(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の情報を磁気情報として記憶する略帯状の磁気ストライプを貼付した媒体の受付けを検出する媒体検出部と、受付けた前記媒体を内部に搬送する搬送機構部と、前記磁気ストライプに接触して前記磁気情報の読み出し、及び書き込みを行う磁気ヘッドと、前記磁気ストライプの長手方向に沿って前記磁気ヘッドを摺動させる摺動機構部と、各部を制御する制御部とを備えた装置を用いた媒体処理方法であって、
前記制御部の媒体搬送処理により、前記媒体検出部で前記媒体を検出すると、所定の搬送距離だけ前記媒体を内部に搬送して、
前記媒体と前記磁気ヘッドとを相対移動させる前記制御部の相対移動処理により、前記磁気ストライプにおける短手方向の任意の位置において、前記長手方向に隣接する二点間距離が、前記磁気情報を記憶した磁気トラックにおける前記長手方向の長さ以下となる前記媒体と前記磁気ヘッドとの摺動軌跡で、前記磁気ヘッドと前記媒体とを、前記長手方向の一方に沿って相対移動させるとともに、前記磁気ストライプにおける短手方向の縁辺間を繰返し相対移動させ、
前記制御部の消磁処理によって、前記媒体と前記磁気ヘッドとの相対移動に伴って、前記磁気ストライプの磁気を消磁する
媒体処理方法。
所定の情報を磁気情報として記憶する略帯状の磁気ストライプを貼付した媒体の受付けを検出する媒体検出部と、受付けた前記媒体を内部に搬送する搬送機構部と、前記磁気ストライプに接触して前記磁気情報の読み出し、及び書き込みを行う磁気ヘッドと、前記磁気ストライプの長手方向に沿って前記磁気ヘッドを摺動させる摺動機構部と、各部を制御する制御部とを備えた装置を用いた媒体処理プログラムであって、
前記媒体検出部で前記媒体を検出すると、所定の搬送距離だけ前記媒体を内部に搬送するステップと、
前記磁気ストライプにおける短手方向の任意の位置において、前記長手方向に隣接する二点間距離が、前記磁気情報を記憶した磁気トラックにおける前記長手方向の長さ以下となる前記媒体と前記磁気ヘッドとの摺動軌跡で、前記磁気ヘッドと前記媒体とを、前記長手方向の一方に沿って相対移動させるとともに、前記磁気ストライプにおける前記短手方向の縁辺間を繰返し相対移動させるステップと、
前記媒体と前記磁気ヘッドとの相対移動に伴って、前記磁気ストライプの磁気を消磁するステップとを前記制御部に実行させる
媒体処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、本実施例における通帳処理装置1(媒体処理装置)、及び通帳70(媒体)について、
図1から
図4を用いて詳しく説明する。
なお、
図1は通帳処理装置1における内部構成図を示し、
図2は通帳処理装置1における搬送路1bの平面図を示し、
図3は通帳処理装置1における内部要素のブロック図を示し、
図4は磁気ストライプ71(磁気ストライプ)を底面視で説明する説明図を示している。
また、
図4(a)は通帳70に貼付した磁気ストライプ71の底面図を示し、
図4(b)は磁気トラック72(磁気トラック)の構成を説明する説明図を示している。
【0018】
また、
図1中における矢印は、通帳70を搬送する搬送方向を示し、通帳70を内部に搬送する方向(
図1中における左方向)を搬入方向Xi(搬入方向)、通帳70を外部に搬送する方向(
図1中における右方向)を搬出方向Xo(搬出方向)とする。さらに、
図1中における上側を通帳処理装置1の上方とし、
図1中における下側を下方とする。
【0019】
通帳処理装置1は、例えば、ATMなどの自動取引装置(図示省略)に内装され、利用者との取引を行う際、利用者が所有する通帳70を受付けるとともに、通帳70に対して取引に応じた各種処理動作を行う装置である。
利用者が所有する通帳70は、
図1及び
図4に示すように、紙葉類を束ねて二つ折りにした冊子状であって、取引にかかる各種情報を記録している。そして、二つ折りの状態における通帳70の一方の表面には、利用者の顧客情報(所定の情報)などを記憶した磁気ストライプ71を貼付している。
【0020】
磁気ストライプ71は、
図4(a)に示すように、搬送方向を短手方向とする薄膜帯状の磁性体であって、短手方向における長さ(以下、「幅」とする)が後述する磁気ヘッド21(磁気ヘッド)の幅よりも幅広に形成している。なお、磁気ストライプ71は、初期状態では磁化しておらず、後述する磁気ヘッド21による磁界の変化によって磁化、あるいは消磁する性質を有している。
【0021】
この磁気ストライプ71には、磁気ヘッド21の幅に対して幅広で、かつ磁気ストライプ71の長手方向における所定の長さの範囲で構成された磁気トラック72に、利用者の顧客情報などが磁気情報(磁気情報)として予め記憶されている。
磁気トラック72は、
図4(b)に示すように、後述する磁気ヘッド21の摺動方向Y(長手方向の一方)に沿って、NULL、チェックデジット、エンド符号、磁気情報、スタート符号、NULLの順で配置されて構成している。
【0022】
磁気情報は、顧客情報などを磁気に変換して記憶している領域である。
チェックデジットは、スタート符号からエンド符号の間における磁気情報の読取りが正常に行われたか否かをチェックする情報を記憶している。
なお、磁気トラック72において、NULLからNULLの間における長手方向の長さをトラック長さLmax(磁気トラックにおける長手方向の長さ)とする。
【0023】
通帳処理装置1は、利用者との取引の際、利用者の通帳70に記憶された顧客情報などを読み取る機能と、通帳70に各種情報を書き込む機能とを有する装置である。
より詳しくは、通帳処理装置1は、
図1から
図3に示すように、受付け口1aと、搬送路1bと、搬送機構部10(搬送機構部)と、磁気読取り書込み部20と、印刷部30(印刷部)と、記憶部40(記憶部)と、保守モード切替部50と、主制御部60(制御部)とで構成している。
【0024】
受付け口1aは、利用者による通帳70の投入を受け付ける投入口としての機能、及び利用者に対して通帳70を排出して受け渡す排出口としての機能を有している。なお、受付け口1aは、適宜のページを開いた通帳70を、磁気ストライプ71の短手方向と搬入方向Xiとを一致させて投入可能な大きさに形成している。
搬送路1bは、受付け口1aから搬入方向Xiに沿って形成され、搬入方向Xi及び搬出方向Xoに通帳70を搬送する際における搬送空間である。
【0025】
搬送機構部10は、受付け口1aに投入された通帳70を搬入方向Xiに向けて搬送する機能と、利用者に排出するために搬出方向Xoに向けて通帳70を搬送する機能とを有している。
具体的には、搬送機構部10は、搬送路1b上に配置された複数の搬送ローラー11と、搬送ローラー11を回転駆動する搬送モーター12と、搬送路1bにおける受付け口1a側の上方に配置された第1検出センサ13(媒体検出部、第1媒体検出部)と、搬送路1bの略中央下方に配置された第2検出センサ14(第2媒体検出部)と、各部と所定のバスを介して接続した搬送制御部15とで構成している。
【0026】
第1検出センサ13、及び第2検出センサ14は、光学センサなどで構成し、通帳70の通過を検出する機能を有している。なお、第1検出センサ13、及び第2検出センサ14は、詳細な図示を省略するが、平面視において搬送方向と略直交する方向に移動可能に構成している。
【0027】
搬送制御部15は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、所定のバスを介して接続した搬送モーター12、第1検出センサ13、及び第2検出センサ14の動作を制御する機能と、所定のバスを介して接続した主制御部60との各種情報の受け渡しを行う機能とを有している。
【0028】
磁気読取り書込み部20は、投入された通帳70の磁気ストライプ71を読み取る機能と、磁気ストライプ71に各種情報を書き込む機能とを有している。
具体的には、磁気読取り書込み部20は、磁気ヘッド21と、ヘッド摺動部22(摺動機構部)と、摺動モーター23(摺動機構部)と、磁気解析部24と、ヘッド制御部25(摺動機構部)とで構成している。
【0029】
磁気ヘッド21は、通帳70の磁気ストライプ71に接触して検出した磁界の増減を連続的な電流に変換し出力信号として出力する機能と、印加された電流に応じた磁界を発生させて磁気ストライプ71を磁化、あるいは消磁させる機能とを有している。なお、磁気ヘッド21は、
図2に示すように、平面視において、搬入方向Xiに向って左側に位置した状態を初期位置とする。
【0030】
ヘッド摺動部22は、磁気ヘッド21及び摺動モーター23と接続されたスライドレールなどで構成し、摺動モーター23の回転駆動によって磁気ヘッド21を、平面視において搬送方向と略直交する摺動方向Y(
図2参照)に向けて移動させる機能と、摺動方向Yに移動した磁気ヘッド21を初期位置に戻す機能とを有している。
摺動モーター23は、ヘッド制御部25の指示により、適宜の回転方向に駆動する機能を有している。
【0031】
磁気解析部24は、磁気ヘッド21が出力した出力信号を解析して二値化したのち、所定の磁気フォーマットに変換する機能と、顧客情報などに応じた磁界を磁気ヘッド21に発生させる信号を出力する機能とを有している。
