイッチ素子機能診断信号Aを構成する正パルス幅τ
1’を一定値にする条件を確実に設定することができる。そして、スイッチ素子機能診断信号Aを生成する条件が確実に設定されることによって、故障検知を確実に行いながら電気ヒータ60のPWM制御を継続することができるスイッチ素子機能診断信号Aを簡便に生成することができる。
【0182】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。