ヘッド制御部25は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、所定のバスを介して接続した磁気ヘッド21、摺動モーター23、及び磁気解析部24の動作を制御する機能と、所定のバスを介して接続した主制御部60との各種情報の受け渡しを行う機能とを有している。
【0032】
印刷部30は、インクタンク、噴射ノズル、及びノズル可動部などで構成し、通帳70の所定の位置に印刷する機能を有している。
記憶部40は、ハードディスク、あるいは不揮発性メモリなどで構成し、各種情報を記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。
保守モード切替部50は、行員などによって押下されることで、利用者との取引を行う動作と、通常の取引とは異なる保守点検を行う動作とを切り替える機能を有している。
【0033】
主制御部60は、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、所定のバスを介して接続された搬送機構部10、磁気読取り書込み部20、印刷部30、記憶部40、及び保守モード切替部50の動作を制御する機能と、所定のバスを介して接続された上位制御部2と各種情報の受け渡しを行う機能を有する。
【0034】
なお、上位制御部2は、通帳処理装置1を内装する装置、例えば、自動取引装置における各部を制御する機能を有しており、主制御部60と同様に、CPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成している。
【0035】
引続き、このような構成の通帳処理装置1において、通帳70の磁気ストライプ71に記憶された磁気情報を書き換える動作について、
図5から
図12を用いて詳しく説明する。
なお、
図5は通帳処理における動作のフローチャートを示し、
図6は通帳受付け処理における動作のフローチャートを示し、
図7は磁気情報消去処理における動作のフローチャートを示し、
図8は磁気情報消去処理における動作のフローチャートを示している。
【0036】
さらに、
図9は書込み処理における動作のフローチャートを示し、
図10は平面視における通帳70の搬送位置を説明する説明図を示し、
図11は磁気ヘッド21と通帳70との摺動軌跡を底面視で説明する説明図を示し、
図12は新しい磁気情報を書き込んだ状態における磁気ストライプ71を底面視で説明する説明図を示している。
【0037】
まず、自動取引装置などの電源が投入されると、上位制御部2の指示により、主制御部60は、利用者による通帳70を受付けて処理する通帳処理を開始する。
通帳処理を開始すると、主制御部60は、
図5に示すように、磁気ヘッド21が初期位置にて待機しているか否かを判定する(ステップS101)。
【0038】
磁気ヘッドが初期位置で待機していなければ(ステップS101:No)、主制御部60は、初期位置移動処理を実行し(ステップS102)、磁気読取り書込み部20を介して磁気ヘッド21を初期位置に移動させたのち、処理をステップS103に進める。
一方、磁気ヘッド21が初期位置にて待機していれば(ステップS101:Yes)、主制御部60は、処理をステップS103に進める。
【0039】
磁気ヘッド21が初期位置で待機すると、主制御部60は、利用者による通帳70の投入を受付ける通帳受付け処理を開始する(ステップS103)。
詳しくは、通帳受付け処理を開始すると、主制御部60は、
図6に示すように、磁気ストライプ71を下方にして投入された通帳70(
図1参照)を第1検出センサ13が検出したか否かを判定する(ステップS111)。第1検出センサ13が通帳70を検出していなければ(ステップS111:No)、主制御部60は、第1検出センサ13が通帳70を検出するまで処理を待機する。
【0040】
一方、第1検出センサ13が通帳70を検出すると(ステップS111:Yes)、主制御部60は、通帳70を搬入方向Xiに搬送する通帳搬入開始処理を実行する(ステップS112)。詳しくは、主制御部60の指示により、搬送機構部10は、搬送モーター12を回転駆動して、搬送ローラー11を搬入方向Xiに回転駆動させる。
【0041】
その後、主制御部60は、第2検出センサ14が通帳70を検出しているか否かを判定する(ステップS113)。第2検出センサ14が通帳70を検出していなければ(ステップS113:No)、主制御部60は、搬入方向Xiに搬送されている通帳70を第2検出センサ14が検出するまで処理を待機する。
【0042】
一方、第2検出センサ14が通帳70を検出すると(ステップS113:Yes)、主制御部60は、通帳搬入停止処理を実行し(ステップS114)、搬送モーター12の回転駆動を搬送機構部10に停止させて、通帳70の搬送を停止する。
【0043】
搬入方向Xiへの通帳70の搬送を停止すると、主制御部60は、通帳70を搬出方向Xoに少しずつ搬送する通帳搬出開始処理を実行する(ステップS115)。詳しくは、主制御部60の指示により、搬送機構部10は、搬送モーター12を低速駆動して、搬送ローラー11を搬出方向Xoに回転駆動させる。この際、主制御部60の指示により、搬送機構部10は、通帳70を少しずつ搬出方向Xoに搬送する。
【0044】
そして、主制御部60は、第2検出センサ14が通帳70を検出しているか否かを判定する(ステップS116)。第2検出センサ14が通帳70を検出していれば(ステップS116:Yes)、主制御部60は、
図10(a)に示すように、第2検出センサ14が通帳70を検出しなくなる位置に搬送されるまで処理を待機する。
【0045】
一方、第2検出センサ14が通帳70を検出しなくなると(ステップS116:No)、主制御部60は、通帳搬出停止処理を実行し(ステップS117)、搬送モーター12の回転駆動を搬送機構部10に停止させて、通帳70の搬送を停止する。
【0046】
その後、主制御部60は、磁気ヘッド21と磁気ストライプ71とが摺動可能な位置まで、搬入方向Xiに向けて通帳70を搬送機構部10に搬送させる書込み位置移動処理を実行する(ステップS118)。
【0047】
この際、主制御部60は、
図10(b)に示すように、搬送方向において、磁気ストライプ71の中心と、磁気ヘッド21の中心とが略同位置となる位置まで通帳70を搬入方向Xiに搬送させる。書込み位置移動処理を終了すると、主制御部60は、通帳受付け処理を終了して、処理を
図5のステップS103に戻す。
【0048】
図5のステップS103に戻ると、主制御部60は、軌跡算出処理を実行し(ステップS104)、磁気ストライプ71と磁気ヘッド21との摺動軌跡を算出する。
詳述すると、主制御部60は、
図11(a)に示すように、磁気ストライプ71の仮想二次平面を形成し、磁気ストライプ71における短手方向の仮想中心線CLと、磁気ストライプ71における長手方向の縁辺との交点に対して、磁気ヘッド21の初期位置側を仮想始点SPと設定し、他方を仮想終点EPと設定する。
【0049】
そして、主制御部60は、仮想始点SP及び仮想終点EPからそれぞれ所定の長さを除いた仮想中心線CLの範囲を、複数に分割して仮想分割点を設定する。この際、主制御部60は、磁気ストライプ71の長手方向で隣接する仮想分割点の間隔L1(二点間距離)が、磁気トラック72のトラック長さLmax(
図4参照)の半分以下、より好ましくは磁気トラック72のトラック長さLmaxの半分未満となる分割数で分割する。ここでは、主制御部60は、所定の長さを除いた仮想中心線CLの範囲を分割数10で分割し、仮想分割点に対して仮想始点SP側から順に仮想分割点DP1からDP11を設定する。
【0050】
仮想分割点DP1からDP11を設定すると、主制御部60は、隣接する仮想分割点DP1と仮想分割点DP2との間における仮想中心線CLの中点を通る仮想垂線(図示省略)と、磁気ストライプ71における搬出方向Xo側の縁辺との交点を仮想頂点P1として設定する。さらに、隣接する仮想分割点DP2と仮想分割点DP3との間における仮想中心線CLの中点を通る仮想垂線(図示省略)と、磁気ストライプ71における搬入方向Xi側の縁辺との交点を仮想頂点P2として設定する。
【0051】
同様にして、主制御部60は、仮想分割点DP3から仮想分割点DP11の間において、仮想頂点P3からP10を設定する。このように設定した仮想頂点P1からP10は、仮想中心線CLを挟んで交互に配置され、磁気ストライプ71の長手方向で隣接する仮想頂点の間隔L2(二点間距離)が、少なくとも磁気トラック72のトラック長さLmax以下となる。
【0052】
仮想頂点P1からP10を設定すると、主制御部60は、磁気ヘッド21が、仮想始点SPから仮想分割点DP1を介して、仮想頂点P1から仮想頂点P10を順番に通過するとともに、仮想分割点DP11を介して仮想終点EPに到達するように、摺動方向Yへの磁気ヘッド21の移動速度と、搬入方向Xi及び搬出方向Xoへの通帳70の搬送速度などを算出する。
軌跡算出処理を終了すると、主制御部60は、書き込み情報準備処理を実行し(ステップS105)、磁気ストライプ71に書き込む顧客情報を、磁気解析部24において変換させる。
【0053】
その後、主制御部60は、磁気ストライプ71に書き込まれた磁気トラック72の磁気情報を読み出し不可にする磁気情報消去処理を実行する(ステップS106)。
より詳しくは、磁気情報消去処理を実行すると、主制御部60は、
図7及び
図8に示すように、カウンタnを「0」にセットすると(ステップS121)、磁気ヘッド21を摺動方向Yへ向かって移動開始させる磁気ヘッド送り開始処理を実行する(ステップS122)。
【0054】
そして、主制御部60は、仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS123)。仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS123:No)、主制御部60は、仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0055】
仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS123:Yes)、主制御部60は、消磁開始処理を実行する(ステップS124)。詳しくは、主制御部60の指示により、ヘッド制御部25は、磁気ストライプ71の磁気を消磁可能な所定の電流を磁気ヘッド21に対して印加して磁界を発生させる。
【0056】
消磁開始処理を実行すると、主制御部60は、仮想分割点DP1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS125)。仮想分割点DP1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS125:No)、主制御部60は、摺動方向Yに移動する磁気ヘッド21が仮想分割点DP1に対応する位置に到達するまで処理を待機する。
【0057】
一方、仮想分割点DP1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS125:Yes)、主制御部60は、搬送機構部10を介して通帳70を搬出方向Xoに向けて搬送する通帳搬出移動処理を実行して(ステップS126)、カウンタnに「1」を加算する(ステップS127)。
【0058】
その後、主制御部60は、仮想頂点P(n)に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS128)。なお、仮想頂点P(n)の(n)には、カウンタnを代入するものとする。ここでは、カウンタnが「1」のため、仮想頂点P1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する。
【0059】
仮想頂点P1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS128:No)、主制御部60は、仮想頂点P1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0060】
仮想頂点P1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS128:Yes)、主制御部60は、通帳70の搬出方向Xoへの搬送を停止し、搬送機構部10を介して通帳70を搬入方向Xiに向けて搬送する通帳搬入移動処理を実行して(ステップS129)、カウンタnに「1」を加算する(ステップS130)。
【0061】
その後、主制御部60は、カウンタnが分割数10と一致するか否かを判定する(ステップS131)。カウンタnが分割数10と一致しなければ(ステップS131:No)、主制御部60は、全ての仮想頂点に対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過していないと判定して、磁気ヘッド21及び通帳70の搬送を継続する。
【0062】
そして、主制御部60は、仮想頂点P(n)に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS132)。ここでは、カウンタnが「2」のため、仮想頂点P2に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する。
【0063】
仮想頂点P2に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS132:No)、主制御部60は、仮想頂点P2に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0064】
仮想頂点P2に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS132:Yes)、主制御部60は、通帳70の搬入方向Xiへの搬送を停止し、搬送機構部10を介して通帳70を搬出方向Xoに向けて搬送する通帳搬出移動処理を実行して(ステップS133)、カウンタnに「1」を加算する(ステップS134)。
【0065】
その後、主制御部60は、カウンタnが分割数10と一致するか否かを判定する(ステップS135)。カウンタnが分割数10と一致しなければ(ステップS135:No)、主制御部60は、全ての仮想頂点に対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過していないと判定して、処理をステップS128に戻す。すなわち、主制御部60は、カウンタnが分割数10と一致するまで、ステップS128からステップS135までの処理を繰返し行う。
【0066】
そして、ステップS131においてカウンタnと分割数10とが一致すると(ステップS131:Yes)、あるいはステップS135においてカウンタnと分割数10とが一致すると(ステップS135:Yes)、主制御部60は、仮想頂点P1からP10に対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過したと判定する。その後、主制御部60は、仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS136)。
【0067】
仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS136:No)、主制御部60は、仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0068】
仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS136:Yes)、主制御部60は、通帳70の搬入方向Xiへの搬送、あるいは搬出方向Xoへの搬送を搬送機構部10に停止させる通帳搬送停止処理を実行する(ステップS137)。
【0069】
通帳70の搬送を停止すると、主制御部60は、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS138)。仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS138:No)、主制御部60は、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0070】
一方、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS138:Yes)、主制御部60は、磁気ヘッド送り停止処理を実行し(ステップS139)、磁気ヘッド21の摺動方向Yへの移動を磁気読取り書込み部20に停止させる。さらに、主制御部60は、消磁停止処理を実行し(ステップS140)、磁気ヘッド21に対する電流の印加を磁気読取り書込み部20に停止させたのち、磁気情報消去処理を終了して
図5のステップS106に処理を戻す。
【0071】
このようにして、磁気ヘッド21と通帳70とが相対移動した際における磁気ヘッド21と磁気ストライプ71との摺動軌跡G(摺動軌跡)は、
図11(b)に示すように、仮想始点SP、仮想分割点DP1、仮想頂点P1から仮想頂点P10、仮想分割点DP11、及び仮想終点EPを略直線で順番に結んだ摺動方向Yに延びる略山型波形となる。
【0072】
そして、磁気ヘッド21が仮想始点SPから仮想終点EPに移動する間、磁気ヘッド21を介して消磁が行われているため、磁気トラック72は、
図11(c)に示すように、略山型波形の摺動軌跡Gによって部分的に磁気が消磁された状態となる。
【0073】
図5のステップS106に戻り、磁気情報消去処理を終了すると、主制御部60は、磁気ストライプ71に対して新しい磁気情報を記憶させる書込み処理を開始する(ステップS107)。
詳しくは、書込み処理を開始すると、主制御部60は、
図9に示すように、磁気ヘッド戻り開始処理を実行し(ステップS151)、摺動方向Yとは逆方向に磁気ヘッド21を磁気読取り書込み部20に移動開始させる。
【0074】
そして、主制御部60は、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過したか否かを判定する(ステップS152)。仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過していなければ(ステップS152:No)、主制御部60は、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過するまで処理を待機する。
【0075】
仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過すると(ステップS152:Yes)、主制御部60は、新しい磁気情報を書き込む書込み開始位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS153)。
例えば、
図12に示すように、磁気ストライプ71の書込み開始位置Wに磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS153:No)、主制御部60は、書込み開始位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0076】
書込み開始位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS153:Yes)、主制御部60は、書込み開始処理を実行し(ステップS154)、磁気ヘッド21を介して磁気ストライプ71を磁化させて磁気情報を記憶させる。
この際、磁気ストライプ71には、
図12に示すように、磁気ヘッド21の大きさに応じたトラック幅で、書込み開始位置Wから所定の長さの新しい磁気トラック73(磁気トラック)に新しい磁気情報が記憶される。なお、新しい磁気トラック73は、古い磁気トラック72に部分的に重なるように形成されている。
【0077】
その後、主制御部60は、磁気情報の書き込みが完了したか否かを判定する(ステップS155)。磁気情報の書込みが完了していなければ(ステップS155:No)、主制御部60は、磁気情報の書込みが完了するまで処理を待機する。
【0078】
磁気情報の書込みが完了すると(ステップS155:Yes)、主制御部60は、磁気ヘッド21が初期位置まで移動したか否かを判定する(ステップS156)。磁気ヘッド21が初期位置まで移動していなければ(ステップS156:No)、主制御部60は、磁気ヘッド21が初期位置に移動するまで処理を待機する。
【0079】
一方、磁気ヘッド21が初期位置に移動すると(ステップS156:Yes)、主制御部60は、磁気ヘッド戻り停止処理を実行し(ステップS157)、磁気ヘッド21の移動を磁気読取り書込み部20に停止させる。
磁気ヘッド21が初期位置で停止すると、主制御部60は、書込み処理を終了して
図5のステップS107に処理を戻したのち、通帳処理を終了する。
【0080】
以上のような動作を実現する通帳処理装置1、通帳処理方法、及び通帳処理プログラムは、磁気ストライプ71の古い磁気情報を確実に読み出し不可にすることができる。
具体的には、
図7及び
図8の磁気情報消去処理におけるステップS122からステップS139、すなわち磁気ヘッド21が摺動方向Yに移動する間に、通帳70が搬入方向Xi、あるいは搬出方向Xoに繰返し移動することにより、磁気ストライプ71と磁気ヘッド21との摺動軌跡Gは、摺動方向Yに連続する略山型波形となる。
【0081】
この際、
図5のステップS104において、隣接する仮想分割点の間隔L1をトラック長さLmaxの半分以下とし、隣接する仮想頂点の間隔L2をトラック長さLmax以下としたことにより、略山型波形の摺動軌跡Gにおける磁気ストライプ71の長手方向に隣接する二点間距離は、搬送方向の任意に位置において、常にトラック長さLmax以下とすることができる。
【0082】
このため、磁気ヘッド21は、磁気情報を記憶した磁気トラック72が磁気ストライプ71の短手方向、及び長手方向の如何なる位置にあっても、磁気トラック72上を少なくとも1回、長手方向に対して交差する方向に横断することができる。
【0083】
そして、通帳70と磁気ヘッド21との相対移動に伴って消磁する消磁開始処理、及び消磁停止処理(
図7のステップS124から
図8のステップS140の間)により、通帳処理装置1は、磁気トラック72における磁気の一部を確実に消磁する、すわなち、磁気ストライプ71の磁気情報を一部が欠損した状態にすることができる。
これにより、通帳処理装置1は、磁気ヘッド21の幅、及び磁気ストライプ71の幅に関わらず、磁気ストライプ71に記憶された磁気情報を確実に読み出し不可にすることができる。
【0084】
さらに、磁気ヘッド21が摺動方向Yへ一度だけ移動することにより、摺動方向Yに連続する波形軌跡となるため、幅狭の磁気ヘッド21であっても、通帳処理装置1は、効率よく、かつ確実に磁気トラック72の磁気を消磁することができる。
従って、通帳処理装置1は、磁気ヘッド21の幅、及び磁気ストライプ71の幅に関わらず、磁気ストライプ71の古い磁気情報を確実に読み出し不可にすることができる。
【0085】
また、磁気情報消去処理を行ったのち、書込み処理を実行することにより、通帳処理装置1は、摺動方向Yとは逆方向に磁気ヘッド21と磁気ストライプ71とを相対移動する、すなわち磁気ヘッド21を初期位置に戻す際に、新しい磁気情報を磁気ストライプ71に書き込むことができる。
【0086】
これにより、通帳処理装置1は、磁気ヘッド21が一往復する間に、磁気ストライプ71の消磁と、磁気ストライプ71への新しい磁気情報の記憶とを行うことができる。
従って、通帳処理装置1は、磁気ストライプ71の消磁と書込みとをより効率よく行うことができる。
【0087】
また、通帳70と磁気ヘッド21との摺動軌跡Gが略山型波形となるように、通帳70と磁気ヘッド21とを相対移動させることにより、通帳70と磁気ヘッド21との摺動軌跡Gは、磁気情報を記憶した磁気トラック72を斜めに横断することができる。
【0088】
このため、幅狭の磁気ヘッド21であっても、通帳処理装置1は、磁気トラック72の磁気を摺動方向Yの広い範囲で消磁することができる。
従って、通帳処理装置1は、摺動軌跡Gが磁気トラック72を横断する回数が一回であっても、磁気ストライプ71の古い磁気情報を確実に読み出し不可にすることができる。
【0089】
また、
図6の通帳受付け処理におけるステップS115からステップS117において、第2検出センサ14が通帳70を検出しない位置まで、通帳70を搬出方向Xoに少しずつ搬送することにより、磁気ヘッド21に対する磁気ストライプ71の相対位置を所望する位置に容易に合わせることができる。
【0090】
具体的には、磁気ストライプ71の磁気情報を読み取る、あるいは書き込む際、磁気ストライプ71と磁気ヘッド21との相対位置を合わせる必要がある。
ところが、例えば、検出範囲が広い第1検出センサ13の場合、第1検出センサ13から所定の搬送距離だけ通帳70を搬送すると、搬送された通帳70が停止した位置と磁気ヘッド21との相対位置とが、通帳70が搬送されるごとに僅かに異なることがある。
【0091】
つまり、磁気ヘッド21に対する磁気ストライプ71の相対位置が所望する相対位置とならず、通帳処理装置1は、所望する位置で磁気ストライプ71と磁気ヘッド21とを摺動させることができないおそれがある。
【0092】
そこで、第2検出センサ14により、通帳処理装置1は、搬送された通帳70を検出して搬送停止することができる。さらにこの際、例えば、第2検出センサ14の検出範囲が広い場合、通帳処理装置1は、第2検出センサ14に対する通帳70の相対位置を正確に検出することが難しくなる。
【0093】
このため、
図6のステップS115からステップS117により、通帳処理装置1は、第2検出センサ14に対する通帳70の相対位置を合わせることで、磁気ヘッド21に対する磁気ストライプ71の相対位置を所望する位置に容易に合わせることができる。
【0094】
これにより、通帳処理装置1は、磁気ストライプ71と磁気ヘッド21とを所望する位置でより確実に摺動させることができる。
従って、通帳処理装置1は、第2検出センサ14を備えるとともに、
図6のステップS115からステップS117の処理により、磁気ヘッド21が磁気ストライプ71上を確実に摺動させることができる。
【0095】
なお、上述の実施例1において、所定の長さを除いた仮想中心線CLの範囲を10分割して仮想分割点DP1からDP11を設定したが、これに限定せず、磁気ストライプ71の長手方向で隣接する仮想分割点の間隔が、磁気トラック72のトラック長さLmaxの半分以下、より好ましくは磁気トラック72のトラック長さLmaxの半分未満であれば、適宜の分割数としてもよい。
【0096】
また、磁気ヘッド21を摺動方向Yに移動し、通帳70を搬送方向に繰返し搬送することで、略山型波形の摺動軌跡Gとなるようにしたが、これに限定せず、通帳70を固定し磁気ヘッド21を摺動方向Y及び搬送方向に移動させて、略山型波形の摺動軌跡Gとなるにしてもよい。
【0097】
また、摺動軌跡Gを略山型波形としたが、これに限定せず、仮想分割点DP1からDP11、及び仮想頂点P1からP10を通過する余弦波形、あるいは正弦波形などの摺動軌跡としてもよい。この際、通帳70と磁気ヘッド21との摺動軌跡Gにおける搬送方向の任意の位置において、磁気ストライプ71の長手方向に隣接する二点間距離が、磁気トラック72におけるトラック長さLmax以下となるように磁気ヘッド21と通帳70とを相対移動させる。
【0098】
また、
図6のステップS115からステップS117において、通帳70を搬出方向Xoに向けて少しずつ移動したが、これに限定せず、通帳70を搬入方向Xiに向けて少しずつ移動する、あるいは、搬入方向Xi及び搬出方向Xoに通帳70を移動させて、第2検出センサ14に対する通帳70の相対位置を決定してもよい。
【実施例2】
【0099】
次に上述の実施例1に対して、通帳処理装置1の主制御部60における軌跡算出処理、及び磁気情報消去処理の動作が異なる実施例について、
図13から
図15を用いて詳しく説明する。
なお、
図13は実施例2における摺動軌跡を底面視で説明する説明図を示し、
図14は実施例2における磁気情報消去処理の動作のフローチャートを示し、
図15は実施例2における磁気情報消去処理の動作のフローチャートを示している。
【0100】
また、通帳処理装置1、及び通帳70は、上述の実施例1と同一の構成のため、その詳細な説明を省略する。
引き続き、このような構成の通帳処理装置1において、通帳70の磁気ストライプ71に記憶された磁気情報を書き換える動作について説明する。
【0101】
まず、上述の実施例1と同様に、自動取引装置などの電源が投入されると、上位制御部2の指示により、主制御部60は、
図5に示すように、利用者による通帳70を受付けて処理する通帳処理を開始する。
【0102】
そして、通帳処理を開始すると、主制御部60は、磁気ヘッド21が初期位置にて待機しているか否かを判定する(ステップS101)。磁気ヘッド21が初期位置で待機していなければ(ステップS101:No)、主制御部60は、初期位置移動処理を実行したのち(ステップS102)、通帳受付け処理を実行する(ステップS103)。
【0103】
一方、磁気ヘッド21が初期位置にて待機していれば(ステップS101:Yes)、主制御部60は、通帳受付け処理を実行する(ステップS103)。なお、ステップS101からステップS103までは、上述の実施例1と同様の処理のため、詳細な説明を省略する。
【0104】
通帳受付け処理を終了すると、主制御部60は、軌跡算出処理を実行し(ステップS104)、磁気ヘッド21と磁気ストライプ71との摺動軌跡を算出する。
詳述すると、主制御部60は、
図13(a)に示すように、磁気ストライプ71の仮想二次平面を形成し、磁気ストライプ71における短手方向の仮想中心線CLと、磁気ストライプ71における長手方向の縁辺との交点に対して、磁気ヘッド21の初期位置側を仮想始点SPと設定し、他方を仮想終点EPと設定する。
【0105】
そして、主制御部60は、仮想始点SP及び仮想終点EPからそれぞれ所定の長さを除いた仮想中心線CLの範囲を、複数に分割して仮想分割点を設定する。この際、主制御部60は、磁気ストライプ71の長手方向で隣接する仮想分割点の間隔L1(二点間距離)が、磁気トラック72のトラック長さLmax(
図4参照)以下、より好ましくは磁気トラック72のトラック長さLmax未満となる分割数で分割する。ここでは、主制御部60は、所定の長さを除いた仮想中心線CLの範囲を分割数10で分割し、仮想分割点に対して仮想始点SP側から順に仮想分割点DP1からDP11を設定する。
【0106】
仮想分割点DP1からDP11を設定すると、主制御部60は、仮想分割点DP1を通る仮想中心線CLに対する仮想垂線(図示省略)と、磁気ストライプ71における搬出方向Xo側の縁辺との交点までの搬送距離、及び磁気ストライプ71の長手方向における仮想分割点間の搬送距離を算出する。
軌跡算出処理を終了すると、主制御部60は、書き込み情報準備処理を実行し(ステップS105)、磁気ストライプ71に書き込む所定の情報を、磁気解析部24において変換させる。
【0107】
書き込み情報準備処理を実行したのち、主制御部60は、磁気ストライプ71に書き込まれた磁気トラック72の磁気情報を読み出し不可にする磁気情報消去処理を実行する(ステップS106)。
より詳しくは、磁気情報消去処理を実行すると、主制御部60は、
図14及び
図15に示すように、カウンタnを「0」にセットすると(ステップS201)、磁気ヘッド21を摺動方向Yに向けて磁気読取り書込み部20に移動開始させる磁気ヘッド送り開始処理を実行する(ステップS202)。
【0108】
そして、主制御部60は、仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS203)。仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS203:No)、主制御部60は、仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0109】
仮想始点SPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS203:Yes)、主制御部60は、消磁開始処理を実行する(ステップS204)。詳しくは、主制御部60の指示により、ヘッド制御部25は、磁気ストライプ71の磁気を消磁可能な所定の電流を磁気ヘッド21に対して印加して磁界を発生させる。
【0110】
消磁開始処理を実行すると、主制御部60は、仮想分割点DP1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS205)。仮想分割点DP1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS205:No)、主制御部60は、仮想分割点DP1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0111】
一方、仮想分割点DP1に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS205:Yes)、主制御部60は、摺動方向Yへの磁気ヘッド21の移動を磁気読取り書込み部20に停止させる磁気ヘッド送り停止処理を実行し(ステップS206)、カウンタnに「1」を加算する(ステップS207)。
【0112】
その後、主制御部60は、通帳搬出移動開始処理を実行し(ステップS208)、搬出方向Xoへの通帳70の搬送を搬送機構部10に開始させる。そして、主制御部60は、磁気ストライプ71の搬出方向Xo側における縁辺に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS209)。
【0113】
磁気ストライプ71の搬出方向Xo側における縁辺に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS209:No)、主制御部60は、磁気ストライプ71の搬出方向Xo側における縁辺に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0114】
一方、磁気ストライプ71の搬出方向Xo側における縁辺に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS209:Yes)、主制御部60は、通帳搬出移動停止処理を実行し(ステップS210)、搬出方向Xoへの通帳70の搬送を搬送機構部10に停止させる。
【0115】
通帳70の搬送を停止すると、主制御部60は、磁気ヘッド送り開始処理を実行し(ステップS211)、停止していた磁気ヘッド21の摺動方向Yへの移動を磁気読取り書込み部20に再開させる。その後、主制御部60は、搬出方向Xoにおいて、仮想分割点DP(n+1)を通る仮想中心線CLに対する仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置しているか否かを判定する(ステップS212)。ここでは、カウンタnが「1」のため、仮想分割点DP2を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置しているか否かを判定する。
【0116】
仮想分割点DP2を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置していなければ(ステップS212:No)、主制御部60は、仮想分割点DP2を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置するまで処理を待機する。
一方、仮想分割点DP2を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置すると(ステップS212:Yes)、主制御部60は、摺動方向Yへの磁気ヘッド21の移動を磁気読取り書込み部20に停止させる磁気ヘッド送り停止処理を実行し(ステップS213)、カウンタnに「1」を加算する(ステップS214)。
【0117】
そして、主制御部60は、通帳搬入移動開始処理を実行し(ステップS215)、搬入方向Xiへの通帳70の搬送を搬送機構部10に開始させる。
その後、主制御部60は、カウンタnが分割数10と一致するか否かを判定する(ステップS216)。カウンタnが分割数10と一致しなければ(ステップS216:No)、主制御部60は、仮想分割点DP10に対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過していないと判定し、通帳70の搬送を継続する。
【0118】
そして、主制御部60は、磁気ストライプ71の搬入方向Xi側における縁辺に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS217)。
磁気ストライプ71の搬入方向Xi側における縁辺に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS217:No)、主制御部60は、磁気ストライプ71の搬入方向Xi側における縁辺に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0119】
一方、磁気ストライプ71の搬入方向Xi側における縁辺に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS217:Yes)、主制御部60は、通帳搬入移動停止処理を実行し(ステップS218)、搬入方向Xiへの通帳70の搬送を搬送機構部10に停止させる。
【0120】
通帳70の搬送を停止すると、主制御部60は、磁気ヘッド送り移動処理を実行し(ステップS219)、停止していた磁気ヘッド21の摺動方向Yへの移動を磁気読取り書込み部20に再開させる。その後、主制御部60は、搬入方向Xiにおいて、仮想分割点DP(n+1)を通る仮想中心線CLに対する仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置しているか否かを判定する(ステップS220)。ここでは、カウンタnが「2」のため、仮想分割点DP3を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置しているか否かを判定する。
【0121】
仮想分割点DP3を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置していなければ(ステップS220:No)、主制御部60は、仮想分割点DP3を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置するまで処理を待機する。
【0122】
一方、仮想分割点DP3を通る仮想垂線上に磁気ヘッド21が位置すると(ステップS220:Yes)、主制御部60は、摺動方向Yへの磁気ヘッド21の移動を磁気読取り書込み部20に停止させる磁気ヘッド移動停止処理を実行し(ステップS221)、カウンタnに「1」を加算する(ステップS222)。
そして、主制御部60は、通帳搬出移動開始処理を実行し(ステップS223)、搬出方向Xoへの通帳70の搬送を搬送機構部10に開始させる。
【0123】
その後、主制御部60は、カウンタnが分割数10と一致するか否かを判定する(ステップS224)。カウンタnが分割数10と一致しなければ(ステップS224:No)、主制御部60は、仮想分割点DP10に対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過していないと判定し、処理をステップS209に戻す。すなわち、主制御部60は、カウンタnが分割数10と一致するまで、ステップS209からステップS224までの処理を繰返し行う。
【0124】
そして、ステップS216においてカウンタnと分割数10とが一致すると(ステップS216:Yes)、あるいはステップS224においてカウンタnと分割数10とが一致すると(ステップS224:Yes)、主制御部60は、仮想分割点DP10に対応する磁気ストライプ71の位置を磁気ヘッド21が通過したと判定する。
【0125】
その後、主制御部60は、仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS225)。
仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS225:No)、主制御部60は、仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0126】
仮想分割点DP11に対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS225:Yes)、主制御部60は、通帳70の搬入方向Xiへの搬送、あるいは搬出方向Xoへの搬送を搬送機構部10に停止させる通帳搬送停止処理を実行する(ステップS226)。
通帳70の搬送を停止すると、主制御部60は、磁気ヘッド送り開始処理を実行し(ステップS227)、停止していた磁気ヘッド21の摺動方向Yへの移動を磁気読取り書込み部20に再開させる。
【0127】
その後、主制御部60は、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS228)。仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS228:No)、主制御部60は、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0128】
一方、仮想終点EPに対応する磁気ストライプ71の位置に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS228:Yes)、主制御部60は、磁気ヘッド送り停止処理を実行し(ステップS229)、磁気ヘッド21の摺動方向Yへの移動を磁気読取り書込み部20に停止させる。さらに、主制御部60は、消磁停止処理を実行し(ステップS230)、磁気ヘッド21に対する電流の印加を磁気読取り書込み部20に停止させたのち、磁気情報消去処理を終了する。
【0129】
このようにして、磁気ヘッド21と通帳70とが相対移動した際における磁気ヘッド21と磁気ストライプ71との摺動軌跡G(摺動軌跡)は、
図13(b)に示すように、仮想分割点DP1から仮想分割点DP11の間において、摺動方向Yに延びる略矩形波形となる。
【0130】
そして、磁気ヘッド21が仮想始点SPから仮想終点EPに移動する間、磁気ヘッド21を介して消磁が行われているため、磁気トラック72は、
図13(c)に示すように、略矩形波形の摺動軌跡Gによって部分的に磁気が消磁された状態となる。
【0131】
図5のステップS106に戻り、磁気情報消去処理を終了すると、主制御部60は、書込み処理を開始し(ステップS107)、磁気ストライプ71に新しい磁気情報を記憶したのち、通帳処理を終了する。なお、ステップS107は、上述した実施例1におけるステップS107と同様の処理のため、詳しい説明を省略する。
【0132】
以上のような動作を実現する通帳処理装置1、通帳処理方法、及び通帳処理プログラムは、通帳70と磁気ヘッド21との摺動軌跡Gが略矩形波形となるように、通帳70と磁気ヘッド21とを相対移動させることにより、通帳70と磁気ヘッド21との相対移動の制御をより容易にすることができる。
【0133】
具体的には、実施例1のように摺動軌跡Gが略山型波形の場合、通帳処理装置1は、磁気ストライプ71の長手方向における位置が異なる仮想頂点P1と、仮想頂点P2とをそれぞれ算出するとともに、磁気ヘッド21及び通帳70の相対移動にかかる移動制御を算出する必要がある。
【0134】
これに対して、通帳70と磁気ヘッド21との摺動軌跡Gが略矩形波形の場合、通帳処理装置1は、磁気ストライプ71における搬出方向Xo側の縁辺を磁気ヘッド21が通過する位置と、磁気ストライプ71における搬入方向Xi側の縁辺を磁気ヘッド21が通過する位置とを、磁気ストライプ71の長手方向において略同一位置にすることができる。
【0135】
このため、摺動軌跡Gを略矩形波形にすることで、通帳処理装置1は、摺動軌跡Gを略山型波形とした場合と比べて、通帳70と磁気ヘッド21との相対移動が単純になるため、相対移動にかかる移動制御を容易にすることができる。
従って、通帳処理装置1は、通帳70と磁気ヘッド21との相対移動の制御をより容易にするとともに、磁気ストライプ71の古い磁気情報を確実に読み出し不可にすることができる。
【0136】
なお、上述の実施例2において、所定の長さを除いた仮想中心線CLの範囲を10分割して仮想分割点DP1からDP11を設定したが、これに限定せず、磁気ストライプ71の長手方向で隣接する仮想分割点の間隔L1が、磁気トラック72のトラック長さLmax以下、より好ましくは磁気トラック72のトラック長さLmax未満であれば、適宜の分割数としてもよい。
【0137】
また、磁気ヘッド21を摺動方向Yに移動し、通帳70を搬送方向に搬送することで、略矩形波形の摺動軌跡Gとなるようにしたが、これに限定せず、通帳70を固定し磁気ヘッド21を摺動方向Y及び搬送方向に移動させて、略矩形波形の摺動軌跡Gとなるにしてもよい。
【0138】
また、上述の実施例1及び実施例2において、仮想始点SP及び仮想終点EPからそれぞれ所定の長さを除いた仮想中心線CLの範囲を分割して仮想分割点を設定したが、これに限定せず、仮想始点SPから仮想終点EPの範囲を分割して仮想分割点を設定してもよい。
また、磁気ヘッド21と磁気ストライプ71との摺動軌跡Gを、仮想中心線CLを分割して算出したが、これに限定せず、適宜の方法で摺動軌跡Gを算出してもよい。
【0139】
また、間隔L1及び間隔L2が等間隔の山型波形、あるいは間隔L1が等間隔の矩形波形の摺動軌跡Gとしたが、これに限定せず、磁気ストライプ71における短手方向の任意の位置において、磁気ストライプ71の長手方向に隣接する摺動軌跡Gの二点間距離がトラック長さLmax以下であれば、適宜の摺動軌跡としてもよい。
【0140】
例えば、別の摺動軌跡Gを説明する説明図を示す
図16のように、磁気トラック72が所定の範囲E1に位置する磁気ストライプ71において、所定の範囲E1では磁気ストライプ71の長手方向に隣接する摺動軌跡Gの二点間距離を狭くし、所定の範囲E2では磁気ストライプ71の長手方向に隣接する摺動軌跡Gの二点間距離を広くしてもよい。
【0141】
これにより、例えば、磁気ストライプ71における所定の範囲E1内に磁気情報を書き込むよう規定された通帳70、及び通帳処理装置1の場合、磁気ストライプ71における所定の範囲E1を集中的に消磁することで、通帳処理装置1は、より確実に磁気情報の読み出しを不可にすることができる。一方、所定の範囲E2では磁気ストライプ71の長手方向に隣接する摺動軌跡Gの二点間距離を広くすることで、通帳処理装置1は、磁気ストライプ71の消磁に要する時間を短縮でき、効率よく消磁を行うことができる。
【実施例3】
【0142】
次に、上述の実施例1で説明した通帳処理装置1をおいて、磁気ストライプ71の磁化状態を確認する動作について、
図17から
図22を用いて詳しく説明する。
なお、
図17は実施例3の磁気テーブル80(磁気テーブル)を説明する説明図を示し、
図18は実施例3の磁化確認処理における動作のフローチャートを示し、
図19は実施例3の磁気解析処理における動作のフローチャートを示し、
図20は実施例3の磁気ストライプ71における磁化状態を説明する説明図を示し、
図21は実施例3の印刷処理における動作のフローチャートを示し、
図22は実施例3の磁気テーブル80の内容を通帳70(所定の紙葉類)に印刷した印刷状態を説明する説明図を示している。
【0143】
また、上述の実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上述の実施例1に対して、実施例3における通帳処理装置1の記憶部40には、
図17に示すように、磁気ストライプ71の磁化状態を登録した磁気テーブル80を記憶している。
【0144】
この磁気テーブル80は、磁気ストライプ71の短手方向における任意の位置(検出位置)を示す読取り位置欄と、磁気ストライプ71の長手方向に沿って走査した際の磁化状態を示す磁化状態欄とで構成し、読取り位置と磁化状態とを関連付けて登録している。
なお、読取り位置欄には、任意の位置を搬出方向Xoの順番で登録している。
磁化状態欄には、摺動方向Yに沿って走査した順に、磁気ストライプ71の磁化状態を二値化して登録している。
【0145】
引続き、通帳処理装置1における磁気ストライプ71の磁化状態を確認する動作について説明する。
まず、行員などによって通帳処理装置1の保守モード切替部50が押下されると、主制御部60は、
図18に示すように、通帳70の磁化状態を確認する磁化確認処理を開始する。
【0146】
磁化確認処理を開始すると、磁気ヘッド21が初期位置にて待機しているか否かを判定する(ステップS301)。磁気ヘッド21が初期位置で待機していなければ(ステップS301:No)、主制御部60は、初期位置移動処理を実行して(ステップS302)、処理をステップS303に進める。なお、初期位置移動処理は、上述の実施例1における
図5のステップS102と同様の処理のため、詳細な説明を省略する。
【0147】
一方、磁気ヘッド21が初期位置にて待機していれば(ステップS301:Yes)、主制御部60は、通帳受付け処理を実行する(ステップS303)。なお、通帳受付け処理は、上述の実施例1における
図5のステップS103と同様の処理のため、その詳細な説明を省略する
搬入方向Xiにおいて、磁気ストライプ71の中心と磁気ヘッド21の中心とが略同位置となる位置まで通帳70を搬入方向Xiに搬送すると、主制御部60は、磁気解析処理を実行する(ステップS304)。
磁気解析処理を開始すると、主制御部60は、
図19に示すように、磁気ストライプ71を走査する際の読取り位置を算出する読取り位置演算処理を実行する(ステップS311)。
【0148】
詳述すると、主制御部60は、磁気ストライプ71の幅と、磁気ヘッド21の幅から、磁気ストライプ71を走査する短手方向の任意の位置を算出する。ここでは、主制御部60は、
図20(a)に示すように、磁気ヘッド21の幅に対して磁気ストライプ71の幅が約3倍のため、磁気ヘッド21の幅中心が通過する読取り位置No1,No2,No3を設定する。
【0149】
読取り位置を設定すると、主制御部60は、通帳読取り位置移動処理を実行し(ステップS312)、搬送方向において、磁気ヘッド21の幅中心と読取り位置No1とが略同位置となる位置まで、搬出方向Xoに向けて通帳70を搬送機構部10に搬送させる。
その後、主制御部60は、磁気ヘッド送り移動処理を実行し(ステップS313)、摺動方向Yへ向けて磁気ヘッド21を磁気読取り書込み部20に移動させる。
【0150】
磁気ヘッド21が摺動方向Yに移動開始すると、主制御部60は、磁気ストライプ71の長手方向における縁辺に磁気ヘッド21が到達したか否かを判定する(ステップS314)。磁気ストライプ71の長手方向における縁辺に磁気ヘッド21が到達していなければ(ステップS314:No)、主制御部60は、磁気ストライプ71の長手方向における縁辺に磁気ヘッド21が到達するまで処理を待機する。
【0151】
一方、磁気ストライプ71の長手方向における縁辺に磁気ヘッド21が到達すると(ステップS314:Yes)、主制御部60は、磁気ストライプ71の磁化状態を走査する走査処理を実行する(ステップS315)。磁気ストライプ71を走査した磁気ヘッド21から出力された出力信号は、主制御部60を介して磁気解析部24に磁化データとして順次、一時記憶される。
【0152】
読取り位置No1における磁気ストライプ71の走査が完了すると、主制御部60は、一時記憶した磁化データに基づいて、磁気ストライプ71の磁化状態を磁気解析部24に解析させる解析処理を実行する(ステップS316)。この際、主制御部60の指示により、磁気解析部24は、磁化データに基づいて、摺動方向Yの順番(検出位置)で磁気の有無を1つずつ解析する。
【0153】
そして、主制御部60は、解析した結果に基づいて摺動方向Yのおける磁気の有無を磁気解析部24に判定させる(ステップS317)。磁気を検出すると(ステップS317:Yes)、主制御部60は、磁気テーブル80の読取り位置欄「1」における磁化状態欄に磁化していることを示す「1」(検出情報)を登録する(ステップS318)。
一方、磁気を検出できなければ(ステップS317:No)、主制御部60は、磁気テーブル80の読取り位置欄「1」における磁化状態欄に磁化していないことを示す「0」(検出情報)を登録する(ステップS319)。
【0154】
磁気テーブル80の磁化状態欄に「1」または「0」を登録すると、主制御部60は、読取り位置No1における解析が完了したか否かを判定する(ステップS320)。読取り位置No1における解析が完了していなければ(ステップS320:No)、主制御部60は、処理をステップS316に戻す。
【0155】
読取り位置No1における解析が完了すると(ステップS320:Yes)、主制御部60は、全ての読取り位置における磁気ストライプ71の走査、解析が完了したか否かを判定する(ステップS321)。全ての読取り位置における磁気ストライプ71の走査、解析が完了していなければ(ステップS321:No)、主制御部60は、磁気ヘッド戻り移動処理を実行し(ステップS322)、摺動方向Yとは逆方向へ向けて磁気ヘッド21を磁気読取り書込み部20に移動させて初期位置に戻させる。
【0156】
磁気ヘッド21が初期位置に戻ると、主制御部60は、処理をステップS312に戻して、通帳読取り位置移動処理を実行し、磁気ヘッド21の中心と次の読取り位置No2とが略同位置となる位置まで、搬出方向Xoに向けて通帳70を搬送機構部10に搬送させる。
【0157】
このようにして、全ての読取り位置No1,No2,No3における磁気ストライプ71の走査、解析が完了するまでステップS312からステップS322までの処理を繰返し行う。
ステップS321において、全ての読取り位置における磁気ストライプ71の走査、解析が完了すると(ステップS321:Yes)、主制御部60は、磁気解析処理を終了し、処理を
図18のステップS304に戻す。
【0158】
ここで、例えば、読取り位置No1を走査、解析した場合、磁気トラック72が存在しないため、磁気解析部24は、
図20(b)に示すように、磁気を何ら検出しない。一方、読取り位置No3を走査、解析した場合、部分的に消磁された磁気トラック72が存在するため、磁気解析部24は、
図20(c)に示すように、検出位置R1と検出位置R2との間、検出位置R3と検出位置R4との間、及び検出位置R5と検出位置R6との間において、磁気を検出する。主制御部60は、これに基づいて磁気テーブル80に磁気の有無を登録する。
【0159】
図18のステップS304に戻り、磁気解析処理が終了すると、主制御部60は、磁気テーブル80に登録された磁化状態を通帳70に印刷する印刷処理を実行する(ステップS305)。
詳しくは、印刷処理を開始すると、主制御部60は、
図21に示すように、磁気テーブル読込み処理を実行し(ステップS331)、記憶部40から磁気テーブル80を読み出して一時記憶する。その後、主制御部60は、カウンタnを「1」に設定する(ステップS332)。
【0160】
カウンタnを設定すると、主制御部60は、通帳印刷位置移動処理を実行し(ステップS333)、通帳70における磁化状態を印刷する箇所が印刷部30の直下に位置するように、搬入方向Xiへ向けて通帳70を搬送機構部10に搬送させる。
【0161】
通帳70の搬送が完了すると、主制御部60は、印刷開始処理を実行し(ステップS334)、印刷部30を摺動方向Yに沿って移動させるとともに、カウンタnと同数の読取り位置欄に対応する磁化状態欄の内容に基づいて印刷を開始する。
【0162】
この際、主制御部60は、磁気テーブル80の磁化状態欄に登録された値が「0」であるか否かを判定する(ステップS335)。磁化状態欄に登録された値が「0」である場合(ステップS335:Yes)、主制御部60は、細線印刷処理を実行し(ステップS336)、磁化していないことを示す細線で通帳70に印刷する。
一方、磁化状態欄に登録された値が「0」でない場合(ステップS335:No)、主制御部60は、太線印刷処理を実行し(ステップS337)、磁化していることを示す太線で通帳70に印刷する。
【0163】
その後、主制御部60は、読取り位置における磁化状態の印刷が完了したか否かを判定する(ステップS338)。読取り位置欄における磁化状態の印刷が完了していなければ(ステップS338:No)、主制御部60は、処理をステップS335に戻して読取り位置における磁化状態の印刷が完了するまで、ステップS335からステップS338を繰返し処理する。
【0164】
読取り位置欄における磁化状態の印刷が完了すると(ステップS338:Yes)、主制御部60は、印刷停止処理を実行し(ステップS339)、通帳70への印刷を停止するとともに、印刷部30を初期位置に戻す。
【0165】
そして、主制御部60は、磁気テーブルの読取り位置欄に登録されている登録数とカウンタnとが同数であるか否かを判定する(ステップS340)。磁気テーブルの読取り位置欄に登録されている登録数とカウンタnとが同数でなければ(ステップS340:No)、主制御部60は、全ての印刷が完了していないと判定する。
【0166】
その後、主制御部60は、カウンタnに「1」を加算して(ステップS341)、処理をステップS333に戻して、搬入方向Xiへ向けて通帳70の搬送を搬送機構部10に搬送させ、カウンタnと同数の読取り位置欄に対応する磁化状態欄の内容に基づいて印刷を開始する。
【0167】
一方、ステップS340において、磁気テーブル80の読取り位置欄に登録されている登録数とカウンタnとが同数であれば(ステップS340:Yes)、主制御部60は、全ての印刷が完了したと判定し、印刷処理を終了し、処理を
図18のステップS305に戻す。
【0168】
このようにして磁気テーブル80を印刷すると、通帳70には、
図22に示すように、磁気テーブル80の読取り位置欄「1」における磁化状態欄が全て「0」のため細線74で印刷され、読取り位置欄「2」の磁化状態欄が全て「0」のため、細線74で印刷される。
【0169】
さらに、通帳70には、読取り位置欄「3」の磁化状態欄における「0」が細線74で印刷され、磁化状態欄における「1」が太線75で印刷される。つまり、この太線75が、上述した検出位置R1と検出位置R2との間、検出位置R3と検出位置R4との間、及び検出位置R5と検出位置R6との間において検出した磁気を示している。
図18のステップS305に戻り、印刷処理が終了すると、主制御部60は、磁化確認処理を終了する。
【0170】
以上のような動作を実現する通帳処理装置1、通帳処理方法、及び通帳処理プログラムは、読み出し可能な磁気情報が磁気ストライプ71に記憶されているか否かの判定を容易にすることができる。
具体的には、
図19のステップS315、及びステップS316で、磁気ストライプ71を走査して磁気を検出し、ステップS317からステップS319で磁気テーブル80に登録することにより、通帳処理装置1は、磁気ストライプ71の磁化状態を磁気テーブル80に登録することができる。このため、例えば、磁気テーブル80の磁化状態欄に、磁気トラック72のトラック長さLmax相当だけ連続して「1」が登録されていれば、磁気ストライプ71に読み出し可能な磁気情報が記憶されていると判別できる。
【0171】
一方、磁気テーブル80の磁化状態欄に、磁気トラック72のトラック長さLmax相当連続して「1」が登録されていなければ、磁気ストライプ71に読み出し不可な磁気情報が記憶されていると判別できる。
従って、通帳処理装置1は、磁気ストライプ71を走査した結果を磁気テーブル80に登録することにより、読み出し可能な磁気情報が磁気ストライプ71に記憶されているか否かの判定を容易にすることができる。
【0172】
また、磁気テーブル80に基づいて、通帳70に磁化状態を印刷する印刷処理を備えたことにより、通帳処理装置1は、例えば、行員などに対して、磁気ストライプ71の磁化状態を視覚的に示すことができる。このため、通帳処理装置1は、行員などの目視によって、磁気情報が読み出し可能である否かの判定を容易にすることができる。
【0173】
なお、上述の実施例3において、実施例1における通帳70の磁化状態を確認したが、実施例2における通帳70の磁化状態に適用してもよい。
また、印刷部30を摺動方向Yに移動する構成としたが、摺動方向Y及び搬送方向に移動する構成としてもよい。
【0174】
また、保守モード切替部50が押下されることで、磁化確認処理を開始して、磁気解析処理を実行したが、これに限定せず、上位制御部2の指示により、磁気解析処理を実行する構成としてもよい。例えば、
図5の通帳処理における磁気情報消去処理後、上位制御部2の指示により、磁気解析処理を実行して、磁気ストライプ71の磁化状態を確認したのち、書込み処理を行うようにしてもよい。これにより、通帳処理装置1は、磁気ストライプの古い磁気情報を確実に読み出し不可することができる。
【0175】
また、磁気ヘッド21における搬送方向の大きさに応じて、読取り位置No1,No2,No3を設定したが、これに限定せず、搬送方向における任意の位置を読取り位置に設定してもよい。
また、磁気ストライプ71の磁化状態を磁気テーブル80の磁化状態欄に「0」または「1」で登録したが、これに限定せず、磁化状態が識別できる内容であれば適宜の内容としてもよい。例えば、摺動方向Yにおける磁化している範囲の長さ、または磁化していない範囲の長さを登録する構成としてもよい。
【0176】
また、保守モード切替部50が押下されることで、磁化確認処理を開始して、印刷処理を実行したが、これに限定せず、上位制御部2の指示により、印刷処理を実行する構成としてもよい。
また、印刷処理により視覚的に磁化状態を確認したが、これに限定せず、磁気テーブル80に基づいて、主制御部60、または上位制御部2において磁化状態を判定する構成としてもよい。
【0177】
また、磁気テーブル80の内容を通帳70に印刷したが、これに限定せず、専用紙などに印刷してもよい。
また、磁気テーブル80の内容を細線及び太線にて印刷したが、これに限定せず、磁気テーブル80の内容を通帳70や専用紙などに直接、文字あるいは数字などで印刷してもよい。
【0178】
また、
図21のステップS334からステップS337において、磁気テーブル80の磁化状態欄の「0」または「1」を順番に判定して印刷したが、これに限定せず、磁化状態欄を全て参照したのち、連続する「0」、または「1」に相当する長さの細線、または太線を印刷するようにしてもよい。
【0179】
また、上述の実施例1、実施例2、及び実施例3において、自動取引装置などに内装される通帳処理装置1、及び通帳70を用いて説明したが、これに限定せず、磁気ストライプ71が貼付された媒体、及びこれを受付けて処理する装置であれば、適宜の装置、及び媒体としてもよい。
【0180】
例えば、磁気ストライプが貼付されたキャッシュカードと、カード処理装置とであってもよい。あるいは、磁気ストライプが貼付された被爆記録帳と、被爆記録帳に原子力施設で就労する作業員の放射線被爆量を記録する装置とであってもよい。
【0181】
また、搬送方向を短手方向とする磁気ストライプ71としたが、これに限定せず、搬送方向を長手方向とする磁気ストライプ71としてもよい。この際、磁気ヘッド21を固定して、磁気ストライプ71の長手方向に沿って磁気ヘッド21を摺動させる摺動機構部を搬送機構部10で構成してもよい